100mm barrels and adapters:100φバレルとスリーブ

The right group is 100mm barrels, and the left is adapters for 3.5inch feather-touch focuser.

 このくらいの大きさの部品の削り出しはかなり大変です。大型EMSハウジング用の100φバレル(右のグループ)と、3.5インチ・フェザータッチフォーカサー用のエンドアダプターです。(20cm-BINO(海外)と国内のreform用です。当たり前ながら、2名分のBINOの雄雌のアダプターですので、合計8個ものパーツになります。アルマイトの都合があるので、まとめて加工する必要があるのです。)

 もともと、こういう作業を少しでも省く意味も込めて、EMSハウジングの合理化を図って来たわけで、今回の大型ハウジングのためにアダプターの製作に苦労しているのは皮肉ですが、これが過渡期というものです。EMSを最初に開発した時点では、2インチ規格自体が全く浸透しておらず、36.4mmのネジ込みが最大接続径の主流でした。 国内の老舗望遠鏡メーカーが2インチ差込スリーブを標準にしたのはごく最近のことです。



EMS-Ultima set for the 20cmApo-BINO near completion:20cm-BINO用のEMSセット完成間近

Preliminary assembly of the EMS set for the 20cm-BINO. Note the filter charger box located between IPD Crayford and the eye-side EMS unit.

 20cm-BINO用のEMSセットの主要部分を仮組みしてみました。新規開発の大型ハウジングの意義が写真からお分かりでしょうか。一昨年製作のEMS-Hugeの9割くらいの光学的キャパを持ったシステムですが、驚くほど軽量コンパクトになりました。



90mm barrel of the 150LD-BINO:150LD-BINO用のEMSのバレル

New larger EMS housing is made flexible to meet the needs of various barrels.The barrel is usually attached to the housing by 6 screws at its end face, but this time, the 90mm barrel is connected by the screw around the end.

 新規開発の大型EMSハウジングは、接続に関して、あらゆる方法に対応できるようになっています。通常は端面の6箇所のネジでフランジ部品(具体的にはバレルのツバ)を固定する(標準のEMSハウジングと同じ)のですが、このように、バレルをねじ込み式で接続することも可能です。 バレル径や、光路長の節約等の都合により、その都度最適な方法を選択します。(写真は90φバレル)

 難産でしたが、150LD-BINOの中軸架台セット用の鏡筒運搬具が完成しました。これで鏡筒の着脱が非常に楽になりましたが、ちょっとした使い方のコツ(手順)を覚えていただく必要があります。説明写真の撮影に助手が要るので、後日お見せします。(150LD-BINOは完成間近です。今しばらくお待ちください。)



Accelerating the progress:進捗が加速して来ました。

The first lot of painting of large EMS housings is completed today.The first lot of silver vacuum deposition is to be done in this week.Please be patient for a while to see the finished full system.

 大型EMSハウジングの初期ロット分の塗装が完了しました。銀コートの初期ロットも今週中には完了する予定です。なかなか形が見えて来ませんが、着々と準備は進んでおり、進捗も加速していますので、もうしばらくお待ちください。



4inch focusers for the 150LD-BINO:150LD-BINO用の4インチフォーカサー

I am not enjoing making focusers. There are situations that I must make a low-profiled focuser to squeeze out the additional back-focus, or to enhance the mechanical rigidity, or to make the most of the inner space for rich-field without vignetting.

 今回の150LD-BINOは、メインフォーカサーを省いて大型EMSハウジング(第一ミラーユニット)を直結し、アイフォーカサーを使用する予定でしたが、依頼者の方が2インチバローの使用を希望されたため、合焦ストロークの延長に腐心しました。 いろいろ悩み抜いた挙句、やはり大径のロープロファイルのメインフォーカサーを製作して、これを使用することにしました。

 新仕様を採用する場合は、現場のどたんばで計画を変更するのは日常的なことですが、依頼者の方の不安を煽るばかりなので、逐一報告はしません。 ただ、日数が経過すると、あたかも作業を中断しているように見えるのが辛いところです。

