Here is the mechanism movie of the X-Y collimation of the EMS-UXL. It explains the innovative individual X-Y adjustment and the limiting mechanism.
X-Y調製のメカニズムです。独立したX-Y方向のイメージシフトとノブのリミッターの原理、構造がご理解いただけると思います。
Innovation of Astronomical Telescope
正立ミラーシステム(EMS)を開発した松本龍郎のサイト。 たった2回の反射で天体望遠鏡の像を正立像にします。
Tatsuro Matsumoto; Inventor of the EMS, Erecting Mirror System. EMS offers non reversed upright image with no additional undesirable abberations.
###### ファーストインプレッション編 ######
安くてコンパクトなBINOが欲しい!というオーダーで松本さんに連絡した次第です。
完成品を実際に手にして、都内マンションの狭いベランダでも何とか運用できるサイズと重量であり、あまり口径を欲張らなくて正解だと感じました。
BINO本体 全長約47cm (フードを縮めた状態)
鏡筒+架台+その他アクセサリー 約6.4kg (三脚は含まず)
平行法による光軸調整について、ステレオ写真での練習をどう生かすのか、今ひとつイメージがわいていませんでした。松本さんに質問したところ、ご丁寧にメールで説明して下さり本当に助かりました。
【松本さんからのメール】
『うまく平行視線で融像しますと、両目で見て、中央に左右のアイピース(射出瞳)が融像した像があり、左に右眼で見えている左のアイピースが、右に左目で見えている右のアイピースがあります。つまり合計3つの像が見えることになります。』
なるほどと思いつつ、頂いたアドバイスのもと何度か試していくうちに、徐々に感覚が掴めてきました
XYノブの操作については、マニュアルやユーザーレポートを繰り返し読んで勉強しました。アイポイントから徐々に目を離して平行視していくと、輻輳で認識出来ていなかった分の左右のズレがどんどん現れてきます。特に明るい恒星でやってみると、左右に像が離れていくのがよく分かります。
(特に参考にしたページ http://www.page.sannet.ne.jp/mazmoto/tomiyama4-j.htm)
なお、このBINOは市販のアルカスイスパーツを多用したモデルですが、通常の望遠鏡に付いているアリガタアリミゾに比べて薄く、噛み合わせ部分が小さいです。一度鏡筒をT字プレートから取り外して再び組み立てるときは、鏡筒をしっかりプレートに押しつけるようにすれば光軸の再現性が保たれるというアドバイスを頂きました。
スラリとした中軸架台は、ずんぐりとした架台に見慣れた身としてはかなり新鮮です。極めて軽く、センターポールだけの状態だと約1.2kgです。クランプフリーにすると指一本で操作でき、気持ちのいいくらい 「スー、 ピタッ」が実現します。
これは考え抜かれた設計の賜物かと思いますし、松本さんのサイトでもBINO本体の重心と回転軸の一致は繰り返し言及されています。実際に使ってみて、凝ったベアリング機構などは必ずしも必要ないと感じました。
この架台の性能を最大限に引き出せるかどうかは、ユーザーによるバランス調整にかかっているようです。私の場合は、鏡筒に取り付けられたプレートにメモリシールを貼り付けて目安にしています。
調整がうまくいけば高倍率でも十分追尾出来ます。もちろん多少の振動が発生しますが、私はあまり気にせず普段の二重星観望に使っています。
美しいディフラクションリングをまとった恒星像を、しかも両目で楽しめるのは自分にとって最高に嬉しいことです。プリズムが多用された対空双眼鏡にありがちな歪んだ星像とは全く違います。
プリズムが使われた双眼鏡か、それとも裏像の単眼かという二者択一を打ち破るEMS BINOは本当に素晴らしいです。従来の機材につきまとうストレスを何ら感じなくていい訳です。また、見口がしっかりしたアイピースを使えば、VRゴーグルの「没入感」に似たものを味わえます。何と贅沢なんでしょうか…‼
自分のような天文初心者の若造にEMS BINOは早すぎるのでは…?!と悩みに悩んだ末の注文でした。貧乏サラリーマンには高価な買い物でしたが、いやー今では全く後悔していません(笑)。大満足です。
このBINOを製作して下さった松本さんに感謝を申し上げます。どうぞお体に気をつけて頑張って下さい。松本さんにしか出来ないモノづくりを今後も期待しています。
Comment by Matsumoto / 管理者のコメント(1/2)
