Mr.Wengler set to me some new photos.
ドイツのWenglerさんが新しい写真を送ってくださいました。
WenglerさんがAstroPhysics Starfire 7inch – BINO(18cm3枚玉アポ)の 新しい写真を送ってくださいました。 見事の一言です。
Innovation of Astronomical Telescope
正立ミラーシステム(EMS)を開発した松本龍郎のサイト。 たった2回の反射で天体望遠鏡の像を正立像にします。
Tatsuro Matsumoto; Inventor of the EMS, Erecting Mirror System. EMS offers non reversed upright image with no additional undesirable abberations.
新年、明けましておめでとうございます。 今年の年賀は年内に書くことが出来ず、いただいた分から返信させていただいています。 失礼の段、お許しください。(店頭のお客様用の2000枚は年内に発送したのですが・・・)
さて、今日は昨年末に斜位矯正をして非常に喜ばれた例をご紹介します。
斜位矯正
一般には、メガネは視力を補正する道具だと思われていますが、それだけではありません。
年末に相談に見えた中年男性は、数十年来複視(二重像)に悩まされ、これまでにあらゆる医療機関やメガネ店にかかったが 問題は解決せず、諦めており、運転免許はもとより、職業さえ制限を余儀なくされていました。
私が検眼してみますと、かなり深刻な斜位、というより斜視と言った方が良いほどの眼位の異常がありました。 しかも、ずれは上下方向と水平方向にまたがり、それらをベクトル的に合成して矯正に要したプリズムは片方で5pd(プリズムディオプトリー(1mにつき、 5cmのずれ))に達していました。
プリズム矯正の実用的限界に近い度数でしたが、この方の二重像は直ちに解消し、感激していただいた次第です。
この方の例は極端ですが、明確な自覚につながらない場合でも、斜位を持つ方は多く、未熟な検査の網をくぐっているはずです。 遠視も誤解されているものの代表で、これも「メガネは視力を補正するもの」という短絡的な認識からは到底理解が及ばないようです。 とくに若年者ほど遠視は自覚されにくく、本人が納得しない場合は、症状が顕在化するまで放っておくしかありません。 ただ、正視眼の人が3時間集中できる近業が2時間、あるいは1時間でダウンすることも起こりうる訳で、ある意味では人の一生をも左右しかねない 問題なのですが。
視機能の発達途上の幼児の強度の遠視を放置すると、調節と輻輳のアンバランスから斜視になり、複視を回避するために 脳が効き目でない方の眼の情報を遮断するので、その眼は廃用性の弱視になり、成長後にレンズでの矯正を試みても視力が補正できなくなるのです。
年末に見えた方は、矯正視力が左右共0.3くらいあり、完全に弱視化していなかったので、成長期後に発症したものと思われますが、 逆に片方の眼(効き目でない方)が弱視化していなかっただけに、そのつらさも相当なものだったと思われます。
新年、明けましておめでとうございます。 今年の年賀は年内に書くことが出来ず、いただいた分から返信させていただいています。 失礼の段、お許しください。(店頭のお客様用の2000枚は年内に発送したのですが・・・)
さて、今日は昨年末に斜位矯正をして非常に喜ばれた例をご紹介します。
斜位矯正
一般には、メガネは視力を補正する道具だと思われていますが、それだけではありません。
年末に相談に見えた中年男性は、数十年来複視(二重像)に悩まされ、これまでにあらゆる医療機関やメガネ店にかかったが 問題は解決せず、諦めており、運転免許はもとより、職業さえ制限を余儀なくされていました。
私が検眼してみますと、かなり深刻な斜位、というより斜視と言った方が良いほどの眼位の異常がありました。 しかも、ずれは上下方向と水平方向にまたがり、それらをベクトル的に合成して矯正に要したプリズムは片方で5pd(プリズムディオプトリー(1mにつき、 5cmのずれ))に達していました。
プリズム矯正の実用的限界に近い度数でしたが、この方の二重像は直ちに解消し、感激していただいた次第です。
この方の例は極端ですが、明確な自覚につながらない場合でも、斜位を持つ方は多く、未熟な検査の網をくぐっているはずです。 遠視も誤解されているものの代表で、これも「メガネは視力を補正するもの」という短絡的な認識からは到底理解が及ばないようです。 とくに若年者ほど遠視は自覚されにくく、本人が納得しない場合は、症状が顕在化するまで放っておくしかありません。 ただ、正視眼の人が3時間集中できる近業が2時間、あるいは1時間でダウンすることも起こりうる訳で、ある意味では人の一生をも左右しかねない 問題なのですが。
視機能の発達途上の幼児の強度の遠視を放置すると、調節と輻輳のアンバランスから斜視になり、複視を回避するために 脳が効き目でない方の眼の情報を遮断するので、その眼は廃用性の弱視になり、成長後にレンズでの矯正を試みても視力が補正できなくなるのです。
年末に見えた方は、矯正視力が左右共0.3くらいあり、完全に弱視化していなかったので、成長期後に発症したものと思われますが、 逆に片方の眼(効き目でない方)が弱視化していなかっただけに、そのつらさも相当なものだったと思われます。
ウチの愛猫”ゴン”です。家内が独身時代から飼っていた猫で、17歳を越えます。
ゴンを題材にして娘のスピーチコンテストの原稿を書いてみました。
Gon, my cat is more a member of our family than just a pet. We have lived together for as long as I can remember. When I was a little girl, she was not only a good friend but also an older sister to me because I am an only child.