 写真のフォーカサーは、ドローチューブの外径=100㎜(外筒径=130mm)で、差込径=90㎜、大型のEMSハウジングにはこのくらいは欲しいです。 望遠鏡業界も世界ではようやく高級鏡筒に大径のフォーカサーを使用するようになり、今後は私のこうした苦労も減るものと思っています。

 新型の大型ハウジングはすでに20個ほどを塗装工程に送っています。



12cmF5-BINO

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 さて、去る7月11日に、12cmF5BINOを受け取りにお店にお邪魔して以来、天候不順と月明かり のせいで、なかなかBINOをまともに振り回せず悶々としていました。 が、ようやく高気圧の張り出し域に スッポリと覆われて、先週8月15日に、自宅から比較的アクセスしやすい南房総の山中へ遠征してきま した。

 本当に待ちに待った日です。目的地への道中、お盆中でもあり帰省や行楽の渋滞も覚悟していまし たが、以外やスムースに流れました。夜行性の趣味にもメリットはあるようです。海ほたる方面の東京圏 の大光害域を背に南下してゆくと、右手にさそりのS字が傾きかけています。急がねば。しかし、後部シ ートには主役のBINOを寝かせているので、レーサー気分でつづら折れの山道を駆け上がるわけにはいきま せん。ここは、はやる気持ちを抑えて、粛々と歩を進めます。

 開放した車窓からは昼間の暑さは影を潜め、どこはかとなく秋の気配が忍び寄ります。到着するやいなや車から飛び出し空を見上げると、満天の星空 を天の川がサラサラと流れています。思わずこの地の山ノ神に手を合わせてお礼をつぶやきました。この 星見場は稜線づたいを通る林道の待避所的な平場で、昨年より時折足を運びます。
 首都圏の光害の影響はかなりありますが、 朝、晴れると浦賀水道、三浦半島越しに秀峰富士が拝め、地理的な開発の困難さが、 周囲の自然を色濃く残しています。また、江戸時代の南総里美八犬伝のゆかりの地でもあります。さらに 安房という名は、神武天皇の御世に四国阿波から派生したもので、古代史を紐解いてゆくと、宇宙の成り立 ちまで到るそうです。かの地、鳥取で産声をあげたBINOに、星空を案内してもらうのにふさわしい、氣の 良い土地です。

 わくわくしながらも、あっけなくBINOを組上げ、光軸と眼幅を微調整。鼻歌交じりで誰で もいたって簡単。眼幅調整のクレイフォードのつまみをゆっくりと廻し、左右の視野円が合致したその時、 単眼時代の観望スタイルは粉々に砕け散りました。
 もちろん、双眼鏡での星空散歩は好きでした。何とい いましょうか、倍率による迫力、視野全体の透明感、迫力は50ccの原付スクーターとナナハンぐらいの 違いがあります。透明感は、車を運転中、雨がフロントガラスを濡らし始めたときと、ワイパーでさっと 拭い去った直後ぐらいの違いがあります。一般的な7倍50mmなどのスペックを持つ双眼鏡でさえこの 差ですから、単眼の望遠鏡ではいわずもがなです。誇大広告と公正取引委員会から怒られそうですが、数字 には現われない体感のインパクトに偽りはありません。こうなると、空の何処に眼を向けても、大満足 です。

 かつて、マクルーハンという学者が 「Media is message] なる言葉をメディア界に投げかけまし た。これは、個々人が情報をどのように解釈するかは、その内容よりも伝えるメディアそのものに大きく 影響を受ける。というものだったと記憶します。BINOにはメディア進化の可能性が大いにありますよ。 今、林の輪郭にアンタレスとM4が沈みかけています。急ぎ向けてみます。ターゲットを導入する際の操作 性、安定感、全体のバランス、どれも申し分なしです。長く付き合う道具とは、かくありたいものです。

