兵庫県の野木さんが投稿してくださいました。

Blue
ED130SS-BINO

  ED130SS-BINOの完成から3週間目に幸運にも、私の星仲間所有の38cmドブソニア ンと17.8cmEDアポ(F9)の2台と並べて見比べることができる機会を得、贅沢 な比較観望会となりました。

  大型機である2台に挟まれて、私のBINOはとてもコンパクトに見えましたが、その見 え味は決して引けをとるものではありませんでした。

  笠井トレーディングのSWV24ミリ(94度)で見る二重星団は吸い込まれるよう な感覚で、双眼であるためか94度の見かけ視界を無理なく一望できます、今までは 実は二重星団にピンクやブルーの星が多く含まれており、とてもカラフルな星の集ま りであるとは気づきませんでした。両眼でみる星はストレスなく長い時間にわたり見 つめることができるので、星の色など今までなかった発見があります。

  アイピースをケーニッヒ32ミリ(65度)に変えて、プレアデス星団を見ましたが メローぺ周辺のガス雲に簡単に気づきました、蒼い星の集まりは神話の通り 6姉妹の涙に濡れたようなイメージです、眺めながら一杯やりたいくらい綺麗でし た。

  散開星団に関して言えば、広視界をフラットにしかも高コントラストで実現するBINO の圧勝という感じです。 立体的に見えるのは大きく明るい星は近く、小さな暗い星は遠くに感じるからでしょ うか、双眼視でなければ感じることのできないイメージです。

  昇ってきたばかりの系外星雲M81&M82を38cmドブと見比べましたが、ふた つの星雲を同一視野で見ることができる倍率なら、私のBINOは38cmドブと遜色な い見え方えをしました、瞳径がBINOの方が適切だったのかもしれませんが驚きです。

  同席した私の家内の言葉を使えば「同じくらに見えるなら両目のほうが楽にみえる」 私も同感です。ただし、M82だけをクローズアップして見るなど集光力にものを言 わせるような場面では、さすがに38cmの大口径には及ばない部分もあります。

   アイピースをナグラー4.8ミリ(180倍)に交換し土星を見ました、「EDにしてよ かったな!」と覗いた星仲間から言われました、ポッカリと浮かんだ土星は印象的で す。 180倍という倍率よりは大きく見える気がします、追尾も思ったより楽でした。

  しかし17.8cmEDが300倍オーバーで見せる土星の迫力には正直、一本取られた という感じです。余談となりますが、この友人の17.8EDには、私が以前から所有し ているC11EXで何度も挑んで、惑星だけでなく、球状星団や惑星状星雲といった C11EXの本来得意とする分野でも、連戦連敗し比較するには苦手意識がありま す、ED130SS-BINOは、まだまだ倍率を上げる事ができそうです、もう少し高倍率が出 せるアイピースを用意して何とかリベンジしたいところです。

  東の空からオリオンの大星雲が昇ってきたところを、BINOで見てみると、ちょうど視 界に地上の立木と大星雲が同時に入り、何とも言えない遠近感です、「地上から星を 見ているんだ」と認識させられる、予想外の風景に得した気分でした。 オリオン座が十分に高い高度となったところで、アイピースをペンタックスのXL1 4ミリに交換し再度、大星雲を覗きました、このBINOは本当に素晴らしいです。 まさかと思いましたが、17.8cmEDよりも明るく見えます、そして38cmドブソ ニアンよりもリアルに見えます、正立であるためオリオン大星雲の怪鳥のような形を したガス雲が、地上に落下する方向でなく上空へ飛び立つ方向に見える姿が印象的で す。

   38cmドブソニアンのオーナーがBINOをさして「M42や二重星団など明るい大き な対象はドブソニアンよりも良く見える、ドブソニアンは集光力で今まで見たことの なかった星雲などを見せてくれるが、この双眼望遠鏡は見慣れた星を見たことない 程、美しく見せてくれる」そして「夏の遠征観測会では射手座周辺をゆっくり見たい ので30分くらい独占して使わせてくれ!」(本気で言ってるみたいだ...)

   最後に私の私見ですが、天体望遠鏡を使う回数でなく、覗く時間でコストパフォーマ ンスを考えるならBINOはとてもコストパフォーマンスが高いと思います。 今回の比較観望会において17.8cmEDでも38cmドブソニアンでも、ほとんどの 人が覗いても10秒程度でアイピースから目を離しましたが、BINOを覗いたときだけは誰 もが1分くらい(声をかけなければいつまでも?)は覗き続けていました。 椅子に腰掛けて、飲み物を用意して、静かな音楽でも聴きながら、いつまでも覗きた くなる、そんな望遠鏡です。

   同じ土俵では比較は難しいのだと思います、今回の比較観望会ではBINOの得意分野で の比較が多かったですし、空のコンディションもBINOに有利に働いた気もします。 それでも、大きな望遠鏡に挟まれながらのED130SS-BINOの大健闘の一夜でした。

野木孝一
Koichi Nogi

野木さんのサイト:”蒼い星”


管理者のコメント;
  野木さんはご夫妻でBINOの引き取りに来てくださいました。 野木さんはもとより、奥さんも大変素敵な方でしたが、 このBINOに愛称(Blue)まで付けてくださいました。それまでは、星見にやや傍観的だった奥さんが本当の意味で星に興味を 持ち始められたそうで、大変嬉しく、光栄に思っています。

   それにしても、最初から強豪を相手にされたのですね。私も15cmホタロンBINOを作るまでは、屋上のドームの中には、中型の赤道儀に15cmニュートンと
8cm屈折を同架していました。やがてコンパクトなコロ付きの低い架台に載せた8cmBINOを作り、本来主役であるはずの前者の周りで使用していましたが、 その8cmBINOを見るようになった途端に15cm反射は一切覗かなくなり、deep-skyは8cm-BINO、惑星と二重星は長焦点8cmアクロマートという時期がしばらく 続いたのでした。 ということから、敢えて不適切な比較をしますと、BINOには総合的に見て、確かに倍の口径の単体鏡筒を凌ぐ魅力があるように思います。

  それと、野木さんが指摘されたように、BINOは生体である私たちの能力をそのまま増幅してくれることが、その魅力の大きな部分であろうと思います。  巨大望遠鏡による電子化された画像がwebを通して簡単に入手でき、ジャンボジェットで世界中のどこにでも運んでくれる現代ですが、それは古代から私たちが夢に描いた ”空を翔ぶ”というイメージとはほど遠いのでは ないでしょうか。”全身に風を受けて羽ばたいて飛ぶ”、BINOは私たちのそういう夢をかなえてくれます。

  野木さん、ストレートで分かりやすく、すがすがしいリポートをありがとうございました。どうぞこれからもご夫婦で 美しい星空に浸ってください。