
光路図練習用のテンプレート、ほぼ反応がなかったので、使用例をお示しします。
確認のためにもう1本の光線を加えても結構ですが、像点を決定するのには、2本で十分です。
また、像モデルは矢印で良く、わざわざ蝋燭の絵を描く必要はありません。
実際に作図してみることで、実像が出来ない範囲等、体感できると思ったんですがね。
Innovation of Astronomical Telescope
正立ミラーシステム(EMS)を開発した松本龍郎のサイト。 たった2回の反射で天体望遠鏡の像を正立像にします。
Tatsuro Matsumoto; Inventor of the EMS, Erecting Mirror System. EMS offers non reversed upright image with no additional undesirable abberations.
高度な質問に先回りしてのご説明です。
前投稿で、「P’ が本当に P の虚像だと言えるのか?」という疑問を持たれた方も少なくないはずです。私も当初、そうでしたから。
1本の光線だけで、虚物点だ、虚像点だと言われても、納得できませんよね?
少なくとも、もう1本の光線が交わらないと信用できません。
で、メインの 物と像を結ぶ光線 の中で、他に P,P’ を通るものがあるのか? ということですが、いくらでもあります。水色で塗りつぶしたエリアの光線がべったりと該当します。
図から、P に向かって収斂する全ての光線は、P’ から射出する、ということ、ご納得いただけると思います。
物側主面と像側主面は、列記とした物像関係であり、倍率=+1の共役面なのです。従って、両主面間の 物像マトリックス から、主点距離も容易に計算できるわけです。
厚いレンズや複合レンズ系も、薄レンズとほぼ同じ手法で結像図が描けます。結像図が同じ方法で描けるということは、数式も共有できるということで、先人による”主点”の発見がいかに偉大なものだったかが分かるはずです。
主点の意味も、最近の投稿と併せて上図をご覧になれば、よりご納得いただけると信じます。
ついでに、各用語の説明をしておきますね。
まず、薄レンズの中心 O に相当するのが、厚レンズの主点、H1, H2 です。
2 点になりましたが、薄レンズの O点と同様、H1に入射する光線の全てが、同じ角度でH2から射出します。
また、物側主面上の点 P に入射する光線の全ては、同じ高さの像側主面上の点 P’ から射出します。 両主面自体が、倍率=+1倍の共役面になっています。
いかがでしょう? 今日のご説明で主点の意味がより具体的に理解出来た方、ご連絡いただけると励みになります。
数十年のキャリアの天文マニアさん、自他が認める望遠鏡のオーソリティで、「今更聞けない、射出瞳の意味!」状態になっていませんか? スルーするより、分かった方がずっと幸せになりますよ!
望遠鏡って凄いですね。燃料もバッテリーも食わずに、黙々と光年単位の時空を超えさせてくれる。しかも、超働き者で、直接頼んでいない仕事も、勝手にやってくれています。
赤い線が、皆さんも常に意識しているはずの、望遠鏡のメインの仕事。対物レンズの焦点をアイピースが無限遠虚像にして、長時間楽に覗けるようにしています。
で、アイピースには、もう一つの大きな役目があります。そのサブの仕事を、濃紺の線(時に黒く見えるかも?)で表しました。
それは、対物レンズ(枠)の縮小実像をアイピースの手前に作ってくれることです。口径と倍率さえ適正に選べば、あの大きな対物レンズを通過する光線を全て眼内に投入させることが出来ます。(ガリレオ式望遠鏡の致命的な弱点は、射出瞳が実像ではなく、常にアイレンズの向こう側の虚像だということです。)
射出瞳は、アイピースの焦点距離が短いほど、かつ望遠鏡の焦点距離が長いほど、アイピースの眼側焦点近くに出来ますが、40mmとかの長焦点のアイピースを短焦点の望遠鏡に使用する際は、射出瞳位置とアイピースの眼側焦点の誤差が無視できないこと、上の光路図からご納得いただけると思います。対物の焦点距離が短いほど、アイレリーフが長くなるということです。
「それが何の役に立つのかさっぱり分からん!」と友人から言われ続けていますが、望遠鏡の基礎的なメカニズム、分かった方が百倍楽しくなりますよ!
40mmのアイピースが1枚の薄レンズなら、アイレリーフは40mm期待できますが、実際は、諸収差の補正のために多数のレンズで構成されていて、主点位置の関係で、長焦点であってもアイレリーフを20mm以上確保するには、それなりの設計努力を要します。
一方で、焦点距離が10mm以下でもアイレリーフを20mm以上確保しているアイピースがあります。これはいかに?
それも、主点位置のマジックで、眼側主点がアイレンズ頂点よりも手前の空間に出せれば可能なわけです。このように、”主点”を理解することも、望遠鏡やカメラの基礎を理解するためには必須なんです。
また、主点を結像(虚像ですが)してくれているのも、レンズ系の大きな仕事であり、これも、文句を言わずに陰でこなしてくれています。射出瞳は望遠鏡対物のアイピースによる実像。アイピースの両主点は、 ”等価な薄レンズの中心” に相当する ”虚” の点 のペアで、その点を含んで光軸に垂直な面が主面。第1主面が虚物点が存在する虚物面で、第2主面が第1主面の虚像面で、両虚像面同士の横倍率は常に+1の共役面です。(近軸光学で言う横とは、光軸に垂直な方向(つまり縦方向)のことで、縦の収差とか言う時の”縦”とは、光軸方法(横方向^^:)のことなので、光学初心者の方は、その点の注意は必要ですね。)
今からでも遅くないので、「それを知らなくて困ったことは一度もない!」なんて言わずに、目を開いてみてはいかがでしょう?
お友達にもいるでしょう?「スマホもPCも持たない主義だが、一度も困ったことはない!」と言う頑固者。 困るはずないよね! 知らない世界なんだから。新な事を学ぶために、自分のバイアスを否定したくない、という潜在的に不健康な思いがあるのだろうね。
私はほぼ毎日、世界中の天文マニアからあらゆる質問を受けますが、中には、自分のバイアスの追認が欲しいのか? 真摯にバイアスを捨てて白紙になって話を聴く気があるのか?と思わせられることがある。
最後に、射出瞳が対物レンズの実像であることを疑う人は、対物レンズの端にマスキングテープ等でマーキングして、最低倍率のアイピースをセットして、眼をアイピースから離して射出瞳を見てみてください。ちゃんと射出瞳の反対の端にマーキングが見え、対物レンズの倒立実像を見ていることに納得いただけるはずです。
(「天文マニアの全員が光路計算の達人になれ!」なんてことは、一言も言うつもりは当初からありません。ただ、概念的なことだけでも知っておく(”理解する”じゃない)、つまり受け入れていただけば、瞬時にハッピーになるのです。自分の引き出しのバイアスに自信がある方は、素直に受け入れられないようですね。
近軸追跡に行列を導入したのは、私ではなく、ずっと優秀な先人です。ある(自称インテリ)方に、「それ(行列で表現できること)は、間違っていると思う!」と言われましたが、数十年以上前に確立した方法なんです。^^:
私が行列の方法をまとめ直したのは、市井の専門書の角度や距離の符号の取り方が、著者の流儀によってバラバラで、望遠鏡マニアの読者は混乱するに違いないと思ったからです。望遠鏡マニアが違和感を持たないような符号(つまり角度や長さの正方向)の取り方を採用しています。だから、他の書物と比べて、公式が一見微妙に異なっているように見えると思いますが、そういう事情なのでご安心ください。)
エクセルには、=MMULT という、行列の積を求める関数が装備されていると申しましたが、一度に直接的に処理できるのは、2行列のみ。3行列を掛けたい場合は、普通はまず最初の2つを掛けて、その結果に左の残った行列を掛けるわけですが、表の組み立てをシンプルにするために、一挙に処理する方法はないか?と、調べたところ、数式を”入れ子”にすればよい事が分かりました。
本例だと、演算式は、
=MMULT(B2:C3,MMULT(E2:F3,H2:I3))
となります。
+2.0Dの薄レンズを0.1m(100mm)間隔でセットした2枚レンズ系のシステムマトリックスを求めるプログラムです。ついでに主点位置も出力できるようにしました。(H1=物側主点;H2=像側主点)
一度組めば、例えば間隔の数値のみ、構成レンズの度数のみを入れ替えても、瞬時に再計算してくれて痛快ですよ。
システムマトリックスの見方ですが、右上が合成度数(D)です。
A D
B C
と置くと、物側主点(H1)=(1-A)/D ; 像側主点(H2)=(C-1)/D となります。
最後になりましたが、重要なことがありました。
組んだ数式の結果を示すには、”Enter” ではダメで、” Ctrl + Shift + Enter” を同時に押します。次回からは、数値を入れ替えるだけで、自動的に再計算してくれます。(些細なことですが、当初、とまどいました。)
レンズ構成が未知のレンズ系(分解、エレメントへのアクセス不可)の光学諸点(主点と焦点)を非破壊で検査する方法をご紹介します。
一般的な結像公式は、レンズ中心(もしくは両主点)を基点とした物点距離と像点距離の関係式; 1/s’ – 1/s = 1/f を用いますが、天文マニアには、レンズ中心よりも両焦点を基点とした結像公式; ss’ = – f 2 の方が利用価値が高そうです。
その公式より、上の図のように、x座標の -2f と 2f の位置に、それぞれターゲット板(照明付き)とスクリーンを配置すると、倍率= -1 (等倍)で結像します。
それから、ターゲットとスクリーンを、2倍になるように動かすと、下図のようになります。両焦点を基点とした結像公式; ss’ = – f 2 が奏功するわけで、s = -f/2, s’ = 2f で、左辺=- f 2 となり、上記公式が成り立っていることが分かります。 つまり、レンズには全く触れることなく、スクリーンの移動距離から焦点距離が求まるわけです。主点位置もそれで決まります。
理論には踏み込みたくない、という方のために、今回は主点の意味が”絵”で直感的に分かるモデルを用意しました。
H2が像側主点で、H1が物側主点ですが、面倒な方は、今回は H1のことはスルーしていただいて結構です。
天体望遠鏡とバローの図です。F0が対物レンズの焦点で、F がバローとの合成焦点です。(P-F)/(P-F0) = 拡大率です。
上の図の凹レンズから射出している光路の尻尾を逆に延長し、入射平行光束と交わる点から光軸に下した垂線の足、H2 が像側主点です。
バローと対物レンズの合成焦点距離=H2-F です。
平行光線を接眼側から投入して同じ考察をすると、H1(物側主点)が求まります。
v
ご心配をおかけしたくなかったのと、全国では私同様の治療を耐えているさらに高齢な患者さんが多くいるので、弱音を吐くのはどうか?と思ったため、治療の影響について、敢えて公開して来ませんでした。
脱毛はないのですが、毎回、拒食症状に苦しんでいます。数年前の65kgの体重を、先月は48.5kgまで最低記録を更新し、これではいけないと、努力しても、50kgをタッチしたり、戻ったりの状態です。
我ながら、鏡の中の自分に、”釈迦の断食苦行像” その物を見て、ぞっとしているのが実情です。客観的に見ると、もう痩せしろはなく、これが死の間際なのか?と思えて来ます。^^; 頭だけは、妙に冴えているんですがね。LOL
病院食はほとんど食べられないので、朝食(ロールパンx2+牛乳+まずいゼリー+辛い味噌汁)以外は断り、昼食と夕食は自前調達(外出禁止ですが、毎朝、下のコンビニでの買い物を依頼できる。)
今日の夕食は、先日家内が差し入れてくれたレトルトのビーフシチューを看護師さんにチンしてもらおうか?随分迷ったのですが、3日前に高熱が出た影響で、完食の自信がなく、バナナとプロテインを流し込みました。 味の濃い物はことごとく舌が拒絶し、味が薄いものは何とか流し込める。味噌汁も1匙ほど飲んだら、塩辛くて、もう飲めない。好きなバナナすら苦い。
中学理科から見慣れた薄レンズの結像図だと思います。
近軸理論では、薄レンズの厚み=0と想定しますので、レンズ中心(O)が、全ての基点となり、厚いレンズ系のように、主点の概念を導入する必要はありません。
中学のおさらいですが、上図のように、
1:レンズ中心を通る光線は全て直進する。(赤線で示した。)
2:焦点を通過する直線は、レンズを出ると、全て光軸と平行に射出する。(光軸と平行に入射する光線は焦点を通る。)
上記の2点だけ理解できていれば、薄レンズによる結像は全て作図でき、定量的な解析も簡単です。
では、分厚いレンズや、複数枚で構成された複合レンズ系ではどうだろう? という話です。
恐らく、光学黎明期には、上の薄レンズの(O)のような単独の代表点が複合レンズ系の中にないか?、最初は探したに違いありません。 そして、光学台による実験から、そのような好都合な点は存在しないことがすぐに分かったはず。
で、やっと到達した事実が、複合レンズ系では、1点じゃなく、2つの点が、薄レンズの(O)のような”要の点”として存在するということです。次の図を見てください。
複合レンズ系には、薄いレンズの(O)のような好都合な単独の代表点は無かったわけですが、食い違いながらも、入射光線と平行に射出して行く光線があることに、光学黎明期の人もすぐに気付いたはず。
上の図は、厳密には主点ではなく、節点(角倍率=+1の共役点)なのですが、物界、像界とも空気の場合は、節点と主点は一致するので、敢えてこの図を示しました。説明がよりシンプルになり、素早く視覚的にご理解いただけると思ったからです。
この1週間ほど、熱心な天文マニアの方に主点の意味をご説明して来て、あの手この手を考えた結果、到達した ”主点-Tutorial ” です。
H1に向かう全ての光線が、H2から射出するということ。
(H1,H2は虚物点と虚像点ですから、実際に光線がそこを通るわけではありませんが。) そして、主点を通り、光軸に垂直な平面が両主面です。
物側主面の高さ h に入射する光線の全ては、入射角度に関係なく、同じ高さ h の像側主面から射出します。(2つの主面を光学的に定義すると、横倍率+1の共役面ということになります。)
当初はブラックボックスだった複雑な複合レンズ系の骨格を、シンプルに理解するために発見された至宝の点、それが主点であり、節点なのです。
(図は分かりやすく描いていますが、物側主点と像側主点の定義は、その存在位置とは無関係で、像空間に物側主点が来ることや、レンズの外にあることもあります。像側主点も同じ。 従って 物側(第1)主点 と 像側(第2)主点 の並び順が本例とは逆になることもざらにあります。)
「これでやっと主点の意味が分かった!」と感動してくださった方、ご連絡いただけると、大いに励みになります! LOL
(主点(節点)とも、一般の光学系は収差のために光線の角度や光軸からの高さによって位置がずれますが、角度も高さも限りなく光軸に近付けた極限値を以って、それらの点を定義します。)