Great Success on the LUNT35-BINO project (First Sun)!! / LUNT35-BINO first Sun, 大成功!!

The hybrid EMS and the new slide mount worked perfect on the fabulous Sun!

AM.9時頃、雲の切れ間の太陽を捕らえ、初期調整に成功しました。予想通り、EMSの調整範囲で調整できました。 Yノブを90度くらい回しましたが、F値が大きいので実害はありません。 昼間の景色でじっくりと調整できれば、さらにアリミゾ周り等の調整を追い込めますが、その必要はありません。

ハイブリッドEMSは大成功でした。 今回で2作目の汎用スライドマウントの有効性も、改めて確信できました。 今回はたまたま(LUNT)35mmでの作例となりましたが、広く一般的にこの方式が有効であることを実証できたことの意義の方がずっと大きいのです。 とかく、目先の”物”だけに視点が向けられ勝ちですが、今回のプロジェクトの成功が意味する、”Epoch-Making”な意義にお気付きいただけましたら幸いです。 (35mmは鏡筒は細いですが、ダブルスタックユニットの外径(調整ダイヤル部を回避しても)=70mmなので、裏像を妥協して純正の鏡筒を並べる方法を採っても、目幅≧70mmの制限があります。)

APM80 EMS-BINO赤道儀仕様 – 1

 ななつがたけ北天文台の双眼望遠鏡が松本さんのおかげで赤道儀仕様になりました。 簡単ですがご報告いたします。

 鏡筒はAPM80/500、3枚玉アポ、接眼部はフェザータッチ・フォーカサーです。小さくて単眼でもよく見える 小型屈折です。それに、なんと言っても筒外焦点距離が長くてEMS双眼化には適性が高い望遠鏡です。

 さて、赤道儀に載せるためには双眼望遠鏡を水平に保つための「第3軸(回転装置)」が必要です。 それが、黒い輪っか。この輪っかの中を樹脂製のベアリング6個に支えられた「架台」がぐるぐる回ります。 この精度がすばらしい。回転装置の固定はネジ1本です。最初は驚きましたが、よく考えると、水平の状態でバランスが 取れているのでこれで十分なのです。ずいぶん前に完成され、練り上げられたシステムだと思います。

 赤道儀はEM100でお試しです(これが専用赤道儀ではありません)。赤緯・赤経のバランス、回転装置内の鏡筒 のバランスがとれたら手元の操作ハンドルで自由自在に動きます。非常に滑らかな動きでピタッと止まる。しかも鏡筒 は自動的に(力学的にそのように設計されている)水平を保ってくれるので最高の使い心地です。追尾は楽だし、 微動は付いているし、至れり尽くせりです。経緯台よりも大がかりになりますが、8cmクラスの屈折双眼ではこれがベスト かもしれないと思いました。とにかく、想像以上に使いやすいシステムです。

 最後に、8cm短焦点屈折双眼望遠鏡について。たかが8cmですが、これが双眼になると10cm単眼をかるく凌駕します。 細かい分解能はともかく、観望時の迫力とdetailの見え方、疲労の少なさは圧倒的です。木星をみましたがとにかく明るい。 縞も明瞭で網膜にズドンと飛び込んできます。焦点距離が500mmなので高倍率は出しにくいのですが、双眼視なので140倍も あれば十分。赤道儀に10cm屈折を搭載するなら、少し大がかりになっても8cm双眼望遠鏡を搭載する方が楽しいかもしれません。 淡いNGCナンバーの銀河や惑星の細かい分解能を諦められるのであれば、8cmクラスの小口径屈折双眼と自動導入赤道儀との 組合せで月や惑星、メジャーな天体を眺めるのは最高に幸せなひとときに間違いはありません。

黒木嘉典 (Kuroki Yoshifumi)
栃木県宇都宮市

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

 先日納品させていただきました、APM80-BINO(赤道義仕様)のリポートをさっそくに いただきました。 このタイプの回転装置は、私がアマチュアの自作マニアに少し毛が生えたくらいの段階で 10台ほど製作し、その後は時間的に対応しきれなくなって製作を中断していたものです。

 昨今は2軸PC制御の経緯台が普及して来たので、自動追尾はそちらに任せようと思っていたのですが、どうやら、 追尾の滑らかさでは現状では赤道義に優位があるようで、最近でも時たま赤道義仕様のお問い合わせをいただきます。
 バックオーダーが停滞しているので、赤道義仕様はお断りするのが常ですが、EMSの黎明期よりご支援いただいて来たリピーター の方のご依頼となれば、断れません。^^; 細部まで製作者の意図を理解して評価してくださると、またやる気が出ます。
 黒木さん、今回もタイムリーなリポートをありがとうございました。 落ち着かれましたら、またぜひ追加リポートを よろしくお願いいたします。

 当BINOの製作記事は、製作情報速報(2013) の 7/27, 8/27, 9/10, 9/11, 9/13, 9/18, 9/19, 9/20, 10/4 に掲載しています。

 他の赤道義仕様のユーザーリポートをリンクしておきます。

BOR125-MTT(須田さん)
BOR125-MTT(仲さん)
AL106-MTT(Dad of Ryosuke)
TSA102-MTT(A.Van Lemel)

130EDT-BINO(中軸式架台仕様)

 こんにちは、昨年130EDT-BINO(中軸架台)及びファインダーBINOを作製頂きました 東京の奥田と申します。2012年秋のケアンズ皆既日食の報告をさせて頂いて以来、 すっかりご無沙汰しております。
 まだまだ残暑厳しい日々が続きますが如何お過ごしでしょうか。私は日頃の不摂生が 祟ってしまい、すっかり夏バテ状態で困っています(^^;