 WS30mm 20倍 4゜強、M4が中心近くまで星々に分離されています。妖光を放つアンタレスと同一視野で の光景は絶品です。ここから、銀河に沿ってゆっくりと散策してゆきましょう。ファインダーは要りま せん。ただ、行きたいほうへ向ければよいのです。大抵、一つや二つ小さい散開星団や散光星雲が視野に ちりばめられています。背景には微光星の海原が拡がります。時折、有名どころの星雲星団に立ち寄る 際、視野の端で捉えてから中心へといざなうこのひと時がたまらずスリリングです。静止像は勿論の事、 視線を流している最中の動きのある光景も魅力です。このような感覚、楽しみは単眼では気づきません でした。旅人が旅のプロセスにこそ重きを置くような感覚です。

 夢中で操作ハンドルを握り締め ていると、あっという間に時間は過ぎ、天頂付近を飛翔する白鳥付近が視野に入ってきました。 この位置でもBINOの見易さにかげりは一切ありません。夥しい数の星の海をかきわけて、網状レムナント のある辺りへと進行します。もう、何も言えましぇん。一度、他人の30cmドブソニアンにOⅢ フィルターを通してハの字の東側のアップを見せていただき、いたく感動したこともありました。
 今、眼前に広がる漆黒の背景には、ハの字の両方がその独特な形状と濃淡をあらわに鎮座しています。 ノーフィルターです。何故か深呼吸をせずにはいられません。 ...。夜も更け東の空には雲越しに 下弦の月が山肌を照らし始めています。足早に、ケフェウス、カシオペア、ペルセウスと天の川を辿ること にします。低空の層雲が空を覆ってきました。足元ではコオロギが遠慮気味に独唱しています。残念ながら お開きのようです。

 そうそう、ボーグの60EDで夏の散光星雲を撮る予定でしたが、それどころではあり ませんでした。
 松本さん、この上ない素敵な道具をこの世に生み出していただき、ありがとうございました。 良い道具には、優れたデザインや高い機能性、利便性などの土台に、製作者の高次の志が脈々と息づい ています。利益最優先の大量生産により日常生活に流布する、さまざまな工業製品や農産物等々にもこう した高い志の復権が欲しいものです。
 今後もご健勝でわれわれ星見人を刺激し続けてください。私も 微力ながら、一人でも多くの人にこのBINOで宇宙の美しさを紹介できたらと思い、ペンを 置きます。

              サルスベリの紅白の花が満開の頃      玉川
管理者のコメント;

 製作者冥利に尽きるリポートをいただきました。今までにいただいている数々の リポートもそれぞれに個性があって素晴らしいものばかりですが、久しぶりに感性にストレート に浸透するリポートに出会った気がいたします。

 単体の屈折式天体望遠鏡のランク表記に、(単レンズはもうあり得ませんね)アクロマート、 セミアポクロマート、2枚玉アポクロマート、3枚玉アポクロマートと、かなりのバリエーション があるわけですが、EMS-BINOの真価は、そういうランクの比較の次元の外にあるということを、 玉川さんが非常に分かりやすく説明してくださいました。

 もちろん、素材鏡筒を選べば、さらに素晴らしいことは事実ですが、決定的な部分はEMSが持つ 基本原理のシンプルさによる勝利に他ならないという事実が、昨今の鏡筒の高級指向の陰でかすんでしま うことに少々の危機感を持っておりましたので、この度は非常に良いタイミングで、私たちが原点を 見失わないように一喝いただいた気がするわけです。

 玉川さんの初対面の印象は、”天文マニア”のステレオタイプからはほど遠い、スポーツマン 的な立派な体躯の持ち主だったことですが、もっと忘れられないのが、『合理的な命や道具の裏には シンプルな数学の定理が隠されている。』という信念を深く共有する方だったことです。
 私の拙文である、『人類の至宝』もよくお読みくださっていて、玉川さんはその日、大変興味深い、 フィボナッチ数列(曲線)の話をしてくださり、一緒に大いに盛り上がりました。 5億年を生き抜いたオウム貝の巻き線等がこの曲線と合致するのだそうで、長年繁栄して来た合理的 な命や使い道具には、合理的でシンプルな数学の定理が隠されているということを再確認した思いでした。 (EMSの種明かし)

 ただ、数年前、箱型のEMS-Sユーザーの方が同新型を追加購入された際( その方はネットをしない方で新型の画像を見ていなかった)、「今度はサザエみないな奇妙な形だ・・・」 と不評だったことも印象に残っています。^^;この、サザエの形^^;を具現するために数百万円の投資をし た意義は、この方には理解できなかったわけです。
 ですから尚更、信念を心底共有できる方との出会いは貴重であり、何物にも替え難いわけです。

