What is the “light path” of EMS? / EMSの光路長とは?

For the benefit of the EMS-BINO planners, I will show the anatomy of the “light path” of the EMS-UL. The total light path of the EMS consists of three parts.

Path “A” is the distance from the bottom of the barrel to the first reflection point, that is 2 + 18 = 20mm.Path “B” is the distance from the first reflection point to the second one, that is 18+2+12+2+18 =52mm.Path “C” is the distance form the second relfection point to the top surface of the 2-inch sleeve, that is 18 + 2 + 58 = 78mm. So, the total light path is A + B + C = 20 + 52 + 78 =150mm.
*The light path of EMS-UL is shortened by 2mm on July 21,2017. Now, the correct light path of the standard EMS-UL is 148mm.(2018,11/05)

EMS-BINOを計画される方のために、EMSの光路長について、標準仕様のEMS-ULに則してご説明します。

総光路長は、図のA,B,Cに別れます。 Aはバレルの根元(ツバの前面)から第1反射点までの距離で、ツバの厚みとハウジング内の半光路長の和で、2+18=20㎜となります。は、第1~第2反射点間の距離で、18+2+12+2+18 =52mm、は、第2反射点から、2インチスリーブの天面までの距離で、18 + 2 + 58 = 78mmとなります。総光路長= A + B + C = 20 + 52 + 78 =150mm となるわけです。

ここで、BINOの規模(鏡筒中心間隔)によって、Bが異なるということがポイントです。まず、標準寸法のままの接続管で、目幅=60mmの時の鏡筒中心間隔”D”を計算してみましょう。Bは空間的に傾斜しているので、Bの目幅方向への射影Sを把握しないといけません。S=B/√2=52/√2≒36.8㎜ となります。 従って、その時の鏡筒間隔=36.8X2+60 =133.6㎜ ということになります。

この算出のメカニズムさえ理解できれば、鏡筒最大径がそれを越える場合に、どれだけBを延長すべきかが分かります。

2017年7/21以降、EMS-ULの光路長は2mm短縮して148mmになっています。(2018,11/05追記))

New Helicoid Optimized for Binoscopes! / BINO用ヘリコイド開発!!

before: Pentax Helicoid extension tubes
after: New Matsumoto Original Helicoid optimized for Binocular use

Helicoid tubes and IPD-Crayford tubes, each has its merit and I have chosen one of them in the cases.

The main problems of the commercial helicoid tubes for camera parts are the lack of enough rididity and the end shape that needs to be processed to connect to other telescopic parts.

Now, I have successfully developed this new helicoid perfectly speciallized for binoscopic use.I can definitly say that it is more rigid than any other commercial helicoid tubes planned for camera parts.This is designed for the heavy use of binoscope back that will hold EMS and heavy oculars at a time.Both ends are tapered boss that will fit into the 50.8mm standard sleeves. This means it is easily used reversible on left or right EMS for the ergonomical hand operations.

目幅調整用の伸縮管としては、ヘリコイドとクレイフォードがあり、それぞれに長所があります。 小型のBINOで伸縮管の最短長を特に短くしたい場合や、気密性を重視する場合はヘリコイドが適しますし、またユーザーさんの好みによっては、大きなBINOでもヘリコイドを使用することもあります。 つまり、ヘリコイドにも捨てがたい長所があるのですが、残念なことに市販の短いヘリコイドは主としてカメラ関係のパーツ用を前提としているので、BINO用のような大きなモーメント加重は想定してなく、つねに剛性に不安がありました。 さらに末端形状も不都合なことが多く、その都度接続リング等を加工しないといけませんでした。(最近は主にクレイフォード式を採用して来た理由。)

この度試作に成功したヘリコイドは、最短長=わずか22mm(ストローク16mm)で、両端が2インチのテーパーボス(末端だけに該当リングを取り付けているのではなく、構造部のエンドがその形状になってる。)で、リバーシブルに2インチ挿入部に取り付くように出来ています。外径72mmで無理のない壁厚を確保しており、剛性も万全です。 (2インチのテーパーボスはEMSハウジングに嵌入するため、実質最短長=22mm)

(左右のヘリコイドを上下逆に使用する(リバーシブル)意義は、以前にもここでご紹介しましたが、左右のヘリコイドを両手で同時にねじる際に、自然な左右対称的な動きで行えることにあります。 仮に左右のヘリコイドを同向きにセットしますと、左右のヘリコイドを左右の手で同方向に回転させないといけないので、よく間違えますし、動作に違和感を覚えるものです。製作者の作業性として、ヘリコイドの両端が共通形状になっていることは大きなメリットがあるわけです。)

最短長=22mmということで、今後はより小型のBINOにまで、鏡筒固定方式が適用できることになりました。

後日追記:このBINO用ヘリコイドは、左右で逆ネジを用意しましたので、左右で天地を逆にして取り付ける必要はなくなりました。(ご自分でBINOを分解された際には、左右を取り違えると、製作者の意図に反することになります。^^;)

APM-LZOS152-BINO

1 APM-LZOS双眼望遠鏡構想の経緯と製作経過

そもそも双眼望遠鏡を新調しようと思い立ったのは、メガネの マツモトさんのHPで紹介されている「横浜のKさん」のAPM/LZOS 130/F6-BINO- 新型EMSを拝見し、鏡筒のあまりの美しさとBINOのカッコ良さ に魅せられたからでした。

そこで、2010年3月26日に国際光器へ連絡を取り、「横 浜のKさん」のAPM/LZOS 130/F6-BINO-BINO1でのリクエストを 参考にさせていただきつつ、次の3つの条件を付して2010 年4月14日正式に発注しました。

(双眼望遠鏡にする為の条件)

1) 2台の焦点距離の差を1%以内で揃える事。
2) 2台の接眼部マイクロフォーカサーを左右対象に取付ける 事。
3) フードゴロマークを1本は右/1本は左に貼り双眼にした時 にどちらからでも見えるようにする事。

待つこと3ヶ月半、2010年7月26日に鏡筒入荷のお知ら せメールが来ました(^^) 早速、メガネのマツモトさんに連絡を取り、直接、国際光器から 鏡筒が送付される旨連絡させていただきました。

国際光器への鏡筒発注と同時並行で何度かメガネのマツモトさん とBINO製作の打ち合わせをさせていただいておりましたが、最 終的には主として次のような要望となりました。

(BINO製作にあたっての要望事項)

1) EMS-UXLセット(第2ミラーオーバーサイズ)プレミアム仕様
※ 低倍率用としてテレビュープルーセル55mmを使用 したいため。

2) フォーカサーのつまみの位置を縦にせず、横の位置で操作 できるようにする。

3) 架台は、より安定した新設計のフォークタイプとする。  これに十分な大きさのCRADLEをセットし、そのペースプレー トに2本の鏡筒を別々に着脱するアリミゾを設置する。

※ 鏡筒本体が12kg、鏡筒バンド2kg、合わせて14kg以 上になるため、安全に1本ずつ取り外しができ、且つ耐久性に優れた架台を希望 したい旨お伝えしたところ、新設計フォークタイプのご提案をいただいた。

4) 架台は、俯角30度~天頂まで向く特別仕様とする。   ※ 地上の風景についても観望可能なようにするため 。

5) スーパーナビゲーター自作キットのエンコーダーの組込

6) タカハシSE-Sピラー脚のネジピッチと東海キャスターのネ ジピッチが微妙に合わず殆ど入らないため、取り付け加工を施す。

しばらくBINO製作の順番待ちの状態が続きましたが、いよいよ 2010年10月20日APM(TMB)152-BINO計画がスタートしま した。 少しずつ出来上がっていくBINO、日々のHPの更新をワクワクし ながら拝見しておりました(^^)

2 APM-LZOS 152mm/F8 CNC-LW BINO 遂に完成!

そして、遂に2010年12月2日、APM-LZOS 152mm/F8 CNC-LW 3 枚玉スーパーEDアポクロマート EMS双眼望遠鏡 が完成しまし た! 手元へは、2010年12月6日無事に到着しました(^^)/~~~

荷物が到着して、まず驚いたのはAPM-LZOS鏡筒の入っている箱 の大きさでした。 50インチのプラズマの箱と同じ長さですが、幅の厚いこと・・ ・

早速、慎重に箱を開封し、ピラーから組み立て、次にピラー取 り付け部と新設計のフォーク(丈夫そうで且つ完成度の高い仕 上がりにちょっと興奮^^)を組み立てました。

そして、いよいよ鏡筒の取り出しです。

一瞬、意外とコンパクトかな?・・・と思ったのですが、フォ ークに固定(すごく簡単で楽でした)、フードを延ばして測って みると130cmオーバー、想像はある程度していましたが、いや はや巨大なこと・・・(>_<)

3 初観望

外は暗くなり、雨と靄でコンディションはダメダメですが、組 み上がって、まず約200m程先の街灯をイーソス17mmで覗いてみ ました。

テレビューNP-101双眼望遠鏡を里子に出してから早4ヶ月… う~ん、久しぶりの広視界に感動です。 バックフォーカスがどの位か気になって見てみると、約300m先 の民家の明かりで右8mm、左10mmの残り幅でした。 いずれ星の出ている時に無限遠に合わせてみようと思います。

現在の2インチアダプターは、かつてのテレビューNP-101双眼 望遠鏡の世代と異なり、ナグラータイプ4-12mmやイーソス10mm で本当にギリギリEMS保護フィルターに触れないように設計さ れていて、驚きでした。

今度は、ABBEⅡ16mm、10mm、6mm、4mmに、ツァイスABBEバロー を組み合わせ、約200m先の街灯の明かりを双眼で眺めてみまし た。

ABBEⅡ4mm×バロー2倍=600倍でもクリアで色収差はなく、クリ アなままの見え味でした。
感無量・・・(*^_^*)