 さて酷暑や大雨など色々全国で自然被害が発生しているこの夏ですが、先日、ペル セウス流星群極大日の前日に長野県小諸市の標高2,000mの山の上にある温泉宿 (ホテル)へ、星見を兼ねて避暑に行ってきました。
下界(!)では軒並み気温40℃越えを各地で記録した週末でしたが、標高も2,000m だと正に別世界。 日中でも気温は25℃前後、夜は15℃程度で、快適天国の時間を過ごすことができま した。
ただその天国気分を体感した後に下界へ降りた時のショック・ダメージは相当大き なものでした(@_@;

 この避暑旅行は、松本さんに作製・納品して頂いてから丁度1年の間、部屋の片隅 で「熟成」(?)させてきた130EDT-BINOのフィールドデビューの日でもありました。 危うく「宝の持ち腐れ」「部屋の肥やし」となりかけていたBINOが始動する良い キッカケにもなりました。

 130EDT-BINOは、自分にとって2台目のEMS-BINOです。 既に手元にはありませんが1台目のCAPRI-102ED-BINOは、東京に転勤するまで関西 のフィールドで大活躍してくれました。関西では車を1時間も走らせれば素晴らしい 星空に逢える場所がいくつもあって、それこそ「月の無い週末、晴れてさえすれば」 CAPRI-102ED-BINOを後部座席にヒョイと載せて星見に出掛けていました。
 しかし空の明るい東京(関東)に転勤してからは、「星空に逢う為には長時間車 を走らせないとならないので気楽に星見に行けないだろうな」という思いもあり、 回数が減るかわりに「高い質で満足できる遠征にしたい」という考えのもと 130EDT-BINOの作製をお願いしました。

 そんな130EDT-BINOを使って標高2,000mで楽しむ「夏の天の川クルージング」や 東の空から昇って来る「秋の空の淡い銀河」等々、一言で表現すると「濃く」見る ことができました。
 例えば、夏の定番”M8/M20/M16/M17″はこれ迄見たことも無い程にガスが大きく広がる 様子やその濃淡の詳細迄クッキリ見ることができ、また”M31″は正に写真の様に、 “M33″は渦を巻いている様子がハッキリと確認できました‥と、使い古された表現 ばかりで恐縮です。

 この星見には一寸興味深い話があります。 この度の避暑旅行には、「流れ星を観てみたい」という星見素人のメンバー3人も 同行していました。
 そのメンバーにBINOで幾つかの星雲・星団を導入して観てもらい「何に見える?」 と聞いたところ、その問いに返ってきた各人のコメントにびっくりしました。

M8 :「白っぽいモクモクした靄の中に、黒い川が流れているみたい」
M20:「割れたクッキーかなぁ?」「花の様にもみえる」
M13:「辛子明太子の輪切りみたい、ツブツブが美味しそう」
M17:「これ、昼間に見た榛名湖の白鳥(遊覧船)がひっくり返っている」「いや オマルに見えるけど(笑)」
M31:「宇宙戦艦のマンガでみたことある宇宙みたい」
M33:「グルグルしてる!」
M57:「あ~、星空の中にドーナツが浮かんでるぅ」「(某水族館の)いるかの リングだ」

表現は様々でしたが、初めて望遠鏡というものを覗くメンバーのこれらの感想や コメントは、このBINOの実力を正直に伝えたものではないかと思います。 いやホント素晴らしいものでした。

また私自身は、松本さんオリジナルの「中軸架台」の実力に興味がありました。 1台目のCAPRI-102ED-BINOの時はV社のHF経緯台を利用していました。CAPRIの軽量 鏡筒にもかかわらず、いつ迄も微振動が治まらず星像が揺れているのが気になって いました。
そこで130EDT-BINO作製時には、以前より「製作状況速報」で紹介されていた オリジナルの「中軸架台」に期待して作製をお願いしました。

 実際に使ってみての感想は「中軸架台にしてよかった」というものです。 決して軽く無いアポクロマートの鏡筒2本を載っけても、その微振動は最初の僅か です。そして一瞬のうちに揺れが治まります。各軸のホイール・軸受けを大きく 作って頂いたこともあり、上下水平の粗動(元々微動はありませんが‥)は極めて スムーズ。それこそ音もなく「スーッ」と動いて「ピタリ」と止まります。 「スーッ」と動くのは当たり前としても、この「ピタリ」と止まる(止める) ことはフリーストップ架台のとても重要なポイントだと思っています。
天の川をクルージングしていても、対象が視野に入ってきたら導入ハンドルを 握る手の力をそっと緩めるだけで「ピタリ」と視野の中心にストレス無く導入ナきます (HF経緯台はバックラッシュが発生してしまい、よくイライラしていました)。

 そんな優れた中軸架台ですが、鏡筒の脱着については一寸だけ改良ポイントが あるように思います。
松本さんが苦心して開発された一体型のアリミゾ。この一体型アリミゾその物は 大変優れたものです。しかしアリミゾを縦付することにより「メリット」と「デメ リット」が同居しています。
鏡筒取付け時にはそれほど気にならないのですが、取外し時はトップヘビーの鏡筒 のバランスを相当意識して作業しないとアリミゾからうまく外れずに架台・三脚 ごと持ち上がってしまいます。
つまりアリミゾに対してしっかり平行を維持した状態でアリミゾからアリガタを 抜く必要があります。これは慣れの問題ともいえますが、長時間の観測で疲れて ボ~っとした頭の状態では、ついつい無意識に引き抜こうとしてしまいます。 今後、少しでもスムーズに作業ができるように改良・工夫を検討したいと思って います。

最後に‥

 アポクロマート鏡筒を利用したEMS-BINOとしては、この130mmあたりが日常の移動 用としては最大級ではないかと思います。この度もエステートワゴンのトランクに のせて移動をしましたが、ハードケース入りの鏡筒2本と架台・三脚、アイピース やその他必要機材を積むとトランクはほぼ満杯です(最初は積めないのではないか と心配もありました)。
また重量もそれなりにあり、常に気合をいれて(気をつけて)運搬や組立をしない と腰を痛めてしまいそうになります。将来このクラスのEMS-BINOを作製される方は、 是非運搬や保管のことも考慮して検討されることをお勧めします。
ただこれらの課題(?)を背負っても、その何十倍何百倍の素晴らしい星見時間を 提供してくれるツールであることは間違いありません。そういう意味では、どの サイズ/どの鏡筒を選択するか悩ましいと思います。

