everyone in my local astronomy club were amazed by its outstanding performance.
that’s my pleasure to intruduce the great product to them.
TS Wang,Taiwan
Innovation of Astronomical Telescope
正立ミラーシステム(EMS)を開発した松本龍郎のサイト。 たった2回の反射で天体望遠鏡の像を正立像にします。
Tatsuro Matsumoto; Inventor of the EMS, Erecting Mirror System. EMS offers non reversed upright image with no additional undesirable abberations.
You can see the older posts at the Internet Archives, too.
1 初めての参加
2016年4月9日(土)から10日(日)にかけて,福島県田村市にある星の村天文台でメシエマラソンに初参加してきました。110個のメシエ天体のうち107個を指定され,一晩でどれだけ見えるかを試みるものです。メガネのマツモトさま制作の双眼望遠鏡の威力を改めて実感したのでご報告します。
このイベントは見えたかどうかは自己申告なので,お気楽なマラソンです。宮城のBINO仲間のWさんから誘っていただきました。本来,午後4時には開会式があったのですが,私は午後6時30分頃,遅れて参加しました。
天文台の砂利敷きの駐車場が観望会場となっており,私が到着して受付を済ませた時にはみなさんセッティング済みでした(写真1)。私はWさんが確保してくださっていた隣のスペースに愛機(15㎝双眼望遠鏡,非銀ミラー)を出しました。Wさんも11.5㎝双眼望遠鏡での参加で,二人とも双眼鏡部門にエントリーしました(他に,自動導入望遠鏡部門,手動導入望遠鏡部門があり,全30名程度エントリー)。
2 宵の口
まずはウオーミングアップ,夕焼け空の月齢1.9の月を導入です。地球照が美しく,すばらしかったです。Wさんからその下あたりに水星があると教えてもらい,探し出すこともできました。
あたりがだんだん暗くなってきたので,最初にM31(アンドロメダ大銀河)を探してみたのですが,これが見つかりません。西方には分厚い雲が残っていたのを割り引いても,薄明の中では見つかりませんでした。当然さんかく座のM33もM74も無理でした。M77は厚い雲のため断念しました。次に,カシオペア座のM52を探してみたものの,既に北西の山の端に隠されていました。薄明の中,出だしからずっこけたのですが,気を取り直して,M103,M34,M45(プレアデス)等を眺めてM76(小亜鈴星雲)に挑戦しました。これは難物でしたが,薄明も終わった頃,何とか頼りない姿を確認できました。
3 冬の星座
午後8時頃からは冬の星座のメシエ天体を片っ端から見ようとしたのですが,西からけっこう雲が流れてきています。しかし機動力ある経緯台・手動のおかげで,雲が去るのを待ちながら観望できました。低空の雲に阻まれたうさぎ座のM79とおおいぬ座のM93を除き,冬のメシエ天体は概ね見つけられました。
このころからは少し余裕が出てきて,お隣に陣取った方とも歓談しつつ,いろいろなメシエ天体を見ていただきました。また,Wさんの双眼で木星を一緒に拝見しましたが,好シーイングとさすがセミアポの解像度!ガリレオ衛星はもちろん,大赤斑も縞模様も美しく眺められました。
4 北天
夜半前は北天しか晴れておらず,北斗七星からりょうけん座にかけての銀河を見ました。広視野でのM81とM82のペアは見応えもあり,お隣さんにも喜んでいただけました。これに気を良くして,他の貧弱な銀河を「押し見せ」してしまったのですが,関東からわざわざマラソンに参加された方だけあって,快くつきあっていただけました。
5 夜半
その後,残念ながらほぼ全天が曇ってしまい,身体もかなり冷えてきたので,Wさんと一緒に休憩することにしました。天文台内に入ると,うれしいことにお湯や味噌汁,コーヒー,紅茶等が用意されていました。配給された菓子パンで燃料補給しつつ,他の参加者のみなさまとも交流できました。
1時間ほど休んで外に出てみると,雲が少なくなっているではありませんか。元気も出たので,早速探索を再開です。春の銀河がたくさんあるので,ここからがなかなか骨の折れる作業でした。特に,おとめ座銀河団を一つ一つ特定していくには時間がかかりました。しかし,実視界が3度以上ある正立双眼で,星図と比較することが容易でしたので,順調に特定できました。空の暗さもまずまずで,南の低空に光害があるものの,メシエ以外の暗い銀河(くじら銀河やエッジオン銀河など)も結構楽しめました。
6 夏の星座
午前2時過ぎには雲が消えてほぼ快晴となりました。夏の星座も昇ってきて,夏の天の川に沿ったメシエ天体もどんどん見つけられました。しかし,南東低空には雲が居座っており,いて座あたりは断念していました。
お隣さんにはM13,M8,M11,M27などの有名どころを見ていただきつつ,私は受付時に配られたメシエ天体表(エントリーシート)を見ながら,見逃したものがないか,Wさんと声をかけあいながら慎重にチェックしました。WさんはタブレットPCの星図と双眼の視野とを同期させたハイテク装備でしたので,メシエナンバーを聞いても即答してくれました。チェック漏れがないことに安心して,記念撮影をする余裕も出てきました。コンパクトデジカメを三脚に固定して,愛機と天の川を一緒に写せました(写真2)。
