This is the perfect pictorial instruction how to parallel the OTAs.
This explains the relations of the shift of the target in the eyepiece according to the pan of the scope.
(正立像の)望遠鏡をどう振ると像が(アイピースの)視野内でどう動くかを、この画像で直感的に学べます。^^
BINOの使用段階では不要なことですが、BINOを自作される時には必要な知識です。
同時に、”BINOクイズ”もご参照ください。
基礎的な感覚が見に付いていれば、実に簡単なことです。
(というか、逆にそれが試されます。)
このツボを心得、眼の生理(具体的には調節と輻輳)を理解していれば、BINOの初期調整ほど簡単なものはないと言っても過言ではありません。 微動送りのない、単純な固定方式であっても、条件さえ整っていれば、数十秒で終わる作業です。
逆に、上記を理解していないと、調整の迷路に入って地獄を見ることもあり得ます。^^; メカ環境も影響しますが、基礎的なことが理解できていれば、何も怖いものはありません。
上記基礎がマスターできていれば、自分自身の眼(と目幅)が調整原器になるのです。「調整が難しい。」と言う人は、まだ誤解している部分があるのです。自分の眼が”調整原器”になるか、凶暴な”邪魔者”になるかは、その方のセンスにかかっています。
(正立像の)望遠鏡をどう振れば、新たな対象を視野内に導入できるか?
慣れた者にとっては、本能のレベルで定着していますが、先日の観望会で参加者のオバはんにPushToモードで操作してもらったら、逆に動かされたので、新鮮な発見でした。この感覚は、経験で身に付けるものだったようです。
駆動を停止して手動モードにしていたため月が視野から右に逃げたようなので、その方に、「少しだけ(望遠鏡を)右に振ってください。」と言ったら、左に振られたのです。^^;
あとでよく考えたら、その方はハンドルを持つ手を右に振っていたわけです。(確かにこれも右だ。^^;)
What is the “Back-focus”? / バックフォーカスとは?
Back focus is the length of the tail of light cone out of the drawtube.
バックフォーカスとは、対物レンズによる円錐光束の先端が鏡筒外に出ている長さのことです。
At planning your binoscope with some OTA, your first task is to decide the D in the diagram below and check the back-focus if it will accommodate the EMS or not.
BINOの計画の当初には、下図の”D”と共にチェックしないといけない大切な項目の一つです。
When your planning OTA has less back-focus for your plan, you can replace the end adapter, or the focuser for more low-profiled ones.
Cutting short the OTA tube is the last resort when you know all other measures are not enough.
昨今の高級鏡筒は昔よりもバックフォーカスが長い物が多く、少しバックフォーカスが足りない場合も、大抵は、ドローチューブ末端のアダプターを短い物に交換/改造するか、それでも足りない場合はフォーカサーをlow-profileな物と交換することで解決することがほとんどです。 鏡筒の切断短縮は最後の手段です。
この他、目幅調製の方法をどうするかも、一緒に決めておかないといけません。
片方の鏡筒を平行にスライドさせるか、EMSの目幅ヘリコイドを利用するかです。
X-Y knobs and the image shift / XYノブの回転と右鏡筒の像の移動方向の関係
Photos below are the tutorial of the shifting directions of the image of the right OTA by turnings of the knobs a bit to the counter clockwise.
Photo 1 shows the original position that the two images are perfectly merged.
Assume that the left image is blue while the right image red for the easier instruction.
Photo 2 shows the shift direction of the right image by turning only the Y knob a bit counter clockwise.
Photo 3 shows the shift direction of the right image by turning only the X knob a bit counter clockwise.
The Principle of the X-Y knobs
光軸の微調整は、右の鏡筒の像のみをX、Y方向に動かすことで行います。
写真1は、X-Yノブが原点位置で、左右の像が完璧に合像している状態を示しています。 説明を分かりやすくするために、左の鏡筒の像を青、右の像を赤と仮定します。(現実にはあり得ませんが、ご理解ください。)
写真2は、Yノブだけを反時計回りに少し回転させた時の右の像(赤)の移動方向を示しています。
写真3は、Xノブだけを反時計回りに少し回転させた時の右の像(赤)の移動方向を示しています。
Here comes a good sample for your study. / 像倒れの調整例
Here comes a good sample for your study.A pair of EMS set has arrived from my client today in ambulance with the complaint of the serious condition.
