TS80-BINO by Morteza in France / フランスのMortezaさんのTS80-BINO

Dear Tatsuro

I finally finished my TS80/480 binoscope with your EMS-UL system. It works perfectly. No vignetting at all even with my 36mm hyperions. Adjusting for image superposition is very easy. The image quality is breathtaking both in day and night. Orion Nebula was extraordinarily brilliant, Andromeda galaxy is completely in the field… With available eyepieces I went up to x60 and think we can go up to 100-120 without having any problem. A PERFECT SET! To reach into focus with all my 2″ eyepieces I used the shortened eyepiece holders that you kindly made for me with 1 cm shorter length. They are sufficiently long as the eyepiece is totally inserted into them. The whole set of binoscope (excluding the fork mount and the tripod) weights 7.4 kg. Would you like more pictures?

Thank you a million time

Regards
Morteza

 

Dear Morteza,
Congratulations on your fine TS80-BINO completed!
Nothing is more thrilling to hear from the users of their joy with the finished Binoscope.
And I am looking forward to seeing your further report.

Best regards,

Tatsuro

 

BLANCA-80SED-BINO by Mr.Ebi

今年3月に製作していただいた13cmF7APO-BINOをメインに、2年前より使用してきた10cmF5-BINOをサブに使用していますが、以前から小型軽量でバードウォッチングにも使用できる機動力のあるBINOが欲しかったため、8cmF7APO鏡筒を使ったBINOを組み立ててみました。ボール盤やタップ立てなどの工具を使用していないので製作ではなく組み立てです。すでに手元にある機材や部品を利用してコスト減を最優先にと、完全に割り切った考えに基づいての製作ですので他人にお勧めできるものではありませんが、工作機械無しでもBINOを製作できた例として報告いたします。

☆製作の動機と鏡筒の選択
13cmF7APO-BINOは当然として10cmF5-BINOもHF経緯台がかさばるため、小型軽量、かつそこそこの光学性能を持ったサブ機が欲しいと常々考えていました。スペックに必要な条件は、晴れるかどうかあやしい時に念のため持ち出すことができる機動力とベランダや玄関先での月や惑星のちょい見に使える光学性能の両立。さらには秋から冬のシーズンにはオオヒシクイの越冬地でのバードウォッチングにも使用できる性能です。これらの条件をクリアするバランスの取れた鏡筒が8cmクラスのAPOと考え、価格的にリーズナブルな笠井トレーディングのBLANCA-80SEDを選択しました。

☆コンセプト
以前から7cmや10cmクラスの対空双眼鏡をギア式エレベーター付きのカメラ三脚とビデオ雲台で運用しており、その使いやすさに慣れていたため同じくカメラ三脚とビデオ雲台での運用を絶対条件としました。また完全なサブ機としての使用であり、自分専用のBINOとするので、使い勝手や堅牢性、汎用性は二の次とし、徹底的にコストを抑えること、簡単に製作できる(工作機械を使わない)こと、そして気軽に持ち出せる機動性を第一義としました。

⭐︎製作(組立て)に到るまで
13cmF7APO-BINOと10cmF5-BINOを使用してわかったのですが、BINOの製作の根本は極めてシンプルです。松本さんの販売するEMSのLRペアを使用すれば、2本の鏡筒をキッチリ上下左右を平行に揃えて固定するだけでBINOが出来上がるのです。特にヘリコイドの目幅調整機能を備えたEMSペアであれば、90度正立機能と目幅調整機能、そして光軸調整機能を内包しているために、それだけでBINOを形成する要素を満たしています。つまり適当なアルミプレートに穴を開けて(きちんと平行になるように)鏡筒を2本固定してEMSペアを取り付ければBINOが出来上がるわけです。なんとシンプルで素晴らしいことでしょう!

ところが現実にはいくつかクリアしなければならない課題が立ちはだかります。
ざっと思いついたところで、以下のような事柄が挙げられると思います。

①鏡筒のバックフォーカス不足
市販の状態でのバックフォーカスがBINOの作成に不十分な鏡筒は当然として、それ以外に2本の鏡筒の間隔=Dが広がると光路長が伸びるため、鏡筒のバックフォーカスが不足するケースが発生します。これは鏡筒バンドの形状などによりDを広げざる得ない場合や、目幅調整用のヘリコイドを装着した場合にその可能性が高くなります。実際松本さんの過去の製作状況を見てもバックフォーカス不足の事例が多く、市販の鏡筒、部品等に加工を施さずに済む組み合わせを見つけるのは大変そうです。

②ヘリコイドを使用しないEMSペアを使用した場合には、目幅調整を鏡筒移動方式にするわけですが、その機構を考える必要があります。

③鏡筒の架台への搭載方法
市販品をベースに考えると、ビクセンのHF経緯台、各種経緯台+L型プレート、ビデオ用大型雲台などが考えられますが、いずれにしろ鏡筒の固定と経緯台との組み合わせ方法に悩まされます。

今回の製作に要する構成部品ですが、EMSは手元にEMS-UMのペアが1組余っていたのでそれを使用することに、そして鏡筒は前述の通りBLANCA-80SEDを選択しました。また、機動性を重視したためビデオ雲台+エレベーター付き大型カメラ三脚を使用することも決めていましたので、この組み合わせをベースに②の問題をクリアした上で、できる限り軽量シンプルなシステムにするすることを念頭に部品集めを考えました。ちなみに私のEMS-UMペアは2インチアダプター付きなので31.7EP使用時の光路長は本来138mmですが、2インチアダプターを52.5mmに短縮したもの(標準はおそらく58mm)を使用しているため、光路長は133mm程度になっていると思われます。従ってBLANCA-80SEDのバックフォーカスは145mmですので①の問題はクリアしている計算です。

⭐︎製作(組立て)
最初に鏡筒の固定と目幅調整機構ですが、松本さんのサイトにいくつかのアルカスイスのプレートとクイックリリースクランプを組み合わせての事例がありましたので、概ねこれに類似した方向を模索していました。そんな折、ヤフオク!で非常に安価な(1万円少々、原稿執筆時も出品されています)部品が目に留まりました。ビクセン規格のアリガタプレートにスライド式の台座が2個付いており、この価格ならダメ元で試す価値ありと思い購入したのですが、結果的に問題ありませんでした。おかげで低コストの目的は十分達せられました。架台は手元にマンフロット503HDV(ビデオ雲台)と475Bアルミ三脚が余っていましたので、鏡筒を載せたこのアリガタプレートを503HDVのプレートに固定するだけで完成してしまったのです。

手順ですが、まずBLANCA-80SED付属のアリガタ金具をスライド式台座にネジ2本で固定します。幸いBLANCAのアリガタ金具に適度な間隔のネジ穴が2本並んでおり、加工無しでスライド台座に固定できました。あとは鏡筒の載ったスライド台座をアリガタプレートに搭載するだけです。アリガタプレートはあらかじめ503HDVのプレートに固定しておきました。ちなみに503HDVのプレートはロングタイプ(501P LONG)に交換してあります。アイピースの変更に伴う前後バランスの調整はこのロングタイプを採用した事により、プレートの前後スライドのみで十分対応することができました。プレートのスライドも数秒で完了します。

肝心の光軸ですが、上下はBLANCAの鏡筒バンドとアリガタ金具の接続面にスペーサーを入れて調節しました。左右はBLANCAのアリガタ金具とスライド台座の固定用のネジの遊びの部分で調節できました。あとは2本の鏡筒を載せたスライド台座をアリガタプレートに固定するときに2本のローレットネジを締め上げていくのですが、この時にガタが出ないように注意するだけです。目幅調整はこのスライド台座を左右に移動させることにより行います。左右の鏡筒バンドの隙間の関係から最少目幅が64mmとやや広めですが私自身は目幅66mmなので無問題です。64mmよりも狭くしたい場合は左右の鏡筒バンドの位置をオフセットさせれば可能ですが、前後重量バランスが取りにくくなることと見た目が多少見苦しくなる可能性があります。また、このスライド台座を左右に移動させるのにローレットネジを計4本操作する必要があるため、普通の双眼鏡のように簡単に目幅調整はできません。少なくとも観望会等で複数の人々に見てもらうには無理があるシステムです。あくまで個人専用のBINOとしての使用が前提かと思います。

⭐︎完成に至るまで
鏡筒、架台以外の部品は前述のヤフオク!購入品のほかは、鏡筒固定等に必要なネジとナット類をホームセンターで購入しただけです。組み立てと光軸調整に要した時間は2時間以下という短さであっけなく完成しました。しかし、構想期間中は色々と悩み、思い立ってから計画実行までは随分と時間がかかりました。

一番頭を悩ませたのは架台(503HDV)への搭載方法と目幅調整機構です。ビデオ雲台に載せるにはアルカスイスのプレートとクイックリリースクランプの組み合わせが使えそうな気はしていたのですが、どの部品を組み合わせれば良いのか、実物を見ないで(ネット上での情報のみで)選択するのは難しかったです。前述のヤフオク!で購入した部品はプレートとスライド式台座がセットになっており、商品説明の写真も非常にわかりやすかったため、完成時の姿が容易にイメージできたため助かりました。この部品の発見が成功の大きな要因と言っても過言ではありません。

次に問題となったのは、BLANCA-80SEDを2本並べて固定した時の間隔=Dの寸法でした。使用するEMSはUMペアですので適合するDの寸法の範囲は決まっています。鏡筒を2本並べた時に左右の鏡筒バンドがぶつからない時の「D」が大きすぎるとEMS-UMでは対応できなくなります。その場合はEMS-ULを使用すれば良いのですが、そうするとBLANCA-80SEDのバックフォーカスが不足するため新たな問題が発生します。この問題の解決に関しては、半ばバクチでした。BLANCA-80SEDを先ずは1本だけ購入したのです。(1本だけなら失敗しても他に使い道は有ります)そして先に入手していたアリガタプレートとスライド式台座に鏡筒を固定して(EMSも装着して)2本並べた状態のクリアランスをシミュレートしました。その結果、眼幅66mmなら大丈夫との予想ができたため2本目の鏡筒を購入し組み立てに至りました。

