Proximate Annular Eclipse” 近金環食!

Contrary to the relatively pessimistic weather forcast, we were blessed with almost perfect clear sky this morining. This photo is taken by the hand held collimation on my 10cmF5-BINO(restricted to 50mm) at 7:06, about 30 minutes before the deepest eclipse. I could not make shots of the climax because so many friends, neighbors, and pedestrians gathered to watch it. The ring is split here, but such deep eclipse is very rare and I am very happy to have been able to watch and share the eclipse with my friends.

P.S.: My daughter, medical student living separate, later sent me the right photo she took by the holes of loose leaf sheet. “Sorry Daughter that I forgot to send you the watching glass in advance.”

写真は10cmF5-BINO(5cm絞り)による手持ちコリメート。 最大食から約30分前の7時6分。 天気予報が外れ、ほぼ快晴下で、観察できました。

友人、近所の人、通行人(通学中の高校生等)で大いに盛り上がり、ピーク時の撮影は出来ませんでしたが、多くの友人知人と感動をリアルタイムで共有できて幸せでした。

医学生の娘(こちらに居ないので今回一緒に観察できなかった)が後で右の写真を送って来ました。 ルーズリーフの穴を利用したとのこと。

BORG76ED-BINO

 今年2月Megrez90-BINOを製作していただきました。それのEMSを兼用してより軽量なBINOを試作してみましたので紹介させていただきます。

【経緯】
2年前にシュミカセ(C11)を購入し、このファインダーとしてBORG100アクロ(EWV32 20倍4.1°)を同架していました。これだと導入したい対象がほとんど確認できてしまうので導入が非常に簡単になりました。そしてこのファインダーをいつかは対空双眼鏡に置き換えたいと常々思っていました。 Megrez90-BINO製作時はC11にEMS-bino同架することは考えていなかったのですが、黒木様のBORG71FL双眼望遠鏡 プロトタイプ(自作)のユーザレポートを読ませていただき、これならC11に同架できるかもしれないと直感し、松本様に相談しながら2本鏡筒を並べて試作してみました。

【BINOの仕様】
・ 重量5kg以下
・ 片持ちのL型プレートで保持
・ EMSはMegrez90のものを兼用(EMS-L目幅ヘリコイド仕様)
・ 鏡筒は10cm単眼の光量となるよう7cmクラスのアクロマート
・ 視野はファインダーの導入機能として4°程度、倍率は散開の鑑賞に最適な20倍程度 

【試作結果】
・ 鏡筒はSYNTA やBOSMAの安価な8cmアクロマートを検討したのですが、鏡筒の切断や接眼部の交換が必要でそれらを2本用意する費用を考えると手持ちのBORG76ED に1本新たに中古鏡筒を探して購入することにしました。(この入手が一番苦労した点です。)

・ 鏡筒の構成は76EDレンズ【7800】【7801】【7507】【7508】と最新の軽量のヘリコイドLⅡを採用しました。BORGはパーツを揃えると高めですが、軽量で鏡筒長がパーツで調整可能なのでbinoの素材としてはうってつけです。

・ 製作に関してはL型のアルミプレートを製作依頼しました。
・ 鏡筒の平行調整は遠くの鉄塔を見ながら行いました。
・ 組立したところ重量はアイピースを除いて4.8kgでMegrez90の約半分の重さで片手で楽に持てます。

・ 作動感は試しにポルタ経緯台に搭載したところちょっと水平回転が重い感じでした。C11を搭載しているT-Mount改ではバランスをとると水平15°位から天頂までフリーストップで動きます。また水平回転も左右の重量バランスがとれて軽快に動きます。

・ 視野はEWV32mmで16倍 5.4°瞳4.9mm、アメリカンサイズのSW24.5mmで20倍 3.3°瞳3.6mmとなりました。

【実視結果】
 先日2回目の遠征でようやく実視できました。場所はホームの赤城山です。 さそりが南中し夏の天の川がなんとか見える当地としてはまずまずのコンデション。 アンタレスでファインダーの光軸合わせをしながらbinoを見るとM4が見えたのでそのまま主砲C11でM4を確認。球状星団はやはりC11には敵いません。 先に沈みかけている春のディースカイをチェック。M81,82ペア、M51、M101、M3、M65,66ペアを確認。 その後南に戻りM6,M7を導入。散開はbinoでないと入りきりません。とてもシャープに見えます。 そして夏の銀座M8,M22,M17と射手座からM11方向へ散策。さらに上っていくとコートハンガーが入ってきました。binoでは余裕で入るのでかわいらしく見えます。 M8などはbinoで星野の中で見ても主砲で拡大してみてもきれいに見えました。 M57もこの倍率ですがbinoでなんとか確認できました。そしてM27も容易に確認できます。網状星雲は見つけられませんでした(フィルタ無では無理?)。見忘れたM5を見て後ろをみるとカシオペアが上がってきたのでET星団を見て最後に天頂にあって後回しにしていたM13を見て薄明を迎え本日終了。 導入対象の見え方に関しては比較している空のコンデションが違うのですが単眼の100mmアクロに比べて双眼の76mmアポは互角以上と思われます。 このbinoは計画通り導入及び散開星団の鑑賞と活躍してくれました。

