Pinkish Orion Nebular by silvered 20cm-EMS-BINO/ ピンク色のオリオン大星雲 by 20cm-EMS-BINO

Mr.OKAMOTO in Toyama Pref.

      2009年11月14日

【銀ミラーの効果】

 一昨日11時半ころから1時ころ 快晴の空の下、銀コートで武装 した20センチF7屈折EMSツインでM42付近を散策してみました。 EWV32 84度のアイピースからこぼれそうなくらいの星空 (自宅なのでバックは明るいですが)を見ながらふっていくと  おやっ?いつもの見なれたM42と違う、  おおっ!淡く ピンク 色に見える。 眼の錯覚ではないか? 先日月明かりの下で見た 時もやや色がついて見え、もしかしたら とはとは思っていたのですが。 もう一度裸眼で夜空を見上げ、校正をかける。 そして覗く、  やっぱりピンクだ!今までは 明るい緑色やや赤銅色の南の翼 しか確認 できなかったのですが。

 頭、ベールのようなやわらかい北の翼、しっかりとした南の翼、が濃淡 のあるピンク色に発光し トラペジウムの近くは黒く抜け、(ガスを消費した結果なのか輝星の 眩惑なのかさだかではありませんが)、そしてさらに周りはモクモクとした グリーンのガスが取り巻き、一部はやや青みがかってさえ見えます。

 写真は作られた色調であり、本当の姿ではありません。 今見ているそれこそが ”30光年まで近づいた宇宙船からの光景”か、 と思うと感慨深いものがあります。  かつて40センチ反射ツインを作った目的も ”オリオン星雲をカラーで見たい” が目的の一つでした。

 そしておそらく最も早く、両眼視でオリオンカラーを視認できた仲間 の一人になれたことを感謝します。 さらに暗い空に下で検証してみたい と思います。                    とりあえず報告まで

ps

残念ながら燃える木もやっとで、とても馬頭は無理でした クロマコールは片方だけ入れると彩度が上がりました 。両方 ではあまり変化ないような感じです。 もうALミラーには戻れません。(単眼に戻れないのと同じくらい) もう一つ、 言ってみたいですね。 ”もうアクロマートには戻れないなんて”

 最高の贅沢を有難うございました。 でも一人で覗いたのでやっぱり夢ではないか?信じられません 今度フィルターも試してみようと思います。

 もし公開されるのでしたら、もう少し待っていただけませんか。 間違っていてご迷惑をかけてはいけないので、誰かと 見てみないと。 あまりにセンセーショナルなので自分でも 信じられないのです 。夢だったのかも? 当日はカラーの観測像が眼に焼きついて いましたが今は写真のイメージと同化してしまいました。

 今後 干潟星雲や 三裂星雲 それらが実際の色 ピンクや 青が見えることが予想されます。 

      2010年4月18日

【やはり本物でした】

 さて去年メールしました、銀ミラーの色再現性についてですが やはり 間違いないようです。

2月に20センチ屈折ツイン銀ミラー仕様をもって愛知県の元気村に遠征 、 このときはある方はこのようにコメントされました。

( 20cm屈折双眼でのM42を見て) あんなに明瞭に星雲の色を感じたのは初めてとのこと 眼視にはこんな世界もあるのかとびっくりされた方もいましたが、 いや色が着いてるとは言えないという方も。どうも個人差はあるようです。

 そして。なかなか星仲間と観望会を開ける機会がないまま4月中旬 となり、やっとある程度の経験者と合同で観望する機会にめぐまれました http://astrobinobicycle.at.webry.info/201004/article_3.html のとおりですが オリオンはやや傾いていたものの透明度がよく近くに3日月があり、色の校正が 自然にできていた事にも助けられたものと思います。

 見た方の第一声は いやー これ色着いてるやん 。やはりM42は基本 的に 淡いピンクの星雲であることを 認識できるものでありました 3時ころやや透明度が落ちたオメガ星雲、干潟 三裂星雲とも残念ながら 色は感じられませんでした。25センチなら可能かも知れません。

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

 去年の双望会は天候に恵まれず、せっかくの20㎝BINO by銀ミラーを 見せていただくことが出来なかったのですが、実はその少し後の11月に、 上記の感動的なメールをいただいておりました。掲載を今日まで延ばした理由 も、上記文章より自明ですが、岡本さんの責任ある慎重なご姿勢がよく表れています。

 この度、岡本さんが満を持して発表してくださいましたが、多重反射実験での銀ミラーの 反射特性がそのまま実証された感じがいたします。長波長域で反射率が落ち込まないことの効果 には私たちの予想を超えるものがあるようです。

 岡本さん、今度は25cmの銀ミラー化が待っていますね。 当方の都合により、今回の銀ミラー蒸着の第3回ロットには 入れられませんでしたが、双望会までには間に合わせたいと思っています。 きっとまた銀ミラー仕様の 25cmED-EMS-BINOが未知の世界を 切り開いてくれることでしょう。

BLANCA115EDT-BINO

 1月の末、115EDT-BINOを受け取ってからずっと天候不順だったため、まったく星を見ることができませんでした。鳥取訪問から4週間近くたった先日、ようやく晴れた夜空にきれいな半月を見つけ、待ちに待ったファーストライトとなりました。 仕事から帰宅すると急いで2階にかけ上がり、自室に置いているBINOをベランダへと移動。月へと照準を合わせたのでした。

人生伴侶のテレスコープを松本式BINOに

 星に興味を持ち始めたのは小6の頃でしょうか。中学時代の星仲間は小型の望遠鏡を使っていましたが、私は藤井旭著「星雲星団ガイド」の中の、双眼鏡でもこれだけ見えるよ、という解説を参考にビクセン7×50の双眼鏡を買ってもらい、以後高校までそれを愛用していました。ところが、大学時代に購入した初望遠鏡のFC-76セットの見え味には、期待が大きかったせいか正直に言って満足できず、次第に星から興味が遠のいていったのでした。

 その後30年たち、目の衰えが気になりだしてから、もう一度宇宙の美しさをこの目で楽しみたいと思うようになりました。まずは手頃なBORG77EDを購入。星に地上に望遠レンズにとマルチに活躍してくれましたが、やはりよく見える望遠鏡が欲しくなり、次の機種の選考に入りました。さまざまな鏡筒や架台、それに双眼装置との組み合わせなども考えましたが、最終的に松本式BINOに決定したのは、始めに星を見る道具として双眼鏡を選んだ経験が強く影響していることは間違いありません。

鏡筒選定

観望場所は基本的に自宅のベランダです。自宅だと部屋からすぐ持ち出せるのは良いのですが、市街地に近いため、よく晴れた日でも3等星がやっとの悪条件です。対象はどうしても月惑星が多くなりそうです。よって選定条件として、収差が少なくシャープで、組み立てた状態で容易に持ち運びでき、価格もリーズナブルなこと、を重視しました。松本さんに10cm前後のEDアポを相談したところ、その頃発売されたBLANCA-115EDTは?、とすすめられ、私も実は気になっていたため、即これに決定することができました。ただし移動距離が長かったならば、より軽量な10cmEDアポか12cmF5を選んでいたのではないでしょうか。

取り扱い

 鳥取まで受け取りに行った際に、松本さんから本当に詳しく説明してもらいました。また、長年の地道な改良のお陰でしょう、全体の構成がシンプルで扱いやすく、昼間に何回か練習を行っていたため、EMSも含めて夜間でも操作に迷うことはありませんでした。

 組み上がったBINOは、3枚玉アポのしっかりした対物セルのために本体重量が17.8kgと、(予想していたとは言え)少し重くなってしまいました。そこで部屋での保管時にはEMSを外した状態にして、ベランダ設置時にアイピースの付いたEMSを取り付けることにしました。また付属のパランスウエイトは、やや重量不足だったため思いきってはずし、その代わり足首用のトレーニングウエイトを巻き付けて調節することにしまた。(写真の赤く見えるのがそれです)。それらの工夫で、移動時の本体重量を15kgまで減らすことができました。