 この度の星見を機に、これからは積極的に130EDT-BINOと共に素晴らしい星空に 逢いに行きたいと思います。その星見を更に楽しませてくれるEMS-BINOを短期間に 作製いただいた松本さんに感謝しております。ありがとうございます。

以上、納品から1年越し(?)の報告とさせて頂きます。

東京都 奥田浩

Comment y Matsumoto/ 管理者のコメント;

 奥田さんが去年のファインダーBINOに続き、今となっては懐かしくも感じられる130EDT-BINO(中軸式架台)のリポートを くださいました。

 中軸式架台は、一見単純なようで、エンコーダの内蔵や鏡筒の単体着脱の条件を課しますと、一挙に製作が難しくなります。 こうした特注架台を手掛けたことが、BINOの納期を極端に遅らせてしまった反省から、「中軸架台はもう作らない・・」という 決意を固めたのですが、こうして喜んでいただいているのを知りますと、またいつか、より合理的な設計での再開もあり得るのかな?と 思ってしまいます。^^;
 130EDT-BINO(中軸式架台)の製作記事は、BINO製作情報速報の2012年5月23日、6月9日~30日、7月2日~6日、13日、17日~19日、22~28日、8月1日~2日 に掲載しています。
 奥田さん、この度はご多忙の中、ずっと楽しみにしておりました130EDT-BINOの素晴らしいリポートをありがとうございました。 初心者の方の感想、新鮮で初心に立ち返らせてもらう気がしますね。
続報がありましたら、またよろしく御願いいたします。

Swarovski X95 EMS-BINO

最近のスポッティングスコープの高性能化はめざましいものがあります。これらのスコープの対物レンズ系の高性能化も すごいけれど、アイピース、特にズームアイピースの進歩は本当に凄いものです。なかでもライカのズームレンズはジックリ 使わせていただきましたが、まぁこれなら単焦点アイピースは要らないかもと思わせる像質でした。これほどの高性能のズーム アイピースが出現したらそれに一本化され、さらには接眼部にズームアイピースを組み込むメーカーが出てきても不思議では ありませんでした。それが、Swarovski X シリーズだと思っています。

先日その Swarovski ATX95 で友人と一緒にと昼の景色を見たり、星を見たりしていたのですが、そのよく見えること、 M81/82についてはそのコントラストも含めて驚きました。しかも、このXシリーズの対物ユニットにはフォーカサーも組み込まれ ており、とても軽量にできています。そして松本さんに連絡、相談、そして完成したのが Swarovski X95 双眼望遠鏡です。

コンセプトは「心と体の贅肉をそぎ落とした小型軽量お手軽双眼望遠鏡、ついつい使用頻度が高くなる双眼望遠鏡」でした。 双眼化において対物ユニットとEMSの接続アダプターが一番の難所でした。バヨネットマウントの攻略は難物でしたが、 このマウントを逆手にとってEMS取付角度の再現性が担保されたアダプターが完成しました。詳細は 松本さんのHPを 参照して下さい。これは画期的なアイディアです。

小さくて軽い10cm 級双眼望遠鏡ですが、今一歩の点もあります。まずは光学性能。スポッティングスコープとしての純正 接眼部仕様の場合、焦点内外像はほぼ対称です。しかし純正のプリズムを使用しない場合、焦点内外像は非対称になります。 明らかに負修正、つまりプリズム光路による補正も考慮した設計をしていると言うことでしょう。
問題は球面収差がある程度残った 状態を許容できるのか・・・ということです。私の場合、少なくともこの双眼望遠鏡の限界倍率である158倍は許容範囲と思います。 この倍率で土星を見ると本体の縞やカッシーニの間隙もしっかりとしたコントラストで見えます。これは人それぞれですが、 ハイランダー・プロミナーやミヤウチのフローライト/EDシリーズその他の双眼鏡では高倍率はなかなか得られないし、得られ たとしても左右の光軸の問題があります。SwarovskiX95 双眼では球面収差のわずかな残存はありますが、倍率の自由度は高い し光軸の問題は事実上ありません。私はこの望遠鏡の光学性能は十分及第点をあげられると思っています。なんと言ってもF5.8 ですから。

アイピースの選択。どのようなアイピースでも使えるわけではありません。推奨はテレビュ ーのアイピースになります。しかも視野環の位置が「6mm OUT」のものです。ただし、ナグラーズ ームはダメ。首から下が長すぎる。手持ちのアイピースで比較すると、デロスの像質が一番良いよ うです。でも、いかんせんデカイです・・・。倍率の色収差を考えると今のところナグラー type5: 16mmが私のデフォルトアイピースです。2インチアイピースも使用可能です。上手くいけ ば4.5度程度の実視界が取れます。専用アダプターで無限遠のピントが確保できるアイピースは 確認している中ではEWV32mm、テレビュー・パンオプテック27mm、ライカズーム8.9-17.8mmです。

Swarovski X95 EMS-BINO を星空の下で使ってみました。いつもの南会津のフィールドです。

設営は2,3分。Pelican 1550 caseから本体を出して、Gitzo 2380に載せるだけ。取っ手に等倍ファイン ダーを付ければ、後はキャップを外してアイピースを挿入すればOKです。しかも軽いので、この状態で 一式担いでウロウロできます。
写真三脚はスリックのプロフェッショナルデザインIIを使っています。 これのよいところは重さとエレベーター。エレベーターを調整することで、天球上のどの対象もほぼ同じ 姿勢で見ることができます。本体の全長が短く軽いし、倍率も高いわけではないので、何ら問題はあり ません。
傍らにはK&Mのマイクスタンドに載せたiPad2 があります。これはファインディングチャート用の 星図ソフトを表示させています。これは星仲間のKさんのやり方をマネさせていただきました。ただし、 望遠鏡と星図ソフトのWi-Fi接続はしていません。星をたどって導入する古式ゆかしき方法ですが、 この導入過程が意外に面白いのです。望遠鏡の実視界は2度以上あるので、M天体をはじめとするメジャー どころは瞬時に視野の中に導入することができます。多分光害まみれの空だと無理でしょうね。 これも十分美しい星空と広視界アイピースのおかげです。