【課題】
・ ヘリコイドの作動ですがEMSと2“アイピースでは作動が重く、フロントで使わないと厳しいものがあります。まあ途中アイピースは交換しないのでよしとすることにします。

・ 構造がアルミプレートに鏡筒バンドをただ乗せただけなので光軸が自宅で調整した状態と少しずれたようなので保持方法を改善していきたいと思います。

【最後に】
 長年イメージしていたシュミカセ+対空双眼のシステムが具現化できとりあえず嬉しくて報告させていただきました。口径からするとC11が主砲ですが大きな対象に対しては広視界の76ED-binoが主砲となります。まだまだ気づいていない問題があると思いますが徐々に改善していきたいと思います。
 また76EDbino単体での軽量・分割性を生かして、海外遠征に持参し昼間は片側で日食の撮影と片側で観望、夜は双眼観望鏡として南天の観望などと夢を膨らませております。
 EMS歴3ヶ月の素人ですがEMSと市販品のパーツを組み合わせで高性能な双眼望遠鏡ができてしまうのですから、EMSをここまで進化させてきた松本さんに改めて感謝いたします。 またユーザーレポートを書いてくださった黒木様にも感謝いたします。

埼玉県 Y 

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

 Yさん、Megrez90-BINOに続き、 BORG76ED-BINOのご成功、おめでとうございます。

 まずは、某業者さんによるTマウントの改造が見事ですね。  改造後の形式は、常に重心が水平回転軸上にあるので、力学的に有利で、経緯台として 高性能が期待できますね。 鏡筒の下に干渉物が無いことによる開放感も捨てがたいですね。
 片側にバランスウェイトでなく、BINOをセットされた点が良いですねえ。 実に無駄がありません。 (左右共BINOになるともっと良いのですが^^;。)
 ところで、こうしたセッティングでは、左右の光学系の 光軸が完璧に合致していると、楽しさも倍増し、そうでないと半減するのですが、Yさんに お聞きしたところ、垂直方向はアリ溝と架台の取り付けのバカ穴の範囲で、水平方向は BINO側の鏡筒バンドの取り付け部で調整されているそうで、さすがです。

 この手のT型架台で私が今非常に注目しているのが、やっと供給され始めたMEADEのLX80です。 自動導入のGOTO架台ですが、非常にしっかりしているようで、搭載可能重量が桁外れです。 4月28日~29日にニューヨークで開催された望遠鏡フェア(NEAF)では、米国の代理店さんが125SD-BINOを LX80に搭載して展示されました。 この段階では、まだ実際のフィールドではチェックできていませんが、近日中にこの架台の最終的な評価が得られる予定です。( 以下のYOUTUBEの後後半にちらっと登場します。)
NEAF10分間ツアー

2014年5月4日追記 掲載時とのタイムラグにより、LX80架台に対する評価が今では変わっていますので、責任上、 現状を追記させていただきます。
 まず、掲載時は極端な円高とあいまって、LX80架台の非常に高いコスト/パーフォーマンスに注目したのですが、現在では円安が固定して値上がりしたこと により、価格的な魅力は半減してしまいました。

 次に、電子系統が脆弱(過電圧に対する保護回路が不十分か?)のようで、端子の差し間違いで一瞬で回路がパンクする等の問題が確認 されています。こうした開発初期のトラブルは一般的に珍しくないのですが、メーカーの修理対応に月単位、年単位の時間がかかることの 方が問題で、現状ではお勧めできない状態になっています。 メーカーの製品自体の供給もストップしているようで、改善を模索しているのかも分かりません。  ということで、性能が完全に安定するまで、まだしばらくは様子を見た方が良さそうです。 以上、当リポートとは無関係ですが、 LX80架台の評価について、訂正いたしました。

EMS-UXL-Super Premium completed / EMS-UXL-Super Premium 完成

“EMS-UXL-Super Premium” is completed !