光軸の追い込みは今までの経験のおかげで作業時間は1時間程度でできました。1.5kmほど先に100m以上の高さの工場煙突があるので、その先端を利用しての調整です。松本さんご推薦の平行法を駆使したのは言うまでもありません。スペーサーの厚さ調節(縦方向)と鏡筒固定のネジ穴の遊びを利用した調整(左右方向)を何度か行い完了です。調整を繰り返し、うまく左右の像が一致した時の快感はたまりませんでした。

⭐︎運用
実は6月初旬には完成していた本機ですが、完成以来6月7月と天候不良のため観望のチャンスは皆無でした。8月初めに1日だけ絶好の夜があったのですが、あまりに久しぶりのため主砲の13cmF7BINOを優先しました。結果、いまだに本格的に星空観望はできておらず、自宅からの月惑星と光害まみれの星野観望のみなのですが、「晴れるかもしれない」レベルの週末には何度か車に載せて持ち出しています。つまり、持ち出し、運搬、現地での組立てなどの機動力に関しては実験済みで、これに関しては期待通りの結果となっています。ハンドルも装着していないのですが、鏡筒2本とプレート、EMS-UMペアの組み合わせで約6.5kgしかなく、雲台の503HDVへの着脱も非常にスムーズで問題ありません。ケースはネット通販で適当なバッグを購入して、廃品利用で簡単な型枠を内部に形成して型崩れを防止しました。BINO本体とアイピース数本、ファインダーを入れても片手で持てますので三脚架台を入れたケース共々一度に持ち運びでき、市販の対空双眼鏡と同レベルの機動性を有しています。

使用鏡筒は80mmF7APOですが、単眼で使用する場合と観る対象はほぼ同じと考えられます。20倍から30倍前後での天の川流しをはじめとした星野と主なメシエ天体の観望、70倍から140倍くらいでの月と惑星の観望に向いているかと思います。APO鏡筒のおかげで星像は非常にシャープですしコントラストも高くすっきりとした見え味です。月や惑星の観望も余裕でこなし、土星のカッシーニの間隙や木星の大赤斑も綺麗に見えます。双眼視のため長時間の観望も苦になりません。また、雲が風に流され月の前をたなびいた時の立体感は単眼では感じられない迫力です。本機の製作までこのクラスの機材は市販の対空双眼鏡(ビクセンBT-ED70S-A)を使用していましたが、90度対空と2インチアイピースの使用、あと一息の口径アップが得られたので満足しています。

ところで、所有する主なアイピースの中で唯一バックフォーカスが足りなかったのは賞月観星XWA20mmのみでした。私は視力0.1以下の強い近視なのですが、同じく2インチのXWA13mmとMasuyama32mmはギリギリ無限遠で合焦します。(ドローチューブの余裕約1mm)ここで前述の52.5mmに短縮した2インチアダプターが功を奏しました。アメリカンサイズのアイピースはほとんど問題がなく、比較的光路長の長いビクセンLVW17mmで4mm、ペンタックスXW20mmで6mm程度の余裕です。2インチアダプターを使用しない標準のEMS-UMの光路長は122mmですので、アメリカンサイズのアイピースのみの運用でしたらバックフォーカスの余裕はさらに大きくなります。

☆まとめ
前述のように計画を思案中は実現できるか不安でしたが、あっけなく、しかも加工作業を一切抜きで狙い通りのBINOが完成しました。眼幅調整に手間がかかる、取って(ハンドル)が無いといったネガティブな面もありますが、冒頭にも記したように個人使用を前提とした割り切ったコンセプトですので自分的には満足です。もともとEMS-UMペアとビデオ雲台、三脚が余っていたせいもあり、非常に低コストで作ることもできました。成功の要因はちょうど良い部品が見つかったこともさることながら、松本さんのサイトにたくさんのヒントや情報が記されているおかげかと思います。常々松本さんはご自身のホームページはマニュアルも兼ねているとおっしゃていますがまさにその通りだと思いました。これからも素敵なアイディア、情報の発信を楽しみにしています。

Comment by Matsumoto / 管理者のコメント;

海老さんより、また新たなBINO(BLANCA-80SED-BINO)の渾身のレポートをいただきました。 まさに”Simple is Best.”の模範のような作例ですね。次回のレポートも楽しみにしています。^^

BORG-125ED-BINO by DIY of Mr.M in Saitama pref. 埼玉県のMさん自作

<BINO製作背景>
今回、BORG125EDでEMS-BINOを製作する事になった背景は、
何度か同市内にお住いのYさんのお宅にお邪魔してEMS-BINO
での惑星観望や、フィールドへ出て150mmBINOでのDeep-Skyを堪能
させて頂き、両眼で見る臨場感、開放感の魅力に完全に心を奪われ
ぜひ、自分としても、EMS-BINOを所有したいと考えるようになり、
その思いは日に日に強くなっていきました。
せっかく作るのであれば、軽量かつ出来るだけ大口径で、気軽に
フィールドへ連れ出せる事が出来る機材が欲しいと言うことと、
手元に1本、BORG125EDを所有しており、125mm Apoとしては、
類まれな軽量級の鏡筒だったことが決め手となり、BORG125EDで
EMS-BINOを製作する事を決意した次第です。
Yさんの紹介で、松本さんへメールさせて頂き、突然のEMS製作の
依頼を快く引き受けてくださり、そこから私のEMS-BINO製作が
スタートしました。

依頼内容としては、EMS製作及び、BORG鏡筒の切断とFC100用
フォーカサーの取り付け。
当初、鏡筒へのフォーカサー接続はアダプターを介す事を
検討していましたが、松本さんからのご提案で、φ115mmの筒に
直接M114ネジを切り直付けする事となり、バックフォーカスを
10mm近く稼ぐことが出来るなど、何度かのメールのやり取りを
させて頂きながら、きめ細かなアドバイスを頂戴し、EMSと鏡筒
が完成しました。

そして、松本さんからEMSが届いてから、遅れること3週間。
ようやく架台のパーツが届きました。この間、EMSを装備した
鏡筒は目の前に2本揃っているのに、架台が無いために、
何も出来ずに指を咥えて見ているだけのお預け状態は
とても長く感じました。
架台到着後、早速、組み立ててみました。
松本さんHPのユーザーレポートや、先輩BINOユーザー Yさん
のアドバイスを基に、見よう見まねで設計した架台です。
くみ上げてみると、やはりと言いますか、素人設計なので
あちこちに設計ミスがあり(^^;、一部、妥協しなければなら
ない部分も出てしまいましたが、組み立てられない様な
致命的なミスは無く、何とか形にする事が出来ました。

架台に本体(EMSを除く),ファインダー,ウェイト(1kg)
を取り付けた状態で13.9kgと、片手でも余裕で持ち運べる
重量で、中々のライト級に仕上がり、自分の思い描いた
BINOを完成させることが出来ました。
鏡筒は、アリガタアリ溝式としたため、取り外せば
個々の重さは5kg以下となり、機動性は抜群に良いです。

<架台構造>
架台の基本構造は、松本さんのアドバイスの通り、プレート下側から
固定ボルトへアクセスできるようにし、調整の都度、アリガタを
取り外さず調整出来るようにしました。
また、Yさんの150mmBINO用に松本さんが改造して追加した機構を参考に
させて頂き、アリ溝をサイドからマイクロゲージで押して、左右の
筒の平行を調整する構造としました。
当初、機構的に複雑にして調整可能にするか、単純な機構にして
調整レスにするか悩んだのですが、有り合わせのパーツを多く
使ったので、ポン付けで平行が出るとは思えず、調整機構を
採用する事としました。

一部設計ミスがあり、架台の横幅(内寸)に対し、2本並べた鏡筒の
横幅がギリギリで鏡筒を斜めに傾ける事が出来ないため、アリ溝への
取り付けが上からの落とし込みで出来ず、スライドさせないと取り
付きません。
これは、設計ミスと言うよりは、HF経緯台の物理的な寸法によるもので、
単純に設計段階で気付かなかっただけなのですが(苦笑)、このスライド
させる作業が意外と煩わいです。
また、左右それぞれの筒を個々に取り外し、光軸の再現性を確認した
のですが、残念な事に、位置の再現性が低いことが分かりました。
再現性は、その後の原因解析で、ある程度改善の見込みが立って
来ておりますが、取り外しが煩わしいとなると、再現性が改善出来た
としても、最終的には架台と一体型での運用となりそうです。


<筒平行出しとEMS光軸調整の練習>
架台の完成翌日、早速近くの河川敷の広場に持ち出し、筒の平行出し
とEMSの光軸調整の練習をして来ました。
すぐにでも、星空の下に連れ出し、煌めく星々を堪能したかったのですが
ぶっつけ本番で暗がりの中での調整に不安があったため、まずは練習です。

遠くの鉄塔のてっぺんに照準を合わせ、まずは筒の平行出し。
調整用のマイクロゲージを使って、像が一致するまで追い込みます。
ただ、仮締めしたボルトを本締めすると、どうしてもわずかに動いて
しまいます。
そこで、EMSの光軸調整の登場です。
筒の平行出しで追い込めなかった、ほんの僅かなずれをX-Yノブで
追い込みました。
調整ノブは非常に軽く回り、イメージとしては指先の皮膚をノブの
ローレットにわずかに引っ掛けて回す感じで調整出来、200倍(手持ち
のアイピースで最高倍率)でも、難なく調整出来ました。
HPの「400倍オーバー!の高倍率でも常に完璧な光軸が維持されます。」
のコメントは、決して誇張ではない事が実感できました。

