BORG 125ED-BINO(2015年2月26日)

Dear Tatsuro,

This morning, I finished my work.
The first test was positive, the pictures are merged when the two collimation screws are in neutral positions. I am really very happy with the result and can hardly await the first clear night 🙂
Thanks again for all your help and support !!!

Jochen

管理者のコメント;
Acknowledgment of Matsumoto;

Dear Jochen,

Let me give you my biggest applaud to your feat on your fine binoscoope.
You have overcome not only the language barrier but also the negative background noises made by some of the senior manias who have negative biases on my EMS.
I believe “Reality” will come to light in the end. I am very happy now to think you would become another ardent advocate of my EMS.

CLOUDY NIGHTS FORUM
The German Forum

BINOSCOPES

ドイツのJohenさんが125ED-BINOをもう完成させられました。 組み上げた段階で、XYノブが原点を示していたそうで、自前の中軸式架台の完璧さが光ります。
久しぶりにまたBINO作りのMOTIVATIONを充填していただいた気がします。(反例で落ち込んでいた後だけに、特にそう思います。近くにいてもメールの返事がタイムリーに返らないモラトリアムな人よりも、 地球の反対側にいても常に打てば響く人のお手伝いをする方が、張り合いがあるというものです。)

CLOUDY NIGHTS FORUM
The German Forum

BINOSCOPES

55FL-BINO(自作)

Borg-55FL双眼をひとまず組み立てましたので、ご報告いたします。

Borg55FL→DZ-2(7517)→2インチホルダーSSII(7501)を介してEMSに接続し、アルカスイス互換のプレート(Sumwayphoto, DPG-2416)とクイックリリースクランプ(DDB-53)、 パンニングクランプ(DDH-02)を使ってビデオ雲台に載せています。

【製作まで】

金属加工などはできないが、組み立てるプロセスは楽しみたいという思いから、以下のような方針をたてて既存のパーツ を組み合わせて自作(というより編集作業)することにしました。

【方針】

製作するにあたり、剛性を優先し、シンプルな構成にすることを心がけました。松本さんとのやりとりのなかで、左右鏡筒の光軸の精度 が高いに越したことはないが、これにはさほど気を使うことはない、むしろ剛性が重要なのだが、素人の自作だとそこが弱いかもしれない、 と伺いました。そこである程度の精度を保ちつつ、がたつきの原因となる要素はできるだけ排除するという方針を立てました。Hyperion 36mm を使う予定だとお伝えしたところ、それならEMS-ULのほうがベターであると教えていただきましたが、相談の結果、やはりコンパクトな方がよい だろうということで、より小さいUMのボディで、ただし大きめのミラーを内蔵したものを作っていただくことにし、EMS部分の光路長はデフォルト での2インチスリーブ上端までで136mmとのことでした。
このシステムで最初に決めたのは、実は鏡筒と架台をつなぐ部分のパーツでした。BorgのDZ-2というパーツは、mini-Borg鏡筒の延長筒に台座 がついており、非公認ながらアルカスイス互換のクランプに取り付けられる「こともある」というものです。これを使えば架台に直接鏡筒を固定 できるので、鏡筒バンドを使うよりも剛性が増すだろうと考えました。事前にこのマウンティングの方法(クイックリリースクランプ)で大丈夫 そうか伺ったところ、「使えると思います」とのご回答でしたので、このやり方に決めました。

【実際に使用してみて】

1) 剛性と精度のバランス
口径が55mmと小さいこともあってか、このマウント方法でがたつきはいっさいありません。軽い鏡筒であれば70mmくらいまでは大丈夫かな、 と思います。また、精度も問題なく、Xネジの回転角度は松本さんが警告されている45度以内には十分におさまっています。前述のDZ-2は、 並行して購入していたSunwayfotoのクランプにしっかり固定するにはやや台座の幅が足りませんでしたが、台座とクランプの間に0.5mm厚のプラ板 をかませることでどうにか固定できています。アリガタ/アリミゾの噛み合わせが浅めなので、DZ-2を同じメーカーのプレートにネジ2本で固定した うえでクランプに取り付けるほうがより安心かとも思いますが、間にプレートを挟むことでネジ穴の遊びの範囲内で左右に鏡筒が振れるため、 左右鏡筒の光軸合わせがむしろ面倒になりそうです。直角なものに直角なものをかませるのだから鏡筒は嫌でも平行になる、調整機構は必要ないと楽観的に考え、 実際にXノブの調整は十分に小さな範囲で収まっているので、このまま使っています。

2) 2インチアイピース

平行・無調整で見ている限り、デフォルトの2インチホルダーのまま、Hyperion 36mmで、合焦機構なしで無限遠にピントが合います。 これは半ば偶然、半ば計算どおりでした。これで約7倍、実視野10度以上が得られ、たとえばオリオン座の三ツ星からリゲルあたりまでが同一視野に入ります。 Hyperion 36mmは2インチスリーブを外すとシュミカセメスネジが切られているので、EMSの2インチホルダーを外し、Borgの短い2インチホルダー~シュミカセ オスネジを経由してアイピースをねじ込めばスリーブ分の光路を短縮できます。こうしておけば対物レンズの後ろにヘリコイドを入れることもできそうでしたが、 なくてもピントが合いますし、大きなヘリコイドはコストがかかること、対物側にヘリコイドがあるデザインがあまり好きでなかったことから、このアイピース を使うときには結局合焦機構はつけていません。

3) 31.7mmアイピース

一方、複数所持している31.7mmアイピースはアイピース抜き差しでピントは出るのですが、倍率が高くなってくるともっと正確にピントを出したいと思うようになる だろうと考え、2インチ/36.4mmアダプタ(中古品を見つけましたが、形からするとひょっとしてEMSに付属していたものかも知れません)からBorgの接眼ヘリコイドS(4317)経由 で取り付けています。これでPhoton 25mm、Hyperion 21mm、WA 17mm、Nagler type6 11mmのいずれでもピントが出ます。PhotonのフォルムがEMSにマッチしてるようで気に入って います(Fig. 2)。ただし2インチ/36.4mmアダプタの取り付けネジの位置によってYノブを少し回さなければならないことがあり、できるだけ動かさないですむ位置を 見つけて使用しています。

4) X-Yノブ

はじめにご相談したときに、X-Yノブ付きのほうがよいかお尋ねしたところ、双眼で使用する場合には必須であるとご教示頂きました。実際に使用してみると、 その意味と便利さがわかりました。まず、このようなマウンティングの方法では上下・左右方向の光軸調整機構は一切ありません。かといって常に光軸が完璧であるわ けでもありません。X-Yノブの本来の目的はアイピース交換時に発生する光軸のずれの補正だとのことなので、ここに光軸の初期調整を補う働きをさせるのは本来の意図 とは違うことは理解しつつ、十分に小さな調整範囲ですんでいることからよしとしています。 双眼装置の光軸調整をすることがありますが、それは特定の軸方向への移動をネジで調節するような機構にはなっておらず、光軸が合ったと思ってもそれを固定するリン グを回転させるとまたずれてしまう、という使いづらさがあります。一方EMSにはこのような不便さは一切ありません。ただ、慣れないうちに暗闇でノブを回していると、 予想以上に大きく回してしまっていることがあり、リミッターと原点矢印表示は必須であると感じました。念のため、原点矢印の方向がわかるような触覚的な手掛り (エンボス加工のシールのような)を貼り付けようかと考えています。

