また、EMSのあらゆるネジをいじくり回り、にっちもさっちも行かなくなった方からのSOS、急患が入りました。何と、送り返されたEMSはすでにユニット単位にバラバラで4個、もちろんキャップなしで送られて来ました。
で、まずはどんな状態なのか? チェックした4個のユニットの中で一番光軸状態がマシだったのが、上の写真の状態。何とかスクリーンの端っこにビームが届いていました。
他のユニットは、大体こんな感じ。 しかし、SOSの皆さん、光軸治具も持たずに、全てのネジを動かしてしまう、底なしの自信はどこから来るのでしょうか? ただ、SOSのEMSが上の写真の状態なのは、今までも何回も見ており、全く驚きません。
これが、EMSを送って来られる直前にご相談いただいた時にメールに添付してこられた写真です。
像の回転調整に、1と2のネジを回しまくっていたそうで、何を根拠にそうされたのか?(当サイトにそんなことは全く書いていないし、正しい調整方法は、サポートコーナーに詳しく掲載しています。)
しかし、本当に驚かされたのは、物が届いてから・・・・
リミッターカムに対して、XYノブの原点矢印が180度反対を示していたので、「矢印シールを勝手に貼り直したな!」と、シールを剥がしてビックリ! XYノブがユーザーさんによって、完全に改造されていたのです。写真のようなプラスネジは私は使っていません。(それより最初に驚いたのは、当然、リミッター機構設置前の製品だろうと思っていたのが、リミッター付きだったこと。リミッターがあるのに、どうして迷子になったのか?あらゆるネジを全て緩めたのだから、仕方ないね。)
一番デリケートな部分で、調整の心臓部なので、絶対に緩んだり、分解できないように、出荷前の初期調整が終わった段階で要所を接着しているのですが、それすれ溶剤で剥がされたのか??
しかし、やみくもに、スプリングロッドのネジや、中央の押しネジであるセットビスまで無茶苦茶に回しておられるのには、大きなショックを受けました。
中央のセットビスは、ミラーの厚みに応じて、ミラー面が最適位置に来るように初期調整するもので、ミラーが経年で痩せたり太ったりしない限り、決して触ってはいけないネジです。
こうした問題児さんに限らず、XY機構のスプリングロッドの意味が分かっておられない方の方が多いのかも?と不安になりました。
EMSのミラーのチルト調整は、中央の視点ネジ(押しネジ)とその周囲の引きネジで行います。
調整ネジは固定ユニットのプラスネジを含めて、全て引きネジだとご理解ください。
支点に乗ったシーソーのイメージです。
シーソーは、A君一人では遊べず、友達B君が必要です。モーメント加重は重力の方向です。
で、A君一人だけで遊べるようにするにはどうするか? ですが、B君の所に上図のようなスプリング機構を床下からセットすれば良いのです。
A君、B君は、床下からの引きネジだと思ってください。
EMSのXY調整は、ミラー面を特定の2方向のシーソーに添ってチルトさせる目的ですが、通常の考えだと、それぞれに乗り手(引きネジ)が2人(2個)ずつ必要になります。 つまり、引きネジが4本必要になり、X調整、Y調整に、2個のネジを交互に緩めたり、締めたりしないといけません。
私は、その4本の引きネジの内、1本は共用できることに気付き、まずは3本の引きネジでXY調整が可能であることにいち早く気付きました。
次には、それぞれ1本だけの引きネジでXY調整が出来たら理想だと思い、3本の引きネジの内、1本を常時引き付けの力を付与する俯勢手段としてのスプリング機構で置き換えればよいことに気付いたわけです。
従って、あの訳の分からない?^^;スプリング機構は、調整ネジではなく、常にミラーを引き付けておく手段なので、このネジを緩めることはあり得ないわけです。