ニューヨークの小川さんが投稿してくださいました

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 EMSの発明者である松本龍郎氏とのお付き合いが始まってから早いもので、まもなく2年になります。 インターネットで松本氏のホーム・ページにアクセスしたのがきっかけでした。 直ちに一番小型のEMS-Sを注文し、送られて来た実物を使用してみてその優れた点を認識致しました。

 申し遅れましたが、私はニューヨーク州に在住している小川と申します。 近郊の人達がザ・シティと呼ぶ大都会のマンハッタン(ニューヨーク・シティ)から50マイル(80キロメートル)程北西にある小さな町に住んでおります。

 大都市の近郊にしては空の状態はまずまずで、夏は晴れていれば肉眼で天の川が見える状態です。 しかし現在までの経験ではシーイングは年間を通じてかなり悪い方かもしれません。 また緯度が北緯41度半と高緯度ですので、今年いて座で接近を迎えた火星などは南中高度が低く、悪シーイングにがっかりしたりイライラしたりの状況です。

 さてEMSの話に戻りますが、それまで天頂プリズム或いはミラーの使用には何の疑いも持っていなかった私でしたが、EMSを使用する様になってがらりと認識が変わりました。

「天頂プリズムの裏像を何とかしたい、従来から方法が無かった訳では無い、90度正立プリズム方式があったが、天体望遠鏡のように様々な接眼鏡を自由に入れ替えたり、時には数百倍を使用するようなシステムの中では像の劣化を防ぐことは非常に困難、或いは殆ど不可能だった、だから正立は諦め、改善としてはせいぜい高精度ミラーを使用する程度で、依然として裏像の天頂ミラーを使用せざるを得なかった」
 これがEMSが世に出るまでの天頂観測手段に対する実情であったと思いますが、EMSは高精度ミラーを独自の方法で巧みに組み合わせてこの永年袋小路に入っていた論議に決別を付けたと言っても過言ではありません。(EMSが存在する今も尚、何故か上記の状況が業界の主流なのは残念です)
  事実EMSを使用する様になって私はもう全く天頂ミラーを使用する気がなくなってしまいました。 眼視に限れば裏像には真実はありません。 EMSは言わば肉眼で物を見るその延長で天体を見る、この当たり前のことを空のどの部分においても明快に実現してくれたのです。


 そのEMSを使った15cmの双眼望遠鏡を松本氏が計画しているニュースを知ったのは昨年の8月でした。15cmの双眼望遠鏡を、手の届かないような価格ではなく、我々にも購入可能な価格でしかも今までに例のない簡便なマウントに乗せてというのがコンセプトでした。

 ご承知のように15cmクラスの双眼望遠鏡は従来から優秀なものが市販されております。 しかしそれは固定倍率または狭い選択範囲の交換アイピースを持ったプリズム双眼鏡です。 ですから天体望遠鏡の双眼式のものが欲しいと思っていた者にとってはこの発表は突然の朗報でありました。 早速申し込みの手続きを致しました。 私の製作番号はNo.7、とても好きな番号でありました。 この15cm双眼望遠鏡はカサイ・トレーディングのシュワルツ15cmf8鏡筒にEMSを組み合わせ90度対空にした2本の鏡筒を松本氏が新設計した経緯台に装着したものです。

 あらゆる部分に氏のアイデアが生かされていますが、目的として15cmという口径の双眼望遠鏡にも関わらず手軽に分解組立が可能で、かつ簡便な取り扱いが出来る稼動率最高の望遠鏡を目指したものです。実際に使用した実感としても納得のゆくものでした。

  私の観望場所は自宅から5m(5kmではありません)程離れたコンクリートの遊歩道です。 ここは私の住むコンドミニアムの敷地内で外部からの来訪者はありません。 夜中には全く歩く人もおらず各家の灯りも消えて格好の観望場所を私に提供してくれています。 またここは夜が更けると時にはスカンクや野生の鹿がやってくるような自然の溢れた所でもあります。 また冬場の極寒の観望でも何時でも自宅の温かい部屋に秒速で飛び込めるので助かります。

