
F3 クラスの短焦点凸レンズ(1群)の像面湾曲の様子を見てみよう。これが、光軸上の焦点。左のごちゃごちゃした平面鏡のセットは、斜入射の光線を作るために、私が道具立てしたもの。何と、このソフト、入射光線の角度を指定することが出来なかった!
(5/29追記) ビームの角度はソフト上で自由に設定できることが分かりました。
ただし、光源側の射出面が画面上では動かせない(数値入力すれば可)ようで、やはり、追加でセットした2枚組平面鏡は光束の高さを自由に変えられるので、便利です。

3度傾斜した入射光線に対する焦点。Meridional 面だけの考察になりますが、大雑把にこんな感じ。

凸レンズと同じ度数の凹レンズを図の位置に突っ込んでみたところ。他のレンズ設計ソフトで確認したが、焦点に近いため、このような単レンズでも、近軸性能への悪影響はほとんど無かった。
この着眼の根拠は、ペッツバール和 (Petzval sum);
D1,D2,D3,・・・で構成されたレンズ系で、D1/N1+D2/N2+D3/N3+・・・=0なら像面はフラットになる、という極めてシンプルな定理! 実際は、そう一筋縄では行かないことは知っていたが、まずは手を動かしてみよう!

実際には、サジッタル面 (sagittal plane) も考慮する必要があり、返って非点収差が増して、スポットダイアグラムで比べると改悪になるケースもあるので、これだけで諸手を挙げて喜べないけど、このようなフラットナーでも効果がありそうなことが分かった。実は当方、本業がメガネ屋で、メガネ用のガラス凹レンズの死蔵品が山ほどあるのだ。いずれ実験してみたい。(昔はメガネレンズはガラスレンズだけだったが、50年ほど前からプラスチックレンズが急速に普及した。)
フラットナーの凹レンズの湾曲の向きは、近軸では影響が最小に、周辺では凹レンズの収差を最大限に活かそうとすると、こうなる。逆だと効果なし。

現在市販されているフラットナーは複数枚構成になっているものが多いですが、最もシンプルな物は、上のような厚肉メニスカスレンズ。前面と後面がほぼ同じカーブで、度数もほぼ0,だから、球面収差、色収差への影響も心配ない。ただ、かなり分厚くなる。
EMSで使用するなら、レンズを長いハウジングから取り出し、48mmフィルター枠(それも特別な厚肉仕様)にセットしないといけない。