5) 見え味

「星ってこんなにきれいだったっけ?」と驚いきました。いや、きれいなことは知っていたのですが、こんなにきれいだったのでしたっけ?小学生のころから望遠鏡を覗いていて、 大学卒業後20年ぶりくらいに星見に帰ってきたのですが、ヒアデスやプレセペ、オリオンの中心部などはもちろん、特に名所でもないところががこんなにきれいなものだった ことに、初めて気が付きました。ヒアデスはそれぞれの星の色の違いがよくわかりお祭りっぽいこと、プレセペは細かな光の点々がひっそりとしていて紫陽花っぽいこと、など、 恥ずかしながら知りませんでした。試しに片目を閉じてみてみると、これまで当たり前で 十分に綺麗だと思っていた、あの見え方でした。また、いま見ている円の中が切り取られた円ではなく、その円の外にも空が広がっていることが感じられるような気持 ちがします。これは正立であることも関係していそうです。地上からの連続的な風景の延長として空がある、というようなイメージです。メロッテの星団のリストのことなどいま まで考えたこともありませんでしたが、ああいう大きめの星団を鑑賞するという新しい楽しみ方を発見した気持ちです。寝る前に15分だけ、と思っても、1時間見てしまいます・・・。 秋のh-χが楽しみです。

【EMSシステム≠EMS本体】  さて、EMSを使いたいと考えた時に二の足を踏む要因のひとつに、「なんだか難しいのではないか」ということがあります。松本さんのHPには膨大な情報が含まれており、 それらを「反復精読」するように、「天文マニアでボール盤を持たないのは、一般家庭に包丁がないのと同じ(”過去の暴言”であるとのことで、安心しました^^;)」など、 いろいろと書かれているので、「自分のようなレベルのものが使わせてもらっていいのだろうか・・・」と不安になりさえします。

しかし、正立・双眼の魅力には抗いがたく、 おそるおそる順番に読んでみると、注意すべき点というのは実はそれほど多くなく、そこから派生する問題を含めて繰り返し述べられているのだということがだんだんとわかって きました(ノブを回しすぎない!もここから派生している)。つまり、操作する際には「光軸が物理的にあっているということと、心理的にあっているように見える(像が重なって 見える)ということとは全く別のことなので、自分に見えているものを信じないでください」、ということを主におっしゃっているのだと思いました。このことがなかなか理解され ずにご苦労されているのだということもわかりました。しかし私は仕事柄(基礎系の心理学の仕事をしています)、学生時代からむしろ「物理的な量と心理的な量はイコールではない」 ということを叩きこまれてきており、むしろこのことは、それこそ「家に包丁があるくらい当たり前のこと」としてすんなりと理解することができました。「輻輳」(左右の眼が互い に鼻側に向くこと、近い対象を見る時の状態)や「調節」(ピントをあわせるために水晶体の厚さを変化させること)について教えることもあり、松本さんの「寄り目」のご説明もすん なりと理解することができました。こんな事情もあり、機械部分の調整は松本さんを信頼して、あとは自分の目の癖、普段のものの見方を振り返って少し練習すれば大丈夫だ、と思える ようになったことで、購入を決意しました。

具体的な課題は、「平行法で立体写真をみられるようになること」でした。平行法は苦手でしたので、いつもは手っ取り早く飛び出すように、真ん中にはがきを立ててやっていまし たが、あれがいけなかったということに、まさか双眼望遠鏡を覗くときになって気がつくとは思いませんでした。少し練習すれば平行法もできるようになりました。また、酔っ払うと 平行・無調節が難しくなることもわかり、酒量もへり、おかげで体重まで落ちました。EMSはダイエットにもいいようです。

また「器械近視」という言葉も教えていただき、確かに自分がアイピースを覗くときにはそのような状態になっているということにも気づきました(言われないと普通 そんなことには気づきません・・)。そのうち、輻輳・調節をせずに覗くためには、20-30cm離れたところから、できるだけ「うつろな眼差し」でアイピースを覗き、左右2つ の視野円がひとつの円に重なるのを待ってから、その円の中にダイビングするような気持ちで徐々にアイピースに眼を近づけるとよいことがわかりました。このとき、その円が 投影されているレンズが水面だとすると、その水面を通り越して水の底を見るというつもりでダイビングしないと、寄り目になってしまうようです。これができるようになった結果、 「左見て右見て」法もできるようになってきたと思います(遠くのアンテナで光軸調整すると、Xノブを回したときに右鏡筒からの像がスーッと動き、やがて左鏡筒からの像にぴた っと重なる、ただし像が十分に接近してくるとおそらく眼が勝手に合像しようとしているのか、像がぴょんと飛んで急に重なるように見える。この最後のぴょん、を意識的にコン トロールできるようになるともっと正確に合わせられるのかなと考えています)。

先述のHyperion 36mmは合焦装置がなくともピントが合うと言いましたが、実は初めて覗いたときには もう少し対物側に寄せたいと思いました。しかしこれはおそらく「器械近視」の状態(「寄り目」で見ているので、それにともなって水晶体の厚さもより近くを見るときのように厚 くなっている状態)になっていたのかと思います。平行・無調節で見るように意識してしばらくするとピントが合い、その後アイピースから眼を離して肉眼で空を見ても違和感 はありませんでしたので、うまく見られていたのだと思います。というわけで、EMSのシステムというのはハード面(EMSの本体、架台、機構など)だけではなく、ソフト面 (松本さんのHPに掲載されているいろいろなアドバイスや双眼視するときのちょっとしたコツ)を含めたものであるというように理解しています。

以上のようことはまた新たなタイプの誤解なのかもしれず、「また新たなタイプのややこしい奴が出てきた・・」とがっかりされるかもしれませんが、もし誤解がありましたら教えて いただけますと、また新たな発見ができて大変参考になります。
松本さん、いろいろと知らなかったことを教えていただいて、本当にありがとうございました。今回は物以上の買い物をさせていただいたと思っています。

※EMSユーザーの方のレポートは今回のbinoを自作(編集)する上で大変参考になりました。この場をお借りしてお礼申し上げます。今後binoを使われる方の参考になるような情報 を自分も提供できれば、皆様へのお礼のかわりになるかと思い、書かせていただきました。普通ユーザーレポートは器械部分の仕組みや見え味などを書くことが多いと思いますが、 binoの普及と、二の足を踏んでおられる潜在的なユーザーの方のお役に私が立てるとすれば、心理の専門家としての立場から感じたことを書くことかと思いましたので、 特に後半はこのような内容になりました。

