APM140APO-BINO / 自作

Dear Tatsuro,
Attached are pictures of a newly made 140F7 binoscopes. You have permission to post on your site.
It’s a 140F7 FPL 53 doublets with CNC tubes and EMS-ULS, total weight 19kg.
Regards
Range, China
Dear Range,
Congratulations on finishing a fine BINO, APM140-BINO!
Let me extend my biggest applaud to your feat!
Regards,
Tatsuro
Comments by Matsumoto;
This report is posted by Range, but this Binoscope was made by his friend.
 毎度ながら、見事な作品です。言語の壁を越えて、当サイトをよく学習してくださっていることが分かります。
(逆に、国内の方の一層の活躍を激励したいと思います。「言葉の壁はないのに・・」と、いつも苦言を秘めています。(言ってしまいました。^^;)
 そして、すぐに天狗になる方が目立ちます。安易に起業しても、失敗は目に見えていて、BINOの普及に貢献するどころか、混乱と妨害にしかなりません。 世界のレベルに目を向けてください。)

130EDT-BINO First Light / ファーストライトの感動

 こんにちは、吉田です。昨日初めてこちらで BLANCA130EDT-BINO を地上用として使いましたので早速ご報告いたします。
 まずは明るい時間帯にきれいな風景の広がる河川敷に行きました。
● いきなり暗い夜空で初トライされるのではなく、最初に明るい昼間の地上風景にトライされたのは大正解です。
 
 現地に着くと、慣れない手つきながら、無事組み立てることができました。
 早速アーチの形をした鉄橋に向けてピントを合わせます。アイピースはハイペリオン31mm。BLANCA130EDT はF7なので倍率29.35倍。鉄橋にピントを合わせると、アイピースの左右の位置が若干ずれています。あれっ、と思ったら、鏡筒の右が左の鏡筒より少し後ろにずれていました^^;慎重に同じ位置に合わせ直します。もう一度ピントをしっかり合わせ、ここでEMSの垂直、水平方向の調整。平行法を駆使して合わせます。最初だけ、あれっ、よく合わないな、とちょっとだけうまくいきませんでしたが、すぐにうまくできるようになりました。
 そのピントの合った時の感動と言ったら。なんといっても立体感が凄い!( ゚Д゚) この日双眼鏡を持ってくるのを忘れてしまったのが残念でなりません。Σ(゚д゚lll)ガーン ただ、双眼鏡よりも遙かに立体感がありました。なんというか、目の前に迫ってくる感じです。(後日その場所を8倍の双眼鏡でもう一度見てみましたが、やはりBINOの圧勝です。)
 立体感のレベルは 「(BINO のD(中心間隔)/ 観察者の眼幅)× 倍率 」と松本さんの過去のメールにあったのを思い出しました。
● 地上物の立体感、空気感が何とも言えませんでしょう?^^
 以前のメールで松本さんが 、「BINO は星を正立でしかも双眼で見るために作った ものであるのだが、本当の醍醐味は天体よりも、至近距離の地上風景です。←意 外でしょう??^^あのくどいまでの立体感、臨場感は、地上の至近距離ならで はです。また、山の稜線からの月の出、低い黒い雲間をよぎる月等、身震いしますよ。地上の息吹と天体を同時に感じられるのが EMS-BINOの特権です ね。」と語ってあったのを思い出しました。(メールの記録を探し出したらありま した。去年の7月14日のメールです)
● 地上風景観察の楽しさについてのコメント、覚えていてくださって光栄です。^^;
 本当、天体を見るだけではもったいない、EMS-BINO は地上を見るには 最高の望遠鏡ですね。さて、次にもっと近くにある木を見てみます。何の木かは わかりませんが、枝が密集した木が何本か、たぶん20mくらい先に生えています。落葉樹のようで葉は一切ありません。面白いことが起きました。木の後ろ の方の枝と前の方の枝ではピントが同時に合いません。先ず木の後ろの方を見て みました。おおっ、木の枝などいつも見慣れているものがこんなにも美しく見えるのか。次に木の前の方にピントを合わせます。これも複雑に蜘蛛の巣が絡み 合ったような、何とも言えない不思議な世界です。おおー、と声をあげながらし ばし見入ってしまいました。
 

 

