Eyeglass plates in the making(10cmF10ED-BINO) / メガネ型フレーム製作中

This binoscope will be made integral structure and will be set on the Center-Mount which is the new challenge on the binoscope makings.

鏡筒が五藤光学の限定VERSION(F10)であったことと、成り行きから一体構造BINOで中軸架台仕様という、悩ましいスペックの製作をお引き受けしました。

メガネの玉の部分のくり抜きが完了しましたが、一般にこうした切り抜き加工の場合、アウトラインの加工の方が面倒です。まず、アウトラインの方が加工ツール(エンドミル等のこと)の移動ストロークが増大するので、マシンの可動域を超えることがあることが一点。もう一つは、刻々に変化する(さらに加工ツールが移動する)アウトラインに対して、どこを加工テーブルに固定するか、という問題があるわけです。分割して加工することになるわけですが、ワーク(被加工物)をどう固定するかでいつも頭を捻るわけです。(当方のCNCマシンでは、このくらいのサイズになると一筆書きでアウトラインを一挙に仕上げることは出来ません。ですから、原点の再現性を担保しながら、プレートを裏返したり回転させるための道具立てを考えないといけないのです。金属のフライス加工は加工抵抗が極めて大きく、ワークの固定が弱いと、大惨事につながります。危険な作業です。)

GOTO-F10-OTA cut short successfully / 無事に鏡筒短縮、末端ネジ切り

This is the finished jig for the inner end thread processing.

これが、数回に渡ってコメントして来ました、旋盤のキャパを超えて長い筒の末端に内ネジを切るための治具です。使い方は、最初に右端の円盤だけをロッドに固定しておき、まずは加工したい側の反対の端部をしっかりと円盤のオスネジにねじ込みます。 次に左のフランジ状の円盤をロッドに挿入し、パイプの左端から挿入し、内径ネジが切れる程度の深さを確保してロッドに固定します。(加工するパイプとこの治具が一体となる。)

Special gimic was required to make the thread holes on the end face of the long rod of 1-m!

意外に難航したのが、1mもの長いロッドの端面加工でした。当方には(恐らく大方の作業場でもそうでしょう)、1mもの長さの丸棒の端面への加工が可能なほどの巨大なボール盤はありません。加工としては極めて単純な穴開け、ネジ切り加工ですが、この治具を加工するための”治具”を工夫して、かろうじて加工に成功しました。(これが一番苦労した部分。^^; ご推察のように、治具には階層があるので、治具を作るための治具があり、その治具を作るために治具が必要になったりするわけです。機械加工の技術の神髄は、治具作りこそあると言っても過言ではありません。)

The photo of processing.

少なくとも、この治具で問題なく長大なパイプの端部に内径ネジを施工できることが立証できました。チャックのすぐ前にゲージとなるオスネジリングを貼り付けておけば、途中でネジのはめ合いを確認しながら作業ができたのですが、このロッド露出部分の長さは最小限に保って加工中の剛性を最大限に維持したかったため、そうした物は全て排除して行いました。結果、後で随分と苦労をさせられる羽目になりましたが、まあ、良い勉強になりました。 上手になった頃には作業は終わっている、というのが初めての加工の常です。^^;

(本来なら、パイプの左端を治具を介して旋盤のチャックに固定し、パイプ右端を加工するのですが、それをするには、パイプ長よりかなり長いテーブルを備えた旋盤が必要になります。 また、チャッキングしたパイプの反対の端を加工するのですから、振れ止めが必要で、塗装済みのパイプには十分な養生等、余分な準備が欠かせません。 この治具の方法ですと、チャックの近くで施工できるので、振れ止めが省けます。チャック側の円盤が振れ止めに近い作用をしてくれるからです。)

OTAs cut short.

73mmカットしました。撮影時の安定性から、鏡筒パイプは対物側が下になっています。 当然ながら、鏡筒は接眼側をカットしないといけません。(間違って対物側をカットしたら、内部の遮光リングを全てセットし直さないといけなくなるので、自分で鏡筒をカットされる方は十分にご注意ください。)

Jigs for the inner thread in the making / 内ネジ用治具製作中

These are the main parts of the jig that will enable to lathe the inner thread at the end of the long pipe, which I quoted in the last report.