 蛇足を重ねて、せっかくの素晴らしいリポートを spoil してはなりませんので、ここらで締めくくります。

 また、追加リポートを楽しみにしております。



Almost finished tube assembly of the 20cmF9-Apo-BINO:20cmF9-Apo-BINO の本体

Here comes the photo of tube assembly of the 20cmF9-Apo-BINO.The F number and the fine structure of it eloquently tell the client’s seriousness in getting the utmost planetary and binary performance. I must hurry in finishing the ultimate EMS that will match his desire.

 ヨーロッパの依頼者(名前も国籍も非公開を希望)より、完成間近の20cmアポBINOの鏡体の写真が届きました。星像と明るさを徹底的に追求されることから、この方もEMS-Ultimateを希望されています。

 この方とは、互いに外国語である英文で膨大な量の情報を交換していますが、同邦人以上に打てば響くことは、単なる語学力以外の要素もあるようです。F9にしては贅沢なくらいに大きな第一ミラーは、銀コートと相俟って、低倍時の周辺光量を最大限に確保したいという依頼者の意気込みによります。 続けて作る60cmBINO(カセ)用の接眼部の試金石となるEMSなので、心して仕上げないといけません。



TMB130-BINO

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 マツモトさんに製作を依頼したTMB130-Bino(シグニチャーシリーズ口径130mm/F7アポクロマート 鏡筒)が 7月に完成し、やっと星空を見る機会に恵まれました。 そこで、導入の経緯と観望しての印象について、報告させていただきます。

1 導入の経緯

 仲間が持っていたSky90-BINOで見せてもらったのが、Binoとの最初の出会いです。そのときに 見せてもらったM31が、はるか遠くにあるはずなのに、手前に浮き上がっているように見え、その不 思議な光景がずっと頭から離れませんでした。そこで、どうしてもBinoが欲しくなり4年前にマツ モトさんから12cmBinoを購入しました。

 Binoで星空を見ていると、時を忘れてしまいます。 仲間に見せると、だれもがじっと見入ってしまいます。そして、Binoを見て感動した仲間が、次々 とBinoを購入しました。FS102・CAPRI-102ED・ZS110と気がつくと購入した人はみなアポ鏡筒でし た。低倍率で見る限り12cmBinoで見る星空は決して10cmクラスのアポBinoに負けていません。 それどころか、淡い星雲は12cmの方がよく見えました。しかし、アポBinoで見る星像はシャープで すし、月や惑星の周りには全く色がつきません。もう少し大きい口径のアポで見たら、どんなにすばら しいかと思うとアポBinoが欲しくなり、その気持ちを抑えることができなくなってしまいました。

 アポ鏡筒をBinoにするために、まず考えたことは口径と重さでした。口径は12cmよりも大きく、 重さは21kgを超えないことが条件でした。TOA130Sを所有しておりましたので、これでBinoを作って もらおうかとも思いましたが、片方だけで10.5kgもあり、完成すれば21kgを超えることが予想されます。 また、150LD-Binoを使っておられる方々のレポートを読ませてもらうと、とても大きくて私には無理だ と思いました。TOAをBinoにすることはあきらめました。

 そんなある日、TMBシグニチャーシリーズ口径130mm/F7アポクロマート鏡筒が中古で出ているのを見て、 大きさといい、重さといい、Binoにするにはもってこいだと思い、すぐに購入しました。しかし、 もう一本同じものがなければBinoはできません。そこで、私が所有している機材をすべて手放して 新品をもう一本買うことにしました。当然、TOA130も手放すつもりでしたが、仲間から思い留まるよう に言われ、この鏡筒だけは手元に置いておくことにしました。30cmドブも28cmシュミカセも惜しいとは 思いましたが、両目で見る宇宙の魅力には勝てませんでした。

 さて、国際光器さんにもう一本注文してから3か月が経ち、やっと2本揃いました。そして、最初の TMBを購入してから待つこと4ヶ月。やっと待望のTMB13cmBinoが手に入りました。