I don’t know when our roles changed exactly but she has come to love and rely on me, just as if I were her mother, even though she’s four years older than I. Every time I come home from school, she comes to greet me from wherever she was sleeping in the house. She doesn’t want anything from me, except to be picked up and scratched on the back while cuddling her on my lap.
Though she can’t speak, she can express herself and I can always understand her feelings by the way she meows. Especially when she is “purrfectly” happy and content.
She’s 17 cat years old, which is the equivalent to 80 or more human years. She’s not as fast as she used to be, but she’s still very agile. She can jump up on the chair next to mine when she wants to be petted. Now just imagine an 80-year-old woman jumping as high as her own height, that’s a pretty amazing thing to do, don’t you think?
When I study late into the night or when I’m sick she watches me and never leaves my side.
This is why she is so special to me. What an amazing creature!
You’re probably wondering why “she” is called” Gon”. Well, my mother was still living with her family, when one day one of her piano students gave her the cutest little kitten. My mom’s younger sister mischievously named her”Gonzaemon” which happens to be an old fashion name for a male cat in Japan, and since then she’s been known as “Gon”! Gon gave birth to several kittens, and my mother chose the most handsome kitten and named him”Leo” and gave the rest away.
Soon after that my mom decided to marry my dad and she thought it would be too much to ask him if she could bring two cats with her into their new home. So she decided to leave Gon and her son with her parents in Shimane Prefecture.
However after a few months, she told my dad how much she missed her cats and how worried she was about them because her parents really didn’t like animals all that much. My dad immediately understood her feelings and they drove 5 hours one way just to pick up the cats!
Leo was no longer there but Gon was and my mother remembers that it was like she had been waiting for her to come back to take her home.
Her new life with my parents was about to be disrupted again, though. A little more than a year after she came to live with them, my parents were expecting me. Just a few months before I was born my mom became very anxious about whether or not a cat was a good thing to have around a new baby so Gon was sent to live with my aunt.
Gon finally came back to live with us after I became a year old. We haven’t been separated since then and never will be again. I still feel a bit guilty for what she went through because of me and I intend to stay by her side and make her last years, her best years.
Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;
ドイツのWenglerさんより、EMSを使用した3台の自作BINOと、これまた自作のニュートン反射BINOの画像を 送っていただいたので、取り急ぎ掲載させていただきます。
メールアドレスの掲載の可否やや反射BINOの詳細についてのご返事がまだありませんが、また詳細が分かりましたら追加いたします。 3台の屈折BINOの素材鏡筒は以下の引用文(Wengler氏からのメールから抜粋)の通りです。
”some time ago I promised to send pictures of my binoculars, realized with Your EMS-systems. FinalIy, I will send You fotos of my three refractor binos, 1. AstroPhysics Starfire 7inch, 2. AstroPhysics Traveler and 3. AstroPhysics Stowaway.”
ドイツ初のEMS-XLはAstroPhysicsの18cmアポに使用されました。
鏡筒の詳細につきましては、 Astrophysicsまたは代理店のHPをご参照ください。
Wenglerさんのcraftmanshipには感心させれらます。
10月28日追加
Wengler さんより反射BINOの追加説明がはいりましたのでご紹介します。
The newton is a 10 inch f6, mirrors are from Barry Arnold/Canada and measured on a Zeiss interferometer to have am rms error of 16 and 18 nanometer. The coatings are from Spectrum Coatings. Focuser is from Darastro/Canada. It is special in that You can change interpupillary adjustment without changing focus.
The azimut bearing is a modified Giro 2 mount. Both carbon tubes with cradle have a total weight of only 65 lbs, the base of 25 lbs.
