First “USER’S REPORT” of the FUJINON15cmED-EMS-BINO in confirmation of receipt / 着荷後の第一報を頂きました。

本日、無事に依頼者の方の元に届きました。
さっそくに地上風景ファーストライトのご感想をいただき、特別にお許しいただいて、そのまま掲載させていただくことにしました。

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無事に組み立てが完了しました。
ひとまず感動3話です。
【感動①】
添付画像のとおりファインダーを装着し、送られてきたままのハンドル兼ウエイトを取り付けたらどの仰角でもフリーストップ状態で大変気持ちが良い操作性で大満足です。よく計算されているなぁと感動!
【感動②】
あの部屋のインテリアと化していた直視のフジノンが90度対空に大変貌を遂げていました!
この事だけで今後、稼働率は格段に上がることでしょう。
首の痛くなる観望から解放され、じっくりと90度対空観望ができる喜びは一言では表せません。
手放すことなく、この機会を待ってて本当に良かったです。
この機材で天文熱の再開となりそうです!
【感動③】
明るい時刻から先ほどの夕暮れまで街の景色を観望していました。
よく見栄味について語られている話ですが、「昼間はコーワハイランダープロミナーが勝るが、夕暮れ時から見栄味が逆転し、大口径フジノンは凄まじい明るさと鋭像を見せてくる」
この改造機も同様なのですが、それにもましてEMS効果は絶大で、より一層明るさが増大し、色ずれも無くなったような感覚が実感できました。
高品質な2インチ広視界アイピースが自由に交換できる観望気分はもう最高です!
【感動④】
 この度のEMS取り付け改造ではバックフォーカスの制約の関係でEMSにフォーカシング機構が省かれました。最初はどのようにしてフォーカスさせるのだろうと不安でしたが、アイピースの抜き差しによる同焦点リングの活用案を聞いて「なるほど」と思いました。 考えてみれば無限遠対象の星空観望にフォーカシングが必要ないこと、目から鱗でした。
 アイピース毎の同焦点リングを製作いただいたおかげで、無用で無意味なフォーカス操作のない、正に即観望の態勢に入ることができるようになったのです。 天体望遠鏡におけるフォーカシング不用論、既成概念を疑って思考することの大切さを学びました。

 景色観望で感動しているのですから、星空観望はどんな驚愕シーンが待っているのかとワクワクしています。

星空観望記はまたお知らせします。

ひとまず景色のファーストライトの感想でした。

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Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;
 タイムリーなご感想、製作者として、何よりの励みになります。
また、掲載をお許しいただきましたことに深く感謝申し上げます。
 続報も楽しみにしていますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
 私も感動が極まり、多く語れません。

Flip-Mirror Corrector by Matsumoto / フリップミラー・コレクター(メガネのマツモト)の応用:東京都:宮台真司様

以下に、最初にいただいたメールをご紹介します。
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2020年9/10
 品物が届きました。ありがとうございます。
早速2つとも組み付けました。対物方向を0度として60度 (接眼方向を0度として120度方向)に付けました。
 一見奇妙でも、普段は中天以上しか観測しないので、むしろ見易いです。ニュートン反射鏡的な態勢ですが、中天以上を仰ぐと真下を除く感じになり、ニュートンよりも見易いです。
 必要光路長をフリップミラーの直進方向と直角方向を同一に調整しました。10キロ以上離れた羽田空港の発着を見ましたが、素晴らしい見え味です。
これにバックフォーカス加算分0㎜の笠井ELS双眼装置を取り付ける予定です。子供たちに素晴らしい観望体験を与えられそうです。
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続けて、9/11にいただいたメール;

 おはようございます。けさは笠井ELS正立双眼装置を、フリップミラーに付けた裏像補正ユニットの後ろに付けました。
フリップミラーの裏像を、補正ユニットが逆像に戻し、それをELS双眼が正像に倒立します。なので、補正ユニットを、対物方向を0度として180度の方向に付けられました(写真参照)
このやり方で、フリップミラーを使っているのに、双眼で正立観望できます(バロー無し広視野で)。子供たちのために、実は、これで星雲・星団を、見せてあげたかったのです。
望遠鏡の片方で撮影しながら、もう片方で子供たちに自然な仕方で見せることができます。子供たちが喜ぶ顔が想像できますが、松本さんに加工していただいた御蔭で、心から感謝いたしております。
ボーグ90FLの直進・直角方向の同時合焦は簡単でしたが、55FLは工夫が必要でした。ヘリコイドを、フリップミラーの後ろの直進方向にも裏像補正装置方向にも付けました(詳細参照)

(詳細)55FLの裏像補正装置の接眼部は、ヘリコイドTをかませるために工夫しました
接眼部の2パーツの最後端を外すと、36.4メスになります。そこに、36.4オス42オスアダプタ(国際光器) →ヘリコイドT、の順でかませます。
ヘリコイドT(42メス42オス)の後ろは、通常の42メス31.4スリーブ接眼部でOK。なお42は全てT2です。
少し面倒でしたが、これでカメラ方向と双眼装置方向が狂いなく同時合焦しました。なお90FLは55FL(250mm焦点)と違って焦点距離に余裕があるので延長リング等で簡単でした。
なお両方ともカメラの前に周辺像補正のためレデューサ0.85をかませてあります。そのためカメラの前が変にごちゃごちゃして見えると思います。

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;
 宮台さん、さっそくの詳細なりポートをありがとうございました。
実にユニークな応用で感心いたしました。同焦点化も達成され、お見事です。
 また、実名でのご投稿、感謝いたします。
 続報がありましたら、またよろしくお願いいたします。

SKYMAX180-BINO by Mr.M in France

The binoscope had a first light this night and it was really amazing. Your arrow system is so good and very useful as the mak mirrors tend to shift a bit on focusing.
M. in France

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

You did a fine job, M!
The mounting is very simple and cool !

