CAPRI102ED-BINO near completion / CAPRI102ED-BINO完成間近-1

This is the next generation binocular mount. The total weight of thsi binoscpe can be lighter than that of a pair of the metarial OTA with the bands and dovetails.

この段階を見ていただけば、追加重量がマイナスのBINOもあり得るということをご納得いただけるものと思います。市販鏡筒を使用してBINOを作るのに、追加重量がゼロより軽くなり得るわけです。

ちょっとくどく説明しますと、左の写真に写っているのはまさに鏡筒バンドです。通常は鏡筒バンドは前後1組(つまり2個)ずつ使用するのが基本ですから、この段階ですでにマイナス重量になっているわけです。

”作らずに作るBINO”がほぼ完成しました。メカが高度に複雑になるほど、ある意味製作者が意図しない使い方をされる危険性も孕むわけですから、作らないにこしたことはありません。^^;  もうヘリコイドのネジが緩んだとか、ぶつけたら光軸が狂ったとか、言わせません。^^

(同日追記)

たった今、メールをいただいたのですが、やはり誤解なさっているようなので、老婆心ながら、補足をさせていただきます。 このプレート状のパーツを前後1対で使用するのでは決してありません。それでしたら、従来の発想と大差ありません。

本当にこの1枚のプレートだけでBINOが実現するのです。 鏡筒の初期の方向調整は、写真の4つの穴に貫通して固定する4本のスタビライザーシャフトのそれぞれの末端にセットする、先端樹脂の合計8本のセットビスで行います。 スタビライザーシャフトは、外見ではほとんど目立ちませんので、あたかもメガネ型プレート1枚だけでBINOが構成されているように見えるはずです。

The core part of the CAPRI102ED-BINO-2 / CAPRI102ED-BINOの基礎構造の続き

Two plates in the core part, dovetail holder, will be trimmed into the inner halves of the bands.The clamp works very well to hold the plates very tight with small power. It almost means this project will surely be successful.

一番要の部分が完成しました。 昨日のアリミゾ部品にセットされた17S(ジュラルミン)製の2枚のプレート(左の写真で黄色いのは保護シート)は、それぞれが鏡筒バンドの内側の半分を構成します。 これより半円状に大きく刳り貫きます。

中央のクランプレバーは、左右のプレートを同時に強固に保持します。 これで、本プロジェクトの成功がほぼ確実になりました。 バンドの外側半分(2個)には、それぞれ架台セット用のアリガタと、目幅調整用の取っ手が取り付きます。(ファインダー台座も外半分のバンド部分にセットします。)

鏡筒には一切手を加えない、理想的にモデュール化された次世代型のBINO用マウントが誕生することになりそうです。

The core part of the CAPRI102ED-BINO / CAPRI102ED-BINOの基礎構造です。

You might not believe if I say this bizarre shaped piece, which looks like a phychological test chart, is the core part of the CAPRI102ED-BINO in the making now. Actually it is! A single band which hold each OTA has a dove-tailed bracket that slides in the core part, dove-tail holder, for the IPD adjustment.

「これが、製作中のCAPRI102ED-BINOの主要部です。」と申し上げても、信じていただけないかも分かりませんが、 前に製作したFL71-BINOでの成功経験を元に設計していますので、まずうまく行くと確信しています。

原理構造はFL71-BINO(当コーナーの9月初頭以降の記事をご参照ください。)と似ていますが、このモデルでは、鏡筒には全く手を加えず、鏡筒の振りの微調整機構も装備した非常に使い安い基礎構造を予定しています。

お察しのように、このパーツが2本の鏡筒の中央に配置されます。 そして、左右の鏡筒は、それぞれ15㎜幅の特製のバンド1個のみで保持するのですが、そのバンドの内側半分はブラケット構造にし、上下端面は上の主要部品(アリミゾ)に合わせたアリガタ加工を施します。

当然ながら、15㎜厚のバンド1本では、視軸が安定しませんので、保持と調整を兼ねたスタビライザーシャフト(12㎜φ長さ100㎜くらい)を2本、上記バンドブラケットに貫通させて強固に固定しておきます。 シャフトの両端には、鏡筒に向けた先端樹脂の調整用の(押しネジ)セットビスをセットします。(4点支持で、かつその中央を1個のバンドで強く引き寄せるのですから、鏡筒の固定は万全です。)