 アイピースは必要最小限の構成にしたかったため、まずEWV-32mmと2倍ショートバローを、そして中高倍率用にイーソス6mmを購入、2インチサイズで揃えました。これらを組み合わせて25倍、44倍、133倍、233倍が得られます。

ファーストライト

 早速ベランダにBINOを設置して、いきなりイーソス6mm133倍で月を入れてみました。視野が広いためにスポットファインダーで十分です。目幅、ピント、EMS調整をすると・・・「これが月なのか!」・・・というのが第一感想です。当日はシンチレーションが悪く、それでもユラユラゆれる気流の向こう側に、これまで見たことのない月が浮かんでいます。次第に双眼視に慣れてくると、細かいクレーターや山脈、谷などが、まさに立体的な風景として目に飛び込んでくるのです。片目とはまったく別物、Google Moonの写真とも違う双眼視だけの「体験」です。当初6mmでは倍率が高すぎたかなと思っていましたが、広い視野いっぱいに色付きのない月面全体を眺めながら、ある一カ所に注意を集中すると驚く程細部まで地表の形態を「感じる」ことができます。1本で中倍率と高倍率を行き来できる、と言えばよいのでしょうか。コントラストも片目で見るよりは、ずっと強く感じます。

 月が沈んだ後気がついたのですが、その夜は2等星までしか見えておらず、どうも薄雲がかかっていたようです。そこでM42は確認程度にして、今度は昔よく見ていたシリウス下のM41を入れてみました。星々は暗めですが、双眼鏡では雲状に見えていた微恒星が無数の光の点として確認できます。さらに驚いたのが星の色です。M41内の比較的明るい星ならば赤や緑の色がはっきりわかります。特に赤がしっかり出ている印象で、星の色の違いを明確に感じることができます。赤色を正確に反射する銀ミラーの効果なのでしょう。星の色の差を認識できる、ということが、こんなに楽しいものとは知りませんでした。

 この日は月を妻や子供達にも見せました。家族にいきなり双眼視は難しいため、その時はEMSを逆はの字に回転させ、2連望遠鏡として使用しました。こんな変則的な使い方ができるのも松本式BINOならではですね。

それから数日後、気流のおだやかな、絶好の夜がやってきました。再び月を…、ゆらぎがないため前回よりはるかにすばらしい眺めです。コペルニクスは、そこから四方八方に広がる「猛烈な」起伏、詳細に見えるクレーターの淵や内部様子が本当に見事で、30分以上同じ所を眺めても全然見飽きません。もっと地形を勉強しなければ!。倍率は、バーローをつけた233倍よりは、133倍の方が月には合っている(少しまぶしいですが)、と私は感じました。何しろ全景と詳細が同時に見られるのですから。

 月明かりの中、次はM42です。トラペジウムを見るのは初めてでしたが、133倍ですぐにそれとわかりました。4つの明るい星のそばに5番目の星が微かに確認できます。事前に写真などで星の位置関係を知っていれば、6番目も見つけられたかもしれません。星像ににじみがないため、当初の予想以上にすっきりと気持ちよく対象を見ることができます。これで夜空の暗い場所で観望したなら、一体どんなふうに見えるのか…、当初の予定になかった欲望がわき起こります。

Life with BINO

 朝目覚めると、真っ先にBINOの姿が目に入ります。使わない時はコンパクトに部屋の隅にたたずみ、いざ星に向けるとすばらしい光景を見せてくれる。完成した115EDT-BINOは、これからの人生に無くてはならない存在になる、そう予感します。それに昔愛用していた双眼鏡が、姿形を変えて戻って来たかのような懐かしさもあるのです。今度の「双眼鏡」がどんなすばらしい世界を見せてくれるのか、これから末永く楽しんでいきたいと思います。松本さん、そして理解ある家族に感謝します。

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

藤原さんより、BLANCA115EDT-BINOの第1号機のリポートをいただきました。
 星見を7X50の双眼鏡からスタートされ、また本来の双眼に戻られた形とのことで、大変光栄に思います。  当1号機は、新たな部分が多く、随分とお待たせしてしまいましたが、寛大にお待ちくださり、また遠路を 車で引き取りにお見えくださいました。

  このサイズ規模のBINOが、鏡筒平行移動か、鏡筒固定で目幅クレイフォード方式かの分岐点ですが、今回は よりシンプルな構造を希望されたため、後者の方法を採用することになりました。 後者の方法は、小規模のBINOの場合、EMSの第1と第2のユニットの間隔が、目幅クレイフォードを挿入するのに十分確保できない場合が多く、毎回苦心するのですが、今回は新たな構造により、さらなるlow-profile化を達成しました。

 HF経緯台も、幅広改造をしない方向で進めました。 ただし、最終的にはどうしてもほんの少し(10mmほど)幅が足りなくなったため、大手術を施すことなく、特殊な形状のスペーサーを作ってうまく対処しました。

 ファーストライトでこのBINOの色の再現性の良さに気付かれたのは、さすがです。製作者である私自身は、実際にBINOで星を見る機会は少ないのですが、屋内の壁に掛けている赤い散光星雲の天体写真を、アルミ、銀、それぞれのミラー(1回反射)で反射させてみると、1回反射の段階ですでに区別できて、非常に興味深いものです。 自分の顔を映してみても歴然ですが、銀とアルミは、健康人と病人くらいの顔色の違いがあります。普段 見慣れている姿見の鏡も、実際の色を再現していないことが分かります。相対的に銀の方が赤味がさして見えるのですが、その 血色が忠実な再現なのであり、普通の鏡の色の方が嘘なのです。

 足首用のウェイトをうまく利用されました。 フードの伸縮も前後のバランス調整に有効ですが、フードを 常に伸ばして使われたい場合は、他の場所で調整しないといけませんね。  

 この度、藤原さんにはファーストライトのご感想をタイムリーにご報告いただき、本当にありがとうございました。 これから気候も良くなりますので、またじっくりと観察された段階での追加リポートをお待ちしております。

刻舟求剣 (Searching for a sword by marking the gunnel)

“Searching for a sword by marking the gunnel.” is the fable from the Chinese classics written more than two thousand years ago. The original story is for a stupid man who was optimistic when he dropped his sword out of his ship. He said marking the gunnel of moving ship that “There will be no problem. I can take the sword at the marking point of the gunnel at the next port.” I just remembered the fable after the series of exchange of Q and A with a novice binosocpe user. It is not only for the “Novice” but is the warning to all of us including myself at thinking of an appropriate strategy for collimating the binoscopes.

「舟を刻みて剣を求める・・」というのは、紀元前の中国の古典由来の言葉です。 昔、楚の国の人が、動いている舟の舟べりから剣を落としてしまいました。 でも、その人は少しも慌てずに 落とした所の舟べりに印を付け、「次の港で、この舟べりの傷の所で潜って取るから心配ない。」と 言ったとのことです。 古典の趣旨は、舟の動きを大きなスパンでの時間(時勢)の流れと捉え、より深い意味での訓話としている らしいのですが、もっと素直に文字通りに捉えても、直接的な教訓が読み取れると思います。 先日、20年前の(赤道儀用)回転装置が調整のために里帰りしたことを、製作情報速報でご紹介しました。 鏡筒を外して、回転装置のみを送って来られましたので、かなり酷い管理状況(20年間、注油等のメンテの形跡がなく、埃まみれというよりも土まみれの状態^^;で、目幅調整も動かない状態。)だった装置をオーバーホールし、返送しました。

ところが、ユーザーの方より、「左右の望遠鏡の高さが合わない。」というご指摘があり、メールもFAXも 使えない方だったため、問題が、「光軸が合わない。」という意味だったと分かるまでにかなりの日数を要しました。 鏡筒バンドの下に紙等のシムを挟むようにご指導したところ、また数日後に電話をかけて 来られ、「1cmの厚さの物を挟んでもほとんど改善しない・・・」とのことで、結局、今度はEMSを 一式送って来られました。 そのEMSも清掃して再調整し、返送しました。 一緒に、当サイトの光軸調整関連項目をどっさりとプリントアウトしたものも同梱しておきました。