前回実験に成功した方法を実践するための(本番の)治具を作っています。 長いパイプの末端に内ネジを切るための構成部品で、ロッドとこの2点の部品の合計3点の部品で構成させるわけですが、写真の右の部品は、単体でパイプ切断時の治具を兼ねています。(パイプの切断時は、桁違いの切削抵抗がありますので前回ご紹介した特殊な内ネジ切りの手法ではなく、切断側のパイプエンドを治具を介して強固にチャッキング(旋盤)して作業します。)

(因みに、左の部品(単純なフランジ形状)と右の部品は、どちらがより長い製作時間がかかったでしょう? オスネジ加工が施してある右の部品だと思われるでしょうが、逆で、左の部品の方が4倍以上の時間がかかっています。(削る量が多いから) 治具完成までもう一息ですが、今日はもう集中力を使い果たしたのと、これより地区の町内会長会に行かないといけないので、この先は明日の作業です。)

Innovative lathing method successful / 画期的な加工方法の実験成功(旋盤)

What do you do when you want to make the inner thread at the end of the longer pipe than the capacity of your lathe?  Contract it out to your Subcontractor?  Then what do you do with still longer pipe than the capacity of the Subcontrctor’s?

I have just found the innovative way of making inner thread from the opposite side. By using this method, there will be no limit of the pipe length any more for the capacity of your lathe. The above  are the photos of the preliminary experiments.  Assume it is the edge of the longer pipe. Tailstock should be removed in advance and swing rest will be set at the real processing.

旋盤のキャパを超えて長い鏡筒の切断端にオスネジを切るのは、切り落とし前にチャックサイドで先にネジを切ってしまえば何とかなることを以前にお示ししました

さて、末端内ネジの場合は、チャック付近に、つまりパイプの内側であり、回転しているチャックの内側にバイトをアクセスするのは、最高度のマジックでも出来そうもありません。(それが可能になったところでバイトが見えない。) しかし、今回、どうしても長い鏡筒の末端に内ネジを切りたいことがあり、頭を捻ってみたところ、奇想天外なアイデアが閃きました。

最終的な治具の材料は発注済みなのですが、実現性を早く検証したいので、有り合わせの材料で実験をしてみました。 結果は大成功でした。これはちょっとした旋盤加工の大革命だと思うのですが、いかがでしょう? ^^;

実際には、十分に長い(そして太い)シャフトを鏡筒内に貫通させてパイプの反対側のエンド(こちらも雌ネジ)に治具の傘部分をねじ込んでおきます(傘はそこだけでなく、ネジ加工部の近傍内径にももう一つ配置する。実験の写真では前者を省いている。)。当然ながら本番では(回転)振れ止めも併用します。今日は、取り敢えず逆向きからちゃんと内ネジが切れるかどうかの簡易な実験でした。 スピンドルは逆回転(かつ逆送り)でネジを切ります。したがって、メスネジ切りバイトは上下を裏返して固定しています。ネジ切りギヤは当然ながら、逆から切っても正ネジギヤのままで行えます。本来の戻しの回転でネジを切り、正転で戻すわけです。(本番では、テールストックは当然撤去しておきます。パイプ反対側にねじ込んだロッド付き治具は、加工抵抗でネジが閉まる方向であり、作業中に治具が緩む心配もなし。この方法だと、部屋に入るパイプならどんなに長くても内ネジを切ることが可能になります。)

GOTO (gotoh) 10cmF10-BINO in the planning / 五藤10cmF10-BINO 設計中

Not “Go-T0”, but “GOTO optics”!

This OTA is the limited version of 10cm/F-10 ED that is specialized for the planetary use.  It is so rare these days to find such a long OTA.

