Framework of the 10cmF10ED-BINO / 枠組みの仮組立

Framework of the 10cmF10-BINO preliminarily assembled. The span of two eyeglass plates may look too long, but it is necessary to have enough spacing for the adjustment of gravity center by a dovetail. The Center Mount will be placed between the glass plates.

フレームの基礎部分を仮組立しました。2枚のメガネプレートの間に中軸架台を収納するようにセットし、アリガタによる前後(重心)移動のストロークを十分に確保すると、このくらいのプレート間隔になります。取っ手の下のベース金具が分厚い理由は、この後のリポートまでお待ちください。

アリガタは、このフレームには常時セットしません。 長めのアリガタの両端にこのフレーム(もちろん鏡筒もセット済みとする)をセットするためのベース部品を取り付けた独立仲介部品を、事前に中軸架台の左(右)サイドにセットしておきます。

この写真では、ハンドルがベース金具に直接取り付いていますが、実際には、後で中軸架台のクランプレバーと干渉しないように、適当なスペーサーを中間に配置することになるはずです。前後のプレートを渡す部材は、ハンドルを除いて全て意図的に排除しています。それは、もともと不要なことの他、中軸架台への着脱時の干渉を回避しながら、D(鏡筒間隔)を最小限(今回は170mm)にするためです。

フレーム前後を数か所で補強プレートで渡してがっちりと剛体構造にするのは、アマチュアの自作例でよく見掛けますが、それは経験不足による無駄な構造であり、重量アップ以外の効用はありません。メガネプレートには本命の鏡筒が2本くぐってがっしりと固定されるということを忘れている方が多いので、どうしてもくどくて無骨な設計になるのです。極端な話、前後をつなく取っ手すら省いたところで、2本の鏡筒をセットしてクランプをしっかり締めれば、必要十分な剛性が得られることが分かっています。鏡筒自体も構造部を立派に担うわけです。さらに、無駄に前後のプレートを完全固定しないことで、左右の鏡筒の光軸の平行を初期に完璧まで追い込む自由度が得られるわけです。 蛇足ですが、プロの製作者を含めて、大型双眼望遠鏡の設計に対して、完全剛体であるべきという強迫観念から逃れられない方がほとんどですが、数十年のBINO作りの経験を経た私に言わせれば、それらは愚かな妄信であり、極論すれば、完全剛体としての精度剛性を目指すのは全くのナンセンスだということです。(因みに、日本の古参マニアや、ドイツの自作マニアにはそうした感覚の方が多いです。^^;) 天体望遠鏡用のアイピース自体が双眼用に設計されておらず、光軸を保証していないし、快適眼位にも著しい個性があることを考慮すると、完全剛体を目指すよりも、合理的な調整機構を準備することの方がはるかに重要なことです。EMSがその機能を完璧に備えていることを訴え続けて数十年、そろそろ喉が嗄れて来ました。^^;

(その完全剛体信仰の流れから、BINO計画初心者の方には鏡筒分割方式に対する光軸の再現性に対する懸念が強く、一体構造のBINOに固執される方が多い傾向があります。^^;実際には、光軸の再現性に一体構造、分割方式間の優劣はありません。)

Eyeglass plates in the making / メガネフレーム(10cmF10-ED-BINO)

As you can easily imagine, a pair of eyeglass shaped plates will hold OTAs perfectly parallel. You might think the rims look too thin, but I know 7mm widgh and 12mm thick rim is enough for the purpose. Of course, the traditional way of clamping at the ear side closing will require thicker rim, but mine is the slit clamp at the center line of the bridge.

これで今回のBINO製作の加工の山場を越えました。

メガネフレームのリムが細いと思われますか? 大丈夫です。5mmくらいに見えるかも分かりませんが、幅は7mmで厚みは12mmあります。強度的に十分なことは経験上分かっています。 リムを智(耳側のメガネレンズを着脱するためのネジによる開閉部)で締める伝統的な方法ですと、リムは無骨なほど太くしないと都合が悪いですが、これから施工するクランプ機構は、ブリッジの中央にスリットを入れるスリットクランプなので、リムを必要以上に太くする必要はないのです。

(因みに、FPD=170mmなので、このメガネがマッチする人間のスペックを概算してみますと、身長 ≩ 4mくらいの大男となりますね。過去、現在、未来と、存在し得ませんね。(掛けメガネの場合、目幅(IPD)より少し広いフレーム目幅(FPD)を選ぶのが美観的に普通))

さて、ブリッジが中央よりやや上に配置されているのにお気付きでしょうか。不必要にシンメトリックを崩すことはしませんが、天頂時にピラーに干渉しないために必要な措置でした。そのためもあって、外見がさらにメガネに似て来ました。前側に配置するプレートについては、ピラー干渉の心配はないのですが、加工及び組み立てミス防止等の観点から、前後のプレートを統一しました。

(メガネの左右のリムを鼻で繋いでいる部品のことを”ブリッジ”といい、リムの耳側でレンズ着脱のために開閉する部分を”智”といいます。 この際、覚えておいてください。^^)

Eyeglass plates in the making(10cmF10ED-BINO) / メガネ型フレーム製作中

This binoscope will be made integral structure and will be set on the Center-Mount which is the new challenge on the binoscope makings.

