
依頼されて、手持ちの普及タイプのWIFIカメラで撮影した動画です。
これで、APM120ED-BINOCULARの実力を判断しないように願います。
眼視で見ると、とてつもなくシャープに見えています。
最高級の天体望遠鏡とは比較できませんが、一般の方に天体をお見せするには、このスタイルの大型双眼鏡で十分です。(PL25mmコリメート)
Innovation of Astronomical Telescope
正立ミラーシステム(EMS)を開発した松本龍郎のサイト。 たった2回の反射で天体望遠鏡の像を正立像にします。
Tatsuro Matsumoto; Inventor of the EMS, Erecting Mirror System. EMS offers non reversed upright image with no additional undesirable abberations.
メインフォーカサーを省きたいことが結構ある。そもそも、無限遠の対象ばかり観察する眼視用の天体望遠鏡に、重厚な繰り出し装置が必要なのだろうか? 業界がこぞってピント位置の統一化をすれば、視度調整はアイピース側に設けておけば良いのではないだろうか?
鏡筒側は、シンプルな粗摺動機構か、延長チューブを用意しておけば良い。
今回のハイブリッド-BINOでは、バックフォーカスの成約で、メインフォーカサーは挿入しようが無い。
さて、どうするか?
使用する全てのアイピース用に、ピント位置を調整するための調整リング(同焦点リングをセットしておけば、次回からはピント合わせの作業から完全に開放される。
The notable byproduct of this adjust-ring is to avoid the annoying groove on the root of the eyepiece barrel.
この同焦点リングの特筆すべき副産物として、あの忌まわしい脱落防止溝を回避できるという点もあります。 以前にも問題提起しましたが、バンド式クランプが主流となった段階での迷惑な脱落防止溝は直ちに廃止すべきものでした。(ちなみに、MASUYAMA32mmには溝が無い。)
今回は制作情報ではありませんが、90度対空型の双眼望遠鏡に対する適正な三脚の高さについて、ご説明します。
私が快適な高さで設定すると純正架台底部から地面までの高さ=68cmでした。私の身長が167cmなので、この組み合わせの場合、身長から1mほど引いた高さがよろしいかと思います。
一般に、高く設定される傾向が見受けられます。 それは多分、直視や45度対空の環境で刷り込まれた習慣から来るのだと思われます。
よく、「90度対空だと低空や地平が見辛い。」と言われますが、それは架台高の設定が高すぎるからです。適正な架台高であれば(極端に長焦点出ない限り)、90度対空型は、天頂から水平まで、非常に楽に観察できます。
高度角目盛りは一応90度まで目盛ってあるのに、ちょうど80度までしか向かない。
な~んだ。敢えてリミッターチップがセットしてあるのか。
↑これで簡単解決! 多分、多くの方もぬか喜びされたことでしょう。
設計上は、それを意図したリミッターのはずですが、さて、リミッターを外すと・・・
リミッターを外したのに、今度は赤い矢印の所で干渉、80度の制限はいささかも拡張せず。(つまり、上記リミッターが意味をなしていない。鋳造部品の設計ミスだろう。)
そこで、鏡筒台座側を写真のようにトリミング。(1時間以上かかった。結構な筋トレ)(当初は、より簡単な、アームマウント側を削ろうとしたのですが、塗装ハゲが目立つので、加工困難な台座側を削ることにしました。
これで、やっと天頂に向くようになりました。
OEM製品も含めると、世界の望遠鏡業界は中国が実質上席巻して久しいと認識していますが、その中国にEMSのリピーターさんが数多くおられる、非常にありがたいことです。
EMSを作り始めて30年を有に超えますが、たくさん売ろうという意識は毛頭なく、価値の分かる方にだけ使ってもらえば良いと思っています。
しかし、何とも、面白くもあり、不思議でもあり、ちょっと悔しくもあり・・。 価値が分かる方は海外からでも注文してくださり、そうでない方は近くに住んでいても見向きもしない。
まあ、これはEMSに限ったことではなく、人間社会の縮図のような話ですけどね。ネット上では、自慢の天体望遠鏡の写真や動画が氾濫していますが、EMSが接眼部に付いている確率は限りなくゼロに近い。これもまた厳然たる現実。科学の道具であるはずの天体望遠鏡ですが、裏像の天頂ミラー信仰は、もはや宗教のレベルで世界に浸透しているように見える。