また,へびつかい座にリニア彗星があったと気づき,双眼望遠鏡で探したところ,かなり明るくてすぐに見つかりました。急いでポータブル赤道儀(TOAST TP-2)とカメラを出して観望の合間に撮影しました。視直径が割に大きく,彗星らしい緑色が印象的でした(写真3)。
7 ラストスパート
午前3時頃には東の稜線からM15が昇ってきましたが,午前3時30分過ぎには早くも天文薄明が始まります。その後にM2,M72等も昇ってくるのですが,夜明けとの競争です。何とかこれらをこなしていたところ,Wさんが南東低空が晴れていると教えてくれました。薄明が進んでいるものの,いて座の球状星団を見るチャンス到来です。見える!見える!M69,M70,M54,M55,M75と次々と捉えることができました。球状星団は銀河と違ってかなり明るい芯があり,薄明中でも十分見つけられました。他の方々が撤収を始める中,Wさんと夢中で探索しました。しかし,ついに明るくなったのでM30は断念しました。そして撤収ですが,シンプルな作りなので楽なものです。所要時間は5分以内です。
8 結果と感想
結局,夕方と明け方の薄明で見えなかったものが8個,雲に阻まれたものが2個で97個を観望できました。天文台に97個のチェックを入れたエントリーシートを提出し,予約していた仮眠布団に潜り込んで爆睡しました。
3時間弱の仮眠後,午前8時から閉会式が始まりました。結果発表があり,私が全体(自動導入望遠鏡部門も含む)の1位,Wさんも95個で2位となり(大野台長より「確認証」までいただきました!),双眼望遠鏡の探索力を裏付ける結果となりました。見つけるだけなら,広視野で明るく,両目で正立像が得られる双眼鏡が圧倒的に有利です。もちろん,倍率を上げればM天体を美しく眺められます。私は賞品としてビクセン製50㎜双眼鏡までいただいてしまいました。
仲間とワイワイ観望でき,好成績も残せ,賞品までいただけて,とても楽しいイベントでした。星の村天文台のみなさまには心づくしのおもてなしをいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。探索と観望の楽しみを与えてくれたメガネのマツモトさまにも改めて御礼申し上げます。また機会があったらぜひ参加したいと思います。
管理者のコメント(Comment by Matsumoto)
宮城県のSさん、そしてWさん、メシエマラソンでのお二人同時ご受賞おめでとうございます。 また、素晴らしいご体験の感動を共有させていただき、ありがとうございました。
SさんとWさんには、今までにも何度かこのコーナーにご投稿いただいていますが、また久しぶりにお元気でご活躍のご様子が伺え、大変嬉しく思います。 今後ともよろしくお願いいたします。
Good news to report! The 123 apo binoscope has been finished and it is just awesome. I thank you for your wonderful products and helpful guidance throught my making!
Range, China
Comment by Matsumoto / (管理者のコメント)
Congratulations on your finishing such a fine binoscope!
I would like to extend my best admirations on your excellent craftsmanship and effort in conquering the language barriers.
(The author is posting his reports in “Cloudy nights forum“.)
EMS-ULSセット(ヘリコイド目幅調整仕様)のみを求められて自作されたBINOですが、非常に完成度の高い、見事な作品です。CLOUDY-NIGHTSフォーラムにも詳細を投稿しておられるので、ぜひ参照してみてください。
I have just received a hot report from my client who had successfully assembled his BORG100-BINO with the EMS-UL set. (Matsumoto)
EMS-ULセット(時間差で左右をお求め)を使用して、BINOを自作された方から、完成のメールを頂き、当コーナーへの掲載を快諾いただきました。
BORG100(アクロ)BINO(自作)
先般、一月以上前ですがEMS-UL (R用、X-Yノブ付き)を購入したものです。
以前いただいたアドバイスに従いBINOの作成、稼働ができましたのでお礼も込めご連絡させていただきました。その節はいろいろごお教えいただきどうもありがとう ございました。
BINOにつきましては画像のように製作というほどのものではない、ただアルミプレートに穴をあけて2本の望遠鏡を固定しただけのものではありますが、シンプルな構造ゆえ操作的に不安がない剛性十分なものになりました。
取り付け穴の余裕を利用し64mm-65mmの範囲で目幅調節が可能で、かつ光軸水平方向の調節もうまく行うことができております。
垂直方向の光軸は鏡筒の脱着を行ってもほとんど狂うことはなくとても軽快な構造です。
光軸調節についてはともかくX-Yノブでの微調節がとても分かりやすくそのおかげで鏡筒の着脱などもストレスなく行うことができているとつくづく感じます。
多少不安な点としては、主にBORGパーツに起因しますが、EMSユニットを固定するのが現状2点止めで接眼側の重みをどこまで受け止められるかがあげられます。