平行法での光軸調整は、2つの絵を重ねて立体視することを
昔から良くやっていたので、松本さんHPのユーザーレポートや
日記を読んで勉強した時から、なんとなくこんな感じかな?の
イメージを持っており、そのイメージと実機とがほぼ一致し
違和感なく行えました。ただ、最後の追い込みで、直前まで
2つにズレていた像が、スッと重なってしまいます。
それは眼球の回旋で、眼をアイポイントから30cmほど離すと
輻輳は完全に廃除できると松本さんからご教示頂き、現在は、
意識的に目を離して調整が出来るよう、練習中です。

<DEEP SKYデビュー>
お盆以降、中々天候に恵まれず、月齢との関係もあり
ファーストライトは、EMSを受け取ってから丁度1ヶ月が
過ぎた、9/6でした。

週末には台風15号が関東を直撃すると言う情報の中、
久々の青空。
金曜日でしたが、仕事を終え、ファーストライトの
場所に選び、向かった先は、三峰と言う秩父の山奥です。
到着は22時ちょっと過ぎ。月没は22時半頃なので、
慌ただしく光軸調整に取り掛かりました。
この時、日中に光軸調整の練習をしておいた事を
良かったと実感することとなりました。
と言いますのも、平行法で調整する際、まずは左右の
アイピースの輪郭が重なるように目の焦点を奥へ奥へと
ずらしていたのですが、暗がりの中、アイピースの輪郭が
見えないのです。
どこに焦点を置いて良いのか、感覚を失っていました。
この時、ふと思い出したのです。日中に調整をしていた時は
アイピースの輪郭の向こう側に、足元の砂利が見えていた事を。
これがヒントとなり、あえて足元を照らすライトを点灯。
これにより、アイピース輪郭が浮かび上がり、また
偶然にも、蛍光色の黄色いスニーカーを履いていたことが
功を奏して、スニーカーを見た焦点を固定したまま、
アイピースの中の星を見つめる。その時、視野の端の
スニーカーを意識(直視ではない)しておく。
正しいかは分かりませんが、何とかこの方法で
光軸調整を終える事が出来ました。


そしていよいよファーストライトです。
真っ先に狙ったのは二重星団hχ。
これまでの主力機材では、視野からはみ出してしまう対象
でしたが、BORG125ED-BINOなら、視野の中にピッタリ収まり、
宝石を散りばめた様な美しさに、しばし時間を忘れ、見入って
しまいました。
EMS-BINOは、hχを見るために入手したと言っても過言では
ないくらい、真っ先に見たい天体でしたが、実際にその美しい姿を
目の当たりにし、我が手中に納めたことの満足感に気持ちが高揚
しました。
hχとの別れを惜しみながら、次に選んだのは、アンドロメダ銀河。
3.4度の実視界(Masuyama32mm85度)では、伴銀河M110や腕の淡い部分
までもが余裕で同一視野に収まり、宇宙空間にぽっかりと浮かんだ
アンドロメダ銀河を見ているような感覚です。

しかし、面白いものです。
片目では十二分に広く、ぐるりと見廻さないと全景を見られなかった
85度の視野が、EMSを介し両目で見た途端、中央を見つめただけで
視野の隅まで認識出来、狭ささえ感じてしまうほど。
そう、「まるで宇宙船の窓から覗いている様だ」とのEMSの使用した
感想を多く見るように感じますが、まさにその通り。
(宇宙船に乗った事はありませんが(笑))
あたかも自分が、宇宙船の丸窓から宇宙を覗いているかのような
感覚を味わうことが出来、その臨場感に圧倒されるのです。
なぜ、今まで、あんなにも窮屈な道具(単眼、倒立)を使っていた
のだろうと、まじまじと感じさせてくれる、開放感、臨場感。
そして何よりも、見る事(覗く事)がこの上なく楽なので、
ずっと見ていたいと思える満足感がたまりません。
以前、友人と星見の間の談笑で、アイピース(単眼)を覗くときは
片目を閉じる(ウインク)か、覆い隠すか?を話した事があります。
私はウインク派。友人は覆い隠す派。
ウインクは長時間続けていると、顔の筋肉がピクピクと痙攣
し始めます。効き目の右では、慣れもあり長時間見続ける事が
出来ますが、痙攣が始まり左目に移行すると、慣れない右目を
瞑る頬の筋肉に力が入り過ぎ、すぐに顔が疲れます(笑)
友人は、鍛錬が足りない!!と言いますが、中々、顔面の筋肉を
鍛えるのは至難の業。
友人はと言うと、覆い被せた手が何となく気になり、出来れば
視力検査のお玉杓子(名称不明)が欲しい等と笑い合った事が
ありましたが、EMSを使えば、アイピースの覗き方など議論する
必要はありません。
ごく自然に両眼を見開けば、そこにある絶景を味わえると言う事が、
EMSならではの唯一無二の醍醐味であると、実感しました。

ファーストライトの晩は、スタートが遅かった事とロケーション
の関係で、さそり座や射手座付近の天の川は観ることが出来
なかったのが残念でしたが、秋の夜空では数少ない球状星団M15や
ぎょしゃ座の散開トリオ、惑星状星雲、系外銀河を楽しみ、
最後に、オリオン大星雲を見ました。
Yさんが良く、「逆さを向いたオリオン星雲は何だかなぁ。」
とおっしゃいます。
確かに、羽を広げた鳥の姿が逆さ向きでは、何か違和感があり、
飛び立つどころか墜落する鳥に見えてしまいますが(笑)、EMSなら
フェニックスが翼を大きく広げた雄大な姿に見え、これもまた
EMSの醍醐味の一つだと言えると思いいます。
今回は、あいにくフィルターを忘れてしまい、M42では真価を
発揮出来ませんでしたが、それでも、フェニックスが翼を広げた
様なその姿は圧巻で、特にトラペジウムを取り巻くガスの
ディテールはまるで写真を見ているような感覚で、鳥肌ものでした。

深夜3時を過ぎたころから雲が多くなり、ファーストライトは
幕を閉じることとなりましたが、やはりEMS-BINOは素晴らしいです!!
YさんのBINOを何度も覗かせて頂いていたので、EMS-BINOが
素晴らし事は十分に分かっていたはずなのに、改めてじっくりと
覗いてみて、やっぱり良いです。
色々無理をした部分はありましたが、それを帳消しにしてくれる
素晴らしい相棒を手に入れることが出来ました。


この度の、私のEMS-BINO製作にあたり、お忙しい中、EMS製作
及び鏡筒切断や取付けアダプター製作を快く引く受けて下さった
松本さん。そして、私をEMS-BINOの世界に導いて下さり、製作に
あたっても、親身にアドバイスを下さったYさんに、この場を
お借りし、お礼申し上げたいと思います。
本当にありがとうございます。

今回完成したEMS-BINOは、末永く星見の相棒として付き合って
いきたいと思っております。

Comment by Matsumoto: 管理者のコメント:
今回いただいたレポートでは、BINO製作のご工夫やご苦労のみならず、
初期(製作段階)の光軸調整や、使用段階での光軸調整について、
非常に詳しく、実体験に基づいて説得力あるご説明をいただきました。
これからBINOを自作される方、あるいはユーザーになられる方には、
とても良い参考になるかと存じます。
Mさん、この度は、大変有意義なレポートをありがとうございました。
続報も楽しみにしていますので、よろしくお願いいたします。

 

SE102-BINO by DIY of Mr.YN in Tokyo

御社の「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」とケンコーのSE-102鏡筒にエクステンダーレンズを組み込んだ自作の双眼望遠鏡を作成しましたので紹介の写真を送付します。
これで「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」使用の双眼望遠鏡は4台目になりました。
尚、「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」は使い回しです。

先に紹介のSE-120鏡筒(F5、焦点距離600mm)でのエクステンダーレンズを組み込んだ自作の双眼望遠鏡をSE-102鏡筒(F4.9、焦点距離500mm)に展開したものです。SE-102鏡筒を持っていたのでこちらではどのようになるのか興味があり作成してみました。

EMSは使い回しで対応しています。汎用性の高い2インチ取り付けの「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」にしておくと、興味を持った双眼望遠鏡を自作して試したいときにコストや保管スペースなどで便利です。

SE-120鏡筒使用のときと同様にSE-102鏡筒のF4.9の短焦点のアクロマートにエクステンダーレンズを追加した方式で、収差を好まない人もいると思いますが、それなりには見えているので実用範囲と思います。エクステンダー無しに比べても悪化した印象はありませんが、収差増大による解像度の低下はあるようで中倍率までの使用になると思います。

また、同じくエクステンダーレンズにはステレオ顕微鏡用の補助対物レンズ0.75Xを転用して、更に対物側がレンズ凸面、接眼側がレンズ凹面になるように逆方向にして組み込みました。
HF2経緯台にのせる双眼望遠鏡ユニットとしては9.9kgの重量になりました。

SE-120双眼望遠鏡よりさらに軽くなり扱いやすいです。また既設接眼部を使用できるのでコストアップが少ないです。ただし、小さくなっても、EMSやバランスウエイト重量、経緯台への取り付け部品は大きさはほとんど変わらないので、それほど軽量になるわけではありませんが重量が10Kgを下まわり容易にHF2経緯台に載せたり降ろしたりできる感じです。
対物レンズが少し軽量になり前後バランス位置がほとんど接眼部近くの位置になったので鏡筒バンド位置が経緯台上下軸より前方になりました。

HF2経緯台も以前から紹介と同じHF2経緯台の使いまわしであり、天体の導入支援補助としてはGPS機能付きタブレットなどの星座アプリで目標天体のその時の方位と高度情報を入手して方位環とデジタル傾斜計を用いて導入します。1度以内程度の誤差範囲で導入でき
てそうな感じで便利です。もちろん等倍目視LEDドットファインダーで直接導入できる人はそのほうが速いです。
その時の気分で使用する鏡筒を選択して、HF2経緯台を使いまわして載せて楽しんでます。
それでも、HF2経緯台もアームを垂直に設定状態にしたものや45度に設定状態にしたもの、HF経緯台を含め複数台所有になっています。