それから1週間後の今日、初めてその方からお電話があり、万事解決されたかと思ったのですが、 やはり解決しないとのことで、よくよくお話を聞いてみたところ、シムを前後の鏡筒バンドの下に 均等に挟んでおられたことが判明しました。 これだと、何センチ挟んでも変化が無いわけです。^^;  ということで、やっと疑問が氷解し、今度こそ、解決されることでしょう。

数百メートル先の地上物であっても、手元での鏡筒の少しの平行移動は光軸調整には、何らの関与もしませんが、相手が天体なら尚のことです。我が家で見ている月の方向は、お隣の中村さんの家からも、向かいの鈴木さんの家から見ても同じ方向なのです。ところが、角度のずれは鋭敏に影響し、どんなに酷い光軸ずれであっても、大抵は片方の鏡筒バンドの底に厚紙1枚挿入するだけで状況が激変します。

角度が変化しないようなシムや変形をいかに駆使しても、調整にはならないのです。 4本の鏡筒バンドをメガネ型に結束したシンプルなBINOは、バンドを少し緩めてBINO全体をほんの少し捻り、光軸が 復元した段階でバンドを締め直すと、簡単に光軸が復元出来ますが、これについても、 なかなか理解できない方があり、頭を捻らされたことがあります。
最終的には理解していただきましたが、その方は、鏡筒を光軸を軸として回転(これも確かにねじりですね^^;) させておられました。^^; これも、ちゃんと出来た鏡筒の場合は、何の意味もありません。 これで調整が出来たとしたら、鏡筒自体の光軸のスケアリングが著しく狂っていることになります。

ただ、この”事件^^;”は決してこの方だけの問題ではなく、レベルに応じて私たちは簡単に間違いを犯してしまう、ということを自戒させられずにはいられません。 まずは、「20年問題なくBINOを使って来たのだから、基本的な 使い方は理解しているだろう。」というのが、私の最初の思い込みだったわけです。
(ただ、不幸中の幸いだったことは、20年前のEMSには、X-Y調整機構が無かったということです。これがもしあったら、この方はもっと迷宮の奥に入り込んで、二度と外に出られなくなっていたに違いありません。^^; また、まだネットがほとんど普及していなかった20年前、「FAXで視覚情報がやり取り出来ない方のご注文は 受けられません。」と言った私に熱心に製作を依頼された方だったことも、じわじわと思い出しました。)

冗長になってしまいましたが、基本からの調整マニュアルの作成の重要性を再認識させられた事件でした。 納期がずれ込んでいるバックオーダーとの二重苦ではありますが、何とか早くまとめたいものです。

楚人有渉江者。
其劍自舟中墜於水。
遽契其舟曰、是吾劍之所從墜也。
舟止。從其所契者、入水求之。
舟已行矣。而劍不行。
求劍若此、不亦惑乎。

 

MAINTENANCE OF THE EMS MIRRORS / EMSミラーのメンテナンス

From top…..;

0. You can use blower spray to blow the dusts off on the mirror. But be careful not to blow the liquid of the spray on the mirrors.

通常の清掃には、エアーダスターをご使用ください。ただし、スプレー缶内の液がミラーにかからないように ご注意ください。 使い始めのスプレーや、缶を斜めにしたりすると、液が出やすいのでご注意ください。 また細い先ノズルがエアーと一緒に抜けて吹き飛ぶことがありますので、事前にその部分はセロテープで補強しておいてください。

1. When you mistakingly blow the liquid on the mirror, or you find the mirrors dirty after long period of time; wipe the mirror with tissue paper soaked in absolute ethanol.

スプレーの液を誤ってミラーにかけてしまった時や、長期間のご使用で、スプレーでは落ちない汚れが付着しましたら、 無水エタノールで浸したティッシュペーパーで拭いてください。無水エタノールは薬局で500mlが¥1,000少々で売っています。無水でないといけません。(素早く乾燥する必要があるため、エーテルを混合するとさらに良いが、エーテルは署名捺印が要り、注文となるでしょう。無水エタノールで十分です。)

2. Of course, you should take off the sleeve and the filter to access the second mirror.

当然ながら、第2ミラーにアクセスするために、まずはスリーブやフィルターを撤去してください。

3.and 4. If you don’t want to take the barrel off, you should at least unscrew off the entrance aperture. You need not a special tool to do it. You have only to hook your fingers to unscrew the aperture. When it is too tight to unscrew, you can use rubber sheet or something to protect your finger.

バレルの分解が億劫な方は、遮光環だけでも外してください。遮光環を外すのには特殊な工具は要りません。 ただ指をひっかけて矢印の方向(右ネジが緩む方向)に強くねじるだけです。 固くて緩まない場合は、ゴムシート等で 指を保護して行ってください。(必ず緩みます。)(左手にデジカメを持って撮影に苦労していたら、遮光環が裏返し になっていました。^^;)

5. Then soak the tisse paper in the absolute ethanol.

テッシュペーパーに無水エタノールを少し滲み込ませます。 別にこの容器を準備する必要はありません。

6. Don’t save on the paper. Never wipe more than one stroke. You should dispose the paper in each stroke. Of course, when you see any dust on the mirror, you should blow off the dust in advance of wiping.

But, you don’t have to be too nervous of hurting the mirror as long as the tissue paper is wet and new. The mirror surface has enough durability in wet-wiping because it is dielectlic over coated on the silver coatings.

この時、決してティッシュペーパーをケチらないこと。^^; 1ストローク拭いたら必ず捨てて、もう一回拭きたい場合は、新たなティッシュペーパーで同じことを繰り返してください。同じティッシュでの2度拭きは禁止です。

ただ、拭くこと(あくまで濡れ拭き)に関して、必要以上に神経質になる必要はありません。 EMSのミラーは、銀コートの上を誘電体膜で保護していますので、ここに書いたメンテくらいでミラー面が傷むことはありません。 むしろ、汚れを放置する方が有害であり、またせっかくの銀ミラーの性能が目一杯に発揮されません。

Alignment of EMS-BINO(EMS-BINOの光軸調整について)

EMS-BINOを開発して以来、性能の向上と納期の短縮に全力で努めて来たものの、全てを一人でこなして来たため、 使用マニュアルの作成等のソフト的な部分がどうしても二の次になって来ました。

自転車に乗れる者は、自分が乗れなかった頃の感覚を思い出すのは難しく、どうしても当たり前のことと考えてしまう 傾向があるようですが、最近、EMS-BINOのユーザー人口が増えるにつけ、自転車の補助輪に当たるような補助手段も、 ユーザーによっては用意しておくべきかな?と感じ始めました。

雪上スポーツ(移動手段?)に例えると、市販の双眼鏡は、乗りさえすれば誰でも斜面を滑り降りることが出来る、 舵付きのソリのような物です。 一方、EMS-BINOは、(誤解を恐れずに言うと)多少スキーに似たところがあるかも知れません。 初心者がいきなりリフト に乗って山頂に上がっても、下を見て怖くなって、結局はスキー板をかついで斜面を歩いて降りるハメになることもあるか も知れません。

スキーであれば、まずはボーゲンを覚えるだけでも、結構な関門があります。それから進んで、両脚を揃えて華麗にター ンが出来るようになるには、かなりの精進を要します。 ほとんどの人が、スキーに接する前に自転車を乗りこなしてお り、曲がる際に重心を遠心力と反対方向に傾ける自転車の習慣が、ほとんど本能的に身に付いています。スキーの曲がり 方は、それとは全く逆で、ターン時には常に谷足に重心を移動しないとけないので、最初はなかなか受け入れ難いものの ようです。

しかし、スキーと比べると、EMS-BINOの光軸調整のハードルは、桁違いに低いと言えます。本当は、“習得”という言 葉を使うこと自体が間違いなくらいで、むしろ“約束”と言うべき内容です。