 とここで気づいたのですが、これは双眼鏡でも同じ ですね。双眼鏡はとっても遠い距離はピントをいったん合わせると、ある程度近い方、遠い方同時に見ることができますが、かなりの至近距離になると細かくピ ント調整が必要です。つまり、極めて近い距離はちょっとでも離れるとピント調整をしないとピントが合わない。これは EMS-BINO でも同じことだなと。
● EMS-BINOを初めて地上物に向けた時の感動を、本当に素直に表現してくださいました。 BINOを納品して、 製作者が本当に待っているユーザーさんの反応は、実はそうした単純な感動なのです。 まずは双眼視できる感動、 像が正立であることの感動、それこそがEMS-BINOの本領なのですから。
 さて、北の方に洋館風のマンションがありましたのでそちらを見てみます。な んちゃって洋館風、です^^これも面白い風景でしたが、もしかして警察が近くに来てますと覗きで捕まるかもしれません((*_*;)さすがにちょっとの時間で やめました^^; 今度は東の方向、ゆめタウン久留米店という大型ショッピン グセンターがありますのでここを見てみます。下の方は鉄橋が邪魔して見えませ ん。なので屋上の方を見てみます。屋上には『 屋上P入口 』と電光の 看板があります。点滅などしていない看板です。そこにピントを合わせてみます。
 ”P”を中心にして平行法で合わせます。平行法を駆使すればピントが合う までの時間は一瞬です。ホントあっという間。縦方向にはちょっとでもずれているとすぐにわかります。
● この辺の意味が一般にはほとんど理解されていない、EMS-BINOユーザーさんでもマスターできていない方が多いことが残念です。 特に専門家と目されるような方で理解していないことが多いように感じています。光学機器の専門家(製造者、販売者共)になるほど、 光学器械のハード的な精度、剛性だけに注意が向き、より重要なソフトの要素に全く目が向いていません。EMS-BINOビギナーである吉田さんが 発せられたこの言葉の意義は極めて重要です。
 ただ、横方向は人間の眼の輻輳の関係でちょっとずれた だけではわからない。そこで覗いたまま光軸を合わせることはできないものか、 と疑問に思いました。そこでアイピースから目を離さず、覗いたままで水平方向 にノブを少し多めに回すと横方向に像がダブって見えます。まだ覗いたままここ で合っている、と思う位置までノブを回しました。次に目を離して平行法を駆使 して光軸を合わせようとしましたが、もう全く回さないで光軸は合っていまし た。
どういうわけか、水平方向のずれも結構敏感になった、といえばおかしいのですが、わかるようになった?のかもしれません。ただ、ここで天狗にならずに 基本に立ち返って平行法を使った方がいいでしょう。次に縦方向、水平方向、少 しばかりわざと光軸をずらしてそのまましばし風景を眺めていました。どちらも なんだか頭が混乱する、というか気持ち悪くなり、ずっと覗き続けていられませ んでした。もっとも、水平方向にずれた方が気持ち悪さはありませんでした。 やはり縦方向にずれている像はホント気持ち悪い。
● はい、PCのモニターを数時間見ていてもさほど疲れませんが、その時、私たちの視線は片方で5度くらい、 両方で10度くらい輻輳していますが、その意識は当人には全くありません。未熟なユーザーさんだと、そのくらい光軸が内寄り になっても不思議はないのです。(最近はX-Yノブにリミッターを装備しているので、実際にはそれは起こらなくなりましたが。)
まとめますと、右のEMSに光軸調整機構があるという前提ですと、視線平行に対して右の像は右にはそのまま動きますが、 左については、輻輳が伴うと、全く動かないか、動いてもわずかしか動かないのです。輻輳という、生活に必須な能力が、 正しい調整の邪魔をするわけで、その眼の反射(本能)を制御するコツさえ覚えれば、私たち自身の眼が測定(調整)原器となるのです。
当初は苦手な方でも、訓練次第で誰でも身に付けられる技術です。唯一いつまでも出来ない方は、自分が出来ないことを認めない方だけです。
  また、X,Yノブは恐る恐る動かすよりはちょっと大きめに動かした方がか えって合わせやすい、とのことも実感できました。
● 良い学習をされましたね。 天体望遠鏡を門外漢の方に覗かせると、器械を壊すのが怖いのか、合焦ノブを超スローで回すので、 ピントの山が全く掴めないのと似ていますね。光軸調整も同じで、むしろ大胆に素早く、大きく動かすのが輻輳を排除するコツです。視軸ロックのコツさえつかめていれば、オーバーとアンダーが明瞭に分かるので、調整は瞬時に終わります。その意味では、「EMS-BINOのXY調整は、高倍率になるほど楽だ」、ということも言えます。この点、EMS-BINO未経験の方は、憶測から全く逆の情報(「倍率が高くなると光軸調整が大変だろう・・・」)を流布させています。(市販の光軸固定の大型双眼鏡の価値観だとそれが常識ですがね。)
 ここで至近距離だとXノブを大きく動かす、チルトさせることになりますが (ええっと、どっち方向だったかな?時計回りか反時計回りに回したか、忘れま した)あまり回しすぎずに近くを見る場合はストレスと感じない程度に輻輳させ て見た方がよい、と松本様はおっしゃっていたと思いますが間違いなかったで しょうか?
● はい、至近距離になるほど、Xノブを反時計回りに回すことになります。 それは、内(左)に寄り過ぎた右鏡筒の像を右に戻す操作です。 しかし、私たちの日常生活がそうであるように、BINO で至近距離を見る時は、必ずしも平行視線にこだわる必要はなく、 適当に輻輳して見れば良いのです。 当然、その時、視野円は目標の近さに応じて雪ダルマ状にだぶるのが正常です。
 あと、PST-BINO がこの光軸調整に関して大きくプラスになったように 感じられました。PST-BINO はいつも太陽を見る前に両方とも左眼で(私 は左眼が利き眼)片方ずつ太陽が同じ位置にあるのかチェックする癖がついてい るのですが、これをずっとやっていると以前はあまりわからなかった水平方向の ずれも敏感になりました。(つまり、左の鏡筒は真ん中に太陽があるとする、そ のとき右の鏡筒は太陽がやや右か左に偏っているとする、この場合、そのずれも 気づくようになりました。その場合は最初から両方いっぺんに覗いてみてなんだ か違和感を感じるようになった、以前はほとんど気づかなかったのに)それの延長線上として BINO を覗いた方の水平方向のずれもなんだか違和感を感じるようになった?のかもしれません。素人の浅はかな考えかもわかりませんが。
● そうですね。これまで使用して来られたPST-BINOのご経験も確実に役立っていると思います。
 ここまでやってきて光軸調整は少しも難しいものではなく平行法を使えれば一 瞬にしてできるものだと心底納得できました。人間の眼が測定原器となると松本 さんのHPにありましたが本当に凄い!ことです。
● よくぞ言ってくださいました。 そこなんです、お伝えしたいことは。
