EMS-UXL for China in the making

82mm filter thread is added on the inner barrel end.

少し前より、90Φバレルの末端に82mmフィルターネジを切っています。
(部品類は、新ロットごとに仕様を検討しています。(常に進化))
 D=205mm用の延長パイプはアルマイトに出しているので、写真には写っていません。

MATSUMOTO-FUJINON Hybrid-BINO, cleared the first hurdle / 第一関門突破

 やっとスタートラインに立てました。
ここからは私の土俵。
 ちなみに、予想通り、FUJINONの協力はえられませんでしたが、プリズムハウジングを撤去するのに、対物側からアクセスする必要があることは、目幅調整時に連動して、カニ目溝付きのリングナットが回転するのが対物側から透視できたので理解できました。
 時計修理をしていた父が生前に、「人間が作った物には必ず分解(修理)の手掛かりがある。」とよく申していたのを思い出しました。

Preliminary setting

 仮セッティングしてみました。
 バックフォーカスが厳しく、通常のフォーカサーの挿入はもとより、大型第一ハウジングの採用も却下です。
 しかし、エンドフランジの内径がちょうど65mmΦであったこと等、好都合な要素もあり、天賦の条件として受け入れるのが良いと思います。
 「この銘柄のアイピースが使いたい・・」ではなく、「このBINOで合焦するアイピースを探そう・・・」という姿勢に転向してください。トータル的に非常に良いマッチングが期待されますので、それを活かしましょう。 この姿勢は、SWAROVSKIの対物ユニットを使用したBINOでも共通しています。
 もちろん、元のフジノンの鏡体からマウントまで、全く未練がないのでしたら、対物だけを利用すれば良いだけのことですが、今回のプロジェクトの趣旨から外れますね。

FUJINON-MTSUMOTO-Hybrid-BINO project launched/ EMSによる90度対空化

Polo-prism housings will be replaced by EMS to attain right-angle viewing.

ずっと天文マニアの憧れの対象であり、一種のステータスシンボルとも言えたFUJINONの15cm双眼鏡ですが、
こうして手に取ってみると、漁業、軍事等の超ヘビーデューティの使用目的に添って製造された物だということがよく
分かります。
 剛性を徹底して非常時での光軸トラブル等を排除して行く伝統的な製造方針がよく分かります。
しかし、いかに剛性を徹底しても、50倍を超えると光軸が合わない(もしくは合わせにくい)というのは、
今だに光学各社の常識であり、このスタンスの延長で百倍~数百倍までの双眼視に挑戦するのは現実的でないことが
広く認知されていました。
 私のEMS-BINOの考え方は、まさに”柔よく剛を制す”の言葉を実践するもので、単体使用を前提に製造された
市販の天体望遠鏡用アイピースを使用する前提からも、光軸は狂って当たり前という前提から出発したもので、
光軸ユーザーアジャストのEMS-BINOが成功していることは、皆さんもご承知の通りです。

 この度は、「直視タイプの15cm双眼鏡が空を見上げる目的には苦痛で、全く使用しないまま書斎のインテリアになってしまって久しい。」とのことで、
接眼部をEMS仕様に改造することを依頼されたものです。
 
 ただ、誤解されないように、ここでお断りしておきますが、私は決してFUJINONの製品を貶めるために改造を試みているのではない、ということです。
 物作りを生業とする者として、FUNINONの大型双眼鏡が(その本来の使用目的に於いて)非常に優れた物であることは、同社への敬意と共によく理解しています。

 この度、同双眼鏡を分解するに於いて、FUJINONに技術データをお願いしていますが、提供の可否を含めて、回答待ちの状態です。
 FUJINONの双眼鏡を天文マニアのピュアな要求に応じてマツモトが改造することに対して、敵対、阻止の判断を下されるのか、逆に協力してくださるのか、
注目しています。
 私は、この際、互いの協力関係を築くことこそ、ユーザーさんの利益となり、同様な改造プロジェクトを成功させることが互いの利益になると確信しています。

Flip-Mirror Corrector by Matsumoto / フリップミラー・コレクター(メガネのマツモト)の応用:東京都:宮台真司様

以下に、最初にいただいたメールをご紹介します。
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2020年9/10
 品物が届きました。ありがとうございます。
早速2つとも組み付けました。対物方向を0度として60度 (接眼方向を0度として120度方向)に付けました。
 一見奇妙でも、普段は中天以上しか観測しないので、むしろ見易いです。ニュートン反射鏡的な態勢ですが、中天以上を仰ぐと真下を除く感じになり、ニュートンよりも見易いです。
 必要光路長をフリップミラーの直進方向と直角方向を同一に調整しました。10キロ以上離れた羽田空港の発着を見ましたが、素晴らしい見え味です。
これにバックフォーカス加算分0㎜の笠井ELS双眼装置を取り付ける予定です。子供たちに素晴らしい観望体験を与えられそうです。
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続けて、9/11にいただいたメール;

 おはようございます。けさは笠井ELS正立双眼装置を、フリップミラーに付けた裏像補正ユニットの後ろに付けました。
フリップミラーの裏像を、補正ユニットが逆像に戻し、それをELS双眼が正像に倒立します。なので、補正ユニットを、対物方向を0度として180度の方向に付けられました(写真参照)
このやり方で、フリップミラーを使っているのに、双眼で正立観望できます(バロー無し広視野で)。子供たちのために、実は、これで星雲・星団を、見せてあげたかったのです。
望遠鏡の片方で撮影しながら、もう片方で子供たちに自然な仕方で見せることができます。子供たちが喜ぶ顔が想像できますが、松本さんに加工していただいた御蔭で、心から感謝いたしております。
ボーグ90FLの直進・直角方向の同時合焦は簡単でしたが、55FLは工夫が必要でした。ヘリコイドを、フリップミラーの後ろの直進方向にも裏像補正装置方向にも付けました(詳細参照)

(詳細)55FLの裏像補正装置の接眼部は、ヘリコイドTをかませるために工夫しました
接眼部の2パーツの最後端を外すと、36.4メスになります。そこに、36.4オス42オスアダプタ(国際光器) →ヘリコイドT、の順でかませます。
ヘリコイドT(42メス42オス)の後ろは、通常の42メス31.4スリーブ接眼部でOK。なお42は全てT2です。
少し面倒でしたが、これでカメラ方向と双眼装置方向が狂いなく同時合焦しました。なお90FLは55FL(250mm焦点)と違って焦点距離に余裕があるので延長リング等で簡単でした。
なお両方ともカメラの前に周辺像補正のためレデューサ0.85をかませてあります。そのためカメラの前が変にごちゃごちゃして見えると思います。

Comment by Matsumoto/ 管理者のコメント;
 宮台さん、さっそくの詳細なりポートをありがとうございました。
実にユニークな応用で感心いたしました。同焦点化も達成され、お見事です。
 また、実名でのご投稿、感謝いたします。
 続報がありましたら、またよろしくお願いいたします。