ここ数十年の単焦点志向の逆を突いた、五藤光学の10㎝F10EDの限定VERSIONです。長い鏡筒は加工上では悩ましいことが多いですが、依頼者の方の熱い思い入れにお応えしないといけません。

FS102-BINO ON CENTER MOUNT completed / 完成

FS102-BINO on the Center Mount is completed.

やっと完成しました。 6月11日に長野県より引き取りにお見えいただく予定ですので、今日より6月10日までにご見学いただけば、このBINOをご覧いただけます。この機会にぜひ(ご見学を)ご計画くださいませ。

Borg100-BINO (self made) 自作

I have just received a hot report from my client who had successfully assembled his BORG100-BINO with the EMS-UL set. (Matsumoto)

EMS-ULセット(時間差で左右をお求め)を使用して、BINOを自作された方から、完成のメールを頂き、当コーナーへの掲載を快諾いただきました。

BORG100(アクロ)BINO(自作)

先般、一月以上前ですがEMS-UL (R用、X-Yノブ付き)を購入したものです。
以前いただいたアドバイスに従いBINOの作成、稼働ができましたのでお礼も込めご連絡させていただきました。その節はいろいろごお教えいただきどうもありがとう ございました。

BINOにつきましては画像のように製作というほどのものではない、ただアルミプレートに穴をあけて2本の望遠鏡を固定しただけのものではありますが、シンプルな構造ゆえ操作的に不安がない剛性十分なものになりました。
取り付け穴の余裕を利用し64mm-65mmの範囲で目幅調節が可能で、かつ光軸水平方向の調節もうまく行うことができております。
垂直方向の光軸は鏡筒の脱着を行ってもほとんど狂うことはなくとても軽快な構造です。

光軸調節についてはともかくX-Yノブでの微調節がとても分かりやすくそのおかげで鏡筒の着脱などもストレスなく行うことができているとつくづく感じます。

多少不安な点としては、主にBORGパーツに起因しますが、EMSユニットを固定するのが現状2点止めで接眼側の重みをどこまで受け止められるかがあげられます。
いずれこのパーツに穴をもう一つ加え、3点で止められるようにしようと考えています。

また今使用している雲台はビデオ用のもので古いものではありますがとても快適に操作できているもののこれ以上倍率を上げる場合には(今のところ倍率をあまり上げることは考えていませんが)は剛性の高いものに変える必要があろうかと感じております。

以上、このたびは双眼正立での快適な観望へお導きいただいたこと大変感謝しております。
またなにかご相談することなどあろうかと思いますがよろしくお願いします。

静岡県御殿場市 江村

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;

目幅調整機構を省いたシンプルなBINOです。 機能を欲張らずに、的を絞ったプランが功を奏した好例かと思います。

簡単な工作手段でも、ちゃんと使えるBINOが実現することを改めてお示しくださいました。 ツボを押さえさえすれば、BINO作りは難しくありません。 より多くの方がBINOの自作に挑戦されることを望みます。(いずれ、当方もEMSの供給のみに業務を絞る予定ですので。^^;)

江村さん、この度はタイムリーなリポートをありがとうございました。 また続報がありましたら、よろしくお願いいたします。^^

final assembly of the Center Mount / 中軸架台組立(2台)

Two pairs of the Center Mount are completed at last.

やっと完成しました。

Now, the diameter of the bottom boss is shifting from 60mm to 45mm according to the change of the VIXEN products.  You can choose the size for the time being.  The clients are required to let me know of your desires ASAP.