EMS-BINOの光軸調整は、使用者の“勘”で調整するのではない、ということを、まず理解してください。
ポケットの中の2枚の百円硬貨をきちんと揃えることは、手探りでも可能です。見ながらやれば、さらに確実です。 2枚の百円硬化を重ねて、ずれていたら、どちらかの硬貨の縁が外(又は内)に出ます。完全に重なると、真上から見れ ば、1枚の硬貨のように見えます。 これが、完全に揃った状態です。約束さえ守れば、この2枚の硬貨を揃えることと同じレベルで、確実に正確に光軸を合わせることが可能です。

ただし、ただやみくもにBINOを覗いていては、上記の2枚の硬貨の例のようには、像の位置(ずれ)が明確に特定でき ません。 なぜなら、私たちの眼の旺盛な輻輳力が、内寄りの光軸ずれの検出を埋没させてしまうからです。
それが、ある見方をすることで、その輻輳の介入を完全に排除でき、上記の2枚の硬貨と全く同じように、“ずれ”を客 観的にしかも非常に正確に見極めることが出来るのです。

その方法は、当サイトで繰り返し説明しており、それをちゃんと読んでくださっている方や、完成したBINOを当方で受け 取ってくださった方は、すぐにマスターされます。 どうしても当サイトを斜め読みされる方のために、再度、その説明 を試みます。

眼をアイピースのアイポイントから、25cm以上離します。もちろん、目幅が合っていることが前提です。すると、射出 瞳が一つの円になって融像し、その中に目標の像の位置(ずれ)を正確に検出することが出来ます。光軸が完璧であれば、 目標も、融像した射出瞳の円内に一つの像として融像して見えます。(左右の像が、それぞれの射出瞳の中で同じ相対位 置を占めていないといけません。)

この方法は、決して“勘”で合わすのではない、ということをご理解いただけたでしょうか。 従って、EMS-BINOは、 この方法を習得したユーザーであれば、光軸は常に完璧であり、逆に、これを理解していないユーザーのBINOは、ほぼ常 に狂っている、というわけです。極論すると、EMS-BINOは光軸が完璧か、大幅に狂っているか、の2種類しかなく、中間 はない、ということです。

後者に属する不幸なBINOを少しでも減らしたい、出来たらゼロにしたいと強く願い、どうしても正しい調整方法を理解 されない一部のユーザーが、本来の方法をマスターされるまでの一時的な補助手段としての、自転車の補助輪のような物 を何とか用意しよう、と思っているこの頃です。

さきほどの説明に戻りますが、まずは、ずれを客観的に検出するのが、調整作業に入る前の段階で重要なことです。右 の像が左の像に対して、どっちの方向にどのくらいずれているのか、ということを確実に知ることが出来なければ、調整 が完璧に行えるわけがありません。ただ漫然と、なんだか光軸が狂っているみたい?と、EMSの調整ノブをいじくり回すの は、道に迷った人が地図上の自分の位置を知らずに歩き回るのと一緒です。

この技(というほどのものではないですが)を習得しているかどうかを、市販の双眼鏡で確認できます。まず目幅を正 確に合わせた双眼鏡を三脚に固定し、目標を視野中心に入れます。それから徐々に眼をアイポイントから離して行き、さ きほどのように、射出瞳の円が一つに見えた段階で、左右の像が円内で同じ相対位置を占めているかどうかを見るのです。  基準内の誤差であっても、微妙なずれが検出できるはずです。 また、それでずれが無ければ、このチェックで初めて、 その双眼鏡が完璧に調整されていることを知ることが出来ます。

繰り返しになりますが、これは“技(わざ)”と言うほどのものではなく、当方にお見えになれば、90%以上の方が十秒 ほどで理解される方法で、一度理解されたら、次からはどんな双眼鏡であっても、その残存の光軸ずれを明確に言い当てる ことが可能になります。

この手法を習得していれば、たまたま遭遇した他人のEMS-BINOの光軸が狂っていたとしても、EMSのX-Y調整ノブをほん の少し回せば、瞬時に完璧な光軸を取り戻せますし、光軸ずれの方向も指摘することが出来ます。それが出来ない方は、 その狂ったEMS-BINOやユーザーを笑う資格はありません。(その方も同じレベルです。^^;)

私の地元の友人は、有名メーカーの大型高級双眼鏡を光軸の再調整のために3度もメーカーに送りましたが、それでも完璧にはなり ませんでした。(プリズムの大きさに余裕がないのも問題のようでした。(光軸がましになると、プリズムが偏って微妙 なケラレが出た))

EMS-BINOには、固定した“光軸”の概念そのものが無いので、市販の高級双眼鏡の光軸精度と同次元で比較議論すること自体 がナンセンスで、それは、天体望遠鏡を知らない方が、固定した倍率の概念を持たない天体望遠鏡に対し、「これは何倍 の天体望遠鏡ですか?」とよく質問するのと同じことです。

天体望遠鏡は、カメラのフランジバックのように、フォーカシングが固定しておらず、高精度なフォーカサーによって フォーカスが調整できるように、EMS-BINOでは、常に完璧な光軸が維持できるようにアジャスタブルになっているわけ です。

従って、EMS-BINOの調整機構を悪用すれば問題が無いとも言えませんが、適正な重心移動を行わないと滑れないし、 危険性もあるスキーについても、「スキーは危険な乗り物だから使用禁止にしよう。」という動きがあり得ないように、 ユーザーアジャストのBINOの存在自体を否定することは間違っているわけです。

EMSの光軸または原理に関する過去の日記;

EMSの種明かし

斜位テスト

EMS-BINOの調整

TOA130-BINO(Newest Version)

Mr.Takemori in Kanagawa Pref.

 一昨日は 忙しい中 お相手していただきどうもありがとうございました。 (ようやくネットの使える環境に戻ってきました)

昨日(日曜日)は原村の山小屋に到着すると よく晴れていたので 早速 Bino を組み立てて操作のおさらいをしてみました。

 EWVで星を見ると最初から左右の像が一致しており、少しアイピースから 目を離してみても ほぼ一致しているようで、再現性の高さに驚きました。

 月の出る時刻になっていたので、9mmのアイピースで、主に月と二重星 を見ることにしました。γAnd を導入したところ 正に天上の宝石ともい うべき美しさで、これはいままで体験したことのないい感覚です。αGem、γLeo、 それに月面もクリアかつコントラスト、色彩ともすばらしいも ので、銀ミラー効果か、鏡2枚が介在している感じは全くありません でした。

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

 7日に当方でTOA130-BINOをお引渡しした竹森様より、神速の第一報をいただきました、 まだ正式なリポートではないということでしたが、お願いして、いただいたメールの該当部分をその まま掲載させていただきました。 関東からこちらまで引き取りに見えるたのは、大変な労力だったかと思いますが、 お越しくださる方は、その努力に見合う収穫を持ってお帰りになると確信しています。  鏡筒単体着脱式のBINOを、最初から完璧に使いこなしてくださって、大変嬉しく思います。 この他、水平方向のバックラッシュが認められるとのご指摘をいただきましたので、急遽、ベアリングを 手配させていただいています。TOA鏡筒は、やはりトータルに組み立てた重量は半端でないため、水平回転軸にかかるアキシアル加重も 半端でなく、鏡筒径もピラー径も太く、天頂まで鏡筒を向けるために、重心のシフト量を大きくしたのが原因のようですが、改善の要素が 見付かる良いきっかけになりました。 (目下、新型中軸架台は一台ごとに改善を重ねております。) 架台の改善が終わり、本格的なファーストライトをされましたら、またぜひリポートをお願いします。  この度は、タイムリーなご報告をありがとうございました。

12cmF5-BINO

 さて、去る7月11日に、12cmF5BINOを受け取りにお店にお邪魔して以来、天候不順と月明かり のせいで、なかなかBINOをまともに振り回せず悶々としていました。 が、ようやく高気圧の張り出し域に スッポリと覆われて、先週8月15日に、自宅から比較的アクセスしやすい南房総の山中へ遠征してきま した。

 本当に待ちに待った日です。目的地への道中、お盆中でもあり帰省や行楽の渋滞も覚悟していまし たが、以外やスムースに流れました。夜行性の趣味にもメリットはあるようです。海ほたる方面の東京圏 の大光害域を背に南下してゆくと、右手にさそりのS字が傾きかけています。急がねば。しかし、後部シ ートには主役のBINOを寝かせているので、レーサー気分でつづら折れの山道を駆け上がるわけにはいきま せん。ここは、はやる気持ちを抑えて、粛々と歩を進めます。