 それはいったいどういった感覚 か、と例えるならば、1000ピースの大きなジグソーパズルがあるとしましょ う。そのパズルは右上、左上、右下、左下の四つに均等に四分割されています。 その間のピースは縦1列、横1列、まだはまっていないものとする。そのきれい に四分割されたジグソーパズルの水平方向のピース、垂直方向のピースが一瞬に して埋まるような感覚、とでも言えましょうか。まぁ、抜けたピースはなくてそ のまま上下、左右方向四つが組み合わさる、といってもいいかも知れません。も しそれができたら大変面白いことです。今回それと似たようなものを感じました。あまりの簡単さにアッハッハッ、と笑いが止まりませんでした。
● ジグソーパズルですか、面白い例えですね。
 不思議に思いましたのは、双望会などで約半分のBINOは光軸が狂ったまま になっていた、とかいう記事を松本さんのHPで見たことです。(まだ初期の双望 会だったと思いますが半分くらいは狂っている、だったかな、確かそのような記 事があったような気がします。実際にやってみると水平方向に少しずれていても 私は違和感を感じたので本当かいな、と思わず疑ってしまいました。なんだか比喩が入っているような?)つまり、BINOのオーナーの方でも調整技量があまりない方だと、水平方向にかなりずれていても違和感を感じない、ということだと思いますが間違いないでしょうか。
● 間違いありません。 BINO の光軸調整は、先天的なセンスのようなものが確かにあります。 BINOユーザーになった 最初から平行法が出来る方が一定の割合(印象的には10人中5人くらいか?)あり、同様に苦手の方もあります。 当初は苦手であったも、その意義を素直に認める方はいずれ出来るようになります。 一番厄介なのは、光学知識に 自信がある専門家や、アマチュアの指導的な立場にある方で平行法ができない場合です。意識がハードばかりに向いているため、 自分自身の眼のソフトの面の重要さを認めようとせず、機材の未熟さや欠点のせいにしようとします。そうした方は何十年経っても調整 に関しては初心者のままです。
 さて、いろいろ地上風景を見るうちに日も暮れてきました。そろそろ上に鏡筒を向けてみましょうか。午後7時ごろでしたが、木星が南の方向にまばゆく輝いていました。(この日、傾斜センサーは使いませんでした。ちょっと時間がないので、もうちょっと時間がある次の機会で)さて、ドットファインダーのお出ま しです。習った通り右の鏡筒に取り付けます。(私は左が利目だったので右に取 り付けるように、とのことだったので)電源を入れると赤の点が中央に見えました。そこを木星に合わせて覗いてみると。おおっ、ど真ん中に木星が来ているで はないですか。なんと簡単なのか、と笑いながら感動しました。これいいです ねぇ、病みつきになります(笑)
● ドットファインダーも両眼解放で(平行法)使用するのが正解で、それをマスターしておられることが 分かるコメントです。古参マニアでも片目で覗く方が意外に多く、困ったものです。 両眼解放で見るコツを覚えれば、 覗き窓の大きさの制約など全く関係なくなります。 空の視野全体の一点に視差なく赤いドットが投影(虚像)されるのですから、 導入は瞬時に可能になり、本当に感動します。 また、ドットファインダーが両眼解放で覗けるようになれば、BINO の平行調整も免許皆伝とも言えるのです。
 ピントを合わせていきます。最も点が小さく なったところでフォーカサーのノブを止める。しかしそれにしてもクレイフォー ドというのはすごく使い勝手がいいですね。鳥取訪問時に詳しくご説明頂きあり がとうございます。こうやって詳しく仕組みを知ることができると、まぁ、知ら なくても使えるのでしょうが、やはり感動もひとしおです。木星は30倍なので そんなに大きくは見えませんでしたが、それでもこんなに明るく見えるのか!と 大いに感動しました。本当に望遠鏡とはわくわくさせてくれる道具ですね。双眼 ですからその感動も倍以上!になります。
● 双眼だと、倍率は3割くらい大きく見えます。
 中軸式架台のスムーズさにもびっくり!です。思った以上にスムーズに動き、 とても使いやすいです。松本さんがいままでとてつもない苦労をして私たちの目に 見える形に具現化された究極の形である、といえるのでしょう。(製作の合理性 や鏡筒の運搬の負担の軽減、光軸の整合度、スムーズさなどありとあらゆるもの を含めて)
● ありがとうございます。 重心が垂直回転軸と極力合致するように配慮しました。 いくら軸がなめらかでしっかりしていても、仰角によって重心が移動すると、非常に使い勝手が 悪いですから。
 ハイペリオンアイピースの覗きやすさにも驚きました。アイレリーフが長くて 本当に覗きやすい!価格もそんなに高くないのでもっとこんなアイピースを他のメーカーさんも出してほしいですね。とにかくハイペリオンさまさまでした。
● ハイペリオンをご予約、確保させていただいた後で、MASUYAMA32が出てしまいました。 それぞれ個性があるアイピースなので、いずれ両方共試してみられてはいかがでしょう。
光害地なので明るい星しか見えませんが、それでも望遠鏡で見ると見えない星 がいくつも見えます。本当に暗いところで見たら、いったいどのくらい星が見え るのだろう。ワクワクしますね。ここで、その望遠鏡でしか見えない星で平行法 をやってみました。地上風景でできたのだからできないはずはないと思いまし た。やってみると本当に簡単で水平方向、垂直方向、いずれもEMSのX,Yノ ブで簡単に合わせることができました。むしろ、地上風景より簡単に感じたくら いでした。
● 吉田さんが平行法を確実にマスターされたことが分かって、大変嬉しいです。
 忘れ物がないように慎重に、BINO を撤収しました。BINOの周りを忘れ ものがないか何度も何度も確かめました。よしっ、忘れ物はない、帰ろうっと。
帰りの車の中でグレゴリオ聖歌とある映画のサントラのオペラのアリアを聞きま したが、これまでにないほど美しく聴こえたのは言うまでもありません。きっ と、BINO の感動の体験が心に深く刻まれたのでしょう。
● 久しぶりに素直な感動をストレートに表現されたリポートをいただいたような気がします。
 まだ興奮冷めやらぬ状態です。まだ正式なレポートをお送りするのは文章も含 めてきちっとしたものを出したいのでもうちょっとかかると思います。お待ちください。
● 編集していない最初の感動のメールも、それはそれで意義があると、私は思います。 でも無理強いはしませんので、当サイトに掲載の件、ご検討くださいませ。
  今年も残りあとわずかとなりました。松本さんもやんごとなき立場、で本当に大 変だと思いますが、くれぐれもお体にはお気を付けください。『メガネのマツモト』さんのより一層のご活躍をお祈りします。(2016年12月31日)
                                        福岡県  吉田直樹