今後は底部ボス径は、45mm(VIXENの新規格)に統一して行く予定です。 60mmφを希望される方はお早めにお知らせください。 当面はご希望にお応えするつもりです。

Borg100 achromatic-BINO(self made) / 自作

昨年11月末にBorgの100mmアクロマートレンズ(F6.4、セルのみ)の中古品が廉価(1万円強/枚)で2枚同時に出ていることに気づき、いけないいけないと迷ったあげく、買ってしまいました。ひと月ほど紙に包んだままほったらかしにしていましたが、ついに年末からbinoにするべく部品の調達に取りかかりました。今回もひとつを除いてすべて市販の良さそうなパーツを組み合わせる、自作ならぬ「編集」です。最近完成しましたので(写真1)以下、パーツを選ぶ際に考慮したことと、それらのパーツを選んだ決め手に絞ってレポートいたします。それぞれの部品を選ぶ際にはGoogleのの画像検索に大いに助けられました。つたない内容ですが、どこかのどなたかの参考になることがあれば幸いです。

鏡筒固定部の選定

手に入れたのはレンズセル部分だけだったので、まず鏡筒を完成させたくなりました。しかし他のパーツ、特に鏡筒固定部の径が合わないと後々苦労しそうなので先に鏡筒固定部を決めることにしました。精度がよさそうな軽量な鏡筒バンドとして三基光学館さんのものとK-ASTECさんのものが候補にあがりました。鏡筒単体ならどちらもよさそうです。しかし2本の鏡筒の光軸維持のためには後者を選びました。それはアリガタ(DP45-125)に段差があり光軸に対して直角に鏡筒バンドが固定できるようになっているからです。この有効性は黒木様が71FLのケースで報告されています。ただ、このアリガタのバンド固定用の穴にはネジが切ってあります。段差にバンドを押し当てて直角を出すには、ここはバカ穴になっているほうがよいのでは?と思います。

鏡筒の選定

DP45-125にはBorgの115φと80φの鏡筒に適合するバンドがありますので、手軽なBorgの鏡筒を使うことにしました。調べてみると鏡筒は太いほうがいいようなのですが、115φはすでに生産中止です。10cmアクロマートの標準鏡筒が80φだし、なぜ太いといいのかという理屈が分かっていないレベルなのだし、ということで80φ鏡筒を選びました(バンドはTB-80)。レンズセルと80φ鏡筒の接続には「メタルラッパ」と「アルミ延長筒」が必要です。「アルミ延長筒」はすでに生産中止で情報はほぼなく、Borgさんにどこかに在庫ががないかと尋ねてみると、「倉庫にB品でも厳しいものがあるので、お譲りします」とのこと。メタルラッパとアルミ延長筒はなんと無料で入手できました(中川さん、ありがとうございました)。

フォーカサーの選定

フォーカサーの光路長がわからないと鏡筒の長さを決められません。80φ鏡筒ならばEMSはULでいいでしょうとのことで、入手しやすい笠井トレーディングさんのBorg用2インチマイクロフォーカス接眼部を選びました。松本さんのHPにあるアイピースの焦点位置の情報によれば、標準的なアイピースでの繰り出し量が20mm程度以上あれば、たいていのアイピースで合焦しそうです。当初は鏡筒間間隔154mmと考えて鏡筒などの選定を始めました。この辺りで鏡筒間間隔やEMSの光路長などについて計算が合っているか松本さんに確認していただきました。すると「計算は合っていますが考え方が間違っています」とのこと。つまり計算上ぴったり、ではだめで、不測の事態に備えるために余裕をもって設計を、との助言をいただきました(後述のように、早速不測の事態は起こりました)。そのことを念頭に置きつつ、鏡筒は135mmと50mmをつなげばよさそうです。図面上は一番奥まで繰り入れても口径がけられることはなさそうで、これに決定しました。