かつて譲り受けた今は無きNP-101双眼望遠鏡と比較すると、質 感・機構・造りなど全てがグレードアップしているようで、と にかく感動しました。

4 地上風景の観望(昼間)

152mmの口径の威力は、やはり凄いです。

テレビューNP-101のときは108倍(ナグラータイプ6-5mm)にな ると昼間でもかなり暗くなりましたが、APM152では100倍(ナ グラータイプ4-12mm)でも十分な明るさがあり、なんと言って も像質がシャープです。

銀ミラーによる効果も大きいと思われますが、本当に素晴らし いです。

イーソス17mmとAPM-LZOS 152mm鏡筒との相性については、昼間 の観望では眼の位置を正確に合わせないと視野に一瞬、薄いオ レンジなどの色が現れます。 この点は、テレビューNP-101に装着した場合には一切見られな かったことなので、やはり同じメーカーのアイピースと望遠鏡 の相性が最も優れていると言うことなのでしょう。

因みにイーソス17mmでの最短観望距離は約10mでした。 約10mの距離を、70.6倍の倍率で、落葉低木の僅かに残ってい る赤く小さな実を眺めてみました。 当然、近すぎてEMSの光軸調整は必要ですが、何か不思議な感 じがしました(^^)

5 星空観望

12月は、なかなかよい天気に恵まれないのですが、寒さ対策 として消費電力1,000wの反射式電気ストーブで身体を暖めつつ 、部屋からのお気軽観望方式で、薄雲の向こうになんとか見え る星空を眺めて楽しんでいます(^^)

イーソス17mmによる無限遠(星空)は、その後、目幅をキッチ リ合わせて覗いてみると、バックフォーカスを7mmほど残して 何とか大丈夫でした。

ただし、新しく発売された ニコンNAV-17HW の場合、スリーブ の長さが58mmと非常に長い(通常は35mm程度)ため、無限遠に 焦点が合わないと予想されます。 今後もし、APM-LZOS鏡筒で双眼望遠鏡を計画される場合は、発 注の段階でAPM社に4cm程度鏡筒を切断してもらうよう予め要望 しておいた方が良いでしょう。

このイーソス17mm(71倍)でオリオン座大星雲を見てみました が、写真で見るように翼の広がりが見えました(私の目では色 は白くしか見えまっせんが…^^)。 また、木星もイーソス17mmで見てみたところ、縞模様がハッキ リと見え感激しました。

また、ABBEⅡ-10mm×ABBE2倍バローに換え240倍で見てみたと ころ、シーイングがよくなく、木星が煮えたぎって過剰倍率で したが、それでも凄く明るく見えました^^。

松本さん、このような大変素晴らしいBINOを製作して下さいまし て、誠にありがとうございましたm(_ _)m

2011年1月1日
林 孝之 (Hayashi Takayuki)
秋田県秋田市

BLANCA130EDT-BINO

5年前からテレビューPRONT-BINO、笠井SCHWARZ150S-BINO(以下SCHWARZ)の2台を使用しています。今回3台目のBINOとして笠井トレーディングのBLANCA130EDT-BINO(以下BLANCA)を導入しましたのでレポートします。

【BLANCAの構造】
松本さんのところから届く時は(写真1)のような梱包状態です。梱包はしっかりしていましたが、左側鏡筒の合焦機構にガタが出ていたので松本さんに確認しながら調整しました。松本さんの所で2晩テストした時点では異常が無かったとの事なので輸送時に衝撃が加わったものと思われます。

(写真2)は以前からドーム内で使用していたSCHWARZと並べたところです。拡幅HF経緯台(真鍮耳軸+バランスウエイト付き)+スライド式眼幅調整機構は同じですが、スライド機構の精度向上、アルマイト加工、アリガタ式鏡筒単独取付機構、鏡筒スケアリング調整機構が追加されています。(写真3)この部分の構造はBINO Progress Report 製作状況速報の2010年10月5日前後に詳しく紹介されています。

スライド眼幅調整機構は樹脂系軸受けを使用した新型だそうです。ガタ無く、精密に動きますが、予想より鏡筒が長かったのでアイピースを覗きながら眼幅調整するのはやや困難になりました。(3枚玉の対物レンズが重いので接眼側が長くなる)より大型の鏡筒の場合は鏡筒固定+IPDクレイフォード眼幅調整式の方が使いやすいかもしれません。

BLANCAは焦点距離が900mmあるため、SCHWARZより一回り大きく感じます。双眼状態で重量は約24kgです。SCHWARZが約20kgですから、かなり重いです。(ともにバンド・スライド機構・ファインダー・ウエイトシステムを含む)ただグリップハンドルの太さが適切なため、鏡筒を1本ずつ持ち上げるのは比較的楽でアリガタ式の鏡筒単独取付けの効果もあり、重さ・大きさの割りに組み立ては簡単です。またグリップハンドルは鏡筒の指向方向を確認するのにも便利です。対空型ファインダーをはじめて装備しましたが導入時の姿勢が楽になりました。

合焦機構には減速微動装置があり、この部分が左右対称に調整されて出荷されています。特に高倍率時の合焦に便利です。尚、合焦機構の取扱説明書は入っていましたが、光軸調整機構の説明書はありませんでした。

ウエイトシャフトは360度回転できます。対物側が重いので後ろ側にシャフトを出して鏡筒の重量バランスを調整しています。(写真4鏡筒右側)

(BINO Progress Report 製作状況速報の2010年10月17日にも記事があります)ウエイト位置を簡単に調整できますので、アイピース交換に伴う重量バランス変動をすぐにキャンセルできます。ウエイトは1個約500gです。

操作ハンドルは鏡筒直付けです。SCHWARZでは架台取付方式でした。(写真5)それぞれ一長一短がありますが、握り部分の太さと材質の面ではSCHWARZ(樹脂製)の方が良いと思います。また鏡筒直付け式は、高倍率時にやや振動を生みやすい印象です。これはピラーに移動用キャスターを付けている事も影響しているようです。

【手持ちアイピースでの印象】
SCHWARZとBLANCAを簡単に比較してみました。最上段は倍率、実視界(見掛視界を倍率で割った概算値)、射出瞳径です。


EWV32mm(笠井)
見掛視界85度 アイレリーフ20mm 480g/1個

SCHWARZ150S
【23倍 3.6度 6.4mm】
BLANCAに比べれば星像は大きめですが十分立派な像です。二重星団などは賑やで美しく見えます。 また色を楽しむ二重星もアポ鏡筒より向いているかも知れません。 低倍率では乱視の影響が大きく出るので眼鏡着用など対策が重要になります。80%くらいから同心円状に像が流れ、最周辺部は崩れますが十分実用範囲です。自宅の空ではIDAS-LPS-P2フィルターを併用することが多いです。

BLANCA130EDT
【28倍 3度 4.6mm】
小さく収束するシャープな星像と、非常にすっきりしたコントラストの高い像質が印象的です。周辺像の崩れ方はSCHWARZとほぼ同傾向のようです。射出瞳径が少し小さくなり背景が暗くなるので光害カットフィルター無しでも使えます。SCHWARZでは自宅か らだと難物だった螺旋状星雲やNGC253も容易に確認できました。 また月を見ると背後の恒星群の中に浮かんだような姿を見ることができます。月をこれほど美しく見せる望遠鏡は初めてです。


イーソス17mm(テレビュー)
見掛視界100度 アイレリーフ15mm 725g/1個

SCHWARZ150S
【44倍 2.3度 3.4mm】
見かけ視界100度は絶景です。それも双眼視ですから尚更です。ただ双眼視だと、何故か視野枠がやや目立ちます。目幅や覗く角度に注意がいるのかも知れません。 乱視がある場合はディオプトロクス(乱視補正レンズ)を装着しないと性能を発揮できません。視野の70%辺りから像が流れているように感じられます。昼間の地上風景では色収差と糸巻状の歪曲がかなり出ますが、星では気になりません。

BLANCA130EDT
【53倍 1.9度 2.5mm】
SCHWARZで気になる周辺部での像の乱れが少なくなり、さらに見事な超広視界の世界が楽しめます。射出瞳径がちょうど良いようで、背景が適度に暗くなり星雲状天体が見やすくなります。M42やM33はSCHWARZよりもディテールが見えているようです。昼間の地上風景は、色は感じないものの、歪曲が気になります。


イーソス10mm(テレビュー)
見掛視界100度 アイレリーフ15mm 499g/1個

SCHWARZ150S
【75倍 1.3度 2.0mm】
17mmよりかなり引き出した位置で合焦します。非常に相性が良いようで超広角にもかかわらず、全視野ほぼ良像です。最周辺は若干ピント位置が異なり星像が肥大しますが、余り気になりません。光害が残る空では、この位の 射出瞳径が淡い天体の検出に向くようです。お奨めの組み合わせです。

BLANCA130EDT
【90倍 1.1度 1.4mm】
こちらも視野全面で素晴らしい像です。星像がSCHWARZより小さくなるので見栄えがします。 またコントラストが非常に高くM42の暗黒星雲部が穴のように見えます。月は全景が収まりますが、同時に細部構造まで良く見えます。DEEP-SKYから惑星まで幅広く楽しめる組み合わせです。


ラジアン4mm(テレビュー)
見掛視界60度 アイレリーフ20mm 345g/1個

SCHWARZ150S
【188倍】
アイレリーフが長く覗きやすいですがさすがに過剰倍率ぎみです。月や木星を見ると青紫のハロが気になりますが、模様は意外と良く見えます。第四世代型なので合焦操作がやや大変です。クレイフォード式なら 問題ないでしょう。

