Warning on the operation of the Helicoid! / ヘリコイドご使用上の注意!!

Operate the helicoids simultateously with both hands so that the helicoids turns symmetrically with each other. Never turn the helicoid too strongly beyond the both end limit. I recommend you to keep away from the stroke limit area for the gentle care of the helicoids.

新型ヘリコイドは、初回ロットだけにいろいろと改善目標が生じており、日々改善しておりますが、ユーザー様サイドでもご協力いただく必要を感じましたので、ご使用上の注意点をまとめてみました。

まず、ヘリコイドは左右を同時に、鏡対称的に操作していただくのを前提にしていますので、必ず、それに従って操作してください。 また、ストロークのリミット(最短、または最長)を越えて、強い力でねじるのは、ヘリコイドのメカに負担をかけますので、これも極力避けていただくのが良いと思います。(間違って負荷をかけても問題が生じないように改善を検討していますが、現状ではそのように願います。 左右同時に対称回転させる限り、ヘリコイドは小目幅側(つまり最長)でリミットに達する前に左右のアイピーススリーブが互いに干渉しますので、上記問題を防ぐことにもなります。)

ただし、間違った操作によって、メカ的に復元できないダメージを受けるということはなく、内部のネジの緩みにつながる場合があるということですので、必要以上に神経質になる必要はありません。(ヘリコイド内部のネジが緩んだ場合は、ヘリコイド自体を分解しないとそこにアクセスできませんので、問題が生じたヘリコイド付きのEMSを当方までお送りいただく必要がございます。)

Finder bases are added / ファインダー台座セット(Televue85-BINO)

ファインダー台座をセットしました。 アイピースの死角になって見えませんが、右側対称位置にも、もう一つ同じ台座をセットしています。必要性が無ければ、取り外してご使用ください。 ファインダー脚の着脱で塗装が剥げて醜くなることを予想し、台座の内面は黒塗装をしていません。 (鏡筒がコンパクトなので、ファインダー台座が大きく見えます。これも別作すればさらに良いですが、とりあえず納品させてください。)

Televue85-BINO completed / Televue85-BINO完成!

これより、ファインダー台座を取り付けます。 地上風景を見ましたが、同クラスのBINOを見て来た記憶からも、コントラストが非常に良い印象を持ちました。 これが記念すべき節目のモデルとなりました。

Grip and the handle rod holder / 運搬用取っ手と、ハンドルロッド・ホルダー

Carrying grip and the handle rod holder are added to the frame-work.

運搬用ハンドル(もち手)は初期の計画通りです。下の操作ハンドルのロッドホルダーは、推敲を重ねた結果の選択です。 今回は鏡筒をしっかり固定するため、最初は、フォーカサー付近の鏡筒に操作ハンドルを直接取り付けるつもりでしたが、やはり 規模の小さいBINOですので、今回はフレームからロッドを延ばすのが一番現実的であると悟りました。

海外遠征等も(勝手に^^;)想定し、出っ張りは極力排除し、観測現場でのハンドルの着脱が容易になるように配慮しました。 (下の長く太い方の丸棒がハンドルロッドを固定するベースです。)

Televue85-BINO coming into sight / Televue85-BINOの基本構造

The new way of the frame-work has proved to be a great success! You shall never be annoyed with the colimation trouble with this structure.

新方式のフレーム構造は期待以上の大成功でした。 もう「光軸が狂った・・・」などとは言わせません。 振り返れば長い道のりでしたが、一つのゴールに辿り着きました。 これを含めて、BINOの規模に応じて、数種類の基礎構造が基本になると思います。

月が変わり、猛烈に焦っておりますが、まだここに掲載していない件も含めまして、並行して進めておりますので、なにとぞご理解くださいますよう、お願いいたします。(C5-BINOの構想も煮詰まっています。)

Spectacle plates for the Televue85-BINO / Televue85-BINO用のメガネフレーム

Frame P.D. is 158mm. So the giant who can wear it must be 4 meters’ tall.