  正面が南で、背後の北の空が建物によって高度40度から下が見えませんが、南は高度4度以上は観望可能です。さてこの望遠鏡は脚部にキャスターが付いており住宅内から手軽に転がして行ける特徴があります。 実は現在使用している28年前の古い20cm反射赤道儀(木辺鏡・西村製)にもキャスターを付け同様に転がして設置場所に移動出来るよう、自分でベースを作りましたが、こちらは120キロ程の総重量がありますし、キャスターの直径も小さくてガラス戸のレール部分を越える事が出来ず板材でランプ(傾斜路)を作って何とかクリアさせています。 しかも上部が重くてバランスを崩し易く、一度転倒させてしまった苦い経験があります。

 その点この15cm双眼望遠鏡は重量が60キロ程度でキャスターの直径も大きいため、レール部分もそのまま一脚ずつ直接乗り越えさせ、後は転がして行くだけですので設置も撤収もあっと言う間に済んでしまいます。 所期の稼動率最高の狙いは見事当たっていると言えます。

  更にこの望遠鏡の美点の一つは意外にコンパクトで、格納場所に困らないことでしょう。 格納する時は格納場所まで転がして行き、鏡筒を垂直に立てると望遠鏡はスリムなフォークの幅に主要部が収まってしまいます。 さて観望の為、設置場所に着いたらキャスターのストッパーを念のため掛けて設置完了、後はすぐ観望が始められ15cm双眼望遠鏡の素晴らしい世界が始まります。 この経緯台はフリーストップタイプですが、高度変化は水平から天頂まで完全バランスが実現され、適当なフリクションがあって殆どバックラッシュがありません。

 狙った目標にファインダーの十字線がピタリと止まると言う事は誠に気持ちの良いものです。 水平回転はガタが全くない上に、所謂シルキー・タッチで初期トルクも軽く、動き出せばまるで低速のモーターでも付いているような錯覚を覚える程スムースです。 しかも軽過ぎて困ったという経験はありません。 実際に起ったエピソードを紹介しますと、日中視野に飛行する航空機を捉え、水平回転で追っていた所、目標のスピードが落ちて停止したかのように思ったのです。 実際に飛んでいる航空機が空中で止まる事はありません。 他に比べる対象のない空の中、あまりにスムースな回転の為、自分が望遠鏡を動かしていることを忘れてしまったことに拠る錯覚でした。


 高度・水平の各回転軸にはクランプが付いていますが、通常はまず使うことはありません。 むしろこれは左右鏡筒の光軸を合わせるなどの調整用に使用すると考えるべきでしょう。

 松本さんのHPを見て頂ければ分かりますが、双眼視というのは相当複雑な要素が絡み合っているらしいのです。 鏡筒の左右の光軸の一致の他に、視野の相対的な回転や傾きもありますし、人間側にも眼に極端な癖のあるケースもあるとのことです。
 私個人もどうも潜在的な斜位があるらしいのです。 斜位(しゃい)というのは左右の眼の軸が平行でないことで、斜視とは違い外観には現れず普段の生活では問題ありませんが、例えば双眼鏡を覗くなどのケースにおいて、時として視野が一致せずダブって見えることがあります。 つまり日常では問題は顕在化していませんが、特殊なケースでその欠点が現れることがあるらしいのです。 そこで私のようなケースを潜在的な斜位と呼ぶとの事です。 (私はこれまで自分では顕在的なシャイ〈a shy person〉と思っていましたが…?)

  さてそんな具合ですから視野が美しく一致して見えるのかと心配していましたが、それは杞憂でした。 右側鏡筒のEMSに装備されたイメージ・シフターの存在がその心配を吹き飛ばしてくれました。 様々な原因で起る左右視野の相対的な誤差をイメージ・シフターがキャンセルしてくれるからです。 イメージ・シフターはニ方向に独立してミラーを微小に傾ける事で、右視野の中の映像をX,Y方向に別々に移動させ、左鏡筒の視野との相対的なズレをキャンセル出来る便利な言わば、最終兵器です。