以下、詳細について追加説明します。

(1) SE-102鏡筒のバックフォーカスは127mmで「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」の光路長を確保しようとして鏡筒をカットすると大きく対物レンズ口径がケラレることになる。そこでエクステンダーレンズを組み込んで、バックフォーカスを長くして対応することにした。SE-120鏡筒と同じバックフォーカス量だった。
以前に紹介したSE-120鏡筒(F5、焦点距離600mm)エクステンダーレンズ版と同じ、エクステンダーレンズにステレオ顕微鏡用の対物補助レンズ0.75Xを使用しました。尚、私が入手したものは中国製で実売単価2,000円程度で対物補助レンズ0.75Xは2枚貼り合わせの凹レンズであった。レンズ径は39mm径。試用してみたところ、凸面を対物側にしたほうが見えが良かったので、対物側をレンズ凸面、接眼側をレンズ凹面として使用することにした。

SE-120鏡筒(F5、焦点距離600mm)エクステンダーレンズ版と同様にレンズセルの外形50mm径にビニールテープを巻きつけてドロチューブ内に押し込み、更にラックギアの手前側にM3イモネジで押し固定した。

光路としてはEMSの対物側にエクステンダーの凹レンズを入れた単純な構成です。一般のバローレンズのバローレンズ本体とアイピース間が長いタイプで、EMSの2インチスリーブの長さ30mmにEMS-UL+IPDヘリコイドの光路長最大180mm程度を足した最大210mm程度の長さになります。

(2) ドロチューブの繰り出し量でエクステンダーとしての倍率も変化し、ドロチューブの繰り出し量を除いた接眼部からのバックフォーカスも変化する。
バックフォーカスやエクステンダー倍率はSE-120鏡筒のときと同様程度と思われる。
通常の無限遠合焦もドロチューブ繰り出し量45mm程度となっている。
アイピースの瞳径を測って計算したところでは1.6倍程度のエクステンダーとしてはたらいているようです。従って500mmx1.6=800mm 程度の焦点距離になっているようです。
6mmアイピース使用時の133倍でも使える感じですが、木星の縞を見たところコントラストなどが低くなり見えづらくなり、この辺の倍率が実使用限界と思われ、低・中倍率での使用に割り切ったほうが良いと思います。

(3) エクステンダーにより焦点距離が800mm程度と長くなり、瞳径7mmの最低倍率15倍はほぼ実現できなくなりましたが、40mmアイピースで20倍、瞳径5.1mm、32mmアイピースで25倍、瞳径4.1mm、26mmアイピースで31倍、瞳径3.3mmであり私には十分です。
老人になっているので瞳径は5mm程度も開けられているかかどうか判りませんし、白内障手術での眼内レンズの直径は6mmとのことで、瞳径5mm対応できれば十分と思います。

蛇足ながら31.7mm規格アイピースで私がよく使用するのは、ケンコーのプロフィールド7×32双眼鏡の接眼部分を取り外して、31.7mmスリーブを取り付けた焦点距離18mm相当のアイピースです。今回だと44倍で瞳径2.3mmになります。
アイレリーフが19mmと長く眼鏡を使用した場合でもアイカップのゴムを折り曲げれば気持ちよく使用できるとともに、アイカップも柔らかく裸眼でも見やすいです。見かけ視野も60度で、構成は3群4枚でガラス非球面レンズも含まれており優秀な部類だと思います。
普及型の双眼鏡という量産品からの流用であり、更に、ジャンク品では格安となり1個1,000円程度で作成できるときもありコストパフォーマンスが良いです。当然、双眼鏡なので1台から2個のアイピースが取れます。光軸ズレなどの不良品で返却できないプロフィー
ルド双眼鏡があり、興味があれば是非自作を試して見て下さい。尚、31.7mmのスリーブは別途入手ください。重量も85gで扱いやすいです。2インチアイピースは一般に300g以上なので31.7mmアイピースに比べ重量や保管スペースで扱いづらいです。また、結果的に焦点位置がマイナス側(アイピースのスリーブ段差の対物レンズ側になる)に3mm程度余裕に
なったので、バックフォーカスが不足ぎみの厳しい機器でも合焦可能性が高くなります。
特に近眼の人で裸眼で見るときには重要です。自作で31.7mmスリーブをゴムなどの緩衝材をはめこんで固定しているだけなので注意して扱わないと分離して脱落しそうになる時があります。8×40や10×50の双眼鏡は焦点距離18mm相当のアイピース部分を用いているものが多いようです。
また、31.7mm規格アイピースで低倍率を用いるときはケンコーのPL25mmもよく使用します。
アイレンズがギリギリに浅い位置にあり、アイレリーフも長いことから眼鏡を使用した場合でも見やすいです。
焦点位置のチェックの時はアイピーススリーブ段差の位置にアイピースの焦点位置のあるケンコーのPL20mmをよく用います。PL25mmでは目視で焦点位置をつかむのに範囲が広く感じられ合焦の山の頂点を見つけづらくバラツクからです。特に私は近眼なので裸眼で長焦点アイピースで合わせるとズレが大ききなりがちです。

(4) 鏡筒が短いので鏡筒バンドとHF2経緯台のアームとの衝突を避けるために、鏡筒バンド固定つまみを内側とし、鏡筒径が小さくなったことから左右鏡筒バンドつまみが同位置でも重ならないことが可能になった。
かえってぶつからないように鏡筒間隔D=162mmに広げた。

(5) バランスウエイトは31.7mmアイピース使用時は手前側とし、2インチアイピース使用時は対物側に移動で前後バランスはとれる。31.7mmアイピースや2インチアイピースも重量が変わらないことから、必要バランスウエイト重量も同じとなる。
バランスウエイトの取り付け位置もSE-120鏡筒使用のときと同じく、アイピース交換時に操作しやすく、接眼部側を短縮できる手前側設置とした。対物側重量不足の万一のときのためにバランスウエイトシャフトは対物側にも伸ばしており、取り付け可能なようにしてある。

(6) EMSの上下方向の調節範囲に入らなかったので片側に0.5mm厚のワッシャーを入れて、調節範囲内とした。

(7) エクステンダーレンズに使用のステレオ顕微鏡用の補助対物レンズについて、入手した0.7Xのものを試したが、0.75Xと光学仕様はほとんど変わらないと思われるのに、SE-102の対物レンズとの相性が良くなかったせいかわからないが、倍率を上げていくとピン
ボケのような解像度の無い見え方が顕著に感じられ、SE-120鏡筒で使用した0.75Xの補助対物レンズをSE-102鏡筒でも使用することにした。入手した0.75Xの補助対物レンズ使用だと0.7Xに比べそれほど悪化が感じられない。

(8) ケンコーのSE-120L、SE-120、SE-102鏡筒 で双眼望遠鏡を作成してきて、アクロマートではあるが SE-120L がやはり好みではあるが、私には重く、長く扱いづらく感じられ、
どうしても使いたいと思うとき以外は使用しないことが多い。102mmのED双眼望遠鏡に比べ色収差により透明感やスッキリ感などは劣るが見え味はかなりいいとこまで迫っていると思うので、既存接眼部がそのまま使え、鏡筒のカット程度の工作で対応できるので、コストパフォーマンスも良く、重さや、長さをそれほど苦にしない人には良いと思います。
SE-120、SE-102鏡筒では接眼部を短いものに交換してバックフォーカスをEMS使用できるように長くするか、素人では手が出ない程度の接眼部の改造をしてバックフォーカスをEMS使用できるように長しなければならない。
簡易的にエクステンダーを追加してバックフォーカスを長くする方法があり、ステレオ顕微鏡用の補助対物レンズ0.75Xを用いて実現できることがわかった。ただし、倍率を上げたときに性能低下に簡単に気づく。
私の個人的な印象ではSE-120Lは200倍程度まで、SE-120は150倍程度まで、エクステンダー追加版は100倍程度までの運用範囲が良いのではないかと思います。
個人の好みや目的にもよりますが100倍程度まででも惑星などを除けばかなり楽しめると思います。これでも一般の大型プリズム双眼鏡よりは90度であることなど使いかってが良いことや見え味、2インチアイピースを含むアイピース交換による倍率変更、見かけ視野
変更などで勝っていると思います。
そのうちEDレンズなど使用の双眼望遠鏡にグレードアップしたくなれば作成する仕様範囲
にもよりますが現在使用の「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」は転用・兼用使用できるの
でコストパフォーマンスは良いと思います。

(9) Amazon で使用できそうな安価な2インチ接眼部がありましたので参考に紹介します。

私が購入したときは1個5,360円でした。現在、在庫切れになっているようです。
これぐらの金額で使えそうな2インチ接眼部が入手でき、適合できれば、エクステンダーが1個2,000円ほどなのでエクステンダーを選択しなくてもよさそうですね。
全長137mmのドロチューブの先端を37mm程度切断加工して100mmに短くすればF4.9鏡筒でもギリギリ使用できそうな感じです。先端開口は55mm径です。尚、商品説明記述には誤り記述もあります。
SE-102で焦点位置をあてがって簡易に試してみたところIPDヘリコイドの最短から最長でドロチューブ繰り出し量23mm~7mmで無限遠合焦したので、ドロチューブのストロークが37mm切断したとして70mm-37mm=33mmであり適合しそうです。ただし接眼部は鏡筒内径より小さいので接眼部の取り付け方法、取り付け位置で少し変動します。鏡筒の切断は必要なしです。クレフォードの動作域での切断なのでネジ取り付けなどでのストッパーが必要に
なります。クレフォードでのストッパーの取り付けは経験がないので検討が必要です。
現在作成したSE-102双眼望遠鏡にこれを適用して更新改造することは今のところはまだ予定していませんが試してみるかもしれません。