Photo3: Over-sized second mirror will allow still more larger oculars such as 40mm wide field.
Photo4: 60X120mm elliptical mirror will grasp the whole of the light cone from 250mm aperture objective.
Photo2: The special rod between the fixed barrel and the last tube from the helicoid will cancel the focus change in adjusting the IPD. And it will also reinforce the total mechanism of the EMS.
Photo7: The helicoid is the one which is customized for the binocular use; very rigid and smooth. And reversed screw for the left (right) one enables the ergonomic operation in adjusting the IPD.

ようやくEMS-UXL-Super Premiumが完成しました。 25㎝3枚玉アポ(長焦点)BINOの 高度な要求に応えられると確信しています。EMSを発売して23年目に至り、今までの 懸案が全て解決しました。 左右の鏡筒を完全に固定でき、眼幅調整に追加の 反射を要求せず、目幅調整時にピント移動も生じないということです。

Great Success on the New IPD Mechanism / 新型目幅調整機構の成功!!

Here confirmed that the new mechanism of the IPD adjustment is quite successful. The helicoid extention tube and the focus compensation tube are linked together by a rod to attain the perfect IPD adjustment with no focus change. They operate very smoothly and rigidly.

There is a big coproduct of the reinforcement of the total mechanism in the presence of the rod that precisely bridges the barrel root and the last pipe of the EMS, too.

理想的なピント補償機構の機能テストに成功しました。

左の写真の下に表示していますように、青い矢印で示した自由スライドパイプの(引き出しの)長さと 、赤い矢印で示したヘリコイドの長さの合計が常に一定になります。(左の写真が目幅最大(ヘリコイド最短)、隣が目幅最小(ヘリコイド最長))

すなわち、目幅を小さくするためにはヘリコイドを伸ばす必要がありますが、その伸びた分だけスライドパイプが縮むわけです。(目幅を広げる際はその逆。)

ヘリコイドとスライドパイプの伸縮が常に拮抗するように制御するのが、定長の1本のロッド (プレート)です。ロッド(プレート)は、両端の ヒンジを介して望遠鏡側の接続バレルの根元と、EMSの第2ユニットに固定されたパイプを連結しているだけですが、これがスライドパイプに働いてヘリコイドの伸縮によるピント移動をキャンセルするわけです。 さらに、大きな副産物として、このロッドの連結がヘリコイドに代表される、この目幅調整メカ 全体の力学的な強度を飛躍的に向上させることが分かりました。特に、重量級の アイピースの装着による、ねじれの力に対しては万全のスタビライザーとして働きます。 スタビライザーとしての機能も極めて重要なので、この機構は、スタビライザーがピント補償機構を 兼ねている、と言っても過言ではありません。 スタビライザーとピント補償機構が、互いに余分な機構を 付加することなく、 一石二鳥で実現しているわけです。

これが、お約束をしていたサプライズの一つです。 今日は長年の懸案が達成された記念すべき日となりました。

 

The principle of the innovative compensator / これが新型のピント補償機構の原理です。

The new EMS-UXL-Super-Premuim is near completion. Here is the principle of the innovative focal compensator on the IPD adjustment mechanism.

半年以上お待たせしてしまったEMS-UXL-Super-Premuim(ドイツ)が、もうすぐ完成します。 ベアリングのワッシャーの在庫が切れたため、仮組み立てが一日ほどお預けになりました。 今回は左右単独補償ですが、原理は前回のC5-BINOの左右同時補償機構と同じなので、必ずうまく行くはずです。 EMSがあたかも自由スライドチューブで宙吊りで不安定に見えるかも 分かりませんが、決してそんなことはありません。 なぜだかお分かりですか。

赤い枠で示した部分がヘリコイドで、使用者は通常通り、ヘリコイドを伸縮させて 目幅調整を行えば、自動的に自由摺動パイプが連動してピント移動の収支を常に実用上 ゼロに保ちます。 その連動の役目を果たすのが、たった1本のヒンジ付きロッド(写真の、丸い穴が3つ開いたプレートのこと)で、 これは、ヘリコイドの回転方向の負荷をかなりの割合でカバーする、スタビライザーの 役目も兼ねます。 ヘリコイドの負担を軽減し、回転ガタの心配もなくなるわけです。

ピント補償機構は、あらゆる機構を試しましたが、最終的に最もシンプルな方法に 落ち着きました。 この原理は、目幅調整のフルストロークでのピント補償を数学的な厳密さで補償するものではなく、厳密には標準目幅(64mmくらい)で微分的に成り立つものですが、 実用的には、調整域の全てでピント誤差は視認できないレベルであることがC5-BINOで実証されています。(目幅を変える時は観察者が交代する時ですから、微小なピント誤差は尚更問題になりません。)

Challenging for the slimmest slide tubes / 薄さへの挑戦(スライドパイプ)

The new compensator requires minimum thickness of the slide tubes. So, this new attemplt is being done and seems to be quite successful.