This trouble seemes to have occurred when he replaced the spacing tube of the EMS that connect two mirror units together.
He insisted that the right EMS is perfect because he checked the connection angle by the substitute of the right angle gauge, and only the image of the left EMS is extremely inclined.Is that really so? I will explain its real truth.
Let me firstly explain how the normal binoscope will show the edge-line of the bent paper put before the dew-shield. The occulars shoud be extracted in advance. As you expect, the edge of the paper should look straight at the sleeves.(The right photo)
格好の教材が舞い込んだので、ご紹介しない手はありません。 持ち込まれたユーザーの方の名前は出ませんので、ここで皆さんに紹介させていただくことを、皆さんの参考のためと、あなたの学習のためにお許しください。
EMSだけを求めてBINOを組み立てた方ですが、EMSのユニット間のスペーサーをご自身で交換された後に左の像の著しい傾斜が修正できなくなって、EMSを一式送って来られたものです。
主訴は『右のEMSは完璧で左のEMSの像だけが著しく傾斜し、傾斜を私の指示に従って?^^;修正すると、左のアイピースが明後日の方向を向いて、BINOにならない。 左のEMSの光軸が著しく狂っているに違いない。』 というものでした。
さて、実際はどうだったかを以下でご説明しますが、その前に、ノーマルなBINOではどう見えるのかをお示ししておきます。
サンプルに用いたBINOは、店内に置いている、初期(15年くらい前)の試作品の10cmBINOです。上左の写真のように、折った紙(ポスター等)を筒先に置き、口径の上半分を隠すと、アイピースを撤去した接眼部では、折った紙のエッジの線が上右の写真のように1本に貫いて見えます。 敢えてEMSの構成ユニットの固定ネジを左右のEMSとも緩めて対空角度を微調整しますと、その線が目尻が吊りあがった怒り目になったり、逆の泣き目になったりすることは、このサイトで何度かご説明して来た通りです。
Now, I will diagnose the emergency case.(I am sorry that the smaller binoscope sample here did not accept the larger spaned sick EMS pair at a time, and I will show you left and right unit alternatively.)
From the left, the first photo shows some inclination of the left image, but it was not so serious as the client insisted. The second photo shows the awful inclination of the right image. You see the right image is far more inclined than the left one. Each of the EMS was well collimated in spite of his complaint, “The left EMS only is seriously out of collimation.”
Checking the connection angle by the gauge, the right EMS proved to have the serious deviance from the right angle. Those facts eloquently explain the symptom of the two of the left photos. Now you will know the reason he had trapped into the labyrinth.
It is true that his right angle gauge was not perfect is one of the reason, but the core of the trouble is his attitude that he never doubted the right EMS and he adjusted the left EMS only. EMS shouled be always treated as a pair and should be targeted on attaining the relative parallel of the inclinations.
