Here comes a good sample for your study. / 像倒れの調整例

Here comes a good sample for your study.A pair of EMS set has arrived from my client today in ambulance with the complaint of the serious condition.

This trouble seemes to have occurred when he replaced the spacing tube of the EMS that connect two mirror units together.

He insisted that the right EMS is perfect because he checked the connection angle by the substitute of the right angle gauge, and only the image of the left EMS is extremely inclined.Is that really so? I will explain its real truth.

Let me firstly explain how the normal binoscope will show the edge-line of the bent paper put before the dew-shield. The occulars shoud be extracted in advance. As you expect, the edge of the paper should look straight at the sleeves.(The right photo)

格好の教材が舞い込んだので、ご紹介しない手はありません。   持ち込まれたユーザーの方の名前は出ませんので、ここで皆さんに紹介させていただくことを、皆さんの参考のためと、あなたの学習のためにお許しください。

EMSだけを求めてBINOを組み立てた方ですが、EMSのユニット間のスペーサーをご自身で交換された後に左の像の著しい傾斜が修正できなくなって、EMSを一式送って来られたものです。

主訴は『右のEMSは完璧で左のEMSの像だけが著しく傾斜し、傾斜を私の指示に従って?^^;修正すると、左のアイピースが明後日の方向を向いて、BINOにならない。 左のEMSの光軸が著しく狂っているに違いない。』 というものでした。

さて、実際はどうだったかを以下でご説明しますが、その前に、ノーマルなBINOではどう見えるのかをお示ししておきます。

サンプルに用いたBINOは、店内に置いている、初期(15年くらい前)の試作品の10cmBINOです。上左の写真のように、折った紙(ポスター等)を筒先に置き、口径の上半分を隠すと、アイピースを撤去した接眼部では、折った紙のエッジの線が上右の写真のように1本に貫いて見えます。 敢えてEMSの構成ユニットの固定ネジを左右のEMSとも緩めて対空角度を微調整しますと、その線が目尻が吊りあがった怒り目になったり、逆の泣き目になったりすることは、このサイトで何度かご説明して来た通りです。

Now, I will diagnose the emergency case.(I am sorry that the smaller binoscope sample here did not accept the larger spaned sick EMS pair at a time, and I will show you left and right unit alternatively.)

From the left, the first photo shows some inclination of the left image, but it was not so serious as the client insisted. The second photo shows the awful inclination of the right image. You see the right image is far more inclined than the left one. Each of the EMS was well collimated in spite of his complaint, “The left EMS only is seriously out of collimation.”

Checking the connection angle by the gauge, the right EMS proved to have the serious deviance from the right angle. Those facts eloquently explain the symptom of the two of the left photos. Now you will know the reason he had trapped into the labyrinth.

It is true that his right angle gauge was not perfect is one of the reason, but the core of the trouble is his attitude that he never doubted the right EMS and he adjusted the left EMS only. EMS shouled be always treated as a pair and should be targeted on attaining the relative parallel of the inclinations.

さて、送られて来たEMSセットは、実際はどんな状態だったかをお示しします。(写真は全て当方で調整する前の状態です。)サンプルに使用したBINOがEMS-Mのシステムだったため、スペーシングが大きい問題のEMSは左右同時にはセットできませんでしたが、調整済みのサンプルのEMSを片方だけ残して、問題のEMSの左右を交互にセットしてみました。

左の写真では、左のEMSは確かに少し時計回りに視野が回転しているものの、その隣の右のEMSの視野の回転の方が尋常ではありません。 それぞれのEMSを当方の直角面定規に当ててみましたら、案の定、右のEMSは対空角度で85~87度くらいに狂っていて、著しい時計回りの視野の回転と合致していました。

この方が直角面定規に代用された基準面の角度が実際には直角よりもかなり鋭角だったことが予想されますが、それは大した問題ではありません。 なぜなら、スタートラインとしてそこから調整をスタートされるのに、精度は問題にならないからです。

問題だったのは、代用品の直角面定規を鵜呑みにし、右のEMSの状態が完璧だと思い込み、EMSを左右セットとして相対的な調整をされず、左のEMSのみを調整されたことです。 その基本さえ守っていれば、右のEMSにも問題があったことに自然と気付かれたはずなのです。 少なくとも、左右の視野の相対的な倒れは、左右のアイピースの平行をキープしたままで解消できるのです。左右の視野の天方向をV傾向の上開きとΛ傾向の上閉じの双方向に連続的に調整できるので、その間に必ず存在する解に合わせることが出来るわけです。

補足:EMSの光軸はほとんど狂っていませんでした。 仮に狂っていたとしても、光軸とは独立的に視野の倒れが修正できることが、EMSの顕著な特長なのです。たとえ45°の像傾斜を修正しても、左右のアイピースの平行は完璧にキープできます。