Mr.T.H. in Kyoto

管理者のコメント;

BORGより最近リリースされたFL55対物レンズを使用したBINO自作のリポートをいただきました。 市販パーツのみをうまく組み合わせて実用的なBINOを実現しておられるところに意義がありますが、 それ以上に、光軸調整等のEMS-BINOの根幹の部分でEMSの製作者の気持ちを代弁してくださっているところに 新鮮な切り口があり、かなり溜飲が下がった気がいたします。^^(T.H.さんには、去年の12月にEMS-UMLのみを納品させていただいていました。)

EMS-BINOは、機械的な精度だけを追求してもうまく行きません。実は(マニアや業界の方々が大好きな言葉である^^;)”精度”という言葉 自体がそぐわないのですが、敢えて”精度”という言葉を踏襲すると、「機械的な精度と調整技量を含めた最終的な精度が重要だ。」ということになります。 誤解を招くといけないので、断っておきますが、「機械的精度はどうでも良い!」と言うつもりはありません。機械的な誤差は、合理的な調整機構の ストロークに十分吸収される量であれば残存していても問題はなく、機械的な剛性がその初期状態を常に保持できていれば良いわけで、そこが、精度よりも剛性が 優先される所以です。

”3) 31.7mmアイピース”の段落で書いておられる36.4ネジ→2インチアダプター(キャップ形状)は、ご推察のようにEMS-UM/US用の標準31.7ADの基部を構成する非常に 汎用性の高いパーツです。 本来であれば、今回もこのアダプターを付けて納品させていただくところでしたが、2インチスリーブセットのみを希望されたため、その組み合わせのみでお送りした次第です。
31.7用のヘリコイドですが、直進タイプでなく、敢えて回転タイプを選択されたのは、光路長のためでしょうか。

T.H.さんは、光学の専門家でも、望遠鏡工作のエキスパートでもないとのことですが、上記に書かせていただいた、EMS-BINOのツボのようなものを 非常に良く理解されたことが、今回の成功につながったのだと思います。 T.H.さん、今後もそうした”ツボ”の部分をより多くのマニアの方々に啓蒙していただけましたら 幸いです。 続報を期待しています。^^ ありがとうございました。

追記、ベースレールの中央にセットしておられるブラケット状のパーツは、ホームショップで調達されたそうで、運搬用取っ手兼、デザイン上のアクセントだそうです。^^(一番右の写真)

80EDT-BINO(自作)

お世話いただきました「8cmBino」、いよいよ稼働を開始しましたので 報告致します。 鏡筒の軸調整を追い込み、どのアイピースでも X-Yノブ調整が±15度以内に収まるようになりました。 20、48、69倍(視野3.4~1.2度)、80倍以上はパワーメイト2.5Xまたはナグラーズーム。

網状星雲(東・西)の全景はギリギリですが、北米星雲、バラ星雲はスッポリ視野に収まって、 フィルター越しながら 星空の名所を生で遊覧できました。
M31付近の全景や、広い宇宙空間にM81と82、フクロウ星雲とM108が並んで浮かぶ光景を堪能し、 広視界で よく見える(かつ手軽な)望遠鏡を求めていた小生にとって、手にし得る最良のBinoだと思います!(^^)!。 「軽量(7.0kg)で高性能」は、御社製のEMSとマウントに拠るものと存じおり、厚く御礼申し上げます。

光害が激しい大宮では 手軽にベランダに持ち出し、高倍率で 惑星、二重星を十分に楽しめそうです。 (ナグラーズーム、パワーメイトのスリーブが防塵フィルターに当たるので、硬質ゴムリングで加減しています^^;)

Mr.Kumagai in Saitama

管理者のコメント;

Kumagai さんが、美しい写真と共に、ご自作の80EDT-BINOのファーストライトのご感想メールを くださいましたので、無理を言ってそのまま当コーナーに紹介させていただきました。メールリンクも承諾くださってありがとうございます。

写真からも、理想的に組み立ててくださっていることが感じられますが、全アイピースでEMSのX-Yノブが±15度以内に納まっているとのことで 、基礎構造の剛性が十分であることはもちろん、低倍時での調整技量の高さの証と言えます。 この辺を逆に誤解している方が多いので、 この場を借りてご説明しますと、高倍率ではノブの回転量に対して像が非常に鋭敏に(大きく)動きますので、角度的には大きな違反行為には 至り難いのですが、低倍時には、使用者の技量が如実に表れます。(リミッター装備前は1回転させる方も珍しくありませんでした。)^^; 最低倍率で調整して、最高倍率にアイピースを交換してもノブを あまり回さないようになったら、調整は免許皆伝です。^^

また、Oリングをスペーサーにして挿入長の制限をしておられるところ、お見事です。

海外の方は今でもほぼ100%の方が、BINOはEMSのみを求められての自作です。 最近、国内では、BINOを自作される方が減って来たように 感じていましたので、今回のリポートは大変嬉しいものでした。 私もいつまでもBINO作りは続けられないので、近い内にEMSのみの供給に 限らせていただこうと思っています。 自作できなくても完成したBINOを使いこなせる方は多いですが、BINOを自作した方は必ず使いこなされます。 言い換えると、自作できない方には理想的な状態で使えない方が多いとも言えます。 自作をもっと奨励したいと思います。 (「天文マニアでボール盤を 持たないのは、一般家庭に包丁がないのと同じだ。」と私はいつか、暴言を吐きました。^^;)

Kumagai さん、素敵なBINOのご完成、おめでとうございます。 続報を楽しみにしております。

日々是BINO  / LUNT35-BINO,80-BINO,115-BINO

2011年6月にBINOオーナーとなってはや3年!すっかり双眼正立の世界にはまってしまい、BINOも年々1台ずつ増えつづけ(!)、 今や3台保持するにいたりました。 (①115mm屈折双眼→②35mm双眼太陽(正立)→③80mm屈折双眼/今日に至る)

Lazyな私には、手軽な80mmが主力(軽い!早い!スゴイ!?)なBINOとなっていますが、特徴はちがっ ても両目で見る喜びは変わりません(むしろ倍増!)。架台を変えたり、仕様をいじってみたり日々楽しん でいます。BINOの相違を通してEMSに対する理解を深めてきましたが、まだまだ奥が深く現在進行中^^;。 フィールドに出かける機会が減ってしまいましたが、最近では、ベランダ観望を主として楽しんでおります。

とりわけ、入手した「傾斜センサ」が、街中での観望をさらに楽しいものにしてくれています。市内に住んでおり、 光害は避けられないのですが、どんなに明るくても、月夜であっても天体の導入がより手軽に(!)より確実に なりました。設置が容易なので、天気が良ければすぐに観望OKとなります。眼視オンリーだった私が、ベランダからの (下手な)天体写真を撮影するようになり、SNS等にアップし楽しんでいます。 50代自己満足の極みですね。(^^♪

