Two sets of the EMS-UMA for Switzerland completed !

 今さら・・?の感もありますが、写真にXY-ノブの注釈を記載しました。
ご覧のように、BINO用のEMSセットは、光軸の微調整機構も包含されているので、それも含めてコスパを判断して欲しいものです。
 単体用のEMS×2でも、BINOは実現できますが、光軸の微調整機構を自前で調達/自作することを考えてみてください。
 BINO初心者の方は、”光軸調整”と聞くと、ニュートン反射の斜鏡やカタディオプトリック鏡筒の凸鏡の調整を想像する方が多いみたいですが、そうした従来型の、拠り所のない曖昧な3点調整機構を想像されますと、(良い意味で)当てが外れます。 右の鏡筒の像を2つの調整ノブで、それぞれY軸とX軸方向に独立的にシフトさせる機構で、初めて体験された方は、異口同音に感激されます。
 初期のモデルでは、そのノブを無制限に回して原点を見失う心配がありましたが、10年くらい前より、リミッター機構を設置して、その懸念も払拭しています。
(このXY機構が、EMSが一部の超マニアだけが使いこなせる気難しい光学機器になるか、広く一般が自然に使える機器になるかの分岐点だったと言えるのです。)

 くどいですが、注釈が英語なので、日本語で少し詳しくXYノブについてご説明しますね。
 ハウジング底部中央の支点用のセットビスに乗る、ミラー基板をX、Yそれぞれに対応してシーソーのようにチルトさせるためには、安直な考察では2本ずつの引きネジ、つまり合計4本の引きネジが必要です。(2方向のシーソーだから、乗り手が4人要るわけです。)
 まず、私は4本の内の2本は1本のネジで共用できることを発見し、その共通ネジとX、Y用のネジを用意することで、3本の引きネジでのXY調整機構を実現しました。
 次に、その共通ネジは、スプリング等による陰圧機構で代替できることを発見し、現在のX、Y独立のノブによる調整機構の実現に至ったわけです。
(最近は少なくなりましたが、数年間EMS-BINOを使用された方が、「大変です!3つの調整ノブの内、1つが脱落しています!」というSOSをよくいただいていました。^^;)

The “Jig” most important thing ! /治具こそ命!

Now, I will show you one of the jigs I use on processing the EMS housings.

 物作りは、治具が命。 にもかかわらず、お客さんに評価されることはない。
悲しいかな、お客さんは出来た物にしか関心がない。
 しかし、物を作る人間は、治具こそ命。 治具が出来たら、その製品は出来たのも同じ。
(因みに、日本語の”治具”は英語の jig の当て字。)

Double screw for the fine focusing / 微動送りネジを二条にしてみた!

 M10の通常ネジだと、1回転で1.5mmの移動。ノブ径が大きいと、持ち替えずにノブを捻じれるのは半回転程度だから、1回(実際は半回転)回してたったの0.75mm。 ちょっと移動量が小さ過ぎる。
 そこで、2倍の移動量を得るために、二条ネジを加工してみた。これで、一回転で3mm進む。専用タップが届いたら、実際にサンプルのフォーカサーに組み込んでテストしてみよう。
(VERSION-11の一号機は納品済みですが、まさに試合後の反省練習をしています。)

First-Light report of VERSION-11 of 15cmF5-BINO by Mr.S in Okayama pref. / 早々にファーストライト(岡山県S様)

 15cmF5-BINOのVERSION-11 一号機、昨日(10/29)当店でお引渡ししました。
 ファーストライトのご報告は帰宅されてから数日後くらいに思っていたのですが、何と、帰路に星見サイトに立ち寄られ、初観望のご報告をいただきました。
 以下、いただいたメールからの抜粋です。

前略、
 帰りは、 津黒いきものふれあいの里の駐車場で、ファーストライトを楽しませていただきました。

● そうだったんですか? 素晴らしい!
    夕方には、そろそろ帰宅されているかな?と思っていました。

  薄明りの中、上下のバランス取りで少し戸惑いましたが、 アリミゾのセット位置を少しズラし、丁度良い所で設定できました。 他は大した問題もなく、すんなりと・・・東西2本のLEDの街灯が恨めしい・・・

● さすがですね。 当方で何度も鏡筒着脱の練習をしていただいたこと、正解 でしたね。^^

  アイピースを変えると、僅かにEMSのXY調整を触るくらい、 ある程度まで近づくと、頭の中で何が起こっているのか、一瞬で左右の絵が重なります。

● その、EMS-BINOとして当然のことを実際に体験していただいて嬉しいです。皆さん、すぐに当たり前になってしまうのですが、大変嬉しいご指摘で す。 EMS-BINOへの入門を躊躇している方の杞憂の一つに、光軸調整への不安が あるみたいなので、そうした方には、この辺しっかり読んでいただきたいもので す。 光軸ユーザーアジャストの双眼望遠鏡は、未だEMS-BINOしかないですが、 多分、既存のメーカーさんは、ユーザーを信頼していないのでしょうね。

  アイピース32mmで西に落ちかけた干潟星雲からオメガ星雲、鷲星雲、近辺の散開星団をひとなめ、 少し離れて、リング星雲にアルビレオ、カシオペア近辺の、散開星団やら球状星団やらとりあえず沢山・・・ アイピース9mmでの球状星団、どれも私の目に色収差は殆ど気になりません。

● そうなんです。 昼間の景色対象でも色収差はほとんど気になりませんか ら、DeepSkyなら、楽勝なんです。その辺、メーカーさんにも再認識してもらい たいものですね。大口径(15cm以上)短焦点アクロマートの選択肢があまりにも 少ない。(つまりこの15cmF5鏡筒の存在が貴重だということ。)

 アイピースを13mmにして二重星団、ため息が出るくらい美しく、椅子に座ってずっと見ていました。 しかし、ここは標高500mを超える山奥、10月の終わりの星空は9時を過ぎるころからため息でアイピースが曇る曇る、
  マスクをしたり、鼻にティッシュを詰めたり、どうしようもないので息を止めてみたり・・・ とうとう息を止めるのに疲れての撤収となりました。

● 露よけ対策が必要になりますね。

  オリオンが昇ってくるまで頑張ろうと思っていましたが、残念です。 しかし、西に沈みかけたボーデの銀河、東に昇ってきたアンドロメダや二重星団など、 今まで見た中で一番の見え方でした。 アンドロメダってこんなに大きかったのかっ、250mmのニュートンでも見たことない・・・

 15cmF5BINO、双眼天体望遠鏡としての一つの究極の姿を手にすることが出来ました。 大切に、そして、みんなに喜んでもらえるよう使います。 ありがとうございました。 取り急ぎ、無事帰宅の報告まで  岡山県 S

● ファーストライト・リポートに、私も大変興奮しました。
    本当にありがとうございました。

Comment by Matsumoto / 管理者のコメント;
  早々のファーストライト・リポート、ありがとうございました。
 製作の苦労が報われる瞬間です。^^
  続報を楽しみにしています。