鏡筒を回転させないのに目幅調整でピントが狂わないようにしています。さすがですね。
(lbsはポンドの略) (10月28日)
さて、ここしばらく・・・っというより、 ずぅ~~~と晴れ間がなくて、 なかなか、外に双眼鏡を構えられません。 それでも、何とか、晴れ間が多少のぞいたとき、 星空を覗き見しております。
やはり、15㎝の集光力と、双眼で覗ける迫力は、 何物にも代え難い逸材であります。 もちろん目の錯覚なのでしょうが、 奥行きがあるのですよね。
それに、星見人の会に来られた強者たちが 声をそろえていった言葉が、 画がひじょうにシャープだとのことです。 EMSの光軸調整にそれぞれが合わせなければならないために、 多少の不便があったようですし、 見慣れるのに多少の時間が必要でしたが、 『これはいいね』の言葉が多かったです。
はやく、網状や北アメリカ、 それと、射手座付近の星雲を覗き見したいです。(2002,9/1)
続報(2002年10月5日)
台風21号が大気の塵を吹き飛ばしてくれた日に、 笠井トレーディングに発注しておいたスーパーネビュラフィルターが到着。 早速EMSにスーパーネビュラフィルターを装着しまして まったく雲のない快晴の夜空にSCHWARZ150S-BINOを持ち出し、 スーパーネビュラフィルターの威力を体感することになりました。
アイピースはこれまた笠井のMC広角アイピースEW-25mm/70°【2インチ】 倍率は30倍。 以前から、みずがめ座のNGC7293らせん状星雲を眼視にて目撃しようと、 努力してみたのですが、いかんせん北緯44度17分の地では、 地上高の低い淡い天体は、大気に遮られ観ることは出来なく、 SCHWARZ150S-BINOの集光力を持ってしても、探し出せませんでしたが、 この日は、ほんの数秒で目的の天体NGC7293を導入できました。
見事の一言に尽きます。 写真で見慣れた『らせん状星雲』が視野いっぱいに広がり、 互いの星雲が重なり合い螺旋の詳細まで確認できました。 それからは『いて座』方向の、干潟、三列、オメガ、各星雲を 確認していき、詳細な構造を確認するに至りました。 圧巻は網状星雲の詳細なフィラメント構造が手に取るように確認できたのは、 背中が震えました。
フィルターなしでも網状星雲は確認できていたのですが、 詳細なフィラメント構造までは、無理でしたので、感動はひとしお。 また、プレイアデスがある程度まで高くなってきたところで、 フィルターをはずして、観望したところ・・・・・ プレイアデスの周りに、もやもやが・・・・・・・・ 『うっ・・・くも???』 そう思い裸眼で確認しても雲ひとつ無く、 またのぞくと、もやもや・・・・・・・あれ? 今度は、7×50の双眼鏡でプレイアデスをのぞいても、雲は見えません。 そうです、プレイアデスを覆う【プレイアデスの手前とも言われておりますが】 青く淡い星雲が見えたのです。
大口径短焦点屈折鏡の威力を体感いたしました。 レンズのコーティングにばらつきがあっても(^^;)、 鏡筒の塗装に傷があっても(^^;)、 15㎝の集光力に、なんの支障はありません。 短焦点屈折鏡の色収差は避けられない壁ではありますが、 低倍率での星雲星団観望には、なんの支障はありません。
これから、冬に向かい、ばら星雲、馬頭星雲、わし星雲を 観るのが楽しみになりました。
SCHWARZ150S-BINOという触媒をかりて、 夜空を散歩するのが、本当に、本当に、楽しいです。 これに、スーパーネビュラフィルターが加わり、視野が広がりました。
ただ、難点を申し上げれば、 EMSを鏡筒に繋ぐ支点が2カ所だけというのは、心許ないです。 実際、鏡筒を外に持ち出したときや、 アイピースに目を近づけ過ぎたときなど、EMSが動いてしまいます。 せめて、3点支持で補強をしたいところです。
赤井 宗光
Munemitsu Akai
Comment by Matsumoto/管理者のコメント;
本日(2002年9月1日)、赤井さんよりいただいたメールから抜粋させていただきました。 快く承諾していただいた赤井さんに、改めてお礼申し上げます。
写真は、8月24,25日に北海道風連町で開催された”星見人の会 2002 in 風連”で撮影されたものです。 SCHWARZ150S-BINOのフードに、同会で講演された国立天文台長の
海部宣男先生のサインが見えます。
2002年10月5日に臨場感溢れる続報をいただき、私も興奮してしまいました。
仰角切り換え型 ニュートン反射式双眼望遠鏡
EMSは、そのフレキシブルな像回転と仰角調整の機能により、シーフを含むあらゆる光学系の正立系となり得ますが、 今回は、ニュートン式の反射望遠鏡への応用例の一つを発表させていただきます。
側面図のように、EMSをバズーカ砲のように折り返して使うと、目標に対して対面視で正立像が得られます。(上図は、双眼にした時、対面視での右眼鏡筒、 あるいは逆視での左眼鏡筒を示しています。鏡対称で図を複製して補えば双眼鏡筒になります。)