18cmのマクストフ、シンプルにまとめられました。^^

Light-weight Mount for KOWA- Highlander-Prominar Binocular /ハイランダー用軽量架台

 只今架台が届きました。有難うございました。寸法・重量・高い質感、私の理想としていたバランスの架台です。純正架台と合わせての運搬で腰を痛めてしまったSlik Professional 4Nに取り付けてみたところ誂えたようにピッタリで、足枷を外されたような気分です。ここまで体感重量が変わるとは驚きでした。
これで夜間の観測も本当に手軽にできます。重ねて御礼申し上げます。
                    東京都 N

Comment by Matsumoto / 管理者のコメント;

 例のごとく商売気がなく、積極的に宣伝していませんでしたが、軽量架台のことを忘れずにアクセスくださってありがとうございました。このように、この架台の主旨をよくご理解してくださる方に喜んでいただくのが、私にとっても最大の喜びです。
ハイランダー用軽量架台— ¥57,000(税別)
  (純正マウント付属のマウントホルダーが必要です。)
マウントホルダーをお持ちでない方のために、簡易ホルダーも準備しています。
簡易マウントホルダー —¥12,000(税別)
(*KOWAさんが純正マウントホルダー単体の販売に応じないため、当方で対応しています。沽券に関わるのかも知れませんが、軽量な架台の切実なニーズに耳を傾けて欲しいものです。)

Making a Binoscope without making !! / FC100-BINO by A-BEGINNER(handle name) BINO初級者(ハンドルネーム)が”作らずに作った”FC100-BINO

松本さん、こんにちは。
BINO初級者です。
Facebook いつも楽しく拝見しています。

● ありがとうございます。

 私も、Facebookで投稿はしているので、何となくは当方の状況などご承知の部分も多少はお有りかと思いますが、改めまして、近況と申しますか、過去松本さんがコメントされた事柄について、勉強になったりあるいは共感し、実践したことについてご報告します。

● 全文、拝読し、興奮冷めやりません。素晴らしいです

それは、松本さんが理想とする「作らずに作るBINO」の実践と、「プレート平置 きからの脱却」です。

● 良いですねえ。

 目標は、切削(加工屋さんへの依頼)、穴あけ、切断などの加工は一切行わず、 Netやホームセンターで購入したパーツを、ただ組上げるだけで完成させること。 話は脱線しますが、“「BINOの光軸調整が難しい」という誤った憶測が流布して いるのは非常に残念なことです。”と、松本さんが嘆かれているように、私も以前は光軸調整は難しい。そう思っていました。NetでEMS-BINOを調べても、正直、私のような無知な初心者には非常に難しく、 手が届かない高尚なイメージしか湧きませんでした。天文知識、光学知識、機械 工学知識などを持ち合わせないと、おいそれと手を出せるような代物ではないと。

● もう初級者の域は卒業していらっしゃいますが、今までの経験上、初心者を 標榜する謙虚な方の方が成長が早い傾向があります。^^

しかし、実際に使ってみると、それは全くの誤解だったことに気づきました。

● 体験者の貴重なお言葉です。 製作者が反復言及しても、なかなか読者に届 きませんし、くどくなると、嫌われます。ユーザーさんの中から、そうしたご指摘があるのを待っていました。

ですので、その誤解を解くための一つの情報として(もちろん、私の情報一つ で、全ての誤解が解けるなどとは思ってはいませんが)、私流の、「誰にでも出 来る、作らずに作るBINO」を参考までに紹介させて頂けたらと思います。
 私流の「作らずに作るBINO」のために準備したものは下記です。

私のBINOは、VIXEN HF経緯台に乗せる仕様となっております。
 BINO用パーツとして選んだのは、真鍮製耳軸を除き、それ以外は全てネット ショップで買えるものです。
 将来的には、スカイエクスプローラーAZ EQ6GT-Jの様なGOTO架台に搭載することもできるよう、剛性が高い(そうな)、MOREBLUE社のバンドとプレートを選びました。
 MOREBLUEのプレートはM6のキャップボルトの頭が座グリの中にかくせるので、とてもすっきりした見た目に仕上げる事ができるのも、選定理由でした。
 鏡筒バンドとアクセサリープレートは、とてもしっかりとした造りに加え加工精 度(平面度、直角度)も高いので、鏡筒を並べた際の水平方向の平行出し調整は不要で、まさに狙い通りの結果でした。

● 鏡筒バンド、見事ですね。 それに比べて、既存の望遠鏡メーカーさんの付属バンド、おしなべて粗末ですね。もっとも、付属の標準的なバンドも使用できないほどではありませんが。

また、プレートにはM5,M6が多数あり、ハンドルの固定などに重宝します。

● 自前加工をしない前提ですと、穴は多いほど良い、ということでしょうか。
  私のように自分で加工する人間としては、無駄な穴は開けないで欲しいと思 うことが多くなります。本命の位置に新規に穴を開ける際に、元の穴が障害にな ることが多いからです。

ただ、プレート同士の締結はネジ×ネジなので、通常のボルトではできません。
 そこで用意したのが「脱落防止ネジ」です。これもネットで容易に入手できます。
 これは、先端部のみネジ山があり首元はネジ山が削除され細くなっています。こ れにより、ネジ×ネジ締結を可能にすると同時に、鏡筒の上下方向のずれの調整 代を確保しました。

● 妙案を引き出されましたね。私なら一方の穴をバカ穴にするところですが。 (加工時間数秒)^^;

やったことは、それだけです。
あとはHF経緯台に乗せ、上下方向のずれをプレートを動かし調整したらBINOの完 成です。

DSC_0610
DSC_0611

本当に、簡単に出来てしまいました。
(FC-100(Classic)とこのホルダーの組み合わせで、D寸法は156mmです)
 欠点(問題点)を挙げればきりがありませんが、小難しい事はさて置き、市販の パーツを組み合わせるだけでBINOを組み立てる目標が達成できました。

● 写真を拝見しましたが、美しいですね。 機能的に無駄がないということです。

 完成したBINOは、松本さんが手掛けるBINOの美しさには遠く及びませんがBINO歴 半年の私としては、良く出来た方だと、自画自賛しています。

● いえいえ、私が作るBINOに優るとも劣りません。

EMS-BINO未経験の方の中には、鏡筒の平行出しが難しいと言う印象をお持ちの方 も多いかと思いますが、素材を正しく選べば、市販品をただ組上げただけのホル ダーでも、調整は僅かなもの。


 ● そこなんですよね。 これは、パーツの精度が低かった大昔のやり方を、 ファインダー脚などでごく最近まで踏襲して来たための誤解があったと思いま す。 馬鹿に余裕のあるリングに長い3方ネジで調整、リング内径よりはるかに 細いファインダーがくぐる、一昔前の方向調整の考え方です。一体(角度で)何 度振れば気が済むのでしょう?^^;
 昨今のちゃんと出来た鏡筒であれば、鏡筒パイプの外見で平行が保たれれば、 光軸はほぼ許容内に納まることが分かっています。

あとは、EMSで最終調整が容易に行えます。

● そうですね。 事前の平行調整努力を最大限やった後で、初めてEMSのXYノブ に触るようにしていただくとありがたいです。その順序を逆に誤解する方がおられるので困ります。

これも、EMSの光軸調整機構と目幅調整ヘリコイドがあればこその話なのです が、こんな素晴らしい正立ミラーシステムなのだから、何らかの情報配信で、少 しでもEMSは難しいものと言う誤解が解ける手助けになれば、と。

● ありがとうございます。 ネットの情報は玉石混交、有用な情報もあります が、無責任でいい加減な情報の方が多いですからね。
 発信者が体験に基づいて発信しているか、憶測と悪意だけで発信しているかを 見極める姿勢が読者に求められますね。
 体験者の声、本当にありがたいものです。

