
粗動ストロークにリミッター(アジャスタブル)があれば、何かと便利のはずです。
取り敢えずは挿入制限のみ対処しました。 引き出し制限は鏡筒の中になるので、お引渡し時にクライアントの方と相談して決定します。

Innovation of Astronomical Telescope
正立ミラーシステム(EMS)を開発した松本龍郎のサイト。 たった2回の反射で天体望遠鏡の像を正立像にします。
Tatsuro Matsumoto; Inventor of the EMS, Erecting Mirror System. EMS offers non reversed upright image with no additional undesirable abberations.


The Center Mount System will be carefully set up with the perfect balance.
The “balance” means the total set up including the finder and other accessories.
On the other hand, the OTA from which the EMS and eyepiece and handles removed will be so top heavy that the carrier will feel awkward in handling. This “Weight-Cap” will drastically improve the unbalance in carrying.
中軸架台システムでは、最終的にセットアップしたBINOのバランスを完璧に取るわけですが、ハンドル、EMS等を全て撤去した鏡筒単体は15cmクラスにもなると、かなりのトップヘビーになります。(対物側が重くなる。)
移動時、保管時、またセットアップ初期段階だけの問題なので、完璧なバランスは不要ですが、やはり鏡筒単体時であっても、極端なアンバランスは持ちにくく、危険ですらあります。 そこで、アンバランスを緩和するために、このウェイト・キャップをご提案した次第です。(910g、ほぼEMS-UXL相当)
さらに、このソリッドなキャップは、接眼部の微動ノブの突起部を収納時に守る意味もあります。これで、収納時に気を使わなくて済みます。
一般に、キャップを大事にされる方は少ない印象があります。ポリキャップ等、数年後には大方の皆さん、紛失されます。 このソリッドなキャップなら、無くされることもないでしょう。^^;
実際にBINOに触るまでは、この”ウェイトキャップ”の意義も実感が湧かないだろうな?と思います。それどころか、”なぜ鏡筒の単体着脱方式”にしたか?という中軸架台システムの根本的な部分でさえ、理解されていないことが多いのに気付き、ショックを受けたことがあります。
口径12cm程度以上の一体構造のBINOは、EMS式、市販の双眼望遠鏡によらず、次第に稼働率が下がるという顕著な傾向があるのです。穏便な言い方をしましたが、ずばり言うと、全く出動しなくなるケースが極めて多いということ。
カタログの重量スペックだけを見て、「自分なら簡単に運べる。」と思った力自慢の”アナタ”!、BINOの重さや大きさを舐めていますよ! それはなぜか? 重いからか? 大きいからか? いや、そんな単純なものではありません。 成人男性なら、10㎏や15kgのダンベルでも平気で持てるでしょう?
まず、BINOはデリケートな光学機器だということ。ダンベルのように無遠慮に持てるわけがありません。
また、一体構造だと、重心が体から結構遠ざかります。
また、その躯体の大きさから、持ち運ぶ人から見て死角になる範囲が広く、本体の腹側のベース部は見えません。
つまり、大型の一体型の双眼望遠鏡というのは、非常に運用困難な代物なのです。
そこで、大型のBINOが、小型のBINOのような軽便さで運用できる方法はないものか?と追求した結果が、「中軸架台+鏡筒単体運用システム」なのです。 一体構造のBINOに憧れますか? 鏡筒単体運用だと、光軸の再現性を疑いますか? それらは単なる思い込み、妄想に過ぎません。
同じ目的を果たすなら、シンプルなほど良いのです。
ウェイト軸は常に重力によって手前に落ちる方向に力が働きますので、不用意に落ちないための引っ掛かりさえあれば良いのです。
The clamping mechanism was changed from the chucking system to the stronger slit clamp.
クランプ機構を同軸チャックから、より強力なスリットクランプに変更しました。 同軸チャックはシンプルで理想的と思ったのですが、極端な加重に対してスリップする傾向が見られたことと、微動ノブとチャックの距離と暗がり(しかも手袋使用も考慮)での操作性に問題がありそうだったためです。(同軸チャックは、他の目的でまた威力を発揮するはずです。)
フランジ(鏡筒パイプ末端の白い部分)の後ろにフォーカサーが来るのが通常ですが、このフォーカサーは、フランジを合焦メカに取り込み、ドローチューブがローレットネジ付近の15mm程度だけを残して、全て鏡筒内に縮退します。ゼロ・プロファイル(Zero-Profile)というのは、そういう意味です。 それにより、鏡筒を切断することなく、所定のバックフォーカスを余裕で確保できました。
「暗がりで目盛りが見えるか?」と言われそうですが、まずは昼間に十分に使用して、微動ノブの回転とドローチューブの移動速度を感覚的に身に付けてください。(微動ノブ1回転=1.5mm) また、目盛りは手持ちのアイピースのピント位置の誤差を把握するのに便利で、誤差が分かれば、同焦点化の対策も立てやすくなります。

The EMS-UXL SET has just arrived at my client in China, and it is his first report of his fantastic project!
言語の壁を越えて、こうしたプロジェクトに挑戦されること、大いに敬意を表したいと思います。