組み合わせるアイピースは前述のごとく視野環の位置が「6mm OUT」のテレビュー製が中心です 。星空の下ではいろいろ試してみましたが、Nagler Type5: 16mm (x35@2.4°)がデフォルトでときおり Nagler Type6: 9mm (x61@1.4°)に差し替えるくらいでした。双眼なので惑星もNagler Type6: 7mm (x79@1°)くらいで十分楽しめます。最高倍率は経緯台の操作性も考慮するとNagler Type6: 5mm (x110@0.7°)だと思います。
上記アイピースのいずれをSwarovski X95 EMS- BINOと組み合わせても視野 周辺まで星は「点」です。これは非常に気持ちがいい。もちろん中心像も満足。見つめても、眺めても 楽しめます。「あのアイピースなら星の色がもう少しよくわかるかも・・・」などとも思いますが、 システムとして考えると、この組合せが最適解かもしれません。
今回は2インチを試していませんが、 ライカズーム8.9-17.8mmの場合はx31@2°とx62@1.3°になります(最低倍率と最高倍率しか使いません)。 もしかしたらこれが最小のセットかもしれません。

Swarovski X95 EMS-BINO の実際の見え味はどうであったか?バカバカしいくらいによく見えました。 視野一杯の星像も美しいし、抜けもいいし、これといった欠点が見つかりません。

M13、M3、M22、M11はザラザラではなくツブツブです。コントラストが高く星像が小さいので本当に 美しい。

M8、M20は圧感でした。特にM8は立体感のある微光星の集簇を取り巻くように星間ガスの存在が認識され ます。高コントラストと双眼視がなせる技なのでしょう。まるでKトレーディングの宣伝文句のようですが、 そうなんです。

M27は「亜鈴」ではなく「ラグビーボールです」出っ張った部分の濃淡がよくわかります。

M81、M82もいい感じ。M82の複雑な濃淡がおもしろい。M51は伴星雲に腕が伸びているのがわかります。

そしてはくちょう座の網状星雲。フィルターなしでハッキリと認識される。特に東側の星雲はまさに 「横顔」です。これには驚きました。

実際の星空を覗いた感想ですが、このBINOの特徴は抜けと高コントラストかもしれません。Swarovski の レンズコーティングとEMS ミラーの銀コーティングとの相乗効果でしょう。この美しい視野の星々を眺めて いると多少の球面収差や色収差の残存はもうどうでもいいことだと再認識しました。

Swarovski X95 EMS-BINO は小型軽量による易運用性、十分な集光力、短焦点による広視野、そして美しい星像、 これらが高次元でバランスされたすばらしい双眼望遠鏡でした。おそらく10cm 級の双眼望遠鏡では最高傑作だと 思います。やっと「青い鳥」を見つけたのかもしれません。最後にこの双眼望遠鏡の具現化に多大なる御尽力を いただいた松本さんに深謝申し上げたいと思います。

黒木嘉典 (Kuroki Yoshifumi)
栃木県宇都宮市

管理者のコメント;

This binoscope is definetly the advent of the new concept of the EMS-BINOSCOPE in that it is an ideal combination of the Objective Unit of a Spotting Scope(SWAROVSKI X95) and the EMS.
I must give Mr.Kuroki, who had the foresight of the marvelous results and the courage to take it into practice, my biggest applaud.
You can see my processing reports in the link quoted below.
Binoscope Making Report,dated 4/27,28; 5/2,15,16,25,31; 6/2.

BINO製作情報速報で何度かご紹介しておりました、SWAROVSKI X95-BINO について、黒木さんよりさっそく詳細なユーザーリポートを いただきました。 今回までにご報告いただいている内容も含めた集大成とも言える、価値あるリポートです。  ご計画の動機から実際に使用されたご感想まで、非常に懇切におまとめいただきました。

筆者の今日までのEMS-BINOや広範なご自作経験を含めた各種光学機器とのかかわりの深さが、今回のリポートの説得力を高めています。   趣味の世界では、マニアは独自の一面的な 判断に陥り易いものですが、筆者は対極の選択肢も知り尽くした上で今回の選択をされたことが、本文からも、 また過去のリポートからも分かります。

スポッティングスコープは純粋に光学的に見れば、天体観望に特に適した光学系でないことは、黒木さんも本文でご指摘の通りですが、 その生産台数の桁違いの多さからか、工業製品としての成熟度は一般的に言って天体望遠鏡よりも格段に高いということが言えると思います。 その成熟度とは、軽量さ、コンパクトさ、また使い勝手、メカとして、また光学的な性能や外見の美観までを含めた総合的なものを指します。 そして、ごく最近になって SWAROVSKI とごく一部のメーカーがユニット分割構造のスポッティングスコープを生産し始め、EMS-BINOへの利用が 可能になったということです。

今回の黒木さんの革新的な挑戦の成功が、天体望遠鏡業界の今後の製品開発に何らかの好影響を与えることを願っています。 スポッティングスコープよりもシンプルな光学系の天体望遠鏡が、現行のスポッティングスコープのような 軽量化、コンパクト化、そしてモデュール化を達成できないはずはない、と私は考えます。 天体望遠鏡業界では 、唯一BORG(トミーテック)だけが、かなり以前より各部パーツのモデュール化や軽量化の先駆けを成してはいるものの、私に言わせれば、 まだまだ「天体望遠鏡」としてのステレオタイプの範疇からは脱却していず、今後の開発に期待したいと思います。