 頼まれてもいないEMS普及に使命感を持っている訳ではないのですが、もし、 EMS-BINOを作ろうか?作れるだろうか?と悩んでいる方が居たら、その背中を押 してあげられればいいなと、そんなことを思いレポートをまとめてみました。

● 最強の援護射撃をいただいた思いです。ありがとうございました。

上級者の方々から見れば、初級者が何を言っているんだ!?的な内容かも知れませ んが、初�級者なら初心者の気持ちも理解できると言う事で、ご理解頂ければ幸 いです。
 今は、遠征用の軽量BINOホルダーを、今回同様に市販のパーツで組み立てる計画 をしています。出来上がったら、また報告します。

● いろんな優れたパーツが入手しやすい、良い時代になりました。
  続報、非常に楽しみです。

Facebookの投稿、いつも楽しみにしています。
(平日に見られるのは、17時以降ですが(^^; )
ハンドルネーム:BINO初級者 より

● 渾身のリポート、ありがとうございました。

● 蛇足になるかも分かりませんが、マツモトから少し説明を付け加えさせていただきます。当作例の特筆すべき点は、市販パーツのみを使用されて、鏡筒の初期平行調整を極限までシンプルにこなされていることです。
 まず、伝統的な方法であれば、前後の鏡筒バンドを台座プレートに平置きして水平方向の平行調整をするところを、鏡筒バンド同士が対面するように台座プレート(2枚)を介して密着させることで、その調整を完全に省いています。
 また、左右鏡筒の上下方向(相対的な2本の鏡筒のねじれ)の調整も、プレート同士の密着面内で微妙にスライドさせる方法を採用されています。繰り返しますと、水平調整なしで、上下(ねじれ)調整だけ、つまり1次元の調整だけで完結されているということです。
 これを従来的な方法でやったらどうなるかを、下図でご説明します。

● 上図のように、雨樋(縦樋)受けのような金具2個をファインダーの前後に配置するのが、古いタイプのファインダー脚でした。ニュートン反射の斜鏡金具の伝統的な調整方法も、これとはネジの使い方が違うものの、非合理な点は共通しています。
 上図から容易に想像できるように、仮にこの平面上だけを考えても、保持物をX軸の方向に動かすためには3本のネジを同時に締めたり、緩めたりしないといけません。動かしたい方向に対して、常に3次元の調整が必要であり、しかも前後のホルダーの順列から、下手をすると9次元の調整になり、非常に効率が悪いことが分かります。

● 実際、海外の方のBINOの自作例で、これに近いホルダーを採用していたのをネット上で見たことがあります。必要調整量の見積もりを誤ると、とてつもない回り道をしてしまいます。
 少々くどくなりましたが、今回いただいたリポートの意義をご理解いただけると幸いです。

Another MEADE-AZM90-BINO by Mr.YN in Tokyo

 御社の「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」とミードの AZM-90 経緯台セットのAZM-90鏡筒で自作の双眼望遠鏡を更に作成しましたので紹介の写真を送付します。
 これで「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」使用の双眼望遠鏡は8台目になりました。

● 毎度、詳細なご報告をありがとうございます。


 前回のAZM-90鏡筒を使用の双眼望遠鏡との違いは、片持ち架台対応を行ったことです。前回重量が結果9.2kgとなったので片持ちでも使用できるのではないかと思い作成してみました。
 その他、2インチ接眼部、鏡筒バンドが前回と異なる種類を用いたことにより変更対応しています。

 今回もAZM-90鏡筒は接眼部が31.7mmなので、2インチ接眼部に交換しましたが前回とは異なる種類で接眼部長さが比較して22mm短い接眼部です。

 AZM-90 鏡筒は同じ品種であり 口径90mm、公称焦点距離600mm、実測焦点距離659mm(対物レンズ後面からの数値)、アクロマートレンズです。エントリーモデルとしてセット販売されています。

● 焦点距離の公称値が誤差の範囲を超えていますね。OEM発注で製作しているはずですが、最終的には販売者の意向なんでしょうね。F値が明るい方が良く売れる、ということでしょうか?
 測定されたのは、いわゆる頂点距離ですね。メガネレンズはその矯正原理から、この頂点距離から頂点屈折力を以って度数を定義しています。厳密には、焦点距離は像側の主点(下図のH2)から焦点までの距離で、一般的なアクロマートだと焦点距離>頂点距離なので、尚更この焦点距離の公称値には?を感じますね。

 焦点距離表示が信頼の置けるアイピースをセットされて、射出瞳径を正確に測定し、倍率から対物の焦点距離を逆算してみてください。



 片持ちフォーク経緯台またはT型経緯台にのせる双眼望遠鏡ユニットとしてはバランスウエイトが付いた状態で8.0kgの重量になりました。重量はありますが比較的扱いやすいです。
 経緯台や「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」は使い回しです。

アクロマートですが、気持ち良く見える感じです。

● 鏡筒の高級志向で、アクロが肩身が狭い昨今ですが、少なくともDeepSkyの眼視観望用機材としては、”アクロ双眼≫アポ単眼” は断言できますね。
口径で比較すると、”10cm双眼≫15cm単鏡筒” でしょうか。

 微動機能のある経緯台なので、多少重量バランスが崩れても、クランプして微動を用いれば運用できてしまう利点があります。片持ちなので軸にモーメント重量がかかり、上下方向はクランプフリーでも摩擦が多く重くなりがちで、これでもバランスが多少崩れても使用できてしまいますが軽快感は無いです。

● 外見はすっきりする片持ち架台ですが、かなり大きなねじりのモーメントが常にかかっていますからね。手前ミソになりますが、中軸架台だと常に左右のモーメントが相殺されます。

 個人的には、完全バランス状態のHF2経緯台や中空架台での軽快な操作性と回転半径のコンパクトさを気に入っていますが、バランスに敏感ではない微動機能による経緯台の使用も好きです。

● 逆に言えば、片持ちフォークだと微動装置が必須のようですね。

 尚、取付方向対応したに運搬用ハンドルを設置していないことによりますが架台に載せる ときは平行に持ち上げて載せられる操作となるHF2経緯台の方式のほうが比較して楽です。

● 両持ちのフォークが力学的には有利ですね。 ただ天頂時のピラー等とBINO本体の干渉回避のためには、フォークを傾けるか、垂直のままうんとフォークを長くしないといけません。HF2経緯台はデフォルトで90度と45度しか選べす、45度だと重心が水平回転軸から大きく離れ、水平回転の精度と滑らかさに懸念が生じ、転倒の危険も増します。私は利用する時は、たいてい、中間の60度くらいで固定できるように小カスタマイズしています。