さて、送られて来たEMSセットは、実際はどんな状態だったかをお示しします。(写真は全て当方で調整する前の状態です。)サンプルに使用したBINOがEMS-Mのシステムだったため、スペーシングが大きい問題のEMSは左右同時にはセットできませんでしたが、調整済みのサンプルのEMSを片方だけ残して、問題のEMSの左右を交互にセットしてみました。
左の写真では、左のEMSは確かに少し時計回りに視野が回転しているものの、その隣の右のEMSの視野の回転の方が尋常ではありません。 それぞれのEMSを当方の直角面定規に当ててみましたら、案の定、右のEMSは対空角度で85~87度くらいに狂っていて、著しい時計回りの視野の回転と合致していました。
この方が直角面定規に代用された基準面の角度が実際には直角よりもかなり鋭角だったことが予想されますが、それは大した問題ではありません。 なぜなら、スタートラインとしてそこから調整をスタートされるのに、精度は問題にならないからです。
問題だったのは、代用品の直角面定規を鵜呑みにし、右のEMSの状態が完璧だと思い込み、EMSを左右セットとして相対的な調整をされず、左のEMSのみを調整されたことです。 その基本さえ守っていれば、右のEMSにも問題があったことに自然と気付かれたはずなのです。 少なくとも、左右の視野の相対的な倒れは、左右のアイピースの平行をキープしたままで解消できるのです。左右の視野の天方向をV傾向の上開きとΛ傾向の上閉じの双方向に連続的に調整できるので、その間に必ず存在する解に合わせることが出来るわけです。
補足:EMSの光軸はほとんど狂っていませんでした。 仮に狂っていたとしても、光軸とは独立的に視野の倒れが修正できることが、EMSの顕著な特長なのです。たとえ45°の像傾斜を修正しても、左右のアイピースの平行は完璧にキープできます。
(EMS-Mや標準スペーシングのEMS-Lのように、第1、第2ミラー間のエッジクリアランスが1㎜~2㎜程度以内と際どい場合は、EMSの構成ユニットの接続を不用意に緩めていきなり大きく回転させるのは、ミラーを損傷する危険があるのでご注意ください。 )
What is the “light path” of EMS? / EMSの光路長とは?
For the benefit of the EMS-BINO planners, I will show the anatomy of the “light path” of the EMS-UL. The total light path of the EMS consists of three parts.
Path “A” is the distance from the bottom of the barrel to the first reflection point, that is 2 + 18 = 20mm.Path “B” is the distance from the first reflection point to the second one, that is 18+2+12+2+18 =52mm.Path “C” is the distance form the second relfection point to the top surface of the 2-inch sleeve, that is 18 + 2 + 58 = 78mm. So, the total light path is A + B + C = 20 + 52 + 78 =150mm.
*The light path of EMS-UL is shortened by 2mm on July 21,2017. Now, the correct light path of the standard EMS-UL is 148mm.(2018,11/05)
EMS-BINOを計画される方のために、EMSの光路長について、標準仕様のEMS-ULに則してご説明します。
総光路長は、図のA,B,Cに別れます。 Aはバレルの根元(ツバの前面)から第1反射点までの距離で、ツバの厚みとハウジング内の半光路長の和で、2+18=20㎜となります。Bは、第1~第2反射点間の距離で、18+2+12+2+18 =52mm、Cは、第2反射点から、2インチスリーブの天面までの距離で、18 + 2 + 58 = 78mmとなります。総光路長= A + B + C = 20 + 52 + 78 =150mm となるわけです。
ここで、BINOの規模(鏡筒中心間隔)によって、Bが異なるということがポイントです。まず、標準寸法のままの接続管で、目幅=60mmの時の鏡筒中心間隔”D”を計算してみましょう。Bは空間的に傾斜しているので、Bの目幅方向への射影Sを把握しないといけません。S=B/√2=52/√2≒36.8㎜ となります。 従って、その時の鏡筒間隔=36.8X2+60 =133.6㎜ ということになります。
この算出のメカニズムさえ理解できれば、鏡筒最大径がそれを越える場合に、どれだけBを延長すべきかが分かります。
(2017年7/21以降、EMS-ULの光路長は2mm短縮して148mmになっています。(2018,11/05追記))
MAINTENANCE OF THE EMS MIRRORS / EMSミラーのメンテナンス
From top…..;
0. You can use blower spray to blow the dusts off on the mirror. But be careful not to blow the liquid of the spray on the mirrors.
通常の清掃には、エアーダスターをご使用ください。ただし、スプレー缶内の液がミラーにかからないように ご注意ください。 使い始めのスプレーや、缶を斜めにしたりすると、液が出やすいのでご注意ください。 また細い先ノズルがエアーと一緒に抜けて吹き飛ぶことがありますので、事前にその部分はセロテープで補強しておいてください。
1. When you mistakingly blow the liquid on the mirror, or you find the mirrors dirty after long period of time; wipe the mirror with tissue paper soaked in absolute ethanol.