このメガネのフレームPD=158mmなので、これが合う巨人の身長は4m以上でしょう。^^; 鼻幅が広過ぎ、レンズが小さ過ぎますが。

この2枚のメガネフレームが、BINOのフレーム構造と鏡筒バンド等の基礎構造をほぼ担います。非常にシンプルなBINOが実現しそうです。 今回は、たまたま素材鏡筒の基礎重量が重いですが、軽い鏡筒と組み合わせれば、さらに軽量化が著しいでしょう。

今回は、メガネの智の部分(両サイド、メガネフレームであればテンプル(つる)がつながる部分)にスリ割を設けたくない(耳軸用アリガタプレート接続のため)ので、ブリッジの中心にスリット加工を施し、上からボルトで締め付けます。

12cmF5-BINO

 従来、天体の観察は、より大口径の望遠鏡で…という概念を持っていましたが、数年来訪ねた石川町スターライトフェスティバルで双眼望遠鏡の見え方を目の当たりにして、考えが変わりつつ有りました。

 自分では精度の良い(目のおかしくならない)双眼望遠鏡を自作する技術が無いので…それではこの道の第一人者の松本さんに、そして銀ミラーに依る光量損失の無いEMSという所が依頼の要でした。

 完成品を使用しての感想等/他お伝えします。先ず首や顔や目が疲れない。90゜対空両眼視ですから当然ですが片目を瞑って頬を引き吊らせる事もなく、また淡い天体を認知するのに逸し目の必要もありません。むしろ両眼で凝視しても疲れません。

 アンドロメダ銀河や二重星団h・χ等の全景を余裕を持って捕らえるにはRFT位の焦点距離がBESTなのだと思います。夏のカブト虫が木に取り付いて樹液をむさぼる様に双眼望遠鏡の天体虫(観測者)は接眼部を覗き込んで、いつまでも離れないのです。

 こんな快適な星見機材なのにポータブル性スクランブル性にも優れています。空が晴れて来たならサッと出してパッと見れる!ジックリ観たら又サッと片付け。

 口径の大きいモデルは集光量があるのでしょうが観望観測時の空の状態(月回り、光害の有無、快晴天)等で透過光量も変わるようです。

 この秋はその様な条件のそろった天文快晴の瞬間を逃さない様にしたいと思います。秋虫の声をBGMに天体双眼観察と洒落込みましょう。

 松本さん、Bino の製作ありがとうございました。

いわき市 佐藤正巳

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

 東日本大震災の被災地方面より、まだ余震が続く中でご依頼いただいたので、このBINOのことは強く 印象に残っています。 震災以降、日本全体から活力がやや失われた印象がある中で、むしろ、東日本の 方の方が、より積極的に生きておられるように見受けます。 

 本件でもう一つ印象に残っているのは、架台対応のご注文がユニークだったことです。 通常のHF経緯台の他、もう一つの大型双眼鏡用架台(後に、NIKONの双眼鏡の(12cm?)架台と判明)にも載せたいとのご希望でした。 それぞれの 架台用の耳軸を依頼されましたが、それでは変換が不便だと思い、何とかアダプターを工夫してみました。

 アダプターはスリ割にして、本来の耳軸クランプが間接的に効くように配慮しました。(製作情報速報2011年5月22日)

 このNIKONの(旧タイプ)大型双眼鏡用の架台は、なかなかしっかりと出来ていて、方位目盛りも付いた優れ物でした。 平行移動タイプのBINOの構造上、ハンドルロッドが天頂時に架台に干渉するのを心配しましたが、佐藤さんによるとほとんど問題ないとのことでした。

 12cmというのは、大型指向の15cm~13cmと、コンパクト指向の10cm以下の狭間で、見過ごされるのか、 意外に要望の少ない口径でした。 しかし、よく考えてみますと、機動性や稼働率から考えて、実にバランスが取れたサイズ、規模だと言えると思います。 また、昨今は3枚玉アポに人気が集中していますが、予算組の段階で、”Best or Nothing” ではなく、使用目的やご予算に応じて、星雲、星団用には遜色のない、短焦点アクロマートも選択肢に入れて考えても良いのではないかと思います。 たとえアクロマートであっても、正立系を含めて、余分なガラス中を光路が通らないシンプルな光学系の 抜けの良さ、ノイズのなさというか、視野の透明感のようなものは、一般的な光学系のランク付け(アクロ、セミアポ、アポ)では補完できない、圧倒的なものがございます。

 震災にもめげずに新しいBINOに挑戦された佐藤さんに敬意を表しますと共に、素晴らしいリポートをくださったことに 感謝いたします。 秋の天体を満喫された後に、またリポートがありましたら、よろしくお願いいたします。 

115ED-BINO セカンドライト

~秋のメシエ天体めぐり~

SE115ED-BINOの「ファーストライト」をなんとか無事(?)終了し、興奮冷めやらぬその週末の夜。好天を待ち切れず、前回同様の仙台泉ケ岳にて「セカンドライト」してしまいました。以下レポートします。