これは4回(偶数回)反射の正対面視なので、主鏡の光軸の回りに全系あるいは筒先系を回転させても像が回転しません。 つまり、この使用法では、鏡筒接眼部(EMSなしの時の光束の出口;以下説明略)の位置角が自由なので、 まず、EMSの第1ユニットを反射する主光線Bが垂直面内に属すように鏡筒の接眼部の位置角を設定します。 この時、水平位置に対しての鏡筒接眼部の下向き勾配が√2:1となります。
次に、この状態からEMSの第2ユニット(アイピースと一緒に)を主光線Bを軸として 180度回転させると、第2ユニットからの主光線Cは、主光線Aにシフトします。
正面図でこの状態を示しました。
A位置は、逆視用の位置とも言えますが、 120度対空の位置でもあり、像はCの状態から第2ユニットの射出面を基準にして180度回転しますが、観察者も180度向きを変えて観察します ので、これも正立像であることが分かります。
逆視系で背後を観察する事は、対空型の望遠鏡で天頂オーバーを観察することであり、正立像の望遠鏡を天頂 オーバーに向ければ、私たちが反り返って天頂より後ろを見ているのと同じで、像が一見逆さまに見えるのが正常なのです。
一方、EMSをそのままの形で180度逆視(目標に背を向ける)用に取り付けると、4回(偶数回)反射の逆視なので、 全系あるいは筒先系の主鏡の光軸の回りの回転によって像は回転角の2倍の角度で回転します。 これで双眼視が可能になるのは、 左右の鏡筒の接眼部が同軸で対面するように鏡筒を固定した時のみで、望遠鏡の規模が大きく なるほど、天頂付近の観察姿勢に無理が生じます。
さらに、その時の像は一見正立像に見えますが、 前記の対面視での正立像のような正常な立体視は得られず、立体感が遠近逆になってしまいます。これは、逆視をすることで左右の眼と左右の鏡筒が 入れ替わっているからで、また、視点を変えて敢えて天頂を越えて対面視で観察しますと、逆視で正立像だと信じていた像が、実際には 倒立像であったことが理解できます。この状態で、望遠鏡をパンすると、像が逆向きに逃げるので、その事からも、逆視では見かけ上の正立像が実は倒立像 であることが分かります。
つまり、上図のようなC,Aの仰角切り換えタイプでは、どちらのポジションでどの方向に望遠鏡をパンしても 像の動きが矛盾しない正立像と正常な立体視が得られることになります。対象の高度角の45度付近を境として、対面視と 逆視(または120度対空視)を選ぶことで、常に快適な観察姿勢を得ることが出来ます。
(屈折式と逆に、仰角が増すにつれて接眼部の位置が高く なるので、Cのポジションでも高度角60度くらいまでは楽に観察できることが予想されます。)
補足事項:
2枚の小さい方形のミラーを用意し、ブック型に保持し、その角度を直角から少しずつ鋭角にして自分の眼の 2回、3回、4回反射の逆視像を作り、ミラーの全系を視線の回りに回転させた時の像の回転の様子を観察してみることをお勧めします。
奇数回反射では裏像になっていることの他、逆視の奇数回反射では像が回転しないこと、偶数回はその逆であることが ご理解いただけるはずです。正対面視の場合は、全くその逆で、市販の手持ちの双眼鏡の折り畳み式の眼幅調整の根拠になっています。
あとがき
EMSの応用性の広さについては、未だに十分にご理解いただいていない 印象が強く、この度、試作品の製作を待たずにその一例を発表させていただくことにいたしました。
上記は、ほとんど無限の可能性を秘めたEMSの応用のほんの一例に過ぎず、その変形タイプまで含めるとEMSにはまだまだ優れた応用が山ほどあり、試作をする時間が無いことが歯痒くてなりません。
(図は慌てて描いたもので、無駄な補助線の消し忘れがあり、お見苦しい点があることをお詫びします。)
(2002年9月30日)
EMSは、そのフレキシブルな像回転と仰角調整の機能により、シーフを含むあらゆる光学系の正立系となり得ますが、 今回は、ニュートン式の反射望遠鏡への応用例の一つを発表させていただきます。
側面図のように、EMSをバズーカ砲のように折り返して使うと、目標に対して対面視で正立像が得られます。(上図は、双眼にした時、対面視での右眼鏡筒、 あるいは逆視での左眼鏡筒を示しています。鏡対称で図を複製して補えば双眼鏡筒になります。)
これは4回(偶数回)反射の正対面視なので、主鏡の光軸の回りに全系あるいは筒先系を回転させても像が回転しません。 つまり、この使用法では、鏡筒接眼部(EMSなしの時の光束の出口;以下説明略)の位置角が自由なので、 まず、EMSの第1ユニットを反射する主光線Bが垂直面内に属すように鏡筒の接眼部の位置角を設定します。 この時、水平位置に対しての鏡筒接眼部の下向き勾配が√2:1となります。
次に、この状態からEMSの第2ユニット(アイピースと一緒に)を主光線Bを軸として 180度回転させると、第2ユニットからの主光線Cは、主光線Aにシフトします。