以下、詳細について追加説明します。

(1) AZM-90 鏡筒は接眼部を2インチ接眼部に交換するとともに双眼望遠鏡用としてバックフォーカスを得るために41mm鏡筒を切断して、199mmのバックフォーカスになりました。品名ラベルはあらかじめ剥がして貼りなおしました。なんとかそれほどダメージ無く剥がせました。
 ドロチューブとぶつかるので鏡筒内4枚の絞りの内の手前1枚を取り除きました。焦点位置が段差の位置にある接眼鏡ではドロチューブの引き出し量35mm程度で無限遠に合焦しました。双眼鏡から転用の18mm接眼鏡ではドロチューブの引き出し量43mm程度で無限遠に合焦しました。尚、ドロチューブのストロークは70mmです。
 AZM-90 鏡筒は 口径90mm、実測焦点距離659mmでしたので計算すると約F7.3となります。尚、公称はF6.7(品名ラベル表示など)です。
 今回使用の2インチ接眼部は以前にAmazonで購入したもので、現在は販売価格が変更されて比較的安い価格設定の販売業者でも1.4倍程度高くなっていました。

(2) 鏡筒間隔D=160mmとして作成しました。
 双眼望遠鏡ユニットの構造としては、これまで7台作成したものとほぼ同じです。経緯台の縦プレートにビクセン互換のアリガタプレートを取り付けて片持ち対応としました。
 縦プレートは両側にあり、アリガタプレートを左右どちらにも取付できるようにしました。特にT型経緯台では中心軸に向かって左右どちらでも運用するものが多いように感じられます。片持ちフォーク経緯台は右側取付が多いように感じています。
 基本寸法はHF2経緯台に使用の時と同じにしてあるので、HF2経緯台で使用したくなったときは、少しの追加加工改造と耳軸部品追加取付で対応可能となっています。

 一応、上下バランス位置は、今回も 2インチ450g程度の例えばマスヤマ32mm接眼鏡を取り付けた時には、鏡筒径の中心から8mmにバランス位置があり、31.7mm100g程度の接眼鏡を取り付けた時には鏡筒径の中心位置にバランス位置との結果なりました。
 アリガタプレート付近に目印をつけ、アリ溝プレートとの接続時にできるだけ近くでクランプできるようにしました。

 架台に取り付けるときの注意としては、鏡筒を垂直にして、アリガタプレートが水平に近くなる方向で操作してクランプするやり方が良いと思います。鏡筒を水平にしてアリガタプレートを垂直にして操作すると自重で下にスライドしてしまいクランプ固定が大変だからです。尚、スライドによる落下防止のストッパネジは付けています。
 アリ溝側も面クランプのアリ溝では締まりが弱い感じがして、傷がつきますがネジクランプも追加しました。

 本来は鏡筒バンドに運搬ハンドルを付けたかったのですが、鏡筒バンドがプラスチック製で軽量は好ましいのですが、取り付けると強度的に不安だったので、運搬用ハンドルはプレート取付にしました。スペースの関係からハンドルは1本です。また、鏡筒プレートへは鏡筒バンド内からのネジ止めになってしまっているため、上下方向の視軸の初期平行調整は、下からできずに鏡筒を一旦外してスペーサ用ワッシャを挟み込む方法構成になり少し面倒になっています。

 取り付けた2インチ接眼部は本来、90mm径鏡筒用のものでは無く、フランジ内径がほぼ90mm径でしたので、内径に取り付けることにしましたが、そのままでは90mm径鏡筒がはまりませんでした。ミリ以下の寸法差のようだったので、鏡筒に金鋸で長さ12mmスリットを6箇所入れ、ペンチで少し外径を小さくして押し込みねじ止めしました。旋盤が使える環境 のある人ならばアダプタを作成するところでしょう。なんとか取り付けられてよかったです。

● 凄い力技ですね。^^; メーカーさんは顧客のニーズをよく考えて商品開発をして欲しいと思います。単焦点が売りの鏡筒で2インチ対応しない製品の存在意義は? もしかしたら、売りたくないためではないか? 正確に言えば、上級マニアが買わないように(つまり同社の上位機種を買うように)、敢えてそうしているように見えます。
 YNさんもそろそれ旋盤等の加工手段を導入される潮時が来たようですね。加工手段の制約は、発想の制約になり、それが固まってしまうと、物作りの技量の成長もそこで止まってしまいます。

 接眼部はクレイフォ-ド式のものであり、EMSと重たい接眼鏡(合計1kg程度)を取り付 けると、自重によるスライドが発生しない耐荷重に余裕が少ないようで、動作フリクション最大にネジ調整して用いています。

(3) EMSの上下方向が調節範囲に入らなかったので鏡筒バンド取付プレートの片側に0.5mm厚のワッシャーを入れて、EMSの調節範囲内としました。
鏡筒バンド取付ネジスパン68mmで0.5mmなので0.4度程度の初期視軸上下方向補正調整になったのでしょうか。

● ここで一言、失礼します。
 YNさんは理解されていると思いますが、EMSのXY調整機構を誤解されている方が多いので警鐘を鳴らさせていただきます。
「BINOの製作段階では、右のEMSのXY調整機構には一切触らないようにお願いします。」EMSのXY調整機構は、BINO製作のための初期調整機構では決してありません。皆さん、真っ先にXYノブを回すので、困ります。BINO製作時の初期調整では、左右の鏡筒の光学的平行をできる限り確保し、基礎構造上、追い込みにどうしても制限がある場合だけ、左のEMSで調整することをお許ししています。どちらにしても、右のEMSのXYノブで初期調整をすることはありません。XYノブは、市販のアイピースを交換した時の誤差をキャンセルするための機構です。

(4) これまでと同様に31.7mm接眼鏡と2インチ接眼鏡交換時の前後バランス調節用の約1kgの調節移動可能のバランスウエイトを取り付けています。
バランスウエイトを取り付けていない双眼望遠鏡も多いように見受けられますが、接眼鏡の交換によるバランス崩れはどのように対処しているのか対処事例を知りたいです。
 やはり1kgはそれなりに重たいし、邪魔なので無しで対処できるならそのほうが良いと思います。
大型双眼鏡だと割り切って、固定倍率で使用接眼鏡を固定使用で満足できる人はそれで良いとも思いますが。