鏡筒が五藤光学の限定VERSION(F10)であったことと、成り行きから一体構造BINOで中軸架台仕様という、悩ましいスペックの製作をお引き受けしました。

メガネの玉の部分のくり抜きが完了しましたが、一般にこうした切り抜き加工の場合、アウトラインの加工の方が面倒です。まず、アウトラインの方が加工ツール(エンドミル等のこと)の移動ストロークが増大するので、マシンの可動域を超えることがあることが一点。もう一つは、刻々に変化する(さらに加工ツールが移動する)アウトラインに対して、どこを加工テーブルに固定するか、という問題があるわけです。分割して加工することになるわけですが、ワーク(被加工物)をどう固定するかでいつも頭を捻るわけです。(当方のCNCマシンでは、このくらいのサイズになると一筆書きでアウトラインを一挙に仕上げることは出来ません。ですから、原点の再現性を担保しながら、プレートを裏返したり回転させるための道具立てを考えないといけないのです。金属のフライス加工は加工抵抗が極めて大きく、ワークの固定が弱いと、大惨事につながります。危険な作業です。)

GOTO-F10-OTA cut short successfully / 無事に鏡筒短縮、末端ネジ切り

This is the finished jig for the inner end thread processing.

これが、数回に渡ってコメントして来ました、旋盤のキャパを超えて長い筒の末端に内ネジを切るための治具です。使い方は、最初に右端の円盤だけをロッドに固定しておき、まずは加工したい側の反対の端部をしっかりと円盤のオスネジにねじ込みます。 次に左のフランジ状の円盤をロッドに挿入し、パイプの左端から挿入し、内径ネジが切れる程度の深さを確保してロッドに固定します。(加工するパイプとこの治具が一体となる。)

Special gimic was required to make the thread holes on the end face of the long rod of 1-m!

意外に難航したのが、1mもの長いロッドの端面加工でした。当方には(恐らく大方の作業場でもそうでしょう)、1mもの長さの丸棒の端面への加工が可能なほどの巨大なボール盤はありません。加工としては極めて単純な穴開け、ネジ切り加工ですが、この治具を加工するための”治具”を工夫して、かろうじて加工に成功しました。(これが一番苦労した部分。^^; ご推察のように、治具には階層があるので、治具を作るための治具があり、その治具を作るために治具が必要になったりするわけです。機械加工の技術の神髄は、治具作りこそあると言っても過言ではありません。)

The photo of processing.

少なくとも、この治具で問題なく長大なパイプの端部に内径ネジを施工できることが立証できました。チャックのすぐ前にゲージとなるオスネジリングを貼り付けておけば、途中でネジのはめ合いを確認しながら作業ができたのですが、このロッド露出部分の長さは最小限に保って加工中の剛性を最大限に維持したかったため、そうした物は全て排除して行いました。結果、後で随分と苦労をさせられる羽目になりましたが、まあ、良い勉強になりました。 上手になった頃には作業は終わっている、というのが初めての加工の常です。^^;

(本来なら、パイプの左端を治具を介して旋盤のチャックに固定し、パイプ右端を加工するのですが、それをするには、パイプ長よりかなり長いテーブルを備えた旋盤が必要になります。 また、チャッキングしたパイプの反対の端を加工するのですから、振れ止めが必要で、塗装済みのパイプには十分な養生等、余分な準備が欠かせません。 この治具の方法ですと、チャックの近くで施工できるので、振れ止めが省けます。チャック側の円盤が振れ止めに近い作用をしてくれるからです。)

OTAs cut short.

73mmカットしました。撮影時の安定性から、鏡筒パイプは対物側が下になっています。 当然ながら、鏡筒は接眼側をカットしないといけません。(間違って対物側をカットしたら、内部の遮光リングを全てセットし直さないといけなくなるので、自分で鏡筒をカットされる方は十分にご注意ください。)

Jigs for the inner thread in the making / 内ネジ用治具製作中

These are the main parts of the jig that will enable to lathe the inner thread at the end of the long pipe, which I quoted in the last report.