スプレーの液を誤ってミラーにかけてしまった時や、長期間のご使用で、スプレーでは落ちない汚れが付着しましたら、 無水エタノールで浸したティッシュペーパーで拭いてください。無水エタノールは薬局で500mlが¥1,000少々で売っています。無水でないといけません。(素早く乾燥する必要があるため、エーテルを混合するとさらに良いが、エーテルは署名捺印が要り、注文となるでしょう。無水エタノールで十分です。)
2. Of course, you should take off the sleeve and the filter to access the second mirror.
当然ながら、第2ミラーにアクセスするために、まずはスリーブやフィルターを撤去してください。
3.and 4. If you don’t want to take the barrel off, you should at least unscrew off the entrance aperture. You need not a special tool to do it. You have only to hook your fingers to unscrew the aperture. When it is too tight to unscrew, you can use rubber sheet or something to protect your finger.
バレルの分解が億劫な方は、遮光環だけでも外してください。遮光環を外すのには特殊な工具は要りません。 ただ指をひっかけて矢印の方向(右ネジが緩む方向)に強くねじるだけです。 固くて緩まない場合は、ゴムシート等で 指を保護して行ってください。(必ず緩みます。)(左手にデジカメを持って撮影に苦労していたら、遮光環が裏返し になっていました。^^;)
5. Then soak the tisse paper in the absolute ethanol.
テッシュペーパーに無水エタノールを少し滲み込ませます。 別にこの容器を準備する必要はありません。
6. Don’t save on the paper. Never wipe more than one stroke. You should dispose the paper in each stroke. Of course, when you see any dust on the mirror, you should blow off the dust in advance of wiping.
But, you don’t have to be too nervous of hurting the mirror as long as the tissue paper is wet and new. The mirror surface has enough durability in wet-wiping because it is dielectlic over coated on the silver coatings.
この時、決してティッシュペーパーをケチらないこと。^^; 1ストローク拭いたら必ず捨てて、もう一回拭きたい場合は、新たなティッシュペーパーで同じことを繰り返してください。同じティッシュでの2度拭きは禁止です。
ただ、拭くこと(あくまで濡れ拭き)に関して、必要以上に神経質になる必要はありません。 EMSのミラーは、銀コートの上を誘電体膜で保護していますので、ここに書いたメンテくらいでミラー面が傷むことはありません。 むしろ、汚れを放置する方が有害であり、またせっかくの銀ミラーの性能が目一杯に発揮されません。
”目からウロコ”のEMS-BINOの光軸調整講座
これからEMS-BINOのユーザーになられる方には必見の項目です。
EMS-BINO完成品は、出荷前に十分に調整してお送りしています。(EMSの光軸は輸送の振動くらいでは狂いません。) にもかかわらず、像の盛大な倒れを訴える方が 非常に多くいらっしゃいます。 これは明らかに寄り眼調整が原因しています。
(まれに輸送中に鏡筒自体が少し横に振れてしまっている場合があるかも分かりませんが、この場合は、決してEMSの調整ノブを 操作しないで、鏡筒を振ることで光軸の相対的な平行をほぼ復元してから、最後にEMSで微調整してください。とにかく、最初の組み立て時にEMSの調整を盛大に操作 しないといけない場合は、何らかの異常が発生したものとお考えください。この 場合に、敢えてEMSの調整を大きく操作しますと前例のような問題が生じます。)
また、初期組み立てと調整の練習は、必ず明るい昼間に、地上遠景で行ってください。初心者の方がいきなり星野を 見ながら像の倒れの調整等をするのはまず無理です。
繰り返しになりますが、左右の像が合致していれば光軸が合っている とは限りません。
ただ、私たちの情報の主要な入り口である、眼からの情報については、私たちは 頑固なまでに確信を持ってしまいます。 これが調整の袋小路に入る原因なのです。
「左右の像が合致しているから自分の調整に誤りがあるはずはない、像が倒れているのは動かない現実だから、 絶対に器械の方が狂っている。」と結論付けてしまわれるのです。
上記につきまして、この項を含めて当HP内で繰り返し解決方法をご説明しておりますので、なにとぞご精読くださいますよう、お願いいたします。