 開放した車窓からは昼間の暑さは影を潜め、どこはかとなく秋の気配が忍び寄ります。到着するやいなや車から飛び出し空を見上げると、満天の星空 を天の川がサラサラと流れています。思わずこの地の山ノ神に手を合わせてお礼をつぶやきました。この 星見場は稜線づたいを通る林道の待避所的な平場で、昨年より時折足を運びます。
 首都圏の光害の影響はかなりありますが、 朝、晴れると浦賀水道、三浦半島越しに秀峰富士が拝め、地理的な開発の困難さが、 周囲の自然を色濃く残しています。また、江戸時代の南総里美八犬伝のゆかりの地でもあります。さらに 安房という名は、神武天皇の御世に四国阿波から派生したもので、古代史を紐解いてゆくと、宇宙の成り立 ちまで到るそうです。かの地、鳥取で産声をあげたBINOに、星空を案内してもらうのにふさわしい、氣の 良い土地です。

 わくわくしながらも、あっけなくBINOを組上げ、光軸と眼幅を微調整。鼻歌交じりで誰で もいたって簡単。眼幅調整のクレイフォードのつまみをゆっくりと廻し、左右の視野円が合致したその時、 単眼時代の観望スタイルは粉々に砕け散りました。
 もちろん、双眼鏡での星空散歩は好きでした。何とい いましょうか、倍率による迫力、視野全体の透明感、迫力は50ccの原付スクーターとナナハンぐらいの 違いがあります。透明感は、車を運転中、雨がフロントガラスを濡らし始めたときと、ワイパーでさっと 拭い去った直後ぐらいの違いがあります。一般的な7倍50mmなどのスペックを持つ双眼鏡でさえこの 差ですから、単眼の望遠鏡ではいわずもがなです。誇大広告と公正取引委員会から怒られそうですが、数字 には現われない体感のインパクトに偽りはありません。こうなると、空の何処に眼を向けても、大満足 です。

 かつて、マクルーハンという学者が 「Media is message] なる言葉をメディア界に投げかけまし た。これは、個々人が情報をどのように解釈するかは、その内容よりも伝えるメディアそのものに大きく 影響を受ける。というものだったと記憶します。BINOにはメディア進化の可能性が大いにありますよ。 今、林の輪郭にアンタレスとM4が沈みかけています。急ぎ向けてみます。ターゲットを導入する際の操作 性、安定感、全体のバランス、どれも申し分なしです。長く付き合う道具とは、かくありたいものです。

 WS30mm 20倍 4゜強、M4が中心近くまで星々に分離されています。妖光を放つアンタレスと同一視野で の光景は絶品です。ここから、銀河に沿ってゆっくりと散策してゆきましょう。ファインダーは要りま せん。ただ、行きたいほうへ向ければよいのです。大抵、一つや二つ小さい散開星団や散光星雲が視野に ちりばめられています。背景には微光星の海原が拡がります。時折、有名どころの星雲星団に立ち寄る 際、視野の端で捉えてから中心へといざなうこのひと時がたまらずスリリングです。静止像は勿論の事、 視線を流している最中の動きのある光景も魅力です。このような感覚、楽しみは単眼では気づきません でした。旅人が旅のプロセスにこそ重きを置くような感覚です。

 夢中で操作ハンドルを握り締め ていると、あっという間に時間は過ぎ、天頂付近を飛翔する白鳥付近が視野に入ってきました。 この位置でもBINOの見易さにかげりは一切ありません。夥しい数の星の海をかきわけて、網状レムナント のある辺りへと進行します。もう、何も言えましぇん。一度、他人の30cmドブソニアンにOⅢ フィルターを通してハの字の東側のアップを見せていただき、いたく感動したこともありました。
 今、眼前に広がる漆黒の背景には、ハの字の両方がその独特な形状と濃淡をあらわに鎮座しています。 ノーフィルターです。何故か深呼吸をせずにはいられません。 ...。夜も更け東の空には雲越しに 下弦の月が山肌を照らし始めています。足早に、ケフェウス、カシオペア、ペルセウスと天の川を辿ること にします。低空の層雲が空を覆ってきました。足元ではコオロギが遠慮気味に独唱しています。残念ながら お開きのようです。

 そうそう、ボーグの60EDで夏の散光星雲を撮る予定でしたが、それどころではあり ませんでした。
 松本さん、この上ない素敵な道具をこの世に生み出していただき、ありがとうございました。 良い道具には、優れたデザインや高い機能性、利便性などの土台に、製作者の高次の志が脈々と息づい ています。利益最優先の大量生産により日常生活に流布する、さまざまな工業製品や農産物等々にもこう した高い志の復権が欲しいものです。
 今後もご健勝でわれわれ星見人を刺激し続けてください。私も 微力ながら、一人でも多くの人にこのBINOで宇宙の美しさを紹介できたらと思い、ペンを 置きます。

              サルスベリの紅白の花が満開の頃      玉川

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

 製作者冥利に尽きるリポートをいただきました。今までにいただいている数々の リポートもそれぞれに個性があって素晴らしいものばかりですが、久しぶりに感性にストレート に浸透するリポートに出会った気がいたします。

 単体の屈折式天体望遠鏡のランク表記に、(単レンズはもうあり得ませんね)アクロマート、 セミアポクロマート、2枚玉アポクロマート、3枚玉アポクロマートと、かなりのバリエーション があるわけですが、EMS-BINOの真価は、そういうランクの比較の次元の外にあるということを、 玉川さんが非常に分かりやすく説明してくださいました。

 もちろん、素材鏡筒を選べば、さらに素晴らしいことは事実ですが、決定的な部分はEMSが持つ 基本原理のシンプルさによる勝利に他ならないという事実が、昨今の鏡筒の高級指向の陰でかすんでしま うことに少々の危機感を持っておりましたので、この度は非常に良いタイミングで、私たちが原点を 見失わないように一喝いただいた気がするわけです。

 玉川さんの初対面の印象は、”天文マニア”のステレオタイプからはほど遠い、スポーツマン 的な立派な体躯の持ち主だったことですが、もっと忘れられないのが、『合理的な命や道具の裏には シンプルな数学の定理が隠されている。』という信念を深く共有する方だったことです。
 私の拙文である、『人類の至宝』もよくお読みくださっていて、玉川さんはその日、大変興味深い、 フィボナッチ数列(曲線)の話をしてくださり、一緒に大いに盛り上がりました。 5億年を生き抜いたオウム貝の巻き線等がこの曲線と合致するのだそうで、長年繁栄して来た合理的 な命や使い道具には、合理的でシンプルな数学の定理が隠されているということを再確認した思いでした。 EMSの種明かし

 ただ、数年前、箱型のEMS-Sユーザーの方が同新型を追加購入された際( その方はネットをしない方で新型の画像を見ていなかった)、「今度はサザエみないな奇妙な形だ・・・」 と不評だったことも印象に残っています。^^;この、サザエの形^^;を具現するために数百万円の投資をし た意義は、この方には理解できなかったわけです。
 ですから尚更、信念を心底共有できる方との出会いは貴重であり、何物にも替え難いわけです。

 蛇足を重ねて、せっかくの素晴らしいリポートを spoil してはなりませんので、ここらで締めくくります。

 また、追加リポートを楽しみにしております。

TMB130-BINO

 マツモトさんに製作を依頼したTMB130-Bino(シグニチャーシリーズ口径130mm/F7アポクロマート 鏡筒)が 7月に完成し、やっと星空を見る機会に恵まれました。 そこで、導入の経緯と観望しての印象について、報告させていただきます。

1 導入の経緯

 仲間が持っていたSky90-BINOで見せてもらったのが、Binoとの最初の出会いです。そのときに 見せてもらったM31が、はるか遠くにあるはずなのに、手前に浮き上がっているように見え、その不 思議な光景がずっと頭から離れませんでした。そこで、どうしてもBinoが欲しくなり4年前にマツ モトさんから12cmBinoを購入しました。