BLANCA130EDT
【225倍】
ハロ・着色も無く非常にすっきりした像を結びます。対物レンズは更に高倍率に耐えそうですが、架台の制約でこの位の倍率が実用限界のようです。 木星はこの倍率でも眩しいので、笠井のムーン&スカイグローフィルター かNDフィルターを使うと模様が見やすくなります。


倍率、射出瞳径が異なるので単純な比較は難しいですが、銀ミラーのBLANCAはアルミミラーの15cmSCHWARZと同等か、それ以上の集光力があるように感じます。優秀な光学系により星像が小さく収束する上に、銀ミラーの反射率UPが効いているようです。特に淡い星雲状天体の検出ではBLANCAが勝るようです。但し銀ミラー同士で比較すれば集光力はSCHWARZが上回るかもしれません。

今回、あらためて痛感しましたが、低倍率では乱視の影響が強く出ます。(私の乱視は右目-1.5(90度) 左目-0.75(110度))アイレリーフに余裕のあるEWV32mmでは眼鏡を着用すれば概ねOKですが、イーソス17mmではテレビューのディオプトロクス(乱視補正レンズ)が必要になります。ディオプトロクスの回転位置を調整すると別物のように星が点像になり、光学系の性能が1ランク上がったように感じられます。乱視の方がアイレリーフの短いアイピースを使う場合には必需品でしょう。またFの明るいSCHWARZの方が顕著に影響が出ます。

【まとめ】
当初TOA130等他の鏡筒も検討しましたが、直焦点撮影をする予定が無いこと、架台の制約から使用上限が200倍強程度である事、新たにアイピースなどアクセサリー類を揃える必要もあった事から、コストパフォーマンスに優れるBLANCAを選択しました。実際の星を見ずに発注するのは不安もありましたが、光学系は十分満足の行くレベルで、トータルバランスに優れた組み合わせにできたと思います。
一方で、15cmF5級アクロマートの優秀さを再認識しました。DEEP-SKY中心に100倍程度までならアポ鏡筒と遜色ない性能を秘めています。アポ鏡筒とはかなり価格差がありますので、差額をアイピースやアクセサリー類、遠征費用にあてるという選択肢は十分に成り立つと思います。
今後はBLANCAをドームに設置し、SCHWARZを移動用に使う予定です。

【おまけ ドームへのルームドライヤー設置】
BLANCA導入に合わせて、連続運転できるダイキン製のルームドライヤーを取り付けました。(写真5右側に写っています) 工事費込で約4万円でした。これは横浜のY.K.さんのレポートにあった機種と同じものだと思います。構造上、室温を若干上げてしまいますが、対物レンズの温度順応に顕著な悪影響を与える程では無いようです。

ミサゴ
2010年11月9日


Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

3台目のBINOとしてBLANCA130EDT-BINOを導入してくださったミサゴさんより、さっそくリポートをいただきました。

まず、着荷時にメインのクレイフォード・フォーカサーが緩んでいたそうでしたが、うまく調整してくださいました。クレイフォード・フォーカサーは、物理実験用の円滑な4輪台車を、定盤(精密な平面)上で与圧を与えながら転がす原理ですので、構造は極めて単純明快です。  問題が生じるのは、与圧が足りなくなった時(ガタやスリップが生じる)や、定盤と車輪の間、またはドローチューブのフラット部とドライブシャフトの間に異物が混入した時(コロコロ感が出る)、あるいは、ノブからシャフトにかけて被覆した化粧パイプ等が移動してドローチューブにこすれている等の場合に限られますので、それらをチェックして原因を取り除くのは難しくありません。

今回は、この規模のBINOとしては、初めて鏡筒平行移動方式を採用してみました。 これは依頼者の方と相談の結果決定したものでしたが、私も新しい平行移動の機構を試してみたかった事情があり、速やかにその方式で合意に至りました。

初めての仕様だけに、操作性等、未知数なところがあり、得失が生じましたことには反省し、今後の改善に繋げたいと思っています。 ミサゴさんの長い経験に基く技量により、うまく使いこなしてくださっていることに感謝しています。

操作ハンドルは、今までも鏡筒固定方式のBINOで鏡筒直付けをしたことがありましたが、鏡筒平行移動方式に採用したのはこれが初めてでした。 今回はどうやら、今まで通り、CRADLEのベースプレートからロッドを延ばしてハンドルを付ける従来の方法がベターのようで、それに変更させていただく予定です。

お手持ちのアイピースとの相性等について、SCHWARZ150S-BINOとの詳細な比較をしてくださいました。アクロマートとアポクロマートの2種類のBINOについて、片方を完全に否定するのではなく、それぞれの存在意義を理解され、両方とも使いこなしておられることに感心しました。 より上の性能を目指すのが、人間のサガ(性)ではありますが、少なくともDEEP-SKY対象については、アクロマートでも十分に善戦することは、先日参加しました、双望会でも感じたことです。

また、銀ミラーの効果が口径の壁を越えることを検証くださいました。 銀ミラーの13cmがアルミミラーの15cmに匹敵もしくは凌駕するとのご報告は、他の方からも同様の感想をいただいておりますので、間違いないようです。 それは、単なる総合的な反射率の向上だけではなく、各色を平等に反射することによるコントラストの向上の効果が相乗するためだと思われます。 去る双望会の会場でも、多くの参加者の方々が異口同音にコメントしておられました。

望遠鏡の性能が良くなるにつれて、架台が課題になって行きます。 BINO製作の納期が延びるので、以前は架台の製作には手を染めないことにしていましたが、最近はそうも行かなくなって来ました。 バックオーダーの消化が滞りながら、自ら墓穴を掘っているような気もしますが、ここは加工手段を進化させながら乗り切らないといけないと思っています。

BINOは依頼者の方と一緒に作り上げて行くものだと思っています。 納品したらそれで終わりではなく、改善箇所があれば、依頼者の方と一緒に改善して行く姿勢でおりますので、今後ともよろしくお願いいたします。 ご多忙中にもかかわらず、懇切なリポートをありがとうございました

FS60-BINO

EMS Binoscope by Takahashi FS60 telescope

This little binoscope is light in weight and small in size which makes it very transportable and usefull for quick observations. The basis is a set of FS60-CB telescopes with 2″ attachment. They were converted with a CSV tube to obtain 22 mm more backfocus. A set of 2″ EMS-UL was used to allow maximum field with minimum backfocus. Together with the new special EWV-adaptor, instead of the eyepiece barrel, backfocus is reduced another 18 mm. The EWV-32 mm eyepiece can now be used to obtain a magnificent 7.7 degree field at 11x power.

To have IPD adjustment the FS60 telesopes are mounted on double Lineair Translation Stage and Track from Edmund Scientific which fits very convenient to the mounting plate of a standard Vixen Forkmount. With the EMS 1-1/4″ adaptor Pentax SMC eyepieces are Parfocal with the EWV-32mm eyepiece. When a 3.5 mm Pentax SMC eyepiece is used with the FS60-EMS binoscope it shows crisp binoviews of Jupiter and the Moon at a stunning 101x power.

___________________
Addition:

Since the CSV tube is not available anymore I guess it should be possible to obain enough backfocus for the EMV 32 mm eyepiece with a shorter version of the EWV-adaptor.

Alexander van Lemel
Rijssen, Netherlands
September 28, 2010

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント

Mr. Alexnander van Lemel has made his second binoscope, FS60-BINO, successfully after making his first one of TSA102-BINO

I would like to give him a biggest applause on his feat of building two binoscopes using my EMS, conquring the limitted information, and especially the language barrier. The only communicative language tool was English which was foreign language for each other.

I am also very appreciative of his generousity for allowing his full name and the link of his e-mail address appearing on his article. That will greatly help foreign guys especially in Netherlands who have the aspiration to build binoscopes someday.

 オランダの Lemel 氏のTSA102-BINO(未発表)に続く第二作の、FS60-BINOです。 都合により、短筒仕様の鏡筒の入手を諦め、通常鏡筒を工夫して合焦の問題をクリヤーしています。  少し前にBINO製作情報速報にて、EWV32㎜のマイナスプロファイル化をご紹介したのは、この方の 注文でした。この改造EWV32㎜はEMSの短いタイプの31.7AD(EMS-S,M) 用のアダプター;高さ44㎜)と同焦点になっていますので、EMSフルシステムでの光路長は、EMS-S等に対して、わずか14㎜の追加で済んでいます。

FMS-UL(Flexible Mirror System)

photo 1

photo 2

photo 3

photo 4

photo 5

photo 6

photo 7

2台のFMSを使用した感想

岡山の「やまと」と申します。市立の天文台をボランティアで管理・運営をやっ ています。このたび、FMSを2台導入させていただきました。また、この2台 とも、松本さんにこちらの要望を聞いていただき、改良を加えていただいた物です。

写真4が、2台のFMSを望遠鏡に装着した所です。最初の予定は、同架してあ る20cmのマックと10cmの屈折に装着する予定でしたが、今は、40cm と10cm屈折に装着しています。

最初にFMSの導入を考えたのは、主力の40cmにはワンダーアイが取り付け てあるので、見学者に合わせて接眼部を動かすことができるのですが、同架して いる20cmマックと10cm屈折は接眼部を動かす事ができなくて、アイピー スをのぞくのが難しいことが多かったことからです。 同架してある2台を使用する時には階段を使うのですが、ストレートでのぞいて も、天頂ミラーを使っても、なかなか上手く目の位置に接眼部を合わせることが できませんでした。また、大人は天頂ミラーがないとのぞきにくい、子どもは天 頂ミラーがあると背が足りなくてのぞけない、という状態もおこっていました。 天頂ミラーを付けたり外したりすることは、見学者が待っている状態では現実的 ではありません。この問題を解決するためには、接眼部を動かす事ができるよう にするしかない、ということからFMSの導入を決め松本さんに相談にのっていた だきました。