 それは右側EMS側面の二本のローレット付きネジを回すと言う簡便な操作で実現出来ます。 しかしその前に左右鏡筒の平行度など基本的な誤差を最小に追い込む必要があるのは勿論です。

 シュワルツ15cm屈折鏡筒は焦点距離は1200mm、f8のアクロマート鏡筒です。 f8のアクロマートですから確かに月のリム等に着色が認められますが、イメージ自体は大変シャープです。 アイピースに例えばTeleVueのPanopticクラスを使えば最周辺までピンポイントの星像が得られます。

 15cmの屈折といえば以前はアマチュアにとっては文字通り高嶺の花で公共天文台にあった屈折赤道儀の主力でした。 以前良く通った明石天文科学館(震災前の)の塔頂上の観測室の望遠鏡も15cm屈折赤道儀、そう言えば国立天文台・岡山天体物理観測所の188cm反射望遠鏡の2本のファインダーも15cm屈折でした。 そんな憧れの15cm屈折鏡筒を2本も使った双眼天体望遠鏡を自分が所有することなど以前は考えてもいませんでした。 良い時代になったものです。(現在の若い方からすると、実感の伴わない話かも知れませんが、これは現在の水準から見ればとても粗悪な6cm屈折経緯台からアマチュアとしてのスタートをせざるを得なかった私の世代の感慨なのです)

 接眼部はシュワルツ鏡筒のラック・ピニオン式合焦装置を取り外し、独自のスライド式合焦装置に変更されています。 私の場合は2インチ・アイピース専用にこの接眼部を使用し、1.25インチ・アイピース用にはオプションの直進ヘリコイド式を求め使用しています。


 ファインダーは標準で8X50と等倍ファインダーであるRigelクイック・ファインダーの二つが付いて来ます。 Rigelクイック・ファインダーは仏壇の位牌のような変わった形の透視型ファインダーですが、おおよその狙いをつけるのに大変便利です。 投影されたレチクルが点滅する機能も組み込まれています。

 8X50の方はシュワルツ鏡筒に元々附属しているものですが、思ったより見えが良いので気に入っています。 さて、この15cm双眼望遠鏡のファーストライトでの印象は視野が明るく、光に満ちているということでした。 雲間に見え隠れする恒星ですら輝きは強く、視野に入って来る恒星の等級の見当が最初は付きませんでした。

 ケーニッヒ40mm・30倍・2度の視野は全く新しい体験を私にもたらしてくれました。 正立で明るい2度の視野は星図やイメージする星座の配列と一致し、ファインダーなしで目的の星雲・星団への道筋が辿れる位です。

 こと座βとγとその中間にあるM57環状星雲を全て同視野に見る事が出来ます。 また当てもなく星野を流していて気付いたのは二重星の数と通り過ぎる人工天体の多い事です。

 しかしここまでは15cmの市販の双眼鏡と同じかもしれません。 この双眼望遠鏡の優れた所は、市販のあらゆるアイピースを使用して自由に、場合によっては100倍を越して倍率を自由に変更出来ることです。 球状星団や惑星状星雲など、低倍率で捉えてから、中、高倍率で詳細を見たいと思う天体は数多くあります。 惑星や二重星もそうでしょう。 惑星は残念な事に木星・土星は現在太陽に近いので、今のところ火星しか捉えていませんが、視直径20.6秒・中央経度230度の火星を240倍で見ているとシーイングの良い時に表面模様の濃淡にも気付いてなかなか良く見えることに感心しました。

 双眼・正立像の良さは接近した惑星を宇宙船の窓から見ているようなもので、火星がどの方向に自転して行くのか等、方位を一瞬で認識出来ることです。 倒立像、ましてや裏像ではこうは行かないでしょう。 無理を承知で400倍でも見てみましたが、輪郭のシャープさは保っていましたから、まず立派なものです。

  この望遠鏡の到着以来、あいにくあまり良い天候に恵まれませんが、先日稀なシーイングの良い時に二重星のテストを行いました。 こと座のダブルεをまず見てみました。 40倍では勿論低倍率過ぎるので分離はしませんが、良く見るとそれぞれの方向に星像が長くなっているのに気付きました。 80倍で確実に分離しますが、150倍では分離した四つのそれぞれの星の周りに一本の干渉リングが取り巻いてくりくりとしたイメージとなります。 これはシーイングの良い時のみですが、この鏡筒の優秀さも同時に物語っているのではないでしょうか。

