Proposal of the New Structure of the OTA / 斬新な鏡筒構造の提案!

 また反発を招くかも分かりませんが、従来の方式の問題点や限界があってこその開発モチベーションなわけで、新規な部分の原理や意義をご説明するためには、従来方式の否定や、誤った使用法に対するきつめの警鐘がセットになりますこと、なにとぞご理解ください。
 英語の”telescopic”という形容詞は、和訳すると”伸縮式”となるように、天体望遠鏡はあらゆる使用条件に対応するために、伸縮機構を取り入れざるを得ませんでした。対物レンズを除く構成エレメントの内、この伸縮機構が占めるコストや重量が半端ではなく、しかも、最高級品を除くと、摺動時の軸精度が不十分で、回転ガタに悩まされる物も珍しくありませんでした。
 小型鏡筒用の伸縮機構として、直進ヘリコイドが多く用いられていますが、直進ヘリコイドは伸縮時に機構が回転しないために、三層構造になっており、一定の内径を維持するためには、外径が太くなり、外径を制限すると内径が小さくなるというジレンマがありました。さらに縮退長を短くすると軸の維持、安定性が危うくなるという構造的な宿命もあります。そして、非常に高価。
 で、単純な摺動筒にするという代案もあり、一部メーカーさんの標準パーツにさえなっていますが、これも一定の摺動長を確保する必要があるのと、軸の安定性にも限界がありました。
 以上を克服して軽量な鏡筒を作ったとしても、従来の鏡筒バンド+アリガタで架台にセットする発想だと、結局はトータル重量は全く軽くない、という結果にもなりました。小型の鏡筒には、バンドを廃除して、最初から小さいブラケットをセットした物もありましたが、概ねブラケットの首が無駄に長く、底部のアリガタが極端に短く(これは恐らくフィールドスコープのそれを単純に真似たからだと思われる。)、重量級のアイピースを多用する天体望遠鏡には??の仕様でした。

 以上、長々と前提の話になりましたが、発想を転換することで、従来のジレンマが一掃できないか?と思ったわけです。
 まず、鏡筒バンドは論外であり、それを廃除するのが最初です。そして、架台にセットするのに、やはりアリガタは便利なので、そのアリガタに天体望遠鏡としての必要な機能をできるだけ負担してもらおう!というわけです。
 アルカパーツには、写真のように、表裏共アリガタ形状になっている、非常に軽量な両面アリガタプレートが用意されています。天面は、対物、接眼ユニットをそれぞれ正確に固定、スライドさせる基準レールに、ボトム面は架台側に、十分な長さの重心調整ストロークを持たせてセットできるわけです。
 摺動筒は、接眼ユニットに固定し、対物ユニットに嵌入する方式ですが、実際には摺動を精密に規定するのは下のアリガタであって、見かけの摺動筒はすり合わせをする必要はなく、内外筒はわずかの隙間を確保していて、実際には接触しません。遮光筒と言った方が良いかも知れません。
 取り外している対物ユニットを除く鏡筒縮退長=197mmです。(70ED-F6)
  この鏡筒の使い方ですが、鏡筒の伸縮はユーザーの使用環境に合わせて、使用前にあらかじめ理想位置で固定しておき、ピントの微調整は、アイピース付近の短ストロークのアイフォーカサーで行う前提です。

70EDの対物セルが420gなので、目標の<1.5kgを達成しました。