今後もBINOを通して多くの人々にその良さを伝えていければと考えております。毎日更新される メイキングレポート楽しみにしております。奥の深いBINOの世界。これからもご指導どうぞよろしく お願いします。ありがとうございました。

仙台市 渡辺 利明

管理者のコメント;

渡辺さんが、3台のBINOをフル稼働しておられる近況をご報告くださいました。 やはり、製作者としては、出来上がったBINOをしっかり使ってくださっているご様子を知るのが、何よりの 励みになります。
特に、両眼で見られること、90度対空であること、回転軸へのリンクフリーで実現する傾斜センサーの 実現そのもの等、基礎的な部分での素直な感動が伝わると一番嬉しく思います。

渡辺さんの過去のリポート

115ED-BINO (2011,7/9)
115ED-BINO-2 (2011,7/16)
傾斜センサー (2014,8/21)

SWAROVSKI X95-BINO

これが初めてのEMS双眼望遠鏡になります。まず、このBINOは10cmクラスの対空双眼鏡 と同列に扱うことのできる機材だと思います。10cmクラスの対空双眼鏡はコンパクトながら 星団・星雲を見るのに必要充分な光学性能を備えた私にとって理想的な機材で、これまで 「笠井トレーディングのSUPER-BINO100RA」「宮内Bj-100RB」「ハイランダープロミナー」 「宮内Bj100-RBF」と使ってきました。しかしどれも満足するには至らなかったため、松本 さんにこの機材の製作を依頼することにしました。届いてみて驚いたのはその大きさと軽さ です。大きさは対空双眼鏡の中でもひときわ小型の宮内Bj-100RBFと同等で、重量はさらに 1kg軽い4.8kgという軽さです。その無駄のないコンパクトな造りに驚かされました。

肝心の光学性能については、その像のシャープさやコントラストの高さ、色彩の鮮やか さには驚かされるものの、それ以上に気になるのは歪曲収差です。
これは既にX95-BINOを所有されている方々の情報から事前に分かっていたことですが、  このBINOはフィールドスコープの対物ユニットだけを取り出し、そこにEMSと天体用アイピースを  組み合わせているので、収差の如何はアイピースによって変わります(この時の使用アイピースは  パンオプティック-24mmとタイプ6-13mmでした)。
天体用ならば少々の歪みも気にならないのですが、  どうせなら昼間の景色でも既存の対空双眼鏡を超えた像を期待したいところです(特に最高性能を誇る ハイランダー以上の性能)。
昼間の景色を対象に、テレビューアイピース以外に下記のア イピースを試してみました(焦点距離は17~20mmを基準に選定)。

・ペンタックスのXW-20mm
・笠井トレーディングのEF-19mm
・国際光器のPHOTON-18mm
・ライカズーム(8.9-17.8mm)
・ハイペリオン-17mm
結論からいえば、昼間の景色でハイランダーと同等以上に整った像を結んでくれるの は「PHOTON-18mm」「ライカズーム」「ハイペリオン-17mm」の3つでした。
最も透明感のある 像はレンズ構成枚数の少ないPHOTONで、色彩も鮮やかです。見掛け視界が狭いこともあるで しょうが、像全体に締まりがあり満足度の高い像を結んでくれます。ただ、昼間に使用する と被写界深度が浅いので、景色全体にはピントが合いません。
「ライカズーム」はさすがに ズームにありがちな暗さを感じますが、像は非常にシャープです。ライカらしい「きめ細か なシャープさ」といった感じで、コントラストも悪くはありません。色彩は少し弱く感じま すが、全体としてはズームらしからぬ魅力的な像を結んでくれます。
ハイペリオンは少し像 が暗いながらも各収差が最も抑えられ「落ち着いた像」という印象ですが、見掛け視界が一番 広い68°なので視界そのものが気持いいといった感じです。昼間の使用なら見掛け視界の広 さと覗きやすさから、ハイペリオン-17mmが個人的には一番好みでした。

厳密には対空双眼鏡で最高レベルの光学性能を誇るハイランダーと細かく比較すれば、 これらのアイピースの結ぶ像が「全てにおいて優っている」というわけではないと思いますが、 私にとってはコントラストの高さ・色彩の鮮やかさ・遠近感などの点から「理想の機材」と思うに 充分な見え味です。
あと残ったアイピースで歪曲収差がよく抑えられている順番として「EF-19mm> XW-20mm」となります。EF-19mmについては抜けの良さ・シャープさなどが上記のうちで一番優れてお り、像もこれらに次ぐほど整っているのですが、日差しの強い時に使うと周辺に強い青滲みがでるこ とがあるので「条件付き」といったところです。ただ、白いものを最も白く見せてくれたのはこ のEF-19mmで、これと比較すると他のアイピースには全て黄色の色付きがあることに気付かされます (テレビュー製品でさえ僅かな色付きを感じる)。気になってタカハシのアッベオルソも比較して みましたが、色付きのなさはオルソとEF-19mmで同じでした。

自宅からではそれほど星が見えないので、天体用アイピースの比較は主に「夜景」を対象とし ました。これは歪曲収差の有無の比較ではないので私の主観的な判断的となってしまうのですが、 よく見えるアイピースの筆頭は「パンオプティック-24mmとEF-19mm」でした。
テレビューのアイピー スがよく見えるのは当然なのですが、松本さんお薦めのEF-19mmが大健闘です。夜景などを対象に パンオプティック-24mmと比較してもヒケをとりません。これと比べれば、鏡筒によってはペンタッ クスのXW-20mmですら、その像を僅かに眠たく感じてしまうほどです。それでいてテレビューの アイピースより歪曲収差がよく抑えられています。ただ透明感には優れますが、コントラストはそ れほど高いわけではないので、あくまで「自然な像」を得られるという意味でいいアイピース です。本来なら先にX-95BINOを購入された方々がテレビューのタイプ5-16mmを使用されているので、 比較をして決めたいところなのですが、EF-19mmが気に入ってしまったのでとりあえず天体用はこれ に決まりです。

ここで補足として、EWV-32mmにも触れさせて頂きます。このアイピースについては透明感・ 抜けの良さで定評がありますが、X95-BINOに使っても同じくひときわ飛び抜けた透明感のある素晴らしい 像になります。問題の歪曲収差についても、確かに相応に像は歪んでいるものの、低倍率のためかあまり 気になりません。
これで気付いたのですが、歪曲収差の問題は歪んでいること自体よりも、歪んだ状態で の視野の移動にストレスを感じるのだと思います。視野を移動する時に倍率が高い方が視野内での歪みの 変化が大きくなるわけで、私の場合はEWV-32mmくらいの低倍率ではそれほど気にならず、パンオプティ ック-24mmの倍率では気になるといった感じでした。EWV-32mmはそのままではバレルが長過ぎて合焦しない ので、松本さんにお願いして真鍮製のショートバレルに変更しています。面倒ではありますが、この アイピースをX95-BINOに使う事にはそれだけの価値は確かにあると思います。