鏡筒購入

白鏡筒は品薄とのことで黒鏡筒を選択。メタルラッパとEMS-ULの白がアクセントとなるモノトーンになりました。メタルラッパはスプレーで再塗装、アルミ延長筒は確かに傷などがひどかったので、イーノックスさんのカッティングシート(ブラックマット)を貼り、新品同様になりました。ここは色見本用のサンプルを無料で送って頂けるので、色を選ぶ際に重宝します(HP上出見える色とはかなり違った印象でした)。ちなみにカッティングシート貼りの作業は学生時代に看板屋でアルバイトをしていたときに教えて頂いたことが役にたちました(中性洗剤のごく薄い水溶液を接着剤面に塗って貼り付けると空気が入らず、貼り直しができるのでやりやすい)。世の中なにがどこで役立つかわからないものです。鏡筒内部には絞り環はなく、植毛紙貼付ですませています。フォーカサー到着後、早速鏡筒に接続して確認、と思ったところで問題発覚。HPには”80φ鏡筒にそのまま装着可能”と書かれてあるのですが、実際には変換リングを一つ噛ませないと接続できませんでした。。。変換リングを追加購入し、無事装着。変換リング分のバックフォーカスが短くなってしまいましたが、結果として標準的なアイピースの場合約25mm程度の繰り出し量で合焦しましたので、たいていのアイピースが使えると思われます。これで鏡筒ができあがりました。次はこれをのせるマウントを選ばなければなりません。

架台の選定

シンプルで軽い仕様にしたかったので、ヘリコイドによる目幅調整式としました。ユーザーリポートを拝見すると、ほとんどの方がHF経緯台を使われているようです。しかし今回は汎用プレートの横幅が足りません。そこで笠井トレーディングさんのBino Forca経緯台を選びました。この架台にどうやって鏡筒をマウントするか、が次の課題です。ここについては特注の台座を準備するつもりで、アリミゾを横並びに置く方式と垂直に立てて置く方式を検討しました。

アリミゾの選定

台座の寸法を出すためには、まず使えそうなアリミゾを選ぶ必要があります。アリミゾは1)精度のよい、2)面押しタイプのもので、3)円形ではなく、4)側面に突起物がでていないものを探しました。しかしブロックで押すタイプのものはともかく、面押しタイプのアリミゾは意外に見つかりませんでした。ひとつ見つけたのですが、これは加工精度が均一でなく(寸法に1mm単位での個体差があった。これがどこのどの商品だったかについては差し控えます)、単独で使用するならまだしも、binoでの使用には耐えないと思い返品。星見屋さんにGEOPTIKのものの黒色仕様を紹介いただきました。ただこれを横並びに配置した場合、適切な鏡筒間間隔を維持しつつクレードルの幅内に2本の鏡筒を収めることができませんでした。これはノブのネジ部分が必要以上に長いことにもよります。ここは短いものに交換すればよいと思っていましたが、ネジ先端の加工が必要のようで、私の手に負えませんので横並びの配置はあきらめ、縦に配置することにしました。

凸型台座の製作

今回のbinoの一番の特徴がCOSMO工房さんに作っていただいた凸型台座かと思います。これをクレードル部に取り付け、その左右をアリミゾで挟めばシンプルかつ水平・垂直・平行が勝手に出てしまうマウントができると考えました。垂直に置くことでアリミゾのノブもアクセスしやすいところに来ます。念のために接眼側の垂直面にはリムを設け、ここにアリミゾを押しつけるようにしました。この構造では、凸部の最薄部の厚さによって鏡筒間間隔が決まります。当初の予定の154mmではこの部分の厚さは計算上3mmになってしまいます。さすがにこれでは剛性不足でしょうから、たわまない程度でできるだけ薄く、左右のアリミゾのノブが干渉しないぎりぎりの幅で、鏡筒間間隔をできるだけ短く、といういくつかの要因が折り合うのは大体7mmかなと思い、計算上の鏡筒間間隔は158mmとなりました。しかしこの薄さでは両側からアリミゾを台座にネジ止めすることはできず、ボルトとナットで両側から台座を挟みこまなければなりません。通常のナット径はアリミゾの座繰り穴径よりも大きく、また高さは座繰りの深さよりも高いので、COSMO工房さんにナットの径と高さを削っていただいて座繰り部分に収めることができました。今回の成功はこの台座によるところが大きいと思います。COSMO工房さん、無理なお願いに対応いただき、ありがとうございました。到着後、台座をM6ネジ5本でクレードルに取り付け、早速確認です。EMSのXY調整のノブの矢印を接眼側に向け、両鏡筒を取り付けると、左右方向では調整ノブの微調整は不要。ただ、やはり垂直方向の光軸はシビアなようで、最初の段階では右鏡筒がわずかに下を向いていました(あとで気づいたのですが、これは台座の加工精度というよりも私の鏡筒バンドの取り付け方が歪んでいたことによるものらしいです)。そこでこの台座の右側のアリミゾと台座の垂直リムの隙間に厚さ0.2mm程度の紙片をはさみ、右側鏡筒をわずかに上向きに傾けました。するとほぼ調整ノブの原点位置で像が重なりました。と同時にこれほど微妙なものだったのかと驚きました。台座の剛性はこれで充分でしたが、アリミゾのノブは間隔が狭くて少し締めにくいです。ともあれこれで主要部分は完成しました。鏡筒着脱による光軸のズレもほぼありません。