●失礼ながら、1kgのカウンターウェイトとお聞きした時には私も驚きました。
工夫次第で減量できると思いますよ。

(5) ミードの AZM-90 はセールなどのタイミングに会えばB級品などを比較的安価に購入でき、アクロマート(分離型レンズ、全面モノコーティングみたい)ではありますが気持ちよく見え、口径90mmと100mmに迫る口径であり、F7程度の長さで取り扱いも割とコンパクトで、自作を楽しむには良い素材と思います。
エントリーモデルではありますが鏡筒内絞りも4枚あり、31.7mm接眼部を含めそれなりにしっかりした作りの感じで良いです。レンズセルはプラスチック製で鏡筒へは簡単なねじ止め方式です。AZM-90 経緯台セットの付属品のファインダーはビクセン互換アリガタ脚のLEDドットであり、双眼望遠鏡にそのまま転用使用できて便利です。しかし、架台はシーソータイプであり、天頂方向に向かない範囲がある、カメラなど取付て鏡筒重量が重くなると上下の固定できないなど、私には使いづらいもので、エントリーモデルそのものといった感じです。破棄もったいないのでL型プレートを追加して、鏡筒が上下軸を中心にバランスをとれ位置に改造変更するか、写真三脚の代用のように水平方向を中心に使用するのはどうかなど有用化を模索中です。

 ミード AZM-90 を双眼望遠鏡に使用できるようにするには追加で交換する2インチ接眼部の入手と90mm径対応の鏡筒バンドの入手が必要と思います。
接眼部については31.7mm→2インチアダプタの使用も考えられますが、F7.3 程度なのでドロチューブ光路長を含めるとケラレてしまい使用できそうもありません。

 また鏡筒バンドも前後バランスの調整に必要なので、固定で設計は厳しいと思います。アリ溝アダプタを使用する方法もありますが、その分重量増になりますし、AZM-90に取り付いているアリガタは長さ118mmと短いので、もう少し長いもに交換しないと使いづらいと思います。

 参考までに私の場合はミード AZM-90 経緯台セットは、過去のそれぞれのセールのタイミングなどを含めB級品などを1セット約10,000円~約17,000円程度で入手してきました。

 尚、コストパフォーマンスからは以前にも紹介しましたが 重量と大きさに拒否感が無く、アクロマート(F8.3)で許容できる人であれば、ケンコーのSE-120L 鏡筒を使用して、HF2経緯台を使用する双眼望遠鏡の作成がおすすめです。私にとってはやはり重量と大きさが気になり気軽には運用できずに運用が少ない状況です。既設で2インチ接眼部であり、この接眼部は光路長からもそのまま使用でき、鏡筒バンドも付属しているので追加購入の必要もありません。付属接眼鏡の1つのPL25接眼鏡も視野の広さは普通ですがアイレリーフも長く見えもよく使いやすい接眼鏡です。しかし、付属している口径50mmの光学ファインダーは倒立ファインダーであることと、約450gと重たいことから双眼望遠鏡には使用しなほうが扱いやすいと思います。LEDドットファインダーの入手はしたいところです。もったいないのでこの50mmファインダー2個を使用して正立プリズムを用いた90度対空双眼鏡の作成を考えています。
 尚、ケンコーSE-120鏡筒、SE-102鏡筒はF5程度と短焦点なので、既設の接眼部では光路長が長くて双眼望遠鏡用にはほぼ使用できず、光路長が短い接眼部などへの交換が必要になります。

● YNさん、今回も渾身の詳細なリポートをありがとうございました。
 前回いただいたリポートも併せて拝読しまして、素材鏡筒の加工や運用に随分と苦労されたことが分かります。これからBINO作りを目指す方には、もっと楽に利用できる鏡筒を探される際の参考例とされた方が良いかも分かりませんね。
 これは私にも言えることなのですが、YNさんはこれからBINO作りを挑戦される方のために、非常に親切に詳細をご報告いただきました。 しかし、これを読まれた方の中には、「BINO作りってこんなに大変なものなのか?じゃあ、やめておこう!」となる方もいるのでは?という不安も感じます。情報は多いほど良いとも限らず、この辺は難しいところです。其の辺をわきまえてお読みいただいけることを願います。

Comment by Matsumoto; / 管理者のコメント;
 今回は、失礼ながら私のコメント(赤字)を本文に挿入させていただきました。

MEADE-AZM90-BINO by Mr.YN in Tokyo

御社の「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」とミードの AZM-90 経緯台セットのAZM-90鏡筒で自作の双眼望遠鏡を作成しましたので紹介の写真を送付します。
これで「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」使用の双眼望遠鏡は7台目になりました。

AZM-90鏡筒は接眼部が31.7mmなので、2インチ接眼部に交換しました。2インチ接眼部が本体価格より高くなってしまいました。

AZM-90 鏡筒は 口径90mm、公称焦点距離600mm、実測焦点距離659mm(対物レンズ後面からの数値)、アクロマートレンズです。エントリーモデルとしてセット販売されています。

HF2経緯台にのせる双眼望遠鏡ユニットとしてはバランスウエイトが付いた状態で9.2kgの重量になりました。重量はあるものの10kg未満になり扱いやすいです。

HF2経緯台は以前から紹介と同じく複数台所有のHF2経緯台の使いまわしです。
また、「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」も使い回しです。標準の2インチ品を用いているので、これで対応できる範囲のいろいろな種類の双眼望遠鏡に対応できて楽しいです。

アクロマートですが、気持ち良く見える感じです。

以下、詳細について追加説明します。

(1) AZM-90 鏡筒は接眼部を2インチ接眼部に交換するとともに双眼望遠鏡用としてバックフォーカスを得るために68mm鏡筒を切断して、200mmのバックフォーカスとしました。品名ラベルのところで切断したくなかったので5mm伸ばしました。
ドロチューブとぶつかるので鏡筒内4枚の絞りの内の手前1枚を取り除きました。
焦点位置が段差の位置にある接眼鏡ではドロチューブの引き出し量32mm程度で無限遠に合焦しました。双眼鏡から転用の18mm接眼鏡ではドロチューブの引き出し量40mm程度で無限遠に合焦しました。尚、ドロチューブのストロークは70mmです。
AZM-90 鏡筒は 口径90mm、実測焦点距離659mmでしたので計算すると約F7.3となります。
尚、公称はF6.7(品名ラベル表示など)です。

(2) 鏡筒間隔D=160mmとして作成しました。
双眼望遠鏡ユニットの構造としては、これまで6台作成したものとほぼ同じです。
耳軸の位置は口径が小さくなり、鏡筒も軽くなり、接眼鏡交換使用時に接眼鏡重量や接眼鏡鏡筒の長さの変化によりEMS取付モーメントが変化し、この変化に少し敏感になり天頂付近に向けた時の垂直時のバランスの影響が大きくなりました。2インチ450g程度の例えばマスヤマ32mm接眼鏡を取り付けた時には、鏡筒径の中心から8mmにバランス位置があり、31.7mm100g程度の接眼鏡を取り付けた時には鏡筒径の中心位置にバランス位置との結果になったので、間をとって鏡筒径の中心位置から上に4mmの位置を耳軸位置にしました。
結果として、2インチ450g程度の接眼鏡を取り付けた時には若干バランスのズレが感じられますが、HF2経緯台のクランプの摩擦を若干増加させることににより対応可能範囲です。
31.7mm100g程度の接眼鏡を用いたときはあまりバランスのズレが感じられません。
尚、HF2経緯台もフォークを90度として垂直にして使用したときにはもともと天頂方向には向かないのでバランスのズレが感じられる角度範囲に入りません。

