Reform of the FS102-BINO in the climax / 中軸架台仕様へのリフォーム、佳境に入る

私自身はEM200赤道儀との往復使用を想定していましたが、依頼者の方が、「依頼者の方が、もう赤道儀仕様では使わない。」と言われたので、汎用性の高い(つまり将来の鏡筒の交換への対応性)VIXEN規格のアリミゾ仕様のままで中軸架台をご使用いただくことにしました。元のアリガタに対応するための中軸架台の改造がちょっと大変だと思っていたので、私にとっても好都合でした。
また、「運搬用のハンドル(取手)を(外観的に)好まない。」ということでしたので、これも少し楽をさせていただくことになりました。
ただ、カウンターウェイト兼操作ハンドル(着脱可)は必須と考えるので、お客様には相談しません。^^; (お客様の数だけコダワリがありますが、製作者として譲れない部分もあります。)

Reform of the FS102-BINO on Euatorial Mount launched / リフォーム始動

20年ほど前に製作した、赤道儀仕様のFS102-BINOを中軸架台仕様にリフォームする依頼が入りました。
当時はオモチャのような小型フライスしか無く、当時の技量で特製のアリガタを鏡筒に直付け(R加工含む)していたのに、我ながら驚いています。

当時、様々な鏡筒で同様の仕様のBINOを10台以上製作したと思います。
古い銀塩写真に私と娘が一緒に写っていたのがあったので、スキャンしました。


機械設備が貧弱だった当時に、よく作ったものだと、我ながら驚きます。^^;

Smaller IPD Customize

At this stage, minimum IPD potential is about 57mm
この段階で、最小目幅の57mmのポテンシャルをゲット。
後はスリーブやアイピース同士の干渉を考慮しないといけません。


Trimming the 2-inch sleeve, the minimum IPD is 57mm in the end.
2インチスリーブをトリミングして小目幅カスタマイズ完了。

2-pairs of EMS-UL SET in the making-2

明日発送予定です。
写真はミラーの仮セットの状態。
仮セット→仮光軸調整(ミラーエッジの干渉のチェック)→分解 → ミラー台座のシリコン加工 →半日以上放置 →内面塗装 →最終組立調整。(結構まだ仕事が残っています。^^; これでも、ミラーの切削工程がなくなりましたので、生産性は劇的に向上しています。)

115ED-BINO by Mr.YN in Tokyo

御社の「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」と笠井トレーディング扱いの BLANCA-115EDTⅡ鏡筒で自作の双眼望遠鏡を作成しましたので紹介の写真を送付します。
これで「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」使用の双眼望遠鏡は6台目になりました。

以前、双眼望遠鏡にしてみようと BLANCA-115EDTⅡ 鏡筒(口径115mm、焦点距離805mm、F7、3枚レンズアポクロマート)を2台購入していたものをやっと作成になりました。
双眼望遠鏡にする場合、鏡筒の太さとヘリコイド付きEMSに必要な間隔でHF2経緯台のアーム横幅間にのせるにはギリギリで、やっとのせられる大きさです。

HF2経緯台にのせる双眼望遠鏡ユニットとしてはバランスウエイトが付いた状態で15.5kgの重量になりました。私にはかなり重たい感じで、HF2経緯台へ載せたり、降ろしたりや運搬にはバランスウエイトや「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」を外して行うことが多いです。外した状態では13.3Kgです。この差の2.2kgは小さいようですが腕力的に私には大きく感じられます。
ただし、以前に作成したSE-120L双眼望遠鏡の15.2Kgより若干重いですがスライド式フードや焦点距離が短いことにより鏡筒が短くHF2経緯台へ載せたり、降ろしたりや運搬は若干扱いやすいです。
HF2経緯台は以前から紹介と同じく複数台所有のHF2経緯台の使いまわしです。
また、「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」も使い回しです。標準の2インチ品を用いているので、これで対応できる範囲のいろいろな種類の双眼望遠鏡に対応できて楽しいです。

アポクロマートでもあり、気持ち良く見える感じです。
低倍率から高倍率まで良く見える感じです。個人的にはプロフィールド双眼鏡の接眼レンズ部分を取り外して31.7mmスリーブを取り付けた焦点距離18mm、見かけ視野59.5度、アイレリーフ19mmの転用接眼鏡で約45倍の使用が一般星空観望に好みです。通常はゴム見口を
折り曲げて使用しています。周辺の光の目への侵入が煩わしいときにはゴム見口を立てて遮断しています。ゴム見口を立てた時には、若干見口が高い感じがして煩わしいときがあります。接眼鏡の重さも100g程度で扱いやすいです。ただし、31.7mmスリーブ内側と接眼鏡本体の隙間をゴムパッキンなどで挟み込んで摩擦で固定しているだけなので、無理な力を加えるとスリーブ部分が外れてしまうので取り扱いはそれなりの注意が必要です。
実視野としてはオリオン座の三ツ星の内の2つが視野の端にギリギリ見える程度です。
もし、2インチの広角のマスヤマ32mm接眼鏡を用い約25倍とするとオリオン座の三ツ星の3つが中心と視野の端にギリギリ見えるようになり楽しいです。