なぜスポッティングスコープはあんなに” Cool”、格好よいのか? 天体望遠鏡の生産台数では、あの流線型の鏡筒ラインはコスト的に 本当に無理なのか?等々、天体望遠鏡業界も真剣に考えるべき時期に来ているのではないでしょうか。
ステレオタイプや面子は合理的な思考を破綻させます。先端の客観データをいくら示されても、未だに銀蒸着へのアレルギーが治癒しないことや、 アイピースのピント位置の統一が出来ない天体望遠鏡業界の現状を見ると、悲観的になってしまいますが、早く目を開いて欲しいものです。

黒木さん、この度はまたタイムリーに素晴らしいリポートををご投稿くださり、本当にありがとうございました。 他の件も含めまして、追加リポートがございましたら、 またよろしくお願いいたします。

追記: ななつがたけ北天文台の”天文台日記”にもリポートを投稿されていますので、こちらもご参照ください。

2013年6月9日
2013年6月5日
2013年6月3日

追記2: SWAROVSKI-X95-BINOの製作記は、
当サイトのBINO製作情報速報の、 2013年、4月/27,28; 5月/2,15,16,25,31;
6月/2 に掲載しています。

TOA150-BINO completed!! / TOA150-BINO 完成!!

TOA150-BINO is completed. It will be the advent of the next stage of EMS-Binoscope making.

難産でしたが、やっと完成しました。 この度はいろんな面で良い勉強をさせていただきました。今後のBINO作りに役立てさせていただきたいと思っています。

今回は搭載重量の制限が厳しかったので、架台はほぼ無改造の方針で臨みました。 そのため、BINO本体は水平回転軸の真上ではなく、少しだけ右に寄っています。 左のウェイト軸ホルダーにスペーサーを噛ませているのは、そのためで、三脚とウェイトが干渉しないようにしたものです。これは当方での架台の動作チェックのためで、納品時にはスペーサーは撤去します。(納品先ではピラーになるので、スペーサーは不要)

架台のメンテ等で、鏡筒を下ろす必要が生じた場合は、鏡筒を1本ずつ抜き取ります。 もちろん、先にEMSや合焦機構、さらに鏡筒末端のフランジを撤去しておかないといけません。 バンドの内面にはテフロンテープを貼っていますので、コツさえ覚えれば、鏡筒の抜き取りも前後バランスの初期調整も比較的楽です。 フレームの精度剛性は十分なので、光軸の再現性は万全です。

 

(同日追記) 今回のセンターフォーカス・システムで、左右の視度に差がある場合にどう対処するかについて、どちらからもご質問がないので、先回りしてご説明します。^^; 結論から申しますと、目幅調整用のヘリコイドを用います。 通常の眼幅調整は、リンク画像のように、左右同時対称的にヘリコイドの転輪を回します。 次に、右眼の近視が強い(遠視が弱い)不同視の方は先ほどの作業に続けて、左右のヘリコイドを今度はそれぞれ反時計回り(同方向)に同量回します。(←同量回すことで、目幅の変化を相殺します。) 左の近視が強ければ、当然その逆に回します。

「そんなことをしたら左右のアイピースの高さがずれてしまいます。」・・と、おっしゃいますか? それでは、私からの質問です。 「市販の90度対空双眼鏡では、左右の視度をどう補っているでしょう?」お分かりでしょうか。 市販の双眼鏡も(直視、対空に限らず)、アイピースを前後(上下)させて合焦させています。 つまり、不同視(左右の屈折度が違う方のことで、視力の差は無関係です。)の方は程度の差こそあれ、左右のアイピースに段差が付いた状態で双眼鏡を覗きますが、眼鏡で補正出来る程度の不同視なら、全く問題なく覗けることはご承知の通りです。

しかも、(ここからが極めて重要なところ^^;)EMSの場合は、目幅ヘリコイドの軸(つまり第1反射光線)がアイピースの光軸と60度の角度を持つため、同量の不同視で生じる 左右のアイピースの段差は、同軸のヘリコイドで補正する市販の双眼鏡の1/2にしかなりません。(cos60°=1/2)(つまり、不同視補正時のアイピースの段差は通常の双眼鏡の1/2しか生じないということです。)

この方法は、左右の視度差を先に補正してしまい、最後は双眼視のままピントを追い込むというものですが、どうしても片眼をつぶりながらダイレクトに合焦操作をしないと気が済まない方もおられるかも分かりません。 しかし、それは単なる習慣であり、むしろ、単眼視での合焦操作は、眼の調節が入りやすく、どうしても近視寄りのピントになり勝ちです。 実際、検眼(屈折度測定(視力検査ではありません))に於いても、最後には両眼開放で行った方が調節の介入が起こりにくいことが分かっています。

CAPRI 102ED-BINO completed ! / CAPRI 102ED-BINO 完成

The difficult project is completed. Please note that 10cm-F7 binoscope is successfully loaded on the Nexstar SE Mount of the limited fork length for the zenith viewing. IPD adjustment is a bit hard but it is a trade-off for the simple structure.

