Megrez80-BINO

 お送りいただいたEMSセットと目幅調整台座、短縮済み鏡筒等を、先日組み立て、Megrez80-BINOを 完成させることが出来ました。 以来、こちらは天気が悪い日が続きますが、晴れの合間を見て具合をみました。 右側に妙な金色の棒が付いてますが、重りの付いた棒を前後に移動させて全体の前後重量バランスをとってます(重りを変えたりもします)。 添付写真のように難なく組み立て、アイピース他納入品の不具合品はありませんでした。 光軸合わせは右の鏡筒を振って出来るだけ行い、EMSの調整ノブは最後に使うという松本さんのアドバイスでちゃんと出来た気がします。 合焦状況は問題無く、下の通りで鏡筒の切断した長さは適切だったです。          ドローチューブ繰り出し量      2倍バーロー時
EWV-32mm        14 mm            5 mm
イーソス13mm       22 mm           4 mm
WO-6mm           15 mm            6 mm
気になった点は以下ですが大きな問題ではないです。

● 片持ちの「Easy Touch」に積んだのでモーメントが大きいので傾く。 もう片方に適当な望遠鏡を積めば勾配は軽減されると思いますが、トータル重量が気になってきますが... 望遠鏡を購入してバランサー兼用させようかと考えてますが何かアドバイスあればお願いします。 曇りでしたが、雲間から顔を出す月や木星、天の川の付近を観望しました。 感想は「やはり全然違う、松本さんから購入して良かった~」と思いました。 いったんセッティングしてしまえば、ストレスを全く感じずに気持ちよく観望できました。 上下左右に鏡筒を楽に自在に振り、視界の先の星野は、非常に広視界で明るシャープな像で感動的です。 これまでは大体Megrez80に双眼装置を付けて(バローを使わないと合焦しないので好きな低倍率が無理)天体観測してました。 これだと視野周辺はケラレるし視野は狭い・暗い(特に高倍率)、双眼装置は重いので天頂付近はドローチューブがズルズル落ちるし、 双眼装置自体も回転し易いしストレスのたまる天体観測でした。 「Easy Touch」のような片持ちは少数派で、重量が片側に偏る不利はありますが天頂も楽々見れるし、 ストレスなしに操作出来るのは経緯台式と変わらないと思います。
 曇りがちでしかも月夜に一度天の川付近を短時間流した位ですが、プリズムを使わないEMSでの双眼システムの実力は充分感じました。 これからは有名な球状星団や新月時の晴れた夜に天の川付近をじっくり流すのが楽しみです。 Megrez80はバックフォーカスが短くて、色々対策はありましたが松本さんへ送って、鏡筒の切断短縮の完璧な仕事をして頂き正解でした。 納期や配達も非常に気をつかっていただき恐縮しました、良いものをありがとうございました。                                       K:(オランダ在住)             

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

 Kさんは同胞ながらオランダ在住で、ご見学はもとより、事前のパーツ類の往復にも大きな制約がありました。 Megrez80鏡筒とT字型架台はすでに所有しておられましたが、荷物の安全と軽量化のため、鏡筒パイプ(フランジ付き) のみをこちらにお送りいただき、切断、短縮加工をした物を、目幅調整台座とEMSと一緒にご返送しました。  にもかかわらず、写真のような見事なEMS-BINOを完成されたことに、まずは敬意を表したいと思います。 さらに、独自のウェイトシステムは非常に合理的に出来ていると思います。

 片持ち架台に搭載した際の傾斜傾向は、私も以前にZenithStar80-BINOで経験していました。アリガタ取り付け用のブラケットを ソリッドな10mm厚のアルミ板にして対策にしたつもりでしたが、やはりそれでもタワミ傾向が出るようですね。

 タワミは、片加重による架台のタワミとBINOの台座のタワミの合算だと 思いますが、後者の対策としては、ブラケットとベースプレートが作るL型の部分に筋交いを設置するか、タワミ分を見越してL型の角度が少し鋭角に なるようにシムを入れればほぼ解決すると思います。

 ただ、片持ち式はもともと、総合的に軽量で、シンプル、コンパクトが売りのシステムなので、強化対策で重量が増したり構造が複雑化するのであれば、 最終的にはやはり両持ちのフォーク式架台に分がありそうですね。
 搭載機材の下に自由空間が広く確保される片持ち架台の開放感には、確かに大きな魅力はありますが、 EMS-BINOに関する限り、90度対空のメリットにより、通常の両持ちフォークでも 天頂付近の観察に何らの障害もありません。
 実は、この度供給させていただいた目幅調整台座は、 一般用と共通な規格を採用していますので、耳軸部を設置するだけで即、両持ちフォーク架台に対応できるように 配慮しています。      

15cmF5-BINO

1 購入の決め手

 約1年半ほど松本さんのホームページを拝見させていただいていたのですが, 思い切って2007年1月に15㎝F5-BINOを注文しました。このタイミングで お願いしたのは,概ね次の理由です。

 まず,15㎝F5-BINOそのもの評判のすばらしさですが,これは言うまでも ないと思います。次に,私も今年「不惑」の年を迎えるということで,体力や視力 に余裕があるうちに15㎝F5-BINOで存分に観望を楽しみたいと思ったこと です。また,僭越ながら,松本さんの15㎝F5-BINO開発がたいへん高水準に 安定してこられたように感じたからです。さらに,原油高など物価が上がって くる中,松本さんの経営努力で価格が維持されているうちに購入しようと思った 次第です。迷われている方はぜひ参考にしていただき,ご決断下さい。(^_^;) なお,注文してからオプションを決めるに際しては,松本さんからいろいろと 有益かつ適切なアドバイスをいただきました。そのおかげで15㎝F5-BINO そのものにしたことを含めて,私にとってベストな選択ができたと思っており ます。

2 訪問

 EMSの光軸調整のレクチャーを受けるために,宮城県から鳥取市までうかがい ましたが,とても有益で価値ある体験でした。松本さんが「一度は現物を見て調整 方法などのアドバイスを受けられた方がいいですよ」とおっしゃる意味がよくわか りました。EMSを鏡筒からはずしてからとりつけ,光軸調整をするところまで, 手取り足取り丁寧に教えていただきました。また,像が傾いたときにそれを修 正する方法なども教えていただきました。やはり,百聞は一見にしかずです。 おかげさまで,ファーストライトでも光軸調整に手こずることなく,星空を満喫 できました。
 また,開発にまつわる苦労話など興味深いお話をうかがうことができ,大変 楽しいひとときでした。松本さん,完全な文系で素人の私にいろいろとご教示 いただきまして,ありがとうございました。m(_ _)m

3 観望

 私は天体写真はまったくやらず,眼視専門ですし,これまで大口径の望遠鏡 は持ったことがないので(タカハシFS-102のみ所有しています),他と比べて どうこう言える立場にはありません。しかし,15㎝F5-BINOの使いやすさ, すばらしさはファーストライトで実感しました。

 ファーストライトの観望地は仙台市内から車で30分程度のところで,天の川は はっきり見えるのですが,それでも仙台市内の光は気になります。肉眼では 5等星がやっと見える程度です。

 私のものはEWV32㎜と2インチマルチショートバローを備えただけのシステム ですが,夏のメシエ天体,天の川めぐりは息をのむ美しさです。最初にのぞいた ときは,「なんじゃこれー。星がありすぎる!」という感じでした。「宇宙船の窓から 星を見ている」という表現がぴったりです。また,バローを使うとコントラストが 上がり,球状星団のつぶつぶもはっきりしてきて絶景です。クレイフォード接眼 部のなめらかさのおかげでピント合わせも簡単で,シャープで美しい星像を楽し めました。M11,M13,M22,ペルセウス座の二重星団は特にすばらしい眺め でした。M27や干潟星雲などもよく見えましたが,星雲用にフィルターが欲しく なってしまいそうです。(^_^;)