それで、一見たった15㎜厚のバンド1個で保持されているかに見える鏡筒は、ほぼ100㎜の幅の鏡筒バンドで保持されるのと同じことになるわけです。 シャフトは、鏡筒の中心に向かって互いに90度となるように配置するので、傾斜X-Y調整(多くのXY調整式ファインダー脚がそうですね。)機構となり、初期調整は非常に簡単です。

上の部品の4箇所のU字の切り込みは、そのシャフトを小目幅時に収納するクボミです。 この方式が成功しますと、125SD-BINOクラスまでのBINOにこの構造が適用出来、BINOの構造が従来と比べて、飛躍的にシンプルになります。 4本の短いシャフトは、左右の鏡筒の間に隠れますので、外見的にもほとんど分かりません。

通常の単体鏡筒でも、一対の鏡筒バンドとアリガタは普通、常時セットして運用しますので、この新型のBINOも、上記ブラケット付きバンドを構成鏡筒の一部と見なしますと、何と、BINOの構造部は上の写真のただ一つの部品だけ、ということになります。

このBINOは、Nexstar 8SE Mount に搭載する予定ですが、鏡筒バンドの外側のピースの外側面に標準アリガタを固定して架台にセットします。 アリガタのセット位置でバランス調整できますし、ハンドルはGoTo架台故に省けます。(←さらなる軽量化) 目幅調整は、架台に固定するのと反対側のバンドの外側にセットした小さい取っ手を押し引きして行います。 その点、Nexstarは片持ちなので好都合です。一見、剛性に不安を持たれるかも分かりませんが、常識的なベースプレート上のスライドマウントに鏡筒等を積み上げた構造と違い、アリガタと同じ面内で操作するので、偶力の発生がなく、目幅調整はスムーズに行える公算です。 また、目幅調整は片方の鏡筒のバンドを押し引きしますが、左右のバンドはそれぞれが中央のアリミゾパーツの中で保持されて連動しますので、片方の鏡筒のみが移動するのではなく、中央パーツを基準にしてシンメトリックに鏡筒間隔が変化します。 このことは、単なる外見の審美性の追及のみならず、共通アリミゾ内の連動や同時クランプ操作により、片方の鏡筒だけのスライド機構で生じ勝ちな、目幅移動時やクランプ時の相対的な光軸ずれを未然に相殺するという大きな副産物も期待できるのです。

Nexstar 8SE Mount arrived / Nexstar 8SE Mountが届きました。

Nexstar 8SE Mountが届きました。 予想以上にしっかりしています。 Webの情報では曖昧だったアリミゾクランプは、簡略なネジ押しではなく、ちゃんとした面押しになっていました。(右の写真の黄色い矢印) クランプノブを軽く締めただけで、VIXEN規格の標準アリガタを強力に把握します。 RS232Cケーブルもちゃんと附属していました。(販売店の営業方針から別売にしている場合もある)

さっそく、SkyFiをセットし、iPhone上のSkySafari3-Proで屋内シミュレートしてみましたが、単なる機械任せで無味乾燥なものだったはずのGoto架台の導入操作が、それ自体が実にスリリングで楽しい作業であり、Gotoでありながら、単なるGotoでない、全く別物に変貌していることを実感しました。 常に望遠鏡の目標をリアルな天空図上で把握しながら観察者が能動的にコマンドするので、Gotoでありながら、PushToに迫る臨場感と共に望遠鏡が制御できるのです。 この感覚を文章で表すのは難しいですが、このスタイルがこれからの観望手段に革命をもたらすことは間違いないと思います。 以下の動画は、SkyFiとは別のWIFIアダプターのデモですが、このようなことが出来るわけです。

http://www.youtube.com/watch?v=aeCRm3A2p3Q

ただ、この動画はプレゼンのプロが華麗に仕上げたようですが、観測家ではないようで、肝腎の、ターゲットカーソルが星図上を滑らかに這う映像が抜け落ちています。 私としてはそこをお見せしたいと思いました。携帯端末の画面上で、行きたい所をタップし、Gotoを押せば望遠鏡は素早くそこを目指し、高速で少し行過ぎてからまたスーっとゆっくり引き返して正確に目的地で止まります。 もちろん、マニュアル(PushTo)的に縦横斜めに動かすことも出来ます。どちらにしても、SkySafariの画面上には、あなたの望遠鏡の視点が常に表示されているわけです。

