TSA120-BINO in the making-5

 前回ご説明したように、左右鏡筒のアリミゾは、上からではなく、下から前後2本ずつのM8のキャップボルトで固定することとしました。赤い矢印で示したバカ穴X4だけで十分なのですが、より初期調整が楽になるように、アジャストネジを追加しました。
 左手前の2本のセットビス(イオネジ)は、余裕を見た10φ穴のアジャスト用で、右の水色の矢印の4本のネジ穴は、右鏡筒の上下微調整の押しネジ用です。右鏡筒の微調整は、シムを下に挟むことでも可能なので、この押しネジは必須ではありませんが、あれば便利かと思います。

 左のアリミゾが左右に微妙に方向調整が可能で、右のアリミゾは、前方のみ、もしくは手前のみ少し押し上げることが出来るわけです。実際には、ほとんど調整する必要はないでしょう。

TSA120-BINO in the making-4/ Example of the finder base setting/ 90度対空BINOに適したファインダー位置

 ファインダー台座(VIXEN)の下駄底をうまく利用すると、たった1本のM4皿ビスでハンドル天面に固定出来、びくともしない。

 多分、BINO初心者の方は、ファインダーを望遠鏡の接眼部の極近傍にセットされることを想定していると思う。
 実際、望遠鏡メーカー(のほとんど)がその想定で、フォーカサー自体にファインダー台座をセットしていることが多い。
 しかし、(経験すれば分かることだが)、90度対空の双眼望遠鏡だと、ファインダーは、ずっと対物寄りで、位置も高い方が使いやすい。 ドットファインダーなら、眼を見口に接近させる必要がないので、尚更です。


TSA120-BINO in the making -3/ The Dovetail-Holder; the annoying structure ! / 迷惑なアリミゾのセット構造!

 市販のアリミゾ金具(ロスマンディ規格)は概ねこんな感じで、中央に1/4インチのメネジが切ってある以外は、すべてバカ穴で、上から下の架台等にボルトで固定する前提になっている。 パーツメーカーさんには、BINO用の用途なんて全く眼中にないので、当然と言いたいのだろうけど、この方法での固定だと、アリミゾの向きを微妙に調整したい場合は、修正方向(と量)を明確に把握した上で、鏡筒を撤去し、調整後にまた鏡筒を再セットして結果を見て、完璧でなければ、それを繰り返さないといけず、極めて効率が悪い。
 BINO用では、ベースプレートの下側からボルトで固定する方式でないと、初期調整が非常に面倒になる。アリミゾ側に新たなメネジを切れば良いだけのことなんだけど、これほど徹底して多数のバカ穴と肉抜きがされていると、実に迷惑なのだ。^^;
 ただ、彼らの浅知恵をかいくぐるのは、私にとっては簡単なことだ。(請うご期待!)


TSA120-BINO in the making – 2 / たかがハンドル、されどハンドル!

このアリガタはましな方ですが、昨今のアリガタ等、肉抜きと穴開けの数、量が半端ではなく、追加工をする者にとっては、非常に迷惑します。
 35mmスパンの対穴が多いのは、タカハシの影響で、仕方のない面もありますが、長手の間隔=175mmは何の基準か? この辺、180mmとかにしたい方も多いと思うが?(むしろ長穴の方が親切かも?)
 今回のタキゲンの取っ手は、天面がフラットになっていて、アクセサリーのセットにも好都合な物ですが、スパンが188mm。 そのため、際どい追加穴を写真のように施工して対応しました。
 パーツメーカーさんは、加工手段を持たない天文マニアに媚びて、超穴だらけパーツを増産しているみたいだけど、逆にマニアを困らせている面もあるね。 それから、あまり言うとまた嫌われそうだけど、大人の趣味として一生続けるのであれば、やはりボール盤くらいは持つべきと思うね。

TSA120-BINO in the making

 EMS-UL(with IPD Helicoid)はすでに完成していて、iOptron-HAZ46架台搭載なので、ほぼ作らずにBINOが完成します。フリーで動かせないのは、私的には?ですが、GoToに割り切ると、各所がシンプルになりますね。

Another Center Mount completed !

