The difference between the Focus and the Image Point / 焦点と結像点の違い!

 満を持して投稿していた最近の光学講座が、相変わらず受け入れられなかった理由が、個別のご質問等から、ようやく分かって来ました。
 多くの(恐らくほとんどの)天文マニアの方が、超基礎の用語である、焦点、焦点距離、物点距離、像点距離等の言葉だけに慣れてしまい、長年の間に、その誤った解釈がバイアスとして根付いてしまっている、ということです。
 「焦点距離の意味すら理解していない!」と言うと、お怒りになるマニアの方もいると思いますが、それを仮定すれば、今まで、どんなに工夫してもご理解いただけなかった、あるいは面と向かって取り組んでくださらなかった理由の説明が付くのです。

 で、今日は、全く次元が異なる概念である、結像点(及び物点)と ”レンズの焦点” との違いを可視化してみようと思ったわけです。

 レンズの焦点 (F’ , F) というのは、レンズ中心 O と並んで、そのレンズ固有の動かない固定点であり、外部光線の影響で移動することはありませんし、レンズ自体を動かしても、レンズと一緒に移動するだけです。他のレンズと複合光学系を構成して、合成焦点を作ったとしても、元のレンズの焦点位置は、そのレンズのスペックとして、変化することはありません。

 物点を1→2→3→-∞ に移動させて行った時の像点が、最初は物点と同じ方向に移動していたのが、1’→2’→3’ を超えて行くにつれて急激に減速し、やがてそれ以上は左に移動しなくなる、極限の点(1’→2’→3’→ F ) を像側焦点と定義し、そのレンズのキャパを示す数値(焦点距離)とするわけです。
 レンズの度数と焦点距離は、その中心と共に、そのレンズのキャパを示すレンズ独自の指標であり、外部の物点を像点に移植する という、レンズの仕事結果とは全く次元が異なります。
  図は、このレンズが、物点1~3像点1’~3’に移植する仕事を表していて、近軸光学の主な目的も、各物点がどこに再結像するか?ということであり、F’,O,F の3点は、外部の 物点 を 像点 に移植するためのツールだとも言えます。