(EMS-Mや標準スペーシングのEMS-Lのように、第1、第2ミラー間のエッジクリアランスが1㎜~2㎜程度以内と際どい場合は、EMSの構成ユニットの接続を不用意に緩めていきなり大きく回転させるのは、ミラーを損傷する危険があるのでご注意ください。 )

Preliminery assembly of the vertical unit— 2 / 垂直回転部(中軸)の仮組み立て–2

Inner half of the bands are set on the mount. The clamp of the altitude axis is processed.
 鏡筒バンド(内側)を取り付けてみました。 垂直回転軸(中軸)のクランプも施工(スリット加工)しました。 締め付けバンド式なので、フリクションが自在に調整でき、把握力も強力です。 この状態で、鏡筒の隙間=44mm(前モデルは45mm)となりました。(43mmの予定でしたが、鏡筒バンドの肉をあまり薄くしたくなかったので、ここまでとしました。 垂直回転軸機構(しかもエンコーダ内蔵)を間に挟んで、鏡筒隙間=44mmは善戦したと思いますが、いかがでしょう。

Preliminery assembly of the vertical unit / 垂直回転部(中軸)の仮組み立て

Just confirmed this plan will be quite successful.
 垂直回転部を仮組み立てしてみました。 各所の干渉回避や重心位置等の条件が 全て問題なくクリヤーできました。 今後の中軸式架台のコア部分として定番になりそうです。 (左から)4枚目の写真から、鏡筒のセット方法(方向)がお分かりになると思います。 伝統的な横軸のアリミゾ(&アリガタ)では、両手で抱えて重い鏡筒をアリミゾの下爪にひっかけた後、片手を離してクランプを操作しないといけない点が問題でした。 今回の方法ですと、 最後まで両手で鏡筒を持った手を離すことなくアリミゾにセットできます。 鏡筒はたとえノークランプで天頂に向けても転落しません。 やっと、新型の中軸式架台の成功を確信できました。 毎度のことですが、プランが出来てから 仮組み立てが完了するまでの間は、焦燥感に浸りながら成果なく時間が過ぎる、苦しい期間でした。

Grooving through the Alti-Axis/ 垂直回転軸の貫通溝

I’ve got over the most difficult machining of grooving through the altitude axis. This will allow the cords of encoder to get out of the bearing plate of the central axis, while rotating by 90 degrees.
 新型の中軸式架台で最も困難な(厄介な)加工を完了しました。 内蔵したエンコーダのコードを中軸受けの外に取り出すための貫通溝です。 軸受けプレートの穴はコードの束+αの幅で良いですが、軸ドラムの方は90度回転するので、 水平から垂直まで干渉しないように、長いスリット状の貫通溝を彫らないといけません。 しかも、前回ご紹介したサイドプレートとのからみがあるので、貫通溝の位置も重要です。

Side plates of the Central Mount / サイドプレート(新型中軸式架台)

A pair of side plates will be set on the altitude axis in such a way that the plates sandwiches the axis and hold the dovetail holders at both ends.

 サイドプレートは1対で垂直回転軸を鋏むように固定され、両端にはアリミゾクランプが取り付きます。 水平から垂直まで、他のパーツと干渉してはならないので、周到なプランニングが必要です。
(垂直回転軸側のネジ穴加工はこれからです。 サイドプレートの取り付け穴配置や数がが左右で異なるのには理由があります。)

Innovative clamp system, quite successful !! / 同時クランプ機構、完成!!

This innovative clamp system is used as a pair to hold two OTAs rigidly and precisely on the mount. The OTA will not drop down even before clamping, and the dovetails can be clamped as a pair simultaneously.
 
 新型の中軸式架台用の(鏡筒セットの)クランプ装置です。 全く新規な発想により、左右のアリガタの 同時クランプを実現しました。 調整可能な状態で左右の鏡筒をしっかり保持します。 クランプ不使用でも鏡筒は脱落する心配はないので、左右の鏡筒を 全てセットした後で同時にクランプすることが出来ます。 このクランプは、今回の中軸式 架台の場合、前後一対で使用します。 写真でお分かりのように、左右鏡筒の鏡筒バンドは、 中軸の回転軸メカ部分を外した前後にセットしますので、互いに十分接近させることが出来ます。 実際、アリガタ底面の間隔は、8mmしかありません。