 

● ありがとうございます。これからも頑張り続けるエネルギーを充填していただいた気がいたします。 続報を楽しみにしております。 この度は素晴らしいファーストライト-リポートをありがとうございました。

 

★ 後記 by 松本;
 吉田さんは、福岡県出身で、33歳、自称望遠鏡初心者ということですが、むしろ新鮮な感性を持っておられ、 当方の説明を常に海綿のように吸収されます。吉田さんには、BINOのご検討中の2015年の夏と、130EDT-BINOが完成後の2016年12月後半に(合計2回)ご訪問いただきましたが、完成BINOと初対面いただいた12月には、当方との交換メールを分厚いファイルにして持参され、大変感銘を受けました。
 ここで、自称エキスパートの方々には、このリポートで再発見というか、 再確認していただけるものがあるのでは?と思う次第です。 今一度原点を振り返っていただくのも、またEMS-BINOの 醍醐味を再発見していただく良いきっかけになるのではないでしょうか。
(ご説明は重要ですが、未消化のまま情報だけを多く取り入れられても弊害の方が多くなります。懇切にご説明するほど、逆に「EMS-BINOは面倒くさいものなのか?」と誤解されることを恐れています。実際、業界の方の中にも、「私は星が見たいのであって、光軸調整がしたいのではない!」と当方のBINOに対して誤解に基づいた辛辣な中傷をしている方がいるのを知っています。実際には、EMS-BINOのX-Y調整ノブは、上下と左右の調整が完全に独立しているため、個々のユーザーさんが納得の行く眼位に瞬時に簡単に持って行けるのです。 ですから、ここで延々と議論する必要もないほどなのです。 ただ、未熟なユーザーさんが納得している状態が必ずしも他の人にも快適な光軸状態ではありませんよ、ということを知る謙虚さも持っていただきたいと思うのみです。)

160mm Apo-BINO by Mr.Thomas Möller / 16cmアポBINO(自作)

Dear Tatsuro,

After several modifications my binoscope now seems to be (almost) complete. Here is a short summary of the main features:

  • 160 mm f/6.5 apochromatic, oil spaced triplet lenses

  • EMS-UXL-Premium light erecting systems

  • telescope built with lightweight carbon components, total weight 11.8 kg (whole telescope)

  • stiff single arm centre mount

  • stiff lightweight carbon tripod

The total weight of the instrument of ~ 16.2 kg (telescope, mount and tripod) allows easy use and transportation to a dark site. For me it is the final telescope. Some more detailed information can be found here:

http://www.cloudynights.com/topic/542819-a-160-mm-63%E2%80%9C-f65-binocular-telescope/

Thanks a lot for all your support, the EMS units were a fundamental ingredient for building it.