まずは1台ということで、FMSを作成していただき、望遠鏡に装着したところ、 大型のアイピースを使用したときや、接眼部にカメラを接続したときには、可動 部を止めるネジが1本では少し強度不足に感じました。しっかりと締め込めば何 とかなるのですが、少しでも緩いと接眼部が動いてしまいます。そこで、止めネ ジを2本にするように改良していただきました。これで、大きなアイピースも安 心して取り付けることができるようになりました。 実際に使ってみると、接眼部が動かせるのは想像以上に便利です。個人で使うと きには、あれば便利、という程度と思いますが、次々に背の高さの違う人が見る 公開天文台では必需品という気がします。一般観望者のために、FMSが普及す ることを願っています。

1台目でFMSの効果が十分分かりましたので、ボランティアの皆さんと相談し たところ、是非もう1台ということになりました(金額的にも2台が限度でした が)。

2台目は、1台目を使ってみて、可動部がもっと丈夫になれば、少し大きなデジ 眼も安心して取り付けられるし、すり割りで締め付けるようにできればテンショ ンも自由に調整できるのでは、ということからすり割り式にできないか松本さんに 相談したところ、「新規の開発になり開発費もかかるがやってみましょう」とい うありがたいお返事をいただき、作成していただきました。

主力の40cmにはワンダーアイとプリズムを組み合わせて正立像で利用してい ましたので、FMSを使うつもりは無かったのですが、松本さんと話をしていると、 FMSは角度によって像が変わる、正立になるところもあるというような話を聞 かせていただき、それはそうか、まず40cmでも試して見ようということで、 2台目のFMSを40cmに装着してみました。そして、実際に使ってみると、 その便利さから取り外すことができなくなってしまいました。

写真1がFMSを装着した所です。背の高い人が見るときには写真2のようにな ります。同じ接眼部の状態で、背の低い人が見るときには、写真3のようになり、 FMSの回転のみで対応が可能です。身長の差で3~40cmぐらいの差ならば このFMSで対応可能のようです。また、写真3のような使い方ができるように なったので、今までは踏み台を利用する必要があった子ども達が、踏み台なしで も見えるようにもなりました。

このようにFMSは大変便利に使えることがわかり、今では必需品になっていま す。 また、副産物として、デジ眼を接続したときに自重でズームレンズが勝手に伸び たりすることがあったのですが、FMSによって接眼部を自由に動かせることか ら、接眼部を水平にすることにより、これを防止することができるようになりま した。個人で写真を撮られる方は、ズームレンズを接続して写真を撮ることはな いと思いますが、子ども達に、月を自由に拡大して自分の思うような写真を簡単 に撮ってもらうためにはズームレンズはどうしても必要でした。何か工夫をしな いとこのままではダメだな、と思っていた懸案をFMSで解決することができま した。

先にも書きましたが、FMS、公開天文台では積極的に採用して欲しいものです ね。望遠鏡に人間が合わせるのではなく、人間に望遠鏡が合わせるようになれば、 天文ももっと普及するのでは無いでしょうか。天文に多くの人が親しんでもらえ るようFMSの普及を願っています。        やまと

9月14日追記:

FMS、快適に使わせていただいています。しかし、使ってみると、もう少し・ ・・という部分が出てきました。

使用しているアイピースが重すぎて、1点での留めネジでは強度不足とは言わな いまでも、もう少し強力に留めたい、という欲求が出てきました。早速松本さんに

相談したところ、「他のパーツも含めて送ってください」とのありがたいお返事 をいただき、早速改良していただきました。

写真7のAのネジは元の留めネジです。これにBと(写真では裏側で見えませんが) Cの留めネジを追加していただきました。これで、なんの不安もなく使用するこ とができるようになりました。また、光路長の関係で延長筒を使用していますが、 この留めネジも①の1本留めから、②を追加していただき2本留めになり、十分 な強度を持たせることができました。不安無く安心して使えることは、精神衛生 上大変良いですね。

このように、要望に合わせて細かな改良をしていただけることは、何にもまして 助かります。ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

Comment by Matsumoto / 管理者のコメント

やまとさんがFMSを2台ご使用になった感想を投稿してくださいました。 単体のEMSの使用 リポートは、なぜか今までにほとんど集まらなかったので、大変嬉しいご投稿でした。

市販の天頂ミラー(1回反射)を屈折望遠鏡の接眼部に対空型にセットして地上風景を上から覗いて 見ますと、左右だけが逆になった直立像が見えます。このままアイピースを天頂ミラーごと反時計回りに90度倒して 横から覗きますと、像は同じ量だけ同方向に回転し、今度は天地だけが逆の裏像となります。

FMSの仰角と像の向きの関係をご説明しましょう。 FMSも天頂ミラー同様側視も可能で、覗き方はほとんど 無限にあるので、ここでは、目標に体が正対して観察する場合に限定します。

まず、仰角0度(直視)では、お察しの通り、望遠鏡の像の向きをそのまま見せてくれます。 つまり、 使用する望遠鏡の像が元々正立像なら正立像、倒立像であれば倒立像がそのまま観察されます。

EMSの構成ユニットが(双眼望遠鏡用で考えた時の)右目勝手の接続の場合、仰角を0度→90度に 移行させて行きますと、倒立像は反時計回りに180度回転します。 ただし、これは単純に2倍角で 回転するのではなく、仰角設定と像の向きの関係は線形ではありません。

EMSの仰角は90度を越えて最大120度までセッティング出来ますが、この間の像の回転量をご説明すれば、先述のことが理解していただけるでしょう。 何と、(右目勝手で)仰角90度→仰角120度(写真1)までのわずか30度の 仰角変化の間に、像は先ほどと同じ方向(反時計回り)に180度回転するのです。
(念のためにご説明しますが、FMSは自由に左右勝手を往復できる機構なので、 最初から右目勝手仕様とか、左目勝手仕様という区別はありません。(9/1追記))

もう一度整理しますと、
* 仰角:  0度 →   90度   →120度 の間に;
 像:  倒立像 →  正立像 → 倒立像  と、同方向に連続して回転するわけです。 左目勝手の接続では、回転方向がこれと鏡 対称になります。(この特徴がEMS-BINOの像回転の調整に功を奏すのです。)

(*注: 上の『仰角』とは、EMSの最終的な折り曲げ角度のことです。観察姿勢のことではありません。 また、上記例は、望遠鏡自体が倒立像の場合です。)

このことが示唆することの重大性は、今まで折に触れてご指摘して来た通りです。 (使用する望遠鏡の正立、倒立に関係なく利用価値があるのもその効果の一つです。)

EMSは元々、単体の対空視手段として開発しました。 しかし、大方のマニアや専門家の長年の固定観念( 2回反射は像劣化をもたらすはず・・^^;)を払拭するのはそう簡単ではないようで、単体のEMSの存在意義や真価が 十分に理解、認知されないまま、先に双眼望遠鏡用の手段として有名になってしまった、というのが、製作者 当人の正直な歴史認識です。^^;
ただ、こうして、”やまと”さんのような方が極めてたまにでも現れてくださると、またEMSを作り続ける勇気を いただいた気がいたします。

9月14日追記:

やまとさんより、追加リポートをいただきました。

FMSの場合は、EMSユニットの回転部の接続の他に、FMSと望遠鏡、FMSとアイピーススリーブ、 さらにスリーブとアイピースと、接続箇所が多いので、それぞれに配慮が必要になります。

通常より重い物を接続する場合には、それなりの対策が必要になるようです。  全ての接続箇所をすり割りクランプ式にすれば理想ですし、接続径を単純に太くするのも、大きな 接続強度のアップが期待できます。

今回いただいたリポートは、マイナーな追加加工の結果報告でしたが、私としましては、 やまとさんが2台のFMSを継続的に、しかも極めて有効に活用してくださっていることの意義を読み取っていただけたら幸いです。 やまとさんは、FMSを臨時的な対空手段ではなく、望遠鏡に常設 してご使用になっていますが、それは製作者の意図とも合致しています。

残念なことに今日に 至るまで、「天体望遠鏡は直視で見るのが基本であり、天頂ミラー等は天頂付近を見る時に 仕方なく使用する臨時手段である。」という固定観念が望遠鏡業界にもマニア界にも非常に 根強く浸透しています。

私が”汎用ミラーシステム”という名称で仰角可変タイプの EMSを初めて世に送り出してから20年が経過しているにもかかわらず、EMS全体に占める 仰角可変タイプの要望が未だに極めて少ないことには、改めて驚きを禁じ得ません。

一度権威を帯びてしまった固定観念を払拭するのは並大抵なことではありませんが、 少数ながらも、やまとさんのような理解者がおられる限り、諦めるわけには行きません。

 

TOA130-BINO in the sliding roof shelter

 古くなった納屋の建て替えに合わせ、屋根裏に念願の観測室を設置しました。

 TOA130BINOは、高い光学性能、持ち出し可能、シンプルで堅固、操作性に富んで、しかも美しい、これ以上求めるところが見あたりません。朝、観測室に運び込みました。松本さんのロゴ第一号の意味が納得です。夕方、電気工事がが完了したので、写真を撮りました。一部送ります。とても満足しています・・・・・・・・。

