Dovetail of the C5-BINO / C5-BINOのアリガタ

Dovetail of the C5-BINO is completed.

アリガタの完成です。 後は、運搬用ハンドルと操作ハンドル、カウンターウェイトで(機械)加工完了です。270mmの長大なアリガタですが、それでもほぼ端の方を保持することになります。 それでも重心が手前に来る傾向があれば、ウェイトは前方に付けないといけません。(アリガタを極端に長くするのは、加工上の都合が悪いのと、外見的にも良くありません。)アルマイトがあるので、どちらにしても完成は年明けになります。

Innovative IPD adjustment mechanism / 新型目幅調整機構、実験成功(C5-BINO)!!

A long time dream of the ultimate mechanism for a binocope has come true !A binoscope of the fixed tubes and the parallely shifting one counter each other with the “merits and demerits” . The former promises more rigid structure but it causes focal change at the IPD adjustment, while the latter enjoys the focal-change-free IPD adjustment but its mehcanism is not as simple, or rigid as the former.Now, the fixed tubes also got the focal-change-free IPD adjustment !!

This is one of two kinds of the new IPD adjustment devices I have been developing. This mechanism is for the left-right simultaneous version and the other one for the individual compensation will also be shown here in due course.This is the historical moment in the history of development of the EMS.

「鏡筒固定式か平行移動式か」、得失が相反するため、BINO作りの最初に悩む選択肢です。ご存知のように、前者は構造がよりシンプルで高剛性が得やすく、従って軽量化にも有利です。 しかし、目幅調整時にピント移動を伴います。後者は鏡筒が固定できないためにどうしても構造が複雑になり、軽量化にもやや不利ですが、目幅調整時にピント移動を生じないメリットがあります。

この度受注したC5-BINOは、依頼者の方の条件が、片持ちのタワー型の自動導入架台への搭載であり、徹底した軽量化の要求と、重心を1mmでも架台保持部から離したくない事情があり、鏡筒は固定式がベストと判断しました。 さらに、目幅調整時のピント移動を懸念されたため、すでに研究中だった新方式の眼幅調整機構を、このモデルに初めて採用することにしたわけです。 今回も、受注時点では明確なプランがあったわけではありません。

本日、初めて仮組み立てをして実験したわけですが、ピント補償機構は計算通りに完璧に極めて滑らかに働き、±5mmの眼幅調整で実用上のピントずれはもちろん、イメージシフトも全く発生しませんでした。新機構の実験は大成功と言えます。 大袈裟に響きますが、今日はEMSの発達史に於ける特別な日となりました。

このメカの構造は見かけよりもシンプルです。 スタビライザーシャフトの中央を掴んでいる四角ロッドがヒンジで連結された垂直プレートは、下のベースプレートに固定され、ベースプレートは第3プレートを介して鏡筒本体に固定されています。つまり、四角ロッドの反対側のエンドはヒンジを介して固定したBINO本体に単純に連結されているだけです。(垂直プレートを支えているプレート類は全て固定部品です。やや複雑に見えますが、リニアシャフトとの干渉を回避するための構造です。)

第4プレートに固定された左右のEMS接眼部全体は、リニアベアリングと2箇所のボールローラー(写真右)で正確に摺動します。 静止時の接眼部の安定性を危惧される方もあるでしょうが、ロッドの長さとヘリコイドの長さが決まれば、接眼部の位置は常に高い剛性で安定しています。 ヘリコイドの長さを変える時だけ、メカが連動して、ピント移動の収支を常にゼロにキープしてくれるわけです。(三角形は、3辺の長さで決まります。第1辺の長さ(ロッド長)は固定で、第2辺(ヘリコイドの長さが決める)が変化すると、第3辺(EMS接眼部全体の位置が決める)が連動して光路長の収支を常にゼロに保ちます。) まだ実験段階なので、レデューサーに繋がる遮光チューブ(外見上は2インチスリーブ)はセットしていません。(写真中央)

以上、当メカニズムの原理をを簡単にご説明しましたが、上記の機能を実現するための仕様が、ミラーのメンテナンス等の障害にならないように、EMS本体やアイピーススリーブが簡単に着脱できるようにするための関門もありました。 EMS及びスリーブの着脱は、メカを分解することなく簡単に行えます。