一応、気になるようになった時の対応として、追加できる補助バランスウエイトを作成してみました。耳軸にアルカスイスクランプを取り付け、ここに補助バランスウエイトを取り付け上下にスライドさせると垂直時のバランスも調整できます。1.2kgの増加になるので軽量化からは好ましい方向ではないですが、使用時は快適です。接眼鏡の交換使用をしない時には問題ありませんが、頻繁に接眼鏡を交換使用する時は、接眼鏡の交換の都度調整が、水平用バランスウエイトの調整を含め2つの調整となるので若干煩わしいです。
現状では天頂方向で完全バランスをしなくてもクランプの摩擦調整で運用可能範囲と思います。
補助バランスウエイトは自作で切断の端面加工ができていません。

(3) EMSの上下方向が調節範囲に入らなかったので鏡筒バンド取付プレートの片側に0.5mm厚のワッシャーを入れて、EMSの調節範囲内としました。

(4) これまでと同様に31.7mm接眼鏡と2インチ接眼鏡交換時の前後バランス調節用の約1kgの調節移動可能のバランスウエイトを取り付けています。
バランスウエイトを脱着する必要はなくスライドで対処できるので操作性が良いです。
また、現状構造ではバランスウエイトは鏡筒の下側に取り付けられているのでバランスウエイトを着脱しないことは天頂方向のバランス崩れの軽減になります。
31.7mm接眼鏡内でも重量にバラツキがあり、2インチ接眼鏡内でも重量にバラツキがあり、ドロチューブの繰り出し量によるバランスの最適調整にもストレス無く容易に調整できるので便利です。

(5) 自宅ベランダからの手軽観望の時には、ベランダが120cm幅と狭いのでHF2経緯台のような中心に鏡筒を載せるタイプが最大限にベランダスペースを有効に活用できて便利です。
今回の、AMZ-90 双眼では全長は約70cmとなりました。
HF2経緯台もフォークを90度として垂直にすると更に使いやすくなります。上空は上階のひさしにより見えないので必要ないです。今回のAZM-90 双眼ではバランスウエイトがHF2経緯台の基部にぶつかる高度60度まで可能です。
この程度の角度までは補助バランスウエイトは全く必要ありません。

(6) これまでと同様に操作棒は2本のストレートにしています。ストレートタイプで、両手で操作は私の好みでもあります。また、今回はジャンク三脚を分解して得たアルミパイプを操作棒として用いたので、安価(ほぼタダ)、軽量になりました。

(7) 耳軸のアルカスイス準拠クランプに自作の小型双眼望遠鏡も取り付けられます。この自作の小型双眼望遠鏡は口径50mm、焦点距離300mmのアクロマートで90度正立プリズムを使用し目幅固定のものです。約2kgと重量オーバーの感じもありますが、なんとか取り付きました。尚、この自作の小型双眼望遠鏡はもともとは単独で使用を想定したものです。
ファインダーとしての扱いでは無く、25mm接眼鏡で12倍などで使用し、架台を別にしなくても良い利点となります。しかし、横に27cm程度と大きく出っ張り、邪魔感などがあるので気が向いたときにしか使用しません。
耳軸のアルカスイス準拠クランプの取付には1/4インチネジの他にM4イモネジ用のネジ穴を開け、押しネジにして回転防止を行っています。
ファインダーのような視軸調整機能は無いので納得しての使い方になります。上下方向は
耳軸のアルカスイス準拠クランプの取付を回転調整固定することによりある程度はできます。水平方向は取付加工精度しだいとなります。
一応、低倍率の視野半径2度程度以内で同一視野内には入っているみたいです。
25mm接眼鏡で12倍、視野4.3度、32mmで9.4倍、26mmで11.5倍、23mmで13倍、視野4.8度、18mmで17倍、視野3.6度になります。その時の気分で選択使用します。
取付上下調整ができるので補助バランスウエイトの機能にもなります。

(8) 品名ラベルと注意ラベルは熱湯であたためたらなんとか鏡筒から剥がせたので鏡筒先端部分に貼りなおしました。

Comment by Matsumoto / 管理者のコメント;

YNさん、いつもながら詳細なご投稿、ありがとうございました。
7台目ということで、随分と手慣れて来られたのではないでしょうか。
今回は単焦点アクロマートということですが、DeepSky用ではアクロマートも侮れず、十分に楽しめることは私も15cmF5-BINOで認識していましたが、YNさんもこのリポートで発表されている通りです。フォーカサーの交換が鏡筒本体以上に高く付いたとのこと、まあこの辺りは製作者のこだわりと価値観にもよるので、同じ鏡筒で追随を目指す方は、ご予算に無理のない選択をされると良いでしょう。
YNさん、8台目のBINOを楽しみにしています。 ありがとうございました。

115ED-BINO by Mr.YN in Tokyo

御社の「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」と笠井トレーディング扱いの BLANCA-115EDTⅡ鏡筒で自作の双眼望遠鏡を作成しましたので紹介の写真を送付します。
これで「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」使用の双眼望遠鏡は6台目になりました。

以前、双眼望遠鏡にしてみようと BLANCA-115EDTⅡ 鏡筒(口径115mm、焦点距離805mm、F7、3枚レンズアポクロマート)を2台購入していたものをやっと作成になりました。
双眼望遠鏡にする場合、鏡筒の太さとヘリコイド付きEMSに必要な間隔でHF2経緯台のアーム横幅間にのせるにはギリギリで、やっとのせられる大きさです。

HF2経緯台にのせる双眼望遠鏡ユニットとしてはバランスウエイトが付いた状態で15.5kgの重量になりました。私にはかなり重たい感じで、HF2経緯台へ載せたり、降ろしたりや運搬にはバランスウエイトや「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」を外して行うことが多いです。外した状態では13.3Kgです。この差の2.2kgは小さいようですが腕力的に私には大きく感じられます。
ただし、以前に作成したSE-120L双眼望遠鏡の15.2Kgより若干重いですがスライド式フードや焦点距離が短いことにより鏡筒が短くHF2経緯台へ載せたり、降ろしたりや運搬は若干扱いやすいです。
HF2経緯台は以前から紹介と同じく複数台所有のHF2経緯台の使いまわしです。
また、「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」も使い回しです。標準の2インチ品を用いているので、これで対応できる範囲のいろいろな種類の双眼望遠鏡に対応できて楽しいです。