Tさんが非常に簡潔、的確に製作者の意図の全てを代弁してくださった感じで、付け加えることはほとんどありません。
Tさんには、2017年の12月後半に当方で完成したばかりのBINOとご対面いただき、後日宅配でお届けしました。
###### 和歌山遠征編 ######
先日、天文マニアに大人気の和歌山県某所へ出撃したのでご報告します。白浜で子どもにパンダを見せる「ついで」の旅ですので、色々制約がありましたが充実した初遠征となりました。
BINOを解体して荷造りしたところ、それほど大きくない箱に三脚以外のものが全て入ってしまいました。写真では、箱のサイズが伝わればいいと思いA4ファイルと比べてみましたが…どうでしょうか(*_*;)。
なお、安全のため更にもうひと回り大きな箱に入れて二重にしましたが、それでも非常にコンパクトです。軽自動車のトランクに余裕で収まります。
いくつか印象に残ったものを抜粋します。
【おとめ座 マルカリアンチェーン】
もやっと見えるひとつひとつのシミが何千億個の星の集団かと思うと、宇宙があまりに巨大であることに背中がゾクゾクしました。他人が撮った写真は散々見たことがありましたが、自分で機材を操作して覗いてみて初めて「本当にそこに存在したんだ!」と感じた次第です。
【しし座 M65 M66 NGC3628 三つ子銀河 】
【おおぐま座 M81 M82 ペア銀河】
メジャーな銀河なら小口径でも非常に見応えあります。出来ればより大きな反射式とサイドバイサイドで比較したいところですが、自分には到底機材を揃えられません。そこで、市販の天体スケッチ集を開いて口径別の見え方を確認しています。8cm屈折スケッチと比べてみて、このBINOは明らかにそのワンランク上をいくイメージか、中口径反射で描かれたものに見劣りしないかも!という印象を受けました。
【ケンタウルス座 オメガ星団】
こんなもの日本で見えるのか半信半疑でしたが、南紀の澄み切った冬空の中、しっかりと浮かび上がった姿を確認できました。導入した瞬間、眼前に迫る光に思わず声をあげました。やはり双眼だと、対象がまさにそこにあるという感覚が強いです。写真のようには見えないはずなのに、これはこれで不思議と満足感があります。
時折強風の吹き荒れる海辺でしたのであまりに寒く、観測以外のところでもたつくのは命取りでした。松本さんの導入支援システムは大変便利で、次から次へと対象を視野に入れられてスムーズに進められました。仮にうっかり三脚の位置をずらしてしまったとしても、RESTART ALIGNで近くの輝星を一つ設定すればあっという間に復帰出来ます。
この架台は、どんな天体でもまあ試しに見てみるかという気にさせてくれます。全く億劫にならないのです。そして実際に覗いてみて、やはり小口径には厳しいなと思ったり、いや意外と見えるぞと発見したり。その意味で、自分の鏡筒で見える天体の限界が何なのか初めて分かるようになりました。これまで手にしてきたものは、結局真の実力を試してやれなかったと思います。全く松本さんのシステムのお陰です。
もともと自分は四国の山育ちなので、光害の無い空は見慣れているつもりでした。しかし、もっと宇宙は深く巨大であるとはじめて感じて、これまでで一番幸せな観望となりました。今後、こういった軽量BINOシステムが更に世に広まり、眼視観望の喜びを味わえる人が増えることを願います。
Comment by Matsumoto / 管理者のコメント(2/2)
EMS-BINOの特長を実に簡潔に網羅しておられ、久しぶりに溜飲が下がる思いで読ませていただきました。
光軸調製についてのコメントもお見事で、ご自身が理想的な方法をマスターされていることが読み取れます。
もちろん、ハード的な部分も重要ではありますが、『観察者がアンダーとオーバーが識別できること』の方がはるかに重要なのです。
ピント合わせが可能なのは、観察者がピント位置のアンダーとオーバーが明確に認識できるからであり、初心者の方にピント合わせを託すと、大抵は、恐る恐る調製ノブを超スローで回すので、ピントの山が全く掴めないように、光軸調整のキモが理解できていない方は、迷いのない調製が出来ません。その辺のことを、製作者以上に簡潔に分かりやすくご説明いただいたことに、驚きと興奮を禁じ得ません。
AAS-2(傾斜センサー)も使いこなしてくださっているようで、大変嬉しく読ませていただきました。通常の架台であれば、水平、垂直軸にエンコーダをセットすれば良い話ですが、中軸架台のメカを極限までシンプルにするためには、傾斜センサーは必須のアイテムでした。
Tさん、この度は非常に素晴らしいリポートをありがとうございました。
季節が巡りましたら、また続報をよろしくお願いします。^^
Gotoh-125SD-OTA cut short by 100mm.