正面図でこの状態を示しました。
A位置は、逆視用の位置とも言えますが、 120度対空の位置でもあり、像はCの状態から第2ユニットの射出面を基準にして180度回転しますが、観察者も180度向きを変えて観察します ので、これも正立像であることが分かります。
逆視系で背後を観察する事は、対空型の望遠鏡で天頂オーバーを観察することであり、正立像の望遠鏡を天頂 オーバーに向ければ、私たちが反り返って天頂より後ろを見ているのと同じで、像が一見逆さまに見えるのが正常なのです。
一方、EMSをそのままの形で180度逆視(目標に背を向ける)用に取り付けると、4回(偶数回)反射の逆視なので、 全系あるいは筒先系の主鏡の光軸の回りの回転によって像は回転角の2倍の角度で回転します。 これで双眼視が可能になるのは、 左右の鏡筒の接眼部が同軸で対面するように鏡筒を固定した時のみで、望遠鏡の規模が大きく なるほど、天頂付近の観察姿勢に無理が生じます。
さらに、その時の像は一見正立像に見えますが、 前記の対面視での正立像のような正常な立体視は得られず、立体感が遠近逆になってしまいます。これは、逆視をすることで左右の眼と左右の鏡筒が 入れ替わっているからで、また、視点を変えて敢えて天頂を越えて対面視で観察しますと、逆視で正立像だと信じていた像が、実際には 倒立像であったことが理解できます。この状態で、望遠鏡をパンすると、像が逆向きに逃げるので、その事からも、逆視では見かけ上の正立像が実は倒立像 であることが分かります。
つまり、上図のようなC,Aの仰角切り換えタイプでは、どちらのポジションでどの方向に望遠鏡をパンしても 像の動きが矛盾しない正立像と正常な立体視が得られることになります。対象の高度角の45度付近を境として、対面視と 逆視(または120度対空視)を選ぶことで、常に快適な観察姿勢を得ることが出来ます。
(屈折式と逆に、仰角が増すにつれて接眼部の位置が高く なるので、Cのポジションでも高度角60度くらいまでは楽に観察できることが予想されます。)
補足事項:
2枚の小さい方形のミラーを用意し、ブック型に保持し、その角度を直角から少しずつ鋭角にして自分の眼の 2回、3回、4回反射の逆視像を作り、ミラーの全系を視線の回りに回転させた時の像の回転の様子を観察してみることをお勧めします。
奇数回反射では裏像になっていることの他、逆視の奇数回反射では像が回転しないこと、偶数回はその逆であることが ご理解いただけるはずです。正対面視の場合は、全くその逆で、市販の手持ちの双眼鏡の折り畳み式の眼幅調整の根拠になっています。
あとがき
EMSの応用性の広さについては、未だに十分にご理解いただいていない 印象が強く、この度、試作品の製作を待たずにその一例を発表させていただくことにいたしました。
上記は、ほとんど無限の可能性を秘めたEMSの応用のほんの一例に過ぎず、その変形タイプまで含めるとEMSにはまだまだ優れた応用が山ほどあり、試作をする時間が無いことが歯痒くてなりません。
(図は慌てて描いたもので、無駄な補助線の消し忘れがあり、お見苦しい点があることをお詫びします。)
(2002年9月30日)
EMS-M ユーザーの坂本です。
私は鳥の観察に松本式正立双眼鏡を使用しております。
数キロ先の遠方にいる鳥の観察のため、かねてから双眼望遠鏡の必要性を感 じ、以下の3条件を兼ね備えた機種を探していました。・当然、正立像であること。
・アポクロマート屈折で微細な部分まで観察可能なこと。
・アイピース交換式で、超広角アイピースが使用できること。
しかし、都合良く思うような製品がなかったので、天体望遠鏡を利用して大型 双眼鏡を自分で組むことにしました。
松本氏のホームページは当時から光軸調整について大変参考にさせていただ き、EMSも使ってみたいとは思っていたのですが、動き回る動物を観察する のに、直角対空型がどの程度使えるのか不安があったので、ポロプリズムを用 いて組んでみることにしました。
ポロ型地上双眼鏡でまずまずの成果は得られたのですが、光軸を追い込んでい くと、悩ましい問題が発生してしまいました。光軸調整装置の微動にともなう ガタをなくそうとすると微動装置が大型になり、逆にコンパクトにまとめよう とすると脆弱になってしまいます。シフターなどの粗動装置では、アイピース 交換時の微妙な光軸のずれには対処できません。やはりEMSしかないなと思 いました。
直角対空型に少々の不安を残しながら、松本氏にご相談のメールをお送りしま した。氏は天体門外漢の私にも懇切丁寧にアドバイスをしていただき、「人間 の体は下を向くように出来ている」という言葉でEMSの購入に踏み切り、氏 の適切なアドバイスのもと、松本式FL80S-BINOが組上がりました。架台は業務用 のビデオ撮影用三脚を使用しております。