いずれこのパーツに穴をもう一つ加え、3点で止められるようにしようと考えています。
また今使用している雲台はビデオ用のもので古いものではありますがとても快適に操作できているもののこれ以上倍率を上げる場合には(今のところ倍率をあまり上げることは考えていませんが)は剛性の高いものに変える必要があろうかと感じております。
以上、このたびは双眼正立での快適な観望へお導きいただいたこと大変感謝しております。
またなにかご相談することなどあろうかと思いますがよろしくお願いします。
静岡県御殿場市 江村
Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;
目幅調整機構を省いたシンプルなBINOです。 機能を欲張らずに、的を絞ったプランが功を奏した好例かと思います。
簡単な工作手段でも、ちゃんと使えるBINOが実現することを改めてお示しくださいました。 ツボを押さえさえすれば、BINO作りは難しくありません。 より多くの方がBINOの自作に挑戦されることを望みます。(いずれ、当方もEMSの供給のみに業務を絞る予定ですので。^^;)
江村さん、この度はタイムリーなリポートをありがとうございました。 また続報がありましたら、よろしくお願いいたします。^^
昨年11月末にBorgの100mmアクロマートレンズ(F6.4、セルのみ)の中古品が廉価(1万円強/枚)で2枚同時に出ていることに気づき、いけないいけないと迷ったあげく、買ってしまいました。ひと月ほど紙に包んだままほったらかしにしていましたが、ついに年末からbinoにするべく部品の調達に取りかかりました。今回もひとつを除いてすべて市販の良さそうなパーツを組み合わせる、自作ならぬ「編集」です。最近完成しましたので(写真1)以下、パーツを選ぶ際に考慮したことと、それらのパーツを選んだ決め手に絞ってレポートいたします。それぞれの部品を選ぶ際にはGoogleのの画像検索に大いに助けられました。つたない内容ですが、どこかのどなたかの参考になることがあれば幸いです。
鏡筒固定部の選定
手に入れたのはレンズセル部分だけだったので、まず鏡筒を完成させたくなりました。しかし他のパーツ、特に鏡筒固定部の径が合わないと後々苦労しそうなので先に鏡筒固定部を決めることにしました。精度がよさそうな軽量な鏡筒バンドとして三基光学館さんのものとK-ASTECさんのものが候補にあがりました。鏡筒単体ならどちらもよさそうです。しかし2本の鏡筒の光軸維持のためには後者を選びました。それはアリガタ(DP45-125)に段差があり光軸に対して直角に鏡筒バンドが固定できるようになっているからです。この有効性は黒木様が71FLのケースで報告されています。ただ、このアリガタのバンド固定用の穴にはネジが切ってあります。段差にバンドを押し当てて直角を出すには、ここはバカ穴になっているほうがよいのでは?と思います。
鏡筒の選定
DP45-125にはBorgの115φと80φの鏡筒に適合するバンドがありますので、手軽なBorgの鏡筒を使うことにしました。調べてみると鏡筒は太いほうがいいようなのですが、115φはすでに生産中止です。10cmアクロマートの標準鏡筒が80φだし、なぜ太いといいのかという理屈が分かっていないレベルなのだし、ということで80φ鏡筒を選びました(バンドはTB-80)。レンズセルと80φ鏡筒の接続には「メタルラッパ」と「アルミ延長筒」が必要です。「アルミ延長筒」はすでに生産中止で情報はほぼなく、Borgさんにどこかに在庫ががないかと尋ねてみると、「倉庫にB品でも厳しいものがあるので、お譲りします」とのこと。メタルラッパとアルミ延長筒はなんと無料で入手できました(中川さん、ありがとうございました)。
フォーカサーの選定
フォーカサーの光路長がわからないと鏡筒の長さを決められません。80φ鏡筒ならばEMSはULでいいでしょうとのことで、入手しやすい笠井トレーディングさんのBorg用2インチマイクロフォーカス接眼部を選びました。松本さんのHPにあるアイピースの焦点位置の情報によれば、標準的なアイピースでの繰り出し量が20mm程度以上あれば、たいていのアイピースで合焦しそうです。当初は鏡筒間間隔154mmと考えて鏡筒などの選定を始めました。この辺りで鏡筒間間隔やEMSの光路長などについて計算が合っているか松本さんに確認していただきました。すると「計算は合っていますが考え方が間違っています」とのこと。つまり計算上ぴったり、ではだめで、不測の事態に備えるために余裕をもって設計を、との助言をいただきました(後述のように、早速不測の事態は起こりました)。そのことを念頭に置きつつ、鏡筒は135mmと50mmをつなげばよさそうです。図面上は一番奥まで繰り入れても口径がけられることはなさそうで、これに決定しました。
鏡筒購入
白鏡筒は品薄とのことで黒鏡筒を選択。メタルラッパとEMS-ULの白がアクセントとなるモノトーンになりました。メタルラッパはスプレーで再塗装、アルミ延長筒は確かに傷などがひどかったので、イーノックスさんのカッティングシート(ブラックマット)を貼り、新品同様になりました。ここは色見本用のサンプルを無料で送って頂けるので、色を選ぶ際に重宝します(HP上出見える色とはかなり違った印象でした)。ちなみにカッティングシート貼りの作業は学生時代に看板屋でアルバイトをしていたときに教えて頂いたことが役にたちました(中性洗剤のごく薄い水溶液を接着剤面に塗って貼り付けると空気が入らず、貼り直しができるのでやりやすい)。世の中なにがどこで役立つかわからないものです。鏡筒内部には絞り環はなく、植毛紙貼付ですませています。フォーカサー到着後、早速鏡筒に接続して確認、と思ったところで問題発覚。HPには”80φ鏡筒にそのまま装着可能”と書かれてあるのですが、実際には変換リングを一つ噛ませないと接続できませんでした。。。変換リングを追加購入し、無事装着。変換リング分のバックフォーカスが短くなってしまいましたが、結果として標準的なアイピースの場合約25mm程度の繰り出し量で合焦しましたので、たいていのアイピースが使えると思われます。これで鏡筒ができあがりました。次はこれをのせるマウントを選ばなければなりません。