2 観望の印象

  Binoの取り扱いは慣れているつもりでも、今回のBinoは12cmのときとはその構造が違うた め、マツモトさんに直接お会いして、調整の仕方を教えていただくことにしました。
  マツモトさんには丁寧で分かりやすく説明していただき、そのおかげでファーストライトの折は何 も心配することなく、扱うことができました。ただ、どのBinoでもそうですが、アイピースを交換 するたびに、EMS調整ノブで光軸を補正しなくてはいけないのがちょっと面倒ではあります。

 今年の夏は、天候に恵まれず、せっかく出来上がったのに覗く機会が無くてイライラしていまし た。先月の終わりに一か八かでいつも行くG村へ行ってみました。
 すると、上弦の月が雲間から見えてい ました。逸る心を抑えつつ、筒を月に向けました。月の周りには全く色がついていません。クレーター のエッジも立っています。ときどき、月の前を雲が流れていくのですが、これがまたすばらしい眺めで した。明らかに12cmBinoとは違います。TOAに双眼装置を付けて見たのとも違います。明るさと いい、シャープさといい“アポクロマート双眼望遠鏡”で見る月はすばらしかったです。
 次に、上って たばかりの木星を見てみました。笠井のバローレンズ(2インチマルチショートバロー2X;マツモト短 縮改造1.75×)を取り付けイーソス8mmで約200倍で見ました。12cmとは1cmしか口径が違わな のに、とても眩しいのには驚きました。そして、模様が濃いのにも感動しました。色はニュートン反 射(15cmF9・鏡は足立製で38年前に自作)で見たのと同じで、とても綺麗でした。ピントを合 わせるときは振動がありますが、それもすぐに収まり、見かけ視界100度の中でじっくりと見ること ができました。これなら、赤道儀でなくても十分観望することができます。その他に雲間からM13を 見ました。これも12cmよりもはっきりと見ることができ、端まで星が分離して見えました。

 その後もG村へ持っては行くのですが、いつも曇りでなかなか見られませんでした。しかし、16日の 夜は運よく一時間程度見ることができました。 我慢強く晴れるのを待っておりますと、願いが叶ったの か、東の空から晴れ始めてきました。さっそく、M31、M33、hχ、M15といった秋のメジャーどころを観 しました。M31は何度見てもすばらしい眺めです。腕がどこまで伸びているのか、残念ながらコンディシ ョンが悪く確認はできませんでしたが、視野いっぱいに広がるその姿は圧巻です。また、hχも息を呑む 美しさでしばし見とれてしまいました。
 そのうちに、雲がとれはじめ夏の星も見えてきましたので、 M13、M57、M27とたてつづけに見ることができました。ただ、すぐにまた雲が出てきて、しばし休戦。 再び、雲がきれてきたところでもう一度、秋の空を流していると、今度は濃い霧が立ち込めてきて、 全く辺りが見えなくなってしまいました。さすがに、今度はいつ晴れるか分からないので、帰宅する ことになりました。まだ消化不良ですが、とりあえずご報告させていただきました。

 最後に、今、国際光器さんの松本さんにビクセンのジュラポール三脚(ニューアトラクス赤道儀 2000PC用)にHF経緯台を取り付けるアダプターを作っていただいております。これが完成す ると、もっと安定して見ることができるのではないかと期待しております。

                    星好き先生
管理者のコメント;

”星好き先生”は、今回も奥さまとご一緒に、出来上がったBINOとの対面に わざわざ遠路をお越しくださいました。

 前回、12cmF5-BINOにご対面いただいてから早4年とは、月日の早さに驚かされます。 前回は奥さまが、闘病中だった犬のクーに優しく声をかけてくださったのが印象に残っています。 星好き先生には、12cmF5-BINOをしっかりと稼動させてくださり、多くの方にEMS-BINO入門の きっかけを与えていただき、さらにまたこの度、ハイエンドのBINOを作らせていただいたことに、深く 感謝しております。

