EMS-BINOは日食観察にも圧倒的・・! / Overwhelming vantage of the EMS for observing eclipse

 先日の金環日食、当地は金環帯から外れておりましたので、長野県の 中部 野辺山高原に遠征してきました。

 EMSbinoとLX200経緯台の食観測に対する圧倒的な優位性は ここでも証明されました。 太陽は600mm程度の焦点距離で一眼レフで撮影するのはさして難しいことでは ありませんし、通常の三脚でも可能ですが、快適に、となると状況は 一変します。

 EMSbinoの片側をカメラ、もう一方を眼視としてアライメントセット済みの LX200で追尾した場合、それこそ撮影も観望も鼻歌交じりで出来るほど 簡単で、しかも右側EMSのミラーシフトノブは、微妙に差異がある左右鏡筒の 方向の違いを瞬時に調整でき、常にカメラの撮像面の中心に太陽を 捕らえながらかつ眼視アイピースの中心にも太陽が置くことが出来ました。

 この使い勝手のよさはおそらく小型ドイツ式赤道儀で、かつEMSが 無いシステムを使用されている方には実感が沸かないかもしれません 。勿論ドイツ式赤道儀は極軸を中心として回転するシンプルで堅牢 な機構故、長時間露光の写真撮影では優れた能力を発揮しますが、 楽な姿勢での観望と短時間露光の連続コマ撮影を臨機応変に同時進行 させることが必要な食観測では、EMSシステム+自動追尾式経緯台 に明らかな優位性があります。

 ただ、観望地は地面の土が軟らかく、カメラのシャッタを切るたびに同架したビ デオに微振動が伝わってしまったこと、また隣で動作させていたGOTOのマーク X ベースモデルの電源を入れるのを忘れて明後日の方向を向いていたことなど事前 調査不足と初歩的ミスもありました。
 またビデオ、スチールともに手元にあったレンズでは少し拡大率が 足らず、ベーリービーズがわずかしか写らなかったことや、 最初計画していた、大きく露出オーバーになることを覚悟の上で撮影して 欠け際でプロミネンスが写るかどうかの検証も結局はしなかったこと など、反省もあります。

 ただ、総じてEMS とLX200のお陰で、相当に楽な(その分観望と撮影に 集中できる) 観測をすることができました。

 出来はぱっとしませんが、撮影した写真、そして動画を掲載しました。 お時間の許す折、もしよろしければごらんください。
http://sky.geocities.jp/usagitohoshi/annular-eclipse2012/eclipse2012.htm

Osawa

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

 このコーナーに今までに3度ご投稿いただいている大沢さんが、愛用のFC76-BINO on LX200で5月21日の金環日食を満喫されました。

 静止画も動画も大変素晴らしいですが、会心作ではない由、より高みを目指しておられると理解しました。 

 柔らかい土の上にセットされたとのことですが、動画を拝見し、LX200の追尾性能はなかなかのものだと思いました。 フォーク式の経緯台は、BINOの架台として、安定性、操作性とも、理想的なものですが、自動追尾(かつ導入)の機能が付けば、鬼に金棒で、今回のような日食や惑星 観測等、圧倒的な効果を発揮すると思います。

 フォークタイプではありませんが、同じミードから、LX80という、ドイツ式とタワー型経緯台兼用のGOTO架台が非常にリーズナブルな価格で発売され、徐々に評価の高いレビューが出始めていますが、私も今、この手の架台に注目しています。 2台のBINOを両サイドに搭載する等、構想を練っています。

 大沢さんの写真は、天体に限らず、非常に美しいので、サイトの方も参照してみられることをお勧めします。 

 大沢さん、今回も非常に価値の高いリポートをまとめてくださいまして、誠にありがとうございました。 6月6日の金星の太陽面通過も、観察できましたら、ぜひよろしくお願いいたします。