架台の選定
シンプルで軽い仕様にしたかったので、ヘリコイドによる目幅調整式としました。ユーザーリポートを拝見すると、ほとんどの方がHF経緯台を使われているようです。しかし今回は汎用プレートの横幅が足りません。そこで笠井トレーディングさんのBino Forca経緯台を選びました。この架台にどうやって鏡筒をマウントするか、が次の課題です。ここについては特注の台座を準備するつもりで、アリミゾを横並びに置く方式と垂直に立てて置く方式を検討しました。
アリミゾの選定
台座の寸法を出すためには、まず使えそうなアリミゾを選ぶ必要があります。アリミゾは1)精度のよい、2)面押しタイプのもので、3)円形ではなく、4)側面に突起物がでていないものを探しました。しかしブロックで押すタイプのものはともかく、面押しタイプのアリミゾは意外に見つかりませんでした。ひとつ見つけたのですが、これは加工精度が均一でなく(寸法に1mm単位での個体差があった。これがどこのどの商品だったかについては差し控えます)、単独で使用するならまだしも、binoでの使用には耐えないと思い返品。星見屋さんにGEOPTIKのものの黒色仕様を紹介いただきました。ただこれを横並びに配置した場合、適切な鏡筒間間隔を維持しつつクレードルの幅内に2本の鏡筒を収めることができませんでした。これはノブのネジ部分が必要以上に長いことにもよります。ここは短いものに交換すればよいと思っていましたが、ネジ先端の加工が必要のようで、私の手に負えませんので横並びの配置はあきらめ、縦に配置することにしました。
凸型台座の製作
今回のbinoの一番の特徴がCOSMO工房さんに作っていただいた凸型台座かと思います。これをクレードル部に取り付け、その左右をアリミゾで挟めばシンプルかつ水平・垂直・平行が勝手に出てしまうマウントができると考えました。垂直に置くことでアリミゾのノブもアクセスしやすいところに来ます。念のために接眼側の垂直面にはリムを設け、ここにアリミゾを押しつけるようにしました。この構造では、凸部の最薄部の厚さによって鏡筒間間隔が決まります。当初の予定の154mmではこの部分の厚さは計算上3mmになってしまいます。さすがにこれでは剛性不足でしょうから、たわまない程度でできるだけ薄く、左右のアリミゾのノブが干渉しないぎりぎりの幅で、鏡筒間間隔をできるだけ短く、といういくつかの要因が折り合うのは大体7mmかなと思い、計算上の鏡筒間間隔は158mmとなりました。しかしこの薄さでは両側からアリミゾを台座にネジ止めすることはできず、ボルトとナットで両側から台座を挟みこまなければなりません。通常のナット径はアリミゾの座繰り穴径よりも大きく、また高さは座繰りの深さよりも高いので、COSMO工房さんにナットの径と高さを削っていただいて座繰り部分に収めることができました。今回の成功はこの台座によるところが大きいと思います。COSMO工房さん、無理なお願いに対応いただき、ありがとうございました。到着後、台座をM6ネジ5本でクレードルに取り付け、早速確認です。EMSのXY調整のノブの矢印を接眼側に向け、両鏡筒を取り付けると、左右方向では調整ノブの微調整は不要。ただ、やはり垂直方向の光軸はシビアなようで、最初の段階では右鏡筒がわずかに下を向いていました(あとで気づいたのですが、これは台座の加工精度というよりも私の鏡筒バンドの取り付け方が歪んでいたことによるものらしいです)。そこでこの台座の右側のアリミゾと台座の垂直リムの隙間に厚さ0.2mm程度の紙片をはさみ、右側鏡筒をわずかに上向きに傾けました。するとほぼ調整ノブの原点位置で像が重なりました。と同時にこれほど微妙なものだったのかと驚きました。台座の剛性はこれで充分でしたが、アリミゾのノブは間隔が狭くて少し締めにくいです。ともあれこれで主要部分は完成しました。鏡筒着脱による光軸のズレもほぼありません。
操作ハンドル
ストアポリゴンズさんというカメラ用品のwebショップで15φのカーボンロッドとクランプを見つけ、操作ハンドルを作りました。右側のロッドは長く、クレードル末端を超えて対物側まで伸びています。ここにバランスウェイトを取り付けるためで、これは松本さんのbinoのウェイト兼操作ハンドルの受け売りです。グリップ部分にはホームセンターでスポンジカバーというのを見つけて取り付けました。
フード
アルミ延長筒(鏡筒径が太くなっている黒い部分)は一見フードに見えますが、実はレンズセルは接眼側から最も遠いところにねじ込む方式になっていて、それより先にさらにフードをつける必要がありました。このパーツを探していたときにはすべての円柱がフードに見えるという病気にかかりましたが、「ハイパック容器」というプラスチックケースがみつかりました。これの底を抜き、内側に植毛紙を貼れば、立派なフードの完成です。元々容器ですので、ねじ込み式の対物キャップもついています。しかもわずかにテーパーがかかっていましたので、運搬時にはフードを短縮させ、使用時に引っ張りだせば植毛紙の摩擦で丁度いいところで固定されます。ただこのテーパーのせいでカッティングシートの展開図を作るのが難しく、スプレー塗装ですませました。このため鏡筒の黒と色目が微妙に異なっているところが不格好です。
ウェイト