 幅広改造HF経緯台の性能もすばらしいです。ガタは皆無で高度軸の堅さの微 妙な調整も自由自在です。三脚とHF経緯台,15㎝F5-BINOの相性もばっちり で,風が吹いてもほとんど揺れず,安定した観望ができました。 松本さんが勧めてくださったドットファインダーも大変便利で,15㎝F5-BINOの 正立,低倍率と相まって,目的の天体が指差し感覚で簡単に導入できます。 ちょっと暗い天体の場合は5㎝正立ファインダーと併用することでよりスムーズ に導入できます。

 ファーストライトの日はみずがめ座流星群がたくさん飛んでおり,15㎝F5-BIN Oの視野の中で流星を3つほど見る幸運がありました。(^_^)v 流星にも色の違 いがあるものだと思いました。広視界の賜ですね。

4 機動力

 15㎝F5-BINOの機動力もすばらしいと思います。写真のとおり,自宅では 和室に無造作に立てています。三脚の下端には雑誌を置いて畳を傷つけ ないようにしています。先日震度5弱の地震がありましたが,無事にその まま立っていてくれました。HF経緯台の60度加工のおかげです。

 持ち出すときはEMSとアイピースのついたままの鏡筒を自動車の後部座席 にポンと載せ(緩衝材は何も無し),三脚とHF経緯台はトランクにそのまま 入れます。もちろん,安全運転はしますが,普通の振動などは全く気にせず, そのまま運んで,観望地で組み立てればすぐに使えます。15㎝F5-BINO の鏡筒も男性なら1人で簡単に経緯台に載せられます。屈折なので温度 順応に神経質になることもありません。こんなに簡単にすばらしい星空を観 望できるのですから,なまけぐせがつきそうです。(^_^;)

 最近は車の後部座席に積んでおいて,仕事帰りにちょっと郊外に観望に いこうかとたくらんでいます。

5 最後に

 このようにバランスのとれたすばらしい双眼望遠鏡を持てて大変うれしく 思います。最近は天候不順でストレスがたまる日々ですが,晴れ間を ねらってお気軽観望をしたいと思います。

 仙台市では7月に新しい天文台がオープンして,連日多くの市民が天文 台に足を運んでいるようです。素人に毛が生えたくらいの私が言うのも おかしいですが,天文ファンが1人でも増えてくれればいいと願っています。

 松本さん,私の素人的な質問にも丁寧にお答えいただき,また,調整方法 についても懇切丁寧にご教示いただき,ありがとうございました。また, わからないことなどご相談させていただくかも知れませんが,どうぞよろ しくお願い致します。m(_ _)m                              宮城県 S

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

 宮城県のSさんより、大変懇切なリポートをいただきました。 また、車でBINOを受け取りに見える方は比較的多いのですが、Sさんは空路でわざわざ出来上がったBINOを見に 来てくださり、BINOは後日宅配便でお送りしました。”初心者”を自認していらっしゃいますが、このご姿勢には感服し、 感謝の気持ちで一杯です。 また、”PROGRESS REPORT(製作情報速報)”もずっと見てくださっていたようで、 この点も、とかく固定観念で捉えやすい老練マニアや一般業界人よりも客観的に見てくださっていたようです。

 振り返りますと、鏡筒が黒かったSCHWARZ150S-BINO(ちなみにschwarzはドイツ語で黒のこと)の第一世代から始まり、 第二、第三、第四世代に至り、さらにフォーカサーをオリジナルの大径クレイフォードにし、目幅調整を鏡筒固定のヘリコイド 目幅調整方式から、IPDクレイフォード方式へと進化して来ました。BINOに有害なイメージシフトの要素を 一つずつ潰して来たわけで、ここに至って全ての阻害要因を排除できたわけです。

 Sさんには、観測リポートもしっかり書いていただきました。分かりやすい言葉でご感想を飾らずに的確に書いてくださっています。 マニアも古参になるほど光学系の机上データにうるさくなるという一般的傾向があるのですが、15cmF5アクロマートというスペック の従来的な常識を覆すものが、この15cmF5-BINOにはあります。製作者が言うのでは説得力に乏しいので、 こうしてユーザーの方が証言してくださるのは大変ありがたいことです。

 私の地元の友人も、15cmアポの単体鏡筒は別に持ちながら、この数年はもっぱら15cmF5BINOでのdeep-skyにはまっていて、前者の アポ鏡筒はたまに惑星や二重星観測をされる時しか出番がないそうです。 主観的な表現ではありますが、ざっと、

従来の(短焦点アクロマートに対する)一般常識
                  < 15cmF5(アクロ)単体鏡筒
                           << 15cmF5BINO


  ということで、最後の(<<)は体感して初めて理解できる部分だということです。

 Sさん、素晴らしいリポートをありがとうございました。 またBINOを作る元気が湧いて来ました。

FS102-BINO

FS102-BINO(最新型)

 マツモトさんにBINOの製作を依頼し、ゴールデンウィーク明けに完成して新型台座に乗った、 FS-102BINO のすばらしさを紹介させていただきます。このBINOを受け取ってまだ1ヵ 月半ですが、 特に新型台座の使い勝手の良さ・完成度の高さを未熟者ですが報告いたします。

導入経緯

 私は小学生の頃、ちょうどアポロが月に着陸した頃に初めて望遠鏡を買ってもらい、その後10年くらいは 一生懸命に星を追いかけておりましたが、いつの間にか星を見なくなり忘れておりました。
 ところが5年位前にふと本屋で天文ガイドを手に取り投稿写真を見ると「なんだこれっ!!」。望遠鏡の広 告をみても「自動導入???」驚きのあまり「おもしろそう」とこの世界に戻ってきてしまいました。 それからは機材を買い・買い替えを繰り返し、25センチニュートンと自動導入赤道儀にある程度満足し、 落ち着いたつもりでした。

 しかし、現在の観望仲間と出会い、またまた衝撃を受けてしまいました。 その仲間たちの30~40センチドブソニアンは銀河や球状星団が写真のように見え、ついには50センチまで 登場し銀河の腕がぐるぐる見えるのには卒倒しそうでした。

 その仲間の1人に12センチの双眼望遠鏡を使っていらっしゃる方に覗かせてもらい、大口径とは違う「楽に 見る楽しさ」を教えてもらいました。そしておおたさんのCAPRI-BINOを覗かせていただき、私の腹は決まり ました「手元に1本あるFS-102を生かしてBINOをつくってもらおう」と。

 もう1本を譲っていただける方をスターベースさんでご紹介いただき、早速マツモトさんとメールで打ち合 わせをさせていただき、「65φバレルであとはおまかせで」なんていい加減な依頼をしてしまいました。

 ゴールデンウィークごろの製作状況速報で進行具合が分かるようになりマツモトさんから「新型の台座にし ますのですごく良いですよ」とのご連絡をいただき、完成品は「目幅調整機構は、今まで製作して来た中で も最高の滑らかさと操作性で、もちろん最高の剛性も兼ね備えています。」とのことで、早速鳥取へ引き取りに向かいました。 その場で基本的な調整法や使い方を2時間ほど習い、帰宅後一度ばらして組み上げ構造を理解しました。

実際に手にするまでは、調整が難しいとか、光軸はどうするんだろうといろいろ心配をしておりましたが、 「なにも難しいことはありません」「案ずるより生むが易し」そんな感じでした。

新型台座

 今回マツモトさんが開発された目幅調整スライドユニットの使い勝手が「誰にでも簡単に扱えて」すこぶる 良いものです。
 写真でもわかるかと思いますが、クレイフォード微動の要領で5kg強の鏡筒が実に滑らかにスライドし、 まさに最高の滑らかさと操作性で、最高の剛性も兼ね備えたというのが良く分かりました。そしてその 微動ハンドルが接眼側と対物側両方にあり、接眼側は自分で調整するときに使い、対物側のハンドルは例え ば子供が覗いているときに楽に調整をしてあげることができます。この機構は微妙な目幅の調整に絶大な 威力を発揮します。

 これは常に現状に満足することなく研究開発に時間をかけておられた成果が生んだものだと思います。 耳軸も真鍮製のものでバランスにこそ敏感ですが、これもバックラッシュもなく非常に使いやすいもの です。私の場合はバランス用に手首・足首用のトレーニングウエイトの500gと1kgのものを用意し ました。