2011年7月10日(日)時刻は23時すぎ。出動する時間帯を変え、夜半過ぎからの観望としました。この日は、月齢9近い上弦すぎの月が出ており、光軸調整などセッティングを終えるとすぐに月の観望から開始しました。使用したアイピースは、EVW32mm(25倍)とナグラー16mm(50倍)、それにマルチショートバロー(×1.75倍)です。上弦すぎなので、豊かの海や静かの海などは「のっぺり」として見えていましたが、コペルニクスやエラトステネスなどクレーターの欠け際の方がとても美しく見えました。色収差も出ないので、低倍~中倍率でずっと月の全体像ばかりながめていました。一日のつかれも癒えるようです。朝からうだるような暑さで、仙台の日中は「最高気温」を記録する真夏日。夕方にはざっと夕立もありましたが、もうすぐ梅雨明けを予感する天気でした(翌日、東北地方全体がやっと梅雨明けしました!)。夜半過ぎの到着でしたので、土星はすでに西へ沈んでおり、この晩は観望できませんでした。

前回ファーストライトが、アンドロメダ座M31で終わっていましたので、ここからの再スタートです。はじめ目が慣れていなかったせいか、伴銀河M32やM110が確認できませんでした。しかし、時間がたつにつれてはっきりと見えてきます。(前回の興奮がだんだんとよみがえってきました!)。さっそく、アンドロメダ座ミラクからさんかく座方面へ向かいM33を探します。しかし、なかなか見つからず。「空の状態がよくないのでは?...」と天頂をながめると、ファーストライトほど天の川は見えていませんでした。このBINOなら淡い天体でも見つかるものと思っていましたので、すこしガックリ。気をとり直して、一気にペルセウス座の「二重星団hχ」へ向かいます。「いたーっ!」(あった!という意)。このBINOでぜひのぞいてみたい天体の一つでした。なんと(!)恒星一つ一つに生きているような「ゆらぎ」を感じます。その透明な立体感と星々の色のちがいが、本当に生きているようで素晴らしい眺めでした(まずは目標一つ達成です!)。

双眼正立なので以前よりカンタンに(ストレスなく)天体が導入できます。BINO上部に星図をのせて(赤の)ヘッドライトで位置を確認しながら導入目標を探します。星図はS&Tの「Pocket Sky Atlas」を使用しています。この程度の重さならBINOもバランスをくずさないので、今後さらによい導入方法を探していきたいと考えております。

次に、ペガスス座の「秋の四辺形」へ向います。エニフからその鼻先にM15を発見!再度「いたっー!」。小ぶりな球状星団が分解していてとてもきれいに見えます。片目ずつ目をつぶってみましたが、なぜか片目だけでは分解しないのです(両目で見てはじめて分解!)。松本さんが「双眼視だと2~3割の倍率アップがある」とメールで書いていましたが、これがまさに「双眼効果」なのでしょうか。小型の球状星団などではその効果が顕著です。調子が上がってきたのでそのまま南下し、みずがめ座の「三ツ矢マーク」からM2を経由し、さらにやぎ座のM30へ。いよいよ球状星団めぐり開始!です。

秋の星座では基準とする星が少なく、手持ちの25cmドブソニアンではこの付近のメシエ天体(特に70番代前後)の導入を苦手としていました。しかし、このBINOではEMSと星図によって、見た通りのまま導入ができるのです!まさに鬼に金棒!試しにM72とM73を導入した後、M75とM55を観望しました。さらには、南斗六星の下方に位置するM69~M70~M54まで全部確認できました!西天に沈む直前でしたので、「待っていてくれたんだね」とひとりごと(!)を発し、星団たちと闇夜の対話!です(笑)。

前回、いて座付近で「迷子」となったので、あらためて星図を見ながらの復習です。お気に入りの球状星団M22のすぐ近くにはM28を確認。さらにM8からヘアピンカーブで上がったM20の近くにM21が隠れていました。さらにM18~M17~M16へと遡上し、M11とM28のスモールスタークラウド付近までは迷わず到達できました。ファーストライト時に気づけなかったメシエ天体がたくさんあります。さらには、夏の球状星団であるM56やM92まで導入することができました。前回あまりに興奮しすぎで、冷静な(?)判断ができず、導入していても見えていなかったようです。これで天体導入のレパートリーが一気に加速しそうです!

