松本の光学講座;2024-4 / 煩雑とシンプルは紙一重

 実体は同じでも、表現(表示)方法によって、計算の難易が桁外れになることが多いわけです。
物点、像点距離を用いるよりも、光線の基点の高さと傾き、またレンズは焦点距離ではなく、度数で表現した方が、計算がずっと楽になる例を、過去2回に分けてご説明したのですが、より端的な例をご紹介します。
 上図のように、L1,L2,L3の3枚の薄レンズを密着させた時(つまり間隔は.0とする)の合成焦点距離を考えます。焦点距離は、L1から順に、2000mm,1000mm,400mmとします。
この3枚の合成レンズ系の焦点距離は何ミリになるでしょう?
 手慣れた方は、暗算で即答されるでしょうが、そうでない方は、案外手こずるのではないでしょうか? 1/S’ -1/S = 1/f を律儀にレンズごとに計算して行ったら、大変面倒です。
 L1~L3 を度数(1/f)で表したらどうでしょう?
 L1 から順に、+0.5D, +1.0D ,+2.5D ということになり、合成パワーは単純に足し算をすればよく、0.5+1.0+2.5=4.0(D) となります。合成焦点距離(m)は、その逆数だから、f =0.25m (250mm)
となる訳です。