(10) 蛇足ながらSE-120の双眼望遠鏡で使用した接眼部は笠井の蔵出品放出で1個8,000円で2個を以前に購入できたものを用いました。正規品だと高くて購入はしていなかったと思います。
エンビパイプを切ってスペーサーにして位置安定と遮光に使用しました。固定は鏡筒フランジにM4ネジを切って、接眼部の回転固定部分の溝を3本のM4ネジで押して行っています。
旋盤を扱える環境の人だと簡単にアルミでアダプターを作成するところでしょう。

(11) ほかに、80mmF7EDレンズ使用の双眼望遠鏡の作成は私の中で先に行いたいことが多く後回しになり遅れています。
80mmEDレンズはM89/P1.0内ネジで鏡筒にねじ込むレンズセル構造になっているのですが、旋盤の環境が無く、90mm径鏡筒外周に外ネジを作成できないので、エンビ継ぎ手を加工してレンズセルを取り付けて、この継ぎ手を介して90mm径鏡筒に接続しようと加工中です。
当初はSE-102の対物レンズ部分を外して、残りをまるごと鏡筒バンドなど含めて使用と思っていましたが止めて90mm外径鏡筒使用に変更しています。

(12) 私は実際に天体を見るのも楽しいですが、どちらかというといろいろな機器を持つのが楽しく感じられています。作成自体は面倒なのでそれぼど楽しく作業してるわけではありませんが、それなりには楽しめています。できるだけお金をかけないようにコストを抑えるために自作で作成しているものが多くなっています。当然、欲しい状態の品で完成品で販売しているものは、完成度が高く、手間も省けるので完成品で購入しています。私の自作品は完成品には及ばないレベルであり、外観など完成品に近づけようとも思っていません。機能が果されれば十分満足です。結果的にトータルで結構な出費となってしまいました。
もう、私と同じ年代の年寄りは終活を考えたり実施している人も多いと思います。私の場合、機器が多くなってきているで終活だけでなく、そのうち整理が大変になることは予想していますが着手は当分先の気持です。
だらだらと私的感想を含めて長文になってしまったことご容赦ください。

SE120-BINO by Mr.YN in Tokyo

「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」とケンコーのSE-120鏡筒で自作の双眼望遠鏡を作成しましたので紹介の写真を送付します。

SE-120鏡筒の仕様のF5(焦点距離600mm)のままで既設接眼部をEMSでケラレなく使用できるようにする方法が見つからなかったので、入手して持っていたドロチューブの短い接眼部に交換しました。それでも120mmが117mm程度に若干ケラレましたが、程度が軽いので良しとしています。

F5の短焦点のアクロマートでもあり、収差を好まない人もいると思いますが、それなりには見えて実用範囲と思います。なんしろSE-120L鏡筒使用に比べ鏡筒が短いので、扱いやすいです。HF2経緯台にのせる双眼望遠鏡ユニットとしては12.5kgの重量になりました。
EMSやバランスウエイトをとりはずさ無くても、私ひとりでHF2経緯台に載せたり降ろしたりできるレベルの重量です。取り外せば時間はかかりますが更に容易となります。

天体の導入支援補助としてはタブレットなどの星座アプリで目標天体のその時の方位と高度情報を入手して方位環とデジタル傾斜計を用いて導入します。1度以内程度の誤差範囲で導入できてそうな感じで便利です。もちろん等倍目視LEDドットファインダーで直接導入できる人はそのほうが速いです。この程度の双眼望遠鏡では倍率のある光学ファインダーは口径50mmのものでは重量が500g程度あり、バランス調整の面倒さもあり必要ないと思います。

以下、詳細について追加説明します。

(1) SE-120鏡筒のバックフォーカスは127mmで既設接眼部のドロチューブ長さが158mmで先端開口が52mm径で「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」の光路長を確保しようとして鏡筒をカットすると大きく対物レンズ口径がケラレることになる。入手していた接眼部はドロチューブ長さが97mmで先端開口が51mm径でケラレが若干でおさまるものであり、これに交換して使用することにした。

(2) ケラレを少なくするために鏡筒間隔D=154mmとした。最大眼幅は制限されるが、私の眼幅の66mmは範囲内にあり70mm程度までは対応できるみたい。
アイピースのスリーブの段差の位置にアイピースの焦点位置のあるアイピースを用いる通常の無限遠合焦はドロチューブを25mm程度引出した位置であり、この位置で120mmが117mm
程度に若干ケラレるものになった。測定方法が正しいかは判らないが、接眼部のアイピース焦点位置にレンズを外した安価な1灯LED懐中電灯のLED部分をセットして点光源とし扱い対物レンズ側に紙を置き投影して透けた光円で計ってみた。
尚、鏡筒のカットは行っていません。

(3) 鏡筒が短いので鏡筒バンドとHF2経緯台のアームとの衝突を避けるために、鏡筒バンド固定つまみを内側とし、左右鏡筒バンドつまみが重ならないように位置を前後にずらした。

(4) バランスウエイトは31.7mmアイピース使用時は手前側とし、2インチアイピース使用時は対物側に移動で前後バランスはとれる。

(5) 交換した接眼部の取り付け誤差もあり、EMSの上下方向の調節範囲に入らなかったので片側に0.5mm厚のワッシャーを入れて、調節範囲内としました。

(6) 接眼部を交換したのでその分コストアップになってしまいました。大きさによる扱いやすさや、低倍率になりずらさをいとわなければ、先に紹介したSE-120Lのほうが見えが良いと感じますがSE-120では扱いやすさは格段に良くなり、ちょい見には使用頻度は多くなります。重量や大きさは物理寸法からはそれほど差が大きくはありませんが、私にとってはこのあたりに一つの壁があるように感じます。
蛇足ですが、光学性能に満足できない人はEDレンズなど使用の高価格品を使用するしかないと思います。特に高倍率になっても鮮明な像となることを望む人はEDレンズなど使用品を使用がストレスが少なくて良いと思います。

Comment by Matsumoto / 管理者のコメント;

東京のYNさんより、また自作双眼望遠鏡(EMS-ULセット使用)のリポートをいただきました。
20年前くらいと比べると、自作マニアの方の数が減って来た印象がございます。 その中でも、こうして果敢に自作に挑戦さえているご様子を拝見し、頼もしく思いました。
今回も鏡筒のバックフォーカスの確保に腐心されたようですが、市販鏡筒の実情、30年前と少しも変わっていませんね。

方位メモリを水平回転軸に設けられ、デジタル傾斜計を鏡筒にセットしておっれる写真に注目しました。SkySafari等の天文アプリと連携すれば、強力な導入支援が實現しますね。
YNさん、今回も素晴らしいユーザーリポートをありがとうございました。

ZenithStar80ED-BINO by Aoi-Hoshi-San / “蒼い星”さんのBuruko(8cmED-BINO)

現在の私の8cmBINO(Buruko)の画像を久しぶりに添付します。
手前味噌ですが特筆すべきはEMSユニット以外はすべて市販の汎用パーツで構成されていて、加工もビクセンのHF用汎用プレートにネジ穴を12箇所加工した以外は、全て通販などでパーツを揃えて加工なしで組みあがっています。

鏡筒ユニットはHF汎用プレートにアルカスイス規格の台座クランプで取り付けています、ここで鏡筒の前後バランスも可能ですし、左右EMSのキャブレーション調整も松本さんの推奨(?)のEMSシフト調整ネジ1/4回転以内の精度なら、遠方を覗きながら10分以内で可能です。
画像ではHFフォーク架台に取り付いていますが、取っ手を固定する底板プレートにジッツオ-マンフロット規格の雲台プレートを使いましたので、ビデオ雲台での運用も可能です。

自前の加工がHF汎用プレートへのネジ穴加工だけなので、組みあがった全体像も素人自作っぽさが少ないです。
松本さんの組み上げるBINO完成品には遠く及びませんが、私個人としてはこれで十分満足していますし、何より松本さんにお願いするより早くて安いです(笑)

青い星

Comment by Matsumoto / 管理者のコメント;

「蒼い星」さんのEMSの修理を承った機会に、久しぶりにご愛用の8cmBINOの”BURUKO”の近況をご報告いただきました。
市販品パーツの組み合わせでも、これだけ洗練されたBINOが構成できるという好例だと思います。これから自作を考える方にも大いに参考になると思います。
蒼い星さん、この度は、また素晴らしいリポートをありがとうございました。 今後共よろしくお願いいたします。

BLANCA130EDT-BINO (Mr.Ebi)

新潟市在住の海老と申します。3月中旬に制作していただいたBLANCA130EDTⅡ双眼望遠鏡ですが、5月になりようやく天候が安定し、観望を何度か行うことができましたので、レポートをお送りいたします。

①双眼望遠鏡導入の経緯
私の天文趣味の始まりは6年前です。趣味の写真撮影の一環として星の撮影に興味を持ち、広角レンズによる天の川撮影から始めたのですが、その時に安物の7×50双眼鏡で何気なく覗いた夜空の星の多さに仰天し、そこから天体観望への興味が一気に湧き上がりました。まずは10×50と15×70の双眼鏡でカメラ用三脚とビデオ雲台による観望ライフをスタートさせ、主に白尾元理氏著「双眼鏡で星空ウォッチング」等を教科書として双眼鏡で見ることのできるメシエ天体や主な星団の観望を楽しみました。その流れから現在も正立双眼視による星野の観望、いわゆるリッチフィールドを楽しむことが中心です。

機材に関しては、すぐにより大きな口径に目が行き、直視型25x10cm、10cm45度対空双眼鏡を入手し、ひとまず落ち着きました。さすがに10cmの対空双眼鏡ともなると様々な天体を楽しむことができたのですが、やはり天文趣味の宿命でしょうか、一年後にはさらなる機材のグレードアップを思案するようになります。先ずはより大口径の双眼鏡としてビクセンのBT125を購入候補としたのですが、この頃目に入ってきた言葉が「EMS双眼望遠鏡」です。EMS?松本式?これは一体なんなのだろう?ネット上では何やら市販の対空双眼鏡なぞ相手にならんスグレモノだという評価・・・。