今度の新型の(単独型)ピント補償機構は、極力薄いスライドパイプが要求されます。 通常のクレイフォードフォーカサーのやり方ですと、ご存知のように、外筒と内筒の間にベアリングユニットが入るため、結果的に外筒外径に対して、内筒の有効内径がかなり小さくなってしまいます。

写真のようにベアリングをセットすれば、スペースを劇的に節約することが出来ますが、高度な加工を要求します。 不注意から、反対側の加工でドリル径を間違えたためにこの写真のパーツはオシャカになりましたが、加工の要領は分かりましたので、落ち込んではいません。^^;

Megrez90-BINO

メガネのマツモトさんに製作を依頼しましたMegrez90-BINOが2月に完成しました。過去のユーザーレポートは大変参考にさせていただきましたので自分も少しでも今後製作される方の参考になればと機材導入の経緯から、製作過程、ファーストインプレッションまでReportします。

【導入の経緯】

以前より対空双眼鏡とシュミカセ+双眼装置でディープスカイを楽しんでおりましたが、視野の広さやシャープさ、抜けの点でレベルアップを目指しEMSを使った双眼望遠鏡を製作することにしました。求めるビノのイメージとして「気軽に持ち出せて満天の星空から星雲星団を美しく切り取って魅せる機材」としました。具体的には
重量は12kg未満で一体で扱えてHF経緯台に乗せられる物 星空を美しく切り取るのに最適な実視野と瞳径を重視し、鏡筒とアイピース選定することにしました。
使用倍率:25倍(3°瞳径4mm位)、50倍(1.2°瞳径2mm位)
3°→すばる、北と南の二重星団が余裕で入る視野(三ツ星が入ります),コートハンガー
1.2°→M42、M81&M82銀河ペア、M65&66&NGC3628トリオ同視野
上記条件から計算すると鏡筒は10cmF6クラスで
笠井CAPRI102ED、WO Megrez 90(D90/f558)、ケンコー SE102(D102/f500)、SE120(D120/f600) を候補としました。
12cmのアクロマートにしようかと思いましたが、高倍率で惑星も見てみたかったのでアポ鏡筒の中から選択しました。口径は小さくなりますが既に1本所有しているMegrez90にもう1本買い足して今回の製作依頼となりました。

【BINOの仕様】

目幅調整はヘリコイド方式と鏡筒移動方式がありますが、TV85の製作事例でメガネバンド+ヘリコイド方式でシンプルで美しく見えたので、松本さんの薦めもありヘリコイド方式にしました。 またヘリコイド方式の場合鏡筒移動方式よりバックフォーカスを必要とするので鏡筒の切断が必要かもしれないとのことでフォーカサーを変更してバックフォーカスを確保。

【BINO完成・鳥取訪問】

松本さんの製作されるビノは常々美しいと思っておりました。今回もゴールドのアクセントカラーでホワイトが艶やかな鏡筒に黒アルマイトのメガネフレームがマッチした美しいビノに仕上がったと思います。

光軸調整を直々に指導して欲しかったこととEMSビノを開発した松本様にお会いしてみたかったので雪の積もる中、鳥取へ出かけました。(飛行機は雪のため条件付きのフライトでした。) さっそくBINOを覗いてみると、水銀灯が雪越しに立体感を持って見えとても幻想的な景色を見せてくれました。心配していた光軸調整は文章を読むと難しく思いますが直に指導受けるとそう難しいことでなくほっとしました。

鳥取はすごく遠い所だと感じておりましたが、実際に来てみるとぐ~と近く感じられるようになりました。是非来られることをお勧めします。

【使用アイピース・ファインダーについて】

アイピース  見かけ視界    倍率    実視界  射出瞳径

EWV32mm    85度     17倍    4.9度   5.2mm
Nagler22mm   82度     25倍    3.2度   3.5mm
XW10mm     70度     55倍    1.2度   1.6mm
LWV5mm      65度    112倍    0.58度   0.8mm

NA22mmが重いので(実測2本1340g)、重量級のアイピースで揃えました。
デフォルトはこのアイピースの予定です。
ファインダーは通常はクィックファインダーのみで十分。
最初からLWV5で導入するときは笠井正立直角ファインダー併用。