CT152-BINO

Canadian Telescopes – 152mm F5.9 Air Spaced Achromat Refractor を使った双眼望遠鏡を製作しましたのでレポートします。

【経緯】

今年2月Megrez90-binoを製作していただきました。使ってみるとEMSの調整が煩わしいもので無いことが分かり、もっと大きな口径で双眼で見てみたいと強く思いました。そんな折り海外のショップのサイトを見ていると150LDに似た15cmのアクロマート鏡筒が1本10万以下で購入できることが分かり、思い切って2本カナダより輸入してみました。(中国United OpticsのOEM製品)到着後、土星を見たところXL7mm(129倍)で色収差も気にならず、シャープに見えたのと鏡筒の造りもいいので、これならEMSを投資する価値がありそうなので早速松本さんに発注しました。

架台は中軸架台が合理的でいいなと思っていましたが、依頼時はエンコーダ内蔵の新型の中軸架台を開発中ということだったので、待ちきれずオーソドックスなフォーク式架台を別途架台メーカーに製作していただきました。

【BINOの仕様】

・ 15cmのアクロマート(D=152mm、f=900mm、F=5.9)

・ EMSはEMS-UXL目幅ヘリコイド仕様

・ 鏡筒左右分割式でアリガタ、アリミゾ固定方式(1本ずつ運搬可能なこと)

・ 当初は鏡筒間隔220mm(フード外形200mm)でアイフォーカサーで進める計画でしたが、鏡筒を松本さんへ送付したところオリジナルの3インチデュアルフォカサーを生かすことに方針変更し、鏡筒間隔204mmということで各部の改造をすることにしました。(フォーク架台台座の鏡筒間隔204mmへの改造の他、鏡筒の平行調整機構の追加改造も松本さんにお願いしました。)

・ 操作ハンドルはMegrez90- bino同様のバランスウェイト付きのもの

・ フォーク架台はAPM152-binoのものを参考にしました。ユーハン工業のT-MOUNTの可動部を流用し微動付きにしようかとも考えましたが横幅がさらに大きくなってしまうのでシンプルなフリーストップ式としました。高度軸は左右ダブルクランプとして組立時のアンバランスな時も強力にロックできるようにしました。また水平出しは重要なので水準器をフォーク架台に内蔵としました。(架台の設計においても松本さんに数々のアドバイスをいただきました。)

【製作結果】

・ 架台の方が先に完成しました。専業メーカーだけあって素晴らしい仕上がりです。最初は自分の設計が悪くフルレンジでフリーストップになりませんでしたが、耳軸の高さを可変式にして設定をやり直したところ水平から天頂までフリーストップを実現しました。但しフォーク幅60cmで架台重量が13kgあり、架台を三脚に乗せるときは中軸架台がよかったかなと思ってしまいます。もっとも中軸にすると鏡筒間隔が広くなるのでフォーカサーを生かすには鏡筒切断が必要となるので一長一短だと理解しています。

・ 鳥取より戻った鏡筒を見ますと見事に接眼部が短縮され、鏡筒間隔も204mmにセットできるように鏡筒バンドが加工されていました。またフォーカスの操作ハンドル、ファインダー台座も左右対称にセットされていました。(長年のbino製作経験のノウハウを投入していただきました。)またフォーカサーも再調整していただき快適です。(天頂に向けてもずれません。)

鏡筒間隔短縮により心配した鏡筒のセットですが、さほど注意しなくてもフィールドでセットできました。
・ 心配していた左右の鏡筒の初期平行調整は松本さんにX-Y調整機構をアリミゾに細工していただいたので鏡筒をセットしたまま簡単にできました。また鏡筒着脱による光軸の再現性も問題ないようです。