Best regards

Thomas

http://www.cloudynights.com/page/articles/cat/articles/a-160-mm-63%E2%80%9C-f65-binocular-telescope-r3059

Comment by Matsumoto;

Dear Thomas,

Thank you for your mail. I am very happy to hear from you after a long time. Congratulations on your splendid binoscope finished. Actually speaking, I had noticed your binoscope in the Internet. I would love to put your News on my web page, Thank you!

>For me it is the telescope I was dreaming of for many years. You may be surprised, it is the only telescope I own. It shows me all I like to see
in the most beautiful way, open star clusters, the milky way, galaxies
with spiral structure (M31, M51, M33..) the moon and planets. Thanks a
lot for helping me to realize such nice  project.

I am extremely happy to hear that. And I am amazed by your planning sense and craftsmanship. You did a splendid job!!

best regards
Tatsuro

見事なBINOです。EMS-UXLのみを求められて、後は架台を含めて全て自作(外注含む)された物ですが、言語の壁を乗り越えてEMS製作者の意図を十分に汲み取り、機能的にも美観的にも卓越したBINOを実現されました。 Thomasさんの技量と美的センスに最大限の拍手を送りたいと思います。

http://www.cloudynights.com/page/articles/cat/articles/a-160-mm-63%E2%80%9C-f65-binocular-telescope-r3059

12cmF5-BINO on the smaller Center Mount / 軽量中軸架台仕様&目幅スライド

12cm F5 BINO  レポート    愛知県 てる

 まず初めにこの度はこの素晴らしい双眼望遠鏡の製作をして頂いた事に深く感謝いたします。

又受け取りの際にはせっかく鳥取まで行くとの事で、小旅行を兼ねて夫婦でお邪魔させて頂き、申し訳ありませんでした。

以前より双眼鏡ファンであった私は、雑誌等で松本様のEMSを使った双眼望遠鏡が非常に気になっていて「一度覗いてみたい」と思っていたところ、「双望会」の存在を知り参加する事にしました。

初双望会で事もあろうに初めて覗いたEMS双眼望遠鏡が「TOA130+ナグラータイプ4 22mm」という素晴らしい組み合わせで、覗いた瞬間 「凄いクリアーな視界! 星々の色がめちゃくちゃ美しい」今までに経験したことが無い美しい視界に目から鱗が落ちる思いでした。

これ以後、言うまでもなく恐ろしい病にかかってしまい、寝ても覚めても「EMS双眼望遠鏡がほしい・・・」とかなりの重傷ぶりでした(笑)。

今回のオーダーに当たって使用する鏡筒は迷いなく決めていました。 観望の対象は「彗星」と決まっていましたので、倍率は低めで広視界が前提となるので、F5のアクロマートで十分と考え決めました。(彗星が無いときは星雲・星団にも使いますよ~)

もちろん予算の関係もありますが、高倍率で見るのは主に「惑星」となる為、こちらの方はアポクロマート屈折+双眼装置に任せるので問題なしです。

口径については所有の双眼鏡が「フジノン40×150ED」と「ミヤウチ20×100」が有りましたので、大きく重いフジノンは稼働率が低く又、10cm以下はプリズム双眼鏡に任せるという判断で 12cm と決めました。もちろん7~8cmも気にはなりましたが、こちらは今後の楽しみという事にしておきます。又、架台の方は出来るだけ稼働率を上げる為少しでもコンパクトにしたかったので小型中軸式架台としました。

出来上がりの主な仕様は

・軽量中軸架台

・左右鏡筒一体搭載方式

・右側鏡筒スライド式目幅調整

・EMSはULS

・3インチフォーカサー

・架台延長筒+ハンドルユニット(兼カウンターウエイト)+ドットファインダー、といった感じで、オリジナルのケンコー120SEはあまりカッコ良いとは言えませんが、出来上がりはなかなか精悍になっていて ほっとしました。

まず初めに実際に使ってみての感想・気が付いた事(主に操作性)を箇条書きにしてみました。

①高度軸径が小さいのでクランプの効きが弱く、鏡筒の前後バランスをしっかりとっておく必要がある。

②右側の鏡筒が目幅調整の為スライドするので、こちら側の鏡筒ハンドルを持って向きを変えると視線方向がわずかにズレ、その都度ミラーの微調整が必要。

③予想より結構重く、一体搭載としては私にとって限界的な重量か。

12cm F5 BINO 12kg

フジノン40×150ED 18.5kg+27kg+8.3kg=53.8kg

ミヤウチ20×100 5.7kg  (本体)

参考ニコン20×120 16kg(本体

④ガタ無くスムーズに動く架台は気持ちがいい!

⑤当たり前ですが90度対空は疲れ知らずに長く観察出来る。(フジノンの直視での天頂付近は地獄です)

⑥優秀な現代の2インチアイピースが使えるメリットは計り知れない!