 Binoで星空を見ていると、時を忘れてしまいます。 仲間に見せると、だれもがじっと見入ってしまいます。そして、Binoを見て感動した仲間が、次々 とBinoを購入しました。FS102・CAPRI-102ED・ZS110と気がつくと購入した人はみなアポ鏡筒でし た。低倍率で見る限り12cmBinoで見る星空は決して10cmクラスのアポBinoに負けていません。 それどころか、淡い星雲は12cmの方がよく見えました。しかし、アポBinoで見る星像はシャープで すし、月や惑星の周りには全く色がつきません。もう少し大きい口径のアポで見たら、どんなにすばら しいかと思うとアポBinoが欲しくなり、その気持ちを抑えることができなくなってしまいました。

 アポ鏡筒をBinoにするために、まず考えたことは口径と重さでした。口径は12cmよりも大きく、 重さは21kgを超えないことが条件でした。TOA130Sを所有しておりましたので、これでBinoを作って もらおうかとも思いましたが、片方だけで10.5kgもあり、完成すれば21kgを超えることが予想されます。 また、150LD-Binoを使っておられる方々のレポートを読ませてもらうと、とても大きくて私には無理だ と思いました。TOAをBinoにすることはあきらめました。

 そんなある日、TMBシグニチャーシリーズ口径130mm/F7アポクロマート鏡筒が中古で出ているのを見て、 大きさといい、重さといい、Binoにするにはもってこいだと思い、すぐに購入しました。しかし、 もう一本同じものがなければBinoはできません。そこで、私が所有している機材をすべて手放して 新品をもう一本買うことにしました。当然、TOA130も手放すつもりでしたが、仲間から思い留まるよう に言われ、この鏡筒だけは手元に置いておくことにしました。30cmドブも28cmシュミカセも惜しいとは 思いましたが、両目で見る宇宙の魅力には勝てませんでした。

 さて、国際光器さんにもう一本注文してから3か月が経ち、やっと2本揃いました。そして、最初の TMBを購入してから待つこと4ヶ月。やっと待望のTMB13cmBinoが手に入りました。

2 観望の印象  Binoの取り扱いは慣れているつもりでも、今回のBinoは12cmのときとはその構造が違うた め、マツモトさんに直接お会いして、調整の仕方を教えていただくことにしました。

  マツモトさんには丁寧で分かりやすく説明していただき、そのおかげでファーストライトの折は何 も心配することなく、扱うことができました。ただ、どのBinoでもそうですが、アイピースを交換 するたびに、EMS調整ノブで光軸を補正しなくてはいけないのがちょっと面倒ではあります。

 今年の夏は、天候に恵まれず、せっかく出来上がったのに覗く機会が無くてイライラしていまし た。先月の終わりに一か八かでいつも行くG村へ行ってみました。
 すると、上弦の月が雲間から見えてい ました。逸る心を抑えつつ、筒を月に向けました。月の周りには全く色がついていません。クレーター のエッジも立っています。ときどき、月の前を雲が流れていくのですが、これがまたすばらしい眺めで した。明らかに12cmBinoとは違います。TOAに双眼装置を付けて見たのとも違います。明るさと いい、シャープさといい“アポクロマート双眼望遠鏡”で見る月はすばらしかったです。
 次に、上って たばかりの木星を見てみました。笠井のバローレンズ(2インチマルチショートバロー2X;マツモト短 縮改造1.75×)を取り付けイーソス8mmで約200倍で見ました。12cmとは1cmしか口径が違わな のに、とても眩しいのには驚きました。そして、模様が濃いのにも感動しました。色はニュートン反 射(15cmF9・鏡は足立製で38年前に自作)で見たのと同じで、とても綺麗でした。ピントを合 わせるときは振動がありますが、それもすぐに収まり、見かけ視界100度の中でじっくりと見ること ができました。これなら、赤道儀でなくても十分観望することができます。その他に雲間からM13を 見ました。これも12cmよりもはっきりと見ることができ、端まで星が分離して見えました。

 その後もG村へ持っては行くのですが、いつも曇りでなかなか見られませんでした。しかし、16日の 夜は運よく一時間程度見ることができました。 我慢強く晴れるのを待っておりますと、願いが叶ったの か、東の空から晴れ始めてきました。さっそく、M31、M33、hχ、M15といった秋のメジャーどころを観 しました。M31は何度見てもすばらしい眺めです。腕がどこまで伸びているのか、残念ながらコンディシ ョンが悪く確認はできませんでしたが、視野いっぱいに広がるその姿は圧巻です。また、hχも息を呑む 美しさでしばし見とれてしまいました。
 そのうちに、雲がとれはじめ夏の星も見えてきましたので、 M13、M57、M27とたてつづけに見ることができました。ただ、すぐにまた雲が出てきて、しばし休戦。 再び、雲がきれてきたところでもう一度、秋の空を流していると、今度は濃い霧が立ち込めてきて、 全く辺りが見えなくなってしまいました。さすがに、今度はいつ晴れるか分からないので、帰宅する ことになりました。まだ消化不良ですが、とりあえずご報告させていただきました。

 最後に、今、国際光器さんの松本さんにビクセンのジュラポール三脚(ニューアトラクス赤道儀 2000PC用)にHF経緯台を取り付けるアダプターを作っていただいております。これが完成す ると、もっと安定して見ることができるのではないかと期待しております。

                    星好き先生

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

”星好き先生”は、今回も奥さまとご一緒に、出来上がったBINOとの対面に わざわざ遠路をお越しくださいました。

 前回、12cmF5-BINOにご対面いただいてから早4年とは、月日の早さに驚かされます。 前回は奥さまが、闘病中だった犬のクーに優しく声をかけてくださったのが印象に残っています。 星好き先生には、12cmF5-BINOをしっかりと稼動させてくださり、多くの方にEMS-BINO入門の きっかけを与えていただき、さらにまたこの度、ハイエンドのBINOを作らせていただいたことに、深く 感謝しております。

 このTMB(Signature)130と、すでに販売中止になっている150LD鏡筒辺りが、1体構造のBINO の重量的な限界ラインに位置するようです。 星好き先生より今回のBINO製作の依頼をお受けした 時点では、大型の中軸式の架台のアイデアがまだ煮詰まっておらず、無難なHFフォーク式でお作りしました。

 リポート本文中で、「木星の色が過去に見たニュートン反射の色・・・」と 肯定的にご評価くださり、大変光栄です。
 それは一つには、色収差が非常に少ないTMB鏡筒と プリズムを通さないEMSとのコラボレーションの結果でもあるのですが、望遠鏡やEMSを通して 見える”色”について、最近衝撃的な体験をし、EMSのさらなる向上に着手しているところでございます。

EMS-ULTIMA coming soon

EMS-ULTIMA
Evolution from aluminum to Silver

EMS-ULTIMA, equipped with enhanced silver coated mirrors, is coming soon. The graph above shows its extraordinary reflectivity.
Dark blue line shows the relfectivity of one reflection, and light blue line shows that of two times reflectons. Note that the scale of the bottom of table is not “zero”, but “75 percent”.

Now that EMS has achieved not only the diffraction limited resolution but also the practically total reflection of the incoming light, there will be no reason even for the most conservative users to dispense with EMS in their visual observation.
I believe it declares the advent of the new age of visual Telescopes.

It has been well known that Silver inherently has very high reflectivity through the visible spectrum except for the violet. But at the same time, it is also widely known that Silver degrades rapidly. So a Silver coating has not yet replaced aluminum in spite of its attractive features.