長焦点の重いアイピースを使った場合、鏡筒バンドの最も接眼側をアリミゾに取り付けてもまだ接眼側がやや重いため、対物側にウェイトが必要でした。これはスカイメモS用に作られたステンレスウェイトをネットオークションで見つけました。ただし穴の径を勘違いしていたようで、金属加工屋さん(中途半端ネットさん)に頼んで15mmφまで穴を広げていただきました。これで大体のアイピースで垂直回転軸のクランプは緩く締めるだけでバランスするようになりました。
これでだいたい完成、先日志摩方面への家族旅行に車で持参し、2時間程度ですが初めて夜空に向けました。やはり口径100mm、55FLに比べるとだんぜん明るく倍率も上げられます。月は周辺に色がつきあまり快適ではありませんがこれは他の鏡筒にまかせるか、フィルタも有効かもしれません。ハイペリオン36mmでは実視界4度弱で、M46 & 47が印象的でした。55FLと比較すると、プレセペはこちらに軍配が上がります。一方ヒアデスは視野の広い55FLのほうが有利で、55FLのよさも改めて実感しました。今回は大小色々なメーカー、ショップの色々なパーツがそれぞれの特徴を発揮したオールスターチームのようなbinoになりました。これらのパーツを製作いただいた方々、レポートなどで有益な情報を提供いただいた方々に感謝いたします。
京都 畑
管理者のコメント:
畑さん、素敵なBINOのご完成おめでとうございます。 非常に懇切、詳細にご報告いただき、これからBINOを計画される方には、大いに参考になることでしょう。
「自作というよりも”編集”」と謙虚に書いておられますが、非常に上手に多くのパーツをコーディネートしておられるので、胸を張って「自作した・・」とおっしゃってください。 それにしても、優秀なパーツが入手しやすい、良い時代になりました。 そろそろ私もEMSの製作に専念できそうですね。^^
EMS本体部分をのみを作っていただき、binoを組み立ててから1年弱が経ちました。普段観望している自宅のベランダからは天頂から東側しか見えませんので、1年前のリポートではヒアデスやオリオンの中心部、プレセぺの眺めに感嘆したことまでしかお伝えしていませんでした。その後空が1周して、や座、いるか座、こうま座などの小さな星座や、ファインダーでは狭すぎる大きな星団(かみのけ座そのもの(きれい!)、Melotte20(ペルセウス座αのアソシエーション、動きが感じられてヒアデスより凄い!)だけでなく、流星(数時間で数個は見られます)や人工衛星(小学5年生の息子がなぜか人工衛星が気に入ったようで、偶然視野に入ってきた人工衛星を追尾しては喜んでいます。SkySafariでは人工衛生の動きも名前もリアルタイムでわかって、すごい世の中ですね)までもが観望対象になっています。光害地でのdeepskyといえば明るいメシエ天体がせいぜい、という思い込みがありましたが、そうではありませんでした。
ところで、はじめに組み立てたものはとりあえず見られるようにはなったというだけで、重心がかなり高く、天頂付近に向けるとビデオ雲台のカウンターバランスでは足りずに、垂直回転軸のクランプを思い切り締めても筒先がゆっくりと天頂を向くというような状態で、パン棒を常に握っていなければなりませんでした。そこでこの間は主に架台の改善に取り組んできて、最近ある程度満足できるものになりました。以下はその変遷です。
0. フォーク式 未遂
まず思いつくのはフォーク式架台です。しかし運搬時のコンパクトさ(小さなカメラバッグと三脚ケースにすべてが入る)が台無しになってしまうため、この方法は試さずに通り過ぎました。
1. カウンターウエイト/バランス方式 失敗
そうなると次に思いつくのは、鏡筒を載せている台座から筒先側に,垂直回転軸を取り囲むようにコの字状のアームを出し、先端に(ペットボトルを利用した)カウンターウェイトをつけるということでした。これによってバランスはましになりましたが、EMSの精悍なイメージには全く似合わない残念な外観になってしまうのと、重さを打ち消す目的で反対側に重いものをぶら下げるという過剰な感じが気に入りませんでしたので、1~2回ですぐにやめてしまいました。次にバネやゴムなどで筒先側に力をかけようといろいろ試してみましたが、かなり強い力が必要だったのと、やはりスマートさに欠けますので、早々にあきらめました。
2.中軸式架台もどき 失敗
その後、接眼側の重さを筒先側に負荷を掛けることで打ち消すという「しつこい」やり方ではなく、垂直回転軸近くに鏡筒の重心をもってくるという、まっとうな方法はないものかと思案していたところ、K-ASTECさんの「レボルビング装置」というものが目に止まりました(写真1)。本来はカメラの画角を回転させるための装置だそうですが、どうも中軸式架台に見えて仕方がありません。写真のように台座を固定すれば、鏡筒移動式の中軸式架台もどきができそうです(台座がある時点で本質的に違うような気も・・・)。また簡単な水平回転部にレボルビング装置を固定すれば、ビデオ雲台部分は不要になり、全体のコンパクト化と軽量化にもつながりそうです。かなり期待しながらこのパーツを手に入れて少し試してみましたが、重心が高くてうまくバランスがとれません。また、55FLは焦点距離が短く、重心を下げると今度はレボルビング装置のリング部分とEMSが干渉してしまいます。これには未練が残りながらも、既存の三脚と雲台ももったいないし、いったん置いておいて、また別の方法を考えることにしました。
3. “Aspended”式 成功
今ある三脚と雲台を前提として、長い台座の上に二本の鏡筒を配置する以上、どうしても重心が垂直回転軸から遠ざかります。しかし台座の下に鏡筒を配置すれば重心が垂直回転軸に近づくし、手のひらの上に傘を立てているような上載せ式とは違って、安定感もありそうです。しかし目幅を確保しつつ上載せ式と同じように左右対象に配置することは、鏡筒やEMSと雲台が干渉するためにできません。