(2003年1月31日)(2月20日、一部追加)
EMS-BINOで遠くのアンテナを見た状態です。左右の像が完璧に合致し、視野中心を見ている限り、左右の視野円の不一致も ほとんど気付きません。
さて、果たしてこれで本当に左右の光軸が平行になっているでしょうか。
次の方法でそれを確認することが出来ます。
このチェックは、目幅が完璧に合っていることが前提になります。初心者の方で目幅が合致した感覚が 分からない場合は、目幅を正確に測定してもらい(眼鏡店等で)、ノギスでBINOの目幅を正確に設定してください。 (目幅は正確には瞳の中心から中心までの距離ではありません。個人差はありますが、それより1mmくらいは小さくなります。 進化途上にある私たちの眼の光軸(眼軸)と視軸は数度ずれているからです。)
(2004,5月3日追加)
眼をアイポイントから徐々に離して行き、上の写真のように、対象物の像が左右それぞれの 射出瞳に占める相対位置がほぼ一致していれば、初めて、「十分な精度で左右の光軸の平行度が出ていた。」と言えます。 (この時、絶対に顔を横にシフトさせてはいけません。本能的に顔を動かして目標を探してしまえば、光軸が平行でなくても 上の写真のように見えてしまいます。左右別々にウィンクする時に顔をしかめる人はこのテストの適性が低いと言えます。)
(2008年12月16日追記)ターゲット(アンテナ)が近距離ですと、当然ながら無限遠の対象(星)とは適正 位置が異なりますので、最終的には無限遠の対象で追い込む必要があります。無限遠に調整したBINOでは、 有限距離のアンテナは、鏡筒間隔分だけ内にずれているのが正解です。ただ、見ている対象に対しては、この 方法による調整が正解です。
現実には、特に初心者の場合は前の写真のような理想的な状態であることはまずなく、この写真のように、大抵、 相対的に内寄りにずれています。この程度でも調整できていれば優秀な方で、初心の方の場合は、片方の対象が 完全に射出瞳から外れている場合の方が多いでしょう。
この写真程度のずれであれば、地上の昼間の風景の美しさに十分な感動を与え、月面等の明るい対象を見ている限りは 観察者は光軸のずれを全く自覚しないでしょう。 しかし、光刺激の小さい微光星になると、視野の全ての星が二重星に なっていたりするのですが、初心者の場合はそれにすら気付かず、「昼間の景色には感動するが、星野では、単眼との差があまり無かった。」というような とんでもない感想も出かねないのです。^^;
眼をアイポイントより数十センチ離し、右のEMSの調整ノブで前の写真の状態にすれば、左右の光軸は完全に 平行になるのです。このマニュアルに従っていただければ、調整にはわずか数秒しかかかりません。決して主観に惑わされずに、 自分の考えを付け加えず、忠実にマニュアル通りに実行していただくことが肝腎です。
左右の視線をほぼ平行に保っている限り、EMSの調整ノブの調整量はほんのわずかで済みます。
左の写真はY調整(上下方向)、右の写真はX調整(左右方向)を敢えて盛大に操作した状態を示しています。左右の写真とも、中心の濃い像が左鏡筒の像だとお考えください。
まず、右の(以下”右の”を省略)像を上に大きく移動させると、像は右に傾き、下に大きく移動させると左に傾きます。(左の写真)
また、像を左に大きく移動させると、左に傾き、右に移動させると右に傾きます。(右の写真)
これで、寄り眼調整がいかに有害であるかがご理解いただると思います。寄り眼調整は、単に観察者の眼を 疲れさせるだけでなく、左右の視野の相対的な倒れも発生させるのです。出荷時に私が入念に調整しているにもかかわらず、 視野の倒れを指摘される場合のほとんどの原因が、ここにあるのです。
眼の極端な癖を介入させない限り、EMSの調整機構は、視野の回転が影響しない 安全圏の範囲で十分にその目的を果たします。
(左右の像の倒れを調整する際には、わざと光軸を上下にずらしますが、その時、上の写真の傾向を理解した上で、 上下にずらした時の倒れが均等になるように調整するのです。)
像の倒れの調整方法は”15cmF8双眼望遠鏡の使い方”の
”EMSの接続アングルの調整方法”をご参照ください。
2007年4月6日追記
調整原点と調整ストロークの中心とは関係ありません。
右のEMSのXY 調整用の調整ノブの使用法につきまして、数年前より以下でご説明してまいりましたが、 タイトルの誤解が、誤った調整につながる一因だと感じましたので、ご説明を追加することにいたしました。
原理構造を無理解のままに最初から鏡筒を分解される方が意外に多く、安易に復元を試みられる場合に陥りやすい失敗として、 調整原点を調整ストロークの中心に合わせてしまわれることがあります。 この間違いを犯されますと、常に光軸が狂った状態で BINOをご使用になることになります。
調整ネジは、組み付けネジを兼ねており、どんどん緩めて 行きますと、やがて脱落します。 また、製作工程上、調整原点の相対位置(言い換えますと、調整域リミットの両端位置)は一定ではなく、製品ごとに微妙に異なり、上下調整と左右の 調整との間でも異なります。 以下のご説明に従って、調整ノブを正しくご使用くださいますように、お願いいたします。
2009年12月14日追記