この頃胎内の星祭りで17.5cmの巨大双眼望遠鏡のオーナーさんにお話を伺う機会を得ました。その時に印象的だった言葉が「対空双眼鏡のままで10cmから12.5cmにしてもあまり変化は感じられませんよ。」「グレードアップするならEMSしかありません。鏡筒はやはりアクロよりはアポクロマートが良いです。」「でも15cmF5(当時すでに完成域に達したVersion10でした)BINOは別格です。あれはよくできた双眼望遠鏡です。」この3つでした。このアドバイスがいつも私の脳裏から離れない金科玉条として耳に残ったのです。

その後、一昨年の春にたまたまオークションで中古の10cmF5BINOを見かけ、衝動的に落札してしまいました。実物のEMS双眼望遠鏡を手にしたおかげで、それまで松本さんのホームページを読んでもさっぱり理解できなかったことが手に取るようにわかり、将来の本格的なEMS双眼望遠鏡制作に向けての準備が整って行きました。また、ほぼ同時期にED屈折式望遠鏡がどのようなものかを知る為に笠井トレーディングのBLANCA115EDTⅡを購入し、これまたオークションで入手したEMS-ULを装着して単眼ですが、10cmF5BINOと併用し、双眼望遠鏡制作の検討を進めました。

そして検討の結果、「15cmF5双眼」「11.5cmED双眼」「13cmED双眼」の3つを候補として考え、一度は予算的に手頃な11.5cmED双眼に決めかけたのですが、土壇場で13cmに計画変更して松本さんに制作を依頼しました。笠井トレーディングのBLANCAを選択した理由は、初期型を中心に過去多くの双眼化の実績があり、また、単眼で11.5cmを実際に使用してみて自分的には十分な性能と感じたからです。そして15cmF5ではなく13cmED双眼を選択した理由ですが、自分の一番大好きな天体は散開星団だからです。10cmF5の経験からアクロでも散開星団の微光星に色収差は見られずアポクロマートとの差は小さいのはわかるのですが、逆に言えば小さいながらも差があることも単眼ながら併用した11.5cmのBLANCAとの比較で感じていました。また私は特に目的も無く星野をゆるゆると流すことが好きで、その時の星々一つ一つの美しさを堪能するのが大きな楽しみでもあるのです。そのため微光星の一つ一つがよりシャープに見えるアポクロマートを選択しました。実際には11.5cmでも十分だったとは思いますが、自分の性格からして後々13cmの存在を気にする事が目に見えていましたので(笑)思い切って13cmに変更しました。今思えばやはり13cmにして良かったと思います。

②制作依頼から完成、引取りまで
昨年の12月からメールで松本さんと仕様決定に関する質疑応答を交し、2月上旬に正式に発注しました。鏡筒は笠井トレーディングBLANCA130EDTⅡ、EMS-UXL、中軸式架台、傾斜センサー付き、フォーカサーは3インチ以上の大型のものに交換したかったのですが、オリジナルの2.5インチでも実用上問題ないとのことでしたので鏡筒付属のものをそのまま使用することにしました。(予算の問題もありますのでどこかで線引きも必要かと思いました)

完成までの約1ヶ月は制作状況速報を楽しみに読み、時には松本さんにその感想を伝え、引き取りの日を迎えました。3月下旬の週末、はやる心を抑えつつ700km先の鳥取へ針路を取り車のハンドルを握ります。折角の西方への旅路ですので自分にとっての前人未到(笑)の天橋立の観光もついでに、ということで宮津で一泊。翌日の鳥取到着の折には鳥取砂丘の見物も。双眼望遠鏡受け取りに花を添える良い思い出となりました。

松本さんのお店には予定通り15時に到着し、ドキドキの対面です(笑)。松本さん、その節は風邪を召されたばかりで体調が優れなかった中、完成したBINOの説明のみならず、持参した中古購入の10cmF5BINOのメンテナンスまでしてくださり、どうもありがとうございました。また実際にお会いして直接お話しすることにより、メールではわかりにくい事柄等もよく理解でき、BINOの運用に役立つ知識をたくさん得ることができました。実際、BINOを受け取ったのちに遭遇したトラブルも簡単なメールのやり取りで解消することができましたが、それはこの鳥取訪問で得た知識があったからこそです。私の住まいからはかなり距離があるのでなかなか難しいですが、もう一度訪問してお話を伺いたいと思うほど有意義な時間でした。

③周辺機材
もともと笠井10cm対空双眼鏡(売却済)や10cmF5BINO、さらにはビクセンBT-ED70S-A対空双眼鏡も所有しているため、アイピースは双眼用に一通り揃っていました。Masuyama32mm、XW20mm、14mm、10mm、7mm、LVW17mm、5mm、3.5mmなどが中心でしたが、今回の双眼望遠鏡制作を見越してより広角のアイピースの購入を思案し、昨年より発売された賞月観星XWA20mm、XWA13mm(100度)、UWA16mm、7mm、4mm(82度)の各種を取り揃えました。結果、広視野の迫力が素晴らしく、コントラストやシャープさも満足の行くXWAの2本が低倍率用のMasuyama32mmとともにメインアイピースとなりました。また、高倍率は使用頻度が低いため、XW7mmとLVW3.5mmは売却しました。UWA7mmと4mmは私の要求レベルでは代替えが十分な性能を有しています。

三脚はマンフロットの475Bという大型のアルミ三脚を使用しています。この475Bは複数所有しており、AOK AYO経緯台を装着して左右合計15kgほど機材を載せてテスト済みで、13cmF7BINOでの使用に対応できるとの判断です。実際の運用では脚部、エレベーターともに問題無く使用できています。エレベーターのおかげで中軸架台の延長筒が不要になりコストダウンになりますが、一番のメリットは延長筒を省略することにより、三脚の脚部の寸法を長く取ることができ、結果として脚三点を結んだ線が形成する三角形が大きくなり安定性が増すことです。実際載っている望遠鏡の重さも効いており、転倒の恐れは極めて低くなっています。また、エレベーターを使用しなくても仰角80度くらいまでは可能ですし、エレベーターを20cmほど伸ばすと90度もOKとなり、使い勝手は良好です。

収納ケースはアイリスオーヤマのRVボックス1150Dを使用しました。ホームセンターでサイズがぴったりの長座布団を見つけ、中に敷いて鏡筒を収納しています。人間が横になっても快適な座布団ですので鏡筒の保護には十分なレベルだと思います。

ファインダーは国際光器の正立ファインダーとスカイサーファーを装着しましたが、傾斜センサーとSkySafariのおかげでほとんど飾りと化しています。

④運用
3月下旬に受け取ったのはいいのですが、4月いっぱい天候が不純でいつまで冬が続くのかと呆れるほど晴れません。しかしこの期間に昼間の風景や2階のベランダより光害まみれですが実際の星空を眺め、光軸の追い込みや所有するアイピースとの相性を確かめたり、傾斜センサーとSkySafariの運用、BINOの組み立てなどの練習を繰り返しました。おかげで実際の運用時の組み立て、撤収はとてもスムーズに行えています。

GWの後半の5月になってようやく安定した晴天が訪れました。4月の不安定さのお返しのように晴天が続き、おかげで5月は6回も観望することができ、存分にEMS双眼望遠鏡の性能を堪能できました。観望地は胎内星まつりの会場となる天文台の駐車場のほか、より暗い県北の観望地2箇所を訪れました。特にGW後半の5月2、3日は非常に透明度が高く、事実上のファーストライトということもあり、そこで目にしたいくつかの著名な天体の美しさはとても印象深いものでした。

時期的に観望開始時の時間帯は春の銀河団を、次にこと座、はくちょう座近辺、そしてさそり座、射手座などの天の川の中心部、そして木星、土星といった惑星を見て終了という流れになります。

春の銀河団
アイピースはXWA20mmを使用。45.5倍、実視野2.2度です。瞳径2.86mmは適度に背景が締まり暗い天体を探すのに都合が良いです。しかし薄明終了直後の空は地上の光の影響も大きく銀河の観望には今ひとつ。それに何より13cm双眼と言えども銀河は遠く淡い対象です。同定するのが精一杯で形状や模様を楽しむまでには至りません。それでも乙女座銀河団の中の銀河の配置などの予備知識が無いにも関わらず、2.2度の視野の中に弧を描くように連なる一群を見つけることが出来たのは驚きでした。言うまでもなくこの一群はマルカリアンチェーンなのですが、双眼視のおかげで長時間覗き続けることができ、また両目じっくりと眺めることにより認識度が上がったための結果です。おとめ座銀河団はM84、M86からNGC4459までマルカリアンチェーンを辿り、そこから左へM88、M91、下へ降りて一番明るいM87、左のN89、M90、下がってM58、左へM59、M60と流れるように辿っていけました。そのほかに定番の獅子座トリオ、M104やかみのけ座のNGC4565、M64などを確認。その後おおぐま座近辺へ移動して、M97、M108、M109、M106、M101、M94、M63、M51を確認し、M81、M82へ。形状、模様などがある程度わかるのは限られた銀河ですが、双眼望遠鏡ならこれで十分かと思います。より大口径の反射系の望遠鏡の経験がない自分には銀河の同定だけでも楽しい観望でした。

天の川下り
アイピースはMasuyama32mm(28倍、約3度)で軽く流して、その後XWA20mmで迫力を楽しみ、最後にXWA13mmやXW10mmで特定の天体の詳細を観望しました。この辺は小口径の機材でも楽しめるところですので馴染みの天体が多く、M4、M6、M7、M8、M20、M21、M23、M28、M25、M22、M24、M17、M16、M11とまさに川の流れに任せるが如く次から次へと導入していきます。しかし、見慣れたはずのこれらの天体も13cmアポ双眼、特にXWA20の45倍100度での観望には圧倒されました。M6やM7の大型の散開星団は視野いっぱいにカラフルな星々が煌めき、M4、M22の大型球状星団はツブツブがはっきり見えます。M8、M20、M17などの散光星雲は白いガス雲のたなびく様子や、暗黒帯のスジが高いコントラストで浮き上がります。小口径では星雲状にしか見えなかったM11も光芒の中心まで星に分解してまるで球状星団のようです。そしてこれらの美しい天体を心ゆくまで覗き続けられるのも正立双眼視の醍醐味です。時間が経つのを忘れるほど、というのはまさにこのことでしょう。