使用してみると、やはり視界のクリアーさと鋭さが印象的です。プリズムの影 響がないということはこれほど違うのかと、改めて実感します。直視の単眼倒 立像である程度わかっていたつもりですが、双眼・立体視になるとその差は歴 然としており、知人の言葉を借りれば「いつまでも見ていたい」見え具合で す。直角対空も対象を導入してしまえば気にならず、顕微鏡を見ている感覚で 楽に観察が出来ます。
超広角アイピースが使用できるのも、市販品にはない大きな魅力です。私は超 広角アイピースとして笠井さん扱いのツァイス12.5mm 90°を使用(合焦の問 題でアダプターを工夫しましたが)しておりますが、約50倍、見かけ視界90° の双眼視は快感です。
EMSの光軸調整機構は非常にコンパクトかつ合理的で、機材全体の軽量化と 剛性の向上を図ることが出来ました。アイピース交換時の微妙な光軸調整も可 能なので、高倍率をかけることも容易です。プリズム型の地上望遠鏡では80mm クラスのフローライト機種でも60倍程度が限界のように思いますが、EMSマ シンでは100倍程度でも暗くはなるものの、像自体は十分実用に耐えると思いま す。遠方の対象や、羽毛の1枚1枚といった細かい部分の観察を望まれるバー ドウォッチャーにも是非お勧めしたいものです。
天体観測に使用した際の性能は、先輩のユーザーの方々が詳しくレポートされ ている通りです。
動物については、群をなしている対象の観察が魅力的です。カモやシギ・チド リ類の群を80°オーバーの超広角でみると、とても楽しいものです。立体感が あり、クリアーな像が目前に広がり、臨場感も抜群です。
双眼視は見ていて疲れないので、遠方に飛翔する鳥類を見つけやすく、シャー プな像なので、シーイングがよければトビくらいの大きさであれば5キロくら い離れていても、しっかり形が分かります。通常の機材ではとっつきにくい海 鳥も楽に観察できそうです。今から秋のワシタカ渡りのシーズンが楽しみで す。超広角で見るタカ柱はさぞかしおもしろいことでしょう。
なお、私は双眼鏡をファインダー代わりに取り付け観察しています。直角対空 型による導入の難しさも解決されます。
今は目幅調整機構がありませんが、いずれは平行移動台座の作製にも挑戦し、 目幅の異なる方にもEMSマシンで見る世界のすばらしさを体験していただけ るようになればと思います。天体関係のアイピースが使用できるのでデジタル カメラでの撮影も手軽です。最近流行のデジスコ(デジタルカメラ+フィール ドスコープ)による写真撮影を考えられている野鳥や動物好きの皆様にも、E MSは強力なパートナーとなると思います。
最後に、素晴らしい機材と世界を提供してくださった松本龍郎氏に感謝いたし ます。
坂本 泰隆
Yasutaka Sakamoto
Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;
坂本さんは、20枚以上の美しい写真を送ってくださり、本頁に掲載させていただく分を 選別するのに、随分と迷いました。 広大な大自然を背景に光に満ち溢れた写真集に、自分が引き込まれて行くのを感じました。
天文マニアは、天体望遠鏡は夜、星を見る道具だと思い勝ちですが、一番身近な天体である美しい地球を眺めないのは、 実にもったいないことであることを坂本さんに改めて教えられた思いです。
この度の坂本さんの投稿は、バードウォッチャーの方の初めての投稿であることと、 EMS-M(双眼用カスタム仕様)を使用した自作例である点で、非常に新鮮で、新たにご参考にして いただく部分が多いと思います。
EMS-MはEMS-LとEMS-Sの間にあって、見過ごされやすいようですが、 今回の坂本さんのリポートを機会に、光路長が短く、30mm60度クラスの 2インチアイピースまで使用できるEMS-Mの存在意義を見直してみていただけますと幸いです。
坂本さんのFL80S-BINOは、外観が美しいばかりでなく、取手、架台、双眼鏡ファインダー等が 合理的にコーディネイトされていることが写真から見て取れます。 また、同時にいただいたメールから、「左右の視野環が完璧に合致した。」 とのことで、組立も完全であることが分かります。事前にポロプリズムで双眼の自作を経験されていたことも プラスに貢献したのだと推察します。
90度対空が地上風景観察に支障が無いことも、坂本さんが実証してくださいました。 これには、90度対空型に相応しい架台高というものがあるのですが、坂本さんがこれを良く理解されて いることが分かります。 「屈折望遠鏡は長い脚に載せるもの。」という固定観念を持つ方が多いように見受けますが、 直視や45度対空同様に長い(高い)脚に載せてしまっては、90度対空のメリットが活かせません。
坂本さんのFL80S-BINOは、非常に軽量、コンパクトで機動性に富んでいるようですので、 ぜひ、天体を含めた観測の続報をお願いしたいものです。
記念すべきEMS-ELの1号機を送ってもらい感謝しています。 と同時に恐縮もしていました。(プレッシャー?)