アイピースと木箱

アイピースはハイペリオン 3.5mm 234倍 実視界0.29度
        ミードUWA    6.7mm 122倍 実視界0.67度
        イーソス    13mm  63倍 実視界1.59度
          EWO     30mm  27倍 実視界2.52度

 これらのアイピースでピント位置も問題はありませんでした。 ただ、ハイペリオンを2インチで使おうとすると防塵フィルターにあたってしまうので、31.7mm で使わなければなりません。車の積み下ろしや室内の移動の事故を考え、木箱を桐で作りました。 軽い箱ですが、深く考えずに作ってしまい、非常に持ち運びにくい大きさになってしまいました。

 天気に恵まれず暗い空に出会えておりませんので、早く夏の天の川あたりや普段あまり見ることがない月 を見てみたいと思います。 仲間からも「BINOさえ持ってくれば他の機材はもってこなくていいから」とも言われております。

 記念すべき新型1号機を私にいただけたことを感謝し、一生ものとして自分で手を加えつつ大切に使ってい きます。ありがとうございました。

                                  そら

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

「そら」さんはBINO製作を思い立たれてから、かなり早いテンポでプランニングの決定から素材 鏡筒の確保、当方への発注をこなされ、遠路にもかかわらず、完成したBINOを当方まで受け取りにお見えいただきました。

 ご注文いただいた頃、ちょうど中小口径用のシステムの設計を根本的に洗い直していたところで、多くの 方を随分とお待たせしてしまった主因にもなったのですが、こうして、リポートの形で、製作者の意図を 完璧に代弁していただくと、製作の苦労が完全に報われる気持ちがいたします。

 新型のスライド台座は、中小口径のBINOの基本構造を構成する部分です。旧型の自由スライド、クランプ方式から、 微動送り機構へと進化しました。原理は極めて単純で、クレイフォード・フォーカサーと酷似しています。 コストや重量が肥大しないことにも配慮し、成功を納めたと思っています。 依頼者の方々のニーズは 多岐に渡りますので、汎用性に富ませることも重視し、構成パーツ(のネジ穴配置等)は極力対称性を 持たせ、プレートパーツは都合によってリバーシブルに再構築できるようにしています。逆に、旧型でこだわった プレートパーツの角のアール加工は、機能に 関係ないので、生産性(納期短縮)を優先させるために割愛し、直線的な トリミングにしました。そうした製作者の隠れた腐心に ついて、「そら」さんがユーザーとして完璧に理解して発表してくださり、大変喜んでいます。

 今回は、「そら」さんには、新型スライド台座のメカについて重点的に発表していただきましたが、 梅雨が明けて夏のdeep-skyを堪能されましたら、またぜひ観望リポートをお願いしたいと思います。  「そら」さん、すばらしいリポートを本当にありがとうございました。

15cmF5-BINO

 2007年5月に満を持して注文をしてから2008年1月におかげさまで無事納品されました。冬の間は、年齢?の ためか寒くてとても観望する勇気が出なかったので冬眠?状態でしたが、ようやく暖かくなった4月から 観望を再開しようと思い15cm双眼のファーストトライを実施しました。トライ当日は、少し光軸調整を実施 し、しし座、おとめ座、かみのけ座、からす座と春の系外銀河を総なめ。
 特に長い?星見人生で初の観望となった“おとめ座銀河団やかみのけ銀河団”の素晴らしいこと!しかも、 この銀河団を自分の所有の望遠鏡で見ることの嬉しさといったら何と言って良いやら、言葉になりません!

 今回、GW中にセカンドトライを三重県で実施したので簡単にインプレッションをしたいと思います。

 使用したアイピースは、ナグラ17mmで約44倍です。 まずは、4月に引き続き、おおいぬ座、りょうけん座、ヘルクレス座、しし座、おとめ座、からす座、かみ のけ座、さそり座、いて座、たて座、こと座、こぎつね座と春の系外銀河や春夏の球状星団、散開星団、 散光星雲、惑星状星雲を流しました。GWということもあり空が少し腐り?ぎみでしたが夜半過ぎからは 透明度も増しよく見えました。

 系外銀河は、M65、M66、NGC3628、M81、M82、M51、M101、M104と見て、 最後にはおとめ座、かみのけ座の銀河団!望遠鏡を向けたら系外銀河が次々と飛び込んできます!凄い ・・・球状星団もM3、M5、M13と見て、特にM13は周辺も星が分解している!その後、夏の星座が上が った後は、M4、M7、M8、M11、M17、M27、M57、M80、そしてとどめは、UHCフィル ターを借りての網状星雲!この春の空で肉眼で見えるとは思っていませんでした。15cmという口径の威 力もありますが、やはり“両目“で見るという“双眼“の威力の凄さを再度、目の当たりにしました。。。

 特にM7やM11の散開星団は、双眼望遠鏡で見ると“空の宝石”のようでとてもきれいでいつまでも見 ていたくなりました。

 さて、今後ですが、実はナグラ17mmを付けるとアイピース側が重くバランスを崩すためマグネット式 などのウエイトを探そうと思っています。

 いずれにしても、天文歴20数年の中で今までにない素晴らしい買い物が出来ました。今後、BINOの購入 を計画されている方がいるのならぜひ迷わずにご購入されてはいかがでしょうか?楽しい星見生活が待って いることは間違いないと思います。

 最後に松本さん、本当にありがとうございました。今後もいろいろご相談することがあると思いますが、 どうぞよろしくお願いいたします。

                                       鳥羽山     

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

 鳥羽山さんは、確か、アストロメカニカ(イタリア)製のBINO(3回反射の裏像)を使用しておられ、 望遠鏡サミットにもそのBINOと共に参加していらっしゃったように記憶します。

 他社製のBINOを愛用しておられた方が当方のBINOをお求めくださることは大変光栄で、嬉しいことでした。 実は今月18日にイタリアの方に納品させていただくEMSセットも、同社製の15cmBINOのリフォーム(正立化)でした。( 同社はBINO作りから撤退されたようですね。)

 さて、’07年の秋頃までの受注分が特に納期が延びてしまい、鳥羽山さんもご指摘のように、異例にお待たせ してしまいましたが、寛大にお待ちくださいました。
 同年はいろいろなアイデアが噴出した年で、新規開発の誘惑に勝てませんでしたが、 先日来、バックオーダーの消化に全力を尽くしておりますので、よろしくお願いいたします。

 臨場感溢れるリポートをいただきましたが、もう夏の天体を楽しむ季節になりました。私も頑張ってBINO を作らないといけません。^^;

 15cm-BINOの醍醐味を簡潔におまとめいただき、かつストレートにご推薦くださり、本当にありがとうございました。

 

       

15cmF5-BINO

Hello Tatsuro,

finally last week I had the opportunity to test the new binoscope under good and dark skies. I have been in Tuscany (center of Italy) on the top of Amiata mount (about 1800 m over see level) for a very nice Star Party dedicated to deep sky visual observation and imaging. More than 100 people in the field with impressive setups. Here you are an example :

(Italian:)

Salve Tatsuro,

finalmente la settimana scorsa ho avuto l’opportunità di provare il mio nuovo binoscopio sotto cieli veramente buoni. Sono stato in Toscana sulla cima del monte Amiata (1800 m sul livello del mare) dove ho partecipato ad uno Star Party dedicato alla osservazione visuale ed alla ripresa del profondo cielo. Più di 100 astrofili hanno partecipato a questo importante evento con una impressionante strumentazione al seguito. Ecco qui un esempio:

(Japanese:)

 ついに先週、すばらしく暗い空の下で出来上がったビノをテストする機会を得ました。 トスカーナ州(イタリア中部)のアミアタ山(標高1,800m)の頂上で、ディープスカイの眼視と撮像 のための素晴らしいスターパーティが催されたのです。 100人以上のマニアが、自慢の機材を携えて集いました。下の写真はその一例です。

but also big dobs up to 20″ were on the field. Unfortunatelly the fork mount for the binoscope was not still ready so I had to “put together” some mechanical parts to be able to preliminary use the bino. Any case the instrument, and in particular your wonderfull EMS system, attracted a lot of curious people:

(Italian:)

ma anche diversi grossi dobsson erano presenti per l’osservazione visuale con diametri fino a 20″. Sfortunatamente la versione definitiva della forcella che sosterrà il mio binoscopio è ancora in fase di sviluppo e per riuscire comunque a provare lo strumento è stata rapidamente preparata una forcella provvisoria. Nonostante quindi qualche vicissitudine meccanica il binoscopio, e in particolare il suo fantastico set di EMS, ha subito attratto la curiosità di molti astrofili presenti:

(Japanese:)

会場には、50cmくらいまでの巨大なドブまで参加していました。 残念なことに、最初、ビノの自作経緯台がまだ完全でなくて、現場で機械パーツの一部を 組み立てないといけませんでしたが、ともかく、取り分け、素晴らしいEMSは多くの会衆を魅了していましたよ。

during the night a long queue of people was waiting to look in the binoscope and the general comments were enthusiastic. General opinion was that the wide and deep view of the binoscope was probably the best compared to all the other visual telescopes. The adjustment of both IPD and focus was easy and nobody had problem to merge images (at 25X and 57X with 30mm and 13 mm Widescan eyepieces):

(Italian:)

durante l’osservazione notturna molte persone aspettavano il loro turno per guardare attraverso il binoscopio e il commento generale era di entusiasmo. Il commento ricorrente è stato che l’ampia e profonda visione offerta da questo strumento era probabilmente la migliore in confronto con tutti gli altri strumenti visuali presenti. Estremamente semplice per tutti l’aggiustamento della distanza interpupillare e la messa a fuoco e nessuno ha avuto problemi a fondere le immagini dei due tubi (a 25X e 57X utilizzando oculari Widescan da 30 e 13 mm)

(Japanese:)

深夜まで私のビノの順番を待つ長蛇の列が続き、多くが絶賛していました。「視野の広さと抜けの良さに於いて 、(このビノは)この会場の眼視用の望遠鏡の中で一番良く見えるだろう。」というのが、このビノを体験 された方の標準的な感想でした。目幅調整もフォーカシングもやり易く、(左右の)合像についても 誰も問題ありませんでした。(30mm、25倍;13mm、57倍使用)

I have been also impressed by wonderful views like the Markarian’s Chain in Virgo or the Milky Way across Cygnus, Sagittarius and Scorpius regions.Very good job Mr. Matsumoto, I think you have gained new enthusiastic fans here in Italy !!!Thank you very much again and best regards, Antonio.(Italian:)Io stesso sono stato molto impressionato dalle fantastiche visioni fornite dal binoscopio, in particolare la Markarian’ s Chain e le regioni del Cigno, Sagittario e Scorpine attraversate dalla Via Latea. Ottimo lavoro Mr. Matsumoto, io penso che Lei abbia guadagnato nuovi entusiastici fans anche quì in Italia !!!Ancora molte grazie e cordiali saluti, Antonio.
Antonio Marcelli
(Japanese:)また、おとめ座のマルカリアンチェーンや白鳥座を貫く銀河、いて座とさそり座の領域の素晴らしい眺め にも私は目を奪われました。 松本さん、素晴らしいビノをありがとう。これできっと、イタリアにも新しいEMSファンが たくさん出来たと思いますよ。^^
改めて、本当にありがとう。 では、また。          アントニオ

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

Dear Antonio,
I am thrilled to read your hot report, as if I were at the very place of the star watching party. Thank you very much for your wonderful report. You have given me not only the energy to keep up with my enthusiasm in the BINO making but also the motivation to start studying Italian language. Let me give you my sincerest admiration for your seccess in making such a nice binoscope utilizing my EMS set with a limited information against the language barrier.
Give my best regards to your friends who have generously allowed me to use the photo, too.
Your friend,
Tatsuro

鏡筒のカラーは異なりますが、当方で製作している15cmF5-BINOと同じ鏡筒のようです。 当方で製作しているメインのクレイフォードフォーカサーを含めた完全セットをお求めいただきましたが、 各所の接続や調整を見事にクリアーされ、写真のような立派なビノを実現されました。 アントニオさん、素晴らしいリポートを投稿してくださって、本当にありがとうございました。

(18日には、日本公演で来日される世界的に有名なイタリアのmusicianの方にほぼ同じ完全セット を手渡すことになっています。)

ZenithStar80ED-BINOMr. Akazawa in Osaka  

 昨今大変お手間をおかけいたしました、ZenithStar80ED BINOですが 自宅屋上にて初飛行する事ができましたのでご報告させていただきます。

 私は大阪市内のかなり明るい空の下に住んでおります。さらに当日は、 本が読めるくらい明るい月夜だったので月と土星くらいしか見るものがあ りませんでしたが、あまりにきれいなので見入ってしまいました。 特に月は、何かが生息しているのではないかと月面を探し回る感覚で、 あっという間に時間が経ってしまいました(当然何もいませんでしたが)。

 私ですが、高倍率側では、LV2.5mm、アッベ・オルソ4mm、LV6mmの3種 のビクセンのアイピースを昨年注文時からこつこつ集めておりました。 これらを見比べた結果ですが、月と土星ではオルソ4mmが断然おもしろ かったです。写真のアイピースがそれですが、フタと見間違える小さいコレ が結構使えます。1つ3000円はお買い得でした。

 しかし、このオルソの4mmを使って感じましたが、【新型目幅調整機構】 がなければ、操作に不慣れな私はこの針の穴のような覗き口のアイピース をうまく合わせられなかったと思います。この目幅調整ですが絶妙なタッチ が最高です。

 それと便利であったのが、ほぼ完成した自作の【両耳ポルタ(仮称)】です。 ポルタの微動装置で、上下左右に月を嘗め回すように見る事ができ、逃げる 土星もダイアル操作で簡単に追尾できました。また、この両耳ポルタは、エレ ベータ付きの大型カメラ三脚(ベルボンMark7)に載せており、月と土星を同 じイスに座ったまま見る事ができ大変ラクチンです。 なお、私の両耳ポルタが活躍できるのは、完璧にBINOのバランスを調整 いただいた松本さんのおかげである点を補足させていただきます。

最後に、松本さんの確立された【正立】【双眼】【光軸調整】【アイピース交換】 【光路長確保】などなど多数のEMSの技術と、最近多少お安くなった【ED望遠鏡】、 そして今回の新ネタの【微動目幅調整】【微動両耳ポルタ】の要素が加わる事で、 このZenithStar80ED BINOですが、私の屋上展望スタイルに最適の機材になった のではないかと思います。

今度は暗い空にて星雲、星団の観測レポートができましたらご報告させていた だきます。その時は、両耳ポルタが完成できなかった場合を想定して購入いた しました、【T型経緯台】の使い勝手も合わせてご報告させていただくつもりです。
では失礼いたします。

大阪市 赤澤

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

 実は、今日、赤澤さんより上記BINOのファーストライトの第一報をメールでいただきました。これは中間報告で、後日詳しいレポート をいただけるとのことでしたが、新鮮な情報に価値がありますので、無理を言ってまとめていただきました。

 赤澤さんは、当初12cmF5(アクロマート)BINOをご希望でしたが、遠征よりも大阪市内で観察されることが主になることを 考慮され、月、惑星を主体にして、口径との trade-off の結果、より小口径のEDに変更されました。

 今回は、ちょうどコンパクトなBINOの新型を考えていた時期と一致したため、製作段階で試行錯誤を繰り返しました。 最初は超軽量を目指したものの、市販鏡筒の重量の制約や”BINO”という構造上から来る不可避のモーメント増等があって、現実的な選択 を迫られる部分もありました。
 しかし、最終的には、8~10cmクラスのBINOの汎用マウントの新型に大きく近付くという収穫を得ました。 現在設計が煮詰まりつつある汎用スライドマウントは従来の汎用型スライドマウントの新型となるもので、今回の赤澤さんのモデルとも 大きく異なりますが、このモデルが大きな方向転換のきっかけとなったことは間違いありません。