訂正が遅れましたが、下記の調整原点の問題は本年の4月より、右のEMSの第一ユニットのX-Y調整ノブに 原点位置を示すことにより、解決しております。
また、上記では、アンテナのポールの垂直線を規準にしてお話していますが、その後の研究で、むしろ水平線を 規準にした方が、左右の像を分離しやすく、像の倒れの把握に有利であることが分かって来ました。
Adjustment of EMS-BINO / EMS-BINOの調整
Finished EMS-Binoscopes are free from the original adjustment, because they are carefully adjusted by Matsumoto before shipping. Especially those who had accepted the binoscope at my shop have proved that EMS-BINO will have no collimation problem by the vibration of the family car while carrying.
EMS-BINOはこちらで十分に調整して供給していますので、本来はユーザーサイドの初期調整は不要です。(X-Yノブでの使用中の微調整は別) 特にこちらで受け取られ、マイカーで遠路をお帰りの方は、車の振動くらいでは光軸が狂わないことも証明してくださっています。
Still, however, some of them have shown collimation problem by shipping. And in such a case, users should recover the collimation by themselves if you cannot afford to bring your troubled binoscope to my place. So, I reccommend you to carefully study at my website to master how to adjust the disordered binoscopes.
しかし、こちらで受け取られず、運送屋さん経由で納品させていただいた場合に、 たまに光軸の狂いや像の倒れを訴える方がおられます。こちらで説明を聞かれる方のBINOは狂わず、説明を 聞かれない方のBINOだけがどうして狂うのか、未だに謎ではありますが^^;、どちらにしましても、EMS-BINO の調整原理は極めて単純であり、復元も極めて簡単ですので、サイト内の説明をよくお読みになり、まさかの事態で 慌てないようにしていただければ幸いです。
Assume that the left 500yen coin is the image of the left telescope. In condition that the XY image adjuster has not lost the original position, I can judge the objective end of the right telescope is misalined in the left-down direction. In other wotds, you have only to pan the right scope in the same direction as the right 500yen coin.
上の写真は、左の500円硬貨が左眼の像と仮定します。EMSのXY調整ノブが原点を見失っていないとしますと、 右の鏡筒先が左下に振っている状態で、言い換えれば、右の500円硬貨が逃げているのと同じ方向に鏡筒先を 振れば左右の像を合致させることが出来るわけです。
さて、合致させたのが次の画像です。
This is the merged image by the above adjustment. You will still find something odd in the above image. Yes, the left 500yen coin leans to the left, and the rihgt one to the right. In other words, the left and right image of the vertical lines form the “V” shape. So, I call this tendency of the error “V error”. And the counterpart error I call is “/I”(lambda) error. Now, you know that collimation is one thing, and image inclination is quite another.
何だか変ですね。双眼視のコンポジット効果どころか、だぶったような像ですね。 最初の画像に返って見てください。左の500円硬貨は天方向が左に倒れ、右の硬貨は右に倒れていますね。 これを私は『V字傾向の像の倒れ』と言います。
像の倒れの調整は、光軸の平行調整とは別個に必要なのです。
Above image shows the inclination-adjusted and collimation wanted condition.