当初予定していたミザール127ミリ鏡筒の幅が広く、用意した架台では作れない ことが判明し、困ってしまいました。
目幅に関しては、私の目幅が67ミリくらいなので+70ミリで大丈夫だと思ってい ました。製作に時間がかかると思い、EL受注開始の案内前から部分的に作り始め ていて、肝心の鏡筒が後になってしまいました。
月、惑星の観望が好きです。高倍率での観望はかなり疲れます。低倍率はミヤウチ の双眼鏡です。疲れたあとに双眼鏡を覗くとほっとします。肩から力が抜けリラック スして空を眺められます。それが双眼望遠鏡を作ろうと思ったきっかけです。
これから長焦点の双眼を作るのにかなり時間がかかりそうです。それまでELを使わ ない手はないと思い、昨年の12月からマゼラン102Sをテストで使っていまし た。
今回はマゼランをもう1本取り寄せて双眼望遠鏡を作ってしまいました。 長い方は作戦を練り直し、時間が取れるようになってから再開したいと思います。
当然のことながらマゼランにELを装着すると合焦の問題が発生します。 それは2インチのアダプターを加工してぎりぎりまで薄くして31.7アイピース PL32ミリで合焦し、ヘリコイドにも余裕がでました。 もちろんそのままでは2インチアイピースは使えませんが、 まだ2インチアイピースを所有しておりません。完成のめどがついたら 取り寄せるつもりでした。
したがって、ELは当分の間はマゼラン双眼で31.7アイピースで使います。 かなり先になると思いますが、長焦点用ができましたらELを移し マゼランにM型を購入して2インチ仕様を考えています。
鏡筒切断を考えましたが、自分できれいにできないのでパスです。 旋盤がないと難しいでしょう。
光軸調整はレーザーコリメーターを使用しましたが、やはり目のほうの問題が 大きいように感じました。いつも松本さん、服部さんのホームページを参考に させていただいています。しかし、作業も観望も一人で行っているので、どれくらい 正確にやれているか不安があり、それに自分のアイピースを覗くレベルが高いと は思えないので注意が必要でしょう。
というわけで、今回は予定と違うマゼラン102S双眼望遠鏡ができました。 作り直した部分もありました。調整は済んでいて現在稼動中です。 まあ、2インチのアイピースは次回のお楽しみという事にします。
最後になりましたが、EMSを使った感想です。 まず単体で覗いた瞬間に気持ちがいいと感じました。 クリアーな正立像が見られるようになったのは実に嬉しいことです。 それに双眼の立体感は素晴らしいですね。 これから星を見る気持ちとスタイルが変わることでしょう。 好きだけれども疲れると思っていたことが リラックスして楽しめる生活の一部になると思います。
双眼望遠鏡が天文のスタンダードになることを願っています。 これからもよろしくお願いします。それではまた
吉谷 稔
Minoru Yoshitani
Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;
(松本の返信=★);
吉谷 稔 様
★ さっそくにリポートをいただき、ありがとうございます。> 双眼望遠鏡の完成(できた)報告。
> 記念すべきEMS-ELの1号機を送ってもらい感謝しています。
> と同時に恐縮もしていました。(プレッシャー?)