Osawaさんのサイト

大沢さんの過去のリポート
FC76-BINO on LX-200
日食観測
EMSbino120L

Enocder sockets of the Center Mount/ 中軸式架台のエンコーダソケット

Enocder sockets of the Center Mount of the BLANCA130EDT-BINO are in the making. It is very important that details of the plan is carefully examined before processing the principal part. Otherwise, you would later have troubles in making.
 新型の中軸式架台(130EDT-BINO)では、エンコーダを完全に内蔵するために、いろいろと腐心しました。 発案しては後で問題点に気付いたり、より良いアイデアが出たりで、何度図面を描き直したか知れません。 中軸の限られたスペースにエンコーダをどうセットし、ケーブルや中間ソケットをどう這わせるか、末端ソケットは 2軸共水平回転ドラムにセットするか?等々、随分と悩みました。
 最終的には、水平回転ドラムには水平用のエンコーダのソケットのみ配置し、垂直回転エンコーダのソケットは 垂直回転軸(中軸)プレートの下にセットすることにしました。 元々電子工作に慣れていないので、詳しい友人の 助けも借りたのですが、ところで、写真3の中間端子(白い部品)はソケット用のネジ穴内径よりも幅が広いのですが、 ケーブルを切らずにどうくぐらせたと思われますか。 この手の工作に馴れた方には当然なのでしょうが、 この当たり前のことですら、気付くのに長時間を要しました。^^;
 物を作る時、主要な部分から着手したいのが人情ですが、むしろ、先に末端のパーツを確定するのが良いことの方が多いようです。 たとえば、筒物を作る際には、ポリキャップの規格を把握してから、それに合わせるべきで、 でないと後で泣きを見ることになります。
(ハイランダー架台の垂直アームは今、アルマイト加工に出しています。 戻れば速やかに完成する予定です。)

Proximate Annular Eclipse” 近金環食!

Contrary to the relatively pessimistic weather forcast, we were blessed with almost perfect clear sky this morining. This photo is taken by the hand held collimation on my 10cmF5-BINO(restricted to 50mm) at 7:06, about 30 minutes before the deepest eclipse. I could not make shots of the climax because so many friends, neighbors, and pedestrians gathered to watch it. The ring is split here, but such deep eclipse is very rare and I am very happy to have been able to watch and share the eclipse with my friends.

P.S.: My daughter, medical student living separate, later sent me the right photo she took by the holes of loose leaf sheet. “Sorry Daughter that I forgot to send you the watching glass in advance.”

写真は10cmF5-BINO(5cm絞り)による手持ちコリメート。 最大食から約30分前の7時6分。 天気予報が外れ、ほぼ快晴下で、観察できました。

友人、近所の人、通行人(通学中の高校生等)で大いに盛り上がり、ピーク時の撮影は出来ませんでしたが、多くの友人知人と感動をリアルタイムで共有できて幸せでした。

医学生の娘(こちらに居ないので今回一緒に観察できなかった)が後で右の写真を送って来ました。 ルーズリーフの穴を利用したとのこと。

BORG76ED-BINO

 今年2月Megrez90-BINOを製作していただきました。それのEMSを兼用してより軽量なBINOを試作してみましたので紹介させていただきます。

【経緯】
2年前にシュミカセ(C11)を購入し、このファインダーとしてBORG100アクロ(EWV32 20倍4.1°)を同架していました。これだと導入したい対象がほとんど確認できてしまうので導入が非常に簡単になりました。そしてこのファインダーをいつかは対空双眼鏡に置き換えたいと常々思っていました。 Megrez90-BINO製作時はC11にEMS-bino同架することは考えていなかったのですが、黒木様のBORG71FL双眼望遠鏡 プロトタイプ(自作)のユーザレポートを読ませていただき、これならC11に同架できるかもしれないと直感し、松本様に相談しながら2本鏡筒を並べて試作してみました。