アポクロマートでもあり、気持ち良く見える感じです。
低倍率から高倍率まで良く見える感じです。個人的にはプロフィールド双眼鏡の接眼レンズ部分を取り外して31.7mmスリーブを取り付けた焦点距離18mm、見かけ視野59.5度、アイレリーフ19mmの転用接眼鏡で約45倍の使用が一般星空観望に好みです。通常はゴム見口を
折り曲げて使用しています。周辺の光の目への侵入が煩わしいときにはゴム見口を立てて遮断しています。ゴム見口を立てた時には、若干見口が高い感じがして煩わしいときがあります。接眼鏡の重さも100g程度で扱いやすいです。ただし、31.7mmスリーブ内側と接眼鏡本体の隙間をゴムパッキンなどで挟み込んで摩擦で固定しているだけなので、無理な力を加えるとスリーブ部分が外れてしまうので取り扱いはそれなりの注意が必要です。
実視野としてはオリオン座の三ツ星の内の2つが視野の端にギリギリ見える程度です。
もし、2インチの広角のマスヤマ32mm接眼鏡を用い約25倍とするとオリオン座の三ツ星の3つが中心と視野の端にギリギリ見えるようになり楽しいです。

以下、詳細について追加説明します。

(1) BLANCA-115EDTⅡ 鏡筒は双眼望遠鏡用として販売店でバックフォーカス30mm延長改造を行い結果として195mmのバックフォーカス品を購入しました。また1本の鏡筒のマイクロフォーカス部を左側に付け替える追加工も販売店で行っています。
焦点位置が段差の位置にある接眼鏡ではドロチューブの引き出し量32mm程度で無限遠に合焦しました。双眼鏡から転用の18mm接眼鏡ではドロチューブの引き出し量38mm程度で無限遠に合焦しました。尚、ドロチューブのストロークは87mmなので余裕があって良いと思い
ます。

(2) 鏡筒間隔D=155mmとして作成開始しましたが鏡筒バンドの形状により若干内側に傾くらしく、鏡筒中心では結果的にD=152mm程度になってしまったようです。
これで眼幅最大可能範囲は68mm程度になった狭くなった模様です。私は眼幅が66mmであり、何とか使用可能範囲なので、とりあえずこのままで良しとしました。

もし、不満足な状況となれば、例えば片側の鏡筒バンド取付プレートの取付穴位置を2mm程度少しずらしたプレートを再作成などすればあと2~3mm程度は捻出できそうな気配です。
最もネックは鏡筒バンドの外側の蝶番部分の出っ張りのHF2経緯台のアームとの衝突です。
鏡筒バンド間隔が十分広く、蝶番部分がアームより十分離れた位置にあるものでは出っ張っても衝突はありませんが、今回はアーム近くにあるので、出っ張ると上下に振った時に衝突します。
例えばスライド式フードを伸ばしっぱなにして縮を諦めれば鏡筒バンド間隔を300mmとかにでき、鏡筒バンド位置の出っ張りがHF2経緯台のアームとほとんど衝突しない状況になるので、出っ張りの大きな鏡筒バンドクランプ摘みを外側に配置する方式でも対応できそうです。

双眼望遠鏡ユニットの構造としては、これまで5台作成したものとほぼ同じです。
耳軸の位置は鏡筒径の中心にしました。今回もほぼこれで天頂付近の垂直時のバランスがとれているようです。軽い31.7mm接眼鏡を用いると若干ズレる感じもしますが、HF2経緯台のクランプの摩擦を若干増加させることににより対応可能範囲です。

鏡筒バンド位置は鏡筒間に集めたクランプノブがぶつからない様にするためと、スライド式フードを縮した時にも鏡筒バンドとぶつからない位置とするために、左右で取り付け方を変えました。尚、スライド式フードは133mmスライドします。結果として、左側鏡筒の
鏡筒バンド間隔を87.5mmと狭いものとしました。もし、安定感が悪く感じられるようなことがあれば例えば手前側に鏡筒スペースがまだあるようなので数cm伸ばした鏡筒バンドプレートを再作成で対応できるかもしれません。
BLANCA-115EDⅡ 鏡筒は「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」を取り付けても対物レンズ側が重く、収納したスライド式フードの直ぐ後ろに鏡筒の前後のバランス位置があります。

(3) EMSの上下方向が調節範囲に入らなかったので鏡筒バンド取付プレートの片側に1.6mm厚のワッシャーを入れて、EMSの調節範囲内としました。
尚、水平方向は実視しながら鏡筒をネジ穴余裕分で左右に振ってネジ締め位置を探して固定することで調整できます。相手プレートM6ネジタップに対してプレートを6mm径をドリルで穴あけしていますがこの余裕範囲で対応できています。

(4) これまでと同様に31.7mm接眼鏡と2インチ接眼鏡交換時の前後バランス調節用の約1kgの調節移動可能のバランスウエイトを取り付けています。
バランスウエイトを脱着する必要はなくスライドで対処できるので操作性が良いです。
31.7mm接眼鏡内でも重量にバラツキがあり、2インチ接眼鏡内でも重量にバラツキがあるのでバランスの最適調整にもストレス無く容易に調整できるので便利です。
ギリギリで経緯台プレートの上面にバランスウエイト軸を取り付けられました。バランスウエイトの縦位置はできるだけ中心軸から離れないようにするほうが、天頂へ向けた時のバランス崩れが軽減されます。

(5) 自宅ベランダからの手軽観望の時には、ベランダが120cm幅と狭いのでHF2経緯台のような中心に鏡筒を載せるタイプが最大限にベランダスペースを有効に活用できて便利です。
今回の、BLANCA-115EDⅡ双眼ではフードを伸ばした使用状態では全長は約90cmとなりました。
HF2経緯台もフォークを90度として垂直にすると更に使いやすくなります。上空は上階のひさしにより見えないので必要ないです。今回のBLANCA-115EDⅡ双眼ではバランスウエイトがHF2経緯台の基部にぶつかる高度57.5度まで可能です。

(6) これまでと同様に操作棒は2本のストレートにしています。ストレートタイプで、両手で操作は私の好みでもあります。

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;
YNさん、6台目のBINOの完成、おめでとうございます。いつもながら、ご工夫の詳細を公開してくださり、これからBINOを計画している方の良い参考になると思います。ありがとうございました。

8cmF15-BINO by Mr.YN in Tokyo

STL80A-MAXI鏡筒(口径80mm、焦点距離1,200mm)に適合する2インチ接眼部2個を格安で購入できる機会があり、その時保有のSTL80A-MAXI鏡筒にもう1本追加購入して双眼望遠鏡にしたくなり作成しました。

HF2経緯台にのせる双眼望遠鏡ユニットとしてはバランスウエイトが付いた状態で11.1kgの重量になりました。10kgオーバーとなり少し重たい感じですが、それよりも長さが125cm程度と長いので、HF2経緯台へ載せたり、降ろしたりや運搬にはぶつけやすく注意が必要です。
また双眼望遠鏡ユニットとしては細身なので自立で立てておくのは不安定で、横にするか、ストッパーをつけてたてかけるなどの転倒防止措置が必要です。
HF2経緯台も以前から紹介と同じく複数台所有のHF2経緯台の使いまわしです。

