埼玉県の井上さんが投稿してくださいました

inoue

 シュワルツ150双眼が手元に来てからはや半年、1号機の所有者であるにもかかわらずレポートをサボっているうちにユーザーレポートも充実してしまったようなので、オーナー以外の声を拾ってみました。

      晴天に恵まれた新月近くの観望会にて

* コントラストは素晴らしく高い。経緯台の操作性もとてもいい。これで
   50万円は格安。

* やはり両目で見るのは楽だし、細部までよく見える気がする。

* 射手座から鷲座くらいの狭いエリアだけに限定しても、流していくだ
   けで一晩楽しめる。

* いいかげんに振ってもなにかしら視野に引っかかってくるのは快感。

* 散開星団までが立体的に見えるとは思わなかった。

* 今晩の一番の収穫はシュワルツ双眼で見たh-χ。素晴らしい星々
   の色彩だった。

* LinearA2彗星は32cmドブよりもよく見えた。

* これで見たM13は忘れられない。分解能では大口径には敵わない
  が、双眼視と高コントラストのおかげで臨場感が違う。

* このときは周囲にテレビュー製10cm屈折、苗村鏡20cmニュートン、40cmスタースプリッターなど、高性能で知られる鏡筒が多々あったのですが、これらの中にあっても評判は上々でした。

        原村星祭り(満月近く…)にて

* ベタっと光線が当たっているだけの、月の海の中にある皺の部分などに何ともいえない質感がある。これは単眼では味わえない。

* ヌケとコントラスト、像の切れが素晴らしい。色収差もさほど目立たず、欠け際の部分を見ても不快感はない。
ライトイエローのフィルタを用いれば何の問題も感じられない。

* ディープスカイが見れずに残念だが、鏡筒のポテンシャルは高いようだ。
眼視専用なら十分な性能。

* フリーストップ経緯台の操作性は非常に良好で、これなら確かに微動は不要。

* (眼幅調整機構に関して)これだけのサイズの鏡筒が親指一本で平行に動くとは、工作精度の高さがうかがえる。

* これが組立・撤収それぞれ10分以内(※)というのは、構造が合理的なことの証拠だ。

このときも周囲には20cmマクストフニュートン、40cmスタースプリッター、PENTAX105SDHF他多数の高性能鏡筒があったのですが、評価は非常に高いものでした。

※1300ccの車に積む都合でピラーの三脚部までバラしているため、このくらいかかっていますが、脚部を組み上げたままで移動できれば5分でOKです。

* 半年間使用してきての私としての評価ですが、一言で言えば「楽」、ということです。納品された時こそそのサイズに圧倒され、訳も分からずいじっては左右光軸をずらしたりもしましたが、一度調整・操作手順を覚えてしまえば楽なものです。

 まず調整ですが、私はこれまで双眼望遠鏡には無縁で、しかも双眼視は苦手だったのですが、2~3回使っているうちになんとかモノにできてしまいました。

 これは元々の工作精度の良さと、EMSによる調整の容易さに負うところが大きいと感じています。
工作精度が高いため再組立時にも光軸が大ズレすることはなく、まず間違いなく微調整だけで済みます。
 この右のEMS微調整に要する時間は、今では1分といったところでしょうか。比較対象としては不適切かもしれませんが、ニュートン反射の光軸調整などよりもはるかに容易といえるでしょう。

 購入当初、最も不安であった光軸調整ですが、最近ではほとんど意識することが無くなりました。操作性についても、フリーストップの経緯台は適度な動きの軽さとフリクションのためキックバックもほとんど感じられず、低倍率から高倍率まで快適に追尾可能で、大変満足の行くものです。

 私の常用倍率は今のところ200倍までですが、少なくともその範囲では微動機構が必要と感じたことはありません。

* 光学性能に関しては、さすがにフローライト屈折や高精度鏡眼視用ニュートンのようなカリカリのシャープネスは得られませんが、コントラストが非常に高いため、淡い対象もよく見えます。惑星の模様もこの高コントラストのおかげで非常に見やすいと思います。
 私はもともと散開星団が好きなのですが、シュワルツ双眼+LVW42mm(29倍)で見る大型の散開星団は星々がとても色鮮やかで、何度でも飽きずに同じ対象を見入ってしまいます。h-χ、M35、M46&M47、(散開星団ではないですが)M4などはもう絶品です。
これからの季節、美しい散開星団が多いので、非常に楽しみです。