今回の機構は、左右のEMS(第一ユニット)を一体として扱うタイプですが、左右を独立的に扱うタイプ(25cm3枚玉アポBINO用)も並行して研究しており、それも近日中に発表できると思います。

地上を低倍で見た印象ですが、非常にシャープな像を結ぶのに驚きました。 このタイプの望遠鏡を過小評価していたことを認めざるを得ません。 合焦ノブの操作によるイメージシフトも、少なくとも低倍では全く気付かないレベルでした。 ただ、地上風景の低倍では副鏡の陰がやや気になるのは仕方ありません。 星野では問題ないでしょう。 適当な瞳径で見る月、惑星はさぞ凄い眺めになることでしょう。

Innovative IPD adjustment mechanism on the C5-BINO / C5-BINOのピント補償機構(目幅調整)

IPD adjustment device with focus monpensator is in the making.

C5-BINOのピント補償付きの眼幅調整機構を組み上げています。基本は左右のEMS全体が一体となって自由スライドする構造です。 ただし、勝手にスライドしては困るので、左右のアイピーススリーブを串刺しに連結するスタビライザーシャフトと一番目(鏡筒側)のプレートをロッドでリンクさせます。

ロッドの長さは固定ですが、ロッドは両端をそれぞれヒンジ等による自由端とします。 そうすると、EMSの位置も通常は固定され、目幅調整用のヘリコイドを伸縮させる時だけ、左右のEMSが同時に連動して総光路長の収支が実用上常にゼロになります。(当然ながら、ロッドの傾斜角度はピント補償の近似度を上げるために極めて重要で、所定の傾斜角がストロークの中央に来るように構成します。)

工程が少し進めば、より明快になりますが、この段階で理解出来る方は、EMSをかなり理解しておられる方と言えます。^^(実用近似的というのは、数学的には微分的にのみ成り立つが、実用上は十分にピントずれを補償するという意味です。 EMSのX-Y調整も同じで、ノブを過剰に回さなければ、イメージのX-Yシフトが成り立ちます。)

(右の写真で、右の鏡筒に仮セットした2インチスリーブは遮光用(摺動ではない)ですが、長すぎるので適当な長さに加工します。)

Temporary mount for the C5-BINO / C5-BINOの臨時架台

As the client had not sent his Goto Mount here, I have to prepare some temporary mount to do the final assembly of the C5-BINO. I chose the HF2 mount for the 115ED-BIONO that is extended by 30mm from the original one. That is the perfect width for the C5-BINO.

BINOのご依頼の仕方はそれぞれで、未知の鏡筒を全く見ることなく必要な心臓部のパーツを製作することもあるくらいですが、今回は、依頼者の方が計画しておられる、タワー型の自動導入架台をお送りいただけないため、何らかの仮の架台が必要になりました。 思い悩んだ挙句、少し後で製作する115EDTBINO用に幅広改造したHF2経緯台を利用することにしました。 もちろん、臨時の耳軸セット等、余分な手間はかかりますが、仕方ありません。 納期がさらに延びますこと、ご了承ください。(最初は架台なしでも組み上げられると思ったのですが、現実に直面すると、それは難しいですね。)

臨時の耳軸プレートは、あり合わせのプレートを加工したものです。 重心予想位置に耳軸をセットしましたが、実際にはウェイトシステムもセットしますので、さらに重心が手前に来る可能性もあります。 もちろん、この写真の段階ではトップヘビーです。 ただし、鏡筒が極端に短いので、モーメントが小さく、耳軸クランプで十分止まっています。 総重量も見かけよりもはるかに軽く、持ってみると新鮮な驚きがあります。 今までは見向きもしなかったシュミカセBINOですが、依頼者の方の気持ちが大分分かって来ました。^^;

最終的には、左側面だけにアリガタを設置して、片持ち架台に載ることになりますが、この軽さだと、うまく行くかも知れないと思い始めました。(依頼者の方は、すでに架台の加重テストを検証済みですが。)

EMS-UL set for the C5-BINO in the making / C5-BINOのEMSセット、製作中

EMS-UL set with helicoid for the C5-BINO is in the making.Note that no joint rings are required to install the helicoid on the EMS housings.That’s the reason for the lowest profile with the helicoid.