操作ハンドル

ストアポリゴンズさんというカメラ用品のwebショップで15φのカーボンロッドクランプを見つけ、操作ハンドルを作りました。右側のロッドは長く、クレードル末端を超えて対物側まで伸びています。ここにバランスウェイトを取り付けるためで、これは松本さんのbinoのウェイト兼操作ハンドルの受け売りです。グリップ部分にはホームセンターでスポンジカバーというのを見つけて取り付けました。

フード

アルミ延長筒(鏡筒径が太くなっている黒い部分)は一見フードに見えますが、実はレンズセルは接眼側から最も遠いところにねじ込む方式になっていて、それより先にさらにフードをつける必要がありました。このパーツを探していたときにはすべての円柱がフードに見えるという病気にかかりましたが、「ハイパック容器」というプラスチックケースがみつかりました。これの底を抜き、内側に植毛紙を貼れば、立派なフードの完成です。元々容器ですので、ねじ込み式の対物キャップもついています。しかもわずかにテーパーがかかっていましたので、運搬時にはフードを短縮させ、使用時に引っ張りだせば植毛紙の摩擦で丁度いいところで固定されます。ただこのテーパーのせいでカッティングシートの展開図を作るのが難しく、スプレー塗装ですませました。このため鏡筒の黒と色目が微妙に異なっているところが不格好です。

ウェイト

長焦点の重いアイピースを使った場合、鏡筒バンドの最も接眼側をアリミゾに取り付けてもまだ接眼側がやや重いため、対物側にウェイトが必要でした。これはスカイメモS用に作られたステンレスウェイトをネットオークションで見つけました。ただし穴の径を勘違いしていたようで、金属加工屋さん(中途半端ネットさん)に頼んで15mmφまで穴を広げていただきました。これで大体のアイピースで垂直回転軸のクランプは緩く締めるだけでバランスするようになりました。

これでだいたい完成、先日志摩方面への家族旅行に車で持参し、2時間程度ですが初めて夜空に向けました。やはり口径100mm、55FLに比べるとだんぜん明るく倍率も上げられます。月は周辺に色がつきあまり快適ではありませんがこれは他の鏡筒にまかせるか、フィルタも有効かもしれません。ハイペリオン36mmでは実視界4度弱で、M46 & 47が印象的でした。55FLと比較すると、プレセペはこちらに軍配が上がります。一方ヒアデスは視野の広い55FLのほうが有利で、55FLのよさも改めて実感しました。今回は大小色々なメーカー、ショップの色々なパーツがそれぞれの特徴を発揮したオールスターチームのようなbinoになりました。これらのパーツを製作いただいた方々、レポートなどで有益な情報を提供いただいた方々に感謝いたします。

京都 畑

管理者のコメント:

畑さん、素敵なBINOのご完成おめでとうございます。 非常に懇切、詳細にご報告いただき、これからBINOを計画される方には、大いに参考になることでしょう。

「自作というよりも”編集”」と謙虚に書いておられますが、非常に上手に多くのパーツをコーディネートしておられるので、胸を張って「自作した・・」とおっしゃってください。 それにしても、優秀なパーツが入手しやすい、良い時代になりました。 そろそろ私もEMSの製作に専念できそうですね。^^