・ 操作ハンドルは鏡筒の重量の割には剛性不足を感じますがバランスが合っていれば問題なく、バランスウェイトの操作性も良いです。

・ 鏡筒は1本約10.3kgファインダーアイピースをセットして総重量は50kgとなりました。
(GMT-128ステンレス三脚+ハーフピラー使用時)
寸胴な鏡筒ですがbinoにするとなかなかの外観に仕上がりました。

【使用アイピース・ファインダーについて】

アイピース  見かけ視界    倍率    実視界  射出瞳径
EWV32mm   85度    28倍    3.0度   5.4mm
Nagler22mm  82度    41倍    2.0度   3.7mm
XW10mm    70度    90倍    0.78度   1.7mm
XL7mm     65度    129倍    0.51度   1.2mm
ファインダーはとりあえずクィックファインダーと補助に笠井正立直角ファインダー併用しています。

【観望インプレッション】

栃木県の八方ヶ原と群馬県の赤城山へ遠征してきました。(Megrez90- binoも同伴)
両日共白鳥付近の天の川、2重星団はなんとか見える透明度。

観望したのは
M1,M2,M13,M92,M11,M27,M57,M15,M31,M32,M33,M110,M39,M29,
M34,M35,M36,M37,M38,M41,M50,M42,M43,M78,M79,M52,
NGC253&NGC288,NGC7789,M81&82,M46&M47,M97&108、
網状,2重星団,ET星団,らせん,北アメリカ, すばる、ばら、
X’masツリー、プレセペ、ハーゲンローザー彗星など

印象に残ったのは、一般的ですが、

M31:視野いっぱいに広がり同視野にM32,M110が入り絶景。(41x)
網状星雲:いの字がはっきり明るく見えました。光量があるので背景の恒星も見えます。(28x OⅢ使用)
M42:ガスの様子がノーフィルターでもコントラストよく見えました。(90x)
らせん星雲:光量があるので濃かったです。(28x OⅢ使用)
M81&82:星野の中に銀河がぽっかり浮かんで絶景(41x)
NGC253&NGC288:南の低空の銀河と球状星団のペアですがはっきり見えました。(41x)

以上のように散光星雲、銀河は口径がものをいいMegrezでは見られない光景でした。
散開星団に関しては15cmは星数は増えますが星像のシャープ感でMegrezの方が好みです。
光害のある自宅では月、木星を見たところ短焦点アクロマートなので当然ですが青ハロが気になりました。2重星観望に於いても主星が明るいと星像が大きくなって美しくありません。こっちの方は口径が小さいですがアポクロマートのMegrezの方が色収差が無く星像も小さいので棲み分けできそうです。

【最後に】

10年位前月天巻末の笠井トレーディングの広告に載っていた頃から憧れていた15cmbinoをようやく所有することができました。費用、重量の点から自分では所有するものでないと考えていましたが安価なアクロマート鏡筒を左右分割セット式にしたことにより今回実現できました。(自分が知らなかっただけですが・・・)

最近みなさんアポ鏡筒で製作されるようですがリッチフィールドで散光星雲、銀河を楽しむなら安価な大口径アクロマートで十分かと思います。ただ1台ということなら8~9cmのアポが自宅での気軽な星見と遠征でのDSO 観望といつでも気軽に楽しめると思います。

製作に当たり数々のアイデアを投入してリスクのある難加工をしていただいた松本さんに感謝いたします。また架台を製作していただいた京都のユーハン工業、アリミゾを供給していただいた福島のコスモ工房、部品追加加工をお願いした埼玉の遊馬製作所に感謝いたします。

埼玉県 Y

管理者のコメント;

