群馬県の須田さんが投稿をしてくださいました



bino-view + EMS-1 on FC50
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BORG125ED-MTT
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BORG125ED-BINO on alti-azi.
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100ED-MTT
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ronky photo on FC50 direct
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with a diagonal prism
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with the EMS-1
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BORG125MTT(F8)赤道儀仕様レポート

 
  私と松本式正立ミラーシステム(EMS)との出会いは1989年の天文雑誌にその紹介記事が掲載されたのがきっかけでした。初代の「EMS-1」は今でも愛用しています。
  当時はシュミカセに「EMS-1」と双眼装置を取り付けて観望を楽しんでいましたが、いつかはEMSを使用した松本式双眼望遠鏡(MTT)を持ちたいと思っていました。
 幸運にも1995年の福島県石川町スターライトフェスティバルに参加したときに、東京の遊馬氏が持参されたMTTを実際に覗かせていただく事ができました。
 昼間の景色、惑星、星雲星団など、いろいろと観望させて頂きましたが、初めてMTTを体感した時の感動は今でも忘れることができません。その数日後には松本さん宛てに「双眼望遠鏡を製作して頂きたい。」というような内容の手紙を出しました。

  翌年のスターライトフェスティバルには自分自身がMTTを持参し参加していました。
何よりも、当日は松本さんご本人と会場でお会いできまして、直にMTTの調整のコツをご伝授いただき感動しました。完成まで松本さんとの連絡はFAXでやり取りすることがほとんどでしたが、何かと的をそれた私の質問に対して、松本さんはいつも詳しく、分かりやすく説明して下さいました。何度もやり取りしましたので、それらのFAX紙は分厚いファイルとなりました。当時はほんとにお手数をおかけしました。スミマセン。

 MTTは私の天文ライフの中での価値観と言いますか、こだわりを完璧に現実化してくれました。これは私にとって基本的なスタイルで、一生変わらないと思います。

                               
 写真①

 タカハシFC50にEMS-1と双眼装置の組み合わせ。1993年に撮影したものですが、今でも時々これで見ています。
2001年土星食はこれで移動して高速道路のPAで観望。何とユーザーレポートを書かれている林氏と遭遇。私がEMSを持っていたことで、お互いMTTユーザーと判明!こんな場所でお会いするなんて、土星食よりめずらしいことでしょう。
  林氏は土星食を撮像されていました。「今度はお互いMTTを持ち寄って観望しましょう。」空が明るくなるまで話がはずんでしまいました。MTTユーザーと話すのはすごく楽しいです。
  ちなみに、2001年の石川町スターライトフェスティバルではやはりユーザーレポートを書かれている井上氏ともお会いできました。井上氏は太陽望遠鏡にEMSと双眼装置で参加されていました。素晴らしい太陽像を見せていただきました。

写真②

 私の主力機。鏡筒はBORG125ED(F8)です。鏡筒の選定にはかなり迷いました。最終的には松本さんのアドバイスもあり、口径、性能、重量などを総合してこれにしました。レンズはロンキーテストにかけてみましたが良くできています。
  何よりコントラストが良いので、淡い星雲が良く見えます。惑星はシーイングの良い日ですと何時間も見てしまいます。MTTの素晴らしさはユーザーの皆さんが既に詳しくレポートされている通りです。 低倍率から高倍率まで、ぞくぞくするほどの宇宙を体感できます。
 赤道儀は以前から使用していた三鷹のGN-22を利用しています。常に快適な視点が得られるように、鏡筒は回転装置に付けられています。
この回転装置も松本さんが凝りに凝って設計されたもので操作感は抜群です。各部には「ここまでやるか!」と言うほどの微調整機構が与えられていて、左右鏡筒の平行や回転の中心及びテンションを完璧に追い込むことが可能です。
 回転リングとEMSボディーの塗装は三鷹の赤道儀の色に合わせて特別に塗装していただきました。こんなわがままにも快く応じていただき恐縮致しました。

写真③

 GN赤道儀ですと、いささか重量がありまして移動が面倒な場合が多々あることは否めません。
 松本さんにお願いして鏡筒のみを経緯台に搭載する為のアタッチメントを製作して頂きました。これにより、稼働率が大幅にアップしました。最近ではこの経緯台仕様で移動することがほとんどです。惑星の観望だけなら鏡筒回転装置を使わずに、このまま赤道儀に載せてしまうこともあります。
  その場合、右側鏡筒で観望しつつ、左側は直視用に変えてデジカメ撮影という贅沢な使い方も可能です。もちろん経緯台でも高倍率でスイスイ追尾することができます。

写真④

 これは遊馬氏のMTT。1995年の石川町スターライトフェスティバルで撮影させていただきました。レンズはBORGの10cmですがボディーは松本さんの手により完全に作り変えられていました。
  いたるところに工夫が凝らされ、細部の細部まで美しい仕上がり。驚きました。実際に覗いてみると想像以上の圧倒されるほどの臨場感があり、感動しました。 これでMTTの製作依頼を決心しました。

写真⑤~⑦

 参考までに、タカハシのFC-50をロンキーテストにかけてみました。左は直視、真ん中は純正の大型プリズムを装着、右はEMS-1を装着したものです。FC-50は所謂「お宝」と言われています。写真では分かり難いかも知れませんが、プリズムを使用しますと明らかに色収差が発生し、コントラストも低下しました。 松本さんによりますと、プリズムは球面収差をも惹起させるそうです。

須田 信明
NobuakiSuda


管理者のコメント;

 須田さんは、この度のSCHWARZ150(F8)の双眼望遠鏡(初期経緯台仕様)のユーザーでもあるのですが、この度は、1996年にお作りしたBORG125ED(F8)鏡筒を使用した赤道儀仕様の双眼望遠鏡のリポートを先に頂きました。
  須田さんは、EMSをその黎明期より支持し、見守ってくださって来た中の一人です。
  当時はネットが今ほど普及しておらず、HPも開設していなかったものですから、ミタカの赤道儀に載った須田さんや遊馬さんのMTTや、初期のEMSであるEMS-1(光学的capacity,光路長は現行のEMS-Mに相当(ただし、EMS-Mは2インチアイピースの一部使用可))をご覧になった方は少ないと思います。
 ”MTT”というのは、MultiPurposeTwinTelescopes の略で、(「汎用二連鏡筒」とでも申しましょうか)、双眼視から、二連カメラ、カメラとガイドスコープ、EMSの左右を交換して、ティーチング用二連鏡筒、等、広い応用を意図して命名したものでした。
  そのまま絵ハガキになりそうな美しい写真の数々と、客観的なデータであるロンキーテストの写真は、まだEMSやMTTを知らない方々にとって貴重な資料となることでしょう。

 (2007年12月25日追記) 悲しいご報告ですが、須田さんは2007年の3月にお亡くなりになりました。心よりご冥福をお祈りします。このリポートは今でも異彩を放っている価値ある資料です。今後も大切に管理させていただきたいと思います。