 次に南のさそり座にあるダブル・ダブルであるν星に向けてみました。 さそり座νは低倍率では大きく離れたニ星に分かれるだけですが、高倍率でそれぞれ1.2秒離れた4.3等星と6.8等星の対と2.3秒に離れた6.4等星と7.8等星の対に分かれます。 観測地の緯度が高いので赤緯マイナス20度付近での1.2秒の対の分離は時に困難ですが、この日は良シーイングに恵まれ問題なく240倍で分離しました。 ついでに近くのアンタレスも見ましたが240倍で2.6秒離れた青い6等星の伴星を確認できました。


 アンタレスとその伴星は角距離自体は分離に困難ではありませんが主星の輝きの為に見にくい二重星の代表格です。 同様なものとしてはくちょう座δがあり、こちらの方は2.9等星の主星に6.3等星の伴星が2.2秒の角距離に位置します。 この日のテストではδは240倍であっけなく分離しました。

 等光の対は分解能ぎりぎりまでのテストが行えますがそれには大変良好なシーイングが要求されます。 この日のテストではちょっと西に周ったうしかい座ζと天頂近い、はくちょう座λを選びました。 うしかい座ζは青い4.5等星の等光の対で角距離は0.9秒です。(この星は1999年版の天文年鑑の連星のリストに15cmのテスト星として記載があるものの角距離が間違って記載されており1.81秒となっております。 もし等光の対で1.81秒なら7cmでも分離出来る筈で非常に矛盾しています。〈天文年鑑の最新版は入手していませんが、既に訂正されているかも知れません〉0.9秒という値は私の信頼し、かつ知り合いである米国の天文家JamesMullaney氏の著書CelestialHarvestに従っています)

 結果は240倍できりっとした長めの卵形に見え、やはり一本の干渉リングに取り囲まれたイメージでした。 卵形に見えるのでは分離した事にはならないかも知れませんが、実際には分離に通常400倍位必要なので、きりっとしたイメージの卵形で大いに満足しなければならないと思いました。

 はくちょう座λの方は更に青い対で角距離0.89秒、4.8等と6.1等の対です。 天頂近いのにシーイングが局所的に悪いのか(この場所では良く経験します、恐らくすぐ背後にある建物の影響かもしれません)、あまりきりっとしたイメージでなく、この日は卵形にも見えませんでした。 再度挑戦する積りですが、マウンティングがフリーストップの経緯台ですので400倍を越えるような高倍率は若干無理があって、実用的には250倍位が限度かも知れません。

 ちなみに松本氏の友人の方がこのシュワルツ15cm鏡筒を赤道儀に乗せたものをお持ちで、先日このはくちょう座λを3日連続で分離に成功したとの情報を聞きました。 恒星に関しては色収差の影響は殆ど感じませんがべガのような輝度の高い青い星の場合に限って紫色がバックに多少出るようです。 でもそれは決して感じの悪いものでなく、先のMullaney氏によると、クラーク等の往年の大屈折鏡でも同じで、紫がほんのりさす純粋な青い輝きは返って忘れられない一種美しいイメージに感じるとのことです。

 また理由は定かではありませんが、しっかり両眼を開けて見る大型の双眼式では今まで見落としていた天体にあらためて気付くようです。 そのホンの一例を挙げると、こと座βの連星系:明るいβの傍に青い4等星の伴星があり更に小さな9等星のピンポイントの伴星が3個取り囲んでいます。

 こと座δの星団:δのオレンジ色とそれを取り囲む星団の星ぼしとのコントラストが美しい。 こと座M57環状星雲の北に暗めですが、アルビレオそっくりの二重星があります。 これはOΣ525という重星で6等のオレンジ色の主星と7.5等の青い伴星でミニ・アルビレオとでも呼びたいような風情です。 へびつかい座の散開星団NGC6633の中にまるで別の星団が重なっているような部分があり、暗く小さなピンポイントの星ぼしが明るめの二つの星の周りに集まっているのが珍しい眺めです。