 2月17日に豪雪の中を、完成したBINOの受け取りにお見えいただきましたが、その時点で赤澤さんが持ち込まれたポルタ改造両フォーク架台は まだ試作段階でした。 今日、仕上がった架台の写真を見せていただき、試作段階とは見違えるほど綺麗に仕上がっていて驚きました。

 写真から、随所に工夫の跡が見えますが、ぜひ次回のリポートではその辺もご説明いただけましたら幸いです。

 急なお願いにもかかわらず、急遽リポートをまとめてくださってありがとうございました。 追加のリポートも楽しみに お待ちしています。


NERIUS150LD-BINO

  【動機】

①10数年ぶりに星を見たくなり,子どもも楽しめる観望用の機材について検討をはじめました。
②見え味に迫力があると言われている自作大型ドブソニアンか,
③感動という言葉で評価する人の多い松本さんの手作り双眼望遠鏡にするか,
④悩んだ結果,子どもにとっては迫力より感動,また,子どもでも安全でのぞきやすく,しかも正立!
 という自分なりの整理をして松本さんに相談を兼ねて一報をいれました。そして,子どもが使えるように目幅等工夫をして いただけるということでネリウス150LD利用型の製作をお願いしました。

【機種の選択について】

 松本さんより2階からの移動は困難で1階での保管もしくは比較的軽いアクロマートの機種への薦めもあり,悩みましたが,私にと ってセミアポクロマートという肩書きの魅力は大きく,結局,ネリウス150LD利用型にしました。

 しかし,完成直前に松本さんのお店で展示されていた10cmアクロマートでのなんとも言えない立体的で,アクロマートとは 思えないシャープな像を見て,色収差だけでセミアポクロマートとかに悩んでいた自分が恥ずかしくなったりしたことを付け加えて おきます。

【使用してみて】

 ①心配していた重さは,私はですが(身長171cm体重62kg運動特に無し),全長がコンパクトなため階段での移動も十分可能でした。   しかし,この機種は対物側が重いため運搬時にバランスが悪く,また,細いステンレスのハンドルを持つのは手が痛いので,バンド 等は初期の位置のままで重心を対物側に移動した位置で持てる木製の取っ手を取り付けました。材料は35mm径の木製手すりと支柱。 アルミ製の支柱はグラインダー(私にとって初めての使用)で切断し,中心にM8のステンレスボルトを貫通(初めてのねじ切り)させ て強固に固定できました。これで,15cmの屈折×2とは思えない移動が可能となりました。

 ②EMSの調整については,実際に使ってみると,悩むことも手間に思うこともありませんでした。言われた通りに,目幅を合わせて, 接眼鏡から目を10数cm離し,両目で対象物を漠然と見て,左右の像が重なるように右のEMSの上下調整ネジ,そして,左右のネジ を回してやれば,(私はですが)合った瞬間,脳のストレスがスーと消える感じがします。その時間は数秒です。  天体写真のピント合わせのように微調整する必要はまったくありません。最初は厳密に合わせないと星がすべて2重星になるのかと 思っていました。また,最初は明るい昼間のうちに鉄塔等で合わせるようにと指導もありましたが,夜間に組み立てた場合等でも,明る い星を見ながら調整をしても難しいとも思ったことはありません。このことで,ホームページ等ではかなり慎重に案内等をしておられる のだという松本さんの心が理解できました。

 ③新型ピント補償機構も快適です。まさに,シンプルイズベスト。特に目幅が大きく違う子どもと一緒に見るには非常に便利です。 余談ですが,私はこの機構の付いた美しいEMSユニットを手に持ったとき,なんともいえない満足感に心が癒されます。松本さんの EMSにかける情熱が癒しとなって伝わってくるのでしょうか。

 ④レンズを通して見た感想 昼間見た山は,木々の葉っぱが1枚毎くっきり分かるほどシャープで影の部分とハイライト部分のコントラストがとても美しく,星は (条件は肉眼で4等星位の市郊外)とても明るく色も鮮やかで,にじみもなくくっきりとシャープ,そして双眼鏡(私の3~5万円, 5.6~8cm)のイメージからは想像出来ないほどクリアーな視野…ということになりますが,この双眼望遠鏡の本当の凄いところは, 最初に少し書きましたが,そういう評価でないところにあります。

 上手く言えませんが,美しい等という感覚が単眼とまったく違うのです。特に月を見たときに実感します。(EWV32mm+2倍ショ ートバロー)なんと月が丸い球体に見えるのです。しかも,クレーターの周囲の高いところや低いところが立体的に見えるのです。双眼 視により頭の中で想像力がフルに活動して,見えないものまで見えているのでしょうか…松本さんのお店で見せていただいたとき,10歳 の子どもが「手のひらの上に街灯があるみたい!」,「歩いている人の心の中が見えるみたい!」とはしゃぎながら言っていたのですが, まるでそのような感覚でした。不思議なことに双眼望遠鏡を片方だけと双眼視とを見比べて見ると,同じ対象でも双眼視の方が明るさや ディテールそれに大きさまでもが数段アップしているように感じます。そのためか,単眼(10.5cmアポクロマート)で月を何度も見た 経験のある子どもも双眼望遠鏡を覗いて思わず「わぁスゴイ!」と声を出していました。

 まだ,条件の良くない空で,しかも,家の窓から見える沈む秋の星と3日月しか見たことがないのですが,M31が22倍にもかかわ らず,びっくりするほどはっきりと大きく,しかも,ぽっかり宇宙に浮かんだように見えてびっくりしました。このハイコントラストで 明るくシャープな像を確認する毎に,セミアポクロマートで良かったと(比べた訳ではありませんが)今では満足しています。

 大型高級双眼鏡等他の機材を多く覗いた経験がない私ですが,この双眼望遠鏡で初めて望遠鏡で見る星々等の本当の美しさに会えたよ うな気がします。

 また,目幅のカスタマイズで最小目幅は57mmとなっていますが,子ども(8歳)の53.5mmの目幅でケーニッヒ40mm,さらにEWV32 mm+2倍ショートバローでも特に問題は無いようです。子どもが使用する上で心配していたアイポイントの位置によるブラックアウト もまったく問題なく使用しています。

【これから】

 動機の欄に書かせてもらった目的のほか,個人的にも機材を駆使してもっと深く星等を見るというより,心が疲れたとき,何気なく空 が気になったとき等に近くの山でのんびり眺めるスタイルになることと思います。その道具として私にとって大きなプレゼントとなり, 松本さんには製作していただき本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
 また,私は岩国在住広島勤務です。この近く等で関心等のある方がおられましたら,連絡いただければと思います。2008.2   

 岩国在住広島勤務 N

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

 専門用語や天文キャリアに関連した事柄は散りばめられていませんが、core(コア)な部分の感性に響く リポートをいただきました。 150LD-BINOに感動してくださったようですが、このリポートを読んでいる私も、そのくらい、 いやそれ以上に感動しています。

 2人の子供さんがBINOで観察しておられる写真が全てを物語っています。遠い昔はこういう絵が頻繁に見られたような気がします。 私だけがそう思うのでしょうか。忘れ去られようとしている何か貴重なものがこの写真に見え、目頭が熱くなりました。

 focus-compensator(ピント補償機構)も使いこなしてくださっているようで、嬉しく思います。(このピント補償機構は第二世代仕様 ですが、実は第三世代仕様のアイデアが煮詰まりつつあります。^^;)

 理想的な取っ手を付けてくださいました。これなら楽に持てますね。 吊り輪や鉄棒よりも太くて、平行棒よりも細い太さのようですが、 大変持ち易そうですね。今後の参考にさせていただきます。