Dovetails of the New Central Mount / 新型中軸式架台のアリガタ

To optimize the merit of the slim mount, the dovetail system should also be cogitated in planning. The traditional approach of bridging two OTA bands with a single dovetail will ruin the compactness of the central mount, and the distance between two OTAs will become too long.Splitting the dovetail, and each short dovetail set on the band was the answer I used in the last model. But, it was a little awkward or dangerous to set the OTAs on the Central Mount in darkness.This time, I found a wise solution. I found it far better to set the dovetails vertical to the traditional directions.
 前後の鏡筒バンドにアリガタで橋を渡す、伝統的なアリガタの使い方では、中軸式架台の主旨が活かせず、鏡筒間隔が非現実的に広がってしまうことはご想像いただけると思います。 前回のモデルで、 アリガタは、前後のバンドそれぞれにごく短い物をセットしたのは、そのためでした。
 しかし、暗がりで鏡筒をセットするのには、ある程度のコツが求められ、危険性も否めませんでした。
 今回は、アリガタを各バンド個別にセットする点は同じですが、アリガタの軸の方向を従来とは垂直な 向きに変更しました。 これにより、鏡筒が着脱時に転落する危険性がほぼなくなりました。 クランプをしなくても挿入時から鏡筒が安定しているため、クランプ機構をアリガタ(アリミゾ)ごとに装備 する必要がなくなり、非常にシンプルなクランプ機構が実現することになります。 このことは、限られた 鏡筒間スペースを考えると、非常に大きなメリットです。 また、アリガタを縦向きに変更したことで、BINOの初期調整用のシンプルなアジャスト機構(上下方向) も実現しました。(写真、3個目のアリガタ)

Bearing plate of the Alt. axis -2 / 上下回転軸の軸受けプレート(新型中軸式架台)-2

Vertical axis is almost completed.
 ほぼ完成した中軸(垂直回転軸)を軸受けプレートに嵌めてみました。 垂直回転軸が純粋に1個だけという意味では、今回のモデルから真の意味で中軸式架台になったと 言っても良いかも分かりません。 従来型は、中軸式とは言っても、フォーク式架台のフォーク幅を極限まで狭く寄せた構造であり、 耳軸もちゃんと2つありました。 さて、今回の構造でエンコーダを完全に内蔵するために、軸受けプレートの下部にはエンコーダのコードを取り出すための穴をすでに加工していますが、回転軸の方もその処置が必要で、しかも回転しますので、コードをひっかけないように、回転ストローク(0度~90度)+αの長いスリット状の穴(と言うよりも貫通溝)を開けないといけません。 この辺はちょっとした パズルです。

Bearing plate of the Alt. axis (New Version of the Central Mount) / 上下回転軸の軸受けプレート(新型中軸式架台)

This is the simplest bearing plate of the Alt. axis of the new Central mount. It is the result of the long period of cut ant try.Only one piece of this plate makes up the bearing plate which was composed by five pieces of parts for the former model.
The simple structure means not only the cut-back of the process, but also the easier assembly in the calibration of the axis compared with the former two plates system.
 これが新型の中軸式架台(130EDT-BINO)の垂直回転軸の軸受けプレートです。 従来モデルでは5個のパーツを組み合わせた2枚プレート構造でしたが、 今回の新型では、たった1枚のプレート(20mm厚)になりました。 これは、工程の合理化のみならず、従来モデルで必要だった2枚プレートの微妙なアライメント調整(捻れ調整)が不要で、組み付けが格段に容易になるメリットもあります。 クランプ機構も、スリット加工だけで施工できます。 今度は前モデルでは1枚で済んだ垂直回転プレートが2枚必要で、2枚で 中軸プレートを 挟む構造になりますが、総合的に見ると、今モデルの方がより合理的な構造になったと考えています。 エンコーダの内蔵がなければ、ずっと早く完成して いましたが、それとシンプルな構造を両立させるために長期間考えました。

Transit of Venus (金星の太陽面通過)

7:18 AM

7:32 AM

7:57 AM

Blessed with fine weather, I have spent hectic hours from the early morning to afternoon today.

I set up the 10cm binoscope at two sites. One is the foot-way in front of my shop and the other is the parking space of the care house where my father is temporarily staying.

After tracing the first stage of the Transit in front of my shop, I hurried to move to the care house to show the rare astronomical event to my father. When I arrived at the care house, the Sun was behind the clouds, but soon after that the Sun appeared again and I could show Venus transitting on the Sun, not only to my father but also many of the staff members of the facility. They were so excited with the rare event.

今日は早朝から昼過ぎまで、慌しく過ぎました。  知人に頼まれていたこともあり、朝7時前より、店の前の歩道上に10cm-BINOをセッティングし、8時頃まで、金星の太陽面進入を見届けました。

8時頃には一度曇りだしたので、一時撤退し、今度は車に同じ 観察機材一式を積み込んで父が居るケアハウスに向かいました。 15分ほどで着いたケアハウスの駐車場はまだ雲がほぼ全天を覆っていましたが、直に雲の切れ間から太陽が見え始め、父とケアハウスのスタッフの方々に稀有な天体ショーを見せることが出来ました。

一通りそこで見ていただくと、そそくさと撤退し、元の場所(当店前)に再セッティング。 それからは、ウワサが広まり、BINOは店の中への撤退と出動を金星が太陽面を通過するまで繰り返しました。

写真は上からそれぞれ、7時18分頃、32分頃、57分頃です。(いずれもデジカメ手持ち撮影)  下の写真は観察中の父。