70ED-BINO on the TRAVERSE-MOUNT / 取り敢えず載せてみた!

 今回は、普及型のGOTO架台の、”TRAVERSE”に、物理的にセットできるかどうかの検証であり、快適に使えるかどうかの検証ではありません。まず、同架台の鏡筒キャッチは、ほとんどの同等他社製品と同じく、VIXEN規格のアリミゾ。
 アルカとVIXENの2-Wayの安価なアリガタをネット上で探しましたが、適当な物はなく、じゃあ、作るしかないな!と言う話。転がっていたアリガタに追加工しました。

 少なくとも、対物抜き、EMS+アイピース抜きなら運用も問題なさそう。
GoToが欲しくなるのは、比較的高倍率だから、このGoTo架台を使う時は、2本で2㎏近くになる重量級2インチアイピースは諦めていただき、出来るだけ軽い31.7アイピースを使うことにすれば、使いものになるかも?

EMS-Housings, the first process completed / 第一工程終了

 端面のM2ネジ下穴1.6mmΦ穴の配置(上面)は、初めて公開しますが、実は左右で異なります。
無理に変える必要はあまり無かったのですが、小目幅加工(滅多にない)の際、作業上、目幅干渉ラインからネジ位置が離れていた方が好都合だからです。(最悪なネジ位置は、トリミング個所の中央の薄い箇所ですね。)
 さらに、右用のハウジングの内、一定数は、背面(ボトム面)をXY調整用の特殊な穴配置にしないといけません。ご注文の全てがBINO用(しかも標準小型ハウジング)であれば、全数の1/4にこのXY用の加工を施せば良いのですが、その仕込み時期の、単体EMSの受注動向もにらみながら、都度、XY用ハウジングの割合を決定しているわけです。
 第一工程の1.6下穴、1個のハウジングで12個所ありますので、40個で合計480個所の穴加工です。
後に、同数のM2のタップ加工が待っています。最近は”名人”になったので、毎回ほぼタップの折損ゼロです。 以前に、町の加工屋さんが、「やらせて欲しい!」と言われたので、一度だけ依頼したことがありましたが、町工場さんも、一回でケツを割った難作業です。


Another lot of EMS Housings in the processing

 塗装済みのEMSハウジング(標準)の在庫が払底してしまったので、次の仕込みの開始です。
作業に無理のない個数として40個ですが、現在かかえているバックオーダーにも足りません。

More Aesthetic Solution for the Gimbal-Reform !

 私は、昨日までの自分(の考え)を否定、唾棄しながら今日に至りました。
 クライアントさん、あなたが寝ていたり、遊び回っている間も、私は必死で考えています。
私自身、今の自分の考えも究極だと思っていないし、クライアントさんの考えもよく否定しますが、私を恨んだり、陰口を拡散したりしないでくださいね。
 フォークを上と外側にそれぞれ平等に20mmずつ移動させました。これで、少なくとも今回の70ED-BINO用にはベストマッチかと思います。

Extension of the Gimbal-Fork / フォークの延長!

 標準状態でも70ED-F6くらいまでは、ぎりぎり天頂に向くかな?と思っていましたが、余裕を見て、フォークを20mmほど延長しました。

 やや計画が狂ったのは、左の2本のM4ボルトは抜き取れましたが、右の2本は、水平クランプシャフトが邪魔して抜き取れません。シャフトは簡単に分解できない構造のようで、右のネジ2本については、スペーサーに特別なトリックをして、元のボルトを使用することにしました。
 左の2本については、計画通り、パイプ形状のスペーサーに長いボルトを貫通させました。
(外見はどちらも同じですがね。)

Instruction of the Structure of the 70ED-BINO

 ご質問がないので、また虚しい”問わず語り”(尋ねられもしないのに、一方的に語る。)になるけど、ご説明しておきますね。
 まず、グリーンの線が、BINO本体と架台(ジンバル雲台)の境界線になります。
 左鏡筒(向かって右)と連動する部分全体を赤い線で囲みました。また、右鏡筒と連動する部分は青い線で囲んでいます。左右鏡筒共、目幅スライド用のアリガタは十分な長さを確保していて鏡筒のアリガタを把握するシュー部分が一体構造になっているため、最大目幅でもその長いアリガタの半分以上をベースの長いシューが把握するため、目幅調整時の光軸の安定性は全く問題ありません。よく、鏡筒がシューから脱線しそうにはみ出ている!と杞憂のご指摘をいただきましたが、それは写真の読みが浅いというもの。
 水色の線で囲んだ部分が、目幅スライド機構です。これは、機構単体をご紹介している過去の投稿を見ていただくと、よりご理解が深まるはずです。
 それから、もうお気付きと思いますが、ジンバルマウント側に、把握方向を直角に変更するための小さいシューが1個セットしてあります。これにより、BINO本体が前後には移動できなくなりますが、左右に移動できることで、ユーザーさんの目幅条件等で最適な横位置にBINO本体が固定できます。
 BINO本体の前後の重心移動は、もっぱら、左右の鏡筒の前後のセット位置で行います。


 

Tuning Up of the 70ED-BINO

 ほぼ完成したのですが、気になる部分の仕上げです。 要所の丸面取り加工の追加(水色の矢印)ですが、印象がかなり変わりませんか?