 もっとコメントしたいことがあるようですが、蛇足になりそうですので、 ここらで締めくくります。Nさん、素晴らしいリポートをありがとうございました。

CAPRI-102ED-BINO

 メガネのマツモトさんに製作を依頼しましたCAPRI-102ED-BINOが昨年12月に完成しました。 おそらくCAPRI鏡筒の双眼望遠鏡として世界初、1号機だと思います。 機材導入の経緯から、製作過程、インプレッションまでReportします。 長文で申し訳ありませんが、しばしお付き合いいただければ嬉しいです。

【導入の経緯】

・大口径&双眼視に魅せられて、現在は口径38cm/F5のドブソニアンに双眼装置をつけて 観望しております。このシステムでの双眼視の最低倍率は140倍/実視界0.6°となります。

・中倍率用にミヤウチ製10cm双眼鏡(セミアポ45度対空)を愛用しておりました。  大変、覗きやすくよい機材でしたが接眼レンズの選択に制約があり、手持ちの広視界ア イピースが使用できません。また月を見た時、エッジ部での若干の色収差が気になり ました。ドブではカバーできない140倍以下をカバーできる双眼鏡があればいいなぁと  常々思っておりました。

・天文仲間にSKY90-BINO、12cmF5BINO、FS-102-BINOのユーザーがいらっしゃいます。  彼らの機材を覗かせてもらう度に心はどんどん高まってきてました。「いつかは自分も 双眼望遠鏡を手にしたい」と。

・双眼望遠鏡を検討する際、散開星団、天の川など低倍率から惑星など高倍率まで一台で こなせ、月をみても色収差を感じない鏡筒となるとやはり、アポクロマートを使いたい。  しかし、鏡筒だけでも高価でなかば諦めかけていた折、笠井トレーディングから新製品  :CAPRI-102EDが発売となりました。  スペックはほぼ希望どおり、これなら価格も手が届くのではと思うと高ぶる心が抑えきれず、 実際の星像を確認することなく、今回の製作依頼となりました。

【BINOの仕様と製作】

・CAPRI鏡筒がマツモトさんへ入荷したとの連絡で早速、手持ちのアイピースで合焦の確認 と打合せを兼ねてマツモトさんを訪問しました。CAPRIはEMSの使用も想定し、市販鏡筒 の中ではバックフォーカスを十分にとってある鏡筒なのですが、手持ちのアイピースで最 もバックフォーカスが必要なWS(ワイドスキャン)20mmにおいてはかろうじて合焦する  ものの余裕がないことがわかり、エンドフランジの加工で1cm短縮していただきました。  これでほとんどのアイピースで合焦可能です。(マイナスポイントアイピ-スアダプター など使用すると筒は無加工でも合焦できるかもしれませんがEMSの保護フィルターとの干 渉を確認しないといけません)  この短縮改造で、CAPRI純正のマイクロフォーカサーがそのまま使用できました(写真③)。

・眼幅の調整は10cmクラスでは鏡筒スライド式がマツモトさんの推奨とのことで、この方式としました。・その他、主な加工は、左鏡筒のマイクロファーカスノブの左右対称化加工と、左右鏡筒バ ンドが干渉する部分の切除加工です。

・CAPRI鏡筒がマツモトさんに入荷してから、製作着手までの約1ヶ月、1本をお借りし実際の 星像を確認しました。高倍率でも色収差はほとんど気にならず、星像も非常にシャープで 優秀な機材であり、完成したBINOに寄せる期待がさらに膨らみました。

【BINO完成・ファーストライト】

・CAPRI鏡筒はブルーのアクセントカラーが印象的な美しい鏡筒ですが写真①のように BINOにするとさらに美しい姿の双眼望遠鏡になりました。

・星像のファーストライトは、遠征仲間(気ままに星空観望仲間)の観望会となりました。  写真②は観望会当日のものです。BINO完成以来、遠征にはBINOと38cmドブを  車載し、それぞれの対象に合わせて楽しむという、とても贅沢な観望を楽しんでおります。

・いよいよファーストライトです。星像は極めてシャープ、かつ双眼の効果で臨場感あふ  れる見事な光景が視野いっぱいに広がります。2重星団、M46/M47、プレアデスなどは多 くの天文仲間からも絶賛でした。集光力では38cmドブには及びませんが、星像のシャープ さはさすがアポクロマートです。微光星までカチッと見えます。また明るさについて は単眼の2倍ではなく、数倍の明るさに感じます。10cm×2本の計算上の口径面積は14.4 cmに相当しますが感覚的には口径20cmかそれ以上の明るさに感じます。さらに倍率も双眼視 の効果により、単眼よりも大きく見えます。目の専門家のマツモトさんによれば、両目 で見ることで解像力が上がるため、大きく見えるように感じるとのことです。

【双眼用アイピース類】

・もともと双眼装置ユーザーであったので31.7mmサイズの広視界アイピースはペアで所有  しておりました。写真④がCAPRI-BINOに使用する見掛け視界80度以上のアイピース郡です。 高倍率にはJAPANOPTIK製の×2.8バローレンズを使用します。

・これらのラインアップで下のように倍率、実視界を対象に合わせて自在に選択できます。  アイピース   見かけ視界    倍率    実視界  射出瞳径

 EWV-32mm     85度     22倍    3.81度   4.6mm
 WS-20mm       84度     36倍    2.35度   2.9mm
  NA-17mm      82度     42倍    1.95度   2.4mm
  WS-16mm      84度     45倍    1.84度   2.3mm
  NA-13mm      82度     55倍    1.49度   1.9mm
  UWA-8.8mm     82度     81倍    1.01度   1.3mm
  WS-20×2.8     84度     100倍    0.84度   1.0mm
  WS-16×2.8     84度     125倍    0.67度   0.8mm
  NA-13mm×2.8   82度     154倍    0.53度   0.7mm
  UWA-8.8mm×2.8  82度     227倍    0.36度   0.4mm 

・アイピース交換時の重量バランスについてですが、HF経緯台のフリクションねじの調  整で多少のバランス変化でもフリーストップとはなりますが、高倍率ではバックラッシ ュが気になります。締め付けがきついと耳軸部の樹脂シートの微小な変形により発生す るのでは?と考えてます。そこで最も重いNA17mm装着時がデフォルトになるよう、鏡筒 バンド位置を決め、他のアイピースではウエイトをBINOのハンドルに引っ掛けます。  これにより、フリクションねじをかなり緩めた状態でバックラッシュがほとんどなくフリーストップ を達成しました。

【観望インプレッション】

・月: 球体であることを強く感じます。また雲の流れが月面を通過する時などは、遠近感に溢れ、立体的な光景が楽しめます。また200倍を超える倍率で月のエッジをみても、 色収差はほとんど感じません。ED2枚玉とはいえ、大変パファーマンスの高い鏡筒です。

・M46/M47: EWV-32mm(22倍)でM47の北にある散開星団NGC2423も同じ視界に入ります。  各々の散開星団の特徴が同時に見え、賑やかで面白い光景です。

・ホームズ彗星: 立体感、透明感に溢れ、まさに宇宙を漂う「水クラゲ」のようでした。

・M42: NAー17mm(42倍)で小三ツ星の全景とトラペジウムもキッチリ見えます。この倍率  で射出瞳径2.4mm、バックグランドも暗くなり、オリオン大星雲も浮かび上がります。

・土星: 高倍率の対象ですが、当日のシンチレーションに合わせ倍率、×154、×227を  選択します。227倍においても十分シャープな星像です。  これ以上の倍率はまだ試してませんが300倍程度なら実用域かもしれません。  高倍率時は追尾と合焦操作などで機材に触れると振動がやや気になりますが、この振動 は数秒で収まります。真っ暗なバックグランドにシャープな土星が浮かんでます。  コントラストも高く、本体の縞も良く見え、そして本体が球形であることを感じます。