Yさん、Megrez90-BINO、BORG76ED-BINOに続けてCT152-BINOのご成功、おめでとうございます。

経験を活かされて、個人輸入を含め、各パーツを上手に入手、コーディネートされ、立派な15cmBINOを実現されました。
この鏡筒は国内で販売されていた時には、セミアポと紹介されていましたが、どうやらセミアポという概念は日本独自のようで、国際的にはアクロマートとアポクロマートだけの区分けが一般的のようです。(間違っていたらご指摘ください。) 一般的な2枚玉の短焦点アクロマートよりも性能が良いという意味で、国内的な表現ではセミアポと紹介されたのだと思いますが、OEM元のWEB広告には、アクロマートの分類となっています。 この鏡筒は、対物セルから伸縮フード、またフォーカサーも重厚で、鏡筒径も太いために 一般的な意味ではBINOの素材としては、扱いにくい部類に属します。 しかし、鏡筒を単体で管理運用する前提ですと、さほど運搬困難というわけではありません。
鏡筒径が太いということは、重量が重くなることもありますが、鏡筒間隔が大きくなることが、BINOの素材として の懸念材料となります。 しかし、鏡筒バンドを極限までトリミングすることで、鏡筒間隔を204㎜まで詰めることが 出来ました。 今回は当方の都合もあって、EMSのみをご提供する予定でしたので、BINOの構成については、 最初はほとんどアドバイスを差し上げられず、Yさんを大回りさせてしまい、申し訳なかったと思っています。

架台のバランスについて当初苦労されたようですが、ご指摘のように、(鏡筒を水平にした時の)天地方向の バランスが極めて重要だということです。 具体的には、耳軸の高さですが、安易に鏡筒の中心高にセット するのではなく、BINOの規模に応じていくらか高くセットする必要があります。 この耳軸のシフト量は、BINOの 規模が大きいほど少量で足り、このクラスであれば、10mm以下で間に合ったはずです。 想定される重量級 のアイピースや、ファインダー類のモーメントを相殺すれば良いわけです。 BINOの規模が大きいほど、慣性も 大きいので、フルストロークの完全バランスはよりた易く達成できます。 (この点を全く逆に誤解しておられる方が多いです。)

本文でも指摘しておられますが、DeepSkyの観望でしたら、アクロマートであることのデメリットは全くないと 言っても過言ではありません。 「最高級品を持つ喜び」というのも分かりますが、BINOは星を観る道具ですから、 “Best or Nothing” ではなく、アクロマートのBINOにつきましても、もう一度目を向けていただきたいものだと思います。 私に言わせれば、このCT152鏡筒でさえDeepSky用BINOには過剰なくらいで、2枚玉の15cmF5のアクロマートでも十分だと思っています。 鏡筒単体管理であれば、18cmクラスのBINOでも運用に苦労することはないはずで、 うまく分割すれば、20cm超でも常用できると考えています。 去年の双望会では、BIG-BINO(25cm)の組み立てに 立会いましたが、大口径ドブの組み立てと大差ないと感じたものです。  アクロマート大口径BINOに再び光が当たりますように・・・^^。

最後に、短期間に3台のBINOを作り上げられたYさんの情熱と技量に敬意を表します。
当BINO関連の製作記は、製作情報速報の 2012年8月23日、28日、9月26日-2 に掲載しています。

Bino Checker 2

 以前、Bino Checkerを入手しましたが、何かと活躍しています。調整の時、原点に復帰できる、という安心感は絶大です。この度、もう一つ、別なアプローチで双眼望遠鏡の光軸をチェックできる、Bino Checker 2を入手したので、ご報告します。

原理は、アメリカン・サイズのバレルの一端を双眼装置に入れ、もう一端を双眼望遠鏡に入れて2”側から覗き、光軸が合っているかどうか、一発で判明する、というもの。コロンブスの卵ですね!。

  APM-BinoとEMS超広角対空双眼鏡で実際に覗いてチェックしてみました。そのまま覗くよりは、ルーペで拡大した方が見え易いです。私が持っているルーペで丁度良かったのは、NEAFでゲットした景品(フルネル型)でした。

 光軸調整ノブをいじると像がダブって見え、光軸が合うと、像はピタリと一致し、スカッと見えます。その瞬間は、快感ですね。一目瞭然で光軸がチェックできますから、とても便利です。
横浜市 Y.K.
Y.K.さんのサイト