遠征にはEF-19mmを持参しました。さすがによく見えるBINOです。これで見たアンドロメダ 銀河は圧巻で、これまで見たどの望遠鏡よりもコントラストの素晴らしい像です。
望遠鏡は口径 以前にコントラストが重要だということを実感させられました。球状星団も「その存在が分かる」 という程度ではなく、粒々感を感じられ見応えがあります。普通、10cmクラスの大型双眼鏡という のは、それが「10cmクラスの見え方でしかない」ことを前提として、その像に満足できるものです。 しかしこの機材ではそうしたことを忘れてしまうほどです。「この前よりあんまり見えないな…」 の対象が30cmドブだったりするのです。スワロビジョン光学系の素晴らしさを再認識すると共に、 これが自分にとっての理想の機材だということが確信できました。
もちろん比較対象を「対空双眼鏡」 ではなく「双眼望遠鏡」とし、3枚玉の高性能アポクロマートと並べて考えれば、X-95BINOが勝てない要素 は多いと思います(高倍率時の光学性能など)。しかしこうしたコンパクトBINOが真価を発揮するのは、 やはり「お気楽星団・星雲観望」であり、低倍率から中倍率が主体となります。そうした意味では初めから そこを目的に開発されたフィールドスコープにも相応の分があるわけで、そこにスワロフスキーの技術が詰 め込まれていることも思えば、このBINOには他にはない独自の魅力があるのだと思います。

このコンパクトな BINO を収納するケースにはペリカンの1500サイズを使っています(収納には2イ ンチスリーブを取り外す必要がありますがこれは鏡筒の下に収納できます)。ペリカンの1500サイズは モノさえ選べば更に「機内持ち込み可」のキャリーバッグに収納できるので、移動の際には便利なサイズ です。ペリカンのケースを更にキャリーバッグに入れ、二重に保護することで、仮に空港に預ける時でも 心配がなくなります。やはりこうした小型機材は機動性が重要だと思うので、持ち運びしやすいサイズと大 きさは有り難いところです。

最後に、私にとって X-95BINO は「理想的な10cmクラスの対空双眼鏡(双眼望遠鏡)」 となりました。天文という趣味の中で「理想の機材」に出会えるということ自体、幸運だと思いますので、 この機材を実現して下さった松本さんに本当に感謝しています。

東京都 米田

筆者のサイト 日月星辰

管理者のコメント;

米田さんには、去年、BORG125SD-BINOをご依頼いただいてずっとお待たせしているのですが、 その仕上がりを待たずにSWAROVSKI-X95-BINOを先にご注文いただきました。(実はこのパターンが多い。^^;)

双眼鏡機材のご遍歴にも表れていますが、米田さんは単なる機材マニアではなく、豊富なご経験と非常に鋭い識別眼を お持ちで、市販の天体望遠鏡用アイピースの詳細的確なご検証には、驚くばかりです。

私は(製作中納品前に)店内でガラス越しに近くの風景をちらっと見た程度で、スポッティングスコープ とは思えないヌケの良さに驚くばかりで、視野の歪曲等には全く気付かなかったのですが、リポートを 読ませていただき、感心しきりです。

去年、最初のSWAROVSKI-X95-BINOの依頼を受けた時は、まさしく”新たな無理難題”でした。 EMS-ULはもとより、EMS-UM(/US)でもバックフォーカスが足りません。どこで光路長を節約するか? 対物ユニット接続側とアイピースのアダプター側の光路長を極限まで詰めることで、かろうじて実現したBINOでした。

純正のプリズムユニットでは、ガラス中の実質の光路長が幾何学的な実長の”1/屈折率 ”になるという好都合な 現象に助けられるわけですが、ミラーの場合は幾何学的な経路がそのまま光路長になるので、光路長を所定の 範囲に納めるのは、たとえ反射回数を4回(シュミットプリズム)から2回(EMS)に激減させても至難なことなのです。 どうしたかは、EMS自体の工夫の延長ですが、構成ミラーのエッジを 接続部の空きスペースに絶妙に侵入させることの集積で解決しています。文章では分かり難いかも分かりませんが、分解して みれば分かります。(両サイドにミラー先端が突出しているので、分解時の取り扱いには細心の注意が必要です。)

製作者の視点から、このBINOの魅力(存在意義)を付け加えさせていただきますと、(当たり前ながら)まずは筆頭に、 90度対空だということです。 天体用では90度対空の45度対空に対する優位性が圧倒的であることは、私だけでなく、多くのマニア が証言しています。 次に完全気密構造のスポッティングスコープとEMSという構成要素のメリットです。 対物ユニットは完全インナーフォーカスで、天体望遠鏡の繰り出し装置のように伸びたり縮んだり、重心が移動したりしません。 これは当たり前のことですが、天体望遠鏡にばかり触れて来た私にとっては、新鮮な驚きがありました。それと、接眼部の 自由度が高いEMSとの合体です。際どいバックフォーカスながらも、かなりの種類のアイピースの選択肢が持てたのも、そのお陰です。  今後開発されるアイピースも含めると、さらなる成長(改善)の余地を残したBINOシステムであると言えます。

大変綺麗な写真を3枚ご提供いただきました。ただ、SWAROの対物ユニット本体の色調がほぼグレーに 見えていますが、実際はオリーブドラブで、もっとグリーンがかった色です。 EMSは黒をご指定で、この機会に一定数の黒ハウジングを確保しました。 実は、今回の黒塗装は 満足が行く仕上がりにならなかったのですが、時間的にもコスト的にも後戻りが出来ず、そのまま納品させていただきました。^^; 塗装について、不問にしてくださったことに感謝しています。^^;(黒は難しいですね。光沢仕上げではなく、半艶を指定すべきでした。 鋳物(ダイカスト)の微細なホールが目立ってしまいました。猛省して次回以降のロットで改善します。)

米田さん、この度は同BINOとのマッチングの良いアイピースを詳細にご検討くださって、本当にありがとうございました。 すでにSWARO-X95-BINOのユーザーになっている方々はもとより、これから検討をされる方々にも非常に有益なデータをご提供いただいたと 思います。 まだ納品させていただいて日が浅いので、またじっくりと秋冬の天体を観察された印象がいただけましたら幸いです。

(SWARO-X95-BINOは海外(米国)にも2台納品していますが、CLOUDY NIGHTS TELESCOPE REVIEWS でも 話題が盛り上がっています(1P~5Pまであり)。)

傾斜センサー(AAS-1) / Altitude Angle Sensor

仙台も連日曇り続きでしたが、今日帰宅するとひさしぶりに星空が広がっており、 家のベランダにて届いたばかりの「傾斜センサ」をさっそく使ってみました。 使用アプリはSkySafari Pro(+iPad-mini)です。

はじめは極性があわずカーソルが反対方向へ動きましたが、
設定(垂直:-10,000/水平:-4096)を合わせると「快適!」そのもので カーソルがスムーズ過ぎる(!)ほど動きます。感動!