惑星
この5月は当地では比較的気流が安定していたと思います。主にLVW5mm182倍とUWA4mm228倍で木星と土星を観望しました。13cmアポ屈折ですので気流が安定すれば大変よく見えます。経緯台での追尾ですが、双眼視と優秀な中軸架台のおかげで楽に観望できます。さすがに300倍とかは大変かと思いますが、自分としてはこの程度の倍率で十分と思っています。

⑤光軸調整について
EMSシステムの要であるXY調整ノブですが、2本の鏡筒がきちんと平行にセットされていれば回す範囲はごくわずかです。これは常々松本さんが仰っている通りでアイピースが持つ固有のバラツキを補正するものですが、実際アイピースを交換するときに稀にわずかに動かす程度で済みます。逆にいえば、鏡筒とEMSをセットした時にこのXY調整ノブを大きく動かさなければいけない時は、鏡筒2本の光軸がずれているか、EMSがきちんと装着されていないなどの異常が発生している知らせになります。鏡筒の光軸がずれることは滅多に無いですが、EMSの左右平行はドローチューブとの接続部が緩んだりして狂うことがあるので、そのチェックは重要です。

⑥銀ミラーについて
煌めく星々を見て感じたのですが、市販の対空双眼鏡に比べてEMSを使用した望遠鏡は星々の色がとても多彩に見えます。単純にオレンジとか青とかではなく、それぞれの色に濃淡を感じます。銀ミラーは赤系の色の反射率がアルミに対して特に高いそうですが実際にはどの色に対しても感度が高いように感じます。私は10cmF5BINO(銀ミラーにリフォーム済み)を2年間使用してきましたので以前からそう感じていましたが、鏡筒の性能が飛躍的に向上した今回は改めてその印象を強くしました。とにかく星の一つ一つの煌めきが美しい。本当に心が癒される思いです。

⑦SkySafariによる導入支援システム
中軸式架台に内蔵された水平エンコーダーと傾斜センサーAAS-2とSkySafariの連携による導入支援システムですが、想像以上に正確であり、また便利であると実感しました。セッティングも非常に簡単で、AAS-2を鏡筒のハンドルにベルクロで固定し、電源ケーブルをモバイルバッテリーに、水平エンコーダーの端子に信号取得ケーブルを接続するだけです。傾斜センサーは2型になってからWi-Fi機能も内蔵しているためNEXUSが不要(コレが素晴らしい!)となり、コスト削減と安定性が向上しています。アライメントも極めて容易で、まずは著名な一等星をSkySfariで検索しておき、視野の中心にその星を導入して画面上の「Align」ボタンをタッチするだけです。観望中にわずかなズレが発生したりもしますが、前述の方法で修正はあっという間です。そして運用においても観望記の中にある春の銀河の同定に凄い威力を発揮しましたし、その他の天体においても同様で、ドットファインダーと8×50の正立ファインダーも装着していましたがほとんど使用しないまま終わりました。iPadminiの設置場所もベストな位置でデザイン的にもBINOとマッチしておりとてもカッコイイと思います。

⑧これまでの運用から感じたこと
観望の感想の中の「アレが見えた、これが見えた」といったものは、実は鏡筒の性能によるものです。つまり13cmアポ屈折ならばこれくらい見えますよ、といったレポートでしかありません。しかしながら、長時間これだけ多くの天体を楽しく観望できたのは、正立双眼視による快適さ、肉眼で見た天空と望遠鏡で覗いた星空との整合性のおかげです。さらには、13cmアポ屈折望遠鏡を2本載せてもスムーズな動きを保証する松本さんオリジナルの中軸式架台。そして傾斜センサーと水平エンコーダーとSkySafariによるPush to導入支援システム。もちろん根幹をなす松本さんの発明であるEMS正立ミラーシステムを忘れてはいけません。これらの総合的な工夫と技術の結晶が素敵な星空観望へといざなってくれるのです。

その中でも特に感銘を受けたのが中軸式架台です。通常、13cmクラスのアポ屈折鏡筒を1本運用するだけでも経緯台を使用する場合は選択に苦慮します。だいたいの市販品は片持ち式のため反対側にバランスウエイトを要して大型化したり、スーッと動いてピタリと止まることが難しいものがほとんどです。松本さんの中軸式架台は、(これが非常に重要なことなのですが)パンとチルトの支点が望遠鏡の重心と見事に一致しています。そのおかげでこのスーッと動いてピタリと止まるのが自然に決まります。私はここに松本さんのフィロソフィーを感じます。単に正立ミラーシステムを用意して双眼望遠鏡を提供するにとどまらず、架台をはじめとしたあらゆる部分に創意と工夫を凝らして快適な眼視観望に対するトータルソリューションを提供する、それが松本さんの職人魂だと思うのです。

このフィロソフィーはシステム全体としての完成した双眼望遠鏡のいたるところに感じられます。例えば中軸式架台が2本の鏡筒を抑えるアリミゾのレバー。小型ながら非常に締めやすく、またラチェット式になっているのでチルトのクランプレバーと干渉しても簡単にかわすことが出来ます。そしてこのチルトのクランプレバーですが、非常にスムーズに動き、そしてとても軽い力で固定できます。固定力の増減も自由自在です。また、ハンドルバーと兼用のバランスウエイト。真鍮製のウエイトはとても美しく前後のスライドも滑るように動いて快適です。私のシステムは一番軽いアイピースが31.7mmアダプター込みで250g、一番重いのはXWA20mmの705gですが、このバランスウエイトの前後と鏡筒のフードをわずかに前後させるだけで架台の前後バランスが取れています。

⑨まとめ
天文趣味のきっかけが双眼鏡だったせいもあり、正立像の眼視(それも双眼)に徹底的にこだわる私にとって、松本式EMSミラーシステムは理想的なソリューションです。天文台の観望会で見せてもらう大口径の反射式望遠鏡で見る、例えば詳細な球状星団などもいいのですが、やはり私は煌めく星々の中に見つかる星雲、星団、そして一つ一つの星の輝きを眺めるのが好きです。銀ミラーの項でも述べましたが、私にとってのEMS双眼望遠鏡は最高の癒しタイムを醸し出してくれます。iPhoneに入れたお気に入りの音楽をイヤフォンで聴きながらのスカイウォークは浮世の喧騒、ストレスとは無縁の世界。松本さんの発明がなかったらこのような素敵な体験を知ることなく人生を終えたでしょう。EMS正立ミラーシステムに巡り会えて本当に良かったと思います。これから憂鬱な梅雨ですが、梅雨が明ければ夏の天の川、そして大好きな二重星団をはじめとする散開星団が目白押しの秋冬の天体が深夜には上ってきます。13cmF7BINOで観るそれらの姿を楽しみにレポートを終了します。

Comment by Matsumoto / 管理者のコメント;

I felt that Mr.Ebi has eloquently wrote for me with his close and kind explanations based on his valuable experiences.  I really recommend those who are planning to get EMS-BINO to peruse this report.
I was so moved, and at the same time, I would like to exhort some of my agencies who lack his attitude to study and actually master the EMS-BINO by themselves before marketing it.

海老さんより、渾身のリポートをいただきました。製作者が日頃から訴えたいところを、詳細に解説、代弁くださり、私が蛇足を付け加える余地がないくらいです。本当に感動しました。
海老さん、本当にありがとうございました。 続報も楽しみにしています。^^

(この場を借りて、(EMSの)代理店さん(海外含む)に苦言を呈したいと思います。EMSで営業をなさるのであれば、海老さんのように、まずは自分で使いこなしてみるべきです。そうでないと、お客さんに適切なアシストが出来る訳がありません。)

BORG-107FL-BINO by Mr.Zhao Xiaoqiang, China

Dear Tatsuro,

I haven’t contacted with you since purchase of EMS-Bino. Today I browsed your website and saw a lot of fabulous Binoscopes, which reminded me to write a letter about mine.

First of all, thanks for your great product.

In the fall of 2017, I started my plan of EMS-Binoscope. With the help of several friends, including Range and 2047 and others, my binoscope was finished in the spring of 2018. Up to now I have used it for one year and it is satisfactory.

The objectives of my binoscope are two set of Borg 107mm lens which included one piece of fluorite lens in each. One amazing feature of the Borg 107mm lens set is that the tube will be stretched out when used, while drew back when stored. So the 107mm binoscope could be very compact. The focusers are Feather Touch FTF3035.

My friend, whose online name is 2047, proposed the general conception for the binoscope and made the other components except the objective, focuser and EMS-Bino.

Attached are the pictures of my 107FL binoscope.

Good health and best regards,

Sunglasses of Beijing, China

Comment by Matsumoto;

It is my greatest pleasure to get reports from my clients.
Above all, this binoscope is the most impressive one I have ever seen.
I would like to extend my sincerest appreciation to you and those who had assisted you for the accomplishment of this fine Binocope using my EMS.

