Askar 140-BINO; Fundamental design change-10 / 根本的な設計変更/ D を20mm短縮!

純正アリガタの幅のカットはしたのですが、超肉抜き構造だったため、当初の予定の段差加工が出来ませんでした。当鏡筒はそれでも、バックフォーカスが十分にあったため、見切り発車したものの、理想から外れた設定は気になって仕方がありません。
 そこで、ソリッドなアリガタを最初から作ることにしました。一見、簡単そうな加工に見えますが、丸一日半かかりました。因みに、肉抜きなしのソリッド構造にはなりましたが、無駄な長さをカットしたので、以前(500g)よりも軽く(450g)なりました。

片側で10mm、左右で20mmの間隔縮小です。

111mmから91mmへの短縮、たった20mmと思いますか?
これ、身長で言うと、2mの人と、164cmの人の違いです。
 昨今のパーツ類の超肉抜き、穴だらけ傾向、追加工する者にとっては非常に迷惑です。

Principle of the Focus-Compensator/ EMSのピント補償機構の原理

目幅調整のピント補償機構についてご説明します。
 第1ミラーユニットを、望遠鏡の主光軸上で自由に浮動するように配置し、第2ミラーと望遠鏡接眼部を一定固定長のロッドで繋ぐと、ヘリコイドの縮退(伸長)量と第1ミラーユニットの伸長(縮退)量がほぼ一致するという原理です。
 では、目幅を60mm→70mmまで変化させた時に、ヘリコイドの縮退量をどのくらいの近似でEMSの移動(第1ユニットの伸長)が補うのか、実際に作図してみました。
 目幅を60mmから70mmに広げるということは、片側で5mm広げるということ。ヘリコイドの縮退量はその√2倍なので、約7mm縮める必要があります。 その時に、第1ユニット(結果、EMS全体の移動と同じ)が何ミリ引き出されるか?という話です。
 実際に作図して測定してみると、ヘリコイドの縮退量の7mmに対して、EMSの引き出し量=7.01mmという、実用上完璧な近似度を満たしていることが分かりました。
(※リンクロッドの一端は第2ミラーユニットであり、他端は下の写真で一見第1ユニットに見えますが、そうではなく、望遠鏡のドローチューブ末端に固定する外筒なので、望遠鏡に固定していることになるのです。)

Nostalgic EMS-UXL with the Focus-Compensator

5-seconds’ repair was done on the 12-years’ old special EMS-UXL.
The cause of the play was the loose screw to connect the inner linear pipe “1” and the joint ring “2”.
 12年ご使用いただいたピント補償機構にガタが生じたということで、12年ぶりの特別仕様のEMS-UXLと再会しました。12年のご使用で、摺動部にガタが生じたのかな?とチェックしましたところ、摺動内筒-1 と第一ハウジングに固定されているリング-2 の連結部のネジ(赤い矢印3カ所)が緩んだことによるガタで、摺動部自体には全く消耗もガタもありませんでした。5秒で修理?完了!
 我ながら、よく作ってたな、と自賛した次第。^^;

12年ご使用いただいたにも関わらず、内部も外部もご覧の通り、新品同様。適切なご管理に感謝!

Askar 140-BINO; Green Laser Sight installed

 ライフルスコープを知る人なら説明不要ですが、念のために。X-Y調整ネジは、保護キャップ(黒)を外した所にあります。(キャップを捻じって調整したつもりの人がいたもので・・^^;)
 望遠鏡タイプのファインダーも同じですが、今だに雨どい受けのような、前後2つの支持脚に3方ネジ(合計6本)で調整する前近代方式が健在のようですが、メーカーさんの不勉強と美意識の欠如は救いようがないね。
 今回は、開梱してみたらレリーズスイッチ(必須と考えます。)が付属しておらず、追加で注文しました。

Askar 140-BINO; The solution of the retractive Handle-8/ 伸縮ハンドルのアイデア

 Askar120-BINOで成功を納めた操作ハンドルですが、Askar-140では、ハンドルをセットしたまま専用ケースに収納できないことが分かりました。
 収納時に縮退できるハンドルを考えないといけません。
(Askar120の場合は、鏡筒延長筒(10cm)が着脱できる構造になっており、延長筒を撤去したことで、開きスペースにハンドルもEMSも収納できました。Askar140は、延長管ではなく、収納管でしたので、収納ケースに余分なスペースは確保できませんでした。)

Askar 140-BINO near completion-7/ 完成間近!