以上揚げましたが、①は初めから予想出来た事であり、②はフロント側にもクランプを追加する事で解決しました。 又③は使用頻度を高くする為の許容重量という点での感想であり、私個人が鍛えれば良いだけ?  の話で、いずれも「欠点」とは考えなくて、「特性」と捉えています。

つぎは気になる光学面、つまり見え方ですが、私はこのBINOに「どこまでフジノンに迫れるか」を期待していましたので、倍率と視界がなるべく同じにして観察してみたいと思っていますが、なかなか天気にも恵まれないまま日にちだけが経過してしまいましたので取り敢えずは第一報とさせて頂きます。

次の機会は下記の対決❓を報告させて頂きます。

フジノン 40×150ED   実視界:1.7度 見掛け視界:68度

12cm F5  EMS BINO 実視界:1.8度 見掛け視界:68度   (使用アイピース:SE社 16mm)

Comment by Matsumoto;

てるさん、12cmF5-BINO(特別仕様)のリポートをありがとうございました。

ご希望に従って、この口径クラスでは微妙に判断が分かれる、一体構造BINOでかつ鏡筒スライド式、かつ軽量中軸架台仕様という、何重にも冒険的な仕様に挑戦してみました。 何とか仕上がった、という意味では成功でしたが、工作の手間と見返りを考えると、微妙な結果となり、少なくとも定番として継続仕様とするに至っていません。 難点も多く残してしまいましたが、上手に使いこなしてくださっているようで、嬉しく思います。 また続報を楽しみにしています。^^

当BINOの製作記は、製作情報速報の2015年12/5~2015年12/30頃まで掲載しております。

FC100DF-BINO(Self Assembly) / 自作

Dear Tatsuro,
Finally, I completed the 4″ refractor FC-100DF binoscope assembly,
It’s a view of fantasy, nothing can be compared.
I took apart of it and taught my friend (the binoscope’s owner) how to assemble it by himself today, it took me half a day, much longer than my expectation, then I finally aware of something 🙂
let me share it with you…
People with some basic understanding or experience, only very basic is enough to learn quickly. but if people are lazy or hesitate to try or people with strong subjective (generally it’s wrong), they are really hard to learn new, they can not master binoscope well for sure.
However, I completed the “technical transfer” and my friend did adjustment pretty well at the end.
I have to thanks for your very good instruction in Web, and your great product.
Thanks
Regards
Ted W. , Taiwan
Comment by Matsumoto;
Thank you Ted for allowing me to introduce your e-mail report in my website.
Congratulations on your finishing the fine binoscope, and I am much appreciative of your effort in sharing your experience with your followers in your country.

 

傾斜センサー0N C8-BINO (YAMANEKOさん、北海道) / Altitude Sensor on C8-BINO

北海道のヤマネコです。
数年前に四国のYさんにシュミカセC8、2本とEMSを譲っていただきました。
最初は、TG経緯台やGP赤道儀を経緯台に改造したものに載せていました。
しかし、数ヶ月前にロスマンディのAZ8経緯台を入手しましたので、シュミカセ2本が搭載できるように改造してみました。
また、シュミカセも現行のものに変更いたしました。

しかし、垂直のエンコーダがどうしても取り付けることができなかったため、傾斜センサーについて、松本さんにご相談いたしました。
自分がアストロデバイス社のNEXUSを手持ちしていたところから、当初、NEXUSと傾斜計を接続するつもりでいました。
しかし、松本さんからはNEXUSを使用しないで、新しい傾斜計を使用することをご提案されました。
そこで、新しいタイプの傾斜計をお譲りいただきました。
架台は写真のようにアルミ板を加工し、傾斜センサーとエンコーダも無事に取り付けることができました。

ロスマンディのAZ8経緯台は、G8赤道儀と同様に、フリーストップで微動が使えますので、非常に快適です。
さらに、傾斜センサーとエンコーダとSkysafariの連携は、同期、導入ともにすばやく非常にグラフィカルなので、快適です。

C8鏡筒は筒外焦点距離をかなり引き出しているため、F=12くらいになっているでしょうか。常用アイピースはXL40で、約60倍、視野1°だと、M81、M82が同一視野に入り、M8やM33もちょうど、視野内に収まります。

月や惑星では、XW20やXW10、ナグラーズームに換えます。もしかすると、20cmの口径が生かされていないかもしれませんが、双眼で見ると大迫力です。

また、シュミカセで2度反射、またEMSがアルミメッキなので、光量のロスがあると思います。近いうちに、EMSを銀メッキをお願いしようと思っています。

その他にも少しずつ手を入れて、使いやすくしていこうと思っています。

北海道、ヤマネコ

Comment by Matsumoto;

The Altitude Sensor is set on the center of the base plate in the first photo.

The Sensor, I have developed with my friend, includes WIFI system; and it offers the perfect PushTo System with SkySafari on iPhon or iPad.

この傾斜センサーは、私(ケース加工担当)と友人(電子回路担当)の手作りで対応しており、生産台数が少ないために積極的に宣伝して来ませんでしたが、このご投稿のように、将来に向けても、大きな可能性を秘めたシステムです。当初は、NEXUS等のWIFIアダプターと併用するものでしたが、AAS-2以降、そのWIFI機能まで包含し、単体で水平軸エンコーダと併用することで、SkySafari(Pro or Plus)が使用できる仕様となっています。

(共用する水平軸エンコーダは、当方の中軸架台用の10,000ステップがデフォルトの設定になっており、それ以外のステップ数のエンコーダを使用される場合は、SkySafari側の設定の他、傾斜センサー側の設定(やや複雑)もマニュアルCDに従って行っていただく必要があります。)

進取の精神にあふれたヤマネコさんらしく、C8-BINO と傾斜センサーを上手にコラボさせられました。架台の使い方もお見事です。 ご投稿、ありがとうございました。

FC100-BINO (by Mr. James Witt, in Pine Arizona USA.)