シンプルを極め、美を極めていて、言葉もありません。見事の一語に尽きます。
鏡筒保持パーツは、(取っ手を除いて)通常は4つの部品を組み合わせるのですが、画像を見る限り、ソリッドな素材から削り出しているように見えます。加工技術も半端じゃない。

SE120L-BINO by Mr.YN in Tokyo

参考に御社の「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」を使用した自作の双眼望遠鏡がようやく一応完成しましたので、紹介の写真を添付ファイルで送付します。
EMSユニットや情報の提供有難うございました。
素人DIYですので加工精度は良くないですが、実用範囲内には作成できたと思っています。
架台はHF2経緯台で、アームを45度設定にしています。しかし、気軽に自宅のベランダからも見たいので、ベランダの幅が120cm程度と狭いことと、望遠鏡の鏡筒が比較的長いことからアームを45度にしたHF2経緯台ではスペース不足で扱いずらいので、ベランダで運用時にはアームを90度(垂直)設定としたHF経緯台にのせて使用しています。もともと自宅のベランダからは上部のひさしなどにより天頂方向は見えず、視界が限定されるので、天頂方向に向けられないアーム 90度(垂直)としたHF経緯台でも十分に使える感じです。
HF経緯台にのせる双眼望遠鏡ユニットとしては15.2kgの重量になりました。HF経緯台へのせたり降ろしたりを少しでも楽にするためにEMSユニットとバランスウエイトは外した状態の13kgの重量でのせたり降ろしたりしています。
鏡筒はケンコーのSE-120Lでアクロマートですが気持ちよく見える感じです。
天体の導入支援補助器としては方位環とデジタル傾斜計を用いています。

東京都 YN

3月11日 追記:

(1) バックフォーカス確保のため鏡筒を23mm切断しました。また、ドロチューブによるケラレが発生しないようにすることと、最手前の既存の絞りにドロチューブの先端が当たらないようにするためにドロチューブ先端を25mm切断しました。
ドロチューブはフルに引出しての使用は今後無いと考え、ドロチューブの先端部分のラックギアにかかる手前でドロチューブを切断しました。
SE-120Lのバックフォーカスは160mmのようなので、今回のEMSを使用すると5~10mm程度バックフォーカスが不足するような感じでした。鏡筒を23mm切断・短縮したことによりバックフォーカスが183mmとなったと思います。
松本さんの記述で「IPD 64mm時のEMSの光路長が166mmでマージンを15mmとして180mm以上のバックフォーカスが欲しい」とあり、これをカバーできそうだったので、絞りの削除などを行わない程度でおさまる範囲として選択しました。
眼幅66mmで近眼の私の場合、裸眼でEF19mm接眼レンズ使用時にドロチューブの引出し量は20mm程度で合焦します。

(2) 右側の鏡筒の接眼部は、手持ちにあった12cm用の接眼部がほぼ同一寸法であったので交換してみました。最新のSE-120Lの接眼部は途中にネジ止め段差があり120mm用鏡筒だけでなく、部品を外すと102mm用鏡筒にも適合できる寸法のようです。
また、右側鏡筒は接眼部のファインダー用アリミゾが使用可能なように回転させています。
合焦摘みとバランスウエイト(55mm径)との干渉が無く、外すこともできるような位置に現物合わせでしています。
とりあえずこの位置のファインダー取り付けは予定していませんが、取り付けたくなったときの準備です。取り付けたとしても使いやすさから90度ファインダーか更なる手元短縮のためのバランスウエイトの追加となるでしょう。片側の鏡筒に力が加わることになり片側操作で一時的に視軸がずれる可能性もあり好ましくない感じもしますがここを操作ハン
ドルを取り付けるベースとすると、現在の操作ハンドル取り付けより軽量化できます。

(3) 以前から交換していることですが、今回は特に鏡筒間隔D=162mm でHF経緯台ではギリギリの横幅となっており、HF経緯台の上下クランプのネジ摘みが干渉しないように既設の40mm径より小径の約19mm径の摘みにしています。6mm穴径のサイドから軸にネジで摘みを固定するタイプの音響用摘みが使用できます。内部に滑り止めギザギザがある場合は6mm
ドリルで削ればHF経緯台のクランプネジの6mm径頭に取り付けられます。
HF経緯台は耳軸部分で約308mmで水平回転部に向かってテーパ状に300mm程度まで狭くなっ
てゆきます。他のHF経緯台でも直ぐに使用できる汎用性を考え、この幅内に納まる設計としました。
テーパ状になっているので横幅を有効に使用できるように下側への寸法も極力短くなるようにしました。
鏡筒下部に部材が多くあるので、耳軸中心は鏡筒の中心として設計しました。これで大丈夫のようです。

(4) 耳軸には31mm径の黄銅の丸棒を長さ33mm程度に切断して使用しました。縦プレート側は13mm間隔でM5のタップ穴にして、M5ネジ2本で固定して回り止めしています。縦プレート側は幅寸法消費が無いようにネジ頭は座ぐって縦プレートから頭が出ないようにしています。
外側は中心に1/4Wのタップ穴を設け、アルカスイスクランプなどカメラネジ品が容易に取り付けられ双眼ファインダーが取り付けられる可能性としていいます。1/4Wは厳密にはカメラネジ規格ではないですが経験上だいたい使えています。
当然、アルカスイスクランプを取り付けるときはアルカスイスクランプにネジ穴を追加してイモネジで押しネジにして回転防止の対応が必要です。

(5) アルミ(A5052)切板部材は端面へのM5ネジ穴の作成しやすさと部材の販売単位でのコストパフォーマンスから50mm幅12mm厚、長さ1,000mmのものを購入して切断・穴あけ加工をして使用しました。購入の50mm幅は若干大きめですがそのまま使用しました。切断加工は長さ方向だけになるようにしました。

(6) バランスウエイト(外径55mm、内径12mm軸対応、883g)とウエイト軸(12mm径、M10ネジ部分長さ10mm、ウエイトスライド部分長さ390mm)は手持ちにあったものを使用しました。昔で記憶していませんがどこかの架台のジャンク品を入手したものだと思います。
片持ち固定なので振動要因となることを心配しましたが今のところ感じられません。
31.7mm接眼鏡使用時にバランスウエイトを手前側に持ってきたときにバランスが取れるように鏡筒バンド位置を調整して、できるだけ重たい対物レンズが遠くになり、操作しやすいように手前側が短くなるようにしました。
2インチ接眼鏡使用時にはバランスウエイトを遠くに移動させるだけでなんとかバランスはとれる感じです。31.7mmアダプタ2個で178gと接眼鏡2個を外し、例えばマスヤマ26mmを2個で768gを取り付ける。

(7) 操作ハンドルの握り部分は。ジャンクの安物三脚の雲台のパン棒で先がM5ネジになっていたので相手側にタップを切ってねじ込んでいます。

(8) 取っ手などはアルミフレームの20×20のもので、手で握って角が無く握りやすい種類ものを使用しています。断面中心に4.3mm径の穴があいており、M5のタップでそのままねじ切りできます。

(9) 上下方向の視軸は組み立てただけで、EMSの調整範囲内に入っていたので、それ以上の調整は行っていません。
水平方向の視軸はフォークのプレートのM6ネジタップに対する取り付ける鏡筒側のバンドに取り付けたプレートの穴の大きさの緩みを利用してEMSで覗きながらできるだけ像が重なるように動かして、その位置で鏡筒当たりM6ネジ2本を固く固定して、EMSの調整範囲内に入ったのでこれでよしとしました。
もともと横幅がギリギリだったことから加工精度不足で左右の鏡筒の位置のためにヤスリで穴を削って大きくしていたので、ネジを固く固定しないとなりませんでした。

EMSは調整摘みに回転リミッタがついており、安全な調整範囲が明確にわかり、自作時などはまずはこの範囲に入るように鏡筒方向を調整することにより、安心して組み立てられて良いです。以前に松本様の記述にあった「ユーザーで調節しているときに設定位置を見失って、調整摘みの回しすぎが多く発生したのでリミッタを追加した。」との記述が実感され、回しすぎの危険から守ってくれて安全です。従ってEMSの原点位置への復帰も、摘みのリミッタの真ん中の位置と簡単に認識できて、まずは鏡筒本体での視軸調整に努力して調整可能範囲内への追い込みをすれば良く安心です。
御社の中軸式架台使用の双眼望遠鏡では上下方向の視軸、水平方向の視軸を加工精度と組立て精度で調整範囲内に入れて維持していると思われますので感心します。何か組立て時の微調整の裏技みたいなものは用いているのでしょうか。

(10) 接眼部で2インチ接続でのEMSへのクランプが弱い感じがして使用しているうちに回転する感じなので、クランプネジを現在の2本から3本に追加改造してみようと思っています。IPD調整などしていて知らず知らずに力が加わっているせいかもしれません。

続報(3/12)

頑張ればハンド工具と電動ドリルでも作成できるかもしれませんが、私はDIYレベルの安価なボール盤(1-13MMチャックのもの、SK11卓上ボール盤、13,000円程度)と安価なチップソー(高儀 CS-100TA、8,500円程度)を用いて作成しました。精度など機械性能はあまり良くないレベルのDIY入門機種とも思いますが自分で加工するならこれぐらいはないと作業効率やそこそこの精度など作成が厳しいです。

Comment by Matsumoto / 管理者のコメント;

I am very happy to have another user’s report after a long time.
He has shown the good example of the Binoscope making with reasonable OTAs.
Thank you, Mr. YN !!

久しぶりのリポートコーナーへのご投稿です。
“Best or Nothing” ではなく、リーズナブルな鏡筒でも十分にBINOの効果を満喫できることをアピールいただけると思います。皆さんも挑戦してみてください。
YNさん、新鮮なご投稿、ありがとうございました。

追記:バックフォーカス確保のための鏡筒の切断量等、追記いただけますと幸いです。
YN様より、さっそく詳細な製作情報をいただきましたので、上記本文の下に追加させていただきました。これから挑戦される方には大変貴重なデータとなるはずです。YNさん、重ね重ね、本当にありがとうございました。(3月11日)

(9)の最後のご質問ですが、これは裏技ではなくて、内蔵ミラーはもともとハウジングに製造組み立て段階でスケアリングとセンタリングが調整できる構造になっており、レーザーコリメーターと測定器具によって調整すれば、必然的にお届けしたEMSの初期状態になるわけです。

YN様より、さらに続報をいただきました。自作される方の良い参考になると思います。YNさん、重ねてお礼申し上げます。(3/14)