松本の光学講座;2024-10/準備運動-3/主点と主面

図では、H1が物側主面、H2が像側主面です。
定義は実にシンプルで、「横倍率=+1の共役面が、H1,H2」 ということです。
初心者の方はこの辺から躓くはずです。私も当初、理解に苦しんだからです。
横倍率と聞いて、初心者が描く、物と像のイメ―ジは下図のように、実物と実像の関係しかないからです。この際、これを忘れていただく必要があります。

主面の解釈で用いる物点と像点は、ABのような実像でも実物でもなく、
「光学系内を光線が通過する間に、常にPQ=P’Q’となるような共役面が1対、自ずと発生しますよ。」 という意味なのです。

「物側主面のどの高さにある虚物点Qも、同じ高さの像側主面のQ’にその虚像点を生じる。」
ということ。そうした1対の共役面(H1,H2)がどんな光学系にも存在しますよ、ということです。
そして、どんな分厚い光学系も、主面を基準にすれば、薄い単レンズの近軸結像公式が適用できるということです。

そして、2行2列の物像マトリックスから、P,P’の位置がいとも簡単に算出できます。

以前にもご説明しましたが、H1,H2は本例のようにレンズ内にあるとは限らず、また、並び順も逆転することも少なくありません。
 解析をする際には、見やすい(考えやすい)ように、H1が第1面の手前(左)、H2が最終面の後ろ(右)に来るように作図(イメージ)し、算出結果の数値の正負から実際の主点の位置を把握するわけです。