松本の光学講座 2024;Roundup-3 / 総まとめ-3/How to measure the focal length on the optical bench/ 光学台(レール)上で焦点距離を測る方法

 厚さが無視できない厚いレンズや、複数レンズ系の焦点距離を光学台上で測る方法のご提案です。
 主点位置が特定できなくても、レンズを固定して、「物体」と「像が投影されたスクリーン」を動かし、物体 と 像 の大きさの比が 2:1 になった時に物体の位置を記録し、さらに 物体 と 像 を移動して大きさが 1 : 1 になったとき、「物体」の 移動距離 が 焦点距離 と等しくなります。
 この方法であれば、内部構造が分からない複数レンズ系を非破壊(非分解)で焦点距離を測ることが出来るわけです。

Askar 120 APO-BINO in the making -3/ Almost completed !

外径110Φ(鏡筒と同径)の治具を使用します。
 粘いアルミ合金、木片をカットするような訳には行きません。深さ0.5mmずつ慎重に切り込んで行きます。
(危険な加工の部類に属します。)


切断加工後と加工前。

鏡筒間隔 D= 179mm を達成しました。(オリジナルのバンドのままだとDが大きくなり過ぎる。)


天頂オーバーまで架台水平回転部とバンドが干渉しないことを確認しました。

松本の光学講座 2024;Roundup-2 / 総まとめ-2

数式アレルギーの方のために、コアな部分を徹底的に可視化してみました。
近軸幾何光学で、お伝えしたいことはこれに尽きます。
 青い角の合計 = 赤い角 です。
 赤い角は、度数 Φ に h を掛けたもの。言い換えると、焦点距離の逆数、1/f に h を掛けたものです。
近軸領域では、入射光線の高さ h が同じなら、赤い角は常に一定だとういことです。

Askar 120 APO-BINO in the making -2

This is the first and the last Model of thermal radiation reducing version.
最初にして、最後?の熱放射抑制-Version (氷点下での結露抑制効果狙い)です。
(ヘリコイドも、在庫限りの超寒冷地仕様です。)

Another lot of Larger EMS-Housings ready to be painted !

EMS-UXLも、あと10セットくらいをめどに製作を中止する予定です。
 純粋な個人営業ですので、永久に続けることは出来ません。3年をめどに一般向け及び業者さん向けの販売は中止し、以後はリピーターさんや友人のアフターに限定する予定です。

松本の光学講座 2024;Take a Break!/Quiz / ちょっと息抜きのクイズ

 先日、9歳の天才少年が考えたクイズを、親御さんがFACEBOOKに投稿しておられた問題からの、応用問題を作ってみました。^^

いろんなアプローチがあると思いますが、出題者の意図は、上図の通りです。
”三角形の一つの角の外角=他の2つの角の和”; 近軸幾何光学で頻出するんです。

松本の光学講座 2024;Roundup/ 総まとめ

 上の図が、一般的な近軸結像公式です。すでに中学校で習っておられるはずですが、物点位置、像点位置に符号(±)を考慮した一般式になっています。レンズより左は(-)、右は(+)です。
一般的な近軸結像公式は、s (物点距離)、s’ (像点距離)、f (焦点距離)の3つのパラメーターの関係式で、その内の1つが分からない時に、その数値を求めることが出来ます。

 下の図は、距離の代わりに、光線の特定位置(この場合はレンズ上の光軸からの高さ)に於ける光線の角度(h/sで定義された角度)を使用します。もともと両者は同じ数式を変形したものであり、下の図の方法は、計算の効率を上げるのに有効です。
 h が加わることで、パラメーターが4つになったようで、混乱されるかも分かりませんが、hは、αを定義する時にすでに設定しているわけですから、心配無用です。途中で尺度を変更しない限り、初期値は任意の数値を設定すれば良いのです。この h が後で、凄い役割を発揮するのですが、実際に運用して見られたら分かります。

Cherry blossom viewing after several years! /久しぶりの花見

私は滅多に腰を据えた花見をしない。前回は何年前だったかも覚えていない。
「時間は作るものだ!」とよく言われるけど、いつも何かに追われている感じがして落ち着かないのは、どうやら自分の性格のようで、治りそうもない。
 今回は、義理の妹夫婦の勧めで、穴場(私は知らなかったので^^;)の花見スポットを案内してもらった。当家は鳥取城跡から徒歩5分で、花見と言えば、鳥取城跡しか知らなかったけど、この国府町の歴史的水道施設跡地は、静寂で秘境感もあって、すごく良かった。

戦前の欧風の施設が実にノスタルジックで良かった。

殿ダム周辺も途中下車しながら散策させてもらった。
 久しぶりに日常を離れて、良い空気を吸わせてもらった。
義妹夫妻に感謝!


松本の光学講座 2024;Take a Break!/Proposal of the Innovative Binoscope ! / ちょっと休憩 / 常識破りの 巨大BINO の提案!

 逆視のニュートン反射双眼が一般的なので、屈折式で逆視がいけないという法律はありません。^^;
屈折式の場合、2回反射で図の構成が実現し、裏像になりません。 また、倒立像でも、左右の眼が交代しているので、立体視も破綻しません。(遠近が逆にならない。)
 観察者が観察用ゴンドラに乗るか、フロアが水平回転軸と連動して回転するターンテーブルになっているか、そうした超巨大なシステムに適した方法かと思います。
 鏡筒の真下に広い空間がないと窮屈ですが、据え付け架台ならどうにでもなりますね。
 予算がふんだんに使える巨大BINOプランであれば、巨大なEMSを用意すれば済むことですが、この方法は、既存のパーツや技術が利用できる利点があります。
 一つ残念なのは、ミラーシステムの回転による目幅調整が出来ませんけどね。これは光学の原理の問題なので仕方ありません。

 2枚鏡システムをロンボイドプリズム(菱形プリズム)風に構成して直視で見る方法が一般的ですが、巨大なシステムでそれをやると、仰角の変化による見口の高さの変化が著しいのと、遠近感が逆転するのが致命的ですね。巨大BINOの圧倒的な利点ですからね、立体感は。
 180度俯視(逆視)の場合は、人間工学的に、見口の高さの変化に対応しやすいですからね。