私の場合、「NEXUS」ではなく、松本さんにご紹介頂いた「SkyFi+インターフェース」 をずっと使用しておりましたが、ストレスなく天体導入が可能でした。 仙台市中心部のベランダからM31→M15→M2→M30など秋のメシエ天体や二重星団などが 短時間でしたが街中でも容易に導入できました!

従来からずっとSナビゲーター用のエンコーダー(4096ステップ)を使用しておりましたが 高度軸取付けやその偏心の不安から解放され、このセンサは(予想を超える)精度でした!
さらに屋外でのDeep‐Sky天体や彗星探索に使用してみたいと考えています。

素晴らしい製品のご提供本当にありがとうございました!!
また現地レポート報告します。(^^♪

続報:9月20日;
好天が続くようになり、もっぱらベランダ中心ですがBINOを夜空に向けられる季節となりました。 朝晩寒さも感じられるますがまだまだ温暖。 11.5㎝&8cm BINO ともフル活用です(^^♪
おかげさまで「傾斜センサ」も好調で、活用させて頂いております。 レポートにも書かせて頂きましたが、ほんとにスゴイ精度です。 SkyFi+SkySafariとの相性もバッチリで、ほぼ正確に天体が 捕獲?できます。松本さん&製作者のHowkさんに深く感謝! 今年の双望会への参加は一回休みですが、いろいろ試して 楽しんでいきたいと考えております。

仙台市 渡辺 利明

管理者のコメント;

渡辺さん、神速のリポートをいただき、誠にありがとうございました。

”傾斜センサー” は、すでに6月中旬に第1ロットの供給を開始し、数日前に5台目(第2ロットの3台目)を納品したところですが、 今回のご投稿が、製品版としては記念すべき最初のユーザーリポートになりました。

当傾斜センサーは、鏡筒の傾斜角を直接感知( 絶対角度の測定)し、角度に応じたパルスを発信するもので、エンコーダのように垂直回転軸とリンクさせる必要がなく、架台のアライメント不良の影響を受けない 等の顕著な特長を持ちます。 どんな架台にも使用可能ですが、垂直軸へのエンコーダのダイレクトセットが困難な 中軸式架台等には、特に福音となるものです。
まずは、当製品の本来の使用目的である、EMS-BINOに用いた有効性をご確認いただけたことを、大変嬉しく思います。

当傾斜センサーは、
(傾斜センサー+水平回転軸エンコーダ)→(NEXUS、もしくは インターフェース+SkyFi(本例)) → (Wifiで)(iPhone/i-Pad) のようにつなげて使用します。
(NEXUSの場合はインターフェースは不要;また上記フローチャートのNEXUS以降はSナビ(国際光器)と完全互換)

当製品は、まだスタートしたばかりです。現状では、年に15台くらいの生産が限界です。 また当面は、EMS-BINOユーザーの 方に優先的に提供させていただく予定です。
また、製品は日々改良を進めてはおりますが、 まだ一品ずつの手作りで対応している段階でございますので、ユーザー様には、 枝葉末節のご指摘よりも、当センサーの開発意図をよくご理解くださり、温かい目で今後の発展をお見守りいただけましたら幸いです。
今日現在で、第2ロットの在庫が2台ございますが、一応、中軸式架台とEMS-BINOのユーザーの方を対象にして当面は確保しておきたいと考えております。

次回(第3回)ロットは、やはり5台くらい、年末か年始頃の仕上がりの予定です。

傾斜センサーの価格:¥16,200(15,000);専用ケーブル付き (  )は税抜き価格

渡辺さんの過去のリポート

115ED-BINO
115ED-BINO-2

続報:9月20日;
今日、大変嬉しい続報をいただきました。 新型の傾斜センサーは早い段階で3台納品しているのですが、 他の2名の方からの詳しいリポートがまだいただけていないので、特にありがたい続報でした。

PDFカタログ;
PDFカタログが出来ましたので、追記します。(9月22日)

2018年1月10日追記: (去年11月のWEBSITEクラッシュの修復のため)再編集しながら、改めて感慨に浸りました。 現在は、傾斜センサーはAAS-2に進化し、WIFIアダプター等も(同じサイズの)ワンユニットに包含され、格段にシンプルな構成になっています。

C5-BINO on the MiniTower-Pro / follow up report-2! 続報-2!

続報(2)

ご無沙汰いたしております。我が「C5モバビー」も、製作後何年か経ち、 その架台も含めて数か所改良しましたので、ご報告いたします。

C5本体についての追加点は、
1.本体フードの取付
2.鏡筒前部へのバランスウェイトの取付
3.副鏡光軸調整ねじの取り換え
4.レーザーポインターの取付
5.正立ファインダーフードの取付
6.カメラ雲台の取付
7.iPadの取付
8.アイピースレデユーサーとEMSの保護フィルターを取り外し、 ケンコーのAC3(48ミリ)の取付。
です。

経緯台についての追加点は、
A.スカイファイの取付
B.延長タワーの取付
C.バランスウェイトシャフトの延長シャフト取付加工
D.バッテリー兼カウンターウェイトの採用
E.ハンドコントローラー装着金具の取付
です。

1.は、金属業者に依頼し、アルミ製のしっかりしたもので、フェルト材の巻き付け物とは異なり、しっかりとした物に できました。

2.の採用理由は、仰角のバランスが悪く、軽く望遠鏡を触る程度で垂直軸のロックが緩んでいましたので、 取り付けることにしました。まず、望遠鏡を垂直に立ててバランスをとり、次に、望遠鏡を水平にしてバランスする ように、望遠鏡を前後させます。そうすることにより、望遠鏡はどの位置でもバランスできるようになります。
3.は、工具を使用しないで、光軸調整をやり易くするためです。
5.は1と同じ業者に依頼し、作成してもらいました。ネジを切っていますので、取り外しは簡単です。
6.のカメラ雲台の取付は、取っ手にメスネジをきって、そこに取り付けました。小さなネジを大きなネジの上に取り付け 、2点止めにしていますので、緩みによる回転などありません。
7.のiPadは、スカイサファリプロと連動しており、画面をタッチするだけで望遠鏡が自動導入・自動追尾を開始します。これは大変 便利です。導入制度も1度以内の視野でしたら問題なく導入できます。iPadのスカイサファリは、スカイファイを経由してWi-Fiで経緯台 本体と繋いでいます。

Bは、I.OPTRON社のオプション製品です。
Dも、I.OPTRON社のオプション製品約で、3.5キロのウェイト兼用バッテリです。これも、非常に重宝しています。一晩使っても問題なく、、他社赤道儀 などにも利用できないか検討しています。
Eも、ちょっとしたことですが、あると便利なので、業者に依頼し作成してもらいました。アルミ製のしっかりした物で、カチッと 収まります。