 続報 1 2010年9月16日

 BINOを設置した後、月をTOAで見ましたが、イーソス8mm125倍100度の視野は、月全体をとらえることができ、その表面の詳細まで見せてくれました。暑い夏の夜の空気のゆらぎが気になる中でしたが、感動を味わいました。不思議なのは、視界いっぱいの月であっても日周運動によるその動きが気にならないで観察できることです 。自動ガイドの必要性は当面感じません。時々ハンドルを動かすだけで十分でした。どうしてでしょうか。

 また、8月26日にはハワイ島のマウナケア山頂4000m超でスバル天文台を横に見ながら雲海に沈む夕日と、東の空に赤く四角形につぶれた顔を出し始めた満月を同時に見る機会をもつことができました。高山病予防のため、星はオニヅカ・ビジター・センターのある2800m付近まで降りてから観察しましたが、月明かりで、手に届く ような星々を見るまでには至りませんでした。このときは持参したNikon7倍50mm双眼鏡が活躍しました。日本よりさらに南側が観測できるさそり座・南斗六星付近の銀河中心部の数々の星団を流しました。ガイドさんによるグリーンレーザーポインター(星まで光が届いているのではないかと思えるほど強力なもの)で指しながらの 星座の説明も楽しみました。

 9月9日台風の後の好条件で、TOA130BINO+イーソスと12cmF5BINO+EWV32を対比しながら短時間でしたが観望しました。それぞれが特長を生かした接眼レンズとの組み合わせで、観望を楽しむことができました。12cmF5で天の川を流し、木星、M13、M59を確認しました。18倍程度の倍率で、見え方は小さいがF5の明るさが特徴的 なことを再確認できました。M13、M59は、その存在がやっとわかる程度の見え方です。

 TOA 125倍では、木星は衛星まで含めて約1/3の視野に収まっています。木星の縞模様がはっきりと確認できました。M13では、無数の星つぶを立体的にとらえていました。環状星雲M57は、リング状のはっきりとした輪が確認できました。12cmF5に比べ、星以外の宇宙ががどこまでも暗く、暗黒の空間を感じました。

 翌日の明け方3時頃、目を覚ましたついでに、冬見られる星々を確認しました。TOAで見るオリオンは見事でした。12cmF5では分離できない台形4個のトラペジウムがはっきりと分かれ、視野いっぱいの立体的なガス星雲の広がりが見事でした。次にアンドロメダ銀河も確認しました。昨年12cmF5を携えて富士山5合目まで行った とき、月を余裕でとらえることができる75倍100度の視野からは、アンドロメダ銀河の全体像があふれてしまっていた事に驚かされたことを思い出しました。(自宅での観望では小さくしかその存在が確認できません) 我が家からはTOA130 BINOの125倍の視野からあふれるアンドロメダ銀河までは確認できませんでした。条件が良 ければ、力を発揮できるでしょう。両極端な2台のBINOですが、それぞれの特長を生かしながら、時に遠征まで含めてディープスカイを求めつつ観望を続けていきたいと思います。 とりあえず短時間の観察のご報告まで 。

水車

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

 納期がずれ込んでしまった、水車さんのTOA130-BINOでしたが、観測所の完成と非常に 良いタイミングで、7月24日に当方でお引渡し出来ました。

 完成された観測室に初めてTOA130-BINOを設置された第一報をいただきましたので、まとまったリポートをいただく前に、水車さんにお願いして写真と第一報の一足先の掲載をお許しいただきました。
 観測室には、奥の12cmBINOと手前のTOA130-BINOが仲良く並び、製作者としても嬉しい限りです。

 追記 2010年9月16日

 水車さんより、早速続報をいただきました。  マウナケア天文台にも行かれた由、羨ましい限りです。 標高2,800もあると、満月近くの月があっても下界では見られないような素晴らしい星空を堪能されたことと察します。
 2台のBINOの特徴を活かしながら、どちらも愛用してくださって、嬉しい限りです。 トラペジウム は12cmF5でも分解するはずですので、倍率等を変えて再度チェックしてみてください。

 高倍率時でもTOA130-BINOの中軸架台がうまく機能してくれているようで、嬉しく思います。 中軸架台も、5台以上作り、1台ごとに改良を重ねて、成果が出たように思います。 スラストベアリングの採用が最も功を奏したわけですが、ラジアル方向の円滑さでは、グリスの粘度が重要だと分かりました。 剛性を気にする余りに、初期にはグリスの粘度を高くし過ぎていたことが、水車さんの BINOの頃までに判明し、最近ではグリスの粘度をずっと低くして、より快適な水平回転を達成しています。 初期の製品をご使用の方で、水平回転がやや渋いとお感じになる場合には、水平回転軸部分を分解して、そこに市販のグリススプレーを適量吹きかけて(混合して)調整してください。

 水車さんには、海外遠征のお疲れが取れる間もなく、タイムリーに続報をいただき、 誠にありがとうございました。 これから、秋から冬の天体をじっくりと観察されましたら、ぜひ”続報2”を お願いいたします。 楽しみにしております。

Test carving of the first LOGO / 最初のロゴの試し彫り

Above is the test carving of the first LOGO that I have turned over for a few months. Each of the outline represents “M” of Matsumoto and in total, that represents a Binoscope.

I have done the careful kernings on the first logo.

数ヶ月間考え抜いた、最初のロゴです。^^;

カーニングをして文字列を整えました。 (右端の写真は試しに塗料を入れたところ。実際には、黒アルマイトに 地金の白が浮かび上がる計算です。)

SCHWARZ150S-BINO Reform / SCHWARZ150S-BINOの改修とドームで使用しての印象

photo-1
photo-2
photo-3
photo-4
photo-6
photo-5
photo-7
photo8

シュバルツ150S-BINO(第四世代型)の改修とドームで使用しての印象

シュバルツ150S-BINOも約5年使用したことになります。 この間に松本さんとのmailのやり取りやHPを拝見して、EMS-BINOが 大きく進歩しているのが判りましたので、今回下記4点の改修を実施しました。

(1)XYチルト機構の原点復帰調整と原点シール貼り付け。(写真1)
(2)HF経緯台の耳軸真鍮化
(3)耳軸ブランケットへのスペーサ(15mm)挿入によるバランス改善
(写真2 真鍮耳軸とスペーサ[パイプ状のもの])
(4)カウンターバランスウエイトの追加

尚、今回は見送りましたが
「EMSの銀ミラー化」「接眼部のクレイフォード化」「HFスライド機構の改良」についても時期を見て実施しようと考えています。

 またシュバルツ150SクラスのEMS-BINOをドームで運用している方は少ないと思いますので、今回の改修点と合わせてドームでの運用経験についてもレポートします。

【1.今回の改修結果】

(1)XYチルト機構の修正と原点シール貼り付け
EMSの特徴の一つにユーザーサイドでの調整余地が大きいことが上げられます。 また松本さんとしてもユーザーの調整を推奨しているとの事です。 (調整することでユーザーのEMSへの理解が深まることを期待しているとのこと)
但しXYチルト機構が原点にある状態で調整を始めないと迷宮に入りかねません。
この意味でこの「原点シール」は非常に重要・有効なものです。

 もちろんレーザーコリメータ等を使って原点を出すことも可能ですが、 まずレーザーコリメータ自体の光軸を正確に出すなど入念な事前準備が必要です、 (松本さんによると旋盤にレーザーコリメータを咥えて回転させるとレーザー光が円を描くような製品も多いようです)

 EMSの旧モデルには原点シールがありませんが、
ぜひEMSの調整を兼ねて原点シールの貼り付けを行うことをお勧めします。

(2)耳軸ブランケット延長・バランスウエイト追加・耳軸真鍮化の効果

・改装前は鏡筒を水平にした状態で前後方法のバランスを取っていても 天頂方向に向けると、上向き方向の力が働き(アイピース側が下がる力が働く)上下クランプをきつく締める必要がありました。(写真3,4. before)
・改修後は上下動がフリーストップになり操作性が向上しました。 写真の状態でクランプフリーでバランスしています。(写真5.after)

・更に使用アイピースの重量差 (イーソス17mmは1個725g、Or7mmは変換アダプター込み1個170g)を  キャンセルするためにバランスウエイト(約540g)を追加しました。 これで簡単にアイピース交換に伴うバランス変動に対応できるようになりました。 写真ではウエイトを前下方に出していますが、鏡筒を前寄りに固定してウエイトを 後方に出すこともできます。配置は使いながら考えていきます。
・HF経緯台の耳軸を真鍮に変更したことで高倍率時のスムーズさが向上しました。

【2.ドームでの運用】

(1)自宅屋上に2.5mドーム(ニッシンドーム製)を設置しています。 独立基礎は無く、建物の鉄骨を通常の約2倍使用し、特に梁を強化して防振対策しています。 観測室は防湿庫などの備品を置くため約50cm東西方向に延長してあります。

(2)夏場は観測室内・望遠鏡とも高温になりますが、南北2箇所のドアで 通風を促しています。(写真6) これにより短時間で観測室内の排熱、望遠鏡の冷却ができます。

(3)ドーム設置時に換気扇を付けましたが、排熱・通風効果が殆ど無く、 逆に雨が吹き込むなどのマイナス面が目立ちます。 また屋外フードにアシナガ蜂が巣を作るなど、問題を起こしてくれます。

(4)ドーム内は住居内とは異なり、温度・湿度の変化がかなり激しいです。 アイピース、フィルター類はドーム内に設置した防湿庫に保管していますが、 望遠鏡本体はEMSも含めて、準屋外設置のような状態です。 このため架台の一部に錆が浮いたりしています。これは