 このTMB(Signature)130と、すでに販売中止になっている150LD鏡筒辺りが、1体構造のBINO の重量的な限界ラインに位置するようです。 星好き先生より今回のBINO製作の依頼をお受けした 時点では、大型の中軸式の架台のアイデアがまだ煮詰まっておらず、無難なHFフォーク式でお作りしました。

 リポート本文中で、「木星の色が過去に見たニュートン反射の色・・・」と 肯定的にご評価くださり、大変光栄です。
 それは一つには、色収差が非常に少ないTMB鏡筒と プリズムを通さないEMSとのコラボレーションの結果でもあるのですが、望遠鏡やEMSを通して 見える”色”について、最近衝撃的な体験をし、EMSのさらなる向上に着手しているところでございます。



EMS parts for the 8inch Bino:20cmBINO用のEMSパーツ

EMS parts of the 8inch F9 binoscope are nearly completed.Note the large exit hole of the first mirror housing. This new hounsing is wisely casted in such a way that I can customize the exit hole. And it is also worthy of attention the light weight of it, only 162g. It is the noteworthy merit of Aluminum Die-casting that allows the minimum thickness at the maximum rigidity.

 20cmアポBINO(ヨーロッパ)用のEMSパーツです。新型の大型ハウジングは、設計に特別な工夫を凝らし、射出口が個別にカスタマイズ出来るようにしています。接続パーツの固定方法は、勘合3方セットビス止め、フランジのツバのネジ止めの他、この大型用のネジ込みの、主に3つの方法が選べます。

 今回は、接続部の内径を最大限に確保したいので、ネジ込みにしました。写真ではネジが見えませんが、P=0.75のネジを切っています。この塗装前の大型ハウジングは162gしかありません。

最小限の厚みで最大の強度が得られるのは、アルミダイカストならではです。

 フィルターBOXが目幅クレイフォードと第二ミラーユニットの間に入るのは、EMS-Hugeの時と同じです。非常に軽量なシステムが完成しそうです。



Measuring of the back-focus of TOA130 OTA:TOA130鏡筒のバックフォーカス確認

TOA130-OTA has more than enough back-focus for making an EMS-BINO. Detaching the adjusting tube yellow arrowed, it offeres about 230mm back-focus that is more than enough for forming an EMS-Binoscope.

 先日、ポールスタンドも含めて一式送って来られたTOA130鏡筒のバックフォーカスをチェックしました。結果は、50mm長のアジャストパイプ(黄色い矢印)を外せば、概算230mmのバックフォーカスが確保できることが分かりました。 これはBINOを形成するのに十分な長さです。(長過ぎることはありません。)(ただし、ここはユーザーの方が頻繁に着脱して使用することを前提にしていないようで、ネジを緩めるのに治具を作ったくらいですので、メーカーさんが受注時にユーザーのニーズに対応するためのアジャスターかと理解しました。自作等に不慣れな一般ユーザーさんの手には負えないでしょう。最初からBINOが目的の場合は、出荷時からこのアジャスターリングを撤去して送ってもらう方が良いでしょう。)

 タカハシのフォーカサーはラックピニオン式としては良く出来た方ですが、今となっては3.5~4インチのクレイフォードが主流になって来た高級鏡筒の中では、細い部類となってしまいました。フォーカサーの交換も考えましたが、EMSのバレルは必ずしもドローチューブに挿入する必要はなく、キャップ式に外から被る方式も可能ですので、今回は柔軟に対処しようと思います。



Larger EMS housings in the making:大型ハウジングの加工

Larger EMS housings are in the making. The special jig of my own making is achieving great success in processing the housings. Even though the orders of the new larger EMS housing are coming one by one, I have to make them by the gross to take account of an efficiency.That’s the great difference in my attitude from that when I was an amateur telescope maker.