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

 YKさん、PST-BINOのダブルスタック用アダプターに引き続き、 またタイムリーなリポートをいただき、誠にありがとうございました。 今回も非常に分かりやすく ご紹介くださり、付け加えることがないくらいです。

 先に発売いたしました、BINO-CHECKERは 、単体で機能する物ですが、今回は、双眼装置に取り付けて、 双眼装置自体をBINOチェッカーとして使用するためのアダプターです。

 光軸が狂っていない双眼装置を所有しているのが前提になりますが、このアダプターを使用しますと、 左右の像をタイムラグなしに同時に観察できますので、天体のように、動いている対象に対しても実行 することが出来ます。 ただ、像は覗き口の奥の眼にかなり近い距離(20㎝程度?;アイピースを代用するには遠すぎ)に結像しますので、像を観察するには、ごく若い方を除くと、ルーペや度の強い老眼鏡等を用いる必要があります。( 比較的強度の近視の方は、メガネを外すという奥の手があります。)

 目下、このアダプターの発売に向けて準備を進めておりますので、整い次第にこのサイトでご報告いたします。

 このアダプターの製作記は、製作情報速報の9月25日に掲載しています。

EMS-UXL of the specialized mechanism, focus compensator / ピント補償付きのEMS-UXL

Here is the Specialized EMS-UXL with an ultimate mechanism, focus compansator while adjusting the IPD. Look at the photo 1. The left EMS unit has the helicoid most contracted, maximum IPD, and the inner sliding tube most extended.
The right EMS unit has the helicoid most extended,minimum IPD, and the inner sliding tube most contracted. Namely, the total light path is constant.

ピント補償機構付きのEMS-UXLです。 今年の双望会でのデビューとなりますが、どなたのBINOかは、当日の お楽しみです。^^;

達成した機能に対しますと、メカは信じられないほどシンプルです。 写真1をご覧ください。 通常なら単純なバレルの部分が二重チューブになっています。 外筒が本来のバレルで、3.5インチのフェザータッチ(FTF) ならではの、100㎜φバレルになっています。差し込む部分はテーパフランジになっている先の19㎜です。(9月27日の記事を ご参照ください。)
(写真1の)左の第1ユニットのヘリコイドが最短に縮んだ状態(最大目幅)で、この時、内筒は最大に引き出されています。 右の第1ユニットでは、ヘリコイドが最大に伸びた状態(最小目幅)で、逆に内筒は一番奥まで引っ込んでいます。つまり、光路長の 収支が常にほぼゼロになっているわけです。(光路長一定)

EMSは内筒に固定していますが、内筒は外筒に設けたベアリングとスライドガイドによって自由スライドする機構 になっています。 それでは安定しないと思いますか? いえ、その心配は全くありません。 ヘリコイドの上側と外筒がヒンジ付きのロッドでリンクしてあるからです。 ヘリコイドは加重や外圧で伸縮しませんし、 ロッドの長さも一定しているので、ヘリコイドを回転させない限り、自由スライド部はびくともせず、完全固定と同じに 振舞うわけです。 まだ信じられない方は、双望会会場でどうぞお試しください。^^

このピント補償機構は、厳密には、平均目幅の64㎜くらいで微分的に成り立つように設計しており、フルストロークでの数学的な厳密さは ありませんが、実用上はピント移動が生じないと見なせます。(目幅を変える時は 観察者が代わる時ですから、尚更ピント維持の数学的な厳密さは無意味と言えます。(これを悟るのに、 長い年月を要しました。^^;))  これは、EMSのX-Y光軸調整と同じ考え方です。 (こちらも大きくノブを回転させると弧を描きますが、正常な使用範囲であれば像は直線上を動きます。)

このリンクロッドは、遊びの極めて少ない高精度なヒンジ機構により、ヘリコイドを回転方向の外力から守る、頼もしいスタビライザーの役目も、副次的効果として帯びています。
また、写真1でお分かりのように、初期の像の回転調整等のメンテ時にもロッドを外す必要はありません。 ロッドもスライド機構も全てが一体の第一ユニットとして扱える等、ピント補償機構が各種メンテの 障害にならないように配慮しています。