This is the preparation for the cutting. There must be always a clue to enable even at the hopelessly difficult situation in challenging something.
After cutting short, the difficult task of making the inner thread on the end will follow. But I have the innovative solution, either.
機械が無いとか、キャパを超えるとか言うのは、言い訳です。 本気で考えれば、大抵解が見つかるものです。 何事も工夫次第。 この後に続く、末端内ネジ切りにも秘策があります。
Here is how to make 60-deg. by two folds of the paper.
2回折って60度を得る方法です。
以前にもご紹介していますが、動画にしてみました。
Dear Tatsuro,
The WSP at Chiefland (instead of usual, but destroyed by hurricane Key West place) was quite short by timing due to weather conditions.
In 3 night we had only two to observe and in those two – only before 10PM (so, total appr. 5 hours of whole trip), after that, the fog was coming and staying until next morning.
And this fog did not give us any planets )-:
But it was enough for testing the 140Bino, it works great on deep sky and on it it was appr. equal to APO200ED that was near by, but the 140 bino had wider field.
Adjusting optical axis for me was not difficult and flawless, but not as easy for other people, since it takes time to set up for each personl, but when set up was done the impression was like” “wau, now I see what these binoculars about!”.
Regards, Yuri
Attached please find a few pics:
I am using Mitutoyo 100mm block for checking the bino after long trip on the road (~3000km), same block is used as a “gage” for setup of my IPD.
Best regards, Yuri
Comment by Matsumoto / 管理者のコメント
Mr.Yuri Petrunin sent me the hot report of WSP2018 with the TEC140-BINO on TTS-160.
I would like to extend my biggest applaud on his feat of his new binoscope. Thank you very much for the follow-up report with the fabulous photos, and I will be looking forward to seeing your following reports.
経営者自らが実際にBINOを組み立ててみる、使ってみる。大切な姿勢であり、頭が下がります。その度に引き合いに出すのも何ですが、その裏には、そうでない業者さんが多いという実情があります。
FMS for up to 3-inch eyepieces is just completed.
There should be a compromise between the image circle and the total light path. On the condition of the total light path of 202mm, the maximum image circle is achieved with two 63mm-elliptical mirrors. Please do not expect to the level of the single reflection diagonal mirror in the image circle, such as EMS-UL that I do not recommend to use far beyond 32mmX85-deg.
I recommend to use 60mm or under of the 3-inch eyepiece on this FMS at the conservative estimation.
The actual image circle will be varied by the F-ratio of the telescope. The smaller F-number shows the larger image circle on the same Mirror System.
Here is the user’s report of FMS-2-inch.
2回反射のシステムで全ての3インチアイピースに対応するためには、非現実的なバックフォーカスが必要になるため、今回は、大方の高級な大口径屈折(20cm 前後以上)のバックフォーカスで合焦する条件として、光路長202mmで収まるサイズのミラー(短径63mmの斜鏡)でフリーアングルのEMS、すなわちFMS(Flexible Mirror System)を製作してみました。
2回反射で裏像を回避しながら仰角可変のシステムになっているため、イメージサークルだけを一回反射の3インチ天頂ミラー並に期待されては困ります。
短径50mmの斜鏡を使用しているEMS-ULで32mmX85度程度までのアイピースを推奨していますので、今回の63mm斜鏡を用いたFMSでは40mmX85度、50度であれば60mm前後までのアイピースを推奨します。
実際の視野のケラレの状況は、望遠鏡のF値によっても大きく左右され、F値が小さいほどケラレは目立たなくなりますので、一概には言えません。(口径食については、逆にF値が大きいほど有利なのは言うまでもありません。また、口径食に対しては、第一ミラーのサイズが重要で、視野のケラレについては、第二ミラーのサイズがはるかに重要です。)
This is the most reliable clamp, but very few of the mount on the market uses the mechanism because of the difficulty in making.
This mechanism will promise the user of the optimum friction and the most rigid clamp altogether.
これが理想的なクランプシステムですが、製作困難なため、市販の架台でこれを採用しているのはごく稀です。
ユーザーさんの好みのフリクションと確実な固定を約束します。
Here is the mechanism of the vertical unit.
The bearing ring is waiting the processing of the slit clamp.
中軸架台の垂直回転ユニットの構造です。
軸受リングにはこれからスリットクランプの加工を施します。