午前1時すぎ、東天にはもうすでに「木星」が出現していました。BINOを東側へ向けるとBINOの像が少しダブってみえていましたので、あわてずEMSを再調整しました(調整ノブでみごとに像が一致します)。このような暗がりでも落ち着いて望遠鏡が操作できるのは、なにより「鳥取訪問」の成果なのだと思います。松本さんには、光軸調整のみならず素朴な疑問(~森羅万象?)まで親切にご指導いただき本当に貴重な機会でした(これからBINOをつくられる方々は、絶対「鳥取訪問」をオススメします。必須です!)。 ガリレオ衛星が4つ一直線上に並び、昨年まで1本だった木星の中央の帯が2本はっきり確認できます。そんな季節の移り変わりを肌で感じるひとときでした(蚊もかなり増えました...)。
そして午前2時すぎ。東の空からプレアデス星団M45がいよいよ登場し、今晩のクライマックスです。「おーっ!」またもや声にならない深夜の奇声。ずっとこの瞬間を待ち望んでいました。低空なので雲に少し邪魔されていますが、キラキラ輝く「すばる」の星々は、まるで「天使のウインク♪(‘85年/作詞・作曲:尾崎亜美/歌:松田聖子)」。心地よい興奮と眠気やらなんともいい気分で、しばしその光景に見入ってしまいました。多くのメシエ天体を導入し、BINOの操作にも少しずつ慣れてきたところで撤収し、薄明近づく午前3時過ぎに「泉ケ岳」をあとにしました。

セカンドライト中に、松本さんに初めてメールしてからこの観望に至るまでいろいろな思いがよみがえってきました。今回の震災では大切な友人を亡くしたり、実家を失ったりいろいろな経験も思い出しました。なくしてしまったものはもう戻ってきませんが、新たにこのBINOと出会うことができました。これからもこのBINOを通して、素晴らしい人々と出会っていけるような気がします。「今できることを先延ばしせず、今やろう!」という思いが、今回のファーストライトにつながったものと考えております。このような出会いを与えてくださった松本さんに深く感謝し、これから周囲にBINOの素晴らしさを伝えていければと考えております。今後ともご指導よろしくお願いします。本当にありがとうございました

仙台市 渡辺 利明

管理者のコメント;

渡辺さんより、神速の続報をいただきました。 秋から冬の天体までじっくりと観察された感動を素直におまとめくださり、 興奮を分けていただきました。  渡辺さんはBINO初心者を標榜される謙虚な方でしたが、リポートいただいた観望記録を読ませていただくと、少なくとも、ちゃんと年季の入った観望家でいらっしゃったことが分かります。

光軸調整についても、徐々に、途中で再調整される必要もなくなって行かれることと思います。 渡辺さんにはすでにご紹介していますが、EMS-BINOのことを一通り理解された段階で、BIG-BINO(服部さん)のサイトの ”光軸調整”の「5:松本からのメール」をお読みになると、よりご理解が深まると思います。 むしろ上級者になられるほど、剛体としての BINOの光軸精度の方に注意が向くものですが、私たちの眼の自律的な動き(輻輳)こそが桁違いの齟齬を産む”くせもの”であると言えるのです。

渡辺さん、感動的な続報をご投稿くださり、本当にありがとうございました。 またぜひ、よろしくお願いいたします。

115ED-BINO ファーストライト

仙台市内から車で約40分。市の北西部に位置する泉ケ岳の駐車場(標高約550m)にて今回BINO(SE115ED-BINO)のファーストライトを迎えることができました。松本さんを鳥取へ訪ねて早一週間。こんな早期に自分のBINOを持つことができるとは夢にも思っていませんでした。BINO製作をご依頼して以来、ずっとこの日が来ることを待ち望んでおりました。松本さんのここまでのご指導に深く感謝申し上げます。