特殊増反射銀コート使用のEMS-ULTIMA(EMS-アルティマ)がもうすぐ誕生します。 上のグラフは、この度EMSへの応用に成功した特殊銀コートの反射率特性です。青のラインが 1回反射の曲線、水色が2回反射後の曲線です。どちらも入射角は60度の場合です。表枠のボトムの スケールはゼロ(0)でなく、75%であることにご注意ください。驚異的な反射率を達成していることが お分かりになると思います。

これにより、EMSは、望遠鏡の解像度を極限まで引き出すのみならず、明るさの最終的な利得についても 実質上の全反射をほぼ達成したと言えます。このことは、未だに倒立像や裏像に固執される保守的なマニアで さえも、EMSを排除する根拠を失うものであり、眼視用の望遠鏡のあり方に於ける新時代の到来を宣言するものである と確信します。

金属としての銀が紫付近を除けば、可視光線(及び赤外まで)の反射率が理想的に高いことは古くから 知られていますが、同時に、その面が化学的に耐久性に乏しいことも広く知られています。 そのため、 銀コートはアルミコートを駆逐するには、現在までには至っていません。

Not yet, but not “not from now on”.
Now, EMS-ULTIMA is breaking the age long stereotype as a past one. Recently developed enhanced silver coating has achieved super high reflectivity through the total visible spectrum including violet and enough durability allowing the continual use in the air at the same time, and I have developed the way to realize it on the mirror of EMS overcoming many difficulties.
The average reflectivity through the visible spectrum per one mirror is as high as 98.5 percent, and 97 percent of the incoming light is secured even after 2 times of reflections.
Following is the history and process I have traced before reaching this ultimate goal.

しかし、それは”現在までは・・”という意味であり、”これからも無理・・・”という意味ではありません。 EMS-ULTIMA(アルティマ)が完成したら、上記の常識は直ちに覆されて過去のものになるわけです。 この度開発された増反射銀コートは、紫を含む全可視域で極めて高い反射率を達成し、同時に過酷な環境 テストにパスした、非常に画期的なものなのです。その蒸着を具体的にEMSのミラーに応用するには、また それなりの困難もありましたが、それらも全てクリヤーしました。

可視光線全域の平均反射率=98.5%で、2回反射後でも97%を達成しています。 以下に、この究極の コートを選択するに至った経緯をご説明します。

Attaining erect image at the right angle viewing with only two reflections itself is unexcelled feature of the EMS that cannot be substituted by any other devices. Judging from the least possible number of the reflection,”2″ of EMS, compared with the traditional devices of 4 or 6 times reflections, originally I did not think it urgent to additionally improve the reflectivity of the mirrors. So, I had chosen the traditional mirror of the highest visible reflectivity with time proven durability, among those that were available at that time.
The answer was “enhanced aluminum coating” that is the aluminum coating over coated by some layers of dielectric to boost the reflectivity of the normal aluminum and at the same time to enhance the surface durability.

2回反射のみ(しかもノンダハ)で90度対空の正立像を達成しているEMSの特長は、他のいかなる手段 でも置き換えることは出来ません。 従来の手段で同じことをしようとすれば、4回~6回の反射を要求するので、EMSのミラーの反射率を特に 上げることの性急性を当初は感じていませんでした。 従って、当時、長年の実績もあって、性能が 安定して反射率も高い、増反射アルミ蒸着を選んだわけです。増反射アルミというのは、通常のアルミ蒸着の 上に誘電体膜をかけて、反射率のダメ押しと表面強化を兼ねたものです。

Dielectric coating is becoming popular recently for its alleged remarkable reflectivity. But, regrettably, recent investigations showed that it is not suited for the purpose of higher index-angle, such as 60 degrees of the EMS, and thicker light cone of brighter optics of F/5 or shorter that should contain rays of wide range in index-angles. Dielectric coating is very critical about index-angles and causes unwelcome polarization, and we should know that the perfect reflection is given only under the optimum condition originally intended in the plan. Even by customizing the layer thickness and increasing the number of coatings up to hundreds layers to overcome the degradation at the higher index-angle, unwelcome byproduct effect will balance out the merit of its original super high reflectivity, along with the inflation of the cost.
Concretely speaking, there is a tendency of shortening the width of the peak plateau of the reflectivity, peak shifting to the shorter wavelength direction (violet shift), and cause drastic down turn at the longer wavelength or the counterpart.

誘電体多層膜ミラーが、「驚異的に高い反射率・・」というキャッチと共に、最近人気が 高まっていますが、残念なことに、EMSのような高入射角度(60度前後)の光学系や、F5程度以下の 明るい光学系には不向きであることが分かって来ました。後者も、いろんな角度から鏡面に光線が入射 するからで、やはり誘電体膜の入射角依存性が高いことがその理由です。

誘電体多層膜は、設計意図に合致して使わないと、その能力が目一杯に発揮されないのです。むしろ、誘電体多層膜 は、特定の波長だけを反射させるレーザー関係の素子としてその本領を発揮するようで、ブロードバンド の要求が高いほど膜数が増え、同時に弊害も生じます。 具体的には、入射角が大きいほど、また反射域を広く取るほど困難になり、膜数が100層を越えたりして、 コストも非現実的に肥大し、強い偏光等の副産物も生じます。

I have done some experiments on three kinds of coatings to check which is the most excellent and suitable choice for my purpose. Seeing the results of the experiments will help you understand why I have chosen the enhanced silver coating as the ultimate one for my EMS.

私は、1.増反射アルミ(当方で使用している物)、2.誘電体多層膜、3.増反射銀コート、の 3種類のペアサンプルを使用していくつかの実験をしてみました。 その結果を見ていただけば、 私がなぜ増反射銀コートを究極の物として選んだかがご理解いただけるものと思います。

Test 1: multiple reflection experiment-1;

If you hold a pair of mirrors in such a way that two surfaces closely face each other, and obliquely poke into the gap, you will see the endless line of your eyes of multiple reflections.

テスト1:多重反射実験1;

2枚の同種類のミラーを近接して対面させ、隙間を斜めに覗くと、あなたの眼の連続反射像を 観察することが出来ます。それは、反射のしくみから、1,3,5,・・・と奇数回でカウントアップ して行きます。

enhanced aluminum

enhanced silver

The largest image of the camera lens is the direct, number 1, reflection image and next to left will count up to 5,7,9,….times reflected images. Left photo is enhanced aluminum and the right is enhanced silver. いずれの写真も、右端の大きなカメラレンズが1回反射の像で、3回反射の像はどちらかのミラー の陰になって撮影できず、5回反射以降の像が写っています。写真に番号を振りました。左に行くほど 反射回数が増えます。 可視光線平均としては95%の高反射率を誇る増反射アルミであっても、 赤い光線の落ち込みによって、カラーバランスがどんどん崩れて行くのが顕著です。 また、デジカメのレンズ部だけでなく、ミラーを保持する私の指先も写っていますが、 銀ミラーでは、その健康な血色が20回反射を超えてもまったく褪せないことは驚きに値します。

Test2: multiple reflection experiment-2;

Two mirrors faced to each other in such a way that forward end touch each other like a book slightly opened. The set stayed on my visiting card. In this experiment, dielectric one showed worst in contrast, though brightness was rather good. (direct image is marked by a red circle.)

テスト2:多重反射実験2;

矩形の(アルミだけは楕円形)ミラーをブック型にわずか開いたペアを、私の名刺の上に置きました。 いずれの写真も、赤い印がダイレクト(無反射)像です。この実験では、反射率の高さでは 銀と同等だった誘電体多層膜の像のコントラストが極端に悪いのが印象的でした。(紗がかかった見え方)

enhanced aluminum

dielectric

enhanced silver

Test3:transparency test on dielectric mirror;
テスト3:誘電体多層膜の透過テスト;

diode key-holder light

passing through dielectric mirror

You can even see through fluorescent tube

I found rays passing through dielectric coating. If it reflects 98 percent of the incoming light, 2 percent of the light seems to go through it. I thought it very unwelcome feature when I aim at the superb image contrast. The photo witnesses the fact of the diode flashlight passing through the dielectric mirror.