 複数の、しかも困難な課題に挑戦しているため、なかなか目に見えた進捗状況をお示しできず、焦っております。製作に困難を極めた治具も整いつつあり、次第に加工も加速していますので、今しばらくお時間をくださいますよう、お願いいたします。世の中、お盆休みらしく(^^;私はお盆休みというものを知りません。)、材料の調達が止まって困りますが、着手可能な作業を続けています。

 大型ハウジングは、まだそんなに注文が来ているわけではありませんが、小規模であっても一応プロとなると、まとめて加工しないとペイしないのです。(そこがアマチュア時代との決定的な違いです。^^;)



The New Mount / 新型架台その後

設計を少し変更しました。鏡筒にセットしたままの鏡筒バンドごとのアリガタ着脱の方式には、いくつかの難点があることが分かり、鏡筒バンドは架台側に固定することにしました。 単体鏡筒のモーメント加重が予想以上に大きく、また特に前側のクランプノブ回りが対物フード等と干渉して手が入るスペースが乏しく、凍えた手でクランプ(&解除)を強く操作をすることが不可能と判断しました。 光軸の再現性の意味でも、やはり鏡筒バンドは架台に固定した方が良いようです。

架台の基礎構造自体は、予定通りの申し分のない精度剛性を達成しています。

垂直回転プレートの不要部分をトリミングしました。 前回の小型の中軸架台は搭載重心を完全に架台中心に合致させましたが、今回は大型BINO用であり、鏡筒間隔を最小限にする必要から、搭載重心を少し中心から外しました。しかし、それはわずか96mmと、鏡筒が天頂を向くための最小限にしています。(60度傾斜のHFフォークより小さいシフト量)

また、鏡筒の天地方向(鏡筒を水平に置いた時の天地方向という意味)のバランスを考慮し、垂直回転プレートの回転中心よりも6mmほど、前後のバンドの取り付け位置を下げました。(これが影響するのは鏡筒を天頂に向けた時。)これにより、EMSのフルセットや重量級のアイピースによる重心の偏りをほぼキャンセルする狙いです。

それと、当然ながら、鏡筒は丸く、太く、かつ重いので、素手で1本ずつ着脱するのは非常に危険であることが判明しました。その対策として、まず鏡筒バンドが必要以上に開かないように工夫し、万一の脱落事故の備えとする(開いたバンドが雨樋受け状態で待機する)と共に、リフト用のグリップ付きの鏡筒バンドを別に2個準備しようと思っています。鏡筒着脱時には、事前に鏡筒の前後にグリップ付きのバンドを固定し、バンドの開閉時にも常にどちらかのグリップからは絶対に手を離さないようにしていただくつもりです。

補足(8/12):皆さん当サイトを斜め読みされる傾向が強いので、念のために補足します。今回、鏡筒を1本ずつ着脱出来る仕様にしましたのは、依頼者の方のご希望によるものです。ご希望によっては組み上がったBINO鏡体ごと着脱する方式も可能です。この中軸架台の本質的な部分と、その運用方法とは全く別の問題ですので、誤解のないようにお願いします。

ただ、一方で、組み上がったBINO鏡筒をセットするのであれば、デザイン上の好み以外に、中軸架台を選択する必然性もなくなるかも分かりません。理想的には、BINO本体の完成重量が21kgを越えた辺りからは、完璧な再現性を確保した上でアリガタ等で着脱するのが理想だと思いますが、それは今後の課題とさせていただきます。

また、中軸式架台は、2本の鏡筒の間の狭い間隔に垂直回転のメカを組み入れるのがその意義であり、作る醍醐味でもあるわけですが、エンコーダを直結するため等のために、鏡筒間隔を広げてしまうようでは、その根本的な意義を失うと思っています。 先日も日記に書きましたが、最近普及し始めたGPS系の導入支援装置はエンコーダが不要であり、今後急速に高精度化、小型化されることが予想されるので、エンコーダを使わない(つまり、GPS系の導入支援装置を使う)という前提で、この前の小型の中軸架台に続き、今回の大型の中軸架台の開発に続けたわけでございます。

蛇足ですが、本分中の「グリップ付きのバンド」は、あくまで着脱時にのみ取り付ける取っ手であり、BINO自体の構造とは全く関係ありません(架台セットが終わり次第に撤去する)ので、よろしくお願いします。(さっそく誤解された方がありました。^^;)



Successful temporary assembly of the New Mount:新型架台、仮組み立て成功!!