 センターマウント、この他に2台分の主要パーツを確保していますが、私用のサンプルも確保していない状態なので、どうしようかな? これを最後とするか?私の考え次第。
 アイフォーカサーも、思い入れの割りにはヒットしなかった製品の一つ。確かに、昨今の高級鏡筒は、最初から優秀なメインフォーカサーが装備されているので、需要が少ないのも当然でしょうね。
 アイフォーカサーの在庫も、あと2セットで終了です。

長めのアリガタ(これほど長い必要はない^^;)を2本セットして、上下方向の平行度を追い込みます。
BINOユーザーなら、デジタル傾斜計は必携です。
 BINOをセットする際は、鏡筒とアリガタの平行度も考慮する必要がありますが、調整困難な場合は、中軸架台側でわざとそのずれをキャンセルしても問題ありません。アリミゾの下爪の調整方法は下の写真の通り。

必要に応じて、アリミゾの下爪を微妙に調整することも出来ます。
 ネジを少し緩めて、木槌(プラスチックハンマー)を使うとやりやすいです。それは、鏡筒バンドに固定したアリガタの微調整にも有効です。
 水平方向の調整は不要です。万が一、初期状態でBINOの水平方向の光軸が微妙に合わない場合は、EMSのXY調整はあくまで原点のまま必要に応じて、アリミゾの下爪を微妙に調整することも出来ます。 ネジを少し緩めて、木槌(プラスチックハンマー)を使うとやりやすいです。それは、鏡筒バンドに固定したアリガタの微調整にも有効です。 水平方向の調整は不要です。万が一、初期状態でBINOの水平方向の光軸が微妙に合わない場合は、EMSのXY調整はあくまで原点のままで、左のEMSの第一ユニット(望遠鏡側ユニット)の3本のプラスネジで微調整しても良いです。(もちろん、アリガタと鏡筒バンドの間にシムを挿入しても良いですが。)

 一般に、BINOは、モジュールごとの精度維持に最大限の努力はしますが、結果として理想状態が得られない場合は、組立後の最終状態で調整してもかまいません。最終的な収支が合えば良いのです。

Another Center Mount almost completed !

 クランプレバーの胴部分(赤い矢印)は、もともと、適当な白アルマイト済みのつるんとしたパイプ部材が大量にあったので、それを利用していましたが、「レバーだと締め込みがまだるっこい(時間がかかる)!」というご指摘があり、ネット上より、適当なローレットナットを探して利用したものです。(最近はこれが標準)
 これなら、締め込みの大半は効率的なローレット部で回し、最後の増し締めの時だけ、レバーを使用することが出来ます。
 このように、ユーザーさんのご要望は多岐に渡り、「よくぞ細かいことにお気付きになる!」というのが製作者の正直な感想です。 当方、大メーカーじゃないので、各所のカスタマイズはユーザー様単位にご自由になさってください、というのが本音なんですがね。

EMS-UL SET for TSA120-BINO completed !

 標準のEMS-UL+ヘリコイドの推奨D=160mmで、TSA120のフード径=160mm。
では、EMS-ULは標準で良いのか? その方の価値観、設計、目幅等で判断は分かれるのでしょうが、左右のフードが接触、というのもいかがなものでしょうか?
 10mmのクリアランスを見て、D≒170mmくらいが妥当かな?というのが製作者の親心です。ご理解いただけますでしょうか? それなら、フードにヒーター等を巻いても問題になりませんからね。
 ということで、写真は、一見標準タイプ(D=160)のEMS-UL+Helicoid と変わりませんが、ヘリコイドの下に8mmの延長管をセットしています。(実は、こうした中途半端に短い延長管のセットは面倒なのです。)
 こうした個別対応、当然のように今日までやって来ましたが、またモチベーションが下がるようなことがあれば、止めますよ。^^;

The core part of the Sliding-Mount/ スライドマウントのコアパーツ

 類似の機構のスライドマウントは、過去3台くらい試作しましたが、決定版として、汎用性を配慮したモデルを作っておこうというものです。

 スライドマウントは、中軸架台同様、単体鏡筒で着脱出来た方が圧倒的に便利なことは分かっていて、左右鏡筒用のアリミゾの設置が必須です。それに加えて、スライド機構や初期調整機構を別個に配置しようとすると、構造が2階建て、3階建てとなって、重心が高くなり、また部材のコストも総重量もアップしてしまいます。 
 そこで、片方のアリミゾ自体に、クレイフォード式の動輪をセットしたら?という発想です。