Askar 120-BINO by Ichiro-San

 Ichiro-さん、いつもながら、製作者の意図を簡潔、雄弁に代弁してくださいました。
ご自身のブログをお読みください。
本文の説明にありますように、今回は鏡筒を全くお預かりすることなくコアな部分のパーツの加工を進めました。
 最終的な組み立ては全てIchiroさん任せで、一抹の不安もなくはなかったのですが、多くのBINOを経験して来られたIchiroさんのこと、全く問題なく組立てられました。
 20cmF7-BINOの時もそうでしたが、このAskar120-BINOも当初から凄い稼働率で、お手伝いできたことの悦びを噛みしめています。
 

The simple idea of the low-profiled accessary base (dovetail) / シンプルなアクセサリー台座(アリガタ)

 物作りを長年やって来て、一番障害になるのは、設備(工具)の不備よりも、むしろ私たちの頭にこびりついた固定観念です。固定観念から、”不可能”と決めつけてしまうのです。
 アリガタ=正確な台形断面 というのもその一つ。アリミゾについては、少なくとも片面は綺麗なテーパ面が望ましいのですが、相手のアリガタは、必ずしも完璧な台形断面にする必要はありません。
 ほぼ矩形の板材がそのまま活かせたら、実に簡単に作れます。
 素材は、ホームショップを漁っているようではダメで、部材屋さんに直接注文するのが良いです。
知らなければ、地元の加工業者さんに頭を下げて、購入先を探しましょう。部材の注文の仕方ですが、少し割高になりますが、”スーパーカット”を指定すると、最終サイズ(精度±0.1mm以下)で仕上げてくれるので、自分でサイズ調整する手間を考えると、その指定で注文するのが賢明です。
 自作で技量を上げようとするなら、まずは材料の知識を得るのが最初です。部材メーカーが規格表の冊子を提供するので、それをゲットするのが、自作マニアが、中学生の夏休みの工作レベルから脱皮するための第一歩です。
 私も自作マニアから始めた超零細業者ですが、今では部材屋さんが、ネジ1本でも届けてくれます。

松本の光学講座 2024;Roundup-5 / 総まとめ-10/ What is “Astigmatism”?-2 / 乱視とは?-2

 何とか、”乱視”というものを可視化してみました。
直乱視では、水平成分と垂直成分が異なる位置に焦点を結びます。
正確には、焦点ではなく、線状に拡散した”焦線”となります。平面図(Top View)と側面図(Side View)と斜視図をじっくりと見比べていただくと、空間的にご認識いただけると思います。
 天文マニアなら、近視(遠視)であってもフォーカサーの操作でピントが合うことはよくご存じだと思いますが、実は、乱視もあると、いくらフォーカサーを調整しても望遠鏡のポテンシャルを100%享受することは出来ません。
 しかし、「自分には乱視があるけど、望遠鏡だとちゃんと見えるよ!」と言われると思います。
それは、射出瞳に関係があります。射出瞳径=2mm以下で見ることが多い方は、たとえば、通常の眼の瞳孔径が5mmとすると、絞り効果を2.5倍ほど利用していることになり、いわば、インチキなんです。
 ご当人にとっては、残念な指摘かと思いますが、試しに最大瞳径(最低倍率)で望遠鏡を見てください。乱視の影響が顕著に出て来ますから。
 乱視の方は、自律的に最小錯乱円(図をご参照ください)で見ているわけですが、望遠鏡のピント補正では補えないわけで、“点”にはならず、常に錯乱円を見ていることなります。 倍率を高めにして見る傾向の方には、そうした乱視未矯正の方が多いと推察します。
(斜視図では見にくいですが、両焦線の間に、光束が一番収束する、最小錯乱円が存在します。)

 とかく天文マニアは、機材の欠点については、重箱の隅をつつくことに長けていますが、自身の眼の欠陥については無頓着なことが多いようです。


松本の光学講座 2024;Roundup-5 / 総まとめ-9/ What is “Astigmatism”? / 乱視とは?

 ”乱視”も、眼について一般に誤解されているものの代表のようです。
まず、文字面(漢字)のイメージが良くないですね。だから、「あなたには乱視がある!」と指摘されると、大抵、ショックを受けられるようです。
 レンズで矯正できる(正規)乱視は、上の図が示すように、眼の経線によって屈折度が異なる眼です。上図では、きっちり垂直断面だけが近視の眼(直乱視)ですが、角度は様々で、検者から見て、右を基点の 0 °~180°まであります。本例は、水平断面が正視の例ですが、水平断面が少し弱い近視だったり、あるいは遠視だったりするわけです。(厳密に測ると、乱視が皆無な人は滅多にいません。)
 本例の矯正には、図のような円柱状のレンズを用います。分かり易く、文字通り円柱面形状で図示していますが、実際には、メニスカス状に湾曲した、見かけは通常のメガネレンズになります。度がない方向(図では水平方向)を軸と言い、必ず直交した方向が度数最強で、それを強主経線と言います。
 本例では、乱視の度数を C-4.00(Cは Cylindrical 円柱の略)としていますが、仮に同じレンズをもう一枚用意して軸を直交させて重ねると、通常のS – 4.00( S はSpherical の略)のレンズと同値になります。
 ここで、メガネレンズ表記の約束をご紹介します。
水平方向の度数が -3.00Dで、垂直方向の度数が-4.00Dの眼は、S-3.00 : C-1.00 AX. 180° と表すのが一般的です。理論的には、もう2つの表現方法があります。(AXはAxis, 軸です。)
S-4.00 : C+1.00 AX.90°  と、 C-3.00 AX 90°:C-4.00 AX180°  です。 どれも理論的には間違いではありません。不慣れな間はピンと来ないかも分かりませんが、少し練習すれば、理解できます。