Left photo shows the mount oriented to horizontal direction. The left front band of the coming BINO is set. The right photo shows the mount oriented to zenith. Before edge triming and anodizing.I am very happy that I confirmed the fundamental structure to be perfect as I had intended.

 やっと仮組み立てを実行し、基礎構造に矛盾がなく、予定通りに機能することを確認いたしました。左の写真は水平を向けたところ、右の写真は天頂を向けたところ(BINOの腹側から見たところ)。BINOの左前のバンドのみを取り付けてみました。 角のトリミング(面トリ)やアルマイト加工を残しています。 この架台は、目立たないのが趣旨なので、BINOが完成すれば、文字通り黒子として2本の鏡筒の間に隠れて働くことになります。

 アダプター(延長筒)はテスト用の仮の短い物です。ポール脚を使用する場合は延長筒は不要で、三脚の場合は、天頂観測に支障が出ない長さの延長筒をセットすることになります。(この辺はこれからユーザーの方と話し合いをしないといけません。)

 この成功により、20cmクラスまでのEMS-BINOの遠征使用の道が開けました。



Altitude-Axes on the vertical rotation plate of 150LD-BINO:150LD-BINO用垂直回転プレート

 150LD-BINO用の垂直プレートに回転軸(70φ)をセットしました。「先に完成している小型の中軸架台とは全くの別物・・・」と申し上げた理由がお分かりになると思います。 他のパーツ類もほとんど完成していますが、ネジが入荷次第組み立てます。(ネジ類は”ネジ屋さん”が出来そうなほど各種の物を大量に確保していますが、それでも取り寄せないといけない場面がよく出て来ます。)



Premium Mirror for 20cm-BINO:20cmBINO用特注ミラー

Premium large mirror before silver coating.This is 60X120 elliptical mirror customized for EMS-BINO. Once I thought of 70X140 mirror, but later proved this size to be right for the new large EMS housing and enough for the 20cm-BINO. 120mm in the longer diameter is equivalent to that of 88mm(shorter diameter; compare with the dummy) diagonal mirror for Newtonians that was used on the EMS-Huge two years ago.

 特注の60X120の楕円形ミラー(20cmBINO用、パイレックス、銀蒸着前)です。蒸着後のミラーの切削加工を回避するために特注しました。サイズ、形状、面取りに至るまで見事な仕上がりでした。 実にスリムなミラーですが、長径換算ですと、2年前に製作したEMS-Hugeに使用した短径88mmの斜鏡(長径124mm;ダミーを隣に置きました)にほぼ相当します。 これが新型の大型ハウジングに無理なく収納できるミラーサイズの上限です。(これ以上のミラーは、ハウジング底部を削孔開放してカスタマイズします。)



New IPD Crayford:新型IPDクレイフォード

The requirement of lower-profile and longer stroke has lead the IPD Crayford to the new style. The rigid construction and the added strong clamp are also advantageous for the future connection with the focal compensator.

 ロープロファイルと長いストロークを同時に追求した結果、スライドメカを外付けにする構造となりました。(内外筒方式だと、短縮時の全長の半分程度以下のストロークしか望めませんが、この方式だと無制限にストロークを確保出来ます。逆に徹底してロープロファイルにすることも可能になります。) また、精度剛性及び耐久性に優れ、しかもスライドメカが独立しているため正確なアライメントが能率良く行えます。

 本件では、BINOの規模が大きいのでロープロファイルの必要はありませんでしたが、よりフレキシブルな構造で標準化するためのモデルチェンジです。デザイン的には賛否が別れるかも分かりませんが、将来的にfocal-compensatorとのマッチングを考慮すると、剛性が高く、強力なクランプが使えるこの機構の方が有利です。

 (focus-compensatorを構成している場合、目幅クランプをかけると目幅クレイフォードのシャフトが空回りして、アイフォーカサーのみを操作でき、クランプ解除の状態で両者がリンクしてピント補償機構を構成します。)(また、シャフトの回転方向と装置の伸縮方向の関係はfocal-compensatorを考慮する場合に極めて重要で、最近完成したアイフォーカサーとの連動に矛盾がないようにガイドレール配置を決定しています。レールの配置がアイフォーカサーと逆にしてあります。)