何気なく誘電体多層膜ミラーを屋内からかざして屋外を見たら、明るい屋外の景色が透けて見えたので 仰天しました。ミラーを大きく傾けた際に顕著であり、視線に垂直にしたら外の景色が見えなくなったので、入射角 依存の関係で仕方ないのだろうと思いましたが、ダイオードライトで試したら、垂直でも完全に光を 通していることが分かりました。先の実験でのコントラストの低下と関係があるかも分かりません。

蛍光管も透けて見えます。例えば、誘電体多層膜ミラーの場合は、98%反射したとすると、どうやら2%の光は ほぼ透過しているようです。かすかな迷光を嫌って遮光シートを貼るほどの天体望遠鏡の使用目的に対し、 わずかでも光が漏れることは気持ちの良いものではありません。

Comparison of Silver and aluminum Coatings

銀とアルミの比較

comparison of reflectivities

From top to bottom, dark blue line represents one reflection by enhanced silver, light blue that of two reflections, red line one reflection by enhanced aluminum, green line that of two reflections.

You will find not only the extraordinary high reflectivity of the enhanced silver, but also the remarkable flatness of the line. Through these experiments, I have studied the fact that the flatness of the line is as important as the highness of it.

(No image processing has been done on the above photos of experiments except for trimming. And I must add that the silver sample mirrors were almost two years old since deposition at the experiment.)

グラフは、上から、青が1回反射の増反射銀、水色が同2回反射後、赤が1回反射の増反射アルミ、緑が 同2回反射後です。

増反射銀は、単に反射率が高いだけでなく、曲線が極めてフラットであることに気付かれたと思います。 この一連の実験から、私は曲線のフラットさが、その高さと同じくらいに重要であることを知りました。中央(緑付近)が 極端に突出した比視感度曲線が有名ですが、視感度が低い領域は重要でないというのは逆で、そうであるからこそ、 強い刺激を眼に入れてやらないといけないようです。

それと、私たちはミラーの反射率について、どうしても望遠鏡メーカーや販売店の公称値を 鵜呑みにする傾向がありますが、このような簡単な実験により、かなり正確に実際を検証することが出来ました。
たとえば、反射率99%と言っても、反射率曲線のピークや視感度のピークに於ける数値を言っている場合や、 可視域全体の平均と言っても、可視域の幅の定義の仕方で、その表面的な成績は随分と異なるものになります。 まして、入射角依存のことなどは全く認識されていないのが通例のようです。
それと、何よりも大切なことは、単なる数値では表しにくい要素こそがより重要であるということです。 いくら明るくてもコントラストが悪くては淡い対象を 認識できないわけで、高いコントラストと両立した上での高反射率が求められるわけです。  正直申しまして、当初は、現在まで使用して来たアルミ増反射以上の物を他のミラーに認めたくない気持ちもありましたが、 1回反射の段階ですでに圧倒的に鮮やかな自分の顔色を映す銀ミラーに強い衝撃を受け、今まで 嘘の色を見て来たことに気付かされたわけです。
この度は、先入観を捨てていろんなミラーを実際に試してみたことで、究極の物に出会えたことを大変幸せに思っています。

(実験写真は、どれもトリミング以外の画像処理は一切やっておりません。 また、 実験の時点で、サンプルの銀ミラーは蒸着からすでに、ほぼ2年経過していたことも付け加えておきます。)

Acknowledgement

I musn’t forget to extend my sincerest appreciaton to some of my friends who have assisted me devotedly. They have given me a lot of information about the silver coating and even have done durability experiments.
Above all, their encouragement helped me a lot to keep up going wih this difficult project.

謝辞

特殊銀ミラーのEMSへの実現に関し、数名のEMSユーザーかつ友人の方々には、貴重な情報のご提供 や、ミラーの耐久性テスト等で大変お世話になりました。 また特に、心よりのお励ましをいただいたことで、 このプロジェクトを最後まで諦めないで続けられたことに、この場を借りて深くお礼申し上げます。(2009年8月4日)

Durability test on the Silver Coating

My friend in heaven

One of my dearest friend passed away on the morning of 17th that happened to be the day of my new EMS housing planned to be casted for the first lot.

She was so amazing that I had never heard of her complaining of her health despite that she has had cancer for as long as ten years.

I have just come home from her funeral carried out by Christian style.

The preach of the minister was,
JOB: 19-25 to 27;
PSALM: 23-1 TO 6.

We sang number 189,LITTLE BROWN CHURCH that she liked to sing.

かけがえのない友を失いました。

彼女が癌をかかえていたことを知ったのはほんの最近なのに、喪主の挨拶から、10年も闘病しておられたことを 知りました。

市民運動の戦友でもあった彼女の知力と行動力は半端でなく、健康上の愚痴など、一度も彼女の口から聞いた ことはありませんでした。大きな仕事をしていた夫を支えながら6人の子供を育て上げた、見事な生き様でした。

わたしが初めて世の中と出会ったとき

いつかこの日が来ることは覚悟していました。 メールが来なくなって久しいので、心配していましたが、 逝く時は黙って逝く方だと予想していた通りでした。 最後まで弱みを見せなかった彼女のやつれた顔は見たく なかったし、彼女も見せたくなかったはず。 結局一度も見舞いに行かず終いでした。

私もメールの返信は早いことで定評がありますが、彼女の作文のスピードは桁外れでした。 こちらがピンポン玉を投げれば野球ボールが返って来て、野球ボールを投げればバスケットボールが返って来ました。

膨大な交換メールが大切な遺品となりました。  以下は、最後頃にいただいたメールです。

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先日はヒョンなことからメールをやりとりすることになり、お馬鹿な話もご紹介して しまいました。

そこで、今日はお口直し。
中目黒教会の友人が送ってくれましたので、彼女の文章を早速おすそ分けです。

KKさんの中目黒教会報への寄稿から。

時折海外の友人から、興味のある文章がインターネットで送られてくる。ユーモア たっぷりの小ばなしもあるし、宗教的、精神的な意味深い文もある。だいたいどの文 の終わりにも、「あなたのお友だちにも、これを送ってね。」と書き加えられてい る。今月ご紹介するお話もその一つである。キリスト教的コメントは何も含まれてい ないが、この話を読んだ私は、欠けたところの多い私をそのまま受け入れて、役立た せてくださる神様の存在を思ったのである。

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ひびが入ったかめ

中国のおばあさんが肩にかけた天秤棒の両端に、一つずつカメをぶら下げて水を運 んでいました。一つのカメは完全無欠で、入れた水全部を運ぶことができましたが、 もう一つのカメにはひびが入っていました。

小川からの長い道のりを家まで歩いてくると、ひびの入ったかめの水は半分に減っ ていました。おばあさんが一杯半の水を運ぶ毎日が二年間続きました。

完全なかめはもちろん自分の功績を自慢しておりました。しかしかわいそうにひび が入ったかめは、自分の不完全さを恥じ、本来なら一杯の水を運ぶために作られたの に、半分しか運べないことを嘆いていました。

苦い失敗と思われた二年の後、ある日このかめは小川のほとりでおばあさんに言い ました。
「わたしは恥ずかしい。わきについたひびのおかげで、家に着くまでに半分も水が 漏れてしまうのですから。」
おばあさんはにっこり笑って言いました。
「お前さんの側の道に沢山の花が咲いているのに気がつかないかい?反対側の道に は花なんか何も咲いていないのに。
わたしはお前さんのひびにはずっと前から気がついていたのだよ。だからお前さん のカメの側の道に花の種を蒔いておいたのさ。毎日帰りの道にお前さんが水をやって いたのだよ。だから二年間テーブルに飾る花が沢山摘めたのさ。
ひび割れの状態のそのままでいてくれたお前さんがいなければ、家の中を優雅に飾 るお花はなかったのさ。」

私たち一人ひとり、それぞれ欠けたところを持っています。でもこの欠けやひびが 一緒になって、私たちの人生を非常に興味深く、価値あるものにしてくれるのです。 私たちは一人ひとりをあるがままの姿で受け入れ、その人たちの長所を見つけなけれ ばいけません。

さて、ひび割れを持つお友達や家族のみなさん、今日もよい日でありますように。 そしてあなたの行く道の傍らに咲く花の香をかぐことを忘れないでね。

この文を誰でも好きな人に送ってください。そしてこれをあなたにお送りしたひび 割れのかめを忘れないでね。

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