・観測室の気密性が低いこと
・海から1.5km程度しか離れていないため潮風が来ること
・観望時の夜露はドームでかなり防げるが、100%完全ではないことが原因のようです。
・現在、横浜のY.K.さんのレポートを参考に連続運転できる除湿機の導入を検討中です。

(5)ドーム内の照明が当初は照度調整できる赤色灯だけで暗かったため、 機材の汚れに気づきにくいことがありました。 現在はメンテナンス用の蛍光灯を追加設置しています。

(6)ピラーはNIKONの10cm屈折用の部品などを使用した特注品で

・天頂観望時はあぐらを組んで床に座る。
・中高度(60度位)は座面の低い椅子に座る。(約20cm)
・低高度(45度以下)は座面の高さを変えられる椅子に座る。
ようにして眼の高さが合うようにしています。 これで観望姿勢を安定させる事ができます。 楽な姿勢で観望できるのもEMS-BONOのメリットです。

(7)望遠鏡はピラーに付けたキャスターで簡単に移動できます。 常用倍率が100倍以下なので振動はほぼ気になりません。

(8)望遠鏡を観測室の端に移動し、アウトドア用のリクライニングシートを置いて 眼視や双眼鏡で、のんびり星を見ることもできます。 これはなかなか気分の良いものです。

(9)ドームの中に座ると、街灯などの直接光をほぼ完全に遮断できるので瞳孔が開き、暗い天体を見やすくなります。 標高で100m程度上昇したのと同程度の効果はあるように感じます。

【5年間使用しての印象・メンテなど】

(1)シュバルツ150S-EMS-BINOはBINOとしては比較的大型機になるでしょうが ドーム設置であれば非常に気軽に使えます。 反射系(μ250等)と比較すると外気順応時間が大幅に短いのも良い点です。

(2)EMSの保護フィルターは光学性能への影響が感じられないので 常時取り付けたままです。 このためミラーの状態は5年経過した今でも問題ありません。 (保護フィルターは若干汚れるので定期的にクリーニングします)

(3)光害カット、UHC、O3、Hβ等のフィルターは EMSの48mm保護フィルターを外して替わりに取り付けるのが松本さん推奨との事です。アイピース側に付けると保護フィルターと干渉する場合があります。

フィルターは同じものを左右で使用するのが原則ですが 「片側にIDAS LPS-P2、反対側にUHC or O3」 「片側にUHC、反対側にO3」 で使う場合もあります。

M42のような明るい対象では左右で星雲の形状が違って見える事がありますが 惑星状星雲などでは割りと良い感じで見ることができます。 微光星を残しながら、星雲をコントラスト良く見ることができるのは BINOならではでしょう。

また両眼にIDAS LPS-P2とUHCを2枚重ねることもあります。 光害カットをあと一押しできる感じで北アメリカ星雲などが見やすく感じられます。

(4)焦点距離やF値などが異なり、直接比較は難しいですが、 全体としてEMS-BINOは2倍の口径の単眼望遠鏡と対抗できる性能を感じます。 Ninja320も使用していますが、どちらが良いかは決められない印象です。 (対象天体によって評価が変わります)

(5)EMS-BINOの操作で注意する点としては XYチルト機構を無理に廻し過ぎないようにすることでしょう。 逆に(第四世代型の場合)
 どうしても左右鏡筒のスケアリング(方向調整)が必要と思われる場合は
「右側鏡筒バンドの固定ネジを緩めて左右方向のスケアリング調整する」
「右側鏡筒バンドの下に紙を挟んで上下方向のスケアリング調整する」こともできます。 この際「絶対にXYチルト機構を触らない」のがポイントです。 (但しこれは通常はユーザが行う必要の無い作業です。)
 どちらにしても作業する前には松本さんと相談して、症状(状態)を確認し、 少し頭を冷やしてから取り掛かる事をお薦めします。 EMS-BINOは一品製作物なので部品・構造が少しずつ異なります。 事前に相談する事で、間違った手順での作業を防ぐ事が出来ます。 手順を間違うと(触ってはいけないネジに触れるなど)復旧が大変になります。

 私は上下調整を左鏡筒でやってしまい苦労しました。 また紙(薄いコート紙)を挟む時は前後どちらかのバンド下だけにします。 両方に同じ厚さを挟んだら鏡筒の上下方向は変わりません。

繰り返しになりますが原点復帰シールは非常に有効ですので、旧製品利用の方は取り付けをぜひ依頼された方が良いと思います。 また私が行っている調整方法については後日レポートしようと思います。

(6)調整方法をいろいろ書きましたが通常使用時には 「原点シールを基準にXYチルトを原点に戻す」 「XYチルトを90度以内で回転させて、像を一致させる」 だけで難しいことは何もありません。

【最後に】

 一昨年、昨年と数回に渡る手術のあと、自力で立ち上がることもできない状態で数ヶ月を病院のベットで過ごしました。気になったのは、家族のことと、もう二度と星を見れないかもしれない、ということでした。

 幸い自力で動き、仕事に就け、短距離なら遠征にも出かけられるところまで回復しました。 この折角のチャンスを活かす相棒としてシュバルツ150S-BINOとプロント-BINO、更に現在製作依頼中のBLANCA130EDT-BINOを活用したいと思っています。

加藤 仁
2010年6月20日

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

はじめに

 加藤さんより、ご体調が必ずしも万全ではないにもかかわらず、BINOの調整にまで踏み込んだ、非常に内容の濃いリポートをいただきました。 当時の製品は現行の物と比べると、未熟な点も多く、さらにマニュアルも今以上に完備していなかったため、光学的知識が豊富だった加藤さん故に、逆に大変苦労されて一つの境地に 達されたものと察します。 

 まず、「シュバルツ150S-BINO(第四世代型)」について、ピンと来ない方も多いと思いますので、簡単にご説明します。 2000年以前に、口径15cmF8の中国製のアクロマート鏡筒が、当時、十万円を切るという破格の値段で発売されました。 それは、アマチュアに手が届く屈折鏡筒の口径の上限を一挙に引き上げるという、特別な事件でした。 2001年に 続けて発売されたF5タイプも十分な低倍性能を示し、その後は途中で供給が中断した期間はあったり、 取り扱い業者が変わったりはしましたが、DEEP-SKY用のリーズナブルなBINOの素材鏡筒として、現在でもその存在意義を失っていません。

 SCHWARZ150S-BINOの初代仕様は、純正鏡筒のフォーカサーやフランジを加工して、なんとかぎりぎりバックフォーカスを 確保したモデルでした。

 目幅調整は第1~4世代仕様を通して、左の鏡筒を、鏡筒バンドの下に前後1対配置したリニアブッシュ(リニアベアリング)による、同じ自由スライド(&クランプ)方式を採用していました。(←この方式は数年前に中止し、 現在のスライド台座は、全てベアリングを使用した微動送り機構に移行しており、目下新型を設計中です。)

 製作者自身、SCHWARZ-BINOは、その後の目まぐるしい仕様変更のために、各世代仕様の逐一までは 記憶してませんが、簡単にご説明しますと、第1~第4世代仕様に至る変遷は、フォーカサーの改善とバックフォーカスの追加確保に尽きる、と言うことが出来ると思います。 第2もしくは第3仕様辺りから、純正のフォーカサーを外して、 少し径の太いフォーカサーと交換するようになり、第4世代仕様では、初めて、独自のフォーカサーを開発し、 フォーカサーのガタに起因するイメージシフトをほぼ完璧に排除できたのでした。また、これが初めて65φバレルを採用した機種でもありました。

 この鏡筒を使用したBINOの流れは、現在の15cmF5-BINOに至っているわけですが、強いて現行機種の「世代」を言いますと、 第6世代仕様で、鏡筒をメガネ型にしたバンドで結束固定して、左右の鏡筒を固定し、EMSの接続管を 伸縮式にして目幅調整をする方式に変更してから2世代目のモデルということになりますが、目下、第7世代仕様を開発中です。

 (SNOWさんのBINOが、同第5世代仕様の1号機でした。)

  それでは、以下より、本論に入ります

************************************************************************************************
(1)EMSのX-Y調整ノブの原点シール:
  これは、なぜ最初から付けていなかったか、と悔やまれますが、旧仕様のユーザーの方で、原点シール貼り付けを 希望される方は、EMSを左右ともお送りください。 光軸の再調整と原点シールの貼り付けをさせていただきます。 (無料、往復送料だけご負担ください。(送料着払いでご返送します。))

(2)真鍮耳軸:
  VIXEN純正のHF経緯台用CRADLEの耳軸は、アルミ合金の耳軸にナイロン?ブッシュを被せた仕様で、かなりの アンバランスでもフリクションを調整して望遠鏡を静止させられる構造になっていました。 数年前までこの方法を当方も 採用していたのですが、その後、バランスさえちゃんと合わせれば、真鍮耳軸があらゆる点で優ることが分かったため、現在は すべて真鍮耳軸に統一しています。(希望者の方には、1組¥6,300でご提供します。)

(3)耳軸ブラケットのスペーサー:
  第4世代仕様までの同BINOは、三脚使用を前提としていたことと、天頂オーバーまで鏡筒が向くことに こだわり過ぎていたため、耳軸を敢えて低め(鏡筒を水平にした時の低め、という意味;つまり、重心は高めになってしまう)に設定していたので、 天頂に向けた際のアンバランスはTRADE-OFFとして折り込み済みでした。 ただ、その後に、真鍮耳軸の採用と並行して、 フルストロークの完全バランスの重要性に気付いたため、その後はこの鏡筒天地方向のバランスに十分な配慮をしています。(最近は、耳軸を最低でも鏡筒中心、可能な限り、それより少し高い位置にセットするようにしています。)