【観望インプレッション】

観望地は冬場のためいつもの赤城山の駐車場が雪で閉鎖されているので山間部の平地の公園で行いました。透明度はまずまず(プレセペが目視で見える)でしたが、水銀灯と自動販売機の光がもろに接眼部に入るいまいちのコンデション。片手で覆いながらの観望。気温-2度、無風。
Nagler22(25倍、3.2度)とクイックファインダーをセットし沈むカシオペアからM52, ET星団, h-x, と秋の銀河でスタート。(M31は残念ながら山に隠れて見えません。)ペルセウスα星付近を流してM34,すばる 、ヒアデス。天頂付近でM1,M37,M36, M38, M35と流してから南に来てM42,M78,ばらの星団部分、X’ツリー星団、シリウスからM41, おおいぬ座145星(冬のアルビレオ:色の対比がきれい)、M46&47(絶景),M50と冬の銀河を散策。

次に上った北斗に来てM81&M82ペア,ふくろう星雲&M108ペア,M51(子持ち銀河),M101を存在確認。 アークツルースが上ってきたのでそれを目印にM3を見てプレセペ,M67 獅子の後ろ脚からM65&M66&NGC3628トリオ、獅子の腹にある銀河(M95,M96,M105?)を見てデネボラからかみのけに向けると銀河がいくつも入ってきました。 この方向にいままで向けたことがなかったのですがいくつも見えて感激! この間着いてから約1時間。 散開星団、秋、冬の銀河はこの倍率で流すと星団単体の迫力もあり最高です。 またこのビノは対象物に正対して操作ハンドル持って下を覗くスタイルが自然で最高です。

つぎにアイピースをXW10(55倍、1.2度)に変えて好きな天体を見直します。 M42,M81&M82ペア,ふくろう星雲&M108, M37,M36, M38, M35,M1,M65&M66&NGC3628トリオを再度導入しました。銀河のペア、トリオが同一視野でバックも締まり絶景。再度かみのけ~おとめ銀河団にも向けてみました。9cmでもいくつも銀河が確認できます。
東を見るとからす座が見えたのでスピカを目印にソンブレロ銀河を導入、なんとなく暗黒帯が見えるような感じ。最後に東にスピカと上って来た土星の輪を見て本日終了。時計を見るとここまでで2時間弱。今回クイックファインダーのみでしたが1.2度の視野でも鏡筒をちょっと振ると目的の天体が入ってきます。この視野に入ってくる感じがいいですね~。
9cmのビノながらコントラストの良さとリッチフィールドで短時間でこれだけ楽しめました。 機材が軽量(アイピースを除いてビノ重量9.1kgで)シンプルであることは設置、撤収が楽です。(写真はピラーですが、遠征時はHAL110三脚です。)

一方高倍率の方ですが、LVW5をセットして自宅から木星、火星、2重星を見ました。二重星観望ではγAnd(アルマク) 、おおいぬ座145星、βMon、リゲル、σOri等楽しみました。現状所有のアイピースでは最高112倍で火星には倍率不足ですが、これ以上倍率が高いと(不慣れなため)追尾もたいへんなのなのでこのシステムですすんで惑星を見ることはなさそうです。

【使い勝手】

①光軸調整ですが、アイピース交換の度に行う必要がありますがEMS調整ノブのおかげて数秒で終わります。双眼装置の場合はアイピースによっては試行錯誤でアイピースを回転させたり、左右入れ替えたすることもあるので調整機能が備わっていることは楽です。

②操作ハンドルの操作性はたいへんよく気持ちよく掃天できます。
これにより対象物を決めて導入するのでなく、当てもなく掃天し「星空散歩」をするような観望スタイルが合います。

③仰角変化とアイピース交換時の重量バランスについてですが、デフォルトのハンドルのウェイトでは仰角45度以上で調整が難しかたったのでアリガタにアリミゾに付けたウエイトで調整し、HF経緯台のフリクションねじをきつめに締めてフリーストップを実現しています。アイピースを外すときはフリクションねじをきつく締めても鏡筒が動いてしまうのでかならず1本ずつ交換します。

【最後に】

今回の観望でたった9cmのビノですが多くの観望対象を短時間で楽しませてくれることが実証されました。星空散歩のツールとしてよいものを製作していただいたと思います。今後は夏の天の川やEWV32mmによる4.9度の視界を楽しみたいと思います。
素晴らしいEMSビノを開発し、(高価ではありますが内容を考えれば)とてもリーズナブルな価格で製作していただいた松本さんに感謝いたします。今度のメンテナンス等でもよろしくご指導願います。 またユーザーレポートを書いて自分を導いていただいた先達様方にも感謝いたします。