梅雨空続く6月下旬、製作を依頼しているBINOの完成を見に行くため、仙台から夜行バス(仙台~大阪)+JR(大阪~鳥取)を乗りついで鳥取市を訪れました。松本さんは、ご多忙にかかわらずご夫婦で(!)私の訪問を快く対応してくれました。松本さんに会うまで「いったいどんな人(?)なのだろう」「光軸調整など難しい話は理解できるかな」等心配しておりましたが、それらは一気に吹っ飛び、長時間に渡り有意義な時間を過ごさせて頂きました。BINOの調整方法のみならず、これまで松本さんが歩んできたBINOの貴重なお話を伺うことができました。これは本当に勉強になりました(大収穫でした)。
BINO製作中は、松本さんから多くのご提案を頂きながら、異例の早さで進行しました。松本さんとのメールのやりとりはいつも率直で、未熟なわたしのいろいろな誤解をときほぐしてくれました。また「メイキングレポート」でも掲載されたように、(私が持ち込んだ)KenkoのSE115EDはカサイのBLANCA-115EDTに外見がそっくりですが、BINO用にはバックフォーカスがかなり不足ということでやむなく短縮加工してもらいました。また長年使用してきたHF経緯台についても心得るべき点などいろいろとご指導を頂きました。スタート時点から松本さんには本当にご苦労をおかけしました!

鳥取訪問も無事終了し、翌週自宅にBINOが届きました(箱5つ)。箱からBINOを取り出し再度ご対面!。ご指導受けたばかりの「うろ覚え」の光軸調整を行い、ベランダから地上の建物や電線で「像」を確認しました。初めはなかなか「像」が重ならず焦り(?)ぎみでしたが、なんとか合った(?)ので、いてもたってもいられず、BINOと三脚を後部座席に積み込み、近くの山(泉ケ岳)へ向かってしまいました。
現地は、雨上がりで地面が少し濡れていましたが、BINOの設置をして観望をさっそく開始しました。泉ケ岳は仙台方面(南東)が街明りでかなり明るいのですが、テストとしては十分な空で、晴れた日には天の川まで見ることができます。今回使用したアイピースはEWV32mm(25倍)とナグラー16mm(50倍)。さらに松本さんに加工してもらったマルチショートバロー(加工後1.75倍)を使用しました。

時刻は2011年7月5日(火)20時過ぎ、ついにファーストライトの瞬間です。はじめの対象は西天に沈みつつある月齢4の月でした。地上で合わせた(と思っていた)光軸はみごとに(!)ずれていて、はじめ月が二重に見えました。鏡筒のねじれを確認し、眼福とミラーを微調整して像が一致した時、地球照が美しい月がついに観望できました。流れる雲の合い間から月が見え隠れし、周辺部のクレーターがはっきりと立体的に見えました。しだいに西の空に見えなくなっていきました。
つづいて観望シーズン終了間近の土星。はじめその明るさが気になりましたが、タイタンや他の衛星までくっきりと確認できます。おとめ座の空域に浮遊する土星と衛星は、他の星々と調和し「一枚の絵」を見ているようでした。しばらくそのライブに見入ってしまいました。まさに「窓からのぞくような感覚」です。

初日だから調整程度までにしておこうと思っていたのですが、ここまで来るとさらに欲が出てきます。さっそくおおぐま座のメシエ天体めぐりへ出かけました。はじめはM81とM82です。2つの銀河が同一視野に飛び込んできた時、思わず暗闇で声を出してしまいました「キターっ!」。これだけの広視野で見たのは初めてです。2つの銀河の特徴が対比されはっきりと見えます。なんと不思議な感覚なのでしょうか。
つづいてM97、M108、M109、M106、M101、M51を次々と導入。ミザール(A・B)とアルコルもきれいに分離して見えています。正立像なので面白いように順番に導入できました。当日の午後、仙台ではいわゆる“ゲリラ豪雨”があり、“ひょう”まで降りました。直後から急に晴れだし、空気中の塵が落ちたので空のコンディションも良かったのだと思います。しだいに天頂に天の川も見え出しました。

東天から天頂にかけて夏の大三角が見えています。次はそこへBINOを向けました。こと座のベガを導入後、そのままM57へ。リングははじめはっきりしませんでしたが、時間がたつにつれ、濃淡がはっきり見えるようになってきました。つづいてアルビレオ。「おーっ!」その美しいこと。少し下がって、コートハンガーとや座を確認し、こぎつね座M27へ向かおうとした時、思わずBINOを止めてしまいました。それまでM71はぼんやりしたイメージのマイナー天体でした。しかしその夜は「球状」に、さらに「分解」して見えるのです。この天体がこのように見えるのは初めてでした。マルチショートバローの効果でしょうか。「ここまで見えるとは...」しばし沈黙。じわじわと感動がこみ上げてきました。
15㎝BINOオーナー先輩の宮城のSさんもファーストライトのレポートに書いていましたが、本当に「星がありすぎ」です。いままで見えなかった星々が「双眼効果」によってよけい見えるようです。BINOで天の川をさっと「流し見」し、その美しさを十分に堪能しました。

