Askar 120-BINO follow-up report by Ichiro-san! / 続報 Askar 120-BINO by Ichiro-san!

Askar 120-BINOの続報をいただきました。
まずは、ご自身のブログ(Askar 120-BINOで満天の宇宙遊泳!)をお読みください。

 まず、BINOの外装が前回とは大きく異なっていることにご注目ください。最新の衛星機器のように、鏡筒全体が熱放射を防ぐアルミシートで覆われています。その効果を立証している方もおられ、マニアの一部には浸透し始めている、結露防止の手段なのですが、未だ、望遠鏡メーカーさんが取り入れる兆しは見えていません。 より良く見るためには何でも貪欲に試してみる、Ichiroさんの姿勢がよく表れています。この方法は、すでに20cm-BINOで試されていて、ブログに公開しておられる(望遠鏡の筒内気流と夜露を一掃する神情報!)ので、ぜひご一読されることをお勧めします。
 以前にも説明しておられますが、このBINOは、鏡筒単体管理方式であり、市販の大型双眼鏡のような、”BINO本体”という概念がありません。左右の鏡筒は独立的にVIXEN規格のアリガタで任意の架台に着脱できるようになっており、メーカー純正の収納ケースにEMSごと収納、運用できるようになっています。
 当面は、中軸架台(PushToでヘリコイド目幅調整)とTTS160架台(Goto & PushTo)(スライド目幅調整)でのTwo-Wayの運用ですが、どうやら、TTSでの架台部の運用に苦労しておられるご様子なので、中軸架台用の外付けのスライドブラケットをご提案してみようと思っています。(HF経緯台を改造するよりも効果的と考えるので。)
 Ichiro-さん、今回も数々の感動をシェアしてくださってありがとうございました。



松本の光学講座 2024;EMS of 60-deg viewing angle/ 60°対空型のEMS

タイトルを読んで、小躍りして喜んでいる方も少なくないのでは? と思う。
「45度対空のEMSを作ってください!」という要望が、ある程度光学をかじった方(古参マニアや業者さん)から入ることがあるからです。
 理論的には、確かに可能なんですが、転向角度の小さいEMSは、ミラー面への入射角がさらに大きくなることを意味し、現実的ではないのです。
 アミチプリズム等のご経験から、主光線の転向状態を把握する際は、ダハ面を通常の平面に置き換えて判断できることをご存じの方も多いかと思います。上図はその作図で、OZを通常の平面と考えて作図することが可能です。図の2枚直角鏡の原点に入射する光線は、平面鏡の場合と同じ経路を共有しますが、あくまで2回反射のシステムだということを忘れてはいけません。
 図の2例とも、第1反射点に於ける法線の単位ベクトルは、y軸方向の単位ベクトル(0,1,0)もしくはx軸方向の単位ベクトル(1,0,0)、となるので、入射光線(の逆方向の)単位ベクトルとその法線ベクトルの内積から入射角を求めると、疑似入射角45°の通常のEMSの場合の真の入射角=60°、疑似入射角60°のEMSの場合の真の入射角=69.3°となります。
 このように、対空角度を90°から小さくするほどに、急激に要求ミラーが長くなるということです。
もっとも、本例の対空角度=60度くらいまでなら、実現不可能とまでは言えず、イメージサークルさえ少し妥協すれば作れないこともありません。 ただ、45度対空ともなれば、あまりに犠牲が大きくなると言わざるを得ません。
 以上、理論的な話をしましたが、そもそも、そうした犠牲を払ってまで、45度や60度のEMSを作る必要があるのか?ということです。
 大方のそうした要求は、誤解とバイアスの結果だからです。
 90度対空に適した架台高というものがあるのです。よく、「低空は45度対空や直視が圧倒的に楽に見える!」と言われる方があるが、それは、90度対空のシステムに、45度対空、もしくは直視に適合した架台や三脚をそのまま使用しているからだと断言できます。
 皆さん、高学歴の方ばかりで、机の上でしっかり勉強して来られた方ばかりと思いますが、デスクトップ上でノートをまとめたり、読書するのに、苦痛を感じていたのでしょうか?
 その姿勢こそ、まさに90度対空型の光学系で地平方向を見る姿勢です。
 そうです。90度対空のEMSで低空が見にくい、というのは、完全に架台の設定高を間違えたことによる判断ミスであり、バイアスに他なりません。

Askar 140-BINO in the making-6/ Horizontal Unit of the Center Mount / 中軸架台の水平回転部

 通常は垂直回転ユニットを先に仕上げるのですが、注文していた部材が連休にかかって遅れているため、先に水平回転ユニットを仕上げました。 通常仕様でしたら、中軸架台のパーツは全て確保しているのですが、今回は、初めてのロスマンディ仕様なので、垂直回転軸は材料からの加工になります。

芦津(三滝)渓谷を散策/ Took a walk in Ashizu-Valley

Ashizu-Valley is located about an hour drive south of Tottori city.
I was drowning in work, but kind sister-in law and her husband invited us to this half-day relaxation.
 振り返ると、苦笑するほど何処にも行かず、ストイックに仕事に追われる人生でしたが、最近、義理の妹夫妻が、息抜きに近場の散策に誘ってくれます。昨日は、鳥取市から南、車で1時間程度の所にある、”芦津渓”(智頭町)付近を散策させていただいた。

旅程の中間点くらいにある、”ハング(パラ)グライダーのメッカ”として全国的に有名な、霊石山(標高334m)。
山を遡る気流や眺望に恵まれているらしい。

義弟の運転なので、車窓からパチり。

もっと奥がありそうだったが、深入りはしなかった。(時間的に)^^;

 ありゃ、マスク外すの忘れとる。コロナ禍も去ったし、花粉症でもないのに、習慣とは恐ろしいもの。ただ、マスク、携帯加湿器みたいで快適なんだよな。

完璧な快晴だ。「空に広げたレース模様のようだ!」と、智頭杉の木立を妻がパチリ。

”みたき園”という山菜料理屋さんの別小屋の売店が山道脇にあったので、買い物がてら、しばし休憩。

売店のすぐ奥が広い庭園になっていて、小さい滝も演出してあった。
 妙に人懐っこいニワトリが二羽じゃなく、5羽くらいいた。^^;



松本の光学講座 2024;The “D” and the size of the first Mirror/ “D”と第一ミラーのサイズとの関係

 分かる方にとっては、「何を今さら?」の内容だと思いますが、分からなかった方にとっては、EMS-BINOを理解する突破口になる図かも分かりません。
 31.7サイズアイピースしか使わないならEMS-UMA、2インチアイピースを使用するならEMS-UL、という、短絡的な理解は、BINOのプランニングには通用しません。
 上の図は、同じ対物レンズ(F値、口径、焦点距離、全て同じ、目幅も60mmと想定)で、D(鏡筒間隔)が変化した時の、第一ミラーの理想サイズの変化を図示したものです。
 Dが少しでも大きくなると、第一ミラーの要求サイズが急に大きくなることがお分かりになると思います。これが、BINO設計の初期段階で、Dをミニマムにすべく、最大限努力することの理由です。
 「私は31.7アイピースしか使わないから、EMS-UMAで良い!」と、頑迷に主張される方もあって、その場合は、ご当人が気付くまで、仕方ありません。^^;
 大方の望遠鏡メーカーさんの理解レベルも大体そんなもので、単体のEMS-ULクラスで合焦すれば、BINO化も可能だと思っている節があります。

Askar 140-BINO in the making-5/ Closer measurement of the Back-Focus / バックフォーカスの再測定

 バックフォーカスの測定について、勘違いしている方が多いように見受けます。
初心者の方に多いのは、繰り出し装置のストロークを測って、それだけで判断される間違いです。
 それがなぜ誤解を生じるかは、長くなるので説明を割愛します。
 で、どうするのが良いのか?ですが、遠景を紙に投影すれば直接的に分かりますが、確実に光路長が分かっている装置(双眼装置やEMS)をセットしてみるのが簡単です。
 繰り出した総長+セットした装置の光路長が答えです。
 本例だと、165+153= 318mm でした。これは、D=261mmでEMS-UXLを使用してもあり余るバックフォーカスでした。EMS-UXL(D=261mm)の光路長の予定=268mm(フィルタースロット付き2”スリーブ)なので、フォーカサーの繰り出し長=318-268=50mmとなります。
 鏡筒側の伸縮筒を完全縮退させて、フォーカサーの繰り出し長=50mmということです。

Askar 140-BINO in the making-4/ Trimmings of the Bands and Dovetails / 鏡筒バンドとアリガタのトリミング

 十分に長いバックフォーカスから、伸縮鏡筒(140)、着脱可能な延長鏡筒(120)と、Asukarシリーズ鏡筒の、BINO化に好都合で斬新、英断の仕様を絶賛した後ですが、BINO化の視点から見ますと、まだ不十分な点もありました。
 Askar-120での経験から、今回もバンドボトムは10mm以上のスリム化を予定していたのですが、上の写真のように4mmのトリミングが限界でした。なぜか? それは、バンドボトムが裏側から大きく肉抜きしてあり、中空になっていて、希望の量だけカットすると、アリガタを取り付けるネジベースを消失することになるからです。まあ、たった4mmですが、光路長換算だと√2倍になるので、5.7mmの光路長節約です。

アリガタの無駄な部分をカットしました。
 かなりの減量になりましたが、主目的は減量ではなく、天頂時にアリガタが中軸架台の水平回転部と干渉しないための処置です。