(4)外付けのカウンターウェイトシステムは、我ながら傑作だと思っています。^^;   15cmF5鏡筒は極端に鏡筒長が短いため、写真ではシャフトが随分長く見えますが、実際には、リンク画像のように、 コンパクトな作りです。(希望者の方には、このウェイトシステムを¥9,800でご提供します。)

【1.今回の改修結果】のところで、”松本さんとしてもユーザーの調整を推奨している・・・”とお書きになった部分に つき、加藤さんの方から、読者の誤解を招かないか?とご心配くださいましたので、少し補足させていただきます。

 私が日頃から申し上げたいのは、EMS-BINOは、現状では市販の天体望遠鏡をそのまま使用しているので、剛体としての精度を保証する物ではありませんし、また実際、それを確保する必要もないのです。その辺のニュアンスは、むしろ初心者の方の方が伝わりやすく、マニアになるほど、なかなか理解してもらえない印象があります。

 観望会等で、初心者の方に望遠鏡を覗かせると、精密な光学器械を壊してはいけないと思うのか、合焦ノブを恐る恐る、極めてスローにしかよう動かさないので、ピントの山が全く掴めませんが、BINOの調整に難航する方のパターンも、それと全く同じに見えます。 まずは、どう見えるようにしたいのか、それに対して現状がどうなっているのかをしっかり把握し、後はどこをどう動かしたら像が移動するかを冷静に考えれば良いのです。

 そして、正解点を確実に決めるには、理想に対してアンダーとオーバーの領域をスムーズに素早く往復出来ることが 必須で、その傾向さえ掴めれば、全てが解決したのも同然なのです。 ですから、「初心者と合焦ノブの関係」から早く卒業 していただき、必要があれば気軽に鏡筒を振ったり、EMSのユニットの接続角を調整して見てください、という意味に於いて、加藤さんのコメントを支持したいと思います。 ただし、くどいようですが、その時にEMSのX-Y調整でそれ(初期調整)をやってはいけない、ということが鉄則なのです。
(X,Yノブの操作限度ですが、リポート本文では±90度以内と 書いておられますが、細かく申しますと、Yノブについては、±45度、Xノブは近距離の観察時を考慮して、+45度~-90度 の範囲で納めて欲しいと思います。 +は時計回り、-は反時計回りです。)

 調整に難航する方は、絶対に触ってはいけない部分をいじりまくり、しっかり調整して欲しい部分については、自分で勝手に タブー視して、よう触らない、という傾向があります。 具体的には、鏡筒を外そうが、EMSの接続を解除して像を数十度も 回転させようが、再現時の解は一つしかありませんので、簡単に復元可能なのです。 逆に一番回しやすい、X-Yノブの方が、 悪用の弊害が一番大きいのです。 例えば、ノブをどんどん緩めて行きますと、ノブは組み込みネジを兼ねているので、いずれは脱落しますし、逆に限度を越えて締め込むと、中心の支点のネジの先端をアルミ製のミラー台座に微妙に食い込ませる ことで、せっかくのノブの矢印が本来の原点位置からずれてしまいます。

 何だか冗長になった割に、かえって混乱を招くのでは?と心配になりますが、要するに、EMS-BINOは剛体としての精度の概念の 外にあり、機構上、理想位置が常に調整域に包含されているため、正しく使いさえすれば、観察者の眼位や観察距離に対して、常に理想的な光軸状態で使用できるということです。
(市販の双眼鏡は、光軸は常に固定されており、眼位の 個性や観察距離には全く対応していません。 フォーカシングに例えれば、まさに固定焦点ということです。 EMS-BINOはユーザーの技量次第で常に完璧な光軸状態がキープできるシステムなのです。)

【5年間使用しての印象・メンテなど】の(5)でコメントいただいた、 鏡筒の方向調整についてですが、これは、加藤さんもご指摘のように、ユーザーさんには通常は不要なメンテです。初期納品時に輸送中のアクシデントや、鏡筒バンドを開いて鏡筒を動かしてしまった場合等、不幸にして 鏡筒の方向が微妙に狂ってしまった場合の原点復帰方法としてご理解ください。このような 作業が日常的に必要だということではありません。

 20年以上に渡ってEMS-BINOを作って来た経験から、調整箇所を最小限にするのがベストであることを痛感しています。 初期のBINO(確か同BINOの第3世代仕様くらいまで)では、右の鏡筒の手前下に、丁度赤道儀の極軸の方向調整のような シンプルな調整機構を設けていたのですが、悪用^^;するユーザーの方が絶えないことと、その後の経験から、 現実の初期調整での鏡筒の横振りの必要範囲が実際には極めて狭く、通常の鏡筒バンドのベース固定用のボルトのバカ穴のガタ(わずか0.2㎜程度)で十分であることが実証され、それ以降は前記水平調整機構を廃止して、成果を収めています。(調整機構は、光軸ずれを生じる原因ともなり得る、調整機構が無ければ、大きく狂う原因も無い。)

 言い換えますと、第4世代仕様のような平置きタイプの鏡筒スライド方式では、左右の鏡筒は上下方向にはほとんど 光軸が狂う要素がありませんし、水平方向も最悪狂ったとしても、先述の固定ネジのガタの範囲を超えることはないのです。

 ですから、万一不幸にして同タイプのBINOの光軸が狂ってしまった場合は、右の鏡筒のバンドの下のボルト(前後の バンドそれぞれ)を緩めて、左右に少し振りながら、正しい位置で固定すれば復元可能なわけです。(正しい位置の見極めにはそれなりの技量は要りますが、一番重要なのは、そのメカが適性位置を挟んでアンダーからオーバーにまたがって調整可能であることなのです。) (製造現場では、このBINOの垂直方向の初期調整は、左鏡筒のバンドの下のスペーサーを、旋盤で薄紙を 剥がすように削って行っていました。
もしユーザーサイドで鏡筒の上下方向の調整が必要に なった場合は、旋盤等が使用できる方を除き、写真8のネジを緩めるのではなく、左鏡筒には触らずに、シムの 挿入も右鏡筒のバンド底に入れる方が作業は楽でしょう。(写真8のネジを緩めると、せっかく右の鏡筒で横調整したのがご破算になります。)

(←上下方向の調整機構が無いのが、上下には狂わない理由:以前に 某代理店さんが分解された際に、前後のスペーサーを取り違えて組み立てられ、重大な光軸ずれが 生じて困られた例がありました。^^;不用意な分解はNGです。)

 メガネ型バンド結束タイプ(鏡筒固定方式)では、さらに簡単です。上記鏡筒スライド方式とは全く逆で、この方式では、 鏡筒は決して左右方向には狂わないので、万一上下方向に狂った場合は、鏡筒バンドのクランプネジを4個とも少しだけ緩め、強めの力でBINO全体を捻れば、鏡筒の平行を簡単に復元出来ます。 この調整は、ただやってみれば簡単に理解でき、 数秒で終わる作業なので、マスターすれば笑いが止まらないはずです。^^

 加藤さん、この度はまた、渾身のリポートをいただき、誠にありがとうございました。 EMS-BINOユーザーの方には、非常に良い参考 になったのではないでしょうか。 リフォーム直後の新鮮なご感想に感謝しますが、またリフレッシュされたBINOをじっくりと観察されてから、また追加の情報等ありましたら、よろしくお願いいたします。

最後に

 このリポートをお読みになって、「ああ、やっぱりEMS-BINOはこんなに面倒臭いものなのか?・・・」と思われた方は、 読まれたことを、ひとまずは全てお忘れください。 その代わりに、当方で完成したBINOをお受け取りになれば、理屈抜きで 何らの障害もなく使いこなされるでしょう。 そして一定期間BINOをご使用になった後で、またこのリポートを お読みになれば、「うん、うん、」とご納得いただけることを請合います。

PRONTO-BINO(7cmF7),Mr.Kato (2010,5/29)

photo 1
photo 2
photo 3
photo 4 (before)
photo 5 (after adjust)
photo 6 (mirror)

テレビュー製のプロントEMS-BINO(7cm F7)が納入されたのが2005/2ですから ちょうど5年強が経過しました。 この間の利用状況、印象などをご報告します。

 テレビュー社では「最もよい望遠鏡とは、最もよく使う望遠鏡」のコンセプトで 何種類もの魅力的な望遠鏡をラインナップしていますが、その初期のものが プロントだと思います。 もちろん大型機にはそれぞれの魅力があるのですが「まずは使ってこそ」 と言う考え方には非常に共感します。

 プロントEMS-BINO導入してから5年の間に体調を崩し、入退院・手術を繰り返して 最終的には人工透析(週3~4回 7時間/1回 帰宅は24時頃)を受けることになりました。 このため星を見ることができる時間が大幅に制限されましたが、 プロントEMS-BINOはその扱いやすさから重宝しています。

【運用】(写真1) 通常は自宅2階の書斎に置いてあり、ベランダ観望に用いています。 EMS-BINOとしてはかなりの小型機ですが、その分、

・軽量・コンパクトなため簡単に準備ができる(文字通り数秒)
・対物レンズなど光学系の温度順応が早い
・鏡筒が短いため狭いベランダでも使いやすい
・光学系全体の優秀さゆえ星像が美しく、かなりの高倍率まで耐える(架台の限界はあります) ことから稼働率は高く、晴れ間があれば直ぐに使えます。
(透析日の就寝時間は午前1時頃ですが、就寝前に見ることもあります)

 ベランダ(南向き)のため視界は限られますが 月、惑星はおおむね見ることができます。(西に低くなると隣家の屋根にかかり見えない) またEMSにより視線が下寄りに向くため、街灯の影響を受けにくいのもメリットです。