ヘリコイドのインストールに別個のジョイント金具は不要です。 当方オリジナルのヘリコイドの両端がテーパフランジになっており、接続するEMSハウジングの内径に嵌合するからです。”low-profile”(最短22mm《標準EMS-ULでも16mm》)の理由です。

Fourth and the last plate (C5-BINO) / 製作中のC5-BINO(4枚目のプレート)

This is the fourth and the last plate of the structure of the C5-BINO..

4枚目で最後のメガネプレートです。 これが末端の2インチスリーブも兼ねます。両端のスリ割りにご注目ください。 この面より手前にはどんなチューブ状のパーツも接続しません。(つまりこの面より手前には光路長の消費はないということ)C5は完璧にインナーフォーカスなので、左右のEMS(正確には第1ユニット)が個別に動く必要は全くありません。

C5-BINO in the making / 製作中のC5-BINO(3枚目のプレート)

F6.3 reducers hold the third plate in place. This plate will be the base of the IPD adjustment device that will never cause any focus change.

3枚目のプレートです。 F6.3レデューサー(兼コマコレクター)で固定します。合焦は、依頼者の方が検証済みとのことです。 これから作製する4枚目のメガネプレートにEMSが取り付き、全体が目幅調整時のピント補償で目幅と連動します。3枚目のプレートの中央上部の穴は、リニアベアリングが入る穴です。 リニアベアリングは、上下の中心に配置したかったのですが、鏡筒底部と干渉しますので、上にシフトせざるを得ず、プレートの縦幅も広くなりました。

ここから先は、現場主義で一つずつ積み上げていかないといけません。

C5-BINO in the frame / C5-BINO、鏡筒を合体させてみました

C5 OTAs are preliminarily combined into the shape.

メガネフレームを仮組み立てしてみました。(成功です。)従来であれば、これにEMSセットと運搬用取っ手、操作ハンドル、左側面にアリガタを付ければ完成ですが、今回はこれで安心は出来ません。 これから別個に接眼部に ピント補償機構を設置しないといけないからです。 当初は手前のメガネバンドを足場にする予定でしたが、意外にEMSから遠いこと等、制約が多く、かえって接眼部にもう1枚、小さいメガネプレートを配置した方が結果的にはよりシンプルになると判断した次第です。 続報をお楽しみに・・・^^;。

アリガタプレートは当初、2枚のメガネバンドを繋ぐ程度のプレートを想定し、材料を確保していましたが、それは早計で、BINO完成後の重心がはるか手前に来ることに後で気付いたので、材料を再注文しないといけません。

Frame-work of the C5-BINO in the making / C5-BINOのフレーム(1)

Frame-work of the C5-BINO is in the making.
The EMS-ULS set for Mr.B in Spain is almost completed.

更新のための時間も惜しいのですが、放っていると思われたくないので^^;、C5-BINOのメガネ型フレームの材料をお見せします。 材料発注の土壇場まで、厚肉パイプを連結してメガネ型を構成するか、板を刳り貫くかで迷ったのですが、最終的には、17S(ジュラルミン)の板を刳り貫く方法に決定しました。 厚さは15mmです。 最初は肉が厚い鏡筒の両端部品の部分で束ねるつもりでしたが、いろいろと検討した結果、直接鏡筒パイプ部分を保持するのがベストだと分かりました。(材料発注直前にそのことに気付き、無駄な注文を免れ、冷や汗を拭きました。 今まで、何度焦って無駄な材料を注文して来たことか・・・^^;)

2本の鏡筒をメガネ型のフレームで束ねることは、すでに経験済みで何も難しいことはありませんが、ピント補償機構やウェイトシステム、操作ハンドル等といかに美しく連携するかで慎重になるわけです。 最初の判断を誤ると、作業の後々まで苦労するからです。 中途半端に工程をお示ししますと、また新たな疑問が生じるとは思いますが、この段階でのご質問はなるべくご遠慮いただくと幸いです。(激励いただくのはいつでも歓迎ですが、枝葉末節のご杞憂から、質問→回答→新たな疑問発生→質問→回答・・・と、連鎖的に収拾が付かなくなりますから。^^;)

このBINOは、単なる毛並みの変わったシュミカセBINOの単発的な受注ではなく、鏡筒固定でかつ、目幅調整のピント移動が生じない、次世代型のEMS-BINOの検証を兼ねていますので、時間がかかっているのです。 なにとぞご理解ください。