【BINOの仕様】
・ 重量5kg以下
・ 片持ちのL型プレートで保持
・ EMSはMegrez90のものを兼用(EMS-L目幅ヘリコイド仕様)
・ 鏡筒は10cm単眼の光量となるよう7cmクラスのアクロマート
・ 視野はファインダーの導入機能として4°程度、倍率は散開の鑑賞に最適な20倍程度 

【試作結果】
・ 鏡筒はSYNTA やBOSMAの安価な8cmアクロマートを検討したのですが、鏡筒の切断や接眼部の交換が必要でそれらを2本用意する費用を考えると手持ちのBORG76ED に1本新たに中古鏡筒を探して購入することにしました。(この入手が一番苦労した点です。)

・ 鏡筒の構成は76EDレンズ【7800】【7801】【7507】【7508】と最新の軽量のヘリコイドLⅡを採用しました。BORGはパーツを揃えると高めですが、軽量で鏡筒長がパーツで調整可能なのでbinoの素材としてはうってつけです。

・ 製作に関してはL型のアルミプレートを製作依頼しました。
・ 鏡筒の平行調整は遠くの鉄塔を見ながら行いました。
・ 組立したところ重量はアイピースを除いて4.8kgでMegrez90の約半分の重さで片手で楽に持てます。

・ 作動感は試しにポルタ経緯台に搭載したところちょっと水平回転が重い感じでした。C11を搭載しているT-Mount改ではバランスをとると水平15°位から天頂までフリーストップで動きます。また水平回転も左右の重量バランスがとれて軽快に動きます。

・ 視野はEWV32mmで16倍 5.4°瞳4.9mm、アメリカンサイズのSW24.5mmで20倍 3.3°瞳3.6mmとなりました。

【実視結果】
 先日2回目の遠征でようやく実視できました。場所はホームの赤城山です。 さそりが南中し夏の天の川がなんとか見える当地としてはまずまずのコンデション。 アンタレスでファインダーの光軸合わせをしながらbinoを見るとM4が見えたのでそのまま主砲C11でM4を確認。球状星団はやはりC11には敵いません。 先に沈みかけている春のディースカイをチェック。M81,82ペア、M51、M101、M3、M65,66ペアを確認。 その後南に戻りM6,M7を導入。散開はbinoでないと入りきりません。とてもシャープに見えます。 そして夏の銀座M8,M22,M17と射手座からM11方向へ散策。さらに上っていくとコートハンガーが入ってきました。binoでは余裕で入るのでかわいらしく見えます。 M8などはbinoで星野の中で見ても主砲で拡大してみてもきれいに見えました。 M57もこの倍率ですがbinoでなんとか確認できました。そしてM27も容易に確認できます。網状星雲は見つけられませんでした(フィルタ無では無理?)。見忘れたM5を見て後ろをみるとカシオペアが上がってきたのでET星団を見て最後に天頂にあって後回しにしていたM13を見て薄明を迎え本日終了。 導入対象の見え方に関しては比較している空のコンデションが違うのですが単眼の100mmアクロに比べて双眼の76mmアポは互角以上と思われます。 このbinoは計画通り導入及び散開星団の鑑賞と活躍してくれました。

【課題】
・ ヘリコイドの作動ですがEMSと2“アイピースでは作動が重く、フロントで使わないと厳しいものがあります。まあ途中アイピースは交換しないのでよしとすることにします。

・ 構造がアルミプレートに鏡筒バンドをただ乗せただけなので光軸が自宅で調整した状態と少しずれたようなので保持方法を改善していきたいと思います。

【最後に】
 長年イメージしていたシュミカセ+対空双眼のシステムが具現化できとりあえず嬉しくて報告させていただきました。口径からするとC11が主砲ですが大きな対象に対しては広視界の76ED-binoが主砲となります。まだまだ気づいていない問題があると思いますが徐々に改善していきたいと思います。
 また76EDbino単体での軽量・分割性を生かして、海外遠征に持参し昼間は片側で日食の撮影と片側で観望、夜は双眼観望鏡として南天の観望などと夢を膨らませております。
 EMS歴3ヶ月の素人ですがEMSと市販品のパーツを組み合わせで高性能な双眼望遠鏡ができてしまうのですから、EMSをここまで進化させてきた松本さんに改めて感謝いたします。 またユーザーレポートを書いてくださった黒木様にも感謝いたします。