簡単に持ち運びできますので、観望会などには重宝しています。スカイサファリの惑星拡大画像をiPadで表示し、 覗いた時の実際の画像と見比べられるので、皆さんに喜んでいただいています。

塩塚
2014年6月8日

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

 また塩塚さんに無理を言って、いただいたメールをそのまま掲載させていただきました。  こうして納品後、何年後でも、初期の motivation を失われることなく工夫を重ねておられると、本当に嬉しいものです。

  塩塚さんの過去のリポート;

C5-BINO on Mini Tower(2012,2/05)
C5-BINO follow-up-1(2012,2/13)

X95-BINO and 15cmF5-BINO(V.9)

2年半ほど前に星見を始めた団塊世代の高齢者です。
月と木星、土星をまず見てみようと思って初心者向けの望遠鏡を購入。それなりに見えるものの、長く見続ける気にならず 「さてどうしたものか」と取り出したルポルド6×30で見るスバル、ペルセウス、ヒヤデスに魅せられ、V社BT81SA双眼鏡を購入。 低倍率で見る夜空の美しさにとらわれ、半年後には鳥取まで出かけることとなってしまいました。

昨年の8月末にSwaro X95-BINO、今年の2月に15㎝F5-BINOが届き、空の状態の良い時には夕食後、 車で20分ほどの6等星が見える山に出かけています。自宅は高台の南向きで3Fにある寝室の窓から カノープスが肉眼で見れます。深夜に楽しめるよう南向きに15㎝F5、北向きにX95-BINOをセットしています。

Swaro X95-BINOは鏡筒長が短くHF2経緯台を垂直位置で使用でき、きわめてスムーズな動きで快適。 ハンドルはいろいろ考えた末、写真のようになりました。垂直動作に適した形は吊り輪のような形と思いますが、 それをベースにピント合わせ、光軸合わせ、天頂をクリアーすることなどを考慮した結果の形状です。
地上の風景と天の川散策はEWV32㎜(17倍、星間視差での実視界4.3°はちょっと残念)、散開星団等主力はN5-16㎜34倍、 球状星団はN6-9㎜61倍、月面と惑星はPhoton5㎜110倍です。Radian3㎜ と比べてもPhoton5㎜のシャープな中心像は十分 なのでこれで済ませています。EWV32㎜のアイレリーフ20㎜は実に快適、眼を浮かせたままBINOを振り回してもブラックアウトなどとは無縁 。大きなアイレンズの周辺に地上の風景がぼんやり広がりその中に宇宙の窓が開いています・・・”どこでも宇宙ドア”。 障子の穴から覗くといった感覚とは無縁の快適さです。
周辺像の流れはありますが見たい方向にBINOの眼を向けるのは肉眼と 同じことと割り切っています。このBINOひとつで十分夜空を楽しめます、初心者にこそ望遠鏡ではなくBINO を勧める必要があると思いますが光学機器の業界はどこを向いて仕事をしているのでしょうか?

15㎝F5-BINOが届いた日は月没が明け方4:00、オメガ星団の南中が4:00という逃せない日、 しかも澄み切った冬空。N4-22㎜34倍、真南高度約7°に合わせるとそこにオメガ星団の堂々たる姿がぽっかり浮かび上がっている。 X95ではこうは見えません、バックグランドから抜け出すことができない状態でした。周りの星々を従え巨大な綿帽子が浮遊する姿は その後の春の空では見ることができません。絶妙のタイミングで納入していただきました。
現在使用中のアイピースはEWV32㎜23倍星間視差での実視界3.4°、N4-22㎜34倍、N5-16㎜47倍、N6-9㎜83倍です。15㎝F5-BINOは 松本さんが長年手を加えてきただけあって素晴しいBINOに仕上がっています。山に出かけてセットしすぐ覗いても光軸が ずれていることは全くありません、このBINOの基本設計が素晴らしいことを実感できます。
鏡筒一本8㎏弱、Manfrotto117B三脚(耐荷重18㎏、エレベーター付)+中軸架台が8kgと運搬とセッティングに全く負担がありません。 操作ハンドルはX95-BINOと同様の木製自作、車で出かけるときは写真のBINO-Bedを後部座席に載せその上でゆっくりしてもらいます。 積み木方式6段椅子は写真の三つのパーツの組み合わせで1~6段の高さに可変できます。残念ながらBINOの上下動と同時にエレベーター を操作し椅子の高さは固定という目論見はダメでした。BINOが重くエレベーターの操作がスムーズにいきません。 電動エレベーターがほしいですね。エレベーターを下げた状態で高度80°をクリアーできるのでそのまま使用することがほとんどです。

その後晴れた日には毎日見続けた印象をまとめてみます。

①表現力の豊かさ;15㎝の集光力からくる星々の輝きの強さと色彩の豊かさそれと同時にバックグランドに微光星が 多く見え天の川の淡い表情も楽しめます。BINOを振り回したときに目につく赤やオレンジに煌めく星々、さしずめ” 星の王女様”の瞬き。このBINOの第一印象は「ウワーッ!これは楽しい」でした。

②期待以上に楽しめる天体
・天の川と中小散開星団 ; 「星像が膨らむ」ということを心配していましたが全く問題ありません、 15㎝+銀ミラーEMSの威力でぎょしゃ座など素晴らしい眺めです。M37の星粒の多さと輝きの強さなどM11とともに ランキング下位からこのBINOで一気にベスト5入りです。

・球状星団 ; これも口径の威力で倍率に応じた表情の違いを楽しめます。現在N6-9㎜83倍がMaxですがどこまで 上げられるか確認したいと思っています。また、さらに大口径にしたら・・・と欲が出ます。

・月面と木星&土星 ; 期待していなかっただけにもうけものです。口径を11㎝に絞ってN6-9㎜83倍で見ればもうけ ものと割り切って十分楽しめます。

③期待の大きさ通りにならなかった天体
・大型で明るい散開星団 ; 10㎝クラスで十分に楽しめていたわけですから期待する方がおかしいということを教えられました  。バックグランドの明るさがマイナスに作用するということでしょうか、スバルはX95-BINOに分があります、しかし素晴らしい  散開星団に見えることに違いはありません。

・銀河 ; 期待が大きすぎたと思います。一ランク上の見え方には違いないのですが15㎝をもってしても銀河はやはり遠い! 標高1000mまでBINOを持ち上げて再確認をしてみたいなと思っていますが・・・。

総合的に見て、この15㎝F5-BINOが現在の私には最高のBINOと思われます。15㎝アポ鏡筒はサイズ&重量&コスト の点から限界を超えています。X95-BINOも月面&惑星&地上風景用となって15㎝F5が現在の主力です。 BINOを一台だけに限定されたら迷わず15㎝F5-BINOを選択します。今後の課題は使い勝手をさらによくすること、 例えばアイピースの重量、焦点位置の同一化、など。現在主力のN4-22㎜はアイガードを外して使っています、EWV32㎜と同様に覗きやすく ブラックアウトとは無縁です。EWV32㎜との重量差がかなり縮まり、また螺旋フォーカサーの操作性も向上します。

