

Innovation of Astronomical Telescope
正立ミラーシステム(EMS)を開発した松本龍郎のサイト。 たった2回の反射で天体望遠鏡の像を正立像にします。
Tatsuro Matsumoto; Inventor of the EMS, Erecting Mirror System. EMS offers non reversed upright image with no additional undesirable abberations.
The shorter 2″ sleeve is one of the solutions of the lack of back-focus for your set up.
EMSは実は基礎光路長が極めて短く、さらに接眼スリーブ類が根元から着脱、交換できる構造のため、たとえ標準状態でピントが出ないことがあっても、ほとんどのケースで対処できます。
2”スリーブの短縮は、数ある(バックフォーカス不足の)解決策の中でも、安直で理解しやすい方法です。
さらに、EMSのスリーブ類は、2インチの雄フランジであるフィルターリングに被せる構造なので、2インチ挿入ではなく、内径2インチのキャップ構造で装着物をセットすることも可能です。”接眼部はオス部品を差し込むもの”という固定観念を捨てると、圧倒的な解決策が見つかることもあります。
これは、一つの安直な解決策に過ぎません。
たとえば、正のアイピース(2インチバレル内にスマイスレンズ系等が内蔵されておらず、中空のアイピース)であれば、本来の2”バレルを撤去し、そこに内径2インチの短い被せスリーブをセットしてEMSの接眼フランジに直接セットすれば、超絶な光路長節約も可能です。 実際、それに類似した発想で、以前に、APM120双眼鏡にMASUYAMA32mmをセットするアダプターを製作したことがありました。
概して、マニアさん、ピントが出ない時に狼狽し過ぎです。マツモトに頼めば、ほぼなんでも解決するので、ご安心あれ。
今さら・・?の感もありますが、写真にXY-ノブの注釈を記載しました。
ご覧のように、BINO用のEMSセットは、光軸の微調整機構も包含されているので、それも含めてコスパを判断して欲しいものです。
単体用のEMS×2でも、BINOは実現できますが、光軸の微調整機構を自前で調達/自作することを考えてみてください。
BINO初心者の方は、”光軸調整”と聞くと、ニュートン反射の斜鏡やカタディオプトリック鏡筒の凸鏡の調整を想像する方が多いみたいですが、そうした従来型の、拠り所のない曖昧な3点調整機構を想像されますと、(良い意味で)当てが外れます。 右の鏡筒の像を2つの調整ノブで、それぞれY軸とX軸方向に独立的にシフトさせる機構で、初めて体験された方は、異口同音に感激されます。
初期のモデルでは、そのノブを無制限に回して原点を見失う心配がありましたが、10年くらい前より、リミッター機構を設置して、その懸念も払拭しています。
(このXY機構が、EMSが一部の超マニアだけが使いこなせる気難しい光学機器になるか、広く一般が自然に使える機器になるかの分岐点だったと言えるのです。)
くどいですが、注釈が英語なので、日本語で少し詳しくXYノブについてご説明しますね。
ハウジング底部中央の支点用のセットビスに乗る、ミラー基板をX、Yそれぞれに対応してシーソーのようにチルトさせるためには、安直な考察では2本ずつの引きネジ、つまり合計4本の引きネジが必要です。(2方向のシーソーだから、乗り手が4人要るわけです。)
まず、私は4本の内の2本は1本のネジで共用できることを発見し、その共通ネジとX、Y用のネジを用意することで、3本の引きネジでのXY調整機構を実現しました。
次に、その共通ネジは、スプリング等による陰圧機構で代替できることを発見し、現在のX、Y独立のノブによる調整機構の実現に至ったわけです。
(最近は少なくなりましたが、数年間EMS-BINOを使用された方が、「大変です!3つの調整ノブの内、1つが脱落しています!」というSOSをよくいただいていました。^^;)