CAPRI 102ED-BINOがようやく完成しました。 最近のCAPRI102ED鏡筒はバックフォーカスが長くなっている(BINOの素材としては歓迎すべき傾向)ことは承知していましたが、予想以上にフォーカスが余り、天頂時のフォークアームのクリアランスがさらに厳しくなりました。 どたんばで慌てましたが、急遽製作したカウンターウェイトシステムが功を奏しました。(ウェイトシステムは、鏡筒前後のバランス調整の他、BINO本体がフォークアームを時計回りにねじろうとするモーメントを多少キャンセルする効果も期待できます。(地上風景観察時及びHF経緯台に搭載時には、BINOを手前に引くことができるため、ウェイトシステムは不要です。))

多少心配していた、初めての”スタビライザーシャフト”は全く問題ないどころか、初期調整に極めて有効な機構だと分かり、今後も軽量化の手段として採用する予定です。

片持ちであることと、メガネプレートをバランス調整のために敢えて全体の重心から外したこと、また、10cm鏡筒の重量の予想以上のインパクトにより、目幅調整が渋くなりましたが、Nexstar架台に10cm-BINOを載せるためのTrade-Off、ということでご理解いただけましたら幸いです。

初作ですので、課題はいろいろと見付かるとは思いますが、本来ならNexstar マウントの搭載限度を越えるBINOを何とか搭載するための、一つの解をお示しできたのではないかと思っています。 BINO本体底部にもアリガタがセットできますので、HF経緯台やビデオ三脚等と、その日の使用目的に応じて架台の使い分けをしていただくのも良いかと思います。

CT152-BINO

Canadian Telescopes – 152mm F5.9 Air Spaced Achromat Refractor を使った双眼望遠鏡を製作しましたのでレポートします。

【経緯】

今年2月Megrez90-binoを製作していただきました。使ってみるとEMSの調整が煩わしいもので無いことが分かり、もっと大きな口径で双眼で見てみたいと強く思いました。そんな折り海外のショップのサイトを見ていると150LDに似た15cmのアクロマート鏡筒が1本10万以下で購入できることが分かり、思い切って2本カナダより輸入してみました。(中国United OpticsのOEM製品)到着後、土星を見たところXL7mm(129倍)で色収差も気にならず、シャープに見えたのと鏡筒の造りもいいので、これならEMSを投資する価値がありそうなので早速松本さんに発注しました。

架台は中軸架台が合理的でいいなと思っていましたが、依頼時はエンコーダ内蔵の新型の中軸架台を開発中ということだったので、待ちきれずオーソドックスなフォーク式架台を別途架台メーカーに製作していただきました。

【BINOの仕様】

・ 15cmのアクロマート(D=152mm、f=900mm、F=5.9)

・ EMSはEMS-UXL目幅ヘリコイド仕様

・ 鏡筒左右分割式でアリガタ、アリミゾ固定方式(1本ずつ運搬可能なこと)

・ 当初は鏡筒間隔220mm(フード外形200mm)でアイフォーカサーで進める計画でしたが、鏡筒を松本さんへ送付したところオリジナルの3インチデュアルフォカサーを生かすことに方針変更し、鏡筒間隔204mmということで各部の改造をすることにしました。(フォーク架台台座の鏡筒間隔204mmへの改造の他、鏡筒の平行調整機構の追加改造も松本さんにお願いしました。)

・ 操作ハンドルはMegrez90- bino同様のバランスウェイト付きのもの

・ フォーク架台はAPM152-binoのものを参考にしました。ユーハン工業のT-MOUNTの可動部を流用し微動付きにしようかとも考えましたが横幅がさらに大きくなってしまうのでシンプルなフリーストップ式としました。高度軸は左右ダブルクランプとして組立時のアンバランスな時も強力にロックできるようにしました。また水平出しは重要なので水準器をフォーク架台に内蔵としました。(架台の設計においても松本さんに数々のアドバイスをいただきました。)

【製作結果】

・ 架台の方が先に完成しました。専業メーカーだけあって素晴らしい仕上がりです。最初は自分の設計が悪くフルレンジでフリーストップになりませんでしたが、耳軸の高さを可変式にして設定をやり直したところ水平から天頂までフリーストップを実現しました。但しフォーク幅60cmで架台重量が13kgあり、架台を三脚に乗せるときは中軸架台がよかったかなと思ってしまいます。もっとも中軸にすると鏡筒間隔が広くなるのでフォーカサーを生かすには鏡筒切断が必要となるので一長一短だと理解しています。

・ 鳥取より戻った鏡筒を見ますと見事に接眼部が短縮され、鏡筒間隔も204mmにセットできるように鏡筒バンドが加工されていました。またフォーカスの操作ハンドル、ファインダー台座も左右対称にセットされていました。(長年のbino製作経験のノウハウを投入していただきました。)またフォーカサーも再調整していただき快適です。(天頂に向けてもずれません。)

鏡筒間隔短縮により心配した鏡筒のセットですが、さほど注意しなくてもフィールドでセットできました。
・ 心配していた左右の鏡筒の初期平行調整は松本さんにX-Y調整機構をアリミゾに細工していただいたので鏡筒をセットしたまま簡単にできました。また鏡筒着脱による光軸の再現性も問題ないようです。

・ 操作ハンドルは鏡筒の重量の割には剛性不足を感じますがバランスが合っていれば問題なく、バランスウェイトの操作性も良いです。

・ 鏡筒は1本約10.3kgファインダーアイピースをセットして総重量は50kgとなりました。
(GMT-128ステンレス三脚+ハーフピラー使用時)
寸胴な鏡筒ですがbinoにするとなかなかの外観に仕上がりました。

【使用アイピース・ファインダーについて】

アイピース  見かけ視界    倍率    実視界  射出瞳径
EWV32mm   85度    28倍    3.0度   5.4mm
Nagler22mm  82度    41倍    2.0度   3.7mm
XW10mm    70度    90倍    0.78度   1.7mm
XL7mm     65度    129倍    0.51度   1.2mm
ファインダーはとりあえずクィックファインダーと補助に笠井正立直角ファインダー併用しています。

【観望インプレッション】

栃木県の八方ヶ原と群馬県の赤城山へ遠征してきました。(Megrez90- binoも同伴)
両日共白鳥付近の天の川、2重星団はなんとか見える透明度。

観望したのは
M1,M2,M13,M92,M11,M27,M57,M15,M31,M32,M33,M110,M39,M29,
M34,M35,M36,M37,M38,M41,M50,M42,M43,M78,M79,M52,
NGC253&NGC288,NGC7789,M81&82,M46&M47,M97&108、
網状,2重星団,ET星団,らせん,北アメリカ, すばる、ばら、
X’masツリー、プレセペ、ハーゲンローザー彗星など