・ばら星雲: さらにEWV-32両眼にナローバンドフィルターの装着で、ドブでは部分しか見 ることのできなかった「ばら星雲」の全景を見ることができました。
 実は同じフィルターを2個持っていませんので、左右で若干異なるフィルターを装着して みました。 NBN-PV(IDAS)とスーパーネビュラフィルター(笠井)ですが、片目ずつ覗い てみるとフィルターによるコントラストの差はわかるのですが、両目で見た時は違和感  は全くありません。恐らく左右の明るさ、色などの若干の違いならば人間の脳内で合成 してひとつの映像として感じているのでしょうね。  この現象を応用すると、例えば、UHCとOⅢとを左右に装着し、微光星の輝きを損ねるこ となく星雲のコントラストを上げる。あるいはOⅢとHβの組み合わせで難物とされる対 象をより美しく見ることができる。このような期待ができるかもしれません。  今後のチャレンジ課題です。

・おとめ座銀河団: 実視界3.8度が確保でき、口径10cmとは思えないぐらい、多数の銀河を はっきりと確認できます。

・M81/M82のペア: BINO;42倍(NA-17)、38cmドブ;59倍(EWV-32)で比較してみました。  10cmBINOは大口径に決して見劣りしません。コントラストはBINOに軍配があがります。  (瞳径の差によるコントラストの向上の影響もあるのでしょう)

【今後の期待】

 昨年12月に完成し、まだ2ヶ月弱の稼動ですが、夏の天の川やその中の暗黒星雲、網状星 雲の全景など今から楽しみです。

【最後に】

 以上、大変長々と書き綴ってしまいました。BINO自慢ばかりでお聞き苦しい点が多々ありま したがご容赦ください。BINOの購入、製作を計画されている方やBINOユーザーの方に少しでも 参考になれば幸甚です。

おおた
奈良県

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

『おおたさん』より、CAPRI-102ED-BINOの詳細なリポートをいただきました。  おおたさんには、CAPRI-102ED鏡筒の入荷時と、BINOの完成時(お引取り)の2回、ご訪問いただきましたが、 やはり直接お会いすることで、仕様の打ち合わせばかりでなく、より多い情報をお伝え出来たような気が しています。(百聞は一見にしかずの諺が当てはまります。)

 「長文なので編集して良い・・」とおっしゃっていましたが、有用な情報ばかりですので、 写真を含め、全文を掲載させていただきました。これからBINOを検討される方にとっても、すでにBINOの ユーザーとなられている方にとっても大変有意義なリポートだと思います。

 10年ほど前より大口径(15cm)アクロマートがアマチュアの射程に入って以来、Deep-Sky用の大口径 BINOブームが続いているわけですが、最近になって中小口径のアポ鏡筒の価格的なハードルも下がり、いよいよアポ鏡筒BINO の時代の到来の兆しが見え始めました。

 おおたさんのBINO用アイピースのフルラインナップには感心いたしましたが、左右異種のネビュラーフィルターを試された 研究心にも注目しました。私たちの眼は、左右の像の大きさの違いには極めて不寛容で、ストレスの原因と なるのですが、左右眼の視野の色の違いには極めて寛大です。試しに肉眼で白い壁等を見ながら左右の眼による壁の白色 を比較すると、大抵の場合、色調が大きく異なることを発見して驚かれることと思います。 おおたさんが提案された 左右異種のフィルターを使用することの効果については、今後多方面で検証が進むことを期待しています。

 鏡筒が高級になるに従って、架台が課題になって行くのは、もとより承知しておりました。 ナイロンブッシュ式の耳軸は、中低倍では極めて有効であるものの、高倍率では使いにくいようです。アポ鏡筒仕様の BINOユーザーの方のために真鍮製の耳軸を用意しましたので、今後希望される方はご用命ください。ただし、真鍮耳軸に しますと、バランスの変化に敏感になりますので、その対策も必要です。(2009年4月10日追記: その後の検証で、低倍に於いても真鍮耳軸で問題ないことが判明し、現在では全面的に 真鍮耳軸に移行しました。)

 おおたさん、この度は記念すべきリポートをありがとうございました。 また、お名前は分かりませんが、 おおたさんをこの世界に導いてくださったSKY90-BINO、12cmF5BINO、FS-102-BINOのそれぞれのユーザーの方々にも 深くお礼申し上げます。

NP127-BINO(自作)(2007年11月25日)

かねてより計画中であった松本式EMSを使用した屈折双眼望遠鏡が完成したのでご報告いたします。

 最初の始まりは松本式NP101双眼望遠鏡でした。この機種で完全に屈折双眼望遠鏡の素晴らしい魅力にとりつかれ、 無謀にも大口径化へと進んでしまいました。
 まずは鏡筒選択です。中・低倍率で広視野を楽しむことを重点に鏡筒を選びました。結果、鏡筒はNP127 (660mm口径比5.2) に決定です。TOA130や現在単眼で使用しているTEC140などと随分悩みましたが、小さく軽いこと(1本7Kg弱)と焦点距離が決め手 でした。31.7mmサイズのアイピース(パンオプティック24mm)でさえ33倍2.3度の視野が取れます。
 鏡筒は固定式として目幅調整は松本式EMSヘリコイド式を使用、また筒外焦点距離の調整のために接眼部をフェザータッチ フォカッサーに変更しています。ヘリコイド式EMSの使用がこれほどよいとは思いませんでした(以前のNP101双眼は鏡筒平行移動 式でした)。ヘリコイドの質感は最高ではありませんが、現在望み得る一番良いシステムではないでしょうか。松本式EMSの発明で 私のようなアマチュアに双眼望遠鏡の道が開けたのだと思います。
 架台はフォーク式経緯台でTG-Lのフォークアームを2本と水平回転軸を流用し手元にあったビクセンのピラー脚使用にしまし た。ノブスターを利用し工具無しで簡単に組み立てができます。架台は鏡筒が小型(通常の10cmより少し大きい程度)であるため にフォークアームの間隔も狭く作製することができて十分な剛性を確保することもできました。とにかく小さいことは重要な性能 の一つだと思います。
 仰角はおよそ85度です。ベースプレートの一部を切り込んで鏡筒との干渉を避けています。フォークアームを寝かせればよい のですが、その工作精度に自信がなかったこととベースプレートとフォークアームの固定ネジの強化をしていないので垂直で妥協し た結果です。もともと経緯台では天頂が特異点になるのでそれほど気にはなりません。
 バランスシステムはハンドルを利用してロスマンディーのバランスシステムを流用しています。これは垂直方向のバランスも 取れるのでなかなかよいシステムです。本当はハンドルをもっと長くして鏡筒の保護にも利用したかったのですが、工作機械の大き さの制限があり予定より短くなっています。架台の塗装はマークエックスブルーにするつもりでしたが、実際に見せてもらったペン タックスMS-3Nのグリーンに心を奪われ、外注でペンタックスグリーンに塗っていただきました。鏡筒と組み上がった姿はかなりフ ォトジェニックです。
 ファインダーはテレビューのスタービームと宮内の5cm正立ファインダーを使用しています。たまたま持っていただけで特に 選択の理由はありません。  自動導入は必要ありませんが惑星をじっくり観る場合に自動追尾が欲しくなります。完全なるフリーストップと自動追尾の両立 を可能とするシステムが理想・・・ですが、これについてはまだ具体的にアイディアがまとまりません。実現はまだまだ先になり そうです。私自身は30分も追尾してもらえば十分なのですが・・・。
 アイピースについてはまだ決定していません。
通常は1.25インチサイズアイピースのテレビュー パンオプティック/24mm(27.5倍2.3度@瞳径4.6mm)、ナグラータイプ5/16mm( 41.3倍1.9度@瞳径3.1mm)の使用頻度が高いようですが、最近はテレビュー イーソス13mm(50.8倍1.9度@瞳径2.5mm)がデフォ ルトになっています。さらに広視野を望む場合はパンオプティック27mm(22.4倍2.6度@瞳径5.2mm)を使うことが多いようです。 アイピースとの組み合わせでは4度弱も視野も可能ですが、星像の美しさや視野のコントラストを考慮すると上記のようになりまし た。中・高倍率は経緯台なので必然的に広視野が得られるアイピースになります。高倍率は双眼効果?で132倍程度でかなり満足し ています。
 星空の下での報告です。アイピースの選択はイーソス13mm(50.8倍1.9度@瞳径2.5mm)です。この組み合わせでは視野のほと んど端まで星が「点」です。歪曲収差は非常に少なく、フリーストップで視野を動かしても違和感がありません。中心部のコントラ ストも十分高いようです。超広視野と双眼効果でそのまま肉眼で見ているような錯覚に捉えられます。アイレリーフは15mmでアイポ イントがややシビアですが、双眼なので目の位置はほぼ固定されるためか(しかも星空の背景は黒い)ブラックアウトもそれほど気 にならず、何ら問題はありません。ただ、どうしてもアイレンズと眼球の距離が短くなるのでアイレンズが曇りやすくなります (興奮しているためでもあります)。架台の強度も十分でしかも非常にスムース、おかげで余計なことに気を回さず星空に浸るこ とが出来ます。
 M31では伴星雲が浮遊している感じがします。この浮遊感は初めての経験でした。M42ではトラペジウムがあれだけはっきり 離れて見えるのに視野内に小三つ星が入っています。プレアデスも星がゴチャッとではなく離れた感じで全部視野内に入ります。 二重星団も十分離れているのに同一視野です。しかも中心部では擬似立体感を味わうことが出来ます。M13は背景?の星野に周辺が 星に十分に分離した状態で浮かんでいます。M57も然り。これらは初めての経験でした。
 なにぶん高価な機材であり、またほとんど工作経験のない状態での制作でした。架台のアイディアを頂いた井上さんをはじめ として鏡筒の入手に尽力していただいた吉田さん、奈良部さんや三野輪さん、服部さん、野木さんらのアドバイスやご協力が無けれ ば完成まではいたらなかったと思います。 もちろん松本さんのEMSが存在したからこそ実現できたシステムであります。この場をか りまして厚く御礼申し上げます。
 最期に素晴らしい星空双眼視の世界を我々アマチュアにもたらしてくださった松本さんに再度感謝したいと思います。
by Mr. Kuroki Yoshifumi