上の画像では、像の倒れが綺麗に修正されています。(修正方法はサイト内で反復説明しています。) (像の回転調整が光軸の平行調整とは全く独立的に行えることが、EMSの特筆すべき特長なのです。)
The image below shows the condition both collimation and inclinations are rightly corrected.
倒れが修正された状態で鏡筒を正しく振ると、下の画像のようになります。
この画像は、実際に半透明の2枚の画像を処理ソフトで重ねた物です。
像の回転は、EMSを構成する2つのユニット(望遠鏡側と眼側)の接続アングルの調整で自由自在 になります。
この事を先日ご説明した方が、「そんな事をしたら、EMSが曲がってしまうのでは??」と 心配なさっていました。^^; 左右のEMSについて、対称的に修正しますし、調整量は眼に見えないほどの微量なので、 心配無用なのです。
それから、最初にトライされる時は、常に極端に回して見て、回転方向を見極めることが 大切です。 像が回転する原理さえ分かれば、しめたものです。^^
(見ながら追い込むのは一人では 難しいので、目分量で動かしては仮固定してチェックし、追い込んでください。調整作業の結果、生じるEMS全体の倒れは後で 望遠鏡接続部を修正すれば良いのは言うまでもありません。)
要するに、EMS-BINOは復元調整自在なシステムであるということです。説明文を読むのがどうしても 面倒臭い方は、やはりこちらまでご足労いただく必要がありますね。^^;
(たまに遭遇する、説明が理解できない方のために、どうすれば理解していただけるのか、試行錯誤しています。 最終的な物とは言い難いので、この原案を取り敢えず日記に残しておくことにします。)
Here is the study-tool of the image-inclination adjustment.
同日追記: 重複になりますが、サイト内の該当説明を参照しない方が多いのでは?との危惧から、特別サービス^^; で、像の倒れの修正方法の新たな教材を用意しました。 下の画像をご覧ください。
1.Unscrew the three yellow arrowed set-screw, and the connection of the two units of the EMS is released, and you can rotate the units with each other. Take the most care when you unscrew the last screw so that the eye side units that is slightly blued will not rapidly drop down.
2.Rotate the whole blued part quite a bit in the same direction of that you want to rotate the image. Red arrow shows the rotating direction to correct the inclined image shown at this sample.
3.Of course, you should reversely do the same adjstment on the opposite scope. Don’t forget to screw the set-screws after finishing the adjustment, too.
機種により異なりますが、15cm-BINOの場合は、EMSの眼側ユニットは、目幅クレイフォードにジョイント用の オスのテーパー部を挿入し、黄色い矢印の先端辺りの3箇所のM3のセットビス(芋ネジ)で固定しています。 従って、そのネジを緩めれば、接続が解除されるわけです。もちろん、いきなり3つ共緩めて、脱落事故に 至らないように細心の注意が必要です。
さて、最後の3つ目のセットビスを慎重に緩めると、水色の紗をかけた部分全体が双方向に回転できる状態になります。 上のV字傾向の倒れを修正する場合は、赤い矢印の方向に回転させます。
つまり、像を回したい方向と、眼側ユニットを 回転させる方向が同じなのです。当然、鏡対称で、右のEMSの眼側ユニットも同じ調整をします。
微量とは言え、この調整の結果、アイピーススリーブは上が寄り添う形で相対的に傾斜することになります。 今度は、EMS全体を少し回して元の位置に戻せば良いのです。
左右共にこの修正を施し、像をチェックし、まだ不完全 であれば、また元の調整に戻り、追い込んで行きます。
文章にすれば面倒に聞こえますが、慣れれば、 回転量と像の回転角の関係も感覚的に理解できるようになり、長くても数分以内で完了する作業です。
双眼クイズも合わせてご覧ください。
Adjustment of the connecting angle / EMSの接続アングルの調整
The photo is the customized EMS-L for the binocular use.