印象に残ったのは、一般的ですが、

M31:視野いっぱいに広がり同視野にM32,M110が入り絶景。(41x)
網状星雲:いの字がはっきり明るく見えました。光量があるので背景の恒星も見えます。(28x OⅢ使用)
M42:ガスの様子がノーフィルターでもコントラストよく見えました。(90x)
らせん星雲:光量があるので濃かったです。(28x OⅢ使用)
M81&82:星野の中に銀河がぽっかり浮かんで絶景(41x)
NGC253&NGC288:南の低空の銀河と球状星団のペアですがはっきり見えました。(41x)

以上のように散光星雲、銀河は口径がものをいいMegrezでは見られない光景でした。
散開星団に関しては15cmは星数は増えますが星像のシャープ感でMegrezの方が好みです。
光害のある自宅では月、木星を見たところ短焦点アクロマートなので当然ですが青ハロが気になりました。2重星観望に於いても主星が明るいと星像が大きくなって美しくありません。こっちの方は口径が小さいですがアポクロマートのMegrezの方が色収差が無く星像も小さいので棲み分けできそうです。

【最後に】

10年位前月天巻末の笠井トレーディングの広告に載っていた頃から憧れていた15cmbinoをようやく所有することができました。費用、重量の点から自分では所有するものでないと考えていましたが安価なアクロマート鏡筒を左右分割セット式にしたことにより今回実現できました。(自分が知らなかっただけですが・・・)

最近みなさんアポ鏡筒で製作されるようですがリッチフィールドで散光星雲、銀河を楽しむなら安価な大口径アクロマートで十分かと思います。ただ1台ということなら8~9cmのアポが自宅での気軽な星見と遠征でのDSO 観望といつでも気軽に楽しめると思います。

製作に当たり数々のアイデアを投入してリスクのある難加工をしていただいた松本さんに感謝いたします。また架台を製作していただいた京都のユーハン工業、アリミゾを供給していただいた福島のコスモ工房、部品追加加工をお願いした埼玉の遊馬製作所に感謝いたします。

埼玉県 Y

管理者のコメント;

Yさん、Megrez90-BINO、BORG76ED-BINOに続けてCT152-BINOのご成功、おめでとうございます。

経験を活かされて、個人輸入を含め、各パーツを上手に入手、コーディネートされ、立派な15cmBINOを実現されました。
この鏡筒は国内で販売されていた時には、セミアポと紹介されていましたが、どうやらセミアポという概念は日本独自のようで、国際的にはアクロマートとアポクロマートだけの区分けが一般的のようです。(間違っていたらご指摘ください。) 一般的な2枚玉の短焦点アクロマートよりも性能が良いという意味で、国内的な表現ではセミアポと紹介されたのだと思いますが、OEM元のWEB広告には、アクロマートの分類となっています。 この鏡筒は、対物セルから伸縮フード、またフォーカサーも重厚で、鏡筒径も太いために 一般的な意味ではBINOの素材としては、扱いにくい部類に属します。 しかし、鏡筒を単体で管理運用する前提ですと、さほど運搬困難というわけではありません。
鏡筒径が太いということは、重量が重くなることもありますが、鏡筒間隔が大きくなることが、BINOの素材として の懸念材料となります。 しかし、鏡筒バンドを極限までトリミングすることで、鏡筒間隔を204㎜まで詰めることが 出来ました。 今回は当方の都合もあって、EMSのみをご提供する予定でしたので、BINOの構成については、 最初はほとんどアドバイスを差し上げられず、Yさんを大回りさせてしまい、申し訳なかったと思っています。

架台のバランスについて当初苦労されたようですが、ご指摘のように、(鏡筒を水平にした時の)天地方向の バランスが極めて重要だということです。 具体的には、耳軸の高さですが、安易に鏡筒の中心高にセット するのではなく、BINOの規模に応じていくらか高くセットする必要があります。 この耳軸のシフト量は、BINOの 規模が大きいほど少量で足り、このクラスであれば、10mm以下で間に合ったはずです。 想定される重量級 のアイピースや、ファインダー類のモーメントを相殺すれば良いわけです。 BINOの規模が大きいほど、慣性も 大きいので、フルストロークの完全バランスはよりた易く達成できます。 (この点を全く逆に誤解しておられる方が多いです。)

本文でも指摘しておられますが、DeepSkyの観望でしたら、アクロマートであることのデメリットは全くないと 言っても過言ではありません。 「最高級品を持つ喜び」というのも分かりますが、BINOは星を観る道具ですから、 “Best or Nothing” ではなく、アクロマートのBINOにつきましても、もう一度目を向けていただきたいものだと思います。 私に言わせれば、このCT152鏡筒でさえDeepSky用BINOには過剰なくらいで、2枚玉の15cmF5のアクロマートでも十分だと思っています。 鏡筒単体管理であれば、18cmクラスのBINOでも運用に苦労することはないはずで、 うまく分割すれば、20cm超でも常用できると考えています。 去年の双望会では、BIG-BINO(25cm)の組み立てに 立会いましたが、大口径ドブの組み立てと大差ないと感じたものです。  アクロマート大口径BINOに再び光が当たりますように・・・^^。

最後に、短期間に3台のBINOを作り上げられたYさんの情熱と技量に敬意を表します。
当BINO関連の製作記は、製作情報速報の 2012年8月23日、28日、9月26日-2 に掲載しています。

Bino Checker 2

 以前、Bino Checkerを入手しましたが、何かと活躍しています。調整の時、原点に復帰できる、という安心感は絶大です。この度、もう一つ、別なアプローチで双眼望遠鏡の光軸をチェックできる、Bino Checker 2を入手したので、ご報告します。