Comment by Matsumoto / 管理者のコメント;
 この度、黒木さんよりNP127-BINOご自作のリポートをいただき、まずはこのBINOの美しい外観にしばし見入りました。  鏡筒からfocuser、EMS、バランサーシステム、架台、ポールと、見事にコーディネイトされています。  『機能的に優れたメカは見た目も美しい。』というのが私の信念ですが、このBINOはまさにそれを主張 しているようです。
 バックフォーカスを稼ぐためのフェザータッチフォーカサーの使用は、Tsujiさんのsky90-BINOと同じ方法 ですが、これは、鏡筒のorijinalの状態をキープできる良い方法だと思います。 純粋に特定のブランドで統一 することに拘る方もあるでしょうが、各部で優れたパーツを集結させれば、結果として新たな統一感が出て来るものだと 思います。
 イーソス13mmの使用で、このBINOシステムの完成度の高さをさらに駄目押ししています。 さらりと実視界を書いておられますが、 これが今話題の見かけ視界100度のアイピースですね。先日のサミットでも、数名の方が単体の同アイピースをチェックしながら 驚嘆の声を上げていました。「100度は無駄に広い視野じゃない!」と異口同音に言っておられたのが印象に残っています。(残念ながら 私は隣の方で150LD-BINOでのDEEP-SKYに酔っていましたので、このアイピースを覗くチャンスを逃しました。)
 一昔前とは、自作の方法も変わって来たと思います。ゼロから製作することに拘る方も未だにおられるかも 分かりませんが、優れたパーツが以前よりも買いやすくなって来たことを考えると、パーツは極力市販の優秀な物から選ぶのが 賢い方法だと思います。 自作の楽しみが無くなったのではなく、優れた完成パーツの選択肢が増えたわけで、わざわざ そられのパーツ自体を自作するメリットがなくなったということです。市販パーツをうまく利用しながら、ここぞという 部分で自前加工をすれば良いのです。
 タカハシの片持ちフォークを2個使用したフォークは、その発想はもとより、機能的にも素晴らしい物であることが 分かります。 現在の所、当方では架台の製作までは手が回らず、VIXENのHF経緯台をほぼそのまま使用していますが、黒木 さん製作の架台を見ると、それが恥ずかしくなります。
 また、わずかに天頂を諦められたのも賢い trade-off だったと思います。  先日のサミットでもそうでしたが、EMSユーザーの方々の工夫に、私自身も大いに刺激を受け、新たな開発のエネルギーを いただいています。その意味で、私こそこの度の黒木さんのリポートにお礼申し上げます。  

「スノー」さんの ホームズ彗星観測記 (2007年11月6日)

 10月下旬になり、彗星急増光の情報が飛び込んできました。そうですホームズ彗星です。自宅では、台風一過の日の 夜半過ぎに初めて確認できました。15cmBINOで見ると、2重の丸い光芒に包まれた見たことのない光景が広がって いました。双眼による立体感も手伝って、何かの原生生物を見ているような姿でした。

 その後、晴れれば、自宅にて毎夜観望を継続しておりましたが、少しずつ大きく薄くなっていく彗星の姿に、早く遠征観望したい と言う気持ちが強くなって行きました。そして、昨晩、やっと月の影響を逃れられる週末と言うことで、奥日光まで、BINO を連れて遠征に行きました。体調が不良のため、現地滞在時間は2時間未満でしたが、彗星を堪能するには十分でした。

 BINOを設置して、早速、EWV32mmを装着して彗星を覗くと・・・驚きました。明るく丸い広がりの外に更に薄く、 寒色系の大きな広がりが見られます。自宅では、明るい中心部を濃淡のある2重の光芒が包んでいるように見えましたが、実際は 第3の光芒と言うか薄いガスのような広がりがあります。濃い光芒が白色から薄い黄色イメージに対して、 外郭の薄い光芒は淡い 青緑の色が印象的です。

 更に倍率を上げてナグラー16mmを装着すると、薄い光芒が視野一杯に広がりますので、1.5度程度の広がりはありそうです。 自宅では、BINOや20cm反射等で観望してきましたが、このような広がりは確認できませんでした。ちなみに、奥日光でも 小型の双眼鏡では確認できませんでした。実際、この外の広がりは相当薄く、BINOの片側だけで見ると(単眼では)、見落とし そうな淡さです。また、16mm装着時は更に淡くなり、色は感じなくなりました。

 さて、濃い光芒の部分は、もっと倍率を上げられそうですので、ミードUW8.8mm、4.7mmと使用し、倍率を約85~16 0倍まで使って観察して見ました。核周辺の光芒で、核の後ろの濃淡や、第2の光芒の上部の噴出す雰囲気が微かに認められます。 この詳細な感じは、数日前に大口径ドブで見せて頂いた光景と良く似ています。恐らく、一度明瞭に観察させて頂いたおかげで、 昨晩は微かに見えたのだと思います。もちろん、暗く透明度の高い空に恵まれ、BINOの高コントラストに助けられたことは間 違いないでしょう。そして全体的な球状の姿は、双眼による立体感で、まるで彗星帝国が地球に向かってくるような光景です (歳がバレル・・・)。

 昨晩は、短時間でしたので、ホームズ彗星を中心に、合間にメジャーな星雲星団を流す形の観望となりました。この時期は、 透明度の高い空の下で、網状等の夏の対象から、オリオン大星雲と言った冬の天体まで楽しめます。特に空が澄んでいるだけに、 BINOによる天の川流しには最高のシーズンです。そこに、これまでの彗星と様相が異なるホームズ彗星が輝いています。日々、 その姿も変化している上に、暗い空で初めて見えてくるものがあります。これからも可能な限り暗い空にBINOを持ち出し、 ホームズ彗星観望を継続したいですね。もちろん、明るい自宅でも。。。(スノー)

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;
 久しぶりにスノーさんより観測リポートをいただきました。 初期の12cmF5-BINO以来、ずっとmotivationを失われる ことなくEMS-BINOを活用してくださって、大変嬉しく思います。 私の方はまだ同彗星を見ていませんが、BINOの納期を 待ってくださっている方々のことを思いますと、それどころではございません。^^;