埼玉県 Y

Comment by Matsumoto / 管理者のコメント;

埼玉県のYさんより、少し前にファーストライトのご報告のエキサイティングなメールをいただき、ホットな印象をそのままごここに紹介 させていただこうと思いましたが、再度文章をまとめてから改めてご報告いただくとのことで、今回、詳細なリポートをご投稿いただきました。  導入支援装置なしで短時間に多数の天体を満喫しておられ、Yさんが以前より、しっかりと天体を観察して来られたことが分かります。

完成時には遠路をはるばるご訪問いただき、仕上がったばかりのBINOとご対面いただきました。 当地のこの冬は異例に雪が多かったのですが、幸いなことに、雪はYさんのご訪問日を避けてくれました。(当日までハラハラしていましたが。)  Yさん、懇切なリポートをありがとうございました。 続報を楽しみにしています。
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YさんのMegrez90-BINOの製作記は、BINO製作情報速報の、 2012年1月18日、19日、21日、2月1日、4日、7日、8日に掲載しています。

C5-BINO on the MiniTower-Pro

201202051143000
201202051143000

モバビーC5

 この度は、C5ビノを製作して頂き、有難うございました。まだ、冬型の 天候で気流も安定せず、完全な報告とまではいきませんが、とりあえずファースト インプレッションをお送り致します。

 当初C5のシュミカセ専用レデユーサー(以下、専用RD)を主境セルに取り付けていましたが、 専用RD以降のバックフォーカスを長く取りすぎたため、明るい恒星などの周りに光環が 発生しました。そのため、専用RDを取り外し、笠井トレ-デイングのアイピースレデーサーを 取り付けました。松本さんには再加工をお願いする事になり、大変ご迷惑をおかけいたしました。 事前に、星像等については確認したつもりでしたが、明るい恒星等での確認が不足していたようです。
 専用RDを取り外し、笠井RDを取り付けることによって、全体のバックフォーカス は25ミリ程短縮されましたが、それでもRD無で、焦点距離は1560ミリ、笠井RD付きで940ミリ 程度になるようです。

 新しく開発されたピント補償機構とスタビライザー機構は、大変使い易いものとなっています。 このC5ビノは、もともと観望会用をコンセプトとして出発していますので、眼幅が異なる大人や 子供達が同一ピントで観察できるのは、非常にメリットがあるのです。スタビライザーシャフトも、 これが1本あるだけで、左右の2インチチューブの傾き、前後方向、上下方向を決定しますので、 ビノ初心者の私には大変助かります。写真では良く分かりませんが、左右のEMSがベースプレート 上を前後します。この点も重いアイピースを取り付けた際のEMSガードになっています。 更には、左右の鏡筒のズレを許さない一体型めがねフレームなどなど、 随所にこのC5ビノ新機構の凄さを見せ付けられてしまいます。

 さて肝心の星像ですが、笠井RD付きで、パンオプテイック24ミリ(39倍)、ナグラーⅥ・13ミリ (72倍)、ナグラーⅥ・7ミリ(134倍)、ナグラーⅥ・3.5ミリ(268倍)で観望してみました。
 気流が安定しない中での観望でしたが、24ミリ、13ミリでは良く見えました。定番のh-χ、M42、M78 、M35、M36、M37、M38など非常に良く観望できました。7ミリでは、木星、月面、2重星など が好対象になり、これも良く見えます。しかし、3.5ミリでの恒星はかなり厳しい状況でした。 ただ、月面は3.5ミリでも画像は甘くなりますが、双眼視による迫力も出てきます。 尚、24ミリでは、笠井RDを取り付けることによって、視野が少し狭くなります。
 次に、笠井RD無で、笠井EWV32ミリ(48倍)での見え方ですが、視野は格段に広くなり、 それこそ宇宙空間を覗いているような感じになります。ただ、周辺の星像が甘くなる傾向があり、 24ミリを使用するか、32ミリを使用するかは、対象天体によって変える必要があるようです。
 それと、C5はシュミカセではありますが、筒内気流による温度順応についてはさほど気に する必要はないようです。

 このC5ビノは重量が約11キロです。このまま経緯台に取り付けることができ、もちろん移動に際しても このままの状態を保ったまま電車等を利用できます。口径12センチのビノが、この大きさ、この軽さ というのは、いろんな意味において有利に働きます。私には、見た目がカッコ良い点も気に入っています。