以下、詳細について追加説明します。

(1) BLANCA-115EDTⅡ 鏡筒は双眼望遠鏡用として販売店でバックフォーカス30mm延長改造を行い結果として195mmのバックフォーカス品を購入しました。また1本の鏡筒のマイクロフォーカス部を左側に付け替える追加工も販売店で行っています。
焦点位置が段差の位置にある接眼鏡ではドロチューブの引き出し量32mm程度で無限遠に合焦しました。双眼鏡から転用の18mm接眼鏡ではドロチューブの引き出し量38mm程度で無限遠に合焦しました。尚、ドロチューブのストロークは87mmなので余裕があって良いと思い
ます。

(2) 鏡筒間隔D=155mmとして作成開始しましたが鏡筒バンドの形状により若干内側に傾くらしく、鏡筒中心では結果的にD=152mm程度になってしまったようです。
これで眼幅最大可能範囲は68mm程度になった狭くなった模様です。私は眼幅が66mmであり、何とか使用可能範囲なので、とりあえずこのままで良しとしました。

もし、不満足な状況となれば、例えば片側の鏡筒バンド取付プレートの取付穴位置を2mm程度少しずらしたプレートを再作成などすればあと2~3mm程度は捻出できそうな気配です。
最もネックは鏡筒バンドの外側の蝶番部分の出っ張りのHF2経緯台のアームとの衝突です。
鏡筒バンド間隔が十分広く、蝶番部分がアームより十分離れた位置にあるものでは出っ張っても衝突はありませんが、今回はアーム近くにあるので、出っ張ると上下に振った時に衝突します。
例えばスライド式フードを伸ばしっぱなにして縮を諦めれば鏡筒バンド間隔を300mmとかにでき、鏡筒バンド位置の出っ張りがHF2経緯台のアームとほとんど衝突しない状況になるので、出っ張りの大きな鏡筒バンドクランプ摘みを外側に配置する方式でも対応できそうです。

双眼望遠鏡ユニットの構造としては、これまで5台作成したものとほぼ同じです。
耳軸の位置は鏡筒径の中心にしました。今回もほぼこれで天頂付近の垂直時のバランスがとれているようです。軽い31.7mm接眼鏡を用いると若干ズレる感じもしますが、HF2経緯台のクランプの摩擦を若干増加させることににより対応可能範囲です。

鏡筒バンド位置は鏡筒間に集めたクランプノブがぶつからない様にするためと、スライド式フードを縮した時にも鏡筒バンドとぶつからない位置とするために、左右で取り付け方を変えました。尚、スライド式フードは133mmスライドします。結果として、左側鏡筒の
鏡筒バンド間隔を87.5mmと狭いものとしました。もし、安定感が悪く感じられるようなことがあれば例えば手前側に鏡筒スペースがまだあるようなので数cm伸ばした鏡筒バンドプレートを再作成で対応できるかもしれません。
BLANCA-115EDⅡ 鏡筒は「EMS-ULセット+IPDヘリコイド」を取り付けても対物レンズ側が重く、収納したスライド式フードの直ぐ後ろに鏡筒の前後のバランス位置があります。

(3) EMSの上下方向が調節範囲に入らなかったので鏡筒バンド取付プレートの片側に1.6mm厚のワッシャーを入れて、EMSの調節範囲内としました。
尚、水平方向は実視しながら鏡筒をネジ穴余裕分で左右に振ってネジ締め位置を探して固定することで調整できます。相手プレートM6ネジタップに対してプレートを6mm径をドリルで穴あけしていますがこの余裕範囲で対応できています。

(4) これまでと同様に31.7mm接眼鏡と2インチ接眼鏡交換時の前後バランス調節用の約1kgの調節移動可能のバランスウエイトを取り付けています。
バランスウエイトを脱着する必要はなくスライドで対処できるので操作性が良いです。
31.7mm接眼鏡内でも重量にバラツキがあり、2インチ接眼鏡内でも重量にバラツキがあるのでバランスの最適調整にもストレス無く容易に調整できるので便利です。
ギリギリで経緯台プレートの上面にバランスウエイト軸を取り付けられました。バランスウエイトの縦位置はできるだけ中心軸から離れないようにするほうが、天頂へ向けた時のバランス崩れが軽減されます。

(5) 自宅ベランダからの手軽観望の時には、ベランダが120cm幅と狭いのでHF2経緯台のような中心に鏡筒を載せるタイプが最大限にベランダスペースを有効に活用できて便利です。
今回の、BLANCA-115EDⅡ双眼ではフードを伸ばした使用状態では全長は約90cmとなりました。
HF2経緯台もフォークを90度として垂直にすると更に使いやすくなります。上空は上階のひさしにより見えないので必要ないです。今回のBLANCA-115EDⅡ双眼ではバランスウエイトがHF2経緯台の基部にぶつかる高度57.5度まで可能です。

(6) これまでと同様に操作棒は2本のストレートにしています。ストレートタイプで、両手で操作は私の好みでもあります。

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;
YNさん、6台目のBINOの完成、おめでとうございます。いつもながら、ご工夫の詳細を公開してくださり、これからBINOを計画している方の良い参考になると思います。ありがとうございました。