 これらは、今回実際の観望で気付いたホンの一例ですが、この双眼望遠鏡で見る天体は既にこれまで何十回と見ているものであっても全く新たな感動を与えてくれます。

 これから季節の移り変わりと共に見えてくる新たな天体を見ることがとても楽しみです。 もちろん木星や土星や金星も含めて…。 私は先の20cm反射赤道儀以外にも複数の望遠鏡を所有していますが、恐らく今後もこの15cm双眼望遠鏡が一番出番の多い望遠鏡となるのは確実だと思います。

 それから当地も観望中の結露には悩まされますが、去年からカナダのKendrickDewRemoverSystemという結露除去のヒーターを使用する様になってから、全く悩み知らずになりました。 ベルクロテープ付きで、装着・取り外しが秒速の手軽さ、各鏡筒サイズ別に細かくモデルが設定されており、大変便利です。 この双眼望遠鏡にも対物レンズ用の6インチモデル2本、9X50ファインダー用の2インチモデル1本、それとRigelクイック・ファインダー用1本を使用しています。結露防止の効果は抜群で、一晩中でも安心して観望を続けることが出来ます。

 天体と共に私は昼間の空を眺めるのが好きです。この望遠鏡で昼間見る時は夜と違って南に面した自宅のパティオの硝子窓を通して見る限られた空ですが…。南にはJFK、ラガーディア、ニューアークの所謂ニューヨーク三大空港が数十マイル彼方にあり、発着する飛行機がとても多いのと、悠々と大空を舞う鷲や渡りの為、V字の編隊で行き過ぎるカナディアン・グースの群れなど見る物には事欠きません。

 以前からTeleVueのProntoという7cmの小型望遠鏡にEMSを付けて見ていましたが、15cm双眼で見る迫力には驚かされます。 この昼間の空の観望は全く何が見えるか、予期せぬ楽しみがあります。

 8倍のファインダーでホンのごま粒のような黒点を見つけ、15cm双眼で見て見ると糸の切れた風船で、倍率を高めてその表面にバットマンのマークを発見した事もありました。 渡り鳥のカナディアン・グースの群れを見るのは楽しく、けなげな羽ばたきに思わず頑張れ!と声を掛けたくなる思いです。 雲の形や夕焼けの色も美しいし、私のような大空を友として生きる(このコピーは元名古屋科学館の山田卓氏のオリジナルですが、本当にこの言葉に共感を覚えます)者にとってこの松本式15cm双眼望遠鏡は生涯の友です。 このような既存のメーカーが手掛けないユニークな製品を次々と世に送り出す、松本氏の今後の活躍にますます期待したいと思います。

小川茂樹


管理者のコメント;

 マツモト製品のユーザーの方の中には、単体のEMSのユーザーの方とEMSを使用した双眼望遠鏡のユーザーの方がありますが、小川さんはその両方のユーザーとしての体験を克明にご報告くださいました。
  実際に体験されたことを具体的、客観的に記述されたもので、非常に価値の高い資料をご提供いただきました。

 EMSの存在意義を十分に理解いただいた上で、ご自身の体験を網羅していただきましたので、未体験の方、あるいはすでに体験なさっている方にも、非常に有益なレポートとなると確信しています。

  メールにて、小川さんにはいつも有意義なコメントをいただいていたのですが、今回いただいたレポートは、その集大成とも言うべき大作で、多岐に渡ってEMS等の検証を深めていただき、まさしく製作者冥利に尽きるレポートでした。

 最後に、今回の15cmF8双眼も決して完璧な物ではありませんので、お褒めのお言葉に甘えることなく、より使いやすい物を目指して精進しなければならないことを改めて痛感しましたことを付け加えさせていただきます。



兵庫県の山本さんの最近のメールから抜粋させていたださいました

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 昨日の夜は、貴重な晴れ間で12時まではお月さんも居ないので、のっぽ君を庭に出して、火星とM13を見ました。XL14を購入してから、86倍で観望する機会がなかったので、どうしても見たかったのです。