 これは前回の投稿の段階ですでにやっていましたが、初めてお見せします。
EMSの65φバレル用のバッフルリングが接眼ユニットにベストマッチで、わずかな追加工で摺動筒の底に落とし込んで挟み込むことにしました。鏡筒の内面塗装がまだですが、この遮光リングの迷光防止効果は絶大でした。

 クライアントさんは、フードは巻き付け式を採用するから、要らない!とのことでしたが、
やはり、巻き付けるにしても、ごく短い固定したフードは、デザイン上のアクセントの上でも、まさかの時に対物レンズを守る上でも必要と考えています。すでにフィルター枠をセットしたので、フードはそれに接続できます。

Extension tubes for EMS-UXL / 延長管の加工

 逐一UPすべきではない、裏方の事情を申しますと、80φX10(外径80,内径60)の素材パイプを発注したのですが、材料屋さんが在庫切れで、仕方なく90φX15(外径90,内径60)から加工。大量の旋盤屑と疲労が溜まりましたが、こういうことも珍しくありません。^^;(当面売れない物まで在庫しないといけない、”商売”の厳しさ、よく分かるので、材料屋さんを責められない。)

Proposal of the New Structure of the OTA / 斬新な鏡筒構造の提案!

 また反発を招くかも分かりませんが、従来の方式の問題点や限界があってこその開発モチベーションなわけで、新規な部分の原理や意義をご説明するためには、従来方式の否定や、誤った使用法に対するきつめの警鐘がセットになりますこと、なにとぞご理解ください。
 英語の”telescopic”という形容詞は、和訳すると”伸縮式”となるように、天体望遠鏡はあらゆる使用条件に対応するために、伸縮機構を取り入れざるを得ませんでした。対物レンズを除く構成エレメントの内、この伸縮機構が占めるコストや重量が半端ではなく、しかも、最高級品を除くと、摺動時の軸精度が不十分で、回転ガタに悩まされる物も珍しくありませんでした。
 小型鏡筒用の伸縮機構として、直進ヘリコイドが多く用いられていますが、直進ヘリコイドは伸縮時に機構が回転しないために、三層構造になっており、一定の内径を維持するためには、外径が太くなり、外径を制限すると内径が小さくなるというジレンマがありました。さらに縮退長を短くすると軸の維持、安定性が危うくなるという構造的な宿命もあります。そして、非常に高価。
 で、単純な摺動筒にするという代案もあり、一部メーカーさんの標準パーツにさえなっていますが、これも一定の摺動長を確保する必要があるのと、軸の安定性にも限界がありました。
 以上を克服して軽量な鏡筒を作ったとしても、従来の鏡筒バンド+アリガタで架台にセットする発想だと、結局はトータル重量は全く軽くない、という結果にもなりました。小型の鏡筒には、バンドを廃除して、最初から小さいブラケットをセットした物もありましたが、概ねブラケットの首が無駄に長く、底部のアリガタが極端に短く(これは恐らくフィールドスコープのそれを単純に真似たからだと思われる。)、重量級のアイピースを多用する天体望遠鏡には??の仕様でした。

 以上、長々と前提の話になりましたが、発想を転換することで、従来のジレンマが一掃できないか?と思ったわけです。
 まず、鏡筒バンドは論外であり、それを廃除するのが最初です。そして、架台にセットするのに、やはりアリガタは便利なので、そのアリガタに天体望遠鏡としての必要な機能をできるだけ負担してもらおう!というわけです。
 アルカパーツには、写真のように、表裏共アリガタ形状になっている、非常に軽量な両面アリガタプレートが用意されています。天面は、対物、接眼ユニットをそれぞれ正確に固定、スライドさせる基準レールに、ボトム面は架台側に、十分な長さの重心調整ストロークを持たせてセットできるわけです。
 摺動筒は、接眼ユニットに固定し、対物ユニットに嵌入する方式ですが、実際には摺動を精密に規定するのは下のアリガタであって、見かけの摺動筒はすり合わせをする必要はなく、内外筒はわずかの隙間を確保していて、実際には接触しません。遮光筒と言った方が良いかも知れません。
 取り外している対物ユニットを除く鏡筒縮退長=197mmです。(70ED-F6)
  この鏡筒の使い方ですが、鏡筒の伸縮はユーザーの使用環境に合わせて、使用前にあらかじめ理想位置で固定しておき、ピントの微調整は、アイピース付近の短ストロークのアイフォーカサーで行う前提です。

70EDの対物セルが420gなので、目標の<1.5kgを達成しました。