15cmF5-BINO in the making (2021,9/24)

 ピント位置の確認のために、試作のフォーカシングメカと、出来上がったばかりのEMS-UXLをセットしてみました。
  オリジナルのフォーカサーを撤去しているので、バックフォーカスは十二分にあることは分かっていましたが、逆に延長管がいるかどうかのチェックでした。結論的には、延長管は不要のようです。 微動ノブつまみを、もう少し長くした方が操作性が良さそうです。

 MASUYAMA-32mm(85度)による地上風景、いつもながら、非常に抜けの良い素晴らしい眺めでした。 昔の教科書的には、アクロマートでF5(しかも15cm)の鏡筒なんて、全く使い物にならないはずですが、その常識を覆したところが、この鏡筒の凄いところ。批判的な方は、実際に見てから批判してください。
 この鏡筒の元のシリーズ(他社ブランド)は、F8が最初で、F8ですら当時の常識を覆す短焦点であり、古参マニアたちは冷ややかな視線で遠巻きにしていたものです。それが、ちゃんとコストに見合う(いや、それ以上の)性能だったことから、結構当時の世間を騒がせたものです。
 その数年後に登場したF5には、私もさすがに懐疑的でしたが、お客さんがどうしても欲しいとのことで、試しに1本取り寄せてみました。 F8とF5の鏡筒を横に並べ、同じ32mm(現在のMASUYAMA32相当)のアイピースで地上風景を見たこところ、F5のデメリットは全く感じられず、どちらも非常にコントラストの高い像を見せていました。
 これは、F5もF8の、少なくとも5/8の高倍性能が期待できるということで、使用目的から、これは十分であり、もうF8鏡筒の出番はないなと、その時確信しました。
(昼間の地上風景で、当初に書いたアイピースで、なぜ盛大な色収差に悩まされないか?(と言うより、全く気にならないか?)ということですが、恐らく、射出瞳径=6.4mmで、観察者が縮瞳しているために、口径を絞っているのだと思いますが、それで良いのです。夜のDeepSkyでは瞳孔が散大してフル口径で見ますが、薄明対象では、もとより色収差は気付きません。)

Encoder setting on the Highlander Mount /軽量架台へのエンコーダ・セット

 エンコーダ自体が固定できないといけない以前に、限られたスペースに収納できないことには始まりません。6本の支柱のトリミングは、そうした意味があります。

やっと完了です。
エンコーダ端子と水平クランプノブが対物側になっているのは、天頂時に干渉しないためです。(組み替えることも可能)

Encoder setting on the Highlander Mount / エンコーダセット、2 回目

 軽量化のために徹底して肉抜きしており、エンコーダシャフトを水平回転軸に取り付けるための足場が失われています。面倒ですが、まずは足場を作らないといけません。

エンコーダシャフトをホールドする土台が完成。
今回の加工とは無関係ですが、センターアーム尖端の垂直回転軸回りの構造が現行仕様と異なることに気付かれたでしょうか。(最近の写真とお比べください。) これはごく初期のモデルだと分かります。

Evolution of the 15cmF5-BINO,from Version-1 to Version-11 /15cmF5-BINOの変遷

 タイトルと矛盾しますが、2003年頃に最初のVersionをリリースして以降、今日まで突っ走って来たわでですが、ほとんど記憶が飛んでしまっているのです。   PCの基本操作やHPの編集を含めて、右も左も分からず、海外からのお問い合わせへの対応等も含めて、無我夢中でやってまいりました。
 途中で、プロバイダからの容量オーバーの指摘に怯えて、サムネール以外の画像の大半を削除してしまったことも悔やまれます。

 ということで、今日までのVERSIONを全てクリヤーに再現できませんが、記憶や残った資料を再確認しておきたいと思います。

 当初は鏡筒平行移動方式の目幅調整で、(改造)VIXENのHF経緯台仕様で、VERSION-10では、中軸架台仕様(ヘリコイド目幅調整)だったりしますが、フォーカサーの変遷のみに着目してまとめてみたいと思います。
 当初モデルは、オリジナルのフォーカサーを市販の反射用のlow-profileなフォーカサーと交換することで、光束の確保とバックフォーカスの追加確保を何とかやっていたように思います。

 VERSION-2 ~ VERSION-6 までが記憶(と記録)が飛んでしまっていて、VERSION-7が確か、前回ご紹介したロッド式フォーカサー(65φ差し込み)で、VERSION-8が、下の写真の自前製作のクレイフォード式(65φ差し込み)だったと思います。

 そして、際めて少数でしたが、VERSION-9がやはり自前のクレイフォード式(3.5インチクラス、90φ差し込み)で、VERSION-10は、市販の3インチクレイフォード(改造、90φ差し込み)を使用していました。
 つまり、フォーカサーを11回変更したことになります。EMSとは無関係な部分にこれだけのエネルギーを傾注させられて来たわけで、何とも複雑な心境になります。 極限までコスパを上げた大口径(15cm)超単焦点鏡筒ですから、フォーカサーも小口径用を転用しているのは仕方ないことなのか? しかし、ユーザーは、より大きな口径と高視界を希求して購入しているわけだから、アタッチメントによってバックフォーカスが足りなくなったり、口径が13㎝にケラレてしまう仕様は、あまりに無責任と言わざるを得ません。
 多分、メーカーは、「いやなら高級な鏡筒を買え!」と言うのでしょうが・・・。
 ニュートン反射鏡筒は、その点、ドブソニアンが進化して、遠征眼視目的への合理的な対応が見られますね。
 屈折鏡筒は、写真(撮像)マニアに媚びた高級路線を突っ走っていて、過剰な重厚路線が続いています。DeepSkyの眼視観望目的に特化したリーズナブルな大口径鏡筒の選択肢が非常に限られています。

 長々と書きましたが、そうした業界の非合理な製品を、アイデアで合理化(改造)してやろう、という信念で今日に至ったということです。