このBINOの鏡筒(中心)間隔 D=190㎜ですが、第1ハウジング→ヘリコイド→第2ハウジングのサイズダウンの 流れが非常に美しく仕上がりました。

P.S.T.ダブル・スタック双眼用アダプター / “Double stacked PST-BINO “ 

 P.S.T.を双眼化して楽しんでいましたが、この度、松本さんにアダプターを製作してもらい、ダブル・スタックでの双眼化に成功したのでご報告します。

 詳細は、私のsiteのここをご覧いただきたいのですが、ダブル・スタックにすると、太陽表面のコントラストが一段とアップし、Hα像の別な一面が覗けますので、チャレンジした訳です。ただ、ダブル・スタックにすると、太陽表面のコントラストがアップする反面、プロミネンスは見えにくくなってきます。ですから、シングルよりダブルが上、という事ではなく、何を見るか、でどちらを選ぶか、だと思います。
  ダブル・スタック・ユニットの直径は73mmなので、このままでは双眼にはなりません。そこで、鏡筒に延長筒・アタッチメントを装着してダブル・スタック・ユニットを段違いにし、双眼を可能にした訳です。

 松本さんの凄いところは、こういったアイディアがポン、と出るだけでなく、左側の鏡筒にも短いアタッチメントを装着して、きちんとクリアランスを取り、眼幅60mmですら双眼可能になっている事、そして、ネジ込みの回転位置まで考慮して干渉を避けている事、内径はきちんと42mm確保されている事、鏡筒へのねじ込み、ダブル・スタック・アタッチメントのねじ込みの工作制度のすばらしさ(本来のオリジナルは、もっと粗雑)です。つまり、これ以外に無い、という正解が、そのまま製品になっている点が驚きです。

 アタッチメントを装着する事で、鏡筒の対物レンズとダブル・スタック・ユニットの距離が離れてしまいますが、その影響は無く、ダーク・フィラメントが浮き出て見え、また、太陽表面のウズの表情は豊かです。ただ、シングル・スタックだとプロミネンスが派手に飛び散っているのがわかるので、まずはシングルで見て、次にダブルで見るのが良いようです。

 太陽は、日々変化し、本当に面白いです。松本さんのお陰で、また別のHα像を双眼で楽しめるようになり、こんな嬉しい事はありません。どうもありがとうございました。
横浜市 Y.K.
Y.K.さんのサイト

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

 いつもながら、YKさんが神速のレポートをくださいました。 YKさんは、機材その物に対する思い入れも 強くお持ちなのと同時に、その機材をしっかりと活かされるので、製作者にとっては非常に やり甲斐のある依頼者さんです。

  ご自身のサイトにも書いておられますが、このアダプターの製作は2回目でしたので、新たに設計する 必要はなく、比較的速やかに加工できました。 ただ、長い方のアダプターは、糸巻きリール状の形状なので、加工はやや面倒な 部類に属します。 段差加工自体は、旋盤の真骨頂であり、何でもないことですが、下がって、また上がる加工があると、 バイトの向きを途中で交換(バイト自体も)しないといけず、右勝手仕上げと左勝手仕上げの境目で段差が付かないように配慮しないと いけません。 これは大した技術ではないのですが、単純な段差加工よりは神経を使うわけです。^^;
 短い方のアダプターは、万一噛み付いてしまった時に強くねじる必要がありますので、ローレット加工をしておきました。 このローレット加工も、実は結構時間がかかります。

 このアダプターの意義と効果は、YKさんが十分に代弁してくださっていますので、今回は加工の裏事情を書かせていただきました。 ご自身のサイトでは、左右の眼の視感度の違いにも言及しておられますが、これは単眼で観察している方はまず気付かない ことだと思います。 YKさんのサイトの記事も合わせてお読みいただくことをお勧めします。

 YKさん、今回も非常にタイムリーにご投稿くださいまして、誠にありがとうございました。

Please read my making report of “September 26th in 2012”, too.

“Most of the Solar Fan must have abandoned to make the PST-Binoscope to be double stacked, because of the IPD problem. I will show you the good solution now. Photos above will explain how I had solved the problem. Even my wife of 60mm IPD exclaimed with joy at the beautiful prominences and the details of the Sun, this morning.”