Comment by Matsumoto:

Here came a report of FC100-BINO after over several years.

The photo of the old EMS sets brings back memories of the former specs.

Anyway, I am very happy to hear from you after a long time.

Congratulations on finishing your fine binoscope. I hope this binoscope will serve you for many years to come.

8年くらいのタイムラグが生じてしまいましたが、初めて、完成したFC100-BINOの写真を送ってくださいました。

旧タイプ(8年くらい前か?)のEMSセットも懐かしく見せていただきました。 クレイフォード式の目幅調整、当時が思い出されます。

BORG55FL and 71FL-BINO

Hello Tatsuro,
Thanks for your great product,
In January, I started my first EMS-Binoscope, a pair of mini Borg 55FL.
everyone in my local astronomy club were amazed by its outstanding performance.
People in here were all unfamiliar with EMS-Bino,
that’s my pleasure to intruduce the great product to them.
last month, I try to assembly a Borg 71FL Bino in EMS-US, that even better a lot than 55FL.
Attached are the pictures of my 55FL and 71FL BINO and some sketch by 55FL EMS.
Regards
TS Wang,Taiwan
Comments by Matsumoto:
Dear Ted,
Congratulations on finishing your fine binoscope and mastering it for the field use!   I was amazed by your fine craftsmanship and the good aesthetic sense.   I am very proud of you!
Best regards,
Tatsuro

APM123APO-BINO follow-up report-1

I’ve attached some recent pics of the binoscope.
The project is slowly coming to its fruition.
Regards,
Range, China
Comment by Matsumoto:
 I will introduce the follow-up report of the APM123APO-BINO by Mr. Range, China.
 *******************************************
Dear Range,
Thank you very much for the additional photos.
They look more impressive than the ones I watched before.
This time, I noted the custom made 65mm end adapter. It is so fabulous!
May I introduce them in my website as your new post?Best regards,
Tatsuro

Won in the Messiah-Marathon / 双眼望遠鏡でメシエマラソンに参加してきました!(宮城県S)

<写真1> セッティング風景: このとおり南東方向の見通しは良好です。広々した駐車場にみなさんゆったりと陣取りました。

1 初めての参加

 2016年4月9日(土)から10日(日)にかけて,福島県田村市にある星の村天文台でメシエマラソンに初参加してきました。110個のメシエ天体のうち107個を指定され,一晩でどれだけ見えるかを試みるものです。メガネのマツモトさま制作の双眼望遠鏡の威力を改めて実感したのでご報告します。

 このイベントは見えたかどうかは自己申告なので,お気楽なマラソンです。宮城のBINO仲間のWさんから誘っていただきました。本来,午後4時には開会式があったのですが,私は午後6時30分頃,遅れて参加しました。

 天文台の砂利敷きの駐車場が観望会場となっており,私が到着して受付を済ませた時にはみなさんセッティング済みでした(写真1)。私はWさんが確保してくださっていた隣のスペースに愛機(15㎝双眼望遠鏡,非銀ミラー)を出しました。Wさんも11.5㎝双眼望遠鏡での参加で,二人とも双眼鏡部門にエントリーしました(他に,自動導入望遠鏡部門,手動導入望遠鏡部門があり,全30名程度エントリー)。

2 宵の口

 まずはウオーミングアップ,夕焼け空の月齢1.9の月を導入です。地球照が美しく,すばらしかったです。Wさんからその下あたりに水星があると教えてもらい,探し出すこともできました。

 あたりがだんだん暗くなってきたので,最初にM31(アンドロメダ大銀河)を探してみたのですが,これが見つかりません。西方には分厚い雲が残っていたのを割り引いても,薄明の中では見つかりませんでした。当然さんかく座のM33もM74も無理でした。M77は厚い雲のため断念しました。次に,カシオペア座のM52を探してみたものの,既に北西の山の端に隠されていました。薄明の中,出だしからずっこけたのですが,気を取り直して,M103,M34,M45(プレアデス)等を眺めてM76(小亜鈴星雲)に挑戦しました。これは難物でしたが,薄明も終わった頃,何とか頼りない姿を確認できました。

3 冬の星座

 午後8時頃からは冬の星座のメシエ天体を片っ端から見ようとしたのですが,西からけっこう雲が流れてきています。しかし機動力ある経緯台・手動のおかげで,雲が去るのを待ちながら観望できました。低空の雲に阻まれたうさぎ座のM79とおおいぬ座のM93を除き,冬のメシエ天体は概ね見つけられました。

 このころからは少し余裕が出てきて,お隣に陣取った方とも歓談しつつ,いろいろなメシエ天体を見ていただきました。また,Wさんの双眼で木星を一緒に拝見しましたが,好シーイングとさすがセミアポの解像度!ガリレオ衛星はもちろん,大赤斑も縞模様も美しく眺められました。