 このC5ビノは、GPS機能付きの経緯台に搭載します。この架台は、自動導入・自動追尾が可能で、 北極星が見えない場所でも設定が楽に行え、導入精度も、満足しています。 また、搭載鏡筒もC11程度までは可能のようです。ただ、2軸で追尾するため、高倍率(200倍程度)では、 多少ゆらつきます。しかし、観望に支障をきたす程ではなく、気にはなりません。 尚、電源は100ボルト、12ボルト、乾電池(本体に単38本収納)の選択ができます。 観望会等で使用するに当たって、夕方まだ明るい内に、北極星が見えない場所でも月や惑星等を 基準星として設定でき、自動導入後、大人数で観望しても追尾するという点において大変重宝しています。

天候など回復し、観望の機会が増えましたら、またリポートいたします。

塩塚

Comment by Mtsumoto/ 管理者のコメント;

 このBINOの製作は、近年で最も難産だった物の一つです。 加工自体には問題はなかったのですが、 何度もアイデアを練り直したため、達成感のないまま時間が経ち、お待たせしているストレスに潰されそうな時もありました。 しかし、結果的には思い通りの仕上がりになり、非常に満足しています。

 シュミカセは、主鏡を前に移動させることで、ほぼ無制限にフォーカスを外に出せる利点がありますが、 この例でも示していますように、フォーカスを引き出す程度に応じて、F値が大きくなってしまいます。 通常よりも200mmほど焦点を引き出しますと、F12くらいになってしまう訳です。仮に1/2のレデューサーを鏡筒接眼部に用いますと、一旦400mmほど引き出してから焦点を縮めることになりますので、収差補正的にもさらに 無謀な使い方になるわけです。 その意味では、このようなケースでは、レデューサーはなるべく焦点の 近くで使用する方が有利だと思います。

 最初、私は当タワー型のgoto架台(MiniTower-Pro)のことを知りませんでしたので、その使用に悲観的でしたが、すでに同等負荷を試載して検証済みとのことで、了解いたしました。 実際に、完成後のBINOは、同架台に楽勝で載って問題なく動いているとのこどで、 固定観念で判断していた自分を反省しています。 他社でも同様な経緯台モードに変換できる赤道儀が 開発されており、今後このタイプの架台が普及して行くだろうと予感させられます。

 お仕事の都合で、仕上がったBINOは発送させていただきましたが、納品後にBINO本体と一緒にご訪問 いただき、純正のレデューサーの撤去とEMSと鏡筒間のスペーシングの短縮、その他OPTION加工をやらせていただきました。

 塩塚さん、タイムリーなリポートをありがとうございました。 全く新しいジャンルのBINOですので、 貴重な情報です。 また、一通り観測されましたら、ぜひ追加リポートをよろしくお願いいたします。

(このBINOの製作記は、BINO製作情報速報の、2011年の11月20日、22日、29日、 12月1日、11日、13日、14日、23日、25日、28日 、2012年1月3日、12日、14日、に掲載しています。) 

TSA102-BINO on an Equatorial Mount

TSA-102 Rotating Binoscope

Contrary to the custom Alt-Azimuth mounting this Takahashi TSA 102 Binoscope is mounted on an equatorial mount. A set of rotating rings from Parallax (USA) was used to allow for the rotation of the Binoscope to level the eyepieces. Normally these rings are used for rotating the Newton type telescope.

The reason for using an equatorial mount is personal. For observing the tiniest details on the moon and the planets, so with the highest magnification, I prefer the steady one direction equatorial movement of the telescope. It is also important to have enough space to take a seat at the telescope, because the observer should be able to position the eyes as strain free as possible to allow for maximum relaxation during observation. Only then the observer will be able to see what the instrument can deliver.

During one of the first moon observing sessions with this Binoscope the small 500 meter wide rill in the Vallis Alpes was easily spotted in full length at a magnification of 233x with use of the Pentax XW 3.5 mm eyepiece. It showed very clear the irregularities in the rill and the high contrast between the rill and valley floor. According to several observational books and lunar atlases this should only be possible with first class optics of above 130 mm diameter. Many Binoscope users know by experience that observing with two eyes has several advantages and going beyond the diffraction limit for high resolution observation is one of them.

Switching to the Kasai Extra Wide Vue 32 mm eyepiece it has 26x magnification and a splendid 3.3 degree field of view showing clearly the low contrast extensions of the Orion nebula filling up nearly the complete field of view.

Highly recommended instrument for lunar and planetary observing !