> > 当初予定していたミザール127ミリ鏡筒の幅が広く、用意した架台では作れない ことが判明し、困ってしまいました。
> 目幅に関しては、私の目幅が67ミリくらいなので+70ミリで大丈夫だと思って
いました。製作に時間がかかると思い、EL受注開始の案内前から部分的に作り始め ていて、肝心の鏡筒が後になってしまいました。
★ それは大変残念でしたですね。 フード径が137mmを越えるということでしょう か。 少しくらいなら、工夫すれば何とかなるかも知れませんよ。
> 月、惑星の観望が好きです。高倍率での観望はかなり疲れます。低倍率はミヤウチ の双眼鏡です。疲れたあとに双眼鏡を覗くとほっとします。肩から力が抜けリラック ス して空を眺められます。それが双眼望遠鏡を作ろうと思ったきっかけです。> これから長焦点の双眼を作るのにかなり時間がかかりそうです。それまでELを使 わない手はないと思い、昨年の12月からマゼラン102Sをテストで使っていまし た。
> 今回はマゼランをもう1本取り寄せて双眼望遠鏡を作ってしまいました。
> 長い方は作戦を練り直し、時間が取れるようになってから再開したいと思います。
★ そうでしたか。
> 当然のことながらマゼランにELを装着すると合焦の問題が発生します。
> それは2インチのアダプターを加工してぎりぎりまで薄くして31.7アイピース PL32ミリで合焦し、ヘリコイドにも余裕がでました。
> もちろんそのままでは2インチアイピースは使えませんが、
> まだ2インチアイピースを所有しておりません。完成のめどがついたら
> 取り寄せるつもりでした。
★ 繰り出し装置を改造すると、約20mm光路長が稼げます。
より太く、短いGS繰り出し装置にするとさらに稼げます。
> したがって、ELは当分の間はマゼラン双眼で31.7アイピースで使います。 > かなり先になると思いますが、長焦点用ができましたらELを移し
> マゼランにM型を購入して2インチ仕様を考えています。
> 鏡筒切断を考えましたが、自分できれいにできないのでパスです。 > 旋盤がないと難しいでしょう。
★ 鏡筒の切断は、気長に慎重にやれば、手持ちでの金切りノコでも結構ちゃんと切 れるものですが、SYNTAの鏡筒の繰り出し装置は内径が細いので、鏡筒を切断して単 純にバックフォーカスを延ばそうとすると、ドローチューブ末端の内径で口径がかな りケラレる心配があります。(恐らく、8cm口径くらいになってしまうでしょう。) 繰り出し装置の短縮が良いようです。
> 光軸調整はレーザーコリメーターを使用しましたが、やはり目のほうの問題が > 大きいように感じました。いつも松本さん、服部さんのホームページを参考に > させていただいています。しかし、作業も観望も一人で行っているので、どれくら い正確にやれているか不安があり、それに自分のアイピースを覗くレベルが高いとは 思えないので注意が必要でしょう。
★ ただ、EMS-ELはミラー自体の光軸がほぼ完璧に調整した状態で固定してあるの で、扱いは非常に楽だと思います。
> というわけで、今回は予定と違うマゼラン102S双眼望遠鏡ができました。 > 作り直した部分もありました。調整は済んでいて現在稼動中です。
> まあ、2インチのアイピースは次回のお楽しみという事にします。
★ それは残念ですね。 今はちょっとバックオーダーに追われていて、時間的な余 裕がありませんが、お時間をいただけば、繰り出し装置の短縮加工等、よろしければ お手伝いさせていただきますよ。
> 最後になりましたが、EMSを使った感想です。 > まず単体で覗いた瞬間に気持ちがいいと感じました。 > クリアーな正立像が見られるようになったのは実に嬉しいことです。 > それに双眼の立体感は素晴らしいですね。 > これから星を見る気持ちとスタイルが変わることでしょう。 > 好きだけれども疲れると思っていたことが > リラックスして楽しめる生活の一部になると思います。
> 双眼望遠鏡が天文のスタンダードになることを願っています。 > これからもよろしくお願いします。 > それではまた
★ もったいないお言葉、本当にありがとうございます。
よろしければ、マゼラン102S双眼望遠鏡の画像を見せて頂けませんか。 HPにユーザーリポート、もしくは画像だけでも掲載させていただければ 幸いなのですが。(ご多忙でしょうから、無理にとは申しません。) ありがとうございました。
以上、私の返信文もそのまま掲載させていただきました。
いただいた2枚の写真共、大変美しい画像です。モノトーンの鏡筒や架台に、 ハンドルのオレンジ色がほっとするアクセントを与えています。
それぞれの撮影アングルも、この双眼望遠鏡の特徴を親切に見せてくれています。 HPをご参考になったのでしょうか、平行移動台座も見事に出来ていて、機能性が万全であることを 伺わせます。
フォークの固定ネジも、ノブ付きに変更しておられ、収納運搬にも配慮してあります。
非常にタイムリーにEMS-EL-BINOのリポートをくださった吉谷さんに、改めてお礼 申し上げます。