
これは論外に近い問題で、ほぼご説明の必要はないでしょう。望遠鏡にアイピースをセットするのと同じで、角度位置はあなたが自由にセットすれば良く、なんでわざわざ斜めに?という話です。
しかし、当初はこのレベルで悩む方もいるのですよ。双眼だからやりにくいのではなく、双眼だから簡単なんです。この初期セッティングのために治具まで必要になることはあり得ません。むしろ単体鏡筒で厳密に垂直を出すには、デジタル傾斜計や提げ振りが必要になります。

これは前例よりは、やや上級者?の悩みですかね。^^
これでドツボにはまる方は、EMS-BINOを最初から誤解している方です。
確かに、最初から左上の状態になれば、実にハッピーであり、何のご不満もないと思うけど、よく考えてみてください。単体で使用する前提の鏡筒に、単体で使用する前提のアイピースを使用する前提のBINOが、EMS-BINOです。もとより、鏡筒パイプ軸と光軸が完璧に一致している保証などないし、そうしたミクロの誤差以前に、あなたの眼の視軸が完璧なのか?ということもあります。前者のマテリアルの精度は、角度にして、秒か分の単位の議論ですが、あなたの眼の視軸は、数度の単位で軽く浮動します。斜位の傾向があればさらに顕著です。
鏡筒をいくらか上下に振って初期調整をすれば、上図右のように、微妙にスリーブ天面に段差(図は強調したもので、斜位がなければこんなにずれることはありません。)が生じるのは当たり前です。
そのような現象が出た時にどう対処するか?の話です。
100点満点の精度の素材を何個組み合わせても100点だ!という硬直した考えではいけません。
微妙な左右の段差は、EMS全体を同方向にほんの少し回転させれば消去できます。
一般的に申し上げて、光学のプロフェッショナルを自認する方ほど、素材の剛体精度で全てが解決するという誤った確信を持っているようです。その路線で進化して来た市販の変倍式の大型双眼鏡、100年経っても、100倍辺りで光軸が曖昧になりますよね。
EMS-BINOは剛ではなく、柔の発想でその光軸の問題を解決するものです。
XYミラーチルト機構も、一種のスプリングを利用した浮動機構で、ガチガチにミラーを固定したものではありません。 アイピースの交換や、鏡筒の個性、重量によるタワミ、観察者の視軸の個性、諸々に速やかに円満に対応できるためには、”柔”の発想が必須だったという基本、早い段階で分かって欲しいな!と思うわけです。
上図の右上の状態になって、スライド台座メーカーや私にクレームを入れるのは、筋違い、というわけです。あなたの鏡筒のチョイスと、あなた固有の視軸の癖の結果なんですから。