メガネの度数(2)

 

快適なメガネの度数の決定に腐心する理由の主なものは、私たちの眼が二つあることです。 このことを説明するのに格好のお客さん(Aさん:20歳代)が今日見えたので、実例に即してお話してみます。

Aさんの裸眼視力は、右が0.15で、左が0.05、一般の方が見ると、かなり眼が悪い方だと思われるでしょう。 しかし、中等度以上の近視(普通の近視)であれば、裸眼視力は0.1以下が普通であり、特に珍しい眼ではなく、また近視自体は病気ではなく、ある意味、身長のばらつきのように、標準の屈折状態から少し外れた眼だと理解しても良いと思います。

問題は、この方の左右の矯正度数がどうなるかです。裸眼視力に左右差があっても、実際の眼の度数(屈折異常度)は大差がない場合もあります。

検査結果は、右=-2.00Dで、左=-4.25D (これに加えて少量の乱視もあった。)で、矯正視力は、左右共1.0くらい出ていました。(矯正視力は個人差がある。)

このままの度数でメガネを作るとどうなるか。5分も掛ければ頭が痛くなり、眼も開けていられなくなるのが普通です。 レンズの歓迎されない副作用として、像の大きさが変わってしまうのです。近視用の凹レンズの場合は、度が強いほど物が小さく見えるという副作用があるので、左眼の方が相対的に小さい像を見ていることになるのです。 脳は大きさの違う左右の像をコンポジットして一つの画像として処理しないといけないのですが、重ねる像の大きさが違うと、脳は非常なストレスを感じることになるわけです。

乱視の場合は、度数に方向性がありますので、向きによって倍率が異なるわけですが、左右で乱視の軸方向が異なる場合、たとえば、正方形を見たとき、微妙に菱形に見え、その変形方向が左右で異なるわけですから、これを重ねてコンポジットするために、脳はかなりのストレスを強いられるわけです。

さて、結論として、どうするかですが、違和感がほぼ無くなるまで、左右の度を歩み寄らせるのです。通常は弱い方の度を強めるわけにはいかないので、大抵は、強い方の度を弱めることになります。

因みに、初めてメガネを掛けるAさんには、右=-2.00D、左=-2.50Dを掛けていただくことにしました。 一般的には、頑張れば左右の差が2.0Dくらいまでは慣れると言われていますが、成人した方が初めて掛けるメガネとしては、左右差1.50Dでも十分辛いもので、敏感な方の場合は、上記のレベルまで慎重にしないといけないこともあるのです。こういうケースでは、数年をかけて段階的に矯正して行くことになります。
この処置によって、度の強い方の眼はぼけて見えているはずですが、両眼開放した状態では、全く問題がない(快適)のが普通です。(右=-2.00、左=-3.00くらいにしたいところですが、欲張ると大抵失敗するものです。^^; )
It’s the last straw that breakes the camel’s back.

蛇足: 幼児(小児)の場合はこの例にあらず。 先日、某病院眼科の処方で、右=+1.0D 左=+6.0D (6歳)というのがありましたが、この子はメガネを掛けた瞬間から、ニコニコして快適そのもの。 子供の順応性、恐るべし。