原理は、アメリカン・サイズのバレルの一端を双眼装置に入れ、もう一端を双眼望遠鏡に入れて2”側から覗き、光軸が合っているかどうか、一発で判明する、というもの。コロンブスの卵ですね!。

  APM-BinoとEMS超広角対空双眼鏡で実際に覗いてチェックしてみました。そのまま覗くよりは、ルーペで拡大した方が見え易いです。私が持っているルーペで丁度良かったのは、NEAFでゲットした景品(フルネル型)でした。

 光軸調整ノブをいじると像がダブって見え、光軸が合うと、像はピタリと一致し、スカッと見えます。その瞬間は、快感ですね。一目瞭然で光軸がチェックできますから、とても便利です。
横浜市 Y.K.
Y.K.さんのサイト

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

 YKさん、PST-BINOのダブルスタック用アダプターに引き続き、 またタイムリーなリポートをいただき、誠にありがとうございました。 今回も非常に分かりやすく ご紹介くださり、付け加えることがないくらいです。

 先に発売いたしました、BINO-CHECKERは 、単体で機能する物ですが、今回は、双眼装置に取り付けて、 双眼装置自体をBINOチェッカーとして使用するためのアダプターです。

 光軸が狂っていない双眼装置を所有しているのが前提になりますが、このアダプターを使用しますと、 左右の像をタイムラグなしに同時に観察できますので、天体のように、動いている対象に対しても実行 することが出来ます。 ただ、像は覗き口の奥の眼にかなり近い距離(20㎝程度?;アイピースを代用するには遠すぎ)に結像しますので、像を観察するには、ごく若い方を除くと、ルーペや度の強い老眼鏡等を用いる必要があります。( 比較的強度の近視の方は、メガネを外すという奥の手があります。)

 目下、このアダプターの発売に向けて準備を進めておりますので、整い次第にこのサイトでご報告いたします。

 このアダプターの製作記は、製作情報速報の9月25日に掲載しています。

P.S.T.ダブル・スタック双眼用アダプター / “Double stacked PST-BINO “ 

 P.S.T.を双眼化して楽しんでいましたが、この度、松本さんにアダプターを製作してもらい、ダブル・スタックでの双眼化に成功したのでご報告します。

 詳細は、私のsiteのここをご覧いただきたいのですが、ダブル・スタックにすると、太陽表面のコントラストが一段とアップし、Hα像の別な一面が覗けますので、チャレンジした訳です。ただ、ダブル・スタックにすると、太陽表面のコントラストがアップする反面、プロミネンスは見えにくくなってきます。ですから、シングルよりダブルが上、という事ではなく、何を見るか、でどちらを選ぶか、だと思います。
  ダブル・スタック・ユニットの直径は73mmなので、このままでは双眼にはなりません。そこで、鏡筒に延長筒・アタッチメントを装着してダブル・スタック・ユニットを段違いにし、双眼を可能にした訳です。

 松本さんの凄いところは、こういったアイディアがポン、と出るだけでなく、左側の鏡筒にも短いアタッチメントを装着して、きちんとクリアランスを取り、眼幅60mmですら双眼可能になっている事、そして、ネジ込みの回転位置まで考慮して干渉を避けている事、内径はきちんと42mm確保されている事、鏡筒へのねじ込み、ダブル・スタック・アタッチメントのねじ込みの工作制度のすばらしさ(本来のオリジナルは、もっと粗雑)です。つまり、これ以外に無い、という正解が、そのまま製品になっている点が驚きです。

 アタッチメントを装着する事で、鏡筒の対物レンズとダブル・スタック・ユニットの距離が離れてしまいますが、その影響は無く、ダーク・フィラメントが浮き出て見え、また、太陽表面のウズの表情は豊かです。ただ、シングル・スタックだとプロミネンスが派手に飛び散っているのがわかるので、まずはシングルで見て、次にダブルで見るのが良いようです。

 太陽は、日々変化し、本当に面白いです。松本さんのお陰で、また別のHα像を双眼で楽しめるようになり、こんな嬉しい事はありません。どうもありがとうございました。
横浜市 Y.K.
Y.K.さんのサイト

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

 いつもながら、YKさんが神速のレポートをくださいました。 YKさんは、機材その物に対する思い入れも 強くお持ちなのと同時に、その機材をしっかりと活かされるので、製作者にとっては非常に やり甲斐のある依頼者さんです。

  ご自身のサイトにも書いておられますが、このアダプターの製作は2回目でしたので、新たに設計する 必要はなく、比較的速やかに加工できました。 ただ、長い方のアダプターは、糸巻きリール状の形状なので、加工はやや面倒な 部類に属します。 段差加工自体は、旋盤の真骨頂であり、何でもないことですが、下がって、また上がる加工があると、 バイトの向きを途中で交換(バイト自体も)しないといけず、右勝手仕上げと左勝手仕上げの境目で段差が付かないように配慮しないと いけません。 これは大した技術ではないのですが、単純な段差加工よりは神経を使うわけです。^^;
 短い方のアダプターは、万一噛み付いてしまった時に強くねじる必要がありますので、ローレット加工をしておきました。 このローレット加工も、実は結構時間がかかります。

 このアダプターの意義と効果は、YKさんが十分に代弁してくださっていますので、今回は加工の裏事情を書かせていただきました。 ご自身のサイトでは、左右の眼の視感度の違いにも言及しておられますが、これは単眼で観察している方はまず気付かない ことだと思います。 YKさんのサイトの記事も合わせてお読みいただくことをお勧めします。

 YKさん、今回も非常にタイムリーにご投稿くださいまして、誠にありがとうございました。

Please read my making report of “September 26th in 2012”, too.

“Most of the Solar Fan must have abandoned to make the PST-Binoscope to be double stacked, because of the IPD problem. I will show you the good solution now. Photos above will explain how I had solved the problem. Even my wife of 60mm IPD exclaimed with joy at the beautiful prominences and the details of the Sun, this morning.”