Alexander van Lemel
Rijssen, Netherlands
Februaryr 1st, 2012

和訳(松本)

一般的な経緯台と異なり、このTSA102-BINOは赤道儀に搭載されています。 アメリカのPrallax社製の回転式バンド(ニュートン反射用)を1組(2個)使用し、 アイピースのレベルを常に水平に保つことが出来ます。 この回転式バンドは、主にニュートン反射望遠鏡 の回転機構として使われています。

赤道儀を採用した理由は、私の個人的な事情によるもので、月、惑星の微細構造を最高倍率で観察するために、一軸で安定した追尾が可能な赤道儀を好んだからです。 また、BINO本体の下に干渉物がなく、ゆったりと座って観られることも重要なポイントです。 観察者の眼は、観測中、出来るだけ安楽でリラックスできることが重要で、そのような条件が整って初めて、このBINOの性能をフルに発揮させることが出来ると確信しています。

このBINOで最初に月面を観察した時、アルプス谷のわずか500m幅の溝の全長を233倍(PentaxSMC3.5mm)で簡単に確認しました。 また、溝の複雑な地形と、溝と谷の平面の高いコントラストもよく確認できました。 私が知る5~6冊の観測ガイドブックや月面図によると、このような細部は、口径13cm以上の優秀な光学系 が必要だと書いてあります。私を含む多くのEMS-BINOユーザーは、経験から、双眼視には多くの利点があり、回折限界を越えた威力を発揮することを知っています。

アイピースを笠井TDのEWV32mmに切り換えると、今度は26倍3.3度の素晴らしい広視界を提供し、ほぼ視野一杯に 広がるオリオン大星雲の微妙なディテイルを満喫させてくれます。

特に、月、惑星観察には最適で、お勧めしたいシスムです。

Comment by Matsumoto;

Mr. Alexnander van Lemel has successfully made his own rotative mount for his equatorial mount. I would like to give him my biggest applaud because I know the difficulty of making the rotarive device. He is not only a good craftsman but also has deep understanding of EMS and its applications.
He said the binoscope was set on the rotative mount currently with the preliminary device, but he would come back here again to explain closer detail of the mechanism after finishing it.

Just two days before the eastern Japan catastrophe, He and I were exchanging “Sake” in a Sushi Bar in Tottori City without knowing what would happen two days later. He knew the earthquake while he was going back to Tokyo, and he could scarcely evade it and could get home safely.

The cute girl in the 6th photo is his loving daugter. She was so kind that she had drawn me a cute picture leaving it to her father starting for Japan.

オランダのアレキサンダー氏がTSA102-BINOを見事に赤道儀仕様に仕立て上げました。  時間が無いことを理由に、赤道議仕様の製作はお断りしたのだと思いますが、自力でここまで製作されるとは、 大したものです。
BINO本体を回転装置に固定しているメカニズムが写真では分かりませんが、 彼によると、現状はまだ仮セットで、最終的に完成したら改めて詳細をここで発表してくれるそうです。(それと、時期を見てヘリコイドも新型(マツモト製)にアップグレードするそうです。)

彼は産業機械メーカーのエンジニアで、日本にも支社があることから、数年に一度は 来日されるようで、実は去年の3月9日には、彼は当方を訪問していました。

一番右の写真に写っているのは娘さんで、私のためにわざわざ絵を描いて、日本に行くお父さんに 託してくれました。 この絵と、私の娘に頂いた陶器の風車のオルゴールは、我が家の宝物になりました。

彼は私と別れた後、東京に向かっている時に地震を知りましたが、交通の混乱はあったものの、かろうじて震災には直接巻き込まれることなく、無事に帰国しました。

Megrez90-BINO preliminarily assembled / Megrez90-BINO、仮半組み立て

It is very important to sometimes assemble the parts together and see how they look.The size of the trunnion base or the position of the trunnion will be decided at this stage.The focuser will be replaced by the Feather-Touch to get enough back-focus without cutting short of the OTA tube.

 時々仮組み立てをしてみることは、各所の設計を煮詰める上で、、極めて重要です。 実際に組み立てて見ることで、2枚のメガネプレートの間隔や位置、耳軸の配置等の最適な値が決まります。それによっては、フードの縮退に制限がかかりますが、やむを得ません。

 フォーカサーをFeather-Touchに換装するのは、鏡筒を切断しないでバックフォーカスを延ばす目的もありますが、短いドローチューブ(選択可)で有効光束をより太く確保し、コントラスト向上や軽量化の副産物も期待できます。 Feather-Touchは単純に高さが低い(短い)のではなく、ドローチューブが2インチスリーブ(AD)部分を含めてゼロ(0)プロファイルまで全て中に入り込むのが特筆すべき特長であり、デザイン性も含めて大きな魅力です。 新たなテーパフランジを製作してセットしましたが、これも、Feather-Touchの光路長短縮の効果がいかに大きいかを物語っています。