Binoscope check by a Bino-viewer / 双眼装置を用いたBINOチェック法

I have made adapters for a Bino-Viewer to use it as an excellent Binoscope checker. If your Binoscope is perfectly collimated, you will see a single merged image, and otherwise, you will see double images according to the extent of the deviation of the collimation.. You can check not only the deviation of the collimation, but also the inclination of the images.

You will need a loupe or powerful reading aid, unless you are very young, to see the targets clearly with this device.

双眼装置を理想的な BINO-CHECKER にするアダプターを試作してみました。 結果は上々です。 ただ、老眼世代の方は、度の強い老眼鏡か、ルーペ類を 準備しないと、像は見にくいでしょう。^^; (眼前20㎝くらいに出来た空中像を観察することになるので)

これだと、同時比較ですので、像のズレも傾斜も一目瞭然です。(少なくとも、お手持ちの双眼装置の光軸精度のレベルまで、BINOの光軸を追い込むことが出来ます。)

ただし、この双眼装置を使用した方法にしても、またBINO-CHECKERを使用した方法にしても、 アイピースを排除したBINOの基礎部分の光軸をチェックしているわけで、アイピースを装着後の 最終チェックには、個々の技量に異存する部分がありますので、BINOユーザーの皆さんには、 当サイトを隅々までお読みいただき、調整技術向上のための精進を常に怠らないでいただきたいと思っています。^^;

(9月26日追記) BINOの光軸の平行度を地上の有限距離のターゲットでチェックする際には、 ジグのタイプにかかわらず、目標の近さに比例して視差が発生していることを考慮する必要があります。
どんなに優れた道具でも、原理を理解しながら使うことが大切で、ブラックボックスの感覚ですと、 せっかくの道具も活かせません。 当サイトを、必要(と思われる)な部分だけを”つまみ食い”されることは むしろ有害なことが多く、内容は全てが関連していますので、隈なくお読みいただけましたら幸いです。きっと 新たな発見をされることを請合います。

Bino checking adapters for a Bino-Viewer/ 双眼装置を用いたBINOチェック法

I have made adapters for a Bino-Viewer to use it as an excellent Binoscope checker. If your Binoscope is perfectly collimated, you will see a single merged image, and otherwise, you will see double images according to the extent of the deviation of the collimation.. You can check not only the deviation of the collimation, but also the inclination of the images.You will need a loupe or powerful reading aid, unless you are very young, to see the targets clearly with this device. 
 双眼装置を理想的な BINO-CHECKER にするアダプターを試作してみました。 結果は上々です。 ただ、老眼世代の方は、度の強い老眼鏡か、ルーペ類を 準備しないと、像は見にくいでしょう。^^; (眼前20㎝くらいに出来た空中像を観察することになるので)
 これだと、同時比較ですので、像のズレも傾斜も一目瞭然です。(少なくとも、お手持ちの双眼装置の光軸精度のレベルまで、BINOの光軸を追い込むことが出来ます。)
 ただし、この双眼装置を使用した方法にしても、またBINO-CHECKERを使用した方法にしても、 アイピースを排除したBINOの基礎部分の光軸をチェックしているわけで、アイピースを装着後の 最終チェックには、個々の技量に異存する部分がありますので、BINOユーザーの皆さんには、 当サイトを隅々までお読みいただき、調整技術向上のための精進を常に怠らないでいただきたいと思っています。^^;
(9月26日追記) BINOの光軸の平行度を地上の有限距離のターゲットでチェックする際には、 ジグのタイプにかかわらず、目標の近さに比例して視差が発生していることを考慮する必要があります。
 どんなに優れた道具でも、原理を理解しながら使うことが大切で、ブラックボックスの感覚ですと、 せっかくの道具も活かせません。 当サイトを、必要(と思われる)な部分だけを”つまみ食い”されることは むしろ有害なことが多く、内容は全てが関連していますので、隈なくお読みいただけましたら幸いです。きっと 新たな発見をされることを請合います。