Put the EMS on the right-angle gauge. (A desktop and a wall can be a substitute.) You see the eye-side surface doesn’t touch the wall closely.(red arrow)
Then,unscrew the three set-screws (blue arrow in the photo) and fix the connecting angle untill the both sides of the EMS will touch the floor and the wall.
(The place of the three set-screws are different from the types of the EMS. Please consult me when you cannot identify the screws.)
直角面定規(机面と壁面等が代用できます)にEMSを載せます。
この写真では、接眼側の端面が垂直面に密着していません。
第2ミラー(接眼側)の3ヶ所のセットビス(青い矢印)を緩め、
両端面がそれぞれ水平面と垂直面に密着するようにします。
This photo is the finished stage of the upper adjustment.
Note the both sides of the EMS closely touch the gauge surfaces. At this stage, the image-inclination adjustment is almost perfect.
Even if some image-inclination should exist at this stage, You can adjust the image angle up to perfect by subtlely adjusting the viewing angle, for example, to shift the right angle toward 89dig. or 91dig.
This is one of the excellent features of the EMS.
Though the above adjusment is done by me, and the users will not have to do that by themselves, I explained that because I would like you to learn one of the remarkable features of the EMS.
上の調整後、両端面が定規に密着した状態です。
この時、両端面が直交し、同時に2つのミラーケース底面、即ち2枚のミラー面も直交しています。
この調整によって、左右の像の相対的な倒れの調整がほぼ完璧になります。
万一、この調整後に像の倒れが多少残る場合は、仰角の微調整で完璧まで追い込むことが出来ます。
これは、EMSの特筆すべき特徴の一つです。
この調整は、ユーザーの方にはほとんど不要ですが、
EMSの原理を理解していただく意味でご説明しました。
This is the diagram drawn to explain how the images rotate in accordance with the change of the viewing angle referred above.
“A” positon is that of the right angled, “C “position of the straight viewing.
上記調整で調整原点に復帰することが出来ます。
万一、調整原点に復帰しても、左右の像の相対的な倒れが完全に解消
しない場合は、左の図から仰角の調整と左右の像の回転の関係を学習
していただいた上で仰角を微調整してください。
画像は90度対空から直視までの変化を示していますが、90度を越え
る方向に仰角を増やして行けば、像が逆方向に回転することは、容易に
予想できるでしょう。
左右の像の相対的な倒れが、左右の像の天が開いたV字傾向なのか、
その逆の八字傾向なのかを見極めてから、その逆方向に補正するのです。
左右の像の片方だけが余計に倒れているように見えても、あくまで左右のアイピースの平行が保たれるようにして、視野の相対的なずれを補正することに徹してください。
BINO-QUIZ
( 1 )
left image right image
If you were to correct the trouble in the photo only by turning the component telescopes, which do you think is the right prescription?
A: Turn the left telescope a bit to the upper left, or the right telescope to the lower right.
B: Turn the left telescope a bit to the lower right, or the right telescope to the upper left.
( 2 )
Which do you think is right?
A: The inter ocular distance is incorrect.
B: Collimation is not correct.
C: Both A and B can be an answer, we cannot tell which is right in the photo.
( 3 )
Which do you think is right?
A: It’s not a trouble of collimation, but only the inter ocular distance is far too wide.
B: Collimation is incorrect. Turning the two telescopes to the converging way is one of the remedy.
C: Collimation is incorrect. Turning the two telescopes to the diverging way is one of the remedy.
( 4 )
Looking at the Jupiter, the further the satellite the wider the separation occurred while the Jupiter itself was merged. Which do you think is the most appropriate prescription? Winking the eyes, the lower of the left end satellite was proved to be the image of the left telescope.
A: The angles of the mirrors of the EMS seems to be in disorder so complicatedly that it would be better to leave it to Mr. Matsumoto.
B: To change the viewing angle of the EMS slightly to the 91degrees’ direction, keeping the eyepiece barrels parallely, will be a perfect remedy.
C: To change the viewing angle of the EMS slightly to the 89degrees’ direction, keeping the eyepiece barrels parallely, will be a perfect remedy.
The answer: 1=B, 2=B, 3=B, 4=B