久しぶりに眼のはなし

 

1.私は近眼だから一生老眼にはならない。

2.私は近視用のメガネを外して、裸眼で近くが良く見えるので、老眼ではない。

上記は、どちらが正解なのでしょうか。 実は両方とも間違っています。

まず、眼の光学的な構造を、単純なレンズ一枚のカメラにたとえると理解しやすいと思います。 人によってカメラの暗箱の深さは異なりますが、これは不問にし、無限遠のピント位置(レンズを一番引っ込めた状態)での焦点とフィルム面との相対位置のみを問題にすることにします。  正しく製作、調整されたカメラなら、レンズの無限大表示位置で無限遠の目標の焦点がフィルム上に結像しないといけません。

レンズの表示が無限大の位置で焦点がフィルムの前(レンズ側)にありますと、当然ピントはぼけており、レンズを前に出してもぼけがひどくなるだけで、補正は利きません。これが近視の状態です。
これは、凸レンズの度数が強すぎると解釈でき、その強すぎる分の度数分と絶対値の等しい凹レンズを装着させることで、凸レンズの作用を弱めて、無限遠の焦点がフィルムに結像するようにするのです。
レンズの表示が無限大の位置で焦点がフィルムの後ろにある状態のことを遠視(老眼ではない)といいます。遠視はレンズを前に出す(水晶体を膨らませる)ことでごまかせるので、気付かないことが多いですが、理想的な状態でないという意味では、前記の近視と同じことです。

以上は、レンズを一番引っ込めた状態(無調節状態)での焦点位置を分類したものであり、その時の無限遠の焦点がフィルム上に無い状態のことを屈折異常と言うのです。

老視(老眼)というのは、レンズの前後の移動範囲が加齢によって制限されるものです。これは万人が免れないものであり、最終的には、無限大の位置(一番レンズを引っ込めた状態)での固定焦点(レンズが全く動かない状態)になります。現象としては、近点距離(ピントが合う最短距離)が老視の程度に応じて遠ざかるもので、これは屈折異常の種類とは無関係に発生します。ただ、屈折異常の度を補正(メガネ等で)した状態でないと、平等な比較は出来ません。

「わしゃあ、メガネがなくても近くが見えるから老眼じゃあないわい!」 と言われる頑固なおじいさんも、現象のトリックを自分の都合の良いように解釈しているに過ぎません。 このトリックを理解するには、屈折異常を数字で理解する必要があり、ちょっとご説明したいのですが、決して難しくありませんので、逃げないで、最後までお読みください。^^;

一般に良く知られた視力の数値に、見分けられる2点の最小角度を”分”の逆数で表したものがあります。 例えば、私の視力は0.7とか、1.0とか。これは、数が大きいほど良く見える眼だと言えますが、自覚的な見え方を数値で表したもので、定性的な要素の強い数値であり、先の屈折異常度(最初に説明したカメラのレンズの度の過不足量)との数値的な相関はないのです。

屈折異常度は、さきほどのカメラのレンズの*度数と同じ”D”(ディオプトリー)という同じ単位で補正(必要)量を表したものです。度数は、レンズの焦点距離(単位はメートル)の逆数です。無限遠にピントが合っているカメラで1mの距離にピントを合わせるには、1Dのレンズの追加で、50cm(0.5m)なら、2Dの追加でピントが合うというわけです。

ですから、さきほどのおじいさんがマイナス(凹)4.0Dの近視としますと、調節力(眼の場合は水晶体を膨らませる動作、カメラの場合はレンズを前に出す動作)がゼロであっても、メガネを外しますと、プラス(凸)4.0Dの追加度数を加算したことになりますので、25cmまで見えることになり、近見についての不都合はないわけです。(この方はマイナス(凹)4.0Dの近視用の矯正レンズを装用した状態で正視になっている眼なので、そのマイナス(凹) 4.0Dを取り除くと、正視の人がプラス(凸)4.0Dの老眼鏡を掛けたのと同値になる。)

しかし、このおじいさんが若かった頃、たとえば5.0Dくらいの調節力があった頃であれば、マイナス4.0Dのメガネを掛けたままでも20cmまで、メガネを外せば10cm近くまで見えていたのです。 ですから、このおじいさんは、正確には、「わしゃあメガネなしで近くが見える。」と言うべきではなく、「若い頃はメガネを外さなくても近くが見えていたが、近頃はメガネを外さないと見えなくなってしまった。」と言うべきなのです。

*度数: レンズや眼の屈折異常の度数は、重ね合わせが可能で、自由に足し引きできるのです。 つまり-1.0Dと-2.0Dを重ねれば-3.0Dに、-3.0Dに+3.0Dを重ねれば0.0Dになります。これが焦点距離だと、焦点距離1mのレンズと焦点距離2mのレンズを重ねても焦点距離3mのレンズにはなりません。”度数”の方が取り扱いが便利と言えます。 -4.0Dの近視は-2.0Dの近視の2倍強い近視だと言えますが、裸眼視力0.2の人が裸眼視力0.4の人と比べて、2倍強い近視だとは言えません。)



“hama-san”さんが投稿くださいました。

masan
FS102-BINO
 奈良在住の”hama-san”です。ご無沙汰しております。 (9月初旬に、EMS-L中間筒の交換をお願いした者です)

 おかげさまでこの度、FS102-BINOが完成いたしました。

 先週末(12月11日)、無事にファーストライトを済ませて参りました。 やはりEMS-BINOのヌケの良さは素晴らしく、 特に、散開星団の微光星の緻密な美しさは独特の世界でした。 さすがにFS102だけあって、星像が針で突いたように小さく、 星団の中に点在する、異なる色の星が印象的でした。 考えてみれば、無遮蔽の屈折光学系+反射2面という構成ですから、 最もロスのない正立の宇宙がそこにあるのだと言えるかもしれません。 私自身痛感したことですが、プリズム式の双眼鏡を使っておられる方が、 広視界&クリアな星像に歓声を上げておられたのが印象的でした。

 以前からドブソニアンを使っております経験上、 フリーストップがお気軽観望には必須だと考え、 鏡筒の前後のみならず、上下のバランスも考えて耳軸位置を設定しました。 また、耳軸は真鍮で作製していただき、結果として、 HF経緯台に載せただけ(さすがに危険ですが)でもフリーストップとなり、 200倍以上での惑星の観望も容易で、この点はこだわって正解でした。

 また、F8という無理の少ない光学系であるため、 ワイドスキャン30mmでも周辺まで十分満足のいく星像が得られ、 27倍、視界3度から280倍の惑星までこなす、 まさに一生モノの一台となりました。

 初めてEMS-BINOの存在を知ってから4年になりますが、 その間、ネットや観望会で知り合った方々のおかげで、 思いもよらずスムーズにBINOを組み上げることが出来ました。 まだ、鏡筒の長さから来る振動等、解決すべき問題はありますが、 それ以外は、現段階でも非常に満足しております。

                              
hama-san


管理者のコメント;
 hama-san、素晴らしいリポートをありがとうございました。
    いやー、本当に立派なBINOが完成しましたね。 正直、驚きました。 各所が実に合理的で、しかも丁寧に加工されていて、本家の仕様が恥ずかしいくらいです。

  EMSのみをご提供した場合、最後まで見届けられない場合が多いので、こうして完成した姿を 見せていただくのは、この上ない喜びです。

 物を作るということは、出来上がった”物”には見えて来ない苦労があるものです。製作者は 材料の調達から外注加工の依頼先まで開拓する必要があり、それらを全て含めて、hama-sanの快挙に 拍手を送りたいと思います。