【使用アイピースと星像】

 EMS-Lを選択したため2インチアイピースが使えます。 現在、主力アイピースはツァィスの12.5mm(見かけ視界90度)で 笠井トレーディングの2インチマルチショートバローのレンズ部のみを取り付けて 約60倍で使用しています。
このアイピースは合焦位置がかなり対物レンズ寄りなのでバロー(約1.5倍)を 合焦用のエクステンダーとして利用しています。

 このアイピースはナグラー・イーソスなどと比較すると 「シャープさを持ちながらも、やわらかめの像質」の印象です。
周辺まで比較的良像を結び、特にFの短い鏡筒との相性が良いように感じます。

 周辺部を注視すると星が流れているのは判るのですが、 中央付近に視線を置くと周辺部の流れが余り気になりません。 眼の構造のためか、何か特別な設計ノウハウがあるのかは判りません。

 地上を見た際の像の湾曲が少ないのも特徴です。(イーソスは盛大に曲がります) また軽量なのも長所でしょう。

・アイレリーフが短い
・合焦位置がかなり対物レンズ寄りで望遠鏡によっては合焦しない(エクステンダーで回避可能)
・月を見ると若干黄色系の着色がある(もともと地上用の光学系として設計されている為らしい)
なことが難点でしょうか。

 この組み合わせでも、星像は十分満足行くものになります。 イーソス10mmを使う場合もありますが、この組み合わせだと 最早文句を言うところが見当たりません。

他にシュバルツ150SEMS-BINO、Ninja320を現在所有しており 過去には

 高橋:MT200、ミューロン250、FC76、FC100N
笠井:アルター(15cmルマック型マクストフカセ)、スーパービノ15倍110mm双眼鏡
ミード:20cmシュミカセ、40cmドブ
宮内:10cm 45度対空双眼鏡
などを使用してきましたが 星像の気持ちよさではダントツで最高だと思います。

対物・EMS・接眼レンズの優秀さもありますが、 EMS-BINOの特徴である

(1)双眼視
(2)90度対空型による観望時の姿勢の安定
(3)眼・脳へのストレスの少なさ
が寄与しているものと思います。

他に32mmアイピース(笠井見掛視界70度)を使って15倍70mmという中型双眼鏡なみの スペックで使用することもあります。 天の川を流すと楽しいですし、 UHCフィルター等を併用すると、普段と違う宇宙を楽しむことができます。

【構造】 (写真2:フードを収納した状態、写真3:スライド機構・フード延長状態)
・写真をご覧いただければ判りますが「極めてコンパクト」です。  重量こそ単体プロント鏡筒の3倍強の11kg(2インチアイピース・5cmファインダー含む)で、横方向にも大きくなっていますが  「よく使う望遠鏡」の美質は失っていません。

・接眼部はプロント標準の2インチです。
・EMS-Lに長めにアイピースを使用しますので、接眼部が目立ちます。
・相対的にEMS-L部分が重いため、鏡筒前方にカウンターウエイトが付いています。
・左右鏡筒の焦点距離がセンチ単位で違っていたようですが、倍率の違いは認識できません。
・鏡筒は数センチ切断しています。
・架台は標準のHF経緯台です。
・スライド機構はリニアブッシュ式で5年使用しましたが全く不具合ありません。
・鏡筒がコンパクトで軽量なため、この構造で不具合を感じたことはありません。
 (鏡筒の重いシュバルツ150SEMS-BINOでは若干不具合を感じる部分がありますが、 現在の製品では改善されています)

【トラブル経験】

 導入初期の頃ですが 観望中に突然、左右の像に(少しずつ)ズレが生じ始めました。 XYチルト機構で修正したのですがズレが止まらないので明らかな異常と判断し 室内の照明を点けて確認すると 「右側の鏡筒バンドが緩み、鏡筒が少し回転しながらずり落ちていた」ことが 判りました。

 鏡筒をセットしなおして、XYチルト機構での修正分を(見当で)元に戻しました。 レーザーコリメーターでのチェックはしていませんので、どこまで原点復帰できたか は多少不安ではあります。
(BINO MAKING Progress Reportの2010年5月24日説明のような状態になっている可能性あり)

最近の製品はXYチルト機構の原点復帰マークがありますので心配ないと思います。 これ以外には特にトラブル経験はありません。

【調整】

 長期間使用していると鏡筒バンドの緩み等で左右のEMSのスケアリングがずれたり 像の倒れが発生することがあります。 星を見ているだけでは、かなりの誤差になっても、意外と気づかないものですが (眼が修正してしまう) ときどき昼間に調整します。

(1)左右の接眼スリーブが平行になっているか? 高さがあっているか?メジャー等をあてて目視でチェックします。

(2)像の倒れの修正  直定規を対物レンズの前に置いて修正しています。(写真 修正前・修正後)
両目で見ると調整中に眼が修正してしまうので、片目で見るか、デジカメで撮影しながら追い込むようにしています。 (BINO MAKING Progress Reportの2009年12月9日説明を参照下さい)

(3)EMSミラーの清掃

 「EMSには保護フィルターが装着されています。星像への影響をほとんど感じないので 観望中も装着したままにしています。(気になる方は観望時に外すことも可能)

 フィルターのおかげでミラーは5年経過後も新品同様です。 それでもどこからか僅かな埃は侵入するのでダスターで飛ばしています。(写真6 ミラー面 フィルターを外して撮影 小さな埃は付着してますが綺麗です)
私はミラー面を無水アルコールで洗浄した経験はありません。 (詳細手順はホームページのEMSミラーのメンテナンス を参照してください)

【遠征】

 病気の制約であまり遠征には行きませんが、Ninja320とともに遠征したことが数回 あります。(自宅から15分程度で着ける直ぐ近くの場所です)

32cmニュートンと7cmでは比較するのが無茶ですが

・星像が美しい(特に視野の均一性) [但し短Fニュートンでもパラコアを使えばコマ収差はほぼ減殺できます]
・淡い星雲などの識別性能が高い
・実視界が広い
・現地に到着して直ぐに使える(温度順応が早い)
ことでプロントBINOにも大きなメリットがあります。

 流石にNinja320の主鏡が温度順応し、パラコアを併用してコマ収差を減殺すると 天体の細部構造の見え味では勝負になりません。 ただ実視界には大きな差がありますし、大口径機が能力を発揮できる気流の夜は限られますので プロントEMS-BINOの存在価値は消えません。

【5年間使用しての感想】

 プロントEMS-BINOのような小口径のBINOは、コスト面でなかなか採用に踏み切るのは 難しいかもしれません(鏡筒自体がシュバルツ150Sよりかなり高価ですし)。 ただ上記のとおり、小型EMS-BINOであるがゆえのメリットは大きく 十分に存在意義はあると感じています。

ナグラーの言う「良く使う望遠鏡」としての良さを維持しつつ EMS-BONOにより「人間が両眼で、楽な姿勢で見るための光学系」としての長所を追加した 本機は天体望遠鏡の一つの到達点だと思います。

加藤 仁
Hitoshi Katoh

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

PRONTO-BINOとSCHWARZ150S-BINOのユーザーでいらっしゃる加藤さんより、 3回目のリポートをいただきました。

 ファーストライト直後の新鮮な感動をリポートいただくのも、もちろん嬉しいのですが、こうして5年間 に渡って愛用されたご感想をいただくのは、また格別の重みがあり、非常に価値あるものです。  体調の管理をされながら、渾身のリポートを作成してくださいました。

 当時の定番だった、リニアブッシュ(リニアベアリング)を使用したスライドマウントは、数年前に卒業した形式ですが、 当時の加工手段の範囲で最大限に知恵を搾った結果のデザインで、懐かしく再会させていただきました。 クランプを緩めると左鏡筒が台座ごと自由にスライドし、好みの位置でクランプするという形式でした。 現行モデルでは、クレイフォード(フリクションドライブ)式により微動送り機構を備えています。

 直定規を利用した像の倒れ調整について、よく理解され、見事に調整しておられます。 当方のサイトでは、手元にあった金属製の定規を置いていますが、加藤さんのように、透明の定規を 使われると、大変見やすいですね。 さすがです。 直定規を水平中心に置くのが難しい 場合は、紙箱の角等を利用した直角アングルを作って水平にしたBINOの筒先に置くと便利かも分かりません。 また、左右の見口より定規の直線性をチェックする際、片眼で交互に(素早く)見る ことも大事なポイントでした。

 ミラーのメンテについて、この場を借りて少しご注意申し上げます。 アルミ増反射コートにつきましては、すでに20年以上の実績があり、当方にある20年以上前のミラーも新品同様の輝きを保っております。 しかし、耐久性を加速実験にて確認したとは言え、増反射銀コートミラーにつきましては、まだ十年、二十年もの経年検証が済んでいません。 従いまして、銀ミラー仕様については、防塵フィルターは付け忘れを防ぐ意味でも、外さずに常時装着してご使用になることをお勧めします。 当方にあります銀ミラーサンプルは、すでに3年を経過して初期の反射率を維持していますが、空調が完備していない、吹きさらしに近い スライドルーフやドーム内での長期保管はお避けいただき、EMSだけは人間の快適生活空間で保管されることをお勧めします。(ただし、ご環境やご都合により、EMSの移動保管が現実的でない場合は、自己責任 にて保管してください。)

 忙しさに紛れて、当方のサイトでは唐突な掲載しか出来ていませんが、リポートの形で加藤さんより、改めて好適な保存版の教材をまとめていただいたようで、大変ありがたく思います。

  加藤さん、これからもお体を大事にされ、時々はこうしてリポートをいただけましたら、大変 ありがたく思います。 この度はまた渾身のリポートをいただき、本当にありがとうございました。