前回実験に成功した方法を実践するための(本番の)治具を作っています。 長いパイプの末端に内ネジを切るための構成部品で、ロッドとこの2点の部品の合計3点の部品で構成させるわけですが、写真の右の部品は、単体でパイプ切断時の治具を兼ねています。(パイプの切断時は、桁違いの切削抵抗がありますので前回ご紹介した特殊な内ネジ切りの手法ではなく、切断側のパイプエンドを治具を介して強固にチャッキング(旋盤)して作業します。)

(因みに、左の部品(単純なフランジ形状)と右の部品は、どちらがより長い製作時間がかかったでしょう? オスネジ加工が施してある右の部品だと思われるでしょうが、逆で、左の部品の方が4倍以上の時間がかかっています。(削る量が多いから) 治具完成までもう一息ですが、今日はもう集中力を使い果たしたのと、これより地区の町内会長会に行かないといけないので、この先は明日の作業です。)

Innovative lathing method successful / 画期的な加工方法の実験成功(旋盤)

What do you do when you want to make the inner thread at the end of the longer pipe than the capacity of your lathe?  Contract it out to your Subcontractor?  Then what do you do with still longer pipe than the capacity of the Subcontrctor’s?

I have just found the innovative way of making inner thread from the opposite side. By using this method, there will be no limit of the pipe length any more for the capacity of your lathe. The above  are the photos of the preliminary experiments.  Assume it is the edge of the longer pipe. Tailstock should be removed in advance and swing rest will be set at the real processing.

旋盤のキャパを超えて長い鏡筒の切断端にオスネジを切るのは、切り落とし前にチャックサイドで先にネジを切ってしまえば何とかなることを以前にお示ししました

さて、末端内ネジの場合は、チャック付近に、つまりパイプの内側であり、回転しているチャックの内側にバイトをアクセスするのは、最高度のマジックでも出来そうもありません。(それが可能になったところでバイトが見えない。) しかし、今回、どうしても長い鏡筒の末端に内ネジを切りたいことがあり、頭を捻ってみたところ、奇想天外なアイデアが閃きました。

最終的な治具の材料は発注済みなのですが、実現性を早く検証したいので、有り合わせの材料で実験をしてみました。 結果は大成功でした。これはちょっとした旋盤加工の大革命だと思うのですが、いかがでしょう? ^^;

実際には、十分に長い(そして太い)シャフトを鏡筒内に貫通させてパイプの反対側のエンド(こちらも雌ネジ)に治具の傘部分をねじ込んでおきます(傘はそこだけでなく、ネジ加工部の近傍内径にももう一つ配置する。実験の写真では前者を省いている。)。当然ながら本番では(回転)振れ止めも併用します。今日は、取り敢えず逆向きからちゃんと内ネジが切れるかどうかの簡易な実験でした。 スピンドルは逆回転(かつ逆送り)でネジを切ります。したがって、メスネジ切りバイトは上下を裏返して固定しています。ネジ切りギヤは当然ながら、逆から切っても正ネジギヤのままで行えます。本来の戻しの回転でネジを切り、正転で戻すわけです。(本番では、テールストックは当然撤去しておきます。パイプ反対側にねじ込んだロッド付き治具は、加工抵抗でネジが閉まる方向であり、作業中に治具が緩む心配もなし。この方法だと、部屋に入るパイプならどんなに長くても内ネジを切ることが可能になります。)

GOTO (gotoh) 10cmF10-BINO in the planning / 五藤10cmF10-BINO 設計中

Not “Go-T0”, but “GOTO optics”!

This OTA is the limited version of 10cm/F-10 ED that is specialized for the planetary use.  It is so rare these days to find such a long OTA.

ここ数十年の単焦点志向の逆を突いた、五藤光学の10㎝F10EDの限定VERSIONです。長い鏡筒は加工上では悩ましいことが多いですが、依頼者の方の熱い思い入れにお応えしないといけません。

FS102-BINO ON CENTER MOUNT completed / 完成

FS102-BINO on the Center Mount is completed.

やっと完成しました。 6月11日に長野県より引き取りにお見えいただく予定ですので、今日より6月10日までにご見学いただけば、このBINOをご覧いただけます。この機会にぜひ(ご見学を)ご計画くださいませ。

final assembly of the Center Mount / 中軸架台組立(2台)

Two pairs of the Center Mount are completed at last.

やっと完成しました。

Now, the diameter of the bottom boss is shifting from 60mm to 45mm according to the change of the VIXEN products.  You can choose the size for the time being.  The clients are required to let me know of your desires ASAP.

今後は底部ボス径は、45mm(VIXENの新規格)に統一して行く予定です。 60mmφを希望される方はお早めにお知らせください。 当面はご希望にお応えするつもりです。