鏡筒パイプに穴を開けない前提ですと、最もシンプルに組めたフレーム構造だと思います。CRADLEがないので、軽量化はもとより、フォーク幅も標準のままで余裕です。
専門家を自認する方ほど、鏡筒の平行調整に杞憂を持たれる傾向がありますが、ツボを心得ていれば、何も恐れるものはありません。 機械的精度は、もちろん環境が許す範囲で最善を尽くすのは当然ですが、一番大事なことは、製作者(あるいは使用者)が(初期調整の)オーバーとアンダーが識別できることです。 一般マニアなら、ピント調整を怖がる人はいません。それは、ピントのオーバーとアンダーが理解できているからです。初心者に合焦ノブを触らせると、びくびくして超スローでノブを回すので、ピントの山が全くつかめません。 光軸の初期調整も、平行に対してのずれ方向が把握できていてれば、よほど不適切なメカでない限り、理想状態にセットするのは極めて簡単なことです。
光軸調整がピント調整よりも難しい要素があるとすれば、ピント調整はアンダー、ゼロ、オーバーと、一次元の調整なのに対して、光軸調整はX方向とY方向の二次元になることですが、ベクトルも成分に分解し、それぞれを処理すれば、一次元のスカラーの問題に帰結するわけで、恐れることはありません。 X方向に関して、鏡筒の筒先が平行に対して閉じているか、開いているかの2種類しかなく、上下のねじれもしかりです。調整に難航する方は、そうした分析ができずに、パニックになっているのです。
FC100/FS102クラスのBINOだと、通常なら、HFフォークの幅を少し広げないと収まりませんが、耳軸プレートのセット方法に工夫をすることで、むしろ余裕が生じました。(後で、耳軸の下に3㎜のスペーサーを加工して挿入します。)
この組み立てで、D=158mm。標準の目幅ヘリコイド付きEMS-ULで、目幅レンジ=60~76mmです。
耳軸センターを上に一定量シフトさせているのがお分かりでしょうか?
この配慮が極めて重要で、それがないと、水平時と天頂時でバランスが大きく変化してしまいます。(この配慮は、架台のタイプによらず必要なことであり、他人事でなく、ご自身のこととして学習いただければ幸いです。)
通常であれば、フォーク角度を標準の45度を→65度くらいに改造するのが私の流儀ですが、今回は口径が10cmと小口径(軽量)なことと、ハンドルを下部中央に配置するために、天頂時にピラーとハンドルの干渉を回避するため、45度のままご使用いただくことにしました。転倒にご注意ください。(特に子供はハンドルを持って引っ張る傾向があるので要注意!)
VIXENのHF架台をBINO用に用いると、大抵、天頂付近で耳軸プレートが耳軸クランプノブと干渉します。メーカーさんは改善の姿勢は全く見られません。
これはほんの一例ですが、メーカーの(不適切な設計の)尻拭いをするのも、仕事の一部です。