松本の光学講座 2024;Roundup-5 / 総まとめ-8/ Range of clear vision of the reading glass / 近用メガネの明視域

 近業用メガネ(老眼鏡)の”明視域”というものを理解していただくために、単純なモデルをご用意しました。眼の調節力(水晶体が膨らむ程度)は、年齢や個人差によって異なりますが、一律に調節力=+2.0Dと想定しています。調節力=+2.0Dとは、水晶体が目一杯に膨らんだ時に、+2.0Dのレンズ相当の水晶体の度数アップを行えますよ、という意味です。目一杯ですから、それを長時間キープするのは疲れるということも、お留め置きください。調節力は個人差が著しいので一概には言えませんが、+2.0Dとは、大雑把に言うと、50~60歳の調節力でしょうか。
 調節力が3.0Dくらいになると、33㎝を見る時に全力を使うわけですから、長時間の近業が厳しくなって来ます。これが、大体やせ我慢の限界で、40歳代の後半になってメガネ店に駆け込むタイミングになることが多いようです。
 上の図からご説明します。
 調節力=+2.0Dの人に+1.0Dの凸レンズを装用させると、無調節の時に1m先まで明視することが出来ます。110cmになれば直ちにボケるか?と言われれば、そうでもないので、狭い部屋であれば、この段階では、遠くがぼけて困る、という印象はあまりないでしょう。で、今度は近くですが、調節力を目一杯に発揮すると、レンズの+1.0Dと調節分の+2.0Dを加えて+3.0Dになるので、瞬発力では33㎝まで見えることになりますが、これも長時間の作業は厳しいでしょう。40㎝くらいで作業するように習慣付ければ、このレンズでも実用になることになります。
 2番目の図は、レンズの度数を2倍の+2.0Dにしたものです。近業距離がより余裕で見られるようになります。ただし、明視域が随分狭く(浅く)なりました。これは、固定したレンズで眼の調節力を加勢してやってるわけですから、より遠くが見たければ、都度、レンズを除去するしかありません。
 3番眼の図は、レンズの度をさらに2倍の+4.0Dにしたものです。
この辺になると、明視域はさらに浅くなります。「もっと近くをよりよく見たい!」というお客さんの要望に安易に乗ると、「前のメガネの方が良く見えた!」と言われかねません。
 一般の方は、”明視域”という概念がほぼなく、度数を上げればさらに良く見えるだろいう!という考えなので、注意が必要です。

Nostalgic Letter / 懐かしい手紙

I recently found an old letter from a gap in the bookshelf.
The sender was Dr. Shotaro Yoshida who was the pioneer of the lens design before and in the midst of WW-2.
Though he was 9 years older than my Father, he never lost the purity and curiosity about Optics through his life.
He passed away at the age of 102, in 2015, which was 2 years after my father passed away.

 吉田正太郎先生の手紙が本棚の隙間から出て来たのでご紹介します。
吉田先生は、父より9歳年上でしたが、事、光学関係については、生涯少年の心を失われませんでした。
 好奇心も旺盛で、私のような者の話も、興味深く聞いてくださり、時にプリズム関係では、「・・・理解できない」と言われたことを逆にご説明するという、おこがましいこともさせていただきました。
 年代的な宿命から、レンズ設計では、日本軍に協力する運命にありました。しかし、先生はレンズの研究がしたかったのであり、戦局には全く興味はありませんでした。
 それでも、東条英機名の辞令を大切に保管しておられ、コピーをいただいたことがありました。確か、”特殊カメラ” の研究で、今思えば、”シュミットカメラ”のことでした。
偵察用の航空機カメラでしょうね。

The Bamboo Shoot, the seasonal food of Japan/ 旬の”筍”

“Takenko”(Bamboo Shoot) is one of the seasonal food of Japan.
But I know it was not regarded as food along with the algae by Western People.
The episode of Japanese lieutenant accused by the WW-2 prisoner at Tokyo trial of the abuse of feeding him with the Bamboo-Roots eloquently show how the Bamboo Shoot was regarded by the Western people.
Nowadays, there may be more western people who know the ethnic Japanese foods such as “TAKENOKO”.
 筍を頂いた。引き抜いたままの物ではなく、すでに茹でてあく抜きまでしてくださっていた。
山椒の葉は、家内が庭で栽培していたもの。旬の味と香りを堪能させていただいた。
 欧米では、筍は、海藻と並んで、食べ物とは見なしていなかった食物なんだけど、最近の日本食ブームで事情は少しは変わったのかな? 第二次大戦中に、捕虜に筍を食わせたことで、戦犯告訴された例が有名ですよね。^^;