アクロマートですが長焦点でもあり、気持ち良く見える感じです。明るい星を高倍率で見ると色収差を感じますが、6mm接眼鏡使用の200倍でも十分使える感じです。
長焦点鏡筒ですが2インチ50mmの接眼鏡で24倍の低倍率が得られます。2インチ26mmの広角、ハイアイレリーフの接眼鏡では46倍となり散開星団など迫力が増して見やすいです。このくらいの倍率になるとトラペジウムも分離して見えるようになり気持ち良いです。通常は裸眼で使用していますが眼鏡使用でも使えて快適です。

以下、詳細について追加説明します。

(1) スコープテック STL80A-MAXI鏡筒はオリジナルでは31.7mm接眼部なので「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」使用には2インチ接眼部への交換が必要で、交換しました。
今回交換した2インチ接眼部に対して、鏡筒を95mmカットして、バックフォーカス198mmとしました。絞りの位置が奥まっていたので、95mmカットしても影響はありませんでした。
また今回の接眼部のストロークも80mmあるので十分です。繰り出し33mm程度で無限遠合焦します。

(2) 鏡筒間隔D=160mmとしました。
双眼望遠鏡ユニットの構造としては、これまで4台作成したものとほぼ同じです。
耳軸の位置は鏡筒径の中心にしました。今回もほぼこれで天頂付近の垂直時のバランスがとれているようです。軽い31.7mm接眼鏡を用いると若干ズレる感じもしますが、HF2経緯台のクランプの摩擦を若干増加させることににより対応可能範囲です。

(3) 当初、EMSの上下方向が調節範囲に入らなかったので片側に1.0mm厚のワッシャーを入れて、調節範囲内としていましたが、使用しているうちに原因不明で範囲外になったので、現在は調節用ワッシャーを外して調節範囲内として使用しています。
加工精度などだけで、EMS調節範囲に入れられているのは尊敬します。私の自作能力では無理と思われます。

(4) これまでと同様に31.7mm接眼鏡と2インチ接眼鏡交換時の前後バランス調節用の約1kgの調節移動可能のバランスウエイトを取り付けています。
バランスウエイトを脱着する必要はなくスライドで対処できるので操作性が良いです。
所有工具の加工能力からバランス用ウエイトは55mm径黄銅丸棒として12.5mm径の12mm径ウエイト用の軸穴を開けています。クランプネジを含めて1,040gになりました。ウエイト軸は12mm径アルミ丸棒です。
所有ボール盤のチャックの最大は13mmなので、12.5mm径の穴あけは限界に近いです。黄銅丸棒への12.5mm径ドリリングは最後の少し貫通したところでドリルが噛み込みうまく穴あけできなかったので、反対側から筍ドリルで穴を大きく追加工して対処しました。
ウエイト軸は12mm径アルミ丸棒なので、脱落防止ねじ取付用のM5の穴を両端に開けています。12mm径に対してM5用の4.2mm穴を開けるので、多少加工誤差があっても大丈夫です。
本来は、クランプネジによる傷の対応などではステンレス棒が良いのでしょうが、1kg程度のウエイトにはアルミでも十分な感じです。

(5) 自宅ベランダからの手軽観望の時には、ベランダが120cm幅と狭いのでHF2経緯台のような中心に鏡筒を載せるタイプが最大限にベランダスペースを有効に活用できて便利です。
T型経緯台だと回転半径が大きくなり、鏡筒の短い機種でないとスペース不足になり易いです。
HF2経緯台もフォークを90度として垂直にすると更に使いやすくなります。上空は上階のひさしにより見えないので必要ないです。今回のSTL80A-MAXI双眼では高度60度まで可能です。
また、ベランダ手すり高さは約130cm~135cmなので、HF2経緯台の耳軸位置も約130cmの高さでの運用としています。地平線に近い低空の対象物のときは高さ30cm程度の踏み台を用いて上から覗き込む姿勢となります。
ドブソニアンは耳軸位置が低いので、台の上などに載せないと、手すりを超えての視野確保が難しくなります。

(6) 操作棒は2本のストレートにしています。ストレートタイプで、両手で操作は私の好みでもあります。

(7) 接眼部は2インチ寸法がEMSとギリギリのようで、EMS取付を慎重に回転しながら行わないと挿入できませんでした。いったん挿入できるとガタなどほとんどなく快適です。
接眼部の回転機構のクランプが弱いせいか、EMSを回転させようとしたときに接眼部が回転してしまうことがあります。

(8) 接眼部のクレフォードは、あまり重量物には対応できていないもののようですが、調整でEMSと2インチ接眼鏡でも一応使えています。

(9) 今回、スコープテック STL80A-MAXI鏡筒はバックフォーカス延長のために鏡筒カットを前提にしており、オリジナルでは接眼部近くの鏡筒に品名ラベルが貼られていることから、販売店のスコープタウンに依頼して品名ラベルを貼らずに、添付してもらい、当方で好みの位置に貼り付ける対応としました。
既所有のSTL80A-MAXI鏡筒では、熱湯につけて品名ラベルの剥がしを試したところ、運良く破損せずに剥がせたので、接着剤で鏡筒前方位置に貼りなおしました。

(10) 追加購入したSTL80A-MAXI鏡筒で鏡筒カット時に切断位置目印に全周にわたって電工ビニールテープを貼り付けたが、剥がしたときに塗装が弱い部分があったらしく、塗装が剥がれた箇所が発生しました。軽微で性能にも影響しないのでそのままにしています。

(11) 追加購入したSTL80A-MAXI鏡筒では照準パーツが取り付けられた仕様に改良が行われていたが今回必要ないので取り外しました。ネジ穴は黒色のビニールテープで穴をカバーして塞いでいます。

(12) 既所有STL80A-MAXI鏡筒ではファインダー取付アリ溝を取り付ける改造をしており、活用できる可能性もありそうだったのでそのまま右側鏡筒として使用しています。

Comment by Matsumoto / 管理者のコメント

YNさん、5台目のBINOの完成、おめでとうございます!
昨今では大変珍しい、長焦点(F15)のBINOへのご挑戦に敬意を表します。
私が天文や望遠鏡に興味を持ち始めた頃(50年ほど前^^;)は、屈折望遠鏡の標準のF値は15で、それより短い物は、低倍用に特化した特殊なスペックだと認識されていました。久しぶりに当時の標準スペックの鏡筒を見ると、随分と長く感じます。
長い鏡筒なりの困難があったようですが、見事に克服されました。
また、6台目のBINOを楽しみにしています。
ありがとうございました。