 今回は、ロスマンディ・アリガタ規格のため、VIXEN規格のようにアリミゾ爪だけを中軸架台にセットして間隔を節約する芸当は使えません。一方で、ロスマンディ規格は爪が浅く(全厚も薄い)、市販のアリミゾユニットがそのまま使用できるメリットは絶大です。トータル厚=111mm(鏡筒が150Φなので、中心間隔D=261mm)は、最大限努力した結果です。
 VIXENアリガタ仕様の通用の中軸架台は、把握センター自体を垂直回転軸から10mm下げていますが、今回の鏡筒(及びアリガタ)事情から、把握センターは全くシフトさせず、代わりに、バンドのアリガタへの固定位置を6mm下にずらしました。90度対空型の双眼望遠鏡では、こうした重心位置の配慮が極めて重要です。今回は重心のシフト量を6mmに抑えた理由は、天頂時のパーツの干渉回避もありますが、鏡筒質量が大きいため、より小さいシフト量で、90度対空システムにセットするアイピースやアクセサリーのモーメント・キャンセルが可能と判断したためです。

 中軸架台の成功の理由の一つに、垂直回転軸の水平回転軸に対する重心シフトを最小限(70mm程度)にしていることがあります。単体鏡筒の発想ですと、天頂に向かないシフト量ですが、BINOなるが故の好都合があり、左右鏡筒の谷間に水平回転部がすっぽりと納まるわけです。(天頂時)

鏡筒をセットしてみました。

 475B三脚の純正の状態は、開き止めステーのクリック穴が2個で、上の穴は閉じ過ぎで、下の穴は開き過ぎ、今まで(MK105-BINO等)は、敢えてクリック穴を避けて、穴の中間点くらいで固定していましたが、今回のBINOでは、スリップして開脚してしまう傾向が見えたため、急遽、中間点に新たなクリック穴を施しました。
 薄いアルミパイプなので、手持ちの携帯ドリルで楽に開きます。ただ、最初は2mm位のドリルで開けてから、6.5Φドリルに代えて仕上げ、さらにバリ取りツールで仕上げます。軽い搭載物には不要ですが、出来たらこの追加穴は開けておいた方が無難のようですね。

Askar 120-BINO follow-up report by Ichiro-san! / 続報 Askar 120-BINO by Ichiro-san!

Askar 120-BINOの続報をいただきました。
まずは、ご自身のブログ(Askar 120-BINOで満天の宇宙遊泳!)をお読みください。

 まず、BINOの外装が前回とは大きく異なっていることにご注目ください。最新の衛星機器のように、鏡筒全体が熱放射を防ぐアルミシートで覆われています。その効果を立証している方もおられ、マニアの一部には浸透し始めている、結露防止の手段なのですが、未だ、望遠鏡メーカーさんが取り入れる兆しは見えていません。 より良く見るためには何でも貪欲に試してみる、Ichiroさんの姿勢がよく表れています。この方法は、すでに20cm-BINOで試されていて、ブログに公開しておられる(望遠鏡の筒内気流と夜露を一掃する神情報!)ので、ぜひご一読されることをお勧めします。
 以前にも説明しておられますが、このBINOは、鏡筒単体管理方式であり、市販の大型双眼鏡のような、”BINO本体”という概念がありません。左右の鏡筒は独立的にVIXEN規格のアリガタで任意の架台に着脱できるようになっており、メーカー純正の収納ケースにEMSごと収納、運用できるようになっています。
 当面は、中軸架台(PushToでヘリコイド目幅調整)とTTS160架台(Goto & PushTo)(スライド目幅調整)でのTwo-Wayの運用ですが、どうやら、TTSでの架台部の運用に苦労しておられるご様子なので、中軸架台用の外付けのスライドブラケットをご提案してみようと思っています。(HF経緯台を改造するよりも効果的と考えるので。)
 Ichiro-さん、今回も数々の感動をシェアしてくださってありがとうございました。