埼玉県 Y 

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

 Yさん、Megrez90-BINOに続き、 BORG76ED-BINOのご成功、おめでとうございます。

 まずは、某業者さんによるTマウントの改造が見事ですね。  改造後の形式は、常に重心が水平回転軸上にあるので、力学的に有利で、経緯台として 高性能が期待できますね。 鏡筒の下に干渉物が無いことによる開放感も捨てがたいですね。
 片側にバランスウェイトでなく、BINOをセットされた点が良いですねえ。 実に無駄がありません。 (左右共BINOになるともっと良いのですが^^;。)
 ところで、こうしたセッティングでは、左右の光学系の 光軸が完璧に合致していると、楽しさも倍増し、そうでないと半減するのですが、Yさんに お聞きしたところ、垂直方向はアリ溝と架台の取り付けのバカ穴の範囲で、水平方向は BINO側の鏡筒バンドの取り付け部で調整されているそうで、さすがです。

 この手のT型架台で私が今非常に注目しているのが、やっと供給され始めたMEADEのLX80です。 自動導入のGOTO架台ですが、非常にしっかりしているようで、搭載可能重量が桁外れです。 4月28日~29日にニューヨークで開催された望遠鏡フェア(NEAF)では、米国の代理店さんが125SD-BINOを LX80に搭載して展示されました。 この段階では、まだ実際のフィールドではチェックできていませんが、近日中にこの架台の最終的な評価が得られる予定です。( 以下のYOUTUBEの後後半にちらっと登場します。)
NEAF10分間ツアー

2014年5月4日追記 掲載時とのタイムラグにより、LX80架台に対する評価が今では変わっていますので、責任上、 現状を追記させていただきます。
 まず、掲載時は極端な円高とあいまって、LX80架台の非常に高いコスト/パーフォーマンスに注目したのですが、現在では円安が固定して値上がりしたこと により、価格的な魅力は半減してしまいました。

 次に、電子系統が脆弱(過電圧に対する保護回路が不十分か?)のようで、端子の差し間違いで一瞬で回路がパンクする等の問題が確認 されています。こうした開発初期のトラブルは一般的に珍しくないのですが、メーカーの修理対応に月単位、年単位の時間がかかることの 方が問題で、現状ではお勧めできない状態になっています。 メーカーの製品自体の供給もストップしているようで、改善を模索しているのかも分かりません。  ということで、性能が完全に安定するまで、まだしばらくは様子を見た方が良さそうです。 以上、当リポートとは無関係ですが、 LX80架台の評価について、訂正いたしました。

EMS-UXL-Super Premium completed / EMS-UXL-Super Premium 完成

“EMS-UXL-Super Premium” is completed !

Photo3: Over-sized second mirror will allow still more larger oculars such as 40mm wide field.
Photo4: 60X120mm elliptical mirror will grasp the whole of the light cone from 250mm aperture objective.
Photo2: The special rod between the fixed barrel and the last tube from the helicoid will cancel the focus change in adjusting the IPD. And it will also reinforce the total mechanism of the EMS.
Photo7: The helicoid is the one which is customized for the binocular use; very rigid and smooth. And reversed screw for the left (right) one enables the ergonomic operation in adjusting the IPD.

ようやくEMS-UXL-Super Premiumが完成しました。 25㎝3枚玉アポ(長焦点)BINOの 高度な要求に応えられると確信しています。EMSを発売して23年目に至り、今までの 懸案が全て解決しました。 左右の鏡筒を完全に固定でき、眼幅調整に追加の 反射を要求せず、目幅調整時にピント移動も生じないということです。