そこで台座(上にあるので鴨居?)の片側に鏡筒を寄せてしまい、もう片側をクイックリリースクランプで固定するという配置にしてみました。そのために鴨居の部分は以前のものより長いもの(SUNWAYFOTO, DPG-3016)に交換しました。ただこれでは当然左右のバランスが相当崩れてしまいます。そこでささやかながらウェイトの役割を兼ねて、鏡筒の反対側に小型の自由雲台を経由してSkySafari閲覧用のiPadを取り付けました(写真2~。これも「しつこい」やり方なのでは?いや、ウェイトのためのウェイトでなくiPadがたまたまウェイトになっていると考えることにしてセーフと判定)。
これでもまだまだアンバランスなので、雲台とクランプには負担をかけてしまっていますが、いまのところなんとか持ちこたえてくれています。何より水平回転軸はもちろんのこと、垂直回転軸のクランプをほとんど締めなくても天頂までスムーズなフリーストップが実現できており、快適に眺めることができるようになりました。鴨居部分には傾斜センサなどのアクセサリを取り付ける余地も十分にあり、発展性もありそうです(水平軸回転のエンコードはどうしたものか・・・)。
このような方法は既にどなたかが考案なさっているのだろうと思いますが、使い勝手もよく気に入りましたので、”アスペンディッド式”(aspended=asymmetrically suspended)、つまり”非対称懸垂式”架台などと名付けて一人で悦に入っています。これに慣れてしまうと以前のマウント方法が異様なほど腰高で、不格好に見えてきました。一定レベルより大きな口径のbinoでは左右の重量バランスの崩れが許容範囲を超えますが、小型binoの前後の重量バランスを解決する手段として、aspended式はひとつの選択肢になりそうです。
これも松本さんのHPの内容がヒントになっているような気がしますが、どこに書かれていたどんな内容なのは思い出せません。。。
畑
Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;
今年の1月19日にレポートをいただいていた55FL-BINOの続報をいただきました。トップヘビー(今回は鏡筒と直角(天地/高さ)方向のトップヘビー)はBINOを自作する際の一つの大きな課題なわけですが、試行錯誤された上、合理的な解を見つけられましたね。 自作派の方々には良い参考になるのではないでしょうか。 これからさらに到達されるであろうところを、楽しみに見守らせていただきたいと思います。
こんにちは、以前130EDT-BINO(中軸架台)を作製いただきました奥田と申します。 大変ご無沙汰しております。その後お変わりはございませんでしょうか。 「製作状況速報」で紹介され、次々に新たな技術や工夫が実現されていく中軸架台 について「まだこんなにも進化する余地があったんだ」と楽しく見せてもらってい ます。
さて私の方は、大型双眼鏡(←この架台も松本さんに作製いただきました)や大口 径ドブソニアン等に浮気しながらも、たまに(!)星見遠征をしています。 この3連休(10/10-/13)も星見遠征をしようと思っていたのですが、どうも生憎の 曇天続きになりそうだったので、思い切って金曜日(10/9)の深夜に片道3時間弱 をかけてとある山の中の星見スポットの駐車場へ出かけてきました。相棒は久しぶ りの出番となった130EDT-BINOです。
仕事から帰ってからバタバタと無理して出かけた甲斐もあり、大変満足できる星空 に出会えました。これまで幾つも感動をもたらしてくれた130EDT-BINOですが、この 夜の遠征は今まで以上に「光学性能」及び「双眼視」の素晴らしさを感じることが できました。‥というのも、きっと集光力や解像度に関しては130EDT-BINOの何倍も 高性能と思われるドブソニアン(単眼視)との比較を体感できたからだと思います。
西の空には夏の天の川の残骸、東の空は冬の勇者が昇って来る前という、賑やかさ という点では一寸さえない秋の星座でしたが、そんな中130EDT-BINOは威力を発揮し てくれました。
《M33》
「明るく大きな銀河なのに望遠鏡で見るとがっかり」という表現の多い渦巻き星雲 ですが、実はこの夜はじめて腕をウネウネ(?)しながら渦を巻く様子が確認でき ました。たまたま現地でお会いした方にも見ていただいたのですが「これ程ハッキ リと渦を巻く様子は初めて見ましたよ」と高評価 ^^)v 事実、以前ドブソニアンでも見ましたが、その時は大きく広がっている様子は確認 できるものの渦を巻く腕を確認するには至ってませんでした。これは双眼視による 効果が大きな気がします。
《M31(M32、M110)》
これも超メジャーな割に、いま一つ望遠鏡を通して見ても「感動」が少ない対象の 一つです。少なくとも個人的にはそう思っています。きっとネット上にアップされ ている素晴らしい写真とどうしても比較してしまうことがその原因であると思いま す。しかしこの夜、130EDT-BINOで見たM31はこれまでのものとは全く違いました。 中心部分の明るいところだけでは無く、どこまでも星雲が広がる様子や暗黒帯(?) そしてその暗黒帯に沿ってガスがモワモワと波を打つような様子もくっきり見えま す。また伴銀河であるM32やM110も濃く見ることができ、御本尊(M31)単発ではな く3銀河まとめて楽しめました。
《NGC7293》
