EMS-UL for the single use completed !

 実は、単体のEMS作りが当方の本業です。
原理的に、合理的な双眼望遠鏡用の正立手段なわけですが、当初に開発者が意図しておりました、既存の裏像手段を一掃するという目的が果たせないまま、双眼視の手段として有名になってしまいました。
 未だに、EMSは”特殊な望遠鏡アクセサリー、という業界(及びマニア)のご認識かと思いますが、開発者の本音としましては、眼で覗く道具としての天体望遠鏡を、人間光学的に完成させるための主要部分と考えているので、いかに表面的なリップサービスで接近されましても、既存のメーカーさん(及び代理店さん)との意識の乖離は埋めがたいものがあるわけです。
 既存のメーカーさん(代理店さん)は、望遠鏡アクセサリーを望遠鏡本体よりも見下しています。
マニアの方々も、それに洗脳されていて、望遠鏡を購入された後に、「さて、EMSが使えるだろうか?バックフォーカスは十分だろうか?」と気付かれます。EMSが使える鏡筒を探す、という発想に至る方はまだ少数派のようです。
 メーカーさんは、新規鏡筒開発時に、「EMSが使える仕様にしないと・・・」という発想はまずありません。

The further leap of the Super-Wide-BINO /さらなる飛躍と、無限の応用性の提案!

目幅調整の送り機構を追加しました。

回転シューを噛ませることで、初期セット姿勢の自由度を与えました。
 初心の頃は、”倍率”にしか関心ありません。
皆さんも、観望会の度に、「これは何倍の望遠鏡ですか?」と質問されて、当惑されることと思います。
 実視界を追求するようになるには、何年後か、あるいは数十年後でしょうか、一応の初期の目的を達成してからの贅沢かも知れませんが。
 通常の天体望遠鏡的スタンスでは、実視界に大きな壁があることに気付くわけです。
 

赤線の所で分解できることを発見。
下の4本のボルトで分解できる。つまり、スペーサーを挿入し、長いボルト4本を用意すれば、フォークを任意の長さに延長できるということ!

SW-BINO / IPD screw in the making /目幅送りネジ

15cmF5-BINOですでに確立している方法です。やるか?やらないか?だけの話!
 いかに小規模のBINOであっても、光軸調整機構と目幅調整機構は結局は譲れないようね。
  もともと暗がりで使う道具だから、潰せる懸念材料は全て潰しておかないとね!

First-Light-Report of Super-Wide-BINO by “Ichiro”-San / カメラレンズ-BINOの胎動!

 この特殊なBINOはまだ開発中なのですが、Ichiroさんが、早くも11/8~の小海星フェス(於長野県)に持ち込まれた経緯をご自身のブログで発表されましたので、ご紹介します。

Comment by Matsumoto / 管理者のコメント;
 カメラレンズを対物ユニットとし、接眼レンズは天体望遠鏡用のアイピースを使用、正立光学系は
対物レンズからの収斂光束内ではなく、対物ユニットの外の物空間に配置するという、前代未聞の双眼鏡について、勇み足ながら、いつのように、Ichiroさんが雄弁に詳細を紹介してくださいました。

 Ichiroさんは、すでにNIKONのNAV-12.5HWアイピース+EMS-UXL(Askar120BINO用&20cmF7-BINO用)を所有しておられ、さらにNIKONの最高峰双眼鏡のWX10X50双眼鏡まで所有しておられる特殊環境で、それらを凌駕するという壮大な野心をモチベーションにしてこのプロジェクトに突き進まれたご事情がありました。

 共同開発者でありながら、私とIchiroさんとは、目指す方向に微妙なずれもありましたが、それは開発モチベーションを維持する上で、大した問題ではありませんでした。
 銀塩写真時代の優秀なカメラレンズが中古市場にほぼ捨て値で氾濫している事情をIchiroさんから知り、私もそれが何とか面白いBINOに応用できないか?と興味津々でした。
 せっかくの、ほぼタダの素材ですから、アイピースも正立光学系もあまり贅沢をしないで、私としては、コスパに徹底した物を目指していました。
 例えば、焦点距離が100mm前後以下のカメラレンズですから、アイピースは、31.7に限定して、根元にヘリコイドを介して、合焦操作性を考慮するのが私の方針でしたが、Ichiroさんは、NAV-12.5HWアイピースを使用して、WX10X50双眼鏡を凌駕する双眼鏡を目指しておられました。
 まあ、どちらにしても、このタイプの超広角双眼鏡の汎用性の範囲でのポテンシャルであって、挑戦することの副産物は計り知れないものがあるだろうと予想していました。(いや、います。)

 対物ユニット前の物空間に配置する正立光学系は、市販の正立天頂プリズムでも代用できますが、有効径が欲しいので、2”用ですと、急に割高になることと、横幅 < 目幅の条件を満たす必要もあります。 さらに、双眼システムの譲れない操作性として、XY光軸調整機構があり、外付けの機構を余分に配置するのは、シンプルさを欠くだけでなく、至難なことで、それだけで大きなコストアップにつながります。
 手前ミソに聞こえますが、正立光学系としては、EMSに限定(諸条件からEMS-UL)されると私は考えています。
  EMSを使用するメリットとしては、90度対空とXY光軸調整機構の他に、他の正立手段と一線を画す効果として、ステレオベースの拡張があります。カメラ用のテレコンをそのまま利用するテレコンBINOも個人的に大好きですが、市販の小型手持ち双眼鏡同様、ステレオベースがほぼ目幅なので、立体視の強調効果は倍率のみに依存し、衝撃的な立体感はほど遠いわけです。
 一方で、EMSを使用すると、ステレオベースは一挙に目幅の二倍以上になり、軍用砲隊鏡並の超絶な立体感が得られるのです。
 ということで、今後の研究によって、より効果的な素材のペアリング(カメラレンズとアイピース)が見付かるでしょうが、原理的優位として、90度対空と、XY光軸調整機構、そして超絶な立体視効果があることを強調しておきたいと思います。
(原理の根幹の優位性こそが売りなんですが、それらは意外に数値化しにくく、評価の項目から外れ勝ちなのが悔しいところでもあります。首を傷めながら上を見続けるのが楽しいのか、90度俯視でずっと安楽に眺め続けられるのが楽しいのか???)