ここまで来るともう止まりません。つづいてさそり座~いて座方面です。アンタレスを導入したのち、球状星団M4とM80を確認すると一気に下降します。すもうとり星付近を抜け、さそりの尾(シャウラとレサト)を経て、ついにM7へ到着。明るい散開星団の恒星一つ一つが前後に立体的に見えます!こんなことってあるのでしょうか?。そう思いつつ全速(?)で南斗六星付近へ向かいます(まるでジェットコースターですね)。
いて座で導入してみたかった天体に球状星団M22があります。この日は透明度もよく、M22がキレイに分解して見えました。この晩M13やM5も見ましたが、なぜかM22が一番キレイに見えました!つづいてM8干潟星雲(おーっ!)M20(あーっ!)M24(げっ!)へ天の川「上り」です。見える見える(あたりまえですが)、M17&M16のガスの様子までくっきり見えます。このあたりでたて座からわし座に向かいましたが、あまりに興奮しすぎで目標のメシエ天体を見失ってしまいました。「キターっ!」「おーっ!」「あーっ!」「げっ!」「ギャーっ!」コトバにならないコトバを暗闇で発しつづけ、もうすでに3時間経過。時刻はすでに23時近くをまわっていました。(どこにも通報されませんでしたが...)

東の空に秋の星座がのぼってきました。そうだM31が見えるかもしれないぞ。そう思い東にBINOを向けました。アンドロメダ座ミラクから上に恒星を2つ上がると...「でたっー!」M31です!伴銀河M32とM110まではっきりくっきり見えます!写真のようには見えませんが、230万光年はなれた天体を自分のBINOで見ているんだと思うと、感無量でしばらく見入ってしまいました。「もう単眼倒立には戻れないなあ...。」そう思った瞬間です。充実感と次回の期待を胸に撤収し、家に着いたのは1時近くでした。しばらく興奮で寝つけませんでした...。

これまで DOB(25cm)での観望が主に行ってきましたが、BINOはちがった切り口(双眼正立の世界)で宇宙を見せてくれます。短時間でこれだけ見ることができたのも、ずっと手動で天体導入を苦労(訓練?)してきたからなのだと思います。星図を片手に倒立像であることを想定し、なにかカンのようなもので常に導入していたような気がします。それでも25cmで星雲星団や銀河をとらえた時の感動はひとしおでした。
しかし、BINOの場合その感動とはちがっていて、天体の位置が星図の通りなのです(あたりまえですが...)。BINOの平面上部に星図を載せて(こんなことは従来の望遠鏡ではできませんね)、正立ファインダーでそのまま天体位置が容易に特定できるのです。このあたりまえのことに深く感動するのです。なにより導入自体がとても楽しく感じられました。
このBINOによってますます観望機会が増え、より多くの天体も導入できそうな予感がします。これから秋や冬の天体シーズンが本当にまちどおしく感じられました。

この日をなんとか迎えることができたのも松本さんはじめ、周囲の多くの人々たちのおかげと考えております。これからは、機会あるごとにBINOのすばらしさを周囲に伝え、もっと自分の時間を大切に過ごしていきたいと考えております。また次回レポートします。本当にありがとうございました!

仙台市 渡辺 利明

管理者のコメント;

渡辺さんより、115ED-BINOのファーストライトのご一報をメールでいただき、当リポートコーナーへのご投稿をお願いしたところ、快く詳細にまとめてくださいました。  初めてEMS-BINOでじっくりと天体を観察された感動を素直におまとめいただき、初期の感動を呼び覚ませていただいた感じがいたします。

お持込の115ED鏡筒(KENKO)が(恐らく同じOEM供給元と思われながら) 、想定していたBLANCA115EDT鏡筒とは仕様が大きく異なっており、最初はご心配をおかけしましたが、最終的にはBINOに特化したカスタマイズによって課題は全てクリヤーできました。 その都度、問題点を率直に申し上げましたが、素早いご反応をいただき、速やかに作業を進めることが出来ました。

渡辺さんには、この度の御地元の震災被災にもかかわらず、遠路をご訪問くださったことにつき、深く感謝いたします。 これより、秋~冬の天体も115ED-BINOに覗かれることを心待ちにしていると思います。 その節には、またぜひ追加リポートをよろしくお願いいたします。
さっそくの臨場感溢れるリポートをありがとうございました