水瓶座ということで、ただでさえ低空の上に時間的にも厳しい条件の中、ぽっかり 漆黒に浮かぶ様子は「幻想的」の一言に尽きます。またネビュラフィルタを使って 見ると、大きな光芒だけでは無く濃淡がよく確認できます。 過去色々な機材で見てきたましたが、正直「ドーナツ」な様子を確認するに終わっ ていましたが、実は見応えのある対象であることを再認識できました。
その他
薄明までの短時間でしたが色々な対象を視野に入れて楽しんだのは言うま でもありません。ただメジャーでありながらもこの夜改めて大きな感動を受け、こ れまでの印象がガラリと変わった対象を紹介させていただきました。
当然のことですが、球状星団や暗い銀河に関しては大口径ドブソニアンに軍配が上 がるのでしょう。ただ「星々の合間に”自然”に浮かび上がる星雲・星団」を眺める のは絶対”双眼望遠鏡”であり”正立像”であると思います。何より「綺麗」で何より 「楽しい」と感じざるを得ません。
決して「手軽」とは言えないサイズのBINOではありますが、やはり元々期待してい た、”一寸運搬に苦労しても、現地で「高い質で満足できる遠征」” という目的を キチンと達成していることに改めて喜びを感じています。
長文となってしまいましたが、この夜の遠征成果、そして喜びをどなたかと共有し たく、久しぶりにメールをさせて頂いた次第です。
失礼いたしました。
追伸; あと、一点コメントし忘れていたことを思い出しました。 前回の130EDT-BINOのレポートで、鏡筒の取り付け方法に関して、 「鏡筒の脱着については一寸だけ改良ポイントがある」 旨のレポートを書かせていただきました。 しかし実際にはこれは完全に”慣れ”の問題であり、現在全く問題 無い上に、「安全」かつ極めて「スムーズ」に鏡筒の脱着が行え ていますことも報告させていただきます。
東京都 奥田浩
奥田さんの過去の投稿;
ケアンズ日食と90度対空双眼鏡 (2012年11月16日)
130EDT-BINO(中軸式架台仕様) (2013年9月8日)
Comment by Mtsumoto /管理者のコメント;
奥田さんが2年ぶりに130EDT-BINO(初期中軸式架台)の続報をくださいました。
このBINOの製作記事は、製作情報速報の2012年5/23~8/2の間に掲載しております。 CNCフライスを導入してから比較的日が浅く、アマチュア的な、労苦を厭わない^^;発想で製作した、最後頃の製品と言えると思います。 長期間を 要した、苦心の作品でした。 それだけに、長期間に渡って愛用してくださった証の続報をいただきますと、感動ひとしおで、またBINOを作り続ける エネルギーを充填いただいたような気がいたします。
これが、中軸式架台の垂直回転部にエンコーダを仕込んだ最後のモデルとなりました。 現在の中軸式架台は、傾斜センサーの開発により、垂直軸の エンコーダが省け、ずっとシンプルな構造になっています。
奥田さん、この度は、また、素晴らしい続報をありがとうございました。 続々報もお待ちしていますので、またぜひよろしくお願いいたします。
2015年6月
【眼視にハマる】
昨年頃から星見に双眼鏡をよく使うようになりました。C8EX+双眼装置(95倍)、 77EDⅡ+双眼装置(38倍)等、眼視に目覚めたと言いましょうか、きれいな星を観る のが楽しいんですね(^o^)
双眼装置では低倍率で天の川をなめまわすこともできず、裏像でもあり、松本さん のEMSしかないと思った次第です。もちろん既成の双眼鏡の候補もあったのですが、 2インチのアイピースが使えないということで没となり ました。
2015年9月
【77EDⅡ-BINO 自作】
77EDⅡ-BINO を作るにあたり考慮したこと
・重量は6kg以下→軽い→稼働率UP!。
・15倍で天の川くだり。
・F2W経緯台(スカイツアー付)に搭載。
・F2W経緯台-簡単な脱着。
【EMS等の発注】
上記をを考慮してEMS-ULセット(ヘリコイド付き)を発注しました。何日かしてEM S-ULセットを受け取りに鳥取に行き、鏡筒の平行の出し方、EMSの調整法等を 松本さんから教えていただいて帰りました。
発注していたボーグの直径80mm-長さ150mmの鏡筒とヘリコイドMも届き、組み立てに入りました。
【組立手順】
1.F2W経緯台にビクセンのプレートホルダーを90度回転して取付(1/4ビス1本)。
2.アリガタに左鏡筒を載せ直角に固定(1/4ビス1本)。
3.160mmの間隔で右鏡筒を載せました。
4.鏡筒の平行度は松本さんから勧められた傾斜計を購入し、0.1度以内に収まるよう何度も調整し直しました。
5.EMS、左右を2インチアイピースホルダーSに固定。
このアイピー スホルダーS【7508】は挿入端部内径の不要なネジ部が長く(その分、ローレット止めネジが想定位置よりも随分奥になる)、EMS固定しても安定が悪かったのですが、松本さんがその場で不要なメスネジ部を5mmほどと削って(削除して)くださいました。目の前で旋盤にセットして削って頂いた訳ですが、いやいやその早さ、技術の高さには感服した次第です。
もちろんEMSの固定強度も増しグラグラもありません。松本さんその節はありがとうございました。
7.木製のハンドルも自作し取り付け、バランスを見ると思ったとおり取れていませ んでした。松本さんとも改造の話しもお教えいただいたのですが、ここは私なりにバランスウエイト(ありあわせ)をアリガタの下に載せてみました。これが大当たりで見事にバランスしてしまいました。ただ、重いアイピースを載 せると手前が重 くなってしまいます。
6.EMSの調整を行いました。33mmアイピースをセットし山の木を導入し後、教わったとおりにアイピースから眼を離し、 上下、左右の調整を行いました。調整はあっという間に終わってしまいました。 銀ミラーも素晴らしいのですが、EMS調整の簡単さにも感激です!