* 敢えて不満を言えば、ロッド式フォーカサーの操作性と、フォーク+フレーム部のサイズが私の車にはほんの少し大きいことでしょうか。
  しかしこれらの点は最新型では改善されているので、これから購入される方は私と同じ不満を持つことはないでしょう。

* シュワルツ150双眼は、「見る」という行為にとって当然ともいえる「正立像・双眼視」が実にスマートに具現化されており、観望用望遠鏡として一つの理想型とも言えると思います。
  これでスカイウォークをするのはとても幸福な時間です。恐らくこれから所有される方も同じように幸福を感じられることでしょう。

* ところでこれは余談かもしれませんが、どなたも指摘されませんので敢えて書きます。このシュワルツ双眼の隠れたメリットは、完全に架台側に目幅調整機構を持たせたことで、鏡筒の換装が容易に可能なことです。

  サイズ的に小型鏡筒の使用は辛いものの、入手可能な唯一の双眼望遠鏡プラットフォームと言えます。
より短焦点の鏡筒や、入手さえ可能ならED鏡筒なども、2本揃えれば双眼望遠鏡として使用可能なわけです。考えるだけで楽しいと思いませんか?

  実のところ、私には1200mmという焦点距離がちょっと長かったので、より単焦点の鏡筒への換装を計画中です。いつになるかは分かりませんが、もしうまくいけばこの続きもレポートさせていただきます。

井上 次郎


管理者のコメント;

 井上さんは、(試作機のユーザーの方を除くと)本機を一番長く使用してくださっているだけに、他の方の感想も含め、非常に広範囲なリポートをくださいました。

 本機の長所ばかりでなく、短所とも長く付き合っていただき、総合的に使いこなしていただいていることに、製作者として深い感謝の念を禁じ得ません。

  SCHWARZ150(F8)発売当初、今までの私たちの古い常識では、アクロマートで15cmと聞けば、F8でさえ、十分に無謀に短焦点でした。 それが、その常識を払拭して余りある性能であったことは、当ユーザーリポートコーナーで繰り返し報告されている通りです。
  それが、さらに後に発売されたF5鏡筒がF8に劣らない性能を有することが、すでに続々と報告されており、近日中にこのコーナーに投稿されるはずです。

 時間的経緯から、最初にF8を選択されたのは、当然の事であると言えます。 しかし、F5鏡筒が、少なくともdeep-sky観望用には十分の性能を有することが判明した以上、今後は、deep-sky遠征観望用の双眼望遠鏡の素材としては、F5タイプが主流になることでしょう。



東京都の林さんが投稿してくださいました

hayashi

15センチF8双眼ユーザーの林です。ご無沙汰しております。

 松本さんが製作された中でたぶん一番稼働率の低いかわいそうな15センチF8双眼だと思われます(^^;

 それでも今回の夏休み、久しぶりに星を楽しんで参りましたので、以下、私どもの状況とこの日の報告をお届け致します。

 この間仕事が立て込んでいたことと天候の関係でなかなか星を見る機会がなかったのですが、久しぶりに8月14日夜、一人で富士山須走5合目駐車場へ出かけ、星を堪能してきました。

 今回から車も変わり中古の1BOX車(ライトエース4WD)になりました。後部座席はアレンジできるため、二本の鏡筒と架台フレームをどこにどう乗せるかでずいぶん悩みました。

 双眼の保管は、自宅の屋根のある車置き場に、スチール製の物置を新たに設置。そこに他の天文機材とともに詰め込んでいます。ホームセンターなどで売っている除湿剤を二個置いていますが、しばらくほったらかしていた罰があたったようで、ハンドルのリニアブッシュ部(外側)にさびが・・・唖然。アルミもなんだか心持ち白っぽく見える・・ < かまってあげなくてごめんね。

 さて、須走5合目(標高約2000メートル)では駐車場はほぼ満車。登山の人たちがほとんどです。一番奥に陣取り、車に隠れるように組み立てました。夏休み中でしたがこの日は天文ファンは少なくて、ちょっと意外でした。隣で5センチ双眼鏡だけで楽しんでいらした初対面の山梨県のTさんに声をかけていっしょに15センチ双眼を見てもらいました。