4 北天

 夜半前は北天しか晴れておらず,北斗七星からりょうけん座にかけての銀河を見ました。広視野でのM81とM82のペアは見応えもあり,お隣さんにも喜んでいただけました。これに気を良くして,他の貧弱な銀河を「押し見せ」してしまったのですが,関東からわざわざマラソンに参加された方だけあって,快くつきあっていただけました。

5 夜半

 その後,残念ながらほぼ全天が曇ってしまい,身体もかなり冷えてきたので,Wさんと一緒に休憩することにしました。天文台内に入ると,うれしいことにお湯や味噌汁,コーヒー,紅茶等が用意されていました。配給された菓子パンで燃料補給しつつ,他の参加者のみなさまとも交流できました。

 1時間ほど休んで外に出てみると,雲が少なくなっているではありませんか。元気も出たので,早速探索を再開です。春の銀河がたくさんあるので,ここからがなかなか骨の折れる作業でした。特に,おとめ座銀河団を一つ一つ特定していくには時間がかかりました。しかし,実視界が3度以上ある正立双眼で,星図と比較することが容易でしたので,順調に特定できました。空の暗さもまずまずで,南の低空に光害があるものの,メシエ以外の暗い銀河(くじら銀河やエッジオン銀河など)も結構楽しめました。

6 夏の星座

 午前2時過ぎには雲が消えてほぼ快晴となりました。夏の星座も昇ってきて,夏の天の川に沿ったメシエ天体もどんどん見つけられました。しかし,南東低空には雲が居座っており,いて座あたりは断念していました。

 お隣さんにはM13,M8,M11,M27などの有名どころを見ていただきつつ,私は受付時に配られたメシエ天体表(エントリーシート)を見ながら,見逃したものがないか,Wさんと声をかけあいながら慎重にチェックしました。WさんはタブレットPCの星図と双眼の視野とを同期させたハイテク装備でしたので,メシエナンバーを聞いても即答してくれました。チェック漏れがないことに安心して,記念撮影をする余裕も出てきました。コンパクトデジカメを三脚に固定して,愛機と天の川を一緒に写せました(写真2)。

<写真2> 愛機と天の川: Canon PowerShot S120 星空モードで撮影

<写真3> リニア彗星: Canon EOS kiss X7 改造  デジボーグ55FL 望遠レンズセット  ISO3200 120秒×5枚コンポジット

 また,へびつかい座にリニア彗星があったと気づき,双眼望遠鏡で探したところ,かなり明るくてすぐに見つかりました。急いでポータブル赤道儀(TOAST TP-2)とカメラを出して観望の合間に撮影しました。視直径が割に大きく,彗星らしい緑色が印象的でした(写真3)。

7 ラストスパート

 午前3時頃には東の稜線からM15が昇ってきましたが,午前3時30分過ぎには早くも天文薄明が始まります。その後にM2,M72等も昇ってくるのですが,夜明けとの競争です。何とかこれらをこなしていたところ,Wさんが南東低空が晴れていると教えてくれました。薄明が進んでいるものの,いて座の球状星団を見るチャンス到来です。見える!見える!M69,M70,M54,M55,M75と次々と捉えることができました。球状星団は銀河と違ってかなり明るい芯があり,薄明中でも十分見つけられました。他の方々が撤収を始める中,Wさんと夢中で探索しました。しかし,ついに明るくなったのでM30は断念しました。そして撤収ですが,シンプルな作りなので楽なものです。所要時間は5分以内です。

8 結果と感想

 結局,夕方と明け方の薄明で見えなかったものが8個,雲に阻まれたものが2個で97個を観望できました。天文台に97個のチェックを入れたエントリーシートを提出し,予約していた仮眠布団に潜り込んで爆睡しました。

 3時間弱の仮眠後,午前8時から閉会式が始まりました。結果発表があり,私が全体(自動導入望遠鏡部門も含む)の1位,Wさんも95個で2位となり(大野台長より「確認証」までいただきました!),双眼望遠鏡の探索力を裏付ける結果となりました。見つけるだけなら,広視野で明るく,両目で正立像が得られる双眼鏡が圧倒的に有利です。もちろん,倍率を上げればM天体を美しく眺められます。私は賞品としてビクセン製50㎜双眼鏡までいただいてしまいました。

 仲間とワイワイ観望でき,好成績も残せ,賞品までいただけて,とても楽しいイベントでした。星の村天文台のみなさまには心づくしのおもてなしをいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。探索と観望の楽しみを与えてくれたメガネのマツモトさまにも改めて御礼申し上げます。また機会があったらぜひ参加したいと思います。

管理者のコメント(Comment by Matsumoto)

 宮城県のSさん、そしてWさん、メシエマラソンでのお二人同時ご受賞おめでとうございます。 また、素晴らしいご体験の感動を共有させていただき、ありがとうございました。

 SさんとWさんには、今までにも何度かこのコーナーにご投稿いただいていますが、また久しぶりにお元気でご活躍のご様子が伺え、大変嬉しく思います。 今後ともよろしくお願いいたします。