7.コスモ工房さんに依頼していた特注アリガタが出来上がりましたので、組み付けました。 鏡筒を直角に1/4ビス2本で止めるようにしたものです。もちろん幅は160mmです。
8.組み立てが終わり重量を測定してみますと、アリガタから上の重量が当初の目標6kgより1kgも軽い5kg(アイピースなし)でした。 5kgってひょいと持てる重さなので、今でも取っ手の必要性をまったく感じません。
また、アリガタを横配置にして鏡筒を載せただけの単純な構造なのですが、思っ たより強度があるようでひずみ等はまったく感じません。
9.最初はEMSで自作など出来るのかなと思っていましたが、案ずるより産むが易しで、 当初の目標も達成でき、楽しみながら組むことが出来ました。
将来的には対物レンズ口径のUP、ヘリコイドMをマイクロフォーカス接眼部に交換等を考えています。
最後に松本さんをはじめUSER’S REPORTを書いてくださった皆様、コスモ工房様、 この場を借りましてお礼を申し上げます。
【ファーストライト】
9月18日夜、いつも行く備前市八等寺にてファーストライトしてきました。 この日観望した星雲星団で特に綺麗だったもの
15倍 ウイリアムオプティクス 33mm 72°アイレリーフ25mm
二重星団(広視野の中に全体が見渡せ、ひときわ鮮やかで気持ちが良い)
M31アンドロメダ大星雲(どこまでも広がっている様相で宇宙の不思議を感じる。
また、伴星のM101、M32もしっかり見え、うっとりしてしまいます) 天の川を振り回していると、宇宙酔いしそうになりました(笑)
24倍 ペンタックス XL20 20mm 65°アイレリーフ20mm
二重星団(星に遠近がある ように感じました)
NGC 457(ET)おどけた形がかわいい。
ビックリ!網状星雲がノーフィルターで何とか見えました。 (見えない人もいました(笑)
48倍 ペンタックス XL10.5 10.5mm 65°アイレリーフ20mm
アレイ状星雲(ぽっかりと浮かんで見える)
アルビレオ やっぱ美しい!
M13球状星団の分離ができないのはちょっと残念!
10月2日
102倍 ペンタックス XW5 5mm 70°アイレリーフ20mm
この日、特に美しかったものはアルビレオとM22でした。
アルビレオは色がすばらしく際立って特に青はいままで見たこともない濃さのブルーでした。 まるで色付けしているみたいに・・・ん?ひょっとしてアイピースで色づけ?ってないですよね。
M22はかなり低位置だったのですが、し っかりと分離しキラキラ光ってみえました。 でも、ちょっと暗いのが・・・
NGC457(ET)は目の前にデーンと大きくきれいに見えました。
M57ドーナツ星雲は中央が抜けていてちゃんとドーナツ状に見えました。感激!
M13はザラザラ感はあるものの分離は何故か今一(^^;
10月3日
まだ明るい時間帯にXW5 102倍で土星を見ることができました。さすがに低い位置 なのでゆらゆらが止まりません。でも土星の縞模様は見ることができました。もっと 高度が高ければカッシニも見えたと思います(^o^)
岡山県 横田
筆者のサイト 星空・風景フォトギャラリー
Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;
Acknowledgment of Matsumoto;
最近、国内の方も自作をされる方がまた増えて来たようで、嬉しく思います。 自作の方では珍しく、仕上ったEMSを当方で受け取りにお見えいただきました。
ご訪問時には、丁度仕上っていたBINOでEMSのX-Y調整の練習をしていただきましたが、眼をアイポイントから 数十cm離して視軸を平行にロックするテクニックをすぐにマスターされたのが印象に残っています。
横田さんは、この度EMSを採用されるまでは、やはりご自作の裏像(天頂ミラーによる1回反射)のBINOを愛用なさっていたとのことで、 EMSに改宗^^;してくださったことを嬉しく思っています。 単眼の場合は、裏像は像が鏡像になるということ(のみ)ですが、 双眼視では、正常な立体視が破綻するという深刻な副産物も甘んじることになります。 裏像(3回反射)のBINO(実際にヨーロッパで市販されている)の信者の中には、 「天体は無限遠なので、裏像はもとより、立体視も関係ない。」と強弁する方もいますが、山の稜線から出て来る(沈む)月や、月の前をよぎる 雲の迫力を知らないのでしょう。
何度か観測してくださったようですが、こらから いろいろと体験されることと思います。 続報を楽しみにしております。 今回はタイムリーなリポートをくださり、 ありがとうございました。