 空は薄雲というかガスがかかることが良くあり、星が見えても決して期待したほどの空の状況ではありませんでしたが、夜半から何とか楽しむことができました。

 笠井EW40ミリでまずM8、M20、M27、M57などを見ましたが、期待以上の見え方です。空はすっきりしていないのですが「へー、この空でこんなに良く見えてる。あれい状も形がよくわかりうつくしい」。ここでM57はアイピースをミード8.8ミリに変えてみますと、宇宙にぽっかりと浮かんだリングが面白くて時間を忘れてしまいます。

 その他、色が美しいアルビレオ、視野いっぱいに広がりわくわくさせてくれるM31、星星が輝いてる二重星団・・・と、私のような星座万年初心者でも思いつく天体を次々探しては「おー、これこれ」と楽しめました。

 Tさんのアドバイスで、空の様子をにらみながら網状星雲や7293にも挑戦したらちゃんと見えました。さすが15センチの口径がものをいい、またコントラストが優れているのでしょうね。この時はナビゲータが極めて正確に導入支援をしてくれました。これも使い出したら止められませんね。

 そして東の空ににぎやかに並ぶ土星、月、木星たち。この夜はシーイングが良かったのでそれはすばらしい見え方でした。130倍くらいでは見え具合に何の欠点も見つかりませんでした。

 惑星の観測は経験が少ないので何がどう見えたというコメントが出来ませんが、こんなに安定してコントラスト良くきれいに見えてうれしくなってしまいました。Tさんは何が見えている何がわかるなどとぶつぶつつぶやきながら結論は「いままでみたなかで一番良く見えた。やっぱり口径と双眼の威力ですね。それにこの望遠鏡、フローライトだなんだというのは馬鹿らしくなってきた。いいものをみせてくれてありがとう」とのことでした。

 星雲から惑星まで一晩中振り回して使ったのは今回が始めてですが、とにかく二人とも大満足出来たことをご報告します。

 高度によって光軸が上下にずれる傾向はやはり今回も見られました。40ミリでもその都度調整が必要でした(後に書きましたが今回各部増締めしましたので対処は次回様子を見てからにします)。

 戻ってからしっかりとメンテしてあげました。架台はウエスにCRC556を染み込ませて、なでなでごしごしと。鏡筒の平行具合も若干調整し、各部ボルトも増締めしました。

 湿気が心配でしたので鏡筒のキャップに写真用の防湿剤を貼り付けてやりました。それにしてもこうして触ってみるとあらためて良く考えて作られた架台であることがわかります。松本さんがおっしゃっていたように対物のあの余分な出っ張りと重いだけの邪魔な部分が気になりますね。あれがなければ確かにすっきりして架台の形もこれとは違った物になっていたことでしょうね。

以上、長くなってしまいました。

ではまた。

林 行博


管理者のコメント;

「久しぶりの林さんのリポート、食い入るように読ませていただきました。 状況がとってもリアルに伝わって来て、素晴らしいリポートです。ぜひユーザーリポートにこのまま掲載させていただきたいのですが、よろしいでしょうか。もし、よろしければ、画像を1枚か2枚送っていただけないでしょうか。」

  メールとして文書のみ受信した後、上記の返信で添付画像を送っていただきました。

 謙遜な方なので、”初心者”を自称しておられるのですが、短期間で15cm双眼を使いこなしておられ、なかなかのキャリアと感性をお持ちであることが分かります。

 仰角による光軸ずれの調整方法も、返信でお伝えしておきましたので、今頃はすでに調整なさっていることでしょう。

 F8鏡筒のセルのフランジ構造は、笠井さんによると、出荷前の光軸調整を容易にするためだそうで、笠井さんの、製品に妥協を許さない姿勢に感心させられました。



長野県の大沢さんが投稿してくださいました

osawa1

 EMSbino120L、梱包を解いて初めて持ち上げた時にまずバランスの良さに驚きました。ずっしりとしていますが重いという感じはなく、胸の高さのHF経緯台耳軸受けに難なく取り付け出来ます。

 ちなみに双眼部本体の質量(鏡筒2本、接眼部、架台)は14.5Kg、HF経緯台とHAL三脚は7.6Kgでした。 常時は2階の自室に組立た状態で置いてあり、庭先に出すときは双眼部本体と経緯台付き三脚の2つに分けて運びますが、数分で運搬組立が完了し、即座に観望体制に入れます(組立といっても耳軸への装架、とレンズキャップを外すことくらいですが)

 使用前のセットアップに関して、眼幅調整はロックネジを緩めると左側の鏡筒が音もなく極めてスムーズに左右に移動してくれます。

 光軸微調整はユーザレポートの山本さんの方法、即ち「明るい恒星を真ん中に入れ、右側EMS第一ミラーユニットのXY光軸調整ノブを廻して左右の像を一致させる→そのまま少し目をアイピースから離し、目の矯正力で感じなかった像のズレを左右視野円内の恒星が同一位置になるようウインクしながら微調整する」方法で行っていますが、ゆっくり行っても2分もあれば完了してしまいます。

 通常、双眼鏡の光軸調整は素人の手には負えないと言われていることから考えると驚異的なことです。 観望に際しては大変使い心地のよい操作性のハンドルを握って水平から垂直まであらゆる方向に自由に鏡筒を向けられ、かつクランプを全く必要とせず任意の方向で停止する、しかも耳軸摺動部に適度な摩擦抵抗があるため、粗動・微動操作共、極めて快適です。

 デザインも秀逸で各部が堅牢丁寧に加工組立されていて美しく、いわゆる「持つ喜び」を満喫させてくれます。

 /見え味について、正直言ってこれほど凄いとは思っていませんでした。 昼間の風景では、遠くの電柱に取り付けられている装柱材のボルトやナットがくっきりと手に取るように判り、碍子の周りにはアクロマート特有のまとわりつくはずのハロは殆ど見えません。しいて重箱の隅をつつけば色つきはあることはあるが邪魔にはならないと言ったところでしょうか。 碍子の表面で反射する小さな光の点は陽炎に揺らぎながらあくまで極小点に収束しているのが判ります。

 花や木々は微妙な色合いや水々しさが眼前に広がりいつまで観ていても見飽きません。経緯台の操作感が抜群なので飛行中の鳥を追跡することも容易で、旋回しているトンビの羽根の美しさにハッとさせられることもあります。

 最初に観たのが昼間の景色で、既にその時この双眼望遠鏡の並々ならぬ能力を予感していましたが、星空についてはさらに凄いものでした。視界中心の恒星像を見ながら近距離側から無限点へ静かにピントを追い込んでいく・・・深く小さな光点に収束して恒星の輝きが頂点に達し、目が痛くなるほどです。

 月はまるですぐそこにあるかのような臨場感、明暗と細部の様子が見事なクレーター、二重星団は視界いっぱいに色とりどりの微恒星が広がり例えようのない美しさに目を奪われます。 現在ペアで所有している唯一の2インチ低倍率アイピース(WideScan30)による超広視界双眼視、そこにはもはや「筒から覗いている」という感覚はほとんど存在せず、漆黒の宇宙空間に漂う船から窓の外をみていると言った方が良い世界です。

 90度対空型なので低空の星空を観望しているときは顔は下を向いているのですが、アイピースの向こう側の宇宙空間に落ちそうな錯覚に陥ることすらあります。

 SCHWARZは「大口径、眼視専用、低廉のアクロマート」と言われているようですが、私の観た限りでは「値段の割によく見える」などという低いレベルでは無さそうです。もちろんその性能を遺憾なく発揮してくれるのは像質劣化の無いEMSの底力があるからだと思います。双眼視による宇宙、その臨場感を一度味わうと単眼の世界には戻れないかもしれません。「両目で観る」光の量は単眼の2倍ですが、頭の中で処理され感覚として認識する情報の広さと深さはその何倍にも達するのではないか・・と思います。

Osawa


管理者のコメント;

 大沢さんは、この度のSCHWARZ120(F8.3)双眼望遠鏡がお初めてにもかかわらず、最初から難なく使いこなされ(エンコーダもご自分で取り付けられました)、持ち前の豊かな感性で、痒い所に手が届くリポートを次々に送ってくださっており、この度、正式にまとめてくださいました。

 大沢さんは、前回のSCHWARZ150(F8)の初期仕様の受注の時に、唯一の12cmとしてご注文いただき、こちらの事情で随分と納期をお待ちいただくことになってしまいました。 もともとは、SCHWARZ150(F8)の初期仕様の縮小コピー的な物を計画していたのですが、その後にF5タイプで成功を確認した新しい方法を採用しました。