 火星は、いつのまにか視直径が随分大きくなっていますね。86倍でも表面の模様が結構見えるもんです。おそらく、大シュルティスとおもわれる黒い半島状の模様がはっきり見えました。
 どの模様か、確認するには「火星くるくる」ソフトをダウンロードしないとね。

 そして、どうしても見たかったM13ですが、ちょうど天頂に位置して、なかなか導入できません。
 のっぽ君の架台の回りをぐるぐる回りながら、このへんだろうと向けるのですが、86倍・視野0.75°ではむずかしいですね。
 仕方ないと、Sナビゲーターを接続して垂直を出してからアルタイルとアークトゥルスでアライメントしました。そして、M13を導入すると、一発で視野のすみに引っかかりました。

 いやぁ、素晴らしいながめです。中心までびっちりと星が詰まって、明滅するようにゆらいでいます。光害のせいでバックグラウンドが明るいですが、自宅の庭でこんなにすばらしいM13を見ることができるなんて、5cmを覗いて8cmに憧れていた中学生の頃とくらべるとまるで夢のようです。(ノーフィルター)

 30分以上も、じべた(地面のこと)に座って眺めていました。経緯台で天頂を見ていると、日周運動を追尾する動きが面白いですね。最初は北東側から見ていたのが、だんだん、北へ西へと回っていきました。きっと、マウナケアのすばるもそうなんだろうナ。おもしろいですね。(2001年6月13日)

山本裕三


管理者のコメント;

山本さんは、この15cm双眼望遠鏡を入手されて以来、”のっぽ君通信”(”のっぽ君”は15cm双眼の愛称)として頻繁にレポートを下さっています。
  山本さんは、機械設計者としてのセンスと、持ち前のcraftsmanshipで、のっぽ君を美しくカスタマイズしておられます。
 右の写真はその一例です。
  また、観望会では、見に来られる方のために”のっぽ君紹介カード”(中央の写真)を作成してくださいました。



富山県の岡本さんが投稿してくださいました

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 ところで先ほど国際宇宙ステ-ションを20秒ほど追尾に成功しましたので報告いたします。
 倍率はナグラ-12で100倍です。 水平駆動部にはさらに高粘度デフグリスでチュ-ンしてあります。
 木星ほどにも明るい動く光点が仰角40度にも達してきていました。三島さんのホ―ムペ-ジで仕入れた予報どおりです。かつて40倍での追尾は成功していましたがどうもいまいち形が解りませんでしたが今度は100倍、大きくソ-ラ-パネルを開き、とんぼの胴体にあたる居住部分を連結した様子がよく解ります。
 50度近くのベストの部分ではしゃがみながらの回頭が追いつかず視野から出てしまいました。一度でるとなかなか再導入できず、正立のファインダ-は必需ですね。
 それにしても500キロも離れているとは信じられませんでした。あの中で今も3人の飛行士が活動していると思うとエ-ルを送りたくなりますね。
それではまた。  

岡本吉平


管理者のコメント;

6月3日に岡本さんよりいただいたメールから抜粋させていただき、このコーナーに掲載する許可をいただきました。

自作の40cm反射双眼の写真でお分かりのように、岡本さんのcraftsmanshipには、卓越したものがあります。

 この度のISS追跡観察の快挙にも、高倍率での急な操作での光軸の安定性を増すために、鏡筒間を繋ぐスタビライザーを追加加工される等の的確なcustomizingがその背景にあります。

 実は、岡本さんは、当日の夕刻の接近までに超広角のEMSファインダ-を応急作成、その見口を本体接眼部の真横に配置することによっていとも簡単に導入可能なことと高速移動する高仰角での再導入も数秒ででき、5分近くの追尾ができたことを報告されております。(中央の写真)

 航空機等の早い動きの対象を手動で追尾するのは、完全バランスの経緯台ならではですが、 やはり道具だけではだめで、岡本さんの感性と緻密さが合理的な機材と一緒になって成せる技でしょう。皆さんもぜひ試してみませんか。