天体観望を趣味とする方たちの多くがオーディオを趣味とされていますが私もオーディオを趣味として50年になります。 物理特性を追いかけていた時代の”音が苦”状態から抜け出して現在は音が楽しい”音楽”の世界を満喫しています。 表情豊かな生きた音を求めて使いこなしの努力をするようになってから楽しめるようになりました。

天体観望も恒星が生きていることを実感できること、そしてその輝きの”精気”と”色彩”が生み出す風情を楽しめる ことが一番かな?と15㎝F5-BINOを手にした今思っています。それほど強いインパクトを与えてくれました。BINOの世界を 知らずにいたら”天文が苦””光が苦”のブラックホールに落ち込んでThe Endだったかもしれません。天体観測は”天文学”、 15㎝F5-BINOでの天体観望は”天文楽””光楽”の世界です。

これからも(両)”眼を開いて夜の中を広い視野で見ていきたい”と思います。松本さんがこの仕事を 長く続けられることを願ってやみません。

福本
兵庫県

管理者のコメント;

去年の8月に納品させていただいたSWAROVSKI-X95-BINOと、今年2月に納品させていただいた15cmF5-BINO-VERSION9のリポートを同時にいただきました。

謙虚に初心者を標榜しておられますが、両機種とも最初から上手に使いこなされましたので、この度初めてのリポートをいただくまでは あまり交信をさせていただく機会がありませんでした。 それだけに、新鮮で心に響くリポートとして読ませていただきました。 久しぶりに BINOを製作するエネルギーを充填していただいた感じがします。

バックオーダーがかなり停滞していましたので、操作ハンドルまでは気が回っていなかったのですが、見事に美しいハンドルをセットして いただきました。 製作者の意図を良く理解してくださっていて、少なからず感動いたしました。 組み立て式の椅子や収納ケース等を拝見し、 美術的な家具の製作の高度なノウハウをお持ちであることが分かりました。お部屋の雰囲気も含めて、ヨーロピアンな風情を感じ、羨ましく拝見しました。

15cmF5-BINO-VERSION9は、これまでのEMS-BINOとは一線を画する最初のBINOだと思っておりますが、相応しい方に 届きましたことを嬉しく思います。

15cmF5-BINO-VERSION9の製作記事は、製作情報速報(2013~) の 2013;11/26, 12/4~29、2014;1/8~10, 1/13, 1/15~17, 1/22, 1/24, 1/28, 2/1, 2/3 に掲載しています。

SWAROVSKI-X95-BINOの製作記事は、製作情報速報(2013~) の 2013;5/15,16,25,31; 6/17,28; 8/21,25; 9/1 他に掲載しています。

SWAROVSKI-X95-BINOの話題がCLOUDY NIGHTS で盛り上がっています。

15cmHybrid-BINO / 踊る双眼望遠鏡(GoTo)

言い変えれば自動導入のBinoという事に成りますが私は Meade の初期型 LX200 が出た頃からそれを夢見ていました。 まだ松本さんの存在を知らない頃でしたが95年にはその様子をイラストに描いていました。

 それを具現化するチャンスが訪れました。最初に笠井トレーディングのSuper Bino 150 DXの対物ユニット の出物が有り松本さんに相談、Bino化出来るのを確認してから商品をGet! 次に天文ガイド誌 にLX200-30 を Wanted して唯一東京都の方が名乗り出てくれました!

 松本さんの所には LX200-30一式が入った冷蔵庫大のキャリーケースごと送り着荷時に驚愕されましたが Binoの製作に取りかかって頂けました。 松本さんにはシュミカセと設えるBinoの脱着交換もお願いしフォーク架台は実際スペーサーを入れた 幅広改造の為に鉄製の8本の錆びたネジを大変な苦労で外して頂きました ;

 またBinoがフォークアームの懐の高さに収まるか当初微妙でしたがEMS後方の光路を長目に設定して Binoが天頂に向いた時でもフォーク底部に接触するのを回避して頂き、接眼鏡胴部のアリミゾ台座には自前の 1600g程の蒲鉾形のはんだ塊をバランスウェイトとして取付けました。

 出来上がったBinoのセンターフォーカシングのハンドルが位置的なものも有りまして片手で軽くは回せません。 この部分は粗動時や非常時に摺動させ普段2インチアイピース使用時には標準58mm長のメス/メスホルダ ー→Borg#7425→#7757(M57ヘリコイドS)→#7501→2インチアイピースという様にしました。

 BorgのM57ヘリコイドSはローレット部外径がΦ67mm有ります。私は目幅が丁度67mm なので観る事が出来ます が成長途上の子供達や均整のとれた顔立ちの大人はもっと狭いのでBorgメーカー様や松本さんに最外径Φ63mm位の ヘリコイドを開発して欲しい望みは有ります。

 初期型LX200をメーカーサポートが終了した現在でも使う為には始動時又は電源をON←→OFF毎にLOCAL時刻と月日年 の設定値の再確認をしないといけません !もしユーザー側で電池交換をしても一切動かなくなってしまった話を前ユーザ ーから聞きました。 このLOCAL時刻、月日年の確認を怠ると導入精度の前に何処に向いてしまうかわかりません。またその様にして次々 と天体を導入していても次の作動時にはDECコードが絡まって伸びたり過天頂に向こうと不意な動き出しをした時が有 りますのでその様な時はためらわず電源スイッチ部をOFFにして最初からやり直しします。

 いろいろと癖が有りますが夢のGoto架台に載った双眼望遠鏡が形に成りました。私もあと四半世紀もしない内 にあの空の彼方へ逝く事に成ると思いますのでたどり着く星を今から探しておこうと思ってさ…〓

いわき市 佐藤正巳

Comment by Matsumoto /管理者のコメント;

 市販の大型双眼鏡の頭部とEMSを合体させたBINOのリポートです。 難解な課題でしたが、佐藤さんの情熱に負けました。 最善は尽くしましたが、初作故に改善の余地も残したようです。 ただ、 これも佐藤さんの熱意のお陰で使いこなしてくださっているようで、ありがたく思っています。

 アイピースの根元にフォーカサーを配置する方法は、いくつかご提案して来ましたが、市販のヘリコイドを使用する場合は、交互に段違いに 配置して干渉を回避すると、眼幅63mmまでは行けるようです。 相手の2インチスリーブの干渉部をトリミングすれば、さらに眼幅を寄せることも可能です。

 BINOの完成が秋ですぐに厳冬期に入ってしまいましたが、季節が一巡する頃にまた観望されたご感想がいただけましたら幸いです。  今回は年末のお忙しい時に、詳細なリポートをくださり、本当にありがとうございました。

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追記: (15cmHybrid-BINOの製作記は、BINO